JP5556994B2 - 耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭素繊維の製造方法に関するものである。更に詳しくは、品質の高い耐炎化繊維を効率よく生産することのできる耐炎化繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は他の繊維に比較して優れた比強度、及び比弾性率を具備し、又金属に比較して優れた比抵抗、及び高い耐薬品性を有しており、これらの優れた各種の特性によって樹脂との複合材料の補強用繊維として使用されており、工業用途、スポーツ用途、航空宇宙分野用途等に幅広く利用されている。
炭素繊維は、一般的にはポリアクリロニトリル、レーヨン、ピッチ類等の有機繊維(一般的に前駆体繊維という)を酸化性雰囲気中にて200〜300℃で熱処理する耐炎化工程によって後段の炭素化工程での高温処理に耐えられる耐炎化繊維にした後、続いてこの耐炎化繊維を順次1000℃を超える不活性雰囲気中にて熱処理する炭素化工程を実施することによって得られる。
炭素繊維製造工程中における処理時間が最も長く、消費されるエネルギー量が最も多くなるのは耐炎化工程である。このため耐炎化工程での生産性向上が炭素繊維製造において最も重要となる。
耐炎化工程では、酸化性雰囲気化で前駆体繊維を熱処理するが、この際、前駆体繊維は酸化反応して発熱するため、この反応熱が繊維束内部に蓄熱して発火しないように、熱処理温度を200〜300℃と低温で処理しなければならない。このため、所定の耐炎化繊維を得るためには長時間の熱処理が必要となる。このような長時間の熱処理を可能とするため、耐炎化をおこなうための熱処理装置(以下、耐炎化炉という)は、耐炎化炉の外部に配設された折り返しロールによって、前駆体繊維が折り返されて耐炎化炉に繰り返し通過させられる構造が通常採られている。
炭素繊維の生産量を増やそうとすると同時に多数の繊維束を投入するか、繊維束の走行速度を上げることになる。しかし、同時に多数の繊維束を投入し生産能力を増強するには反応熱が繊維束内部に蓄熱して発火しないように、より低い温度で長時間の処理が必要になるため製造コストが上がってしまう。また、繊維束走行速度上げて生産能力を増強するためには耐炎化炉のサイズを大きくすることが必要となるため限界がある。
このような中、特許文献1には、製造工程中の処理時間の最も長い耐炎化工程の生産性の向上を目的とした方法が開発されている。例えば耐炎化工程での反応時間の短縮により耐炎化工程の生産性を向上させる手段として、糸条占有率を0.1〜20%の範囲に開繊した状態で加熱処理する方法が説明されている。
また、特許文献2には、繊維束シート状物の面占有率の規定に加え、耐炎化装置内の風速、及び耐炎化工程での被熱処理繊維束(アクリル繊維束が熱処理され耐炎化繊維になる前の状態)の工程張力の適性化を図ることにより、耐炎化繊維を効率よく生産する方法が記載されている。
特開平6−81223号公報 特開2000−160435号公報
しかしながら、特許文献1では耐炎化工程の処理時間は短縮できるが、糸条占有率を0.1〜20%の範囲に開繊した状態で加熱処理するため、アクリル繊維束の巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を上げることができず、生産性が良いとはいえない。
また、特許文献2では繊維束シート状物の面占有率は規定されているが、繊維束の投入量は記載されておらず生産性向上割合の定量化ができない。
本発明が解決しようとする課題は、炭素繊維の高生産性につながる耐炎化繊維の製造方法、つまり品質低下を伴わず耐炎化繊維を効率よく生産することのできる耐炎化繊維の製造方法を提供することにある。
炭素繊維の生産性を向上させるためには、耐炎化繊維にする耐炎化工程での生産性の向上が求められる。ここでの耐炎化工程の生産性向上は、単にプロセスあたりの生産量を増やすことを目的としているのではなく、単位あたりの炭素繊維製造時に使用するユーティリティー使用量等のランニングコストと炭素繊維製造プロセス建設費のイニシャルコストからなる製造コストとを両立させることである。
また、耐炎化工程での生産性向上の手法には、アクリル繊維束の巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)の増加や耐炎化時間の短縮等の手法がある。しかしこのような手法は、繊維束内部の処理斑や高温処理による繊維束を形成する単糸へのダメージにつながることが多いため、結果的に炭素繊維の品質低下を招くことが多かった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、耐炎化工程でのアクリル繊維束の巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)、繊維束シート状物の面占有率、耐炎化炉内の風速の適正化を図った耐炎化繊維の製造方法を提供することである。
