JP4241950B2 - 横型熱処理炉及び熱処理方法 - Google Patents

横型熱処理炉及び熱処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維製シートに連続して熱処理を施す横型熱処理炉と熱処理方法とに関し、更に詳しくは、炭素繊維を製造する際の耐炎化処理において、炉内のガスが外部へと漏出するのを完全に防止した横型熱処理炉及び熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアクリロニトリル系合成繊維を原料として製造された炭素繊維は、その引張強度が500Kg/mm2 以上、伸度2%以上と極めて高性能なものとすることができるため、近年では、航空、宇宙用素材としての用途開発が活発に進められている。かかるアクリロニトリル系合成繊維を出発原料として炭素繊維を製造する際には、まずアクリロニトリル系合成繊維を200〜350℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理することが必要となる。この耐炎化処理の方法が例えば特開平2−139425号公報に開示されている。
【0003】
同公報に開示された熱処理方法によれば、酸化性雰囲気下にある熱処理炉内を多段に走行するアクリル系繊維からなる糸条に対して、その走行方向に対して直交する方向に熱風を流して耐炎化処理を施している。前記熱処理炉は少なくとも4つ以上のゾーンに分割され、各ゾーンでそれぞれに温度コントロールを行い、徐々に温度を上げると共に、前記熱風の風速を0.4m/s以上1.2m/s以下に設定することにより、走行糸条の切断といったトラブルを回避すると共に処理時間の短縮を図っている。
【0004】
ところで、この耐炎化処理での酸化反応によって熱処理炉内にはシアン化合物、アンモニア、及び一酸化炭素等の分解ガスが発生する。なお、前記熱処理炉内に糸を出入りさせる際には、当然に前記熱処理炉に糸の導出入口が設けられているために、この導出入口から前記熱処理炉内のガスが炉外に漏れ出さないよう、厳重なシール室が設けられている。
【0005】
そこで、特公平3−4832号公報及び特公平3−4833号公報には、処理室内のガスの漏出を防止する手段をもつ炭素繊維の横型熱処理炉が開示されている。上記各公報に開示された熱処理炉は、シート状に並べられた多数の繊維糸条が酸化性雰囲気下にある熱処理室内を多段に平行して走行し、その走行方向と平行して熱風を吹きつけて耐炎化処理を施している。前記熱処理室の対向する両壁面にはスリット状をなす前記糸条の導出入口が複数設けられており、その導出入口が形成された前記両壁面にそれぞれ隣接してシール室を設けて、前記熱処理室に形成された導出入口から直接、同処理室内のガスが外部へと漏出するのを防止している。
【0006】
特公平3−4832号公報に開示された熱処理炉にあっては、前記熱処理室内に2枚の仕切り板を水平方向に配して、前記熱処理室を上下3つに仕切ることにより、同熱処理室の上下での温度分布のバラツキをなくし、前記糸条に均一な熱処理を施すことができるものである。また、両側に形成された前記シール室にもそれぞれスリット状をなす糸条導出入口が複数設けられているが、両シール室には更にそれぞれ単一の排気口を設けて前記熱処理室から漏出した有毒ガスを積極的に排気しているため、前記糸条導出入口から有毒ガスが漏れ出すことはない。なお、前記排気口から排出されたガスは気体処理部において燃焼の処理がなされた後、外気へと放出される。
【0007】
更に、特公平3−4833号公報に開示された熱処理炉にあっては、両側の各シール室内にそれぞれ2枚の仕切り板を水平方向に配して、同シール室を上下3つに仕切っている。前記シール室は仕切られた各部位ごとにそれぞれ排気口を設けて熱処理室から漏出したガスを積極的に排気し、前記シール室に形成された糸条導出入口から外部へのガスの漏出を防止している。また、前記シール室に形成された各排気口は単一の排気ファンにより排気され、その気体は共通の気体処理部で燃焼処理がなされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公平3−4832号公報及び特公平3−4833号公報に開示された熱処理炉のように、糸条の走行方向と平行して熱風を吹きつけて耐炎化処理を施す場合に、前記熱風の流れ方向が糸条の導出入口に面しているため、熱処理室からシール室へ漏出するガスを含む気体の量が大きくなり、それに伴い前記シール室の排気口からの排気量も増加し、大量のガスを燃焼処理しなければならない。
