JP4402846B2 - 平面ガラス基板用連続式焼成炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)等の平面ガラス基板用連続式焼成炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PDP等の製造工程には、平面ガラス基板上に形成した隔壁、蛍光体あるいはシールフリット等を焼成する工程があり、この焼成工程に使用する連続式焼成炉は清浄な雰囲気中で処理する必要があることから、たとえば、炉内に耐熱ガラスを上下左右に配置して処理室を形成し、この処理室内で結晶化ガラスセッター(架台)上に基板を水平に保持し、ハースローラで炉内搬送しながら輻射主体で加熱する形式のものと、炉内に、上部に耐熱フィルタを配置したバッフルで処理室を形成し、架台上に略垂直に平面ガラス基板を保持し、前記架台をハースローラで炉内搬送しながら、平面ガラス基板を強制対流主体で加熱および冷却する形式のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者は、炉内雰囲気がフィルタを介して循環するものでないため炉内で発生したパーティクル等は除去されず、積極的クリーン化機能が小さくパーティクル対応が不安定であるばかりか、輻射主体の加熱であることからガラス基板への熱伝達速度が小さく、また、平面ガラス基板は水平状態で連続的に搬送されるから温度分布差が大きいという問題点を有する。
【0004】
一方、後者は、強制対流主体の加熱であることから前者の問題点の一部(平面ガラス基板への熱伝達速度が小さく、また温度分布差が大きい)は解消できるものの、耐熱フィルタによる圧損が大きく、単位面積通過風速が小さいという問題を、また、300℃超の各ゾーンでは耐熱フィルタが高温酸化してパーティクルが発生し雰囲気の清浄化を一定に保持できないとともに高価な耐熱フィルタを多数必要とするため設備が高価になるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、前記課題を簡単な構成で解決することのできる平面ガラス基板用連続式焼成炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、炉内壁表面に不銹金属材料を用いたエアタイト構造とするとともに、独立して温度制御可能な複数のゾーンから構成し、各ゾーンにそれぞれ給気量制御用ダンパを有するクリーンエアー供給管と排気量制御用ダンパを有する炉内雰囲気排気管を接続し、かつ、ゾーン内温度が300℃以下の装入側あるいは抽出側のゾーンのうち少なくとも装入側ゾーン内にそれぞれ雰囲気循環通路を形成するバッフルおよびこの雰囲気循環通路中に循環ファンと加熱手段を配設し、前記バッフル内への循環雰囲気入口部に耐熱フィルタを配置するとともに、平面ガラス基板をハースローラにより炉内搬送するようにした構成としたものである。
【0007】
また、平面ガラス基板を水平保持する場合、平面ガラス基板を各ゾーン毎に前記ハースローラによるタクト送りとするのが好ましい。
【0008】
さらに、ゾーン内温度が300℃超の各ゾーン内に耐熱性板を上下左右に配置して処理室を形成し、この処理室内に平面ガラス基板を位置させ、処理室の外方に配設した加熱手段で平面ガラス基板を輻射加熱するようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について図にしたがって説明する。
まず、本発明にかかる平面ガラス基板用連続式焼成炉(以下、焼成炉という)Tは、図1に示すように、炉天井と炉床に設けた仕切壁2,3によって区画された複数のゾーン(図では13ゾーン)で構成され、各ゾーンは図2に示すように、所定温度にそれぞれ制御される。
【0010】
前記焼成炉Tは、下部に多数のハースローラ6が炉長方向にわたって等ピッチに設けられるとともに、その装入側には装入扉4が、また、抽出側には抽出扉5が設けてある。
【0011】
また、炉壁1は炉内側表面に不銹金属板を内張りした溶接エアタイト構造とし、断熱材からのアウトガスやパーティクルの炉内侵入を防止してある。
【0012】
そして、300℃以下のゾーン、すなわち、前記焼成炉Tの装入側ゾーン(No.1ゾーン、No.2ゾーン)と抽出側ゾーン(No.11〜No.13ゾーン)は図3の構成に、その他のゾーンでは図4の構成となっている。
