JP2001073232A - 炭素繊維束前駆体の耐炎化方法及び耐炎化装置 - Google Patents

炭素繊維束前駆体の耐炎化方法及び耐炎化装置

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JP2001073232A
JP2001073232A JP24877399A JP24877399A JP2001073232A JP 2001073232 A JP2001073232 A JP 2001073232A JP 24877399 A JP24877399 A JP 24877399A JP 24877399 A JP24877399 A JP 24877399A JP 2001073232 A JP2001073232 A JP 2001073232A
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Japan
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fiber bundle
carbon fiber
roll
precursor
flameproofing
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JP24877399A
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English (en)
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Toshihiko Nishida
俊彦 西田
Hidehiko Ohashi
英彦 大橋
Takahiro Okuya
孝浩 奥屋
Kazushige Mihara
和茂 三原
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐炎化処理工程での単繊維間での処理斑を無く
すと共に、毛羽や糸の損傷を阻止できる炭素繊維束前駆
体の耐炎化方法及び耐炎化装置を提供する。 【解決手段】多数の炭素繊維束前駆体(f) がシート状に
引き揃えられ、第1及び第2チャンバー(11a,11b) に仕
切られた熱処理室(11)の外部に配された複数の溝付きロ
ール(12,13) に掛け回され、前記熱処理室(11)内を多段
に走行している。前記溝付きロール(12,13) の径は耐炎
化度に応じて設定されており、耐炎化度の低い上流側の
第1チャンバー(11a) 外部の前記溝付きロール(12)は大
径で、その溝は平底形状である。耐炎化度の高い下流側
の第2チャンバー(11b) 外部の前記溝付きロール(13)は
小径で、その溝は丸底形状である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生産性の高い炭素繊
維束前駆体の耐炎化方法及び耐炎化装置に関し、特に、
構成単繊維数の多い繊維束を斑なく耐炎化でき、高性
能、高品質且つ高品位の炭素繊維束を製造し得る炭素繊
維束前駆体の耐炎化方法及び耐炎化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は他の繊維と比較して優れた比
強度、比弾性率を有すると共に、金属と比較して優れた
比抵抗や高い耐薬品性を有するなどの多くの優れた特性
を備えている。その優れた各種特性を利用し、樹脂との
複合材料における補強繊維などとして工業用途に、また
スポーツ、航空宇宙分野にと幅広く利用されている。
【0003】近年、炭素繊維複合材料を成形する際の加
工コストを低減する目的から、一繊維束を構成する単繊
維数の多いものが好んで使用されるようになっている。
一般に、炭素繊維はポリアクリロニトリル系、レーヨン
系、ピッチ系等の各有機繊維を酸化性雰囲気中にて20
0℃以上で耐炎化処理した後、不活性雰囲気中にて30
0℃以上で炭素化処理することにより得られる。かかる
炭素繊維製造工程において、高品質の炭素繊維を得るた
めには耐炎化処理での処理斑を低減させることが重要で
あり、また炭素繊維製造工程での生産性を向上させるた
めには耐炎化処理工程での生産性を向上せることが大き
なウェイトを占めている。
【0004】耐炎化処理工程での処理斑は、繊維束中の
単繊維数が多くなるほど発生しやすくなり、高品位で高
品質な炭素繊維を得るためには、製造条件に対するより
細かな配慮が必要である。
【0005】従来の炭素繊維束前駆体の耐炎化方法とし
て、例えば特公昭59−28662号公報にアクリル系
繊維糸条の耐炎化処理法が開示されている。同公報の耐
炎化方法では、多段に配された溝付きロールの溝形状、
即ち、溝上部の幅、溝底部の幅、溝間隔、及び溝深さを
糸条の見かけ直径と相関させて規定している。このよう
に規定された溝形状とすることにより、繊維糸条の絡み
や溝付きロールでの溝からの乗越え、処理斑、糸切れを
防止しようとしている。
【0006】また特開平10−266024号公報に開
示された炭素繊維の製造方法では、耐炎化処理において
使用される溝付きロールの溝形状を、溝上部の幅、溝底
部の幅、溝深さ、及び溝底部角部の丸み半径を所定の範
囲となるよう規定して、同溝内にある繊維束の断面形状
を、糸幅/糸厚み比10〜50の範囲となるようにして
いる。こうすることで、糸条内部と糸条表面とが均一に
耐炎化される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維束
前駆体を構成する単繊維数を増大させた場合に、上述し
た公報に開示された方法にあってはいずれも、溝上部の
