JP2008231589A - 耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が可能な耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法。
【解決手段】前駆体繊維束1が送入送出を繰り返して内部を複数回走行する熱処理室11と、前駆体繊維が走行するそれぞれの各走行域に熱風を吹き込む加熱手段と、初期の走行域の風速が後期の走行域の風速より速くなる風速制御手段とを備えた耐炎化炉10。前記風速制御手段が、加熱手段に備えられていることを特徴とする耐炎化炉。耐炎化炉10に前駆体繊維を送入することを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、前駆体繊維に耐炎化処理を施すための耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法に関する。
炭素繊維、特にポリアクリロニトリル系炭素繊維は、その引張強度が500kg/mm以上、伸度2%以上と極めて高い強度を有するため、航空や宇宙用素材を始めとして、多方面で使用されている。
炭素繊維は、例えばポリアクリロニトリル系繊維等の前駆体繊維束(プリカーサ)を、耐炎化炉内を循環する200〜350℃程度の比較的低温の酸化性雰囲気の熱風(以下、単に熱風と略する。)によって焼成(耐炎化処理)して耐炎化繊維束とし、得られた耐炎化繊維束を1,000℃程度以上の高温の不活性雰囲気中で焼成(炭素化処理)することで製造されている。
耐炎化炉に送入された前駆体繊維束は、その熱処理室内を流れる熱風によって徐々に耐炎化処理される。その際、前駆体繊維束自体が耐炎化反応による発熱を生じ、特に初期の走行域において激しく発熱する。従って、初期の走行域の前駆体繊維が熱処理室内で過度の高温に晒されると、耐炎化反応が急激に進行して、発火や糸切れを生じやすい。初期の走行域での発火や糸切れを低減するには、熱処理室内を流れる熱風の温度を低く抑える必要がある。しかしながら、熱風の温度を低くすると、後期の走行域の耐炎化処理の進行が遅くなるため、これが耐炎化繊維束の生産性を低下させる要因の一つとなっていた。
これに対し、例えば特許文献1では、耐炎化炉の熱処理室内を複数の熱処理区画に区分し、各熱処理区画の温度を、耐炎化処理の進行に合わせて個別に設定できるようにした耐炎化炉が提案されている。また、例えば特許文献2では、初期の走行域の温度を後期の走行域の温度より低くするために、熱風の熱風吹出口に外気、水、その他の冷媒による冷却手段を備えた耐炎化炉が提案されている。
特開平10−237723号公報 特開2004−197239号公報
しかしながら、特許文献1に記載の耐炎化炉は、前駆体繊維が走行する順に各熱処理区画の温度を上昇させているため、熱処理室に出入りを繰り返しながら走行する前駆体繊維にとって、異なる熱処理区画に送入される度に急激な温度上昇が加わることになり、得られる耐炎化繊維束の品質低下を招く恐れがある。
また、特許文献2に記載の耐炎化炉は、冷却手段の周囲温度が低下するために、熱風中に漂うタール成分等の分解生成物が凝集し、冷却手段を始めとした耐炎化炉内の各所に付着してしまう恐れがある。これらの凝集物が冷却手段に付着すると、冷却能力が低下し、安全運転に支障をきたす。また、凝集物が耐炎化処理中の前駆体繊維に付着すると、糸切れ等の品質低下を招きやすい。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が可能な耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] 前駆体繊維が送入送出を繰り返して内部を複数回走行する熱処理室と、前駆体繊維が走行するそれぞれの走行域に熱風を吹き込む加熱手段と、初期の走行域の風速を後期の走行域の風速より速くする風速制御手段とを備える耐炎化炉。
[2] 風速制御手段が、加熱手段に備えられている[1]に記載の耐炎化炉。
