JP4504046B2 - ユニット式建物及びユニット式建物の構築方法 - Google Patents
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しかし、特許文献1のユニット式建物では、水平方向での居室空間を大きくすることはできるが、この居室空間と連続した吹き抜け空間を形成しようとした場合、それぞれの建物ユニットが柱、梁を備えて形成されているため、梁が邪魔となって吹き抜け空間を形成することができないという問題がある。
また、4個の建物ユニットが、各建物ユニットの柱省略コーナ部を突き合わせて配置されているうえに、柱省略コーナ部と交差する方向に梁省略部が形成されているが、一方向に隣合う建物ユニット間に補強梁が架け渡されているので、柱省略コーナ部、および梁省略部を有する建物ユニットを補強でき、その結果、ユニット式建物の強度を確保することができる。
しかも、この発明では、一方向に隣合う建物ユニットの間に設けられた補強梁と、建物ユニットの外周部分に架設された外周用補強梁とにより、建物ユニット同士が補強されるので、ユニット式建物の強度が十分に確保される。
そして、この発明では、建物ユニットの吹き抜け空間が形成される部分は梁が省略されており、建物ユニットの強度は低くなるが、建物ユニットの梁省略部に望む梁と上階部または下階部とに渡って略T字型の外周用補強梁が架設されているので、建物ユニットの補強を行うことができる。
前記建物ユニットの輸送時および組立時に前記4個の建物ユニット5のそれぞれの前記柱省略コーナ部に仮柱12Aを設けておくとともに前記梁省略部に仮梁11Cを設けておくことを特徴とする。
この発明では、仮柱と仮梁とを直接連結しなくてもよいので、仮柱と仮梁との製作誤差を接合部材で調整することができ、建物ユニットの組み立てが容易である。
図1〜図8には第1実施形態のユニット式建物1が示されている。
図1,2に示すように、第1実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられたそれぞれ2個づつの下階建物ユニット3、下階建物ユニット4、および下階建物ユニット5と、これらの下階建物ユニット3,4,5の上方に設けられた上方構成体である勾配屋根6とを備えて構成されている。なお、勾配屋根6は、図8に示すように、小屋枠部6Aと、この小屋枠部6Aに支持される屋根パネル6Aを含み構成されている。
そして、2個の建物ユニット3は、後に詳細を述べるように、それぞれ柱や梁が省略されていない通常の骨組みから構成され、2個の建物ユニット4は、それぞれ1本の柱が省略された柱省略部Aを有し、2個の建物ユニット5は、それぞれ1本の柱10が省略された柱省略部A、及び1本の天井梁11が省略された梁柱省略部Bを有している。
階建物ユニット3は、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の床梁12とを含む骨組み13を有し、略直方体状に形成されている。
そして、天井梁11は各2本の長辺天井梁11A及び短辺天井梁11Bで構成され、床梁12は各2本の長辺床梁12A及び短辺床梁12Bで構成されている。2本の長辺天井梁11A間、及び2本の長辺床梁12A間には、図示しないが、複数本の天井小梁、複数本の根太がそれぞれ架け渡されている。また、柱10と天井梁11及び床梁12とは、仕口14を介して接続されている。
なお、建物ユニット3において、柱省略コーナ部Aには、輸送時や組み立て時等に下階建物ユニット3が変形しないように、仮柱10Aが設けられている。
なお、建物ユニット3において、柱省略コーナ部A、及び梁省略部Bには、輸送時や組み立て時等に下階建物ユニット3が変形しないように、それぞれ仮柱10A、仮梁11Cが設けられている。また、仮柱10Aと仮梁11Cとは、接合部材である仕口14を介して互いに連結されている。
補強梁20は、図6に詳細を示すように、所定厚さの板部材で形成されるとともに、一端部を建物ユニット4,5の天井梁11の下端部に揃え、他端部を天井梁11から上方に突出して形成されている。
鉛直部30Bの下部は、図7に詳細を示すように、建物ユニット4,5の長辺天井梁11Aの開口側縁部に当接できるようになっており、鉛直部30Bの上部は図8に示すように、小屋枠6Aの開口側縁部に当接できるようになっている。
(1)各2個づつの建物ユニット3,4,5のうち、建物ユニット4,5が、当該各建物ユニット4,5の柱省略コーナ部Aを突き合わせて配置されており、しかも、建物ユニット4,5の柱省略コーナ部Aと隣接する勾配屋根6側の天井梁11に梁省略部Bが形成されているので、4個の建物ユニット4,5で、柱なしで形成される水平方向に連続する大きな空間Rと、この空間Rから小屋裏Kにいたる吹き抜け空間Fとを同時に得ることができる。
本実施形態及び以下の各実施形態において、前記第1実施形態、及び書く実施形態での同一構成部材には、同一符号を付すとともに、その詳細な説明は省略または簡略化する。
