JP4493775B2 - 糸条の横型熱処理装置及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は糸条を熱処理するための横型熱処理装置と同熱処理炉を使った炭素繊維の製造方法に関し、特に熱処理炉のシール性能を確保すると共に、炉内の熱処理温度の安定性に優れた横型熱処理装置と炭素繊維の製造方法にに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に糸条の製造に際しては、その物性を改良したり、乾燥を目的として多様な熱処理が施されている。特に機械的性質に優れた炭素繊維の製造にあっては高温度下での熱処理が要求され、例えば、合成繊維を出発原料として炭素繊維を製造するにあたっては、前記繊維の糸条を酸化性雰囲気下にて150〜400℃に加熱処理する耐炎化処理或いは不融化処理、前記処理にて得られた糸条を不活性雰囲気下にて900〜2000℃に加熱処理する炭素化処理、更には必要に応じて前記処理にて得られた糸条を2000〜3000℃の不活性雰囲気下にて加熱処理する黒鉛化処理などの熱処理が行わる。
【0003】
このような糸条の熱処理はそれぞれの処理条件を満たす熱処理装置にて行われるが、前記熱処理により得られる糸条の品質を安定化させるためには、前記熱処理装置の処理室が所定の温度となるように設定され、しかも糸条の熱処理の間は常に室内の温度を一定に保持することが不可欠となる。このため、例えば、前記糸条を連続的に処理する熱処理装置にあっては、熱処理装置の内外に循環路を設け、処理気体を加熱器により加熱しながら循環使用し、熱処理装置からの熱流出量を極力少なくすることによって、熱処理温度の制御性を高めて前記温度を一定に保持している。
【0004】
ここで、前記熱処理装置には、糸条を連続的に導入及び導出するための糸条の入口部及び出口部が必要となるが、一般に前記入口部及び出口部は、シ−ト状糸条の導入及び導出を可能にするためスリット状に開口させていることが多い。前記スリットの開口寸法は糸条の導入及び導出が無理なく行えるように、当然に前記導入糸条の全体的なシート断面形態よりも大きく設定されるため、前記スリットと糸条との間には隙間を生じ、前記入口部及び出口部がシール手段を持たない場合には加熱処理気体が装置外に漏れ出したり、或いは外気が装置内に流入することになる。
【0005】
例えば、上記耐炎化処理においては、アクリロニトリル系合成繊維を加熱及び酸化することにより、シアン化合物やアンモニア、一酸化炭素等の有害な成分が発生するため、上述の如く加熱処理気体が炉外に漏れ出すと、熱処理炉周辺の作業環境に悪影響を及ぼすことになる。また、外気が高温の炉内に流入すると同炉内における温度分布が均一でなくなり、結果的に耐炎化処理物の品質を低下させてしまう。
【0006】
このため、上述の問題を解決するために、例えば、特公平3ー4832号公報、特公平3ー4833号公報、或いは特公平3ー4834号公報に開示されるような前記アクリロニトリル系合成繊維の入口部及び出口部にシール室を設置し、糸条の走行方向と平行に加熱処理気体を流す横型の耐炎化処理炉が提案されている。
【0007】
図4に前記公報に開示された横型熱処理炉の立断面図を、図5にその上面図を示している。この横型熱処理炉1は熱処理室2を有し、同熱処理室2はその前面に加熱処理気体を供給するための上下に多段に配された吹き出し口3a〜3dと、同熱処理室2の後面に同加熱処理気体を熱処理室外に排気するための上下に多段に配された吸気口4a〜4dとを有し、また、前記各吹き出し口3a〜3dの前面側と各吸気口4a〜4dの後面側には前記繊維の入口部7d〜7h及び出口部7e〜7iが交互に配されており、前記出入口部7d〜7iをシールするためそれぞれにシール室5a,5bが設けられている。
【0008】
前記シール室5a,5bの前後面には、その高さ方向に多段の繊維入口出口であるスリット7a〜7fが交互に設けられており、前記繊維はシール室5a,5bの各室外に配されたローラ8a,8bにより案内される。入口側シール室5aに設けられた最上段のスリット7aから導入された繊維は、相対する出口側シール室5bの最上段のスリット7jから導出され、前記ローラ8bに案内されて180°ターンして、前記スリット7jの1段下のスリット7kから再び熱処理室2に導入される。このジグザグ状の走行が繰り返されて、前記繊維は熱処理室2にて十分に加熱及び酸化されて最終的に最下段のスリット7lから送り出される。
【0009】
