JP5037978B2 - 耐炎化炉及び耐炎化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、前駆体繊維束に耐炎化処理を施すための耐炎化炉及び耐炎化処理方法に関する。
炭素繊維、特にポリアクリロニトリル系炭素繊維は、その引張強度が500kg/mm以上、伸度2%以上と極めて高い強度を有するため、航空や宇宙用素材を始めとして、多方面で使用されている。
炭素繊維は、例えばポリアクリロニトリル系繊維等の前駆体繊維束(プリカーサ)を、耐炎化炉内を循環する200〜350℃程度の比較的低温の酸化性雰囲気の熱風(以下、単に熱風と略する。)によって焼成(耐炎化処理)して耐炎化繊維束とし、得られた耐炎化繊維束を1,000℃程度以上の高温の不活性雰囲気中で焼成(炭素化処理)することで製造されている。
耐炎化炉に送入された前駆体繊維束は、その熱処理室内を流れる熱風によって徐々に耐炎化処理される。その際、前駆体繊維束自体が耐炎化反応による発熱を生じ、特に初期走行域において激しく発熱する。従って、初期走行域の前駆体繊維束が熱処理室内で過度の高温に晒されると、耐炎化反応が急激に進行して、発火や糸切れを生じやすい。初期走行域での発火や糸切れを低減するには、熱処理室内を流れる熱風の温度を低く抑える必要がある。しかしながら、熱風の温度を低くすると、後期走行域の耐炎化処理の進行が遅くなるため、これが耐炎化繊維束の生産性を低下させる要因の一つとなっていた。
これに対し、例えば特許文献1では、耐炎化炉の熱処理室内を複数の熱処理区画に区分し、各熱処理区画の温度を、耐炎化処理の進行に合わせて個別に設定できるようにした耐炎化炉が提案されている。また、例えば特許文献2では、初期走行域の温度を後期走行域の温度より低くするために、熱風の熱風吹出口に外気、水、その他の冷媒による冷却手段を備えた耐炎化炉が提案されている。
特開平10−237723号公報 特開2004−197239号公報
しかしながら、特許文献1に記載の耐炎化炉は、前駆体繊維束が走行する順に各熱処理区画の温度を上昇させているため、熱処理室に出入りを繰り返しながら走行する前駆体繊維束にとって、異なる熱処理区画に送入される度に急激な温度上昇が加わることになるため、得られる耐炎化繊維束の品質低下を招く恐れがある。
また、特許文献2に記載の耐炎化炉は、冷却手段の周囲温度が低下するために、熱風中に漂うタール成分等の分解生成物が凝集し、冷却手段を始めとした耐炎化炉内の各所に付着してしまう恐れがある。これらの凝集物が冷却手段に付着すると、冷却能力が低下する。また、凝集物が耐炎化処理中の前駆体繊維束に付着すると、糸切れ等の品質低下を招きやすい。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が可能な耐炎化炉及び耐炎化処理方法を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] 以下の、熱処理室と加熱手段とを有する耐炎化炉。
(1)熱処理室
多段の走行域を有し、この走行域を折り返して多段走行する前駆体繊維束に耐炎化処理を行う。
(2)加熱手段
熱処理室内の多段の走行域に熱風を吹き込む手段であり、
初期走行域の熱風量を、後期走行域の熱風量より多くすることが可能である。
[2] 前記熱処理室内の初期走行域に設けた前記加熱手段の熱風吹込口を後期走行域に設けた前記加熱手段の熱風吹込口より大きくする[1]に記載の耐炎化炉。
[3] 初期走行域と後期走行域との間に仕切り板が設けられている[1]または[2]に記載の耐炎化炉。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の耐炎化炉に前駆体繊維束を送入する耐炎化処理方法。
本発明の耐炎化炉及び耐炎化処理方法を用いれば、耐炎化繊維の生産性及び品質を向上できる。
本発明の耐炎化炉について、図1に示す熱風循環方式の耐炎化炉10を用いて説明する。
耐炎化炉10は、多段の走行域を有し、この走行域を折り返して多段走行する前駆体繊維束1を耐炎化処理する熱処理室11と、多段の走行域に熱風を吹き込む加熱手段とを備えている。
加熱手段は、熱処理室11内に熱風を吹き出す複数の熱風吹出口13と、熱風を熱処理室11外に排出する複数の熱風排出口14と、各熱風吹出口13と各熱風排出口14とを繋ぐ循環路17と、循環路17の途中に設けられた加熱器15と、送風器16とで構成されている。