上記の課題は、以下に記載する構成による本発明の耐炎化繊維の製造方法によって解決される。すなわち、アクリル繊維を巾1mmあたり250〜500texとなるように引き揃えて繊維束シート状物とし、
繊維束シート状物に平行な方向に2〜4.5m/秒の風速を有する熱風中で耐炎化する耐炎化繊維の製造方法である。
炭素繊維の高生産性につながるアクリル繊維束の連続熱処理方法、つまり品質低下を伴わず耐炎化繊維を効率よく生産することのできるアクリル繊維束の連続熱処理が可能となる。
耐炎化炉の縦断面図 図1の耐炎化炉のX−Y線断面図 折返しローラー拡大図
以下に本発明について図1〜3を参照しながら詳細に説明する。
上記の構成による本発明のアクリル繊維の製造方法において、
(アクリル繊維の巾1mmあたりのtex)
予め測定しておいた耐炎化炉の外部に配設された各折返しローラー通過時における単一の繊維束の繊度を、耐炎化炉の外部に配設された各折返しローラー上で測定した単一のアクリル繊維束の巾P1で割り返して、前記巾1mmあたりの平均繊度(=アクリル繊維束の総繊度/単一のアクリル繊維束の巾)を求めたものである。ここで使用する単一繊維束の繊度の測定はJIS−L1013(化学繊維フィラメント糸の試験方法)に準拠しておこなう。
(耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物の面占有率)
耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物の面占有率は、使用する耐炎化炉の有効炉長と有効炉幅との積(=耐炎化炉の底面の有効面積)に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物の面積の比率であり、
耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物の面占有率(%)={(単一のアクリル繊維束の巾×アクリル繊維束の本数×耐炎化炉の有効炉長)/(耐炎化炉の有効炉幅×耐炎化炉の有効炉長)×100}で求めることができる。
ここでの有効炉長は、図1に示すような循環熱風が繊維束シート状物と平行に流れるタイプの熱風循環型対流加熱炉においては、循環熱風の吹き出しノズルから循環熱風の吸い込みノズルまでの長さである。
有効炉幅は、熱風循環型対流加熱炉内部の循環熱風の風速が前記の範囲内に制御されている炉幅であり、図2では炉の全幅に渡り風速が制御されている場合を示す。又、耐炎化炉内の風速は、常温時における測定値である。
繊維束シート状物の間隔は、図1に示すように耐炎化炉内を複数回走行する繊維束シート状物間の面に対して垂直な方向の距離である。
折返しながらおこなう連続熱処理の1回の熱処理時間は、連続処理される繊維束シート状物が有効炉長を通過する所要時間である。
本発明の耐炎化繊維の製造方法において前駆体繊維束として使用するアクリル繊維束sは、アクリロニトリル単位が100質量%のアクリル繊維、又はアクリロニトリル単位を90質量%以上含有するアクリル共重合繊維が好適である。アクリル共重合繊維における共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム金属塩、アクリルアミド、アクリル酸メチル等が好ましいが、前駆体繊維束としてのアクリル繊維束sの化学的性状、物理的性状、寸法等は特に制限されるものではない。
アクリル繊維束sの熱処理を行う耐炎化炉の概略構造は、繊維束がシート状に引き揃えられた状態で走行できる処理室(図1には繊維束シート状物(2)に対して循環熱風fが平行に流れるタイプの耐炎化炉を図示、また、図2には図1の耐炎化炉のX−Y線断面図を図示する)と熱風を循環させる循環ファン(図示せず)、熱風の温度管理を行うためのヒーター(図示せず)からなる。このような熱風循環型対流加熱炉内を200℃〜300℃の酸化性雰囲気に維持し、この熱風循環型対流加熱炉内にアクリル繊維束sの多数本を引き揃えた繊維束シート状物(2)を導入し、前記シート状物を複数本の折返しローラー(4)(図3には折返しローラー(4)で折り返されるアクリル繊維束sを図示)を介して複数段に亙って並行状態で走行させながら熱処理することによって耐炎化繊維(3)にする。
単一の耐炎化炉に対する繊維束シート状物(2)の段数は、被熱処理繊維束であるアクリル繊維束sの性状、前記アクリル繊維束sに付与すべき熱履歴、加熱炉内の風向き、風量(風速)、熱風温度等によって異なる。なお、整流効果及び安全性確保の面から、各段毎に仕切りを入れることもできる。
被熱処理繊維束の耐炎化反応を制御するうえでの最も重要な点は、発熱反応により生じる繊維束内の蓄熱除去であり、過剰蓄熱が生じた場合にはスモークの発生、繊維束切れ、単糸間同士の融着などの問題を生じる。
