JP2001288623A - 熱風循環型対流加熱炉及び耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

熱風循環型対流加熱炉及び耐炎化繊維の製造方法

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JP2001288623A
JP2001288623A JP2000101386A JP2000101386A JP2001288623A JP 2001288623 A JP2001288623 A JP 2001288623A JP 2000101386 A JP2000101386 A JP 2000101386A JP 2000101386 A JP2000101386 A JP 2000101386A JP 2001288623 A JP2001288623 A JP 2001288623A
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hot
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circulating
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Toshihiko Nishida
俊彦 西田
Hiroshi Inagaki
▲博▼司 稲垣
Nobuyuki Yamamoto
伸之 山本
Yasushi Oda
泰史 小田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱処理室内の雰囲気が均一であり処理斑がな
く、得られる連続繊維束の物性の均質化を図ると同時に
生産効率を向上させ、且つ安定運転が可能な熱風循環型
対流加熱炉と、同炉を用いた耐炎化繊維の製造方法とを
提供する。 【解決手段】熱風を循環させて連続繊維束(F) を加熱す
る熱風循環型対流加熱炉(1) は、走行する連続繊維束
(F) を加熱して化学反応を行わしめる加熱処理室(3) を
備え、同処理室(3) の外部には、同処理室(3) に形成さ
れた熱風送給口(3a)と熱風排出口(3b)とを連結するダク
ト室(4) が配されている。前記ダクト室(4) には熱風の
循環方向に沿って、前記熱風の加熱源(5) 、前記熱風を
攪拌するための熱風攪拌装置(7) 、前記を循環させるた
めの循環ファン(6) が順に配されている。なお、前記熱
風攪拌装置(7) を通過する際の圧力損失は3Pa以上とな
るように設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続繊維束の加熱
処理炉、特に炭素繊維の製造工程における加熱炉として
の使用に適した熱風循環型対流加熱炉と、同加熱炉を使
用した耐炎化繊維の製造方法とに関するものである。更
に詳しくは、連続繊維束の加熱処理室内の雰囲気を均一
にし、加熱処理工程での処理斑を無くすことによって、
加熱処理された繊維束の物性の均質化を図ると共に、安
定した運転を可能にし生産効率を向上することのできる
熱風循環型対流加熱炉と、同加熱炉を使用した耐炎化繊
維の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は他の繊維と比較して優れた比
強度、比弾性率を有し、また、金属と比較しても優れた
比抵抗や高い耐薬品性を備えているなど、多くの優れた
特性を有している。そしてその優れた各種特性を利用し
て、樹脂との複合材料用の補強繊維やその他の工業用途
に、またスポーツ、更には航空宇宙分野にと、幅広く利
用されている。
【0003】一般に、ポリアクリロニトリル系の炭素繊
維は、酸化性雰囲気中にて200℃以上で加熱して耐炎
化処理した後、不活性雰囲気中にて300℃以上で加熱
して炭素化処理することにより得られる。
【0004】耐炎化工程では、通常、熱風循環型の対流
加熱炉が用いられている。この熱風循環型の対流加熱炉
では、加熱処理室内に多数の繊維束をシート状に引き揃