幅及び溝底部の幅を大きくする必要があるが、前記幅を
大きくすることにより同一幅のロールに形成できる溝数
が少なくなり、従って耐炎化装置に投入できる繊維束数
が少なくなってしまう。
【0008】一方、単繊維数を増大させた場合に、溝上
部及び溝底部の幅は強制的に狭めて溝深さを深くするこ
とにより、溝飛びを防ぐことも可能ではあるが、溝内部
の熱を除去できず、除熱不良によるスモークが発生する
といった問題が生じるばかりでなく、溝付きロールに供
給される繊維束の幅の変動や繊維束厚みの増大に伴い、
繊維束内部で単繊維同士が擦れて毛羽が生じやすいとい
った問題もある。
【0009】除熱不良によるスモーク発生を防ぐために
は、耐炎化処理温度を低く設定すればよいが、処理時間
が長くなり工程生産性の向上は望めない。また、毛羽の
発生を防止する観点からは、溝付きロールによる繊維束
幅の変動を少なくし、且つ溝付きロール上での繊維束の
幅を広くし繊維束厚みを小さくすればよいが、この場合
は、同一装置幅に対して投入できる繊維束の数が少なく
なるため、工程生産性の向上を阻む要因となる。
【0010】そこで、本発明は、炭素繊維の品質低下や
品位低下を招くことなく炭素繊維製造工程の工程生産性
を向上させるため、耐炎化処理工程において繊維束を構
成する単繊維間の処理斑を無くすと共に、毛羽や糸の損
傷を阻止できる耐炎化方法及び耐炎化装置を提供するこ
とを目的としている。更に本発明は、構成単繊維数の多
い炭素繊維束前駆体を耐炎化するに際しても、所定幅の
装置に対する繊維束の投入数を減少させることなく、生
産効率を向上させることができ、高性能、高品質且つ高
品位の炭素繊維を製造し得る耐炎化方法及び耐炎化装置
を提供することを他の目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】かかる課題
を解決するために、本件請求項1に係る発明は、多数本
の炭素繊維束前駆体をシート状に引き揃え、少なくとも
1以上のロールに掛け回して走行方向を変更しながら熱
処理室内を複数段で走行させ、同前駆体に熱処理を施す
炭素繊維束前駆体の耐炎化方法において、前記ロールは
同ロールに掛け回される時点における炭素繊維束前駆体
の耐炎化度に応じて、そのロール径が設定されてなるこ
とを特徴とする炭素繊維束前駆体の耐炎化方法を要旨と
している。
【0012】ここで、前記ロール上での炭素繊維束前駆
体の最外層における単位厚み当たりの荷重Tは、{[2
×(繊維束にかかる張力)×(繊維束の破断荷重)]/
[(ロール上での繊維束厚み)×(繊維束の破断伸度)
×(ロール径)]}0.5 から求められる。繊維束の破断
荷重や繊維束の破断伸度は、繊維束の原料やその耐炎化
度に応じて一義的に決定される値である。従って、繊維
束にかかる張力、及びロール上での繊維束厚みが一定で
ある条件下で前記荷重Tを小さくしようとする場合に
は、ロール径の寸法を大きくすればよい。
【0013】炭素繊維束前駆体は、耐炎化度が低い場合
には構成単繊維の耐熱強度が低く、物理的接触に対する
強度も脆弱である。そのため、ロール径を大きくして同
ロール上での繊維束前駆体への荷重Tを小さくすること
により、従来と同等のロール上での繊維束厚みであって
も、単繊維切れが効果的に阻止でき、毛羽の発生も防止
できる。また、ロール径を大きく、すなわちロールの曲
率半径を大きくすると共に、同ロール上での繊維束の高
さを低くすることによって、ロール面に接している繊維
束の断面高さ方向での張力斑を無くすことができる。
【0014】一方、耐炎化度が高い場合には、炭素繊維
束前駆体の構成単繊維は、耐熱強度や物理的接触に対す
る強度が十分に高くなっている。そのため、同繊維束前
駆体への荷重Tが大きくなっても単繊維切れや毛羽は生
じることがない。従って、ロール径を小さくし、そのロ
ールに掛け回される前駆体の熱処理室内での段間隔を小
さくでき、熱処理室の容積を小さくして設置スペースの
減少を図ることができると共に、熱処理室内の雰囲気維
持に要するコストを低減できる。また、ロールの曲率半
径を小さくすることにより、繊維束を収束させた状態で
熱処理することができ、繊維束の自己反応熱をも利用し
て耐炎化処理を行うことが可能となるため、処理効率も
著しく向上する。
【0015】このように繊維束前駆体の耐炎化度に応じ
て前記ロールのロール径を適宜選定して焼成を行うた
め、構成単繊維数の多い炭素繊維束前駆体であっても処
理斑がなく、高い生産性で耐炎化処理することが可能で
あり、高性能、高品質且つ高品位の炭素繊維を製造する
ことができる。
【0016】上記発明の好適な態様としては、シート状
に引き揃えた多数本の炭素繊維束前駆体を複数のロール
に掛け回して熱処理室内を多段に走行させ、このとき、
複数のロールの径を少なくとも2種類以上として、耐炎
化度の進行状況に応じてロール径を小さく変更してい
る。
【0017】更に本件請求項2に係る発明では、前記耐
炎化度は前記ロールに掛け回される時点での前記炭素繊
維束前駆体の耐炎化糸密度により評価され、前記耐炎化
糸密度が予め設定された特定の糸密度A以下では前記ロ
ールを下式(1)を満たすロール径D1 に設定し、前記
耐炎化糸密度が前記特定の糸密度Aを越えるときには同
ロールを下式(2)を満たすロール径D2 に設定するこ
とを特徴としている。 (1)T1 ≦4.0×TAve. 6.2×T1 ≦D1 (2)3.0×TAve.≦T2 ≦5.0×TAve. 4.0×T2 ≦D2 ≦13.5×T2 但し、T1 、T2 は前記ロール上での炭素繊維束前駆体
の最外層における単位厚み当たりの荷重であり、TAve.