【0013】
図4は、図3と比較すれば明らかなように、図3における耐熱フィルタ12を設けていない点においてのみ相違する。
【0014】
これは、300℃超の高温ゾーンにおいては、樹脂バインダ等からのパーティクルの発生は少ないため、クリーンエアーの給気と排気とによる内部雰囲気希釈により高価な耐熱フィルタ12がなくても充分にクリーン度が維持できるため省略し、かつ、耐熱フィルタ12の高温酸化によるパーティクルの発生をも防止したものである。
【0015】
なお、図3において、7は、下方が開口し天井部が多孔板8からなる炉内に設けたバッフルで、その一側は炉壁1と一体構造となり、バッフル7の他側と炉壁1の間に形成される雰囲気循環通路9には加熱手段であるヒータ10と循環ファン11が配設され、循環ファン11の回転により、雰囲気は耐熱フィルタ12、多孔板8を通ってバッフル7内に流入し、架台Aに略垂直に保持された平面ガラス基板Pを上方から下方に向かって吹き付けられ、炉内循環するようになっている。これは、300℃以下のゾーン、特に、装入側ゾーンにおいては、平面ガラス基板P上に隔壁等を形成するために樹脂バインダ等を使用するが、この帯域においては樹脂バインダ等有機物の蒸発が激しく、バッフル7の内部でのパーティクルの発生が大きく、当該バッフル7内で発生するパーティクルが循環して再度バッフル7内への流入と、他のバッフル7からのパーティクルの流入を防止するためである。
【0016】
なお、前記耐熱フィルタ12は、たとえば、ニッケルマットや耐熱合金繊維マットからなり、1〜5μm程度の塵やパーティクルを95%以上、5μm以上の粒子を100%除去できるものである。
【0017】
また、前記雰囲気循環通路9には、炉外に設置した給気ファン14により外気が給気フィルタ15を通って清浄化されたのち、給気量制御ダンパ16の開度に応じてクリーンエアー供給管1aから供給される。
【0018】
一方、ゾーンを構成する焼成炉Tの天井部には炉内雰囲気排気管1bが設けられ、前記循環雰囲気の一部が排気量制御ダンパ17の開度に応じて排気されるようになっている。なお、No.11〜No.13ゾーンにおいては加熱手段10を備えていない。
【0019】
つぎに、前記構成からなる焼成炉Tを使用して、平面ガラス基板Pに形成された隔壁、蛍光体あるいはシールフリット等の焼成方法について説明する。
【0020】
まず、隔壁等が形成された複数の平面ガラス基板Pを架台A上の治具(図示せず)に縦方向に所定間隔で装着して焼成炉Tの装入口から装入する。炉内に装入された平面ガラス基板Pは、ハースローラ6によって抽出側に向けて順次搬送される。
【0021】
No.1ゾーンとNo.2ゾーンでは、前記図3に示すように、雰囲気循環通路9でラジアントチューブバーナやヒータ等の加熱手段10で各ゾーンに対応した所定温度に加熱された循環雰囲気が循環ファン11により耐熱フィルタ12を通ってバッフル7内に送り込まれるが、この循環雰囲気は耐熱フィルタ12を通過する際に塵や埃あるいは樹脂バインダからのパーティクルが除去されるとともに整流され、清浄な雰囲気となって平面ガラス基板Pに向けて上方より吹き付けられ、平面ガラス基板Pは対流加熱により5〜15℃/分の昇降速度で加熱され、この間に、隔壁等中に含まれる樹脂バインダが熱・酸化分解されて大半が気化し、これとともに発生するパーティクルの一部は炉内に供給されたクリーンエアーとともに炉内雰囲気排気管1bから炉外に排出され、残りのパーティクルは耐熱フィルタ12に捕捉される。なお、前記クリーンエアーは、たとえば、JISB9920で示される清浄度クラス7で露点−10℃程度の空気であることが好ましい。
【0022】
その後、平面ガラス基板Pは、No.3ゾーンからNo.10ゾーンにおいて、図4に示すように、雰囲気循環通路9で加熱手段10により各ゾーンに対応した所定温度に循環雰囲気が保持され、循環ファン11によりバッフル7内に吹き込まれ、平面ガラス基板Pは加熱、焼成および除冷されたのちNo.11〜No.13ゾーンで冷却されて炉外に抽出される。
【0023】
なお、各ゾーンは、仕切壁2,3で区画されているため、隣接ゾーン間での雰囲気の混合が少なく、各ゾーンは独立した温度に保持される。
【0024】