一方、前記繊維の熱処理に使用される加熱処理気体は、熱処理室外則の熱風循環路内に設置された加熱器9により200〜300℃に加熱され、次いで、循環ファン10により吹き出し口3a〜3dを介して繊維の走行方向と平行な方向に吹き出して、熱処理室2に供給される。そして、繊維の加熱処理に使用された加熱処理気体は、吸気口4a〜4dから吸気されて前記加熱器9に戻されて循環使用される。
【0010】
ここで、前記特公平3ー4833号公報に開示された熱処理炉1にあっては、各シール室5a,5bには繊維の通路を上下に区分けするように仕切板9a〜9dが設置され、同シール室5a,5bは複数の小室に分けられており、前記シール室5a,5bの各小室にはシール気体用排気口5a−1〜5a−3,5b−1〜5b−3が設けられている。各排気口5a−1〜5a−3,5b−1〜5b−3の下流側にはシール排気ファン12a,12bが設置されており、同シール排気ファン12a,12bによりシール室5a,5bの気体が炉外に排気される。
【0011】
このとき、前記各小室の圧力は、各排気口5a−1〜5b−3の出口に設けられたバルブなどの排気機構により調節され、各小室にスリット7a〜7lを介して炉外の気体が流入し、或いは各小室の気体が炉外周辺に吹き出すことがないように制御される。
【0012】
各小室の内部圧力を制御することにより、前記熱処理炉1においては、炉内の気体が過剰に炉外に漏れ出したり、外気が炉内に流入することが効果的に抑制され、熱処理炉1の周辺の作業環境が有害成分に汚染されず、同時に熱処理室2の温度分布の均一性が確保されるというものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
既述した先行技術の熱処理炉においては、シール気体用排気口からシール室の気体を排気することにより、外気が熱処理室へ流入することを防止して熱処理室内の温度の均一性を確保し、且つ炉内の気体が炉外へ漏れ出ることを防止することが可能であるが、前記外気の流入及び炉内気体の漏れ出しを確実に防止するには、シール室の圧力の設定値を熱処理室内の圧力よりも十分に下げてシール室の気体の排気を行うことが必要となる。
【0014】
そうすると、熱処理室からは前記排気と同時にかなりの量の高温気体がシ−ル室を介して炉外に排気されることになるが、前記繊維の一定の耐炎化処理量を確保するには、前記炉内の気体の排気量に相当する量の気体を新たに加熱して熱処理室に供給することが必要となる。このため、前記熱処理炉にあっては、熱量の大きな損失につながる。
【0015】
一方、前記シール気体用排気口の下流側には、前記熱処理室からシール室に流入する処理後の気体に含まれるシアン化合物、アンモニア、及び一酸化炭素等の有害な成分を処理するために、通常、ガス処理設備が設置されているが、前記気体の排気量が多くなると、このガス処理設備の処理能力も大きくせざるを得ず、大型化してしまう。
【0016】
しかしながら、前記気体の排気量を低減させようとして、例えば、シール室の圧力を極力高くして、熱処理室の圧力との圧力差を小さくすると、熱処理室の圧力の変動により、一時的にシール室の圧力の方が高くなりやすくなり、外気がシ−ル室を介して熱処理室に流入する。前記外気の温度は熱処理室の温度に比べてかなり低いため、外気の流入により熱処理室の温度の均一性が妨げられるばかりでなく、室内の気体を昇温させる必要があり、耐炎化処理物の品質を低下させることに加えて、処理効率が著しく低下する。
【0017】
本発明はかかる課題を解決すべくなされたものであり、その具体的な目的は、熱処理室への外気の侵入を確実に防止すると共に、シール室を介して熱処理室からの気体の排気量を低減することによって、前記熱処理室の温度の均一性と制御性とを向上させ、しかも各構成機器の負荷を低減することができる横型熱処理装置及びその熱処理方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
前記目的は本件請求項1〜6に記載された各発明により達成される。
本件請求項1に係る発明は、走行糸条の入口部及び出口部を有し、且つその内部に熱処理室と、該熱処理室の内外に加熱処理気体を循環させる循環路の一部を構成するファン室とを有し、前記熱処理室内で糸条を連続的に熱処理する横型熱処理装置であって、前記熱処理室の糸条入口部及び出口部にそれぞれ隣接して配された第1シール室と、各第1シール室の外側に配された第2シール室との少なくとも2室を備えてなり、前記第1及び第2シール室はそれぞれが糸条走行方向に連設され、且つシール気体用排気口を有してなり、前記熱処理室は、前記加熱処理気体を前記ファン室から前記熱処理室内に吹き込む吹出し口と、前記加熱処理気体を前記ファン室へ排出する吸気口とを有し、前記ファン室は、循環排気ファンを介して循環処理気体の一定量を排気する循環処理気体排気口と、前記第1シール室のシール気体用排気口からの排気を前記ファン室内に導入する排気導入路と、加熱器と、循環ファンとが順次配されて、前記吸気口から排出される加熱処理気体を前記吹出し口へと循環させてなり、前記第2シール室の前記シール気体用排気口は、シール排気ファンを介して直接大気に開放されてなる、ことを特徴としている。