は炭素繊維束前駆体の単位厚み当たりの平均荷重であ
る。また前記ロール径D1 ,D2 の単位はmmである。
【0018】ここで、前記荷重T1 、T2 は、上述した
ように次式、{[2×(繊維束にかかる張力)×(繊維
束の破断荷重)]/[(ロール上での繊維束厚み)×
(繊維束の破断伸度)×(ロール径)]}0.5 から求め
られる。また、平均荷重TAve.は(繊維束にかかる張
力)/(ロール上での繊維束厚み)から求められる。
【0019】耐炎化度が低く、荷重T1 が4.0×T
Ave.よりも大きい場合には、繊維束の高さ方向での張力
斑が大きくなり、得られる炭素繊維の品質及び品位に低
下を来す。また、耐炎化度が低いときのロール径D
1 は、荷重T1 を小さくするためにも6.2×T1 より
も大きいことが好ましい。このようにロール径D1 を大
きくすることにより、荷重T1 を小さく抑えた状態とす
ることができるため、単繊維切れや毛羽の発生を抑制す
ることができるようになり、更に前記ロール上での繊維
束の高さを低くすれば、ロール面に接している繊維束の
断面高さ方向での張力斑が減少し、しかも単繊維間で均
一な加熱がなされるため、均一な耐炎化が可能となる。
【0020】繊維束を構成する単繊維数を固定した場
合、荷重T2 が5.0×TAve.よりも大きいと、繊維束
の高さ方向での張力斑が大きくなり、得られる炭素繊維
の品質及び品位に低下を来す。一方、荷重T2 が3.0
×TAve.よりも小さくするためには、前記ロール上での
繊維束幅を広くすることが必要であり、所定幅の装置へ
の投入繊維束数が少なくなり、工程生産性の向上は望め
ない。
【0021】またロール径D2 は装置の設置スペースや
熱処理室の雰囲気条件を維持するためのコストの観点か
ら、極力小さいことが好ましいが、ロールの撓みや操作
性を考慮して適宜設定することが望ましい。張力が大き
くなるとロールは撓むのでロール径D2 としては4.2
×T2 以上が好ましく、操作性の面からは13.5×T
2 以下が好ましい。
【0022】なお、耐炎化度を示す前記特定糸密度Aは
繊維束の物理化学的性状や機械的特性を考慮して適宜決
定され、本件請求項3に係る発明では、前記特定糸密度
Aは1.23g/cm3 以上1.26g/cm3 以下で
ある。
【0023】前記特定糸密度が1.23g/cm3 以下
の耐炎化度にある場合には、炭素繊維束前駆体は構成単
繊維の耐熱強度が低く、物理的接触に対する強度も脆弱
である。そのため、前記ロールの径を大きくして荷重T
を小さくすることにより、単繊維切れや毛羽を防止する
ことができる。また、前記ロールの曲率半径を大きくす
ると共に、同ロール上での繊維束の高さを低くすること
によって、ロール面に接している繊維束の断面高さ方向
での張力斑を無くして均一に耐炎化を行うものである。
【0024】一方、前記糸密度が1.26g/cm3
越える耐炎化度にある場合は、炭素繊維束前駆体は構成
単繊維の耐熱強度や、物理的接触に対する強度も高くな
っているため、ロール径を小さくし荷重Tが大きくなっ
てもその荷重Tに十分に耐え得るものである。従って、
ロール径を小さく、即ちロールの曲率半径を小さくする
と共に、繊維束を収束させた状態で熱処理することが可
能となり、それにより、繊維束の自己反応熱をも利用し
て耐炎化処理を行うことができ、処理効率が著しく向上
する。
【0025】更に、本件請求項4に係る発明では、前記
炭素繊維束前駆体は繊維束形状規制手段によりその断面
形状が規制されている。このように、繊維束形状規制手
段を併せて採用することにより、耐炎化される炭素繊維
束前駆体の断面形状、例えば厚み寸法等を容易に制御す
ることができる。
【0026】更に、本件請求項5に係る発明によれば、
前記炭素繊維束前駆体はポリアクリロニトリル系繊維束
である。本発明の方法により耐炎化されたポリアクリロ
ニトリル系繊維束は特に、高性能の特性が発現しやす
く、好ましく用いられる。
【0027】また、本件請求項6に係る発明によれば、
前記炭素繊維束前駆体は2000テックス以上である。
本発明に係る炭素繊維束前駆体の耐炎化方法は、トータ
ルテックスが2000テックス以上とボリュームが大き
く、構成単繊維数の多い繊維束を耐炎化する際に特に好
適に用いられる。
【0028】本件請求項7に係る発明は、シート状に引
き揃えられて走行する多数本の炭素繊維束前駆体に熱処
理を施す熱処理室と、前記前駆体を掛け回して走行方向
を逆方向に変更する1以上のロールとを有してなる炭素
繊維束前駆体の耐炎化装置において、前記ロールは同ロ
ールに掛け回される時点における炭素繊維束前駆体の耐
炎化度に応じて、そのロール径が設定されてなることを
特徴とする炭素繊維束前駆体の耐炎化装置を主要な構成
としている。