[3] 初期の走行域と後期の走行域との間に仕切り板が設けられている[1]または[2]に記載の耐炎化炉。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の耐炎化炉に前駆体繊維を送入する耐炎化繊維の製造方法。
本発明の耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法を用いれば、耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が実現できる。
本発明の耐炎化炉について、図1に示す熱風循環方式の耐炎化炉10を用いて説明する。
耐炎化炉10は、前駆体繊維束1が送入送出を繰り返して内部を複数回走行する熱処理室11と、前駆体繊維束1が走行するそれぞれの走行域に熱風を吹き込む加熱手段と、初期の走行域の風速が後期の走行域の風速より速くなる風速制御手段とを備えている。
加熱手段は、熱処理室11内に熱風を吹き込む複数の熱風吹出口13と、熱風を熱処理室11外に排出する複数の熱風排出口14と、各熱風吹出口13と各熱風排出口14とを繋ぐ循環路17と、循環路17の途中に設けられた加熱器15と、送風器16とで構成されている。
各熱風吹出口13から熱処理室11内に吹き込まれた熱風は、熱処理室11内を前駆体繊維束1の走行域に沿いながら熱風排出口14側に向かって流れる。次いで、熱風排出口14から熱処理室11外に排出された熱風は循環路17に導かれ、循環路17に設けられた加熱器15で加温され、さらに送風器16によって風速を制御された後に、再び各熱風吹出口13から前駆体繊維の複数の各走行域に吹き込まれる。吹き込まれた熱風は、熱処理室11内を矢印で示すように前駆体繊維束1の走行域に沿って流れた後、再び熱風排出口14から排出されることで、耐炎化炉10の熱風循環は繰り返されている。このような熱風循環方式の耐炎化炉10は、前駆体繊維束に酸素と熱を適度に供給でき、かつ高温に熱した酸化性雰囲気を繰り返し使うため、熱効率がよい。なお、図示しないが、熱風吹出口13及び熱風排出口14は、紙面に対して垂直な方向、すなわちシート状をなす前駆体繊維束1のシート幅方向に渡って配置されている。
前駆体繊維束1は、耐炎化炉10の熱処理室11側壁に設けたスリットから熱処理室11内に送入され、熱処理室11内を直線的に走行した後、対面の側壁のスリットから熱処理室11外に一旦送出され、熱処理室11外の側壁に設けられたガイドロール12によって折り返され、再び熱処理室11内に送入される。このように、前駆体繊維束1は複数のガイドロール12によって走行方向を複数回折り返すことで、熱処理室11内への送入送出を複数回繰り返しながら、熱処理室11内を全体として図1の下から上に向けて移動する。
前駆体繊維束1は、熱処理室11内を走行している間に、熱風吹出口13から吹き出される200〜350℃程度の熱風によって耐炎化処理されて耐炎化繊維束となる。なお、図示しないが、前駆体繊維束1は紙面に対して垂直な方向に複数本並行するように引き揃えられた前駆体繊維束の繊維束群を形成しており、幅広のシート状の形態、もしくは一定間隔で前駆体繊維束が配列した形態を有している。
熱風吹出口13には、その吹き出し面に多孔板等の抵抗体及びハニカム等の整流部材を配して圧力損失を持たせ、熱処理室11内に吹き込む熱風の整流を行うことが好ましい。
熱風排出口14は、熱風吹出口13と同様に、その排出面に多孔板等の抵抗体を配して圧力損失を持たせてもよいが、持たせなくてもよく、必要に応じて適宜決定される。なお、各熱風吹出口13は、耐炎化炉10の設備費を低減するために、加熱器15及び送風器16を共通とすることもできるが、共通としていなくてもよい。
加熱器15は、熱風を所望の温度に加熱できる性能を有していれば特に限定されないが、例えば電気ヒーター等が用いられる。
送風器16は、所望の性能を有していれば特に限定されないが、例えば軸流ファン等が用いられる。