【0019】
前記各シール室には適宜のシール手段が適用されており、しかも熱処理室の糸条の入口部及び出口部のそれぞれにシール室が2室以上連設されているため、熱処理室に隣接する第1シール室がバッファの役目を果たし、仮に前記熱処理室の圧力が外気の圧力よりも高くして熱処理室からの処理気体が第1シール室に漏れ出るとしても、同第1シール室に連設される1以上のシ−ル室を通して外気側に流出することになるため、装置外に流出する気体の量は、従来のように単一のシール室を設ける場合と比較すると、大幅に減少させることができる。
【0020】
一方、前記熱処理室の圧力が外気の圧力よりも低く熱処理室に外気が流入するとしても、隣接する第1シール室に到るまでに1以上のシ−ル室を通過しなければならないため、加熱処理室に隣接する第1シ−ル室を介して熱処理室に流入する外気の量も大幅に減少する。
【0021】
したがって、前記熱処理室からの高温気体の漏れ出しと低温の外気の熱処理室への流入とを極力抑えることができるため、気体に対する加熱を効率的に行うことができると同時に、熱処理室の温度の制御性と均一性とが向上し、安定した糸条の熱処理を実現することができる共に、熱処理装置の周辺の良好な環境が維持できる。
【0022】
本件発明にあっては、前記加熱処理気体の循環路内にあって、前記加熱部の上流側に循環処理気体用の排気口を有している。
前記糸条の熱処理に際しては、糸条の成分や熱処理室内の温度、或いは加熱処理気体によって各種の熱処理ガスが発生する。例えば、糸条を熱処理すると、糸条に付着する各種の成分が化学反応を起こし、多様な種類のガスを発生させる。
炭素繊維の製造にあたっては、特に加熱空気を使用するなどして高温雰囲気下にて糸条の熱処理を行うことがあるため、糸条の成分との酸化ガスが発生する。
【0023】
こうして、熱処理室内には経時的に様々な種類のガスが増加することになり、前記加熱処理気体の純度を一定に維持できず、そのままでは糸条の均一な処理が期待できない。そこで、熱処理室内に混入する他のガスの混入量が所定の値を越えたとき、循環路内を介して一定量の新たな加熱処理気体を熱処理室に供給すると共に、その供給量に相当する循環処理気体を装置外に排気することが必要となる。
【0024】
本件発明にあっては、前記循環路内に循環処理気体用の排気口を設けており、必要に応じて同排気口を開き、同排気口から循環処理気体の一部を排気する。前記排気口は循環路内に配された加熱部の上流側に設けられており、比較的低温の循環処理気体が装置外に排気されることになるため、熱処理室の熱効率に大きく影響を及ぼすこともない。なお、上述のごとく前記糸条の熱処理により有害成分が発生することがあるため、前記循環処理気体用の排気口の下流側にはガス処理設備が設置される。
【0025】
更に本件発明にあっては、少なくとも前記第1シール室と第2シール室のそれぞれにシール気体用排気口を設けている。
排気量を調節しながら各シール室ごとに前記排気口を介してシール気体を排気すれば、各シール室の圧力をそれぞれ独立して設定することができる。したがって、各種のシ−ル性の要求に多様に対応した各シール室の圧力の設定が可能となるため、シール室を介して外気が熱処理室へ流入すること、或いは熱処理室内の処理気体が装置外に漏れ出することを確実に防止でき、熱量の損失が低減されると共に、良好な作業環境が維持できる。
【0026】
例えば、熱処理室の温度の均一性を確保するために、シール室を介して外気が熱処理室に流入ないようにする場合は、外気側に配されるシール室の圧力を外気の圧力よりも高く設定する。或いは、外気側に配されるシール室に外気が流入しても熱処理室へと流入させないようにするには、熱処理室に隣接するシール室の排気口からの気体の排気量を調節して同シール室の圧力を熱処理室の圧力よりも低く設定する。
【0027】
なお、前記各シール室の排気口からの排気は、例えば、各排気口の下流側にダンパー或いはバルブなどの風量制御装置と排気ファンとを設置して、それらの装置により所定量の気体を前記各排気口からシール室外に積極的に排気することにより行う。
【0028】
また、本件発明にあっては、前記第1シール室が前記熱処理室に隣接して配され、同第1シール室と熱処理気体の前記循環路内に配された加熱部との間には前記シール気体用排気口からの排気を熱処理室に導入する排気導入路が設けられる。