つまり、繊維束シート状物(2)を形成している多数本の繊維束の全てに均一な風速と温度を与えることによって前述の問題を回避することができ、工程安定性を向上させることができる。このためには、耐炎化炉内への被熱処理繊維束の投入量を少なくして、発熱反応により生じる繊維束内の蓄熱を無くすと共に、被熱処理繊維束のバタツキによる相互干渉を無くせばよいが、これには工程生産性の犠牲が伴う。
そこで、炭素繊維の高生産性につながる本発明の耐炎化繊維の製造方法ついて説明する。
本発明における耐炎化繊維の製造方法は、アクリル繊維束sの多数本を引き揃えた繊維束シート状物(2)が、熱風循環型対流加熱炉からなる耐炎化炉内を折り返しローラーで折り返しながら複数回熱処理することによって耐炎化される処理方法からなる。耐炎化処理工程は、図1に示すような1つの耐炎化炉において行うことも可能であるが、アクリル繊維の耐炎化の進行に合せて、温度設定を変えられるように、耐炎化炉が複数台とすることも可能である。
上述の耐炎化炉内で、折返しローラー(4)上で、アクリル繊維の巾1mmあたり250〜500texとし、耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率を70〜100%とし、耐炎化炉内の風向きを繊維束シート状物(2)に対して平行とし、かつその風速を2〜4.5m/秒にする状態を維持することにより生産性の高い耐炎化処理が可能となる。
この時、耐炎化炉内に折返しローラー(4)上で、アクリル繊維の巾1mmあたり250〜500texとし、耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率を70〜100%とし、両立させることが必要である。
これは折返しローラー(4)で、アクリル繊維の巾1mmあたりのtexを適性化しても耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率が低い場合には、生産に関与しない空間が増えるため、耐炎化炉のサイズが同じであれば生産量が少なくなり生産性が低下することになる。
逆に、耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率が適性であってもアクリル繊維の巾1mmあたり250texより小さい場合には、繊維束シート状物(2)の面占有率低い場合と同様に生産量が少なくなり生産性が低下する。アクリル繊維の巾1mmあたりの500texより大きい場合には、単一の繊維束での反応熱量が多くなるため反応熱が繊維束内部に蓄熱して発火しないように、より低い温度で長時間の処理が必要になるため製造コストが上がり生産性が低下する。このようなアクリル繊維束sの巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)と耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率を両立させる方法として、耐炎化炉内に導入するアクリル繊維束sに撚りが発生しないようにすることが有効である。
さらに、アクリル繊維束sを引き揃えた繊維束シート状物(2)の面占有率を高めた状態では、隣り合った繊維束の間を風が通ることができないため、耐炎化炉内を循環する風向きは繊維束シート状物(2)に対して平行にすることが必要であり、その風速は2〜4.5m/秒であることが必要である。
風速を2m/秒未満にすると、耐炎化炉内の風による被熱処理繊維束の蓄熱の除熱作用が得られなくなり、除熱不良によるスモークを生じ易くなり、風速が4.5m/秒を超えると、耐炎化炉内の風による繊維束のバタツキが大きくなり、耐炎化炉の底面に対して平行する面で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れを生じ、毛羽の多い耐炎化繊維(3)が得られ易くなる。
さらに、耐炎化炉内を折返しローラー(4)を介して複数回走行する繊維束シート状物の間隔L3が100〜350mmであることが好ましく、繊維束シート状物の間隔L3が100mm未満では、繊維束を折返しローラー(4)に引き揃える作業をおこなうことが困難になる。また、繊維束シート状物の間隔L3が350mmより大きくなると耐炎化炉の装置高さが高くなるため装置表面からの放熱量が増え無駄なエネルギーが必要となる。
さらに、折返しながらおこなう連続熱処理の1回の熱処理時間が1〜3分であることが好ましく、1回の熱処理時間が1分未満では一度耐炎化炉の外に出して冷えた繊維束を再加熱するために必要な時間の割合が多くなり所要の耐炎化状態になるまでの時間が増える。1回の熱処理時間が3分を超える場合は、耐炎化炉の有効炉長L1を長くすることが必要となり耐炎化炉の製造が限界となる。
また、折返しローラー(4)にフラットローラーを使用することで耐炎化炉内に入るアクリル繊維束sを広げ、アクリル繊維束sの折返しローラー(4)幅方向の位置規制を折返しローラー(4)の前に設置したガイドでおこなうことが好ましい。