循環路17には、必要に応じて、熱風中のタール等の異物を漉し取る異物除去手段(不図示)を設けていてもよい。異物除去手段としては特に制限されないが、例えば金網やパンチングプレート等の多孔板が挙げられる。また、熱風中の一部を排気する排気ライン(不図示)もしくは清浄な空気を供給する供給ライン(不図示)を設けて、熱処理室11内のガスの交換を促進させてもよい。
耐炎化処理が進行した後期の走行域の前駆体繊維束1は、発熱量が少ないので発火や糸切れを起こしにくいが、初期の走行域の前駆体繊維束1は、耐炎化反応に伴う発熱量が多い。従って、前駆体繊維束1が蓄熱して発火や糸切れを生じないように、初期の走行域の前駆体繊維束1から発せられる熱は、速やかに除熱される必要がある。
ここで初期の走行域とは、前駆体繊維束1の耐炎化初期の走行域を表す。初期の走行域は、熱処理室の大きさ、両端のガイドロール12の間隔、熱風の温度、前駆体繊維の耐炎化の進行度合いによって左右されるが、例えば図1の耐炎化炉10においては、およそ熱処理室11内の下側1/3程度の走行域(前駆体繊維束1の1往復分の走行域)が初期の走行域の目安である。後期の走行域は、前駆体繊維束1の耐炎化が進行した耐炎化後期の走行域のことを表し、熱処理室11内における初期の走行域以外の走行域が後期の走行域に該当する。
本発明の耐炎化炉10は、初期の走行域の風速が後期の走行域の風速より速くなる風速制御手段を備えている。初期の走行域の風速を後期の走行域の風速より速めることで、初期の走行域の前駆体繊維束1の発熱を速やかに除熱することができる。従って、本発明の熱処理炉10は、熱処理室11内が一様に同じ温度であったとしても、初期の走行域の除熱効果を高めることができる。ゆえに、本発明の耐炎化炉10は、熱処理室11全体をより高い温度に設定して、前駆体繊維束1の耐炎化反応を早めることができる。これにより、耐炎化処理の時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができる。初期の走行域の風速を後期の走行域の風速に比べてどの程度速めるかは、前駆体繊維束の種類、太さ、走行速度、走行域の段数、熱処理室11内の温度等によっても異なるが、後期の走行域の風速より、少なくとも1.2倍に風速を速めるのが好ましく、1.5倍〜2.5倍がより好ましい。
本発明の耐炎化炉10は、風速制御手段が加熱手段に備えられていることが好ましい。例えば初期の走行域に熱風を吹き込む熱風吹出口13aの吹き出し面に配した多孔板の開孔率を、熱風吹出口13bのそれより大きくしてやれば、熱風吹出口13aの圧力損失を、熱風吹出口13bのそれより低減することができる。圧力損失が低減されると、熱風吹出口13aからの熱風の吹き込み量が増えるため、初期の走行域の風速を後期の走行域のそれより速めることができる。多孔板の開孔率の変更による風速制御は、多孔板の交換のみで済むため、すでに設置済みの耐炎化炉にも大掛かりな改造無しに適用可能である。
熱風排出口14の排出面にも、熱風吹出口13と同様に、熱風排出口14a及び熱風排出口14bの排出面に開孔率を変えた多孔板等の抵抗体を配して、吸い込み速度に変化を持たせるのが好ましい。熱風吹出口13aの吹き込み風速と熱風排出口14aの排出速度を速く、また、熱風吹出口13b吹き込み速度と熱風排出口14bの排出速度を遅くすることで、初期の走行域及び後期の走行域の熱風の流れを、よりスムーズにすることができる。
加熱手段に好ましく設置される風速制御手段としては、前述の例示の他にも、例えば風速制御用ダンパー(不図示)を熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bに設置することが挙げられる。熱風吹出口13aに設置された風速制御用ダンパーの開閉度合いを、熱風吹出口13bに設置されたそれよりも大きくすることで、初期の走行域の風速を後期の走行域のそれよりも速くすることができる。なお、風速制御用ダンパーは、予め、所望の風速が得られるようにその開閉度合いを固定していてもよいが、熱処理室11外に設けた開閉制御器(不図示)等によって、その開閉度合いを耐炎化炉の稼働中でも可変できるようにしてもよい。なお、風速制御用ダンパーは、熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bの吹き出し面の外側に設けてもよく、熱風吹出口13a及び、または熱風吹出口13bの内部に設けてもよく、必要に応じて適宜決定される。