【0029】
前記糸条の熱処理に際しては、熱処理室内の処理気体が外部へと漏出せず、また熱処理室内に外気を流入させないためには、上述の如く、各シール室の排気口からの気体の排気量を適切に調節することによって可能となるが、シール室からの排気はそれ自体が熱量の浪費となる。例えば、第1シール室の圧力を熱処理室の圧力よりも低く設定すると、当然に同シール室を介して熱処理装置から外部へ排出される気体の量が増加し、例えば、その排気量が糸条の熱処理により消費される処理気体の量を越える場合には、糸条の安定した熱処理が行いにくくなり、しかも熱処理装置内の熱量の流出も多くなる。
【0030】
そこで、本発明のごとく熱処理室に隣接する第1シール室のシール気体用排気口と前記循環路内の加熱部との間に排気導入路を設けて、前記排気口からの排気を循環路内に戻して糸条の熱処理に循環使用すれば、熱処理室の熱量が逸出することが抑制でき、熱エネルギーの効率的な利用が可能となるばかりでなく、熱処理室内の温度の均一性と制御性の向上をも図ることができる。
【0031】
なお、前記第1シール室の圧力を第2シール室の圧力よりも低くく設定すれば、第1シール室には第2シール室を介して外気が流入する。そうすると、第1シール室の排気口からの排気には相当量の空気が含まれため、例えば、酸化性雰囲気下にて糸条の熱処理を行う際には、前記排気導入路は加熱処理に必要な空気の供給路としても機能させることができる。
【0032】
本件請求項2に係る発明は、前記走行糸条の入口部及び出口部が前記熱処理室の前後面に交互に多段に設けられ、前記熱処理室の前段の出口部から導出された糸条はその走行方向が変更され、前記熱処理室の次段の入口部に導入される。このため、糸条の熱処理に十分な時間を確保することができ、熱処理室が糸条の走行方向に極端に長くなることがなく省スペースが可能となり、なお、前記糸条の走行方向の変更は、通常、糸条の各出入口部の近傍にローラなどの案内部材を配して行われる。
【0033】
本発明にあって、前記走行糸条の通路を区画するための仕切板が前記第1シール室或いは第2シール室のいずれかに設けられ、その区画ごとにシール気体用排気口が設けられていることが好ましい。
【0034】
前記熱処理室の前後面に糸条の入口部及び出口部が多段に設けられる場合にあって、前記各シール室を介しての熱処理室への外気の流入を確実に防止するためには、当然に前記糸条の入口部及び出口部の全てから熱処理室内の気体が各シール室に流出するように同各シール室の圧力を設定することが必要となる。
【0035】
そこで、前述のように前記シール室内の走行糸条の各通路を仕切板により区画して、その区画ごとにシール気体用排気口が設けており、前記各排気口の下流側にはそれぞれに風量制御装置を設置するようにすることが好ましい。
【0036】
前記風量制御装置を作動して各区画の排気量を調整し、前記熱処理室の糸条の各入口部及び出口部に相当する各区画内の圧力を均等化させる。その結果、熱処理室の処理気体と外気の双方共に、各区画への流入量を減らすことができるため、前記シール室からの気体の排気量は大幅に低減されて、シール排気ファン等の熱処理装置の各構成機器の容量が必要以上に大きくなることを防止できる。
【0037】
本件請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る横型熱処理炉を耐炎化処理炉として使用し、炭素繊維の原料であるプレカーサを前記耐炎化処理炉の熱処理室内で200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理することを特徴とする熱処理方法にある。
炭素繊維は、例えば、アクリロニトリル系合成繊維或いはピッチ系合成繊維などのプレカ−サに耐炎化処理及び炭素化処理等の熱処理を施すことによって製造されるが、このうち本発明における耐炎化処理は200〜300℃の酸化性雰囲気下でアクリロニトリル系合成繊維を熱処理するものである。
【0038】
この耐炎化処理は所定の熱処理炉にて行われ、通常はアクリロニトリル系合成繊維を連続的に処理することが可能なように、同炉は前記繊維と加熱処理気体とが連続的に供給可能な設備となっている。このとき、当然に前記処理にて製造される耐炎化繊維の品質を安定化させることが不可欠となるため、前記熱処理炉の温度を一定に保持し、しかも前記温度が炉内で不均一とならないように配慮することが必要となる。
【0039】
また、前記耐炎化処理には加熱処理気体として空気が用いられており、前記繊維を熱処理すると相当量の酸素が消費される。このため、前記繊維の熱処理量を一定に確保するには、新たな加熱空気を熱処理室に供給して前記消費された酸素を補充するとともに、前記加熱空気の供給量に相当する量の炉内の気体を炉外に排気することが不可欠となる。