えて走行させ、そのシート状に並列された多数の繊維束
をロールに掛け回して走行方向を逆方向に変更し、多段
に走行させている。この走行する連続繊維束に200℃
以上の熱風を吹き付けて加熱することにより、前記繊維
束を所望の耐炎化密度になるまで化学反応させる。
【0005】この耐炎化工程には長時間を要するため、
この耐炎化工程での生産性が、炭素繊維の全製造工程で
の生産性に多大な影響を及ぼす。そのため、この耐炎化
工程での生産性を向上させるための提案が従来から多数
なされている。
【0006】例えば、特開平2−154013号公報に
開示されている耐炎化繊維の製造方法によれば、酸素を
20 vol%以上と通常よりも多く含有する200〜30
0℃に加熱された酸化性雰囲気中でアクリロニトリル繊
維を熱処理している。このように酸素を多く含有させる
ことにより、耐炎化処理の時間を短縮しても、繊維内部
まで酸素が拡散し、繊維の径方向に均一な耐炎化繊維を
製造することができる。
【0007】或いは、一定幅の加熱炉への繊維の投入量
を多くする、即ち、シート状に引き揃えられた各繊維束
の間隔を狭くして、より多くの繊維束を加熱炉へと投入
することも提案されている。
【0008】上記公報の製造方法では、熱風循環型の対
流加熱炉にあって、加熱処理室内の雰囲気、例えばガス
分布、温度分布、風速などが均一な場合に、上述したよ
うな作用効果を享受できるものである。しかしながら、
上記公報では加熱処理室内の雰囲気を均一化することに
ついては全く着目されていない。
【0009】上記公報に開示された耐炎化繊維の製造方
法や、上述した繊維の投入量を増やすといった提案は、
いづれも耐炎化工程での処理量を増大させることによる
同工程での生産性の向上を狙ったものである。
【0010】また、例えば特公昭60−30762号公
報に開示されている炭素繊維製造用熱風式加熱炉では、
加熱処理室内の熱風を整流するため、熱風吹出面に対し
て熱風の方向変換用案内羽を配すると共に、同案内羽の
一方又は双方に開孔率30〜50%の整流用多孔板又は
金網を配している。しかしながら、同公報に開示されて
いる加熱炉は加熱処理室内の風速斑のみが改善されるに
すぎず、処理室内の他の雰囲気条件、例えば温度斑への
対策は何ら講じられていない。
【0011】ここで、繊維の耐炎化反応とは緊張下にお
ける発熱反応であり、過昇温、除熱不良によるスモーク
の発生や、過大な張力による繊維切れなどのトラブルを
起こすことが知られている。このような耐炎化工程での
生産性を向上させるためには、上述のトラブル発生を抑
え、且つ適正な張力下でスモーク発生の限界温度に近い
可及的高温で耐炎化工程を通過させることが必要であ
る。
【0012】加熱処理温度をスモーク発生の限界温度に
近付けるためには、加熱処理室内の例えば温度分布やガ
ス濃度分布などの各種雰囲気条件を均一に維持すること
が必須条件であり、それら雰囲気条件の斑をなくし、理
想的にコントロールされた均一な雰囲気下で耐炎化処理
を施すことによって、耐炎化工程での生産性を向上させ
つつ均質な耐炎化繊維を得ることが可能になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、炭
素繊維製造工程中の耐炎化工程での生産性を向上させる
べく、対流加熱型熱風循環炉の加熱処理室内の雰囲気、
特に温度分布及びガス濃度分布を均一にし、耐炎化工程
での処理斑を無くすことによって、得られる連続繊維束
の物性の均質化を図ると同時に生産効率を向上させるこ
とができ、且つ安定運転が可能である熱風循環型対流加
熱炉と、同炉を用いた耐炎化繊維の製造方法とを提供す
ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本件請求項1に係る発明は、走行する連続繊維
束を加熱して化学反応を行わしめる加熱処理室と、同加
熱処理室の外部に配され、同加熱処理室に形成された熱
風送給口と熱風排出口とを連結するダクト室とを備え、
同ダクト室に熱風を循環させる循環ファン及び前記熱風
の温度制御部が配されてなる、熱風を循環させて連続繊