加熱手段に設置される風速制御手段としては、前述の例示の他にも、例えば分岐路17aの内寸の断面積を、熱風吹出口13aに繋がれる分岐路17aと、熱風吹出口13bのそれとで差を持たせることによってもよい。具体的には、熱風吹出口13aに繋がる分岐路17a内の断面積を、熱風吹出口13bに繋がるそれよりも広くすることで、熱風吹出口13aに対して、より多くの熱風が流すことができる。これにより、初期の走行域の風速を後期の走行域の風速より速めることができる。熱風吹出口13a及び熱風吹出口13bに繋がる分岐路17a内の断面積に、どの程度の断面積差を付けるかは、耐炎化炉の規模や熱風流量などによって適宜決定される。
本発明の耐炎化炉10は、これら風速制御手段を組み合わせて用いてもよい。また、これら風速制御手段は、熱風排出口14側にも同様に設けられていてもよい。
本発明の耐炎化炉10は、前述のような加熱手段に設けた風速制御手段以外にも、例えば熱処理室11内の初期の走行域に、送風器(不図示)等の風速制御手段を備えていてもよい。また、加熱手段に設置した風速制御手段と、それ以外の風速制御手段を組み合わせて用いることもできる。
図2に示すように、本発明の耐炎化炉20は、初期の走行域と後期の走行域との間に仕切り板18を設けるのが好ましい。なお、仕切り板18は走行域に対して平行に設置される。
仕切り板18を設けることで、熱処理室11内を初期の走行域に該当する熱処理区画11aと後期の走行域に該当する熱処理区画11bとに区分けでき、初期の走行域及び後期の走行域を流れる熱風が適切な風速を維持することができる。これにより、双方を走行する前駆体繊維束1に対してより的確な熱風を吹き付けることができる。なお、仕切り板18は、熱処理区画11aと熱処理区画11bとの間を完全に仕切っていてもよいが、部分的に仕切るだけでもよい。また、図2の耐炎化炉20では、仕切り板18を1枚のみ設置しているが、必要に応じて、各走行域の間の任意の位置に仕切り板18を複数配置してもよい。なお、図2の耐炎化炉20の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を使用して、説明を省略する。
さらに本発明は、図3に示すように複数の加熱器15、送風器16、及び循環路17を備えた耐炎化炉30であってもよい。耐炎化炉30は仕切り板18で仕切られた熱処理区画11a及び11bに対して、それぞれ個別の加熱手段を設けている。これにより、耐炎化炉30は熱処理区画11aと熱処理区画11bそれぞれに配される送風器16によって個別に風速制御することができる。すなわち、耐炎化炉30は、前述の加熱手段に風速制御手段を設けた一例でもある。また、耐炎化炉30は、熱処理室毎に加熱手段を備えているので、加熱手段毎に温度設定を違えることで、熱処理区画11aと熱処理区画11bを異なった温度設定とすることができる。なお、図3の耐炎化炉30の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を使用して、説明を省略する。
前記においては、いわゆる横型耐炎化炉について説明したが、本発明はそれに限定されず、熱処理室が上下方向に延びる縦型耐炎化炉も全く同様に構成することができる。
また、前記の説明では、熱風循環方式の耐炎化炉10、20、30を例示したが、本発明は、例えば図5に示すように、熱風の循環系を有しない非循環方式の耐炎化炉50であってもよい。非循環方式の耐炎化炉50は、外気を供給路51で導き、その供給路51の途中に設けた加熱器15及び送風器16によって所望の温度に加熱された熱風とした上で、熱処理室11内に吹き込む。吹き込まれた熱風は、熱処理室11内を通過して前駆体繊維束1を加熱した後、熱風排出口14によって熱処理室11外に排出される。排出された熱風は、熱処理室11内に再び戻されることなく、排出路52を通り、耐炎化炉50外に排出される。このような非循環方式の耐炎化炉50は、循環方式に比べて熱風の加熱に要するエネルギーコストが掛かるが、常に新鮮な熱風を送り込めるという利点がある。なお、図5の耐炎化炉50の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を使用して、説明を省略する。