【0009】
一方、前記特開平2−139425号公報に開示されたように、糸条の走行方向と直交して熱風を吹きつける場合には、熱処理室内の温度制御を確保した状態で炉内のガスの炉外への漏れ出しを防ぐために、大がかりな設備が必要となる。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決すべくなされたものであり、格別に大型の設備を必要とすることなく、熱処理室内で発生した有毒ガスの外気への漏出を完全に阻止すると共に、熱処理室内における所望の加熱温度を維持させることが容易であり、更には炉外への漏れ出す気体の量を低減させることができる横型熱処理炉及び熱処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
かかる課題を解決するために、本発明は、対向する両壁面の上下方向に多段のスリット状をなす繊維製シート用の第1導出入口を有し、前記繊維製シートが多段に平行して走行する熱処理室と、前記両壁面の外側にそれぞれ並設され、外側の壁面の前記第1導出入口に対応する壁面位置にそれぞれスリット状をなす前記繊維製シート用の第2導出入口を有するシール室とを備えた横型熱処理炉であって、前記熱処理室は前記繊維製シートの走行方向と概略直交して上方から熱風を吹き込む熱風導入部と、下方から同熱風を排出する熱風排出部とを有する熱風循環設備を備え、前記シール室は、上からx段目における前記熱処理室の前記第1導出入口近傍での内部圧力Ph,x と、同導出入口に対応する前記シール室の前記第2導出入口近傍での内部圧力Ps,x との大小関係が上下段において逆転する部位のみに配された仕切り板により区画され、区画された各シール室にそれぞれ1つの排気口が形成されてなり、各排気口は、それぞれ独立した排気機構及び排気調整機構を有していることを特徴とする横型熱処理炉を主要な構成としている。
【0012】
ここで、前記繊維製シートとは、多数の繊維糸条をシート状に配列したものや、繊維製織編物、不織布などをいう。また、排気調整機構としては、通常、シール室内の内部圧力と熱処理室の内部圧力とを比較して、排気ファンの回転数、すなわち排気量を調整するものであるが、これを自動化するため内部圧力の変化を検出する手段、同検出手段による検出信号により上記排気機構の排気量を調整する制御部を備えることもある。
【0013】
一般に、前記熱処理炉内の圧力と炉外の圧力との圧力差は、気体温度の違いにより生ずる前記熱処理炉内外の浮力差の影響で、炉の高さ方向に変化する。即ち、炉の上部では炉の内外における圧力差が大きく、炉の下部では内外の圧力差が小さくなる。
【0014】
そのため、従来のシール室をもたない熱処理炉にあっては、同熱処理炉の上部に形成された繊維製シートの導出入口からは炉内の熱風が外部へと漏出しやすく、一方、熱処理炉の下部に形成された繊維製シートの導出入口からは外気が熱処理炉内へ流入しやすい。しかしながら、上述の構成を備えた本発明の熱処理炉は、前記シール室を備えているため、シール室内の圧力を前記熱処理室の圧力より小さくすることができるので、前記熱処理室内の上下方向における圧力変動に伴う前記熱処理室への外気の流入を防ぐことができ、前記熱処理の温度変化を極めて小さくすることができる。
【0015】
更に、前記シール室は仕切り板により上下で区画されており、区画された各シール室に1つの排気口を設けると共に、各排気口が独立した排気機構及び排気調整機構を備えているため、各シール室において独立して排気量を設定でき、各シール室の圧力がそれぞれに適宜調整される。そのため、熱処理室内とシール室内の圧力差を個別に制御でき、前述のような熱処理室の内外での浮力差の影響による同熱処理室への外気の流入や、同熱処理室からの熱風の過度の流出を制御することができ、従来にない温度の均一性に優れた熱処理炉とすることに成功したのである。
【0016】
なお、一般に前記排気口からの排気量を多くすれば、熱処理室内のガスの外への漏出を防ぐことが可能であるが、それにより熱処理室内からの熱量の流出も増加し、熱処理室内の温度低下を招きやすく、その温度制御上、好ましくない。また、燃焼処理がなされる流出気体の量も増加することになる。