維束を加熱する熱風循環型対流加熱炉であって、前記ダ
クト室には、更に前記熱風を攪拌するための熱風攪拌装
置が配されてなることを特徴としている。
【0015】本発明において加熱処理室とは、シート状
に引き揃えられた多数の連続繊維束が走行し、且つ同繊
維束が加熱処理される仕切られた空間であり、温度制御
部とは、電気、直炎、その他の熱源によって炉内の空気
を加熱、冷却して所要の温度に調整する機能を備えたも
のである。
【0016】本発明の熱風循環型対流加熱炉にあって
は、加熱処理室の前記熱風送給口と熱風排出口とを連結
するダクト室に、前記熱風排出口から引き込まれた熱風
は、前記温度制御部によって加熱・冷却されて再び所望
の温度に調整されると共に、前記循環ファンによって前
記熱風送給口から再び加熱処理室へと吹出す。このと
き、本発明にあっては、前記ダクト室内に熱風攪拌装置
が配されているため、熱風は攪拌されて温度及びガス濃
度が均一化されてから前記加熱処理室へと吹出す。その
ため、前記加熱処理室内の温度分布及びガス濃度分布が
均一となり、加熱処理温度をスモーク発生の限界温度に
近付けることができるため、繊維束を高効率で加熱処理
すつことができ、生産効率が向上する。また、加熱処理
室内の温度分布及びガス濃度分布が均一であるため、同
処理室内に導入された複数の繊維束は互いに均一な耐炎
化がなされると共に、各繊維束においても長さ方向及び
径方向に均質な物性が得られる。 また、加熱処理室内
では局部的に温度やガス濃度が高い領域も存在しないた
め、繊維が過加熱されることもなく、過加熱によるスモ
ークや繊維切れも発生せず、安定した工程通過性が得ら
れるため、生産効率を向上させることができる。
【0017】なお、このように対流加熱炉の本来有する
能力を最大限に引き出して生産性の向上を図ろうとする
本発明は、上述した従来技術にも適用可能となることは
必定である。
【0018】本件請求項2に係る発明は、前記熱風攪拌
装置がスタティックミキサーであることを特徴とする。
前記スタティックミキサーは、静止型の攪拌装置であっ
てしかも外部からの動力を必要とせず、シール部も必要
ないため、好適である。
【0019】本件請求項3に係る発明によれば、前記熱
風攪拌装置は前記熱風排出口から前記循環ファンまでの
間に配置されている。前記加熱処理室の熱風排出口から
ダクト室へと引き込まれた熱風は、上述したように攪拌
装置によって温度分布とガス濃度分布が均一になるよう
に攪拌されるが、この攪拌装置を循環ファンの上流に配
することにより、熱風は攪拌後、速やかに循環ファンに
よって熱風送給口から加熱処理室へと吹き出される。そ
のため、熱風が攪拌後にダクト室に留まる時間が短く、
ダクト室内での滞留により温度分布及びガス濃度分布に
斑が生じることがない。
【0020】本件請求項4に係る発明は、上述した本件
請求項1〜3のいずれかに係る発明による熱風循環型対
流加熱炉を用いて、連続繊維束を加熱して耐炎化処理を
施すことを特徴とする耐炎化繊維の製造方法を主要な構
成としている。
【0021】上述したように、加熱処理室内の雰囲気、
特に温度分布とガス濃度分布とが均一である本発明の熱
風循環型対流加熱炉を用いることにより、処理室内を走
行する繊維束には均一な温度及びガス濃度で加熱処理が
なされる。従って、複数の繊維束は互いに均質なものと
なり、また各繊維束においても長さ方向及び径方向のい
ずれも均質なものとなる。また、処理室内には局部的に
温度が高かったりガス濃度の高い領域は存在しないた
め、過加熱や過剰な酸化反応により繊維切れを生じるこ
ともなく、安定した工程通過性が確保される。
【0022】本件請求項5に係る発明では、熱風が前記
熱風攪拌装置を通過する際の圧力損失を3Pa以上に設
定してなることを特徴とする。前記熱風攪拌装置を通過
する際の圧力損失が3Paより小さいと、攪拌効果が小
さく前記熱風攪拌装置を配することによる温度分布やガ
ス濃度分布の斑の改善が不充分となり、上述したような
著しいメリットは期待できない。なお、前記圧力損失は
4Pa以上、200Paであることがより好ましい。