【0040】
更に、前記熱処理においては一酸化炭素をはじめシアン化合物やアンモニア等の有害成分が発生するため、これら有害成分が周辺の作業環境に漏れ出すことがないように配慮することも必要である。
このため、かかる要求を満足したアクリロニトリル系合成繊維の耐炎化処理を実現するためには、前記横型熱処理炉を耐炎化処理炉として採用することが極めて有効となる。
【0041】
本件請求項4に係る発明は、前記排気導入路から導入される気体の量以下の加熱処理気体を前記循環処理気体用排気口から排気するものである。
前記第1シ−ル室からの排気には熱処理室内の気体が含まれており、第1シ−ル室の圧力を第2シ−ル室の圧力よりも低く設定する場合には、第1シール室には更に第2シ−ル室を介して外気が含まれることにもなる。このため、前記圧力を適切に設定することによって、前記第1シ−ル室からの排気中に、耐炎化処理を安定して行うために必要な新たな空気が第2シール室から導入することができ、同空気は前記排気導入路を介して循環路内へと供給されることになる。
【0042】
このとき、同時に前記熱処理室の排気口である循環処理気体用の排気口からは、前記循環路に供給された新たな空気の量と等しい量の気体が排気されることになる。したがって、本件発明のように、前記排気口からの気体の排気量を前記排気導入路から導入される気体の量以下に調整すれば、前記導入される気体のうち前記導入量と排気量との差分は必然的に熱処理室から第1シ−ル室に流出する気体で占められることになり、同気体が絶えず熱処理室、第1シ−ル室、及び循環路を循環することになる。このため、循環処理気体用の排気口からの排気量を前述のごとく調整すれば、熱処理室から第1シ−ル室への気体の流出も防止できることになる。
【0043】
このとき、請求項5に係る発明のように、前記第1シール室の圧力を前記熱処理室の圧力より0.2〜5(Pa)低くなるように排気量を制御することが好ましい。
すなわち、前記第1シール室の圧力と熱処理室の圧力との圧力差を0.2Paよりも小さくすると、前記熱処理室の圧力が変動したときに、一時的に第1シール室の圧力が高くなることがあって、外気が第1シール室を介して熱処理室に流入し易くなり、同熱処理室内の温度分布が一定でなくなるばかりでなく、熱処理用気体の成分に変動し、安定した処理が難しくなる。一方で、前記圧力差を5Paよりも大きくすると、熱処理室から第1シール室への気体の流出量が過大となって、安定した熱処理ができなくなり、しかもシール排気ファン等の熱処理炉の構成機器の負荷が増大し好ましくない。
【0044】
本件請求項6に係る発明は、前記第2シール室の圧力を前記第1シール室の圧力より0.2〜5(Pa)高くなるように排気量を制御するものである。
上述の如く前記熱処理炉においては、熱処理室のシール性を向上させるために、シール室を前記熱処理室の前後面のそれぞれに2室設けており、第2シール室が前記第1シール室に隣接して配されている。この第2シール室についてもシール気体用排気口を介して、同排気口の下流に設置されたシール排気ファンと風量制御装置により、同シール室内の気体が連続的に排気される。
【0045】
前記第2シール室の圧力は、熱処理室の気体の炉外への漏れ出しを防止すると共に、前記繊維の安定した熱処理に必要な空気を第1シ−ル室を介して前記循環路に供給するため、外気の圧力よりも低く、且つ第1シ−ル室の圧力よりも高く設定される。このときの第2シール室の圧力を第1シール室の圧力よりも0.2〜5(Pa)高く設定すれば、第2シール室から第1シール室に必要以上に空気が流出することがなく、第1シール室からの排気量を極力少なくすることができると共に、各シール室の圧力が一時的に変動する場合にも、第2シール室の圧力は第1シール室の圧力よりも常に高く維持されて、熱処理室の気体が第1シール室を介して第2シール室に流出することはない。したがって、第2シール室の気体のほとんどは空気で占められるようになり、前記排気には有害成分が含まれず、同気体をガス処理設備にて処理する必要がなくなる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の横型熱処理炉の好適な実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態にあっては横型熱処理炉にてアクリロニトリル系合成繊維を耐炎化処理する場合について説明するが、加熱処理気体の種類或いは熱処理温度等を適宜に選択することによって、本発明の横型熱処理炉は他の繊維の熱処理炉としても使用することも可能である。