なお、この第2実施形態の勾配屋根と前記第1実施形態の勾配屋根とは、形状、大きさが異なっているが、構成はほぼ同じなので、同一符号を付してある。
また、柱省略コーナ部A及び梁省略部Bを有する2個の下階建物ユニット5Aは、図11に示すような構造となっており、1本の柱10及び1本の天井梁11Aが省略された骨組み13Cを備えている。さらに、上階建物ユニット8は、前記第1実施形態の建物ユニット3と同じものが使用され、図3に示すような構造となっている。
そして、柱省略コーナ部A及び梁省略部Bには、それぞれ仮柱10A、仮梁11Cが設けられている。
また、下階建物ユニット5A,5Bの間には、前記補強梁20が架け渡され、下階建物ユニット5Aの外側には、前記外周用補強梁30が架け渡されている。
また、2個の下階建物ユニット5Aは、それぞれ1本の長辺天井梁11Aが省略されているので、下階建物ユニット5Aから小屋裏空間Kにいたる吹き抜け空間Fが形成される。
(6)2個の上階建物ユニット8が設けられたユニット式建物1Aで、下階部7に4個の建物ユニット5A,5Bで水平方向に連続する大きな空間Rを得ることができるとともに、上階建物ユニット8が載置されていない部位に、小屋裏空間Kに繋がる吹き抜け空間Fを形成することができる。
本実施形態のユニット式建物1Bは、前記第2実施形態の下階部7の上方に、各2個づつの上階建物ユニット8,8Aを載置して上階部9を構成し、下階部7の下階建物ユニット5Aと上階建物ユニット8Aとの間に吹き抜け空間Fを構成したものである。
上階建物ユニット8Aは、図14に示すように、1本の長辺床梁12Aが省略された骨組み13Dを有しており、梁省略部Bには、仮梁12Cが設けられている。
また、2個の下階建物ユニット5Aは、それぞれ1本の長辺天井梁11Aが省略されており、2個の上階建物ユニット8Aは、それぞれ1本の長辺床梁12Aが省略されているので、下階建物ユニッ5Aから上階建物ユニット8Aの室内空間R1にいたる吹き抜け空間Fが形成される。
(7)下階建物ユニット5A,5Bが、それぞれ柱省略コーナ部Aを突き合わせて配置され、かつ、下階建物ユニット5Aが梁省略部Bを突き合わせて配置され、この下階建物ユニット5Aの上方には、1本の床梁12が省略された梁省略部Bを有しているので、4個の建物ユニット5A,5Bで、柱なしで形成される水平方向に連続する大きな空間Rと、この空間Rから上階建物ユニット8Aの室内空間R1にいたる吹き抜け空間Fとを同時に得ることができる。
本実施形態のユニット式建物1Cは、前記第3実施形態のユニット式建物1Bを上下方向に逆にした構成とされている。
すなわち、ユニット式建物1Cの上階部9に水平な大空間Rが形成され、この大空間Rから下階部7の下階建物ユニット5Cの室内空間R2にいたる吹き抜け空間Fが形成されているものである。
なお、上階建物ユニット5B、8B間には、図示しないが、前記補強梁20が架け渡され、下階建物ユニット5Cの外側には、前記外周用補強梁30が架け渡されている。そして、この場合、外周用補強梁30は、下階建物ユニット5Cの天井梁11と上階建物ユニット8Bの床梁12とに渡って設けられる。
(8)上階部9に、上階建物ユニット5B、8Bで形成される水平方向の大きな空間Rを得ることができるとともに、この空間Rから下階建物ユニット5Cの室内空間R2にいたる吹き抜け空間Fを同時に形成することができる。
本実施形態のユニット式建物1Dは、前記第3実施形態のユニット式建物1Bの上階部9に収納空間Sを設けた構成とされている。
すなわち、2個の上階建物ユニット8Aは、その高さ方向の途中位置に中間床部80を設けた構成とされ、この中間床部80の下方は、上階建物ユニット8Aの高さ方向半分の空間R3とされ、この空間R3の下方には、下階建物ユニット5Aにいたる吹き抜け空間Fとされている。また、上階建物ユニット8Aにおける中間床部80の上方空間は、例えば、各種収納物を収納する収納空間Sとなっている。
なお、下階建物ユニット5A,5B間には、前記補強梁20が架け渡され、下階建物ユニット5Aの外側には、図示しないが、前記外周用補強梁30が架け渡されている。そして、この場合、外周用補強梁30は、下階建物ユニット5Aの天井梁11と上階建物ユニット8Aの床梁12とに渡って設けられる。
(9)4個の下階建物ユニット5A,5B間に連続する水平方向の大きな空間Rと、この空間Rから2個の上階建物ユニット8Aの中間床部80にいたる吹き抜け空間Fとを得ることができるとともに、中間床部80の上方空間を収納空間Sとすることができ、その結果、ユニット式建物1Dに多くの収納部をとることができる。
本実施形態のユニット式建物1Eは、前記第4実施形態のユニット式建物1Cを利用するとともに、第5実施形態のユニット式建物1Dの構造を上下方向に逆向きにした構造としたものである。