各熱風吹出口13から前駆体繊維束1の多段の走行域に吹き込まれた熱風は、熱処理室11内を前駆体繊維束1の走行域に沿いながら熱風排出口14側に向かって流れる。次いで、熱風は、熱風排出口14から熱処理室11外に排出されて循環路17に導かれ、循環路17に設けられた加熱器15で加温され、さらに送風器16によって風速を制御され、再び各熱風吹出口13から熱処理室11内に吹き込まれる。このようにして耐炎化炉10の熱風循環は繰り返されている。
熱風循環方式の耐炎化炉10は、熱風を繰り返し利用できるため、熱エネルギーの損失を少なくできるという利点がある。なお、図示しないが、熱風吹出口13及び熱風排出口14は、紙面に対して垂直な方向、すなわちシート状をなす前駆体繊維束1のシート幅方向に渡って配置されている。
熱風吹出口13には、その吹き出し面に多孔板等の抵抗体及びハニカム等の整流部材を配して圧力損失を持たせ、熱処理室11内に吹き込む熱風の整流を行うことが好ましい。
熱風排出口14は、熱風吹出口13と同様に、その排出面に多孔板等の抵抗体を配して圧力損失を持たせてもよいが、持たせなくてもよく、必要に応じて適宜決定される。なお、各熱風吹出口13は、耐炎化炉10の設備費を低減するために、加熱器15及び送風器16を共通とすることもできるが、共通としていなくてもよい。
加熱器15は、熱風を所望の温度に加熱できる性能を有していれば特に限定されないが、例えば電気ヒーター等が用いられる。
送風器16は、所望の性能を有していれば特に限定されないが、例えば軸流ファン等が用いられる。
循環路17には、必要に応じて、熱風中のタール等の異物を漉し取る異物除去手段(不図示)を設けていてもよい。異物除去手段としては特に制限されないが、例えば金網やパンチングプレート等の多孔板が挙げられる。また、前駆体繊維束1が耐炎化反応を生ずるときに発生するHCNガス等を一定濃度以下に抑えるため、熱風中の一部を排気する排気ライン(不図示)もしくは清浄な空気を供給する供給ライン(不図示)を設けて、熱処理室11内の熱風の交換を促進させてもよい。
前駆体繊維束1は、耐炎化炉10の熱処理室11側壁に設けたスリットから熱処理室11内に送入され、熱処理室11内を直線的に走行し、次いで、対面の側壁のスリットから熱処理室11外に一旦送出された後、熱処理室11外の側壁に設けられたガイドロール12によって折り返され、再び熱処理室11内に送入される。このように、前駆体繊維束1は複数のガイドロール12によって走行方向を複数回折り返すことで、熱処理室11内への送入送出を複数回繰り返しながら、熱処理室11内を全体として図1の下から上に向けて移動する。なお、ガイドロール12は、熱処理室11内に配置してもよい。
前駆体繊維束1は、このように熱処理室11内を走行している間に、熱風吹出口13から吹き出される200〜350℃程度の熱風によって耐炎化処理されて耐炎化繊維束となる。なお、図示しないが、前駆体繊維束1は紙面に対して垂直な方向に複数本並行するように引き揃えられた幅広のシート状の形態、もしくは一定間隔で前駆体繊維束1が配列した形態を有している。
耐炎化処理が進行した後期走行域の前駆体繊維束1は、発熱量が少ないので発火や糸切れを起こしにくいが、初期走行域の前駆体繊維束1は、耐炎化反応に伴う発熱量が多いので、発火や糸切れを起こしやすい。従って、初期走行域の前駆体繊維束1の発熱は、できるだけ速やかに除熱した方がよい。
ここで初期走行域とは、前駆体繊維束1の耐炎化初期の走行域を表す。初期走行域は、熱処理室の大きさ、熱風の温度、前駆体繊維束の耐炎化の進行度合いによって異なるが、例えば図1の耐炎化炉10においては、およそ熱処理室11内の下側1/3程度の走行域(前駆体繊維束1の1往復分の走行域)が初期走行域の目安である。後期走行域は、前駆体繊維束1の耐炎化が進行した耐炎化後期の走行域のことを表し、熱処理室11内における初期走行域以外の走行域が、後期走行域に該当する。
本発明の耐炎化炉10は、前記熱処理室11内の初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量より多くすることを特徴とする。熱風量を多くするには、初期走行域を走行する前駆体繊維束1の周囲の空間を後期走行域のそれよりも広くすればよい。これにより、初期走行域の前駆体繊維束1の発熱を除熱する媒体(酸化性雰囲気の熱風)の量を後期走行域のそれよりも増やすことができる。