【0047】
図1は本発明の代表的な実施形態である横型熱処理炉の側面図を示し、図2は前記横型熱処理炉の正面断面図を示している。これらの図にあって、図4及び図5に示した従来技術と実質的に同じ機器等に関しては、同一の符号が付されている。
【0048】
横型熱処理炉1は熱処理室2を有し、同熱処理室2はその上部に加熱処理気体の吹出し口3と、その下部に熱処理室内の気体を同室外に排気するための吸気口4とを有し、また、熱処理室2の前後面にはスリット状の繊維入口部7g〜7i及び出口部7j〜7lが設けられている。更にまた、熱処理室2の前後面には前記繊維の入口部7g〜7i及び出口部7j〜7lをシ−ルするための第1シール室5a,5bが熱処理室2に隣接して配され、同第1シ−ル室5a,5bの外側にはそれぞれ第2シ−ル室6a,6bが連設されている。
【0049】
前記第1及び第2シール室5a,5b及び6a,6bには、その前後面に高さ方向に複数段のスリット7d〜7f,7m〜7o及び7a〜7c,7p〜7rが設けられており、前記スリット7a〜7rから繊維の導入及び導出が行われる。具体的には、前記繊維は、第2シール室6a,6bの室外にそれぞれ配されたローラ8a,8bにて先ず前面側の最上段スリット7aから導入されて、最終的に後面側の最下段スリット7qから炉外に導出されるが、このローラ8a,8bによる前記繊維の導入及び導出方法の詳細は既述の従来技術と同様であり、ここでは、その説明を省略する。なお、前記スリット7a〜7rはその開口寸法を繊維の厚みに応じて変更可能なように上下方向に調節自在な構造とされている。
【0050】
前記繊維の熱処理に使用される加熱処理気体には空気が用いられ、熱処理室と外部との間をつなぐ循環路に設けられた加熱器9により200〜300℃に加熱され、次いで、循環ファン10により吹出し口3から熱処理室2に供給される。そして、前記加熱処理気体は繊維の加熱処理に使用され、この処理により発生する熱処理室内の気体は吸気口4から循環路へと排出される。
【0051】
各シ−ル室5a,5b及び6a,6bにはシール気体用排気口5a−1〜5b−2及び6a−1〜6b−2が設けられており、シール気体用排気口5a−1〜5b−2及び6a−1〜6b−2からは炉外に設置したシ−ル排気ファン12及び13a,13bによりシ−ル室5a〜6bの気体を予め設定された量だけ排気して、第1シ−ル室5a,5bの圧力を熱処理室2の圧力よりも低く、且つ第2シール室6a,6bの圧力を外気の圧力よりも低く制御している。そうすることによって、第1シール室5a,5bへの熱処理室2の気体の流出と第2シ−ル室への外気の流入とをいずれも確保し、外気の熱処理室への流入及び熱処理室の気体の炉外への漏れ出しを確実に防止している。
【0052】
ここで、前記第1及び第2シ−ル室5a,5b及び6a,6bは、仕切板14a,14b及び15a,15bにより前記繊維の通路を複数に区画されると共に、前記排気口5a−1〜6b−2は各区画ごとに設けられている。そして、各排気口5a−1〜6b−2の出口には公知のダンパ−或いはバルブ等の風量制御装置16a〜16d及び17a〜17dが設置されているため、前記区画ごとに排気量の微調整が可能とされ、前記熱処理室2の高さ方向に圧力の分布がある場合にあっても、前記各区画ごとに圧力の設定ができるようになっている。したがって、各区画と熱処理室2との圧力差が適切に制御されて、結果的に各区画からの排気量を極力少なくすることが可能となり、前記シ−ル室5a〜6bからの排気量の大幅な低減が図られる。
【0053】
前記第1シ−ル室5a,5bに設けられた各排気口5a−1〜5b−2からの排気は一旦合流されてから前記第1シ−ル排気ファン12により排気されるが、このとき同排気を炉外に単に放出したのでは、熱処理室2から逸出する熱量が多くなって多大なエネルギ−損失となると共に、前記繊維の熱処理温度の制御性をも低下させてしまう。そこで、本実施形態にあっては、第1シ−ル室5a,5bからの排気を排気導入路18を介してファン室11に導入することによって、前記排気は繊維の熱処理に循環使用している。
【0054】
このことは、熱処理室2のシ−ル性を高めるために、第1シ−ル室5a,5bの圧力を熱処理室2の圧力よりもかなり低く設定することを要求されても、前記高温の熱処理室内の気体が第1シ−ル室5a,5bを介して循環するため、熱処理室2から第1シール室5a,5bへの気体の漏出が多くなっても、前記熱処理温度の制御性を低下させることが少なくなる。
【0055】
ここで、第1シール室5a,5bの圧力は第2シ−ル室6a,6bの圧力よりも低く設定されており、前記第1シ−ル室5a,5bの排気口を介して熱処理室2に導入される気体には、第2シ−ル室6a,6bを介して相当量の空気が含まれているため、前記排気導入路18は熱処理室2に安定した耐炎化処理を行うに必要な新たな空気を供給する供給路としても機能している。