下階建物ユニット5Cの中間床部80の上方空間R3とされ、この空間R3の上方には、上階建物ユニット8Bにいたる吹き抜け空間Fとされている。また、下階建物ユニット 5Cにおける中間床部80の空間R4を、例えば、中二階として利用することもできる。
なお、下階建物ユニット5C,8間には、前記補強梁20が架け渡され、下階建物ユニット5Cの外側には、図示しないが、前記外周用補強梁30が架け渡されている。そして、この場合、外周用補強梁30は、下階建物ユニット5Cの天井梁11と上階建物ユニット8Bの床梁12とに渡って設けられる。
(10)4個の上階建物ユニット5B,8B間に連続する水平方向の大きな空間Rと、この空間Rから2個の下階建物ユニット5Cの中間床部80にいたる吹き抜け空間Fとを得ることができるとともに、中間床部80の下方空間を収納空間Sとすることができ、その結果、ユニット式建物1Eに多くの収納部をとることができる。
例えば、前記各実施形態のユニット式建物1,1A〜1Eでは、例えば、下階建物ユニット5A、5Bを4個、それぞれ柱省略部A、および梁省略部B同士を突き合わせて配置したが、これに限らない。例えば図18に第2実施形態として示すように、一方向に下階建物ユニット5A,5Bを隣り合わせるとともに、一方向と交差する方向に所定間隔L離して、下階建物ユニット5A,5Bを配置してもよい。
このような実施形態では、下階部7に、さらに所定間隔L分の広い空間を得ることができる。
3,4,5…下階建物ユニット
6…上方構成体を構成する勾配屋根
10…柱
11…天井梁
11A…長辺天井梁
11B…短辺天井梁
12…床梁
12A…長辺床梁
12B…短辺床梁
13,13A〜13D…骨組み
20…補強梁
21,22…補強プレート
30…外周用補強梁
32…壁パネル
A…柱省略部
B…梁省略部
F…吹き抜け空間
K…小屋裏空間
Claims (6)
- それぞれ柱及び梁を含み形成される略直方体状の骨組みを有する少なくとも4個の建物ユニットと、これらの建物ユニットの上に設けられた上方建物構成体または下に設けられた下方建物構成体とを備えたユニット式建物であって、
前記各建物ユニットは、それぞれ1本の柱が省略された柱省略コーナ部を有するとともに、それぞれの柱省略コーナ部を突き合わせて配置され、
前記建物ユニットの柱省略コーナ部と隣接する前記上方建物構成体側または下方建物構成体側に梁省略部が形成され、この梁省略部と交差する方向に、一方向に隣合う建物ユニット間に補強梁が架け渡され、
前記建物ユニットの外周部分には外周用補強梁が架設され、
前記外周用補強梁は前記建物ユニットの梁と上階部または下階部との間に配置される水平部と、この水平部と直交する鉛直部とを備えた断面略T字型とされ、
前記水平部の両端は前記隣合う建物ユニットの互いに最も離れた柱と連結され、前記鉛直部は前記隣合う建物ユニットの梁であって前記補強梁と対向する開口側端部と前記上方建物構成体側または下方建物構成体側の前記補強梁と対向する開口側端部とにそれぞれ当接される
ことを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、前記少なくとも4個の建物ユニットの上に前記上方建物構成体が設けられ、この上方建物構成体は勾配屋根を備え、この勾配屋根の下方に前記4個の建物ユニットのうち2個の建物ユニットが配置され、この建物ユニットの互いに隣接する2本の天井梁を省略して前記梁省略部が形成されていることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1に記載のユニット式建物において、前記少なくとも4個の建物ユニットの上に前記上方建物構成体が設けられ、この上方建物構成体は、前記4個の建物ユニットのうち、2個の建物ユニットの上にそれぞれ配置される上階用建物ユニットで構成され、これらの上階用建物ユニットが上に配置されていない残りの2個の建物ユニットで前記下方建物構成体が構成され、この下方建物構成体における建物ユニットの互いに隣接する2本の天井梁が省略されて前記梁省略部が形成されていることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のユニット式建物において、前記補強梁が架け渡された方向に沿って2個の建物ユニット同士が所定間隔離れて配置され、所定間隔離れて配置された建物ユニットの隙間が壁パネルで塞がれていることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載されたユニット式建物を構築する方法であって、
前記建物ユニットの輸送時および組立時に前記4個の建物ユニットのそれぞれの前記柱省略コーナ部に仮柱を設けておくとともに前記梁省略部に仮梁を設けておくことを特徴とするユニット式建物の構築方法。 - 請求項5に記載のユニット式建物の構築方法において、前記仮柱と仮梁とは接合部材を介して互いに連結可能とされていることを特徴とするユニット式建物の構築方法。
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