【0029】更に、本件請求項8に係る発明は、前記耐
炎化度は前記ロールに掛け回される時点での前記炭素繊
維束前駆体の耐炎化糸密度により評価され、前記耐炎化
糸密度が予め設定された特定の糸密度A以下では前記ロ
ールは下式(1)を満たすロール径D1 に設定され、前
記耐炎化糸密度が前記特定の糸密度Aを越えるときには
同ロールは下式(2)を満たすロール径D2 に設定され
ている。 (1)T1 ≦4.0×TAve. 6.2×T1 ≦D (2)3.0×TAve.≦T2 ≦5.0×TAve. 4.0×T2 ≦D2 ≦13.5×T2 但し、T1 、T2 は前記ロールに掛け回される炭素繊維
束前駆体の最外層における単位厚み当たりの荷重であ
り、TAve.は炭素繊維束前駆体の単位厚み当たりの平均
荷重である。
【0030】また、請求項9に係る発明では、前記ロー
ルは周面に繊維束の断面形状を規制する多数の溝を有す
る溝付きロールであり、前記溝の形状は、前記耐炎化糸
密度が予め設定された特定の糸密度A以下では平底形状
であり、前記耐炎化糸密度が前記特定の糸密度Aを越え
るときには丸底形状である。
【0031】このように、前記ロールを溝付きロールと
し、繊維束の断面形状を前記溝により規制することによ
り、以下のような作用効果をも付与することができる。
すなわち、耐炎化糸密度が特定の糸密度Aよりも小さく
耐炎化度が低い場合には、前記溝を平底形状とすること
により、同溝内に掛け回された繊維束は前記平底に押し
付けられ、容易に扁平な形状となる。そのため、繊維束
の高さ寸法が小さくなり、高さ方向での張力斑も小さ
く、均一な耐炎化がなされると同時に、溝内部の熱を容
易に除去でき、スモークの発生を阻止できる。
【0032】また、耐炎化糸密度が特定の糸密度Aより
も大きく耐炎化度が高い場合には、前記溝を丸底形状と
することにより、同溝内に掛け回された繊維束は容易に
集束され、繊維束の自己反応熱を利用した耐炎化処理が
可能となる。なお、このときの炭素繊維束前駆体は耐炎
化度が高いため、スモークの発生といった問題は生じな
い。
【0033】本件請求項10に係る発明によれば、前記
特定の糸密度Aは1.23g/cm3以上1.26g/c
3 以下である。
【0034】なお、繊維束の断面形状の規制は、上述の
溝付きロールに限定されるものではなく、本件請求項1
1に係る発明によれば、前記ロールの上流側には、前記
繊維束の断面形状を規制する多数の案内部を有する繊維
束形状規制部材が配されている。前記繊維束形状規制部
材としては、例えば、櫛歯状の部材や、周面に多数の凹
溝を有するガイドロールなどを採用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の好
適な実施態様による耐炎化装置の要部を概略的に示す図
であり、図2及び図3は前記耐炎化装置における溝付き
ロールに形成された溝の横断形状を示す図である。
【0036】前記耐炎化装置10は、多数の炭素繊維束
前駆体fがシート状に配列されて多段に走行する熱処理
室11を有している。本実施例にあっては、前記熱処理
室11は上流側の第1チャンバー11aと、その下流側
の第2チャンバー11bとに仕切られており、各チャン
バー11a,11bはそれぞれ、温度等の雰囲気条件が
所望の値に維持されている。
【0037】各チャンバー11a,11bはそれぞれ、
対向する壁部に複数のスリット状開口11cが形成され
ており、同開口11cを通ってシート状に配列された多
数の炭素繊維束前駆体fが前記チャンバー11a,11
bに出入りする。更に、前記第1チャンバー11aの前
記開口11cが形成されている壁部の外側には、大径の
溝付きロール12が、前記第2チャンバー11bの前記
開口11cが形成されている壁部の外側には、小径の溝
付きロール13が、互いに対向するロール12,13と
直径寸法だけ偏移させて互い違いに配されている。各溝
付きロール12,13にはその周方向に多数の溝12
a,13aが等間隔で形成されている。
【0038】シート状に配された炭素繊維束前駆体f
は、前記溝付きロール12,13のそれぞれの溝12
a,13aに掛け回されて逆方向に走行方向を変更しな
がら、前記第1チャンバー11a及び第2チャンバー1
1b内を複数段で走行し、耐炎化処理がなされる。この
とき、本実施形態にあっては、異なる径の前記溝付きロ
ール12,13を各チャンバー11a,11bに対応し
て配している。
【0039】耐炎化処理工程にあっては、炭素繊維束前
駆体fの耐炎化度が進行していくにつれて、同繊維束f
を構成する単繊維の弾性率はほぼ上昇傾向を示す一方で
同単繊維の伸度は低下傾向を示すことが知られている。
この耐炎化処理工程における高生産性を確保しつつ、ボ
リュームの大きな繊維束であっても繊維束内部の単繊維