従って、本発明の熱処理炉10は、熱処理室11内が一様に同じ温度であったとしても、初期走行域の除熱効果を高めることができる。ゆえに、本発明の耐炎化炉10は、熱処理室11全体をより高い温度に設定して、前駆体繊維束1の耐炎化反応を早めることができる。これにより、耐炎化処理の時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができる。
初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量に比べてどの程度多くするか、すなわち初期走行域を走行する前駆体繊維束1の周囲の空間を後期走行域のそれよりどのくらい広くするかは、前駆体繊維束1の種類、太さ、走行速度、走行域の段数、及び熱処理室11内の温度等によって異なるが、後期走行域の熱風量より、少なくとも1.2倍とするのが好ましく、より好ましくは1.4〜3.0倍である。
前記熱処理室11内の初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量より多くするには、初期走行域間の高さ方向の間隔を後期走行域間のそれより広げることが好ましい。これにより、初期走行域を走行する前駆体繊維束1の周囲の空間を後期走行域のそれよりも広くすることができ、初期走行域の除熱効果を高めることができる。各初期走行域の空間を横方向(図1の耐炎化炉10において、紙面に対して垂直な方向)に広げて熱風量を多くすることは好ましくない。この場合、設備の設置面積が増えるばかりでなく、前駆体繊維束1が走行していない空間を広げることになり、そこに熱風を流しても前駆体繊維束1の除熱にはほとんど寄与しないためである。
ガイドロール12のロール径は、前駆体繊維束1の折り返し直径であり、この直径は、通常、各走行域間の高さ方向の間隔に相当する。ゆえに、初期走行域間の高さ方向の間隔を後期走行域間のそれより広げるには、例えば図1の耐炎化炉10に示すように、初期走行域のガイドロール12aのロール径を、後期走行域のガイドロール12bのそれより大きくすればよい。なお、ガイドロール12a及び12bのロール径に適合するように、スリット間の配置間隔も決定される。
前記の例示の他にも、例えば、図2の耐炎化炉20に示すように、1回の折り返しにつき複数のガイドロール12aを用いることによって、初期走行域間の高さ方向の間隔を後期走行域間のそれより広げてもよい。また、単数のガイドロール12aによる折り返しと、複数のガイドロール12aによる折り返しとを組み合わせることもできる。なお、図2の耐炎化炉20の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を付して、説明を省略する。
本発明の耐炎化炉10は、熱処理室11内の初期走行域に設けた加熱手段の熱風吹込口13aを、後期走行域に設けた加熱手段の熱風吹込口13bより大きくすることが好ましい。熱風吹出口13aを、熱風吹出口13bのそれより大きくしてやれば、初期走行域並びに後期走行域それぞれの空間の広さに見合った熱風量をより適切に各走行域に吹き込むことができる。具体的には、図1の耐炎化炉10に示すように、熱風吹出口13aの高さ方向の寸法を熱風吹出口13bのそれより大きくするとよい。これにより、熱風吹出口13aの熱風の吹き出し面を、熱風吹出口13bのそれより広くすることができ、より多くの熱風量を初期走行域の各走行域に吹き込むことができる。なお、熱風吹出口13a及び熱風吹出口13bの高さ方向の寸法は、初期走行域間の間隔、及び後期走行域間の間隔に準じて決定すればよい。
また、熱風吹出口13a並びに熱風吹出口13bの大きさに合わせて、各熱風吹出口13aに繋がる分岐路18内の内寸を、各熱風吹出口13bに繋がる分岐路18内の内寸より大きくすることが好ましい。これにより、熱風吹出口13aに対して、熱風吹出口13bに流れる熱風量より多くの熱風量を分配することができる。なお、熱風吹出口13aに繋がる分岐路18と、熱風吹出口13bに繋がる分岐路18との内寸の比率は、所望の流量が分配されるように適宜設計されるが、例えば、各熱風吹出口13aの吹き出し面と、各熱風吹出口13bの吹き出し面との大きさの比率に準じてもよい。