【0023】また、本件請求項6に係る発明は、前記連
続繊維束はポリアクリルニトリル系繊維束であることを
特徴としている。上述した本発明による熱風循環型対流
加熱炉は、特にアクリロニトリル繊維の耐炎化処理に使
用することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
して具体的に説明する。図1は、本発明の好適な実施形
態による熱風循環型対流加熱炉1の内部を繊維束の走行
方向に直交する方向からみた概略図である。
【0025】前記熱風循環型対流加熱炉1は、耐炎化工
程に用いる場合、200℃以上の酸化性雰囲気に保たれ
た熱風を循環させて、その熱風により繊維束を加熱す
る。同加熱炉1は断面が矩形状をなす密閉箱体からなる
炉本体2を備え、同炉本体2の内部には走行する繊維束
Fに化学反応を行わしめる加熱処理室3が、その一側面
を炉本体2の一側面で構成する位置に形成されている。
前記加熱処理室3の外部には、同処理室3の上下と他の
側面とを囲む部分にダクト室4が形成されている。
【0026】前記加熱処理室3内では多数本の繊維束F
を等間隔でシート状に引き揃えて配列し、このシート状
の繊維束Fを前記加熱炉1外の前後に複数段で配された
ローラに掛け回して走行方向を逆方向に変更しながら、
本実施例では六段に並べて走行させている。前記加熱処
理室3の繊維束の走行方向に沿った相対する側壁部に
は、上下方向に六段のスリット状開口が形成されてお
り、この開口が前記加熱処理室3への繊維束Fの出入口
である。
【0027】前記加熱処理室3の上部には同処理室3の
下方へ向けて熱風が吹出す熱風送給口3aが形成されて
いると共に、同処理室3の下部には前記熱風を同処理室
3から排出する熱風排出口3bが形成されている。従っ
て、前記処理室3内では熱風は矢印で示すように繊維束
Fに対して走行方向と直交する方向から吹きつけられ
る。
【0028】前記ダクト室4は前記加熱処理室3の熱風
排出口3bと熱風送給口3aとを連結しており、前記ダ
クト室4には前記熱風排出口3bの近傍に炉内気体の排
気口4aが形成され、更にその排気口4aの下流側には
炉内への空気の給気口4bが形成されている。
【0029】炭素繊維製造用の耐炎化炉として用いる場
合には、繊維の耐炎化反応は激しい発熱反応であるた
め、循環する熱風の過昇温を防止すべく、前記給気口4
bから外気を導入している。また、耐炎化反応では有害
で有毒なガスが発生するため、炉内での有害で有毒なガ
スの濃度を一定値以下に保つために、前記排気口4aか
ら炉内の気体を排出している。なお、この排出された炉
内気体は、有害で有毒なガスを無害化する手段を経て外
気へと排出される。
【0030】前記ダクト室4内には循環する熱風の流れ
に沿って、熱風を加熱するための加熱源5と、熱風を循
環させるための循環ファン6とが順に配置されている。
なお、一般に熱風循環型対流加熱炉は多数のチャンバー
を接続して構成されており、一つのチャンバーには一個
又は複数個の加熱源、並びに一個又は複数個の循環ファ
ンを有している。図1に示す実施例にあっては、加熱源
により加熱された熱風が、一個の循環ファンによって加
熱処理室3の上部にある熱風送給口3aから同処理室3
内へと吹き出している。
【0031】加熱処理室3の熱風排出口3bから排出さ
れた熱風は、その一部が前記炉本体2に形成された排気
口4aから炉外に排気されるが、殆どの熱風は前記給気
口4bからダクト室4へと供給された清浄な空気ととも
に前記加熱源5を通過して加熱され、前記循環ファン6
によって再度、加熱処理室3へと導入される。
【0032】このとき、上述したように、前記処理室3
からダクト室4へと排出された循環熱風は、加熱源5に
より所定の温度に加熱される前に、同加熱源5の上流側
で清浄な空気と混合されているため、ガス濃度分布及び
温度分布に大きな斑が生じている。このガス濃度分布及
び温度分布が不均一な熱風は、加熱源5自体によって多
少の攪拌作用を受けるが、依然としてガス濃度分布及び
温度分布は不均一である。
【0033】ここで、前記熱風循環型対流加熱炉は前記