間での処理斑の無い耐炎化処理を行うためには、 1)耐炎化処理の前半では、ロール径が大きく、溝底幅
の大きな溝付きロールを使用し、 2)耐炎化処理後半では、ロール径が小さい溝付きロー
ルを使用している。
【0040】従って、本実施例にあっては、上流側の第
1チャンバー11aの外側に配している前記大径の溝付
きロール12はその周方向に多数の溝12aが形成され
ている。この溝12aは図2に示すように、底面が平面
であり、側面は外方へ向けて僅かに広がる傾斜面をな
し、底面と側面との隅部は丸みを帯びた横断面形状をな
している。この大径の溝付きロールの直径D1 は、次式
(1) (1)T1 ≦4.0×TAve. 6.2×T1 ≦D1 を満たす寸法に設定することが好ましい。
【0041】このように直径D1 を上記式(1)を満た
すような大径とすることで、繊維束の最外層における単
位厚み当たりの荷重T1 を小さくすることができ、耐炎
化度が低く脆弱な繊維束であっても単繊維切れや毛羽の
発生を防止できる。また、前記溝付きロール12の曲率
半径を大きくし、且つ、前記溝12aの形状を底幅の広
い平底形状として前記ロール12に掛け回された炭素繊
維束前駆体を前記溝12aの底面に押し付け扁平とし、
繊維束の高さを低くすることにより、ロール12に接し
ている繊維束における単繊維間の高さ方向での張力斑を
無くすことができると共に単繊維間での擦れもなく、毛
羽の発生を未然に防止できる。しかも、溝12aの形状
は上述したように底幅が広い平底形状であるため、蓄熱
の除去も迅速且つ容易になされ、スモークの発生を阻止
できると共に、単繊維間での均一な熱処理によって単繊
維処理斑を無くすことが可能となる。
【0042】下流側の第2チャンバー11bの外側に配
された前記小径の溝付きロール13にも、その周方向に
多数の溝13aが形成されている。この溝13aは図3
に示すように、底部が略半円形をなし、その底部の上縁
が僅かに外方へ向けて広がる傾斜面となっており、この
傾斜面により炭素繊維束前駆体fは円滑に同溝13a内
に案内される。
【0043】前記第2チャンバー11bに導入される炭
素繊維束前駆体fは耐炎化度が高くなっており、繊維束
の弾性率並びに強度が上昇しているため、単繊維同士の
擦れなどにより毛羽が発生する可能性は低い。そのため
同第2チャンバー11bの外側に配された小径ロール1
3は、走行する炭素繊維束前駆体fにかかる張力や同繊
維束fの投入量、溝付きロール13の易加工性、運転管
理上の操作性等を考慮して、可能な限りロール径を小さ
くすることができる。本発明によれば、小径の溝付きロ
ール13の直径D2 は次式(2) (2)3.0×TAve.≦T2 ≦5.0×TAve. 4.0×T2 ≦D2 ≦13.5×T2 を満たす寸法に設定することが好ましい。
【0044】このように、直径D2 を上記式(2)を満
たすよう、小さくすることによって、耐炎化装置の第2
チャンバー11bを走行する繊維束の段間隔を小さくす
ることができ、即ち、第2チャンバー11bは段方向で
の寸法を小さくすることが可能となる。このように第2
チャンバー11bの段方向での寸法を小さくしその容積
を小さくすることにより、耐炎化装置の設置スペースを
小さくでき、また、第2チャンバー11bからの放熱な
どを考慮して同第2チャンバー11bを一定雰囲気条件
に維持するために要するエネルギーコストを低減できる
など、ランニングコストの低下にも繋がる。
【0045】更には、図3に示すようにその溝13aを
底部が略半円形をなす形状とすることで、同溝13a内
を走行する炭素繊維束前駆体fに収束性を与えることが
でき、それにより繊維束f内の蓄熱により反応が促進さ
れ、耐炎化処理時間の短縮にも繋がり、生産効率も向上
する。
【0046】特に炭素繊維束前駆体のボリュームが大き
い場合に、本実施形態による効果は大きく、耐炎化処理
前半(第1チャンバー11a)での処理斑を無くすこと
で、耐炎化処理後半(第2チャンバー11b)での設定
温度をスモーク発生の上限温度まで近づけることができ
る。このスモーク発生の上限温度は耐炎化糸密度の上昇
に伴い急速に高くなるため、高温での短時間焼成が可能
となり設備費の低減にも繋がる。
【0047】なお、本実施形態にあっては2種類の溝付
きロールを採用しているが、上流側から下流側へ向けて
耐炎化度が進行するに従い、ロール径を小さくすればよ
く、複数種類の溝付きロールを採用することができる。
また、単一の溝付きロールに形成されている多数の溝は
全て、同一の横断面形状をなしている。更に、複数種類
の溝付きロール間では、溝上部の幅は均一であることが
走行路の規制、及び撚りを考慮した場合に好ましい。
【0048】また、本実施形態では熱処理室11を上流