熱風吹出口13の大きさを、熱風吹出口13aと熱風吹出口13bにおいて異なるようにしたのと同様に、熱風排出口14に関しても、熱風排出口14aを熱風排出口14bより大きくするのが好ましい。初期走行域側に配置されている熱風吹出口13aの吹き込み風量と熱風排出口14aの排出風量を多く、かつ後期走行域側に配置されている熱風吹出口13bの吹き込み風量と熱風排出口14bの排出風量を少なくすることで、初期走行域と後期走行域とを流れる熱風の交じり合いを減少でき、各走行域の熱風の流れがよりスムーズになる。
初期走行域の熱風量を後期走行域より多くするには、前述の例示の他にも、例えば熱風量制御用ダンパー(不図示)を熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bに設けて熱風量の制御を行ってもよい。熱風吹出口13aに設置された熱風量制御用ダンパーの開閉度合いを、熱風吹出口13bに設置された熱風量制御用ダンパーの開閉度合いよりも大きくすることで、初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量よりも多くすることができる。なお、熱風量制御用ダンパーは、予め、所望の熱風量が得られるようにその開閉度合いを固定していてもよいが、熱処理室11外に設けた開閉制御器(不図示)等によって、その開閉度合いを耐炎化炉の稼働中でも可変できるようにしてもよい。なお、熱風量制御用ダンパーは、熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bの吹き出し面の外側に設けてもよく、熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bの内部に設けてもよく、必要に応じて適宜決定される。
本発明の耐炎化炉10には、これらの熱風量の制御方法を組み合わせて用いてもよい。
図3に示すように、本発明の耐炎化炉30は、初期走行域と後期走行域との間に仕切り板19を設けるのが好ましい。なお、仕切り板19は走行域に対して平行に設置される。
仕切り板19を設けることで、熱処理室11内は初期走行域に該当する熱処理区画11aと後期走行域に該当する熱処理区画11bとに区分けされる。これにより、初期走行域と後期走行域との熱風の交じり合いを低減でき、各走行域の熱風の流れがよりスムーズになる。
なお、仕切り板19は、熱処理区画11aと、熱処理区画11bとの間を完全に仕切っていてもよいが、部分的に仕切るだけでもよい。また、図3の耐炎化炉30では、仕切り板19を1枚のみ設置しているが、整流等を目的として、各走行域の間の任意の位置に仕切り板19を複数配置してもよい。なお、図3の耐炎化炉30の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を付して、説明を省略する。
さらに本発明は、図4の耐炎化炉40に示すように、仕切り板19で仕切られた熱処理区画11a及び11bに対して、それぞれ個別の加熱器15、送風器16、及び循環路17を備えていてもよい。これにより、熱処理区画11aと熱処理区画11bとをそれぞれに配される送風器16によって個別に熱風量の制御ができる。また、耐炎化炉30は、熱処理室毎に加熱手段を備えているので、必要に応じて、熱処理区画11aと熱処理区画11bとを異なった温度設定に制御することもできる。これらの制御により、前駆体繊維束1に対してより多様な耐炎化処理の制御を行うことができる。なお、図4の耐炎化炉40の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を付して、説明を省略する。
前記においては、いわゆる横型耐炎化炉について説明したが、本発明はそれに限定されず、熱処理室が上下方向に延びる縦型耐炎化炉も全く同様に構成することができる。
また本発明の図の下向きの方向が、水平方向の下向きを示すわけではなく、水平方向の上から下に前駆体繊維束1が流れる場合も、本発明と同様に構成することができる。
さらに、本発明は、前駆体繊維束1の走行方向に沿って熱処理室11に熱風を吹き出す熱風吹出口13および熱処理室11から熱風を排出する熱風排出口14と、加熱器15、送風器16を備えた循環路17とを有している形式の耐炎化炉であれば、図1〜図4に示す耐炎化炉のような、両端にそれぞれ熱風吹出口13と、熱風排出口14を設けた方式以外に、例えば、耐炎化炉中央部に熱風吹出口13を設けて、そこから耐炎化炉の両端に設けられた熱風排出口14に向けて熱風を吹き出す公知の耐炎化炉(不図示)でも、その効果が得られるものである。