ダクト室4内の前記加熱源5と循環ファン6との間に熱
風攪拌装置7が配設されている。このように、加熱源5
と循環ファン6との間に熱風攪拌装置7を設置すること
により、熱風は十分に攪拌され、ガス濃度分布及び温度
分布に斑のない均一な状態で循環ファン6へと送られ、
加熱処理室3へと導入される。
【0034】図2には、前記熱風攪拌装置7として好適
に用いられるスタティックミキサーの概略を示してい
る。このスタティックミキサー7は耐熱性、耐腐食性が
考慮したのであれば、市販のものでも充分、使用に耐え
得るものである。
【0035】通常、スタティックミキサー7は流体の流
れに沿って、熱風の流路にエレメントが多段に配列され
ている。前後に隣り合うエレメント7aとエレメント7
bとは一定の角度で交差するように配列され、流体を分
割、移動、再合流させる作用によって混合し、均質化す
るものである。
【0036】この流体の混合、均質化のためのエネルギ
ーは、スタティックミキサー7を通過する際の流体の圧
力損失によって得られることは公知である。従ってエレ
メント7a,7bの形状、材質、数量は、対象となる熱
風循環型対流加熱炉1の形式や攪拌効果を前提として、 1)流体の物性 2)流体の速度 3)ミキサー挿入部の流路形状 4)ファン能力 等を考慮し、所望の圧力損失となるように適宜決定すれ
ばよい。
【0037】本発明にあっては、前記スタティックミキ
サー7は、同ミキサー7を通過する際の圧力損失が3P
a以上となるように設定されている。更に前記圧力損失
は4Pa以上、200Pa以下となるように設定するこ
とが望ましい。
【0038】このように、本発明では前記循環ファン6
の手前に熱風攪拌装置7を配して温度分布斑を無くすこ
とにより、加熱処理室3へと供給される循環熱風は処理
室3の全域にわたり均一な温度分布となるため、加熱処
理室3の全域にわたって繊維束Fを走行させることがで
き、スペースの有効利用が可能になる。また、多数本の
連続繊維束Fは互いに均質に耐炎化がなされると共に、
各繊維束にあっても長さ方向及び径方向のいずれにも均
質なものとなり、耐炎化工程、ひいては炭素繊維製造工
程の工程歩留まり並びに生産性の向上効果を享受でき
る。
【0039】更に、前記熱風攪拌装置7を配することに
より、加熱処理室3内でのガス濃度分布も均一になるた
め、加熱処理室3及びダクト室4内のガス滞留部を極小
化でき、優れた工程安定性を示すとともに、安全な運転
状態を維持することが可能となる。
【0040】また、加熱処理室3内での温度分布及びガ
ス濃度分布を均一にすることができるため、加熱処理温
度をスモーク発生の限界温度まで近付けることができ、
製造効率が著しく向上する。
【0041】なお、上述した実施形態では、加熱処理室
内での熱風の流れ方向が、シート状に走行する連続繊維
束に対して直交方向となっているが、熱風の流れ方向を
繊維束と並行であってもよい。また、前記加熱処理室内
で繊維束を水平方向に走行させているが、これに限定さ
れるものではなく、繊維束を鉛直方向に走行させること
もできる。
【0042】以下、本発明の具体的な実施例について、
比較例を挙げて説明する。実施例及び比較例では、連続
繊維束としてアクリロニトリル96モル%以上を含有す
るポリアクリロニトリル系繊維束を使用した。
【0043】熱風攪拌装置としては住友/スルーザ社製
SMV型ミキサーを採用し、4エレメントを用いた。こ
のスタティックミキサーでの圧力損失として、同ミキサ
ーの前後に取り付けた圧力計により静風圧を測定し、攪
拌効果を確認した。
【0044】また、以下の条件については一定とした。 流体の性状:250℃の乾燥空気 スタティックミキサー形状:直径1000mmφ 流体の流路内形状:スタティックミキサーと同寸法 スタティックミキサー入り側の温度分布斑:±6℃ (実施例1)スタティックミキサーの前後での圧力損失
が7Paを示した際、ミキサー出側の分布温度斑は±2
℃以内と斑が小さかった。また、シート状に走行する各
連続繊維束は、互いに耐炎化密度の差は殆ど無かった。 (比較例1)スタティックミキサーの前後での圧力損失