側と下流側との2つのチャンバー11a,11bに仕切
られているが、2以上のチャンバーに仕切ることもで
き、また、単一のチャンバーであってもよい。更に、上
述の実施態様にあっては、炭素繊維束前駆体はトータル
テックスが2000テックス以上とボリュームが大きく
単繊維数の多いポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化
装置として好適に使用でき、炭素繊維束前駆体のトウボ
リュームが大きくなるに伴って、上述した作用効果を享
受できるものである。なお、本発明に適用されるアクリ
ル系繊維束とは、少なくともアクリロニトリルを90モ
ル%以上含有する重合体からなり、且つ耐炎化処理の途
上のものであり、アクリル系繊維束の共重合体成分につ
いては特に制限はない。
【0049】前記耐炎化装置10が熱風循環型対流加熱
炉の場合に、前記熱処理室11内の風速は0.3m/s
以上5m/s以下であることが好ましい。この風速とは
常温時の値である。また、その風向きに特に制限はない
が、更に検討を進めた結果、シート状に配列された繊維
束前駆体のシート面に対して平行な方向とする場合、風
速は1.5m/s以上5m/s以下とし、前記シート面
に対して直交する方向とする場合、風速は0.3m/s
以上1.5m/s以下とすることにより、更に好ましい
結果を得ることができた。なお、本実施形態のように熱
処理室11が2以上のチャンバーに仕切られている場
合、各チャンバーの風速及び風向きは同一であっても或
いは異なっていてもよい。
【0050】炭素繊維束前駆体fにかかる張力は、0.
5g/テックス以上2.5g/テックス以下とすること
が好ましく、その場合に本発明の効果が顕著となる。炭
素繊維束前駆体にかかる張力が0.5g/テックス未満
の場合、繊維束はバタツキにより単繊維が切れ、隣接す
る繊維束との接触により単繊維間での融着が生じやすく
なると同時に、熱処理室内11において前記溝付きロー
ル12,13で規制した繊維束の断面形状を維持できな
くなり、発明の効果が低減されるおそれがある。逆に、
炭素繊維束前駆体fにかかる張力が2.5g/テックス
より高い場合には、張力による単繊維切れを起こしやす
くなるとともに、熱処理室への出入り口での物理的な接
触により耐久性が脆弱となる。
【0051】以上、説明した実施態様による耐炎化装置
10では、炭素繊維束前駆体の走行方向を変更するロー
ルとして、周面に所要の断面形状をもつ溝12a,13
aを有する溝付きロール12,13を採用し、繊維束の
断面形状を規制する機能をも併せ持たせている。しかし
ながら、本発明は前記溝付きロール12,13に限定さ
れるものではなく、炭素繊維束前駆体の走行方向を変更
するロールには周面が平滑なロールを採用し、同ロール
の上流側に繊維束の断面形状を規制する案内部を有す
る、例えば櫛歯状の部材や溝付きガイドロールなどの、
前記ロールとは別個の繊維束形状規制部材を配して、走
行方向の変更と繊維束断面形状の規制とを別個の部材に
より行うことも可能である。
【0052】
【実施例】以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本
発明について説明する。以下の実施例及び比較例では、
炭素繊維束前駆体としてアクリロニトリル96モル%を
含有した重合体繊維束であって、トータルテックスが8
000テックスのものを採用している。
【0053】また、耐炎化装置として、基本的には上述
した実施形態による耐炎化装置10を採用し、この耐炎
化装置、及びその他の耐炎化条件は以下の通りであり、
すなわち、 「耐炎化装置」 ・熱風循環型対流加熱炉 ・風 向:シート面に対し直交する方向 ・炉内風速:0.8m/s ・溝付きロール 外 径:第1チャンバー11a外部のロール12は190mm 第2チャンバー11b外部のロール13は125mm 溝上部の幅:15mm 「耐炎化張力」 0.8g/テックス 「繊維束最外層の単位厚み当たりの荷重」 T1 =30、T2 =24 「繊維束の単位厚み当たりの平均荷重」 TAve.(1) =15、TAve.(2) =7 である。
【0054】「実施例1」上述した実施態様による耐炎
化装置10を採用し、第1チャンバー11aでは図2に
示す平底の断面形状をもつ溝12aを有する溝付きロー
ル12を用いて、耐炎化糸密度が1.24g/cm3
なるまで耐炎化処理を施し、その後、第2チャンバー1
1bでは図3に示す丸底の断面形状をもつ溝13aを有
する溝付きロール13を用いて耐炎化糸密度が1.37
g/cm3 となるまで耐炎化処理した。このとき、第1
チャンバー11aでの耐炎化処理温度及び耐炎化処理に
要した時間は220℃/20分、第2チャンバー11b