前記第1の実施の形態では、平面ガラス基板Pを搬送方向と直角に垂直に起立させ、炉内雰囲気をバッフル7内で上方から下方に循環させる強制対流方式の場合を示したが、No.1、No.2、No.11〜No.13ゾーンを図5に、残りのゾーンを図6に示す構造として、炉内雰囲気をバッフル7内で横方向に循環させる強制対流方式としてもよい。この形式にあっては、図7に示すように、架台A上に平面ガラス基板Pを所定間隔で水平状に載置して焼成する場合にも適用することができ、この場合、架台Aの搬送はゾーン毎のタクト送りとし、平面ガラス基板Pの温度分布の悪化を防止する。
【0025】
また、300℃超の各ゾーンを図8に示すように、耐熱ガラス、インコネル、SUS309系、SUS310系等の耐熱性板を上下左右に配置して炉内マッフル(処理室)18を形成し、加熱手段10を炉内マッフル18の外方に配置して平面ガラス基板Pを輻射加熱するようにしてもよい。なお、この場合、クリーンエアーは炉内マッフル18内に直接供給され、排気されるものである。
【0026】
なお、前記説明では、300℃以下の装入側と抽出側ゾーンに耐熱フィルタ12を用いるようにしたが、抽出側ゾーンでは樹脂バインダからのパーティクルの発生がないため耐熱フィルタ12を必ずしも設ける必要はない。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の平面ガラス基板用連続焼成炉によれば、ゾーン内温度が300℃以下の装入側あるいは抽出側ゾーンのうち少なくとも樹脂バインダから多量にパーティクルが発生する装入側ゾーンに設けたバッフルへの循環雰囲気入口部に高価な耐熱フィルタを設け、他の特に、300℃超の高温ゾーンには耐熱フィルタを設けないため、それだけ従来のものより装置が安価である。
【0028】
また、前記循環雰囲気入口部に耐熱フィルタを設けると、流通抵抗が増加し循環ファン能力を増大する必要があるが、殆どのゾーンに耐熱フィルタを設けないため循環ファンも安価なものとなる。
【0029】
また、請求項2においては、平面ガラス基板を水平に保持し、各ゾーン毎にハースローラによるタクト送りとするため、平面ガラス基板の一部が隣接ゾーンに位置することがなく均熱化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる平面ガラス基板用連続式焼成炉の一部省略断面図。
【図2】 図1における各ゾーンの炉温と平面ガラス基板温度を示すグラフ。
【図3】 図1のNo.2ゾーンの断面図。
【図4】 図1のNo.3ゾーンの断面図。
【図5】 図3の他の形態を示す断面図。
【図6】 図4の他の形態を示す断面図。
【図7】 平面ガラス基板を水平送りする場合の図1におけるNo.2ゾーンの断面図。
【図8】 図4のその他の形態を示す断面図。
【符号の説明】
1〜炉壁、1a〜クリーンエアー供給管、1b〜炉内雰囲気排気管、2,3〜仕切壁、6〜ハースローラ、7〜バッフル、8〜多孔板、9〜雰囲気循環通路、10〜加熱手段、11〜循環ファン、12〜耐熱フィルタ、14〜給気ファン、15〜給気フィルタ、18〜炉内マッフル、A〜架台、P〜平面ガラス基板、T〜焼成炉。
Claims (3)
- 炉内壁表面に不銹金属材料を用いたエアタイト構造とするとともに、独立して温度制御可能な複数のゾーンから構成し、各ゾーンにそれぞれ給気量制御用ダンパを有するクリーンエアー供給管と排気量制御用ダンパを有する炉内雰囲気排気管を接続し、かつ、ゾーン内温度が300℃以下の装入側あるいは抽出側のゾーンのうち少なくとも装入側ゾーン内にそれぞれ雰囲気循環通路を形成するバッフルおよびこの雰囲気循環通路中に循環ファンと加熱手段を配設し、前記バッフル内への循環雰囲気入口部に耐熱フィルタを配置するとともに、平面ガラス基板をハースローラにより炉内搬送するようにしたことを特徴とする平面ガラス基板用連続式焼成炉。
- 前記平面ガラス基板を水平保持して基板を各ゾーン毎に前記ハースローラによるタクト送りとすることを特徴とする前記請求項1に記載の平面ガラス基板用連続式焼成炉。
- ゾーン内温度が300℃超の各ゾーン内に耐熱性板を上下左右に配置して処理室を形成し、この処理室内に平面ガラス基板を位置させ、処理室の外方に配設した加熱手段で平面ガラス基板を輻射加熱することを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の平面ガラス基板用連続式焼成炉。
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