【0056】
一方、前記ファン室11には、循環処理気体用排気口19が設けられており、前記排気口19から炉外に設置された循環排気ファン20により前記循環処理気体の一定量が強制的に排気される。このとき、前記排気口19からの排気(以下、炉内排気という。)の量は、第2シール室6a,6bから第1シール室5a,5bに流入する外気と同量に制御される。
【0057】
なお、前記炉内排気は最終的に炉外に排気されるが、前記排気中にはシアン化合物及びアンモニア、一酸化炭素などの有害な成分が含まれているため、そのままでは大気に放出することはできない。このため、前記排気は図示せぬガス処理設備に送られて灯油と共に燃焼処理するなどして前記有害成分の処理を行う。
【0058】
ここで、前記熱処理室2から第1シ−ル室5a,5bに確実に気体を流出させるには、熱処理室2の圧力の変動を考慮して、第1シ−ル室5a,5bの圧力を熱処理室2の圧力より0.2Pa以上低く設定することが好ましい。ただし、過度に前記シ−ル室5a,5bの圧力を低くすると循環用導入気体の量が大きくなり、第1シ−ル排気ファン12の負荷が大きくなるため、前記圧力の差を5Pa以下とすることが好適である。
【0059】
一方、第2シール室6a,6bについては、第2シール気体用排気口6a−1〜6b−2からの排気はそれぞれの区画室ごとに合流されて、第2シ−ル排気ファン13a,13bにより室外に排気される。
このとき、第2シール室6a,6bの圧力は、第1シール室5a,5bの圧力より0.2〜5Pa高く設定して、前記第2シ−ル室6a,6bから気体を排気(以下、シ−ル排気と呼ぶ)することが好ましい。すなわち、前記第2シール室6a,6bの圧力を第1シール室5a,5bの圧力より0.2Pa以上高く設定すれば、第1及び第2シ−ル室5a〜6bの圧力が変動するようなことがあっても、第2シ−ル室6a,6bには第1シ−ル室5a,5bからの気体の流失がなく、しかも第1シ−ル室5a,5bから外気が確実に流入し、前記繊維の安定した熱処理に必要な新たな空気が排気導入路18を介して熱処理室2に供給される。また、第2シ−ル室6a,6bの気体はほとんどが空気であり、ガス処理設備を介さずに直接大気に放出することが可能となる。
【0060】
ただし、過度に前記第2シ−ル室6a,6bの圧力を高くすると、第2シール室6a,6bから第1シール室5a,5bへの気体の流出量が過大となり、循環用導入気体の量が多くなり、第1シール排気ファン12の負荷が増大すると共に、前記循環用排気に同伴される空気量が増加するため、加熱エネルギー及び炉内排気量が増加し、ガス処理設備の負荷が過大となる。このため、前記圧力の差は5Pa以下にすることが好ましい。
【0061】
なお、本実施形態にあっては、熱処理室2における加熱処理気体の流れ方向は、繊維の走行方向に対して垂直な方向としているが、前記加熱処理気体の吹出し口3及び吸気口4の設置位置を変更して、前記加熱処理気体の流れ方向を繊維の走行方向と平行とすることもできる。
【0062】
また、繊維の通路が3パスの熱処理炉1について示しているが、繊維の熱処理効率の観点から、そのパス数を数パス〜数十パスとすることも可能であり、複数の繊維を異なるパスから導入するするようにしてもよい。前記パスを区画する仕切板14a〜15dは、上述の如くシール室5a〜6bのみに設置するほかに、熱処理室2のみに、或いはシール室5a〜6b及び熱処理室2のそれぞれに設置することが可能である。
【0063】
更にまた、図3に示すように熱処理室2のシール性を向上させるため、前記繊維を導入・導出するローラ8a,8bを第2シール室6a,6bの室内に配して、前記第2シール室6a,6bの外気側の壁面に設けられる繊維の導入及び導出のための開口部を少なくすることも可能である。
【0064】
以下に本発明の実施例及び比較例を具体的に説明する。
(実施例1)
スリット7a〜7rの幅及び高さがそれぞれ210mm、15mm、繊維のパス数が3、パス間の距離が150mmであり、仕切板14a〜15bを第1シール室5a,5b及び第2シ−ル室6a,6bの全てのパス間に設け、加熱処理気体の吹き出し方向を繊維の走行方向に対し垂直方向とした横型熱処理炉1を使用した。大気温度20℃のもとで熱処理室2の温度を240℃として、炉内排気量52Nm3 /h、循環用排気量を片側46Nm3 /h、第2シール室6a,6bからの排気量を片側27Nm3 /hに設定し、風量制御装置16a〜17dにより、第1シール室5a,5bの圧力を熱処理室2より0.2〜0.4Pa低く、第2シール室6a,6bの圧力を第1シール室5a,5bより0.2〜0.5Pa高くなるように、各区画からの排気量の微調節を行った。
