JP5122236B2 - 遠赤外線放射繊維およびこれからなる布帛ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
また本発明の遠赤外線放射繊維はテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を主体とするジオール単位から主としてなるポリエステル(A)を含んでいるので、種々の用途に好適なポリエチレンテレフタレート系繊維およびこれを含む繊維の性質を有している。
また該ポリエステル(A)が下記の式(i);
本発明で用いるポリエステル(A)は上記の式(i)で表されるリン酸ジアルキルエステル[以下「リン酸ジアルキルエステル(i)」という]を用いて変成されているポリエステルである。そして、ポリエステル(A)がリン酸ジアルキルエステル(i)によって変成されていることによって、繊維の形成後、またはその繊維から布帛を形成したり、該布帛から縫製品などの製品を製造した後に、それらの繊維、布帛を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理すると、ポリエステルの部分的な加水分解が生じてポリエステルの重合度が低下して良好な抗ピリング性が繊維に付与される。
そして、ポリエステル(A)は上記したリン酸ジアルキルエステル(i)の1種類によって変成されていても、または2種類以上によって変成されていてもよい。
例えば、
(1)エステル化反応開始前にエチレングリコールなどに分散させた二酸化チタンを添加し、エステル化反応またはエステル交換反応を行ってプレポリマーを製造し(第1段目の反応)、次いで第1段目の反応により得られたプレポリマーを減圧下に加熱して重縮合反応させて最終的なポリエステルを製造する(第2段目の反応)に当たって、第1段目の反応の終了後で第2段目の反応が終了するまでの間の任意の時点で上記したリン酸ジアルキルエステル(i)を反応系に加える方法。
(2)エステル化反応またはエステル交換反応を行ってプレポリマーを製造した(第1段目の反応)後に、エチレングリコールなどに分散させた二酸化チタンを添加し、次いで第1段目の反応により得られたプレポリマーを減圧下に加熱して重縮合反応させて最終的なポリエステルを製造する(第2段目の反応)に当たって、第1段目の反応の終了後で第2段目の反応が終了するまでの間の任意の時点で上記したリン酸ジアルキルエステル(i)を反応系に加える方法。
(3) 得られたポリエステル(A)にチップを再溶融する際に、二酸化チタンを添加して、微粒子が均一に分散したチップを得、このチップを溶融紡糸に用いる方法。
(4)得られたポリエステル(A)にチップを再溶融し、二酸化チタンを添加して、微粒子が均一に分散させた後に、このポリマーを直接、溶融紡糸に用いる方法。
(5)ポリエステル(A)と二酸化チタンを含有するポリエステル(B)チップを別々に製造して、それらをブレンドして再溶融して両方のポリエステルが均一に混合しているチップを製造し、そのチップを溶融紡糸に用いる方法。
(6)ポリエステル(A)と二酸化チタンを含有するポリエステル(B)チップを別々に製造して、それらをブレンドして再溶融して両方のポリエステルが均一に混合させて直接、溶融紡糸に用いる方法。
(7)ポリエステル(A)と二酸化チタンを含有するポリエステル(B)チップをそれぞれ個別に溶融し、各溶融物を溶融紡糸装置の上流側に設けた混合部で均一に混合してそのまま直接溶融紡糸する方法。
などを挙げることができる。
要するに、ポリエステル(A)に二酸化チタンの混合が均一に行なわれるのであれば、両者の混合をそれぞれの重合体の重合完了後から溶融紡糸を行なう間の任意の時点で適当な方法を採用して行なえばよい。
また、ポリエステル繊維の単繊維繊度、総デニール数なども特に制限されず、任意の単繊維繊度を有するモノフィラメントまたはマルチフィラメントを円滑に製造することができる。
JIS L 1050 7.7.1 引張り強さ、および伸び率、標準時の方法にしたがって測定した。用いた試験機は定速荷重型の試験機(容量20g)であり、試料のつかみ間隔は20mm、引張速度は20gf/分とした。なお、引張り強さの値は、試料が切断したときの荷重(gf)で表した。
JIS L 1076 6.1A法(ICI型試験機を用いる方法)にしたがって評価した。
(1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.5モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(B)として二酸化チタンを10重量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=40/60の重量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、リン原子;1.0モル%、二酸化チタン;6.0重量%のポリエステル繊維のステープルとして遠赤外線放射繊維を製造した。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度120℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、5級であり、抗ピリング性に優れ、ソフト感および嵩高性を備える良好な織物(布帛)であった。
(4) 上記(3)で得たポリエステル織物を、FT−IRを用いて、4〜20μmの波長域において、積分分光放射率を測定すると、74.1%であった。二酸化チタンを含まない比較例1の68.2%と比べると、5.9%高かったので、良好な遠赤外線放射効果が見られた。
実施例1と同様にして遠赤外線放射繊維、布帛を得て試験した。
実施例1と同様にして遠赤外線放射繊維、布帛を得て試験した。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度120℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、5級であり、抗ピリング性に優れ、ソフト感および嵩高性を備える良好な織物(布帛)であった。
(4) 上記(3)で得たポリエステル織物を、FT−IRを用いて、4〜20μmの波長域において、積分分光放射率を測定すると、75.9%であった。二酸化チタンを含まない比較例1の68.2%と比べると、7.7%高かったので、良好な遠赤外線放射効果が見られた。
(1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.5モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(B)として二酸化チタンを含有しないポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=40/60の重量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、リン原子;1.0モル%、二酸化チタン;0重量%のポリエステル繊維のステープルを製造した。
(2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥してその引張り強さおよび引張伸度を上記の方法により測定したところ、それぞれ4.2cNおよび14.5%であった。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度120℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、5級であり、抗ピリング性に優れ、ソフト感および嵩高性を備える良好な織物(布帛)であった。
(4) 上記(3)で得たポリエステル織物を、FT−IRを用いて、4〜20μmの波長域において、積分分光放射率を測定すると、68.2%であった。遠赤外線放射効果の未加工品の基準とし、この値との差を評価した。
比較例1と同様にして、繊維、布帛を得て評価を行った。
(1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.0モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(B)として二酸化チタンを10重量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=40/60の重量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、リン原子;0.8モル%、二酸化チタン;6.0重量%のポリエステル繊維のステープルを製造した。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度120℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、2級であり、ピリング性に劣る織物であった。
(1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.8モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(B)として二酸化チタンを12重量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=50/50の重量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、リン原子;1.4モル%、二酸化チタン;6.0重量%のポリエステル繊維のステープルを製造した。
(2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥してその引張り強さおよび引張伸度を上記の方法により測定したところ、それぞれ3.3cNおよび11.0%であった。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度120℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、5級であり、抗ピリング性に優れていたが、評価中での織物の擦れ、破れの損傷が大きく、使用できる状態になかった。
(1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.5モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(B)として二酸化チタンを10重量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=40/60の重量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、リン原子;1.0モル%、二酸化チタン;6.0重量%のポリエステル繊維のステープルを製造した。
(2) 上記(1)で得たステープルを温度100℃の熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥してその引張り強さおよび引張伸度を上記の方法により測定したところ、それぞれ6.6cNおよび22.0%であった。
(3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によって紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用いて常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精練、染色(染色浴の温度100℃)を行なった後に、そのピリング性を上記の方法で評価したところ、1級であり、抗ピリング性に劣る織物(布帛)であった。
Claims (2)
- テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を主体とするジオール単位から主としてなり、且つ下記の式(i);
- テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を主体とするジオール単位から主としてなり、且つ下記の式(i);
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