また、前記の説明では、熱風循環方式の耐炎化炉10、20、30、及び40を例示したが、本発明は例えば図5に示した耐炎化炉50のように、熱風の循環系を有しない非循環方式の耐炎化炉であってもよい。非循環方式の耐炎化炉50における熱風の流れとしては、まず、外気を供給路51で導き、その供給路51の経路中に設けた加熱器15及び送風器16によって、取り込んだ外気を所望の温度に加熱された熱風とした上で、熱処理室11内に吹き込む。熱処理室11内に吹き込まれた熱風は、熱処理室11内を矢印の方向に流れながら前駆体繊維束1を加熱した後、熱風排出口14によって熱処理室11外に排出される。排出された熱風は、熱処理室11内に再び戻されることなく、排出路52を通り、熱風中のHCNガス等を処理するガス燃焼装置(不図示)等を経由して耐炎化炉50外に排出される。このような非循環方式の耐炎化炉50は、循環方式に比べて熱風の加熱に要するエネルギーコストが掛かるが、常に新鮮な熱風を熱処理室11内に送り込めるという利点がある。
本発明の耐炎化炉10、20、30、40、及び50は、炭素繊維の製造工程において、複数使用してもよい。その際は、例えば図6に示すような、初期走行域と後期走行域ともに走行域間の間隔を一様とした従来の耐炎化炉60と組み合わせて用いてもよい。なお、図6の耐炎化炉60の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を付して、説明を省略する。
本発明の耐炎化炉10、20、30、40、及び50に送入される前駆体繊維束1を構成する繊維としては、例えば炭素繊維の前駆体繊維であるポリアクリロニトリル系繊維、ピッチ系繊維、フェノール系繊維等が挙げられる。また、本発明は他にも、例えば糸やフィルム、シート等といった各種の熱処理にも適用が可能である。
本発明の耐炎化炉によって得られた耐炎化繊維束は、次いで炭素化炉に送入され、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性熱風中にて1,000〜3,000℃程度の温度で焼成、炭化処理することによって炭素繊維束とすることができる。また、耐炎化繊維束は、炭素繊維束に加工される以外にも、難燃性織布の素材としても広く用いることができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例及び比較例では、実際の使用に則すため、前駆体繊維束への耐炎化処理を、2台の耐炎化炉を用いて、耐炎化処理を2回に分けて行った。
(実施例1)
100本のポリアクリロニトリル系繊維束を互いに並行するようにシート状に引き揃えて前駆体繊維束群とした。なお、前記ポリアクリロニトリル系繊維束の1本当たりの単糸繊度は1.2dtex、単糸数50,000本である。
1回目の耐炎化処理として、前記の前駆体繊維束1を、図6に示す従来の耐炎化炉60に送入し、熱風温度236℃、風速3m/sで17分間の耐炎化処理を施した。なお、1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1の耐炎化密度は、1.24g/cmであった。
1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1に対して、次いで、図3に示す耐炎化炉30を用いて、2回目の耐炎化処理を行い、熱処理室11内の熱風の温度を236℃から次第に上昇させ、前駆体繊維束1に糸切れが発生した温度を測定した。その結果、248℃で糸切れが発生した。なお、2回目の耐炎化処理に用いた耐炎化炉20の風速は3.0m/sとし、ガイドロール12aは、ガイドロール12bのロール径の1.5倍にした。