での耐炎化処理温度及び耐炎化処理に要した時間は23
5℃/50分であった。
【0055】この耐炎化処理において、スモークの発生
や繊維束切れなども無く、優れた工程安定性を示した。
また、得られた耐炎化繊維は、耐炎化処理に起因する毛
羽の発生もなく、処理斑もほとんど確認されなかった。
かかる耐炎化繊維を更に炭素化して得られた炭素繊維
は、高強度で毛羽の少ない高品質で且つ高品位なもので
あった。
【0056】「比較例1」上述した耐炎化装置10にお
いて、第1チャンバー11aの外部に配された大径の溝
付きロール12を、図3に示す丸底溝13aをもつの小
径の溝付きロール13に変更し、全ての溝付きロールを
前記小径の溝付きロール13として、耐炎化糸密度が
1.37g/cm3 となるまで耐炎化処理を行った。
【0057】第1チャンバー11a及び第2チャンバー
11b内での耐炎化温度は上述した実施例1と同条件と
し、実施例1の如く耐炎化糸密度が1.23g/cm3
である時点で一旦抜き取り、耐炎化処理に要した時間を
測定した。その結果、第1チャンバー11aでは15
分、第2チャンバー11bでは55分、耐炎化処理に要
し、トータルでの耐炎化時間は実施例1と同一であった
が、スモークが頻繁に発生した。また、得られた耐炎化
繊維は耐炎化処理に起因する毛羽が多く、繊維束の中心
部にある単繊維と外周部にある単繊維との間には処理斑
が確認された。更に、工程通過性も悪く、得られた耐炎
化繊維を炭素化して製造された炭素繊維は強度が低く毛
羽の多いものとなった。
【0058】「比較例2」上述した耐炎化装置10にお
いて、第2チャンバー11bの外部に配された小径の溝
付きロール13を、図2に示す平底溝12aをもつ大径
の溝付きロール12に変更し、全ての溝付きロールを前
記大径の溝付きロール12として、耐炎化糸密度が1.
37g/cm3 となるまで耐炎化処理を行った。
【0059】第1チャンバー11a及び第2チャンバー
11b内での耐炎化温度は上述した実施例1と同条件と
し、実施例1の如く耐炎化糸密度が1.23g/cm3
である時点で一旦抜き取り、耐炎化処理に要した時間を
測定した。その結果、スモークや繊維束切れなどは無く
優れた工程安定性を示すものの、耐炎化処理に第1チャ
ンバー11aでは20分、第2チャンバー11bでは6
5分を要し、第2チャンバー11bでの耐炎化処理時間
が長く、トータルでの耐炎化時間も85分と、実施例1
の70分に比べて耐炎化に長時間を要した。得られた耐
炎化繊維は、耐炎化処理に起因する毛羽の発生は無く、
処理斑も確認されなかったが、上述のように処理時間が
長いことから、工程生産性の向上を図ることはできなか
った。
【0060】
【表1】
【0061】以上、述べたように、本発明による耐炎化
方法及び耐炎化装置にあっては、耐炎化処理工程での安
定性を損なうことなく、外観に優れ且つ単繊維間での処
理斑の少ない高品質で且つ高品位な構成単繊維数の多い
耐炎化繊維束を効率的に得ることができる。それに伴
い、その後の炭素化により得られる炭素繊維の品質及び
品位の向上、並びに高性能化を図ることが可能になると
ともに、一連の炭素繊維製造工程において最も多量のユ
ーティリティーを必要とする耐炎化工程での生産性を著
しく向上させることが可能となり、品質、品位、性能と
工程生産性との両立を高次で達成することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施態様による耐炎化装置の要
部を概略的に示す図である。
【図2】上記耐炎化装置に用いられる溝付きロールにお
ける溝の横断面形状を示す図である。
【図3】上記耐炎化装置に用いられる他の溝付きロール
における溝の横断面形状を示す図である。
【符号の説明】
10 耐炎化装置 11 熱処理室 11a 第1チャンバー 11b 第2チャンバー 11c スリット状開口 12 大径の溝付きロール 12a 溝 13 小径の溝付きロール 13a 溝 f 炭素繊維束前駆体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥屋 孝浩 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 三原 和茂 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4L037 CS02 CS03 CT31 CT33 CT41 FA03 PS00 PS02 PS12 PS20

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の炭素繊維束前駆体をシート状に
    引き揃え、少なくとも1以上のロールに掛け回して走行
    方向を変更しながら熱処理室内を複数段で走行させ、同