が1Paを示した際、ミキサー出側の温度分布斑は±5
℃以内と斑があった。このときのシート状に走行する各
連続繊維束の耐炎化密度は、加熱処理室のダクト室に近
い領域で高くなる傾向を示し、各連続繊維束において耐
炎化密度の差が生じていた。
【0045】以上、説明したように、本発明の熱風循環
型対流加熱炉によれば、処理室内の温度分布及びガス濃
度分布等の雰囲気が均一になり、耐炎化工程での処理斑
を無くすることが可能になった。
【0046】また、本発明の耐炎化繊維の製造方法によ
って得られた繊維束は、物性が均質化しており、工程安
定性を損なうことなく炭素繊維製造工程中の耐炎化工程
の生産性向上を図ることができ、性能、外観に優れた耐
炎化繊維並びに炭素繊維を低コストで得ることが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における好適な実施形態による熱風循環
型対流加熱炉の内部を、繊維束の走行方向に直交する方
向からみた概略図である。
【図2】上記加熱炉に使用されている熱風攪拌装置の概
略図である。
【符号の説明】
1 対流加熱型熱風循環炉 2 炉本体 3 加熱処理室 3a 熱風送給口 3b 熱風排出口 4 ダクト室 4b 給気口 4a 排気口 5 加熱源 6 循環ファン 7 熱風攪拌装置 7a,7b エレメント F 繊維束
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 伸之 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 小田 泰史 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 4L037 CS02 CS03 CT10 CT11 CT25 PA53 PS20 4L045 BA03 CA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行する連続繊維束を加熱して化学反応
    を行わしめる加熱処理室と、同加熱処理室の外部に配さ
    れ、同加熱処理室に形成された熱風送給口と熱風排出口
    とを連結するダクト室とを備え、同ダクト室に熱風を循
    環させる循環ファン及び前記熱風の温度制御部が配され
    てなる、熱風を循環させて連続繊維束を加熱する熱風循
    環型対流加熱炉であって、 前記ダクト室には、更に前記熱風を攪拌するための熱風
    攪拌装置が配されてなることを特徴とする熱風循環型対
    流加熱炉。
  2. 【請求項2】 前記熱風攪拌装置がスタティックミキサ
    ーであることを特徴とする請求項1記載の熱風循環型対
    流加熱炉。
  3. 【請求項3】 前記熱風攪拌装置は前記熱風排出口から
    前記循環ファンまでの間に配置されていることを特徴と
    する請求項1又は2記載の熱風循環型対流加熱炉。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の熱風循
    環型対流加熱炉を用いて、連続繊維束を加熱して耐炎化
    処理を施すことを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱風が前記熱風攪拌装置を通過する際の
    圧力損失を3Pa以上に設定してなることを特徴とする
    請求項4記載の耐炎化繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記連続繊維束はポリアクリルニトリル
    系繊維束であることを特徴とする請求項4又は5記載の
    耐炎化繊維の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1301349C (zh) * 2002-08-12 2007-02-21 三菱丽阳株式会社 丙烯腈系纤维的热处理方法
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