前述の前駆体繊維束1の糸切れの温度を踏まえ、次に、1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1に対して、糸切れ温度から8℃低い、240℃に温度設定した図3の耐炎化炉30を用いて、2回目の耐炎化処理を14分間行った。このようにして得られた耐炎化繊維束の耐炎化密度、すなわち耐炎化繊維束の密度を測定したところ、1.27g/cmを示した。なお、耐炎化繊維束の耐炎化密度は、耐炎化反応の進み具合を判断するための尺度となる。耐炎化反応が進むに従って、耐炎化密度が上がる。また、糸切れが発生した温度から8℃低い温度に設定した理由は、耐炎化処理工程内で発生する風速、温度、繊維束投入密度等の条件変動による切断温度の変化を考慮に入れて、糸切れの生じない温度として設定した。
(比較例1)
2回目の耐炎化処理にも、図6に示す従来の耐炎化炉60を用いた以外は、実施例と同様にして、前駆体繊維束1の糸切れが発生した温度を測定した。その結果、2回目の耐炎化処理において、246℃で糸切れが発生した。
前述の前駆体繊維束1の糸切れの温度を踏まえ、次に、1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1に対して、糸切れ温度から8℃低い238℃に温度設定した図6の従来の耐炎化炉60を用いて2回目の耐炎化処理を行った。そして、耐炎化繊維束の密度が実施例1と同じ1.27g/cmに到達するために要する時間を測定したところ、17分を要した。
結果、実施例1の耐炎化炉30は、比較例1の従来の熱処理炉60に比べて、高い温度で耐炎化処理が行えることが確認された。
また、実施例1の耐炎化密度を1.27g/cmとするのに、糸切れの可能性のない温度において、実施例1の耐炎化炉30では14分、比較例1の従来の熱処理炉60では17分を要した。よって、本発明によると、従来の耐炎化炉に比べて耐炎化処理の温度を高く設定できることで、耐炎化処理がより短時間で施せることが確認できた。
本発明の耐炎化炉を用いた耐炎化処理方法によると、耐炎化初期(初期走行域)の前駆体繊維の発熱を効率よく除熱できるため、糸切れや発火等を生じにくくなり、耐炎化繊維束の品質を向上できる。
また、本発明の耐炎化炉は、初期走行域の熱処理室内の温度を一様としながら、初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量より多くすることにより、初期走行域の除熱を後期走行域の除熱より高めることができる。これにより、熱処理室内の温度制限を初期走行域の温度設定に制約されずに済み、従来の耐炎化炉に比べて高い温度で耐炎化処理を行うことができる。ゆえに、前駆体繊維束の耐炎化処理を早めることができ、耐炎化繊維束の生産性を向上できる。よって、本発明の耐炎化炉及び耐炎化処理方法を用いれば、耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が実現できる。
本発明の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 従来の耐炎化炉の一例を示す概略構成図。
符号の説明
1 前駆体繊維束
10、20、30、40、50耐炎化炉
11 熱処理室
11a、11b 熱処理区画
12、12a、12b ガイドロール
13、13a、13b 熱風吹出口
14、14a、14b 熱風排出口
15 加熱器
16 送風器
17 循環路
18 分岐路
19 仕切り板
60 従来の耐炎化炉

Claims (4)

  1. 以下の、熱処理室と加熱手段とを有する横型耐炎化炉。
    (1)熱処理室
    多段の走行域を有し、この走行域を折り返して下から上に向けて移動するように多段走行する前駆体繊維束に耐炎化処理を行う。
    (2)加熱手段
    熱処理室内の多段の走行域に熱風を吹き込む手段であり、
    熱処理室内に送入された前駆体繊維束の最初の1往復分の走行域である初期走行域の熱風量を、後期走行域の熱風量より多くすることが可能である。
  2. 前記熱処理室内の初期走行域に設けた前記加熱手段の熱風吹込口を、後期走行域に設けた前記加熱手段の熱風吹込口より大きくする請求項1に記載の耐炎化炉。
  3. 初期走行域と後期走行域との間に仕切り板が設けられている請求項1または2に記載の耐炎化炉。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の耐炎化炉に前駆体繊維束を送入し、初期走行域の熱風量を後期走行域の熱風量より多くして耐炎化処理する耐炎化処理方法。
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