【0017】
そこで、前記シール室は、上からx段目における前記熱処理室の前記第1導出入口近傍での内部圧力Ph,x と、同導出入口に対応する前記シール室の前記第2導出入口近傍での内部圧力Ps,x との大小関係が上下段において逆転する部位で前記仕切り板により区画されることが好ましい。更に、前記熱処理室の内部圧力Ph,x と前記シール室の内部圧力Ps,x との圧力関係がPh,x <Ps,x にあるシール室にあって、前記排気口の排気量が、前記圧力関係Ph,x <Ps,x を維持するように調整されることが好ましい。
【0018】
その場合に、その前記内部圧力Ps,x が前記熱処理室の内部圧力Ph,x よりも高くなるシール室においては、前記熱処理室への第1導出入口から同熱処理室内の気体が漏出することはないため、同シール室に設けられた排気口からの気体には有毒ガスが含有されておらず、このシール室に形成された排気口からの気体は無害化処理が不要となり、直接大気へと放出することが可能となる。そのため、無害化処理を施すの気体の量が著しく低減される。
【0019】
シール室内の内部圧力Ps,x が前記熱処理室の内部圧力Ph,x よりも低くなるシール室においては、前記熱処理室の第1導出入口から同熱処理室内の気体が漏出するため、このシール室に形成された排気口から排気される気体は熱処理室内のガスを含んでいる。そのため同気体は燃焼処理を行う必要があり、この無害化処理方法としては、灯油と共に燃焼処理するなどの公知の方法が適用される。
【0020】
なお、シール室が上下2つに区画されている場合の上部シール室及び下部シール室の各排気口からの排気量Qu ,Ql は以下の式によって計算され、その排気量が制御される。
熱処理室において繊維製シートが1,2,…,x,…,n段を平行して走行する場合に、前記熱処理室の第1導出入口の近傍における内部圧力Ph,x とシール室の第2導出入口の近傍における内部圧力Ps,x とは、気体の浮力差により次のように表される。
【0021】
【化1】
Figure 0004241950
【0022】
【化2】
Figure 0004241950
【0023】
【化3】
Figure 0004241950
【0024】
このとき、前記熱処理室の内部圧力Ph,x と前記シール室の内部圧力Ps,x の大小がa段目とa+1段目との間において逆転するとして、そのa段目とa+1段目との間に仕切り板を配し、同仕切り板の上方の上部シール室に形成された排気口からの排気量Qu と下部シール室に形成された排気口からの排気量Ql とは下式で表される。
【0025】
【化4】
Figure 0004241950
【0026】
【化5】
Figure 0004241950
【0027】
ただし、
α :繊維製シート導出入口での流量係数 0.6〜0.9
A :繊維製シート導出入口の断面積 m2
n :総段数
a :2以上(n−1)以下の整数で、Ph,a >Ps,a 且つ
h,a+1 <Ps,a+1 を満たす段
h :熱処理室温度 ℃
s :シール室上部温度 ℃
r :大気温度 ℃
h,x :熱処理室内におけるx段目の導出入口近傍における内部圧力 mmH2O
s,x :シール室内におけるx段目の導出入口近傍における内部圧力 mmH2O
u :上部側の排気口からの排気量 Nm3/hr
l :下部側の排気口からの排気量 Nm3/hr
L :段間隔 m
γh ,γr :温度Th 及びTr の空気の単位体積質量 kg/m3
である。
【0028】
なお、上記式を用いて排気量Qu ,Ql を計算により求める場合に、シール室内の1段目の第2導出入口における内部圧力Ps,1 を設定する必要があるが、前記Ps,1 はシール室内の気体が1段目の繊維製シート導出入口から外部へと漏れ出すのを防ぐために、少なくとも外気に対して負圧にしなければならない。しかし、前記内部圧力Ps,1 は負圧にする程、前記上部側の排気口から排出される気体の量が多量となるため、前記内部圧力Ps,1 は−0.01〜−0.3 mmH2O の範囲に設定するのが好ましい。
【0029】
また上記式に数値を代入して計算値を求めるにあたって、実際には熱処理室内の1段目の第1導出入口における内部圧力Ph,1 を複数の数値に設定し、それらをパラメータとして試行錯誤してシール室における仕切り板の設置部位を決める。