【0065】
この条件でアクリロニトリル系合成繊維を240℃にて耐炎化処理した。その結果、第2シール室6a,6bから作業環境への熱処理室内の気体の漏れ出しは見られず、第2シール室6a,6bの排気中にシアンガスが検出されなかった。
【0066】
(比較例1)
前記実施例1において炉内排気量を100Nm3 /hに増やしたところ、風量制御装置16a〜16dにて微調節を行ったにもかかわらず、第1シ−ル室5a,5bのパスのうち熱処理室2の圧力よりも高くなるパスがあった。
そのパスの熱処理室内の温度を測定したところ、各スリット7g〜7i及び7j〜7lの近傍で200℃以下となる箇所が認められた。
(比較例2)
実施例1において、第2シール室6a,6bからの排気量を片側60Nm3 /hに増やしたところ、風量制御装置17a〜17dにて微調節を行ったにもかかわらず、第1シール室5a,5bのパスのうち第2シール室6a,6bの圧力よりも高くなるパスがあった。このとき、第2シール室6a,6bの排気中にシアンガスが検出され、前記排気の処理が必要であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施例である横型熱処理炉の側面図である。
【図2】同横型熱処理炉の正面断面図である。
【図3】本発明の他の実施例である横型熱処理炉の側面図である。
【図4】従来の横型熱処理炉の側面図である。
【図5】同横型熱処理炉の上面図である。
【符号の説明】
1 横型熱処理炉
2 熱処理室
3a〜3d 加熱処理気体の吹出し口
4a〜4d 炉内の気体の吸気口
5a,5b 第1シール室
5a−1〜5b−3 第1シール気体用排気口
6a,6b 第2シール室
6a−1〜6b−3 第2シール気体用排気口
7a〜7r スリット
8a,8b ローラ
9 加熱器
10 循環ファン
11 ファン室
12a,12b 第1シール排気ファン
13a,13b 第2シール排気ファン
14a,14b 第1シール室仕切板
15a,15b 第2シール室仕切板
16a〜16d 第1シ−ル室風量制御装置
17a〜17d 第2シ−ル室風量制御装置
18 排気導入路
19 循環処理気体排気口
20 循環排気ファン
Claims (6)
- 走行糸条の入口部及び出口部を有し、且つその内部に熱処理室と、該熱処理室の内外に加熱処理気体を循環させる循環路の一部を構成するファン室とを有し、前記熱処理室内で糸条を連続的に熱処理する横型熱処理装置であって、
前記熱処理室の糸条入口部及び出口部にそれぞれ隣接して配された第1シール室と、各第1シール室の外側に配された第2シール室との少なくとも2室を備えてなり、
前記第1及び第2シール室はそれぞれが糸条走行方向に連設され、且つシール気体用排気口を有してなり、
前記熱処理室は、前記加熱処理気体を前記ファン室から前記熱処理室内に吹き込む吹出し口と、前記加熱処理気体を前記ファン室へ排出する吸気口とを有し、
前記ファン室は、循環排気ファンを介して循環処理気体の一定量を排気する循環処理気体排気口と、前記第1シール室のシール気体用排気口からの排気を前記ファン室内に導入する排気導入路と、加熱器と、循環ファンとが順次配されて、前記吸気口から排出される加熱処理気体を前記吹出し口へと循環させてなり、
前記第2シール室の前記シール気体用排気口は、シール排気ファンを介して直接大気に開放されてなる、ことを特徴とする糸条の横型熱処理装置。 - 前記走行糸条の入口部及び出口部が前記熱処理室の前後面に交互に多段に設けられ、前記熱処理室の前段の出口部から導出された糸条はその走行方向が変更され、前記熱処理室の次段の入口部に導入されてなる請求項1記載の糸条の横型熱処理装置。
- 請求項1又は2に記載の横型熱処理装置を耐炎化処理炉として使用し、炭素繊維の原料であるプレカーサを前記耐炎化処理炉の熱処理室内で200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
- 前記排気導入路から導入される気体の量以下の加熱処理気体を前記循環処理気体用排気口から排気することを特徴とする請求項3記載の製造方法。
- 前記第1シール室の圧力を前記熱処理室の圧力より0.2〜5(Pa)低くなるように排気量を制御する請求項3記載の製造方法。
- 前記第2シール室の圧力を前記第1シール室の圧力より0.2〜5(Pa)高くなるように排気量を制御する請求項4記載の製造方法。
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