以下、本発明の具体的な構成を実施例に基づいて説明するが、本発明のアクリル繊維束sを連続熱処理する方法はこれらによって限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において使用した被熱処理繊維束及び耐炎化炉は、下記の通りのものである。
前駆体繊維束:アクリロニトリル単位を、96質量%有するアクリル共重合体繊維
耐炎化炉:熱風循環型対流加熱炉
耐炎化炉有効長:10m 、耐炎化炉有効幅:1m
炉内熱風の風向き:繊維束シート状物(2)に対して平行
(実施例1)
熱処理前の平均単糸繊度0.12tex、フィラメント数24000本の前駆体繊維束を125本引き揃えた繊維束シート状物(2)を連続的に熱処理できるように設置された3基の耐炎化炉で熱処理することにより耐炎化繊維(3)を得た。このときの熱処理の設定条件は循環熱風温度を230〜260℃、耐炎化炉内の循環風速を3m/秒とした。
なお、このときの各折返しローラー(4)上におけるアクリル繊維束sの巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を379〜394tex、耐炎化炉の底面に対する耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物(2)の面占有率は94〜96%、繊維束シート状物の間隔L3を200mm、1回の処理時間を1.5分とした。また、折返しローラー(4)にはフラットローラーを使用し、耐炎化炉内に入るアクリル繊維束sを広げ、アクリル繊維束sの折返しローラー(4)幅方向の位置規制は折返しローラー(4)の前に設置したガイドでおこなった。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(実施例2)
耐炎化炉内の循環風速を4m/秒、巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を480〜500tex、面占有率を74〜76%とした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(実施例3)
フィラメント数12000本の前駆体繊維束を200本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて、耐炎化炉内の循環風速を2.5m/秒、巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を303〜315texとした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(実施例4)
熱処理前の平均単糸繊度0.10tex、フィラメント数60000本の前駆体繊維束を50本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて耐炎化炉内の循環風速を3.5m/秒、巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を400〜416tex、面占有率を74〜76%、1回の処理時間を2.0分とした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(実施例5)
熱処理前の平均単糸繊度0.10tex、フィラメント数60000本の前駆体繊維束を57本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて耐炎化炉内の循環風速を4m/秒、
巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を403〜419tex、面占有率を84〜86%とした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(実施例6)
熱処理前の平均単糸繊度0.10tex、フィラメント数60000本の前駆体繊維束を67本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて
巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を471〜489texとした以外は実施例5と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られた。
(比較例1)
熱処理前の平均単糸繊度0.12tex、フィラメント数24000本の前駆体繊維束を100本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて、巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を433〜450tex、面占有率を64〜66%とした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られたが、アクリル繊維束sの投入本数が少なく面占有率が低いため生産性の悪いものとなった。