【0030】
更に、本発明は、炭素繊維の原料であるプレカーサを上述した横型熱処理炉をもって熱処理することを特徴とする炭素繊維の熱処理方法を他の主要な構成としている。また、同処理方法においては、各排気口から前記排気機構により排気された気体を、それぞれ独立した気体処理部で処理することが望ましい。なお、この気体処理部では、気体に燃焼処理が施され、外気へと放出される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の代表的な実施の形態である炭素繊維製造用の横型熱処理炉の概略図であり、図2は同熱処理炉における熱風循環設備の概略図である。なお、これらの図面において矢印は熱風の流れを示している。
【0032】
本実施の形態による横型熱処理炉1の熱処理室2には、図1における左右の対向する両壁面2a,2bにそれぞれ、上下方向に3段のスリット状をなす繊維製シートの第1導出入口3-1,3-2,3-3が形成されている。この熱処理室2の前記左右壁面2a,2bにシール室4,4が並設されており、同シール室4の外側壁面4a,4bにも前記熱処理室2と同様に、上下方向に3段のスリット状をなす繊維製シートの第2導出入口5-1,5-2,5-3が形成されている。
【0033】
なお、前記熱処理室2及びシール室4にそれぞれ形成された第1及び第2導出入口3,5の上下の開口寸法は、前記繊維製シートが同導出入口3,5に接触することなく通過できる範囲で可能なかぎり狭い方が好ましく、この点から前記導出入口は開口寸法が上下方向に調節可能なスリットとすることが好ましい。
【0034】
更に、前記左右のシール室4,4の外側にはそれぞれ段違いにローラ6,6が配置されている。前記熱処理炉1において熱処理される繊維製シートAは、図2に示すように多数本の糸条がシート状に水平方向に配列されたものであり、前記左側のシール室4の最上部に形成された繊維導出入口5-1から前記処理炉1に導入される。この繊維製シートAは前記ローラ6に巻回しながら前記シール室4及び熱処理室3内を3段で平行して連続走行し、前記右側のシール室4の最下部に形成された繊維導出入口5-3から前記処理炉1の外部に導出される。
【0035】
前記熱処理室2は、上部に同処理室2の下方へ向けて熱風を吹き込む熱風導入部2cを有すると共に、同熱処理室2の下部には前記熱風を排出する熱風排出部2dを備えており、前記繊維製シートAの走行方向とは直交する方向に熱風を送り込んでいる。この熱風循環設備は更に、図2に示すように、熱処理室2の外部に設置された熱風加熱器10、ファン11、及び熱風排出部2dと熱風導入部2cとの間を接続するダクト12とを備えている。なお、前記熱処理室4内にも吸気口13と排気口14とを設けて、同熱処理室4の内部の気体を浄化している。
【0036】
前記熱処理室2に形成された第1導出入口3-1,3-2,3-3の近傍における同熱処理室2の内部圧力Ph,1 ,Ph,2 ,Ph,3 と、前記シール室4に形成された第2導出入口5-1,5-2,5-3の近傍における同シール室4の内部圧力Ps,1 ,Ps,2 ,Ps,3 とを比較すると、1段目及び2段目ではPh >Ps と前記熱処理室2の内部圧力の方が高くなるが、3段目ではPh <Ps と前記シール室4の内部圧力の方が高くなり、3段目において前記熱処理室2とシール室4とで内部圧力の大小関係が逆転する。
【0037】
左右の前記シール室4は、同シール室4の内部圧力Ps と前記熱処理室2の内部圧力Ph との大小関係が逆転する2段目と3段目との間を仕切り板7で水平方向に仕切られ、前記シール室4が上下に区画されている。この区画された上部及び下部シール室4にはそれぞれ排気口8a,8bが形成されている。この上下の排気口8a,8bは、前記熱処理炉1の外部に配されたそれぞれ独立した排気ファン9a,9bにより強制的に排気がなされる。
【0038】
なお、上述した実施の形態では説明を簡略化するために、前記繊維製シートAを3段で走行させているが、実際の熱処理炉にあっては熱処理効率を高めるためにも、通常は前記繊維製シートを数段〜数十段で走行させている
【0039】
以下、繊維製シートが5段で走行する熱処理炉を使用して熱処理を施す方法について、実施例及び比較例を参照して説明する。
【0040】
〔実施例〕