    前駆体に熱処理を施す炭素繊維束前駆体の耐炎化方法に
    おいて、 前記ロールの径を同ロールに掛け回される時点における
    炭素繊維束前駆体の耐炎化度に応じて設定することを特
    徴とする炭素繊維束前駆体の耐炎化方法。
  2. 【請求項2】 前記耐炎化度は前記ロールに掛け回され
    る時点での前記炭素繊維束前駆体の耐炎化糸密度により
    評価され、前記耐炎化糸密度が予め設定された特定の糸
    密度A以下では前記ロールを下式(1)を満たすロール
    径D1 に設定し、前記耐炎化糸密度が前記特定の糸密度
    Aを越えるときには同ロールを下式(2)を満たすロー
    ル径D2 に設定することを特徴とする請求項1記載の炭
    素繊維束前駆体の耐炎化方法。 (1)T1 ≦4.0×TAve. 6.2×T1 ≦D1 (2)3.0×TAve.≦T2 ≦5.0×TAve. 4.0×T2 ≦D2 ≦13.5×T2 但し、T1 、T2 は前記ロール上での炭素繊維束前駆体
    の最外層における単位厚み当たりの荷重であり、TAve.
    は炭素繊維束前駆体の単位厚み当たりの平均荷重であ
    る。
  3. 【請求項3】 前記特定の糸密度Aは1.23g/cm3
    以上1.26g/cm3以下であることを特徴とする請求
    項2記載の炭素繊維束前駆体の耐炎化方法。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維束前駆体は繊維束形状規制
    手段によりその断面形状が規制されてなることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束前駆体
    の耐炎化方法。
  5. 【請求項5】 前記炭素繊維束前駆体はポリアクリロニ
    トリル系繊維束であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の炭素繊維束前駆体の耐炎化方法。
  6. 【請求項6】 前記炭素繊維束前駆体は2000テック
    ス以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の炭素繊維束前駆体の耐炎化方法。
  7. 【請求項7】 シート状に引き揃えられて走行する多数
    本の炭素繊維束前駆体に熱処理を施す熱処理室と、前記
    前駆体を掛け回して走行方向を逆方向に変更する1以上
    のロールとを有してなる炭素繊維束前駆体の耐炎化装置
    において、前記ロールは同ロールに掛け回される時点に
    おける炭素繊維束前駆体の耐炎化度に応じて、そのロー
    ル径が設定されてなることを特徴とする炭素繊維束前駆
    体の耐炎化装置。
  8. 【請求項8】 前記耐炎化度は前記ロールに掛け回され
    る時点での前記炭素繊維束前駆体の耐炎化糸密度により
    評価され、前記ロールは、前記耐炎化糸密度が予め設定
    された特定の糸密度A以下では下式(1)を満たすロー
    ル径D1 に設定され、前記耐炎化糸密度が前記特定の糸
    密度Aを越えるときには下式(2)を満たすロール径D
    2 に設定されてなることを特徴とする請求項7記載の炭
    素繊維束前駆体の耐炎化装置。 (1)T1 ≦4.0×TAve. 6.2×T1 ≦D1 (2)3.0×TAve.≦T2 ≦5.0×TAve. 4.0×T2 ≦D2 ≦13.5×T2 但し、T1 、T2 は前記ロールに掛け回される炭素繊維
    束前駆体の最外層における単位厚み当たりの荷重であ
    り、TAve.は炭素繊維束前駆体の単位厚み当たりの平均
    荷重である。
  9. 【請求項9】 前記ロールは周面に繊維束の断面形状を
    規制する多数の溝を有する溝付きロールであり、前記溝
    の形状は、前記耐炎化糸密度が予め設定された特定の糸
    密度A以下では平底形状であり、前記耐炎化糸密度が前
    記特定の糸密度Aを越えるときには丸底形状であること
    を特徴とする請求項7又は8記載の炭素繊維束前駆体の
    耐炎化装置。
  10. 【請求項10】前記特定の糸密度Aは1.23g/cm3
    以上1.26g/cm3以下であることを特徴とする請求
    項8又は9記載の炭素繊維束前駆体の耐炎化装置。
  11. 【請求項11】 前記ロールの上流側には、前記繊維束
    の断面形状を規制する多数の案内部を有する繊維束形状
    規制部材が配されてなることを特徴とする請求項7又は
    8記載の炭素繊維束前駆体の耐炎化装置。
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