(比較例2)
熱処理前の平均単糸繊度0.10tex、フィラメント数60000本の前駆体繊維束を33本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて投入密度を211〜219tex、面占有率を94〜96%とした以外は実施例4と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られたが、アクリル繊維束sの巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)が小さいため生産性の悪いものとなった。
(比較例3)
熱処理前の平均単糸繊度0.10tex、フィラメント数60000本の前駆体繊維束を83本引き揃えた繊維束シート状物(2)を用いて耐炎化炉内の循環風速を4m/秒、
巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)を588〜611tex、面占有率を84〜86%とした以外は実施例4と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理を安定に行うためには、循環熱風温度を下げる必要があり所望の耐炎化繊維(3)を得るために必要となる所要時間が長くなった。この時、アクリル繊維束sの巾1mmあたりのアクリル繊維の繊度(tex)の増加による生産量増加の効果より、焼成に必要な時間が長くなることによる生産コスト上昇の影響の方が大きくなったため、結果として生産性の悪いものとなった。
(比較例4)
耐炎化炉内の循環風速:5m/秒とした以外は実施例3と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができたが、耐炎化炉内で隣接する繊維同士の接触によるものと考えられる単糸切れが発生し、品質に問題のある耐炎化繊維(3)となった。
(比較例5)
1回の処理時間を0.75分とした以外は実施例1と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られたが、アクリル繊維束sの処理速度を上げたことにより所望の耐炎化繊維(3)を得るために必要となる所要時間は長くなった。この時、アクリル繊維束sの処理速度を上げたことによる生産量増加の効果より、焼成に必要な時間が長くなることによる生産コスト上昇の影響の方が大きくなったため、結果として生産性の悪いものとなった。
(比較例6)
ローラー幅方向の位置規制は溝ローラーによっておこない、溝の形状は一本あたりの被熱処理繊維束の幅を15mm、繊維束同士のピッチを20mmに規制できる形状のものを使用した以外は、実施例4と同様にした。
上記のアクリル繊維束sの連続熱処理工程中には、暴走反応によるスモークの発生がなく安定した連続運転ができた。又、耐炎化炉内で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れ、単糸間の融着等がなく、品質の良い耐炎化繊維(3)が得られたが、耐炎化炉の装置高さが高くなったため装置表面からの放熱量が増え無駄なエネルギーが必要なり生産性の悪いものとなった。
以上の実施例及び比較例における生産性を生産量と生産コストの観点から、また、得られた耐炎化繊維(3)の目視による性状をまとめて表1に示す。
Figure 0005556994
1 耐炎化炉の概略構成図
2 繊維束シート状物
3 耐炎化繊維
4 折り返しローラー
5 循環熱風の吹き出しノズル
6 循環熱風の吸い込みノズル
s アクリル繊維束
f 循環熱風
L1 有効炉長
L2 有効炉幅
L3 繊維束シート状物の間隔
P1 アクリル繊維束の巾

Claims (4)

  1. アクリル繊維を巾1mmあたり250〜500texとなるように引き揃えて繊維束シート状物とし、耐炎化炉内に導入する繊維束シート状物の面占有率を70〜100%とし、繊維束シート状物に平行な方向に2〜4.5m/秒の風速を有する熱風中で耐炎化する耐炎化繊維の製造方法。
  2. 耐炎化炉内を走行する繊維束シート状物の間隔が100〜350mmである請求項1に記載のアクリル繊維束の連続熱処理方法。
  3. 1回の熱処理時間が1〜3分である請求項1又は請求項2に記載のアクリル繊維束の連続熱処理方法。
  4. 折返しローラーが、フラットローラーであり、
    フラットローラーの前に設置したガイドでアクリル繊維束の幅の規制をする請求項1から3のいずれか一項に記載のアクリル繊維束の連続熱処理方法。
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