熱処理炉は段間隔、即ち繊維製シートの導出入口間の距離が200mmに設定されており、同スリット状導出入口はスリット幅が400mm、スリット高さが15mm、流量係数αが0.9である。また、前記熱処理炉の熱処理室内温度は240℃、シール室上部温度は100℃に設定されており、熱処理炉外温度は20℃であった。更に、シール室の1段目における内部圧力Ps,1 を−0.05mmH2O に設定するとき、上記計算式に各数値を代入して熱処理室の内部圧力Ph とシール室の内部圧力Ps とについて求めたところ、その大小関係は、1段目〜3段目ではPh >Ps と前記熱処理室の内部圧力の方が高くなるが、4及び5段目ではPh <Ps と前記シール室の内部圧力の方が高くなり、3段目と4段目との間で前記熱処理室とシール室とで内部圧力の大小関係が逆転する。そこで仕切り板を3段目と4段目との間に配設し、シール室を上部と下部とに2分割した。
【0041】
また、上部シール室及び下部シール室に形成された各排気口からの排気量Qu ,Ql について上記計算式から求めたところ、上部側の排気口からの排気量Qu は129 Nm3/hr 、下部側の排気口からの排気量Ql は13 Nm3/hr となった。上部側及び下部側の各排気口からの排気量Qu ,Ql が上記数値となるように排気ファンの回転数を調整して、アクリロニトリル系合成繊維に240℃で耐炎化処理を施した。
【0042】
その結果、シール室に形成された繊維製シートの第2導出入口から外部へと炉内ガスが漏れ出すことはなかった。また、下部側の排気口からの排気ガスについてシアン検知器によりシアンガス濃度を測定したが、シアンガスは検出されなかった。
【0043】
〔比較例〕
上記実施例の熱処理炉におけるシール室から仕切り板を取り除いて、上記実施例と同様にアクリロニトリル系合成繊維に240℃で耐炎化処理を施したところ、下部側の排気口からの排気ガスは有毒なシアンガスが検出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施の態様である炭素繊維製造用の熱処理炉の構 造を示す概略図である。
【図2】 上記熱処理炉における熱風循環設備の概略図である。
【符号の説明】
1 熱処理炉
2 熱処理室
2a,2b 壁面
2c 熱風導入部
2d 熱風排出部
3 繊維製シート導出入口
4 シール室
5 繊維製シート導出入口
6 ローラ
7 仕切り板
8a,8b 排気口
9a,9b 排気ファン
10 熱風加熱器
11 ファン
12 ダクト
13 吸気口
14 排気口
A 繊維製シート

Claims (4)

  1. 対向する両壁面の上下方向に多段のスリット状をなす繊維製シート用の第1導出入口を有し、前記繊維製シートが多段に平行して走行する熱処理室と、前記両壁面の外側にそれぞれ並設され、外側の壁面の前記第1導出入口に対応する壁面位置にそれぞれスリット状をなす前記繊維製シート用の第2導出入口を有するシール室とを備えた横型熱処理炉であって、
    前記熱処理室は前記繊維製シートの走行方向と概略直交して上方から熱風を吹き込む熱風導入部と、下方から同熱風を排出する熱風排出部とを有する熱風循環設備を備え、
    前記シール室は、上からx段目における前記熱処理室の前記第1導出入口近傍での内部圧力Ph,x と、同導出入口に対応する前記シール室の前記第2導出入口近傍での内部圧力Ps,x との大小関係が上下段において逆転する部位のみに配された仕切り板により区画され、区画された各シール室にそれぞれ1つの排気口が形成されてなり、
    各排気口は、それぞれ独立した排気機構及び排気調整機構を有してなる、
    ことを特徴とする横型熱処理炉。
  2. 前記熱処理室の内部圧力Ph,x と前記シール室の内部圧力Ps,x との圧力関係がPh,x <Ps,x にあるシール室にあって、前記排気口の排気量が、前記圧力関係Ph,x <Ps,x を維持するように調整されてなる請求項1記載の横型熱処理炉。
  3. 炭素繊維の原料であるプレカーサを請求項1又は2に記載の横型熱処理炉をもって熱処理することを特徴とする炭素繊維の熱処理方法。
  4. 各排気口から前記排気機構により排気された気体を、それぞれ独立した気体処理部で処理する請求項3記載の熱処理方法。
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