さらに本発明は、前駆体繊維束1の走行方向に沿って熱処理室11内に熱風を吹き込む方式の耐炎化炉であればよいので、前記の例示以外にも、例えば、熱処理室11の中央部付近の各走行域間に熱風吹出口13を設けて、そこから熱処理室11の両端に設けた熱風排出口14に向けて熱風を吹き出す公知の耐炎化炉(不図示)でもその効果が得られる。
本発明の耐炎化炉10、20、30、50を用いた耐炎化繊維の製造方法においては、これらの耐炎化炉を複数使用してもよく、さらに、例えば図4に示すような従来の耐炎化炉40と組み合わせて用いてもよい。なお、図4の従来の耐炎化炉40の符号について、図1の耐炎化炉10の各構成と同様の構成物に関しては、便宜上、図1と同じ符号を使用して、説明を省略する。
本発明の耐炎化炉10、20、30、50に送入される前駆体繊維束1を構成する繊維としては、公知の前駆体繊維を挙げる事ができ、例えば炭素繊維の前駆体繊維であるポリアクリロニトリル系繊維、ピッチ系繊維、フェノール系繊維等が挙げられる。また、本発明は他にも、例えば糸やフィルム、シート等といった各種の熱処理にも適用が可能である。
本発明の耐炎化繊維の製造方法によって製造された耐炎化繊維束は、次いで炭素化炉に送入され、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性熱風中にて1,000〜3,000℃程度の温度で焼成、炭化処理することによって炭素繊維束とすることができる。また、耐炎化繊維束は、炭素繊維束に加工される以外にも、難燃性織布の素材としても広く用いられている。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例及び比較例では、実際の使用に則すため、前駆体繊維束への耐炎化処理を、2台の耐炎化炉を用い、耐炎化処理を2回に分けて行った。
(実施例1)
100本のポリアクリロニトリル系繊維束を互いに並行するようにシート状に引き揃えて前駆体繊維束群とした。なお、前記ポリアクリロニトリル系繊維の1本当たりの単糸繊度は1.2dtex、単糸数50,000本である。
前記の前駆体繊維束1を1回目の耐炎化処理として、図4に示すような従来の耐炎化炉40に送入し、熱風温度236℃、熱風風速3.0m/sで17分間の耐炎化処理を施した。なお、1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1の耐炎化密度は、1.24g/cmであった。
1回目の耐炎化処理を終えた前駆体繊維束1に対して、次いで図3に示す耐炎化炉30を用いて2回目の耐炎化処理を行い、熱処理室11内の熱風の温度を236℃から次第に上昇させ、前駆体繊維束1に糸切れが発生した温度を測定した。その結果、250℃で糸切れが発生した。なお、2回目の耐炎化処理において、耐炎化炉30の熱処理区画11aの風速、すなわち前駆体繊維束1の初期の走行域の風速は4.5m/sとし、熱処理区画11bの風速、すなわち後期の走行域の風速は3.0m/sに設定した。
次に、前述の1回目の耐炎化処理を行った前駆体繊維束1を、図2の耐炎化炉20に送入し、前述で得られた前駆体繊維束1の糸切れが発生した温度から8℃低い242℃に設定して、13分間の耐炎化処理を行った。このようにして得られた耐炎化繊維束の耐炎化密度、すなわち耐炎化繊維束の密度を測定したところ、1.27g/cmを示した。また、耐炎化繊維束の耐炎化密度は、耐炎化反応の進み具合を判断するための尺度となる。また、前記耐炎化処理の温度は、耐炎化処理工程内で発生する風速、温度、繊維束投入密度等の条件変動による切断温度の変化を考慮に入れて、糸切れが発生した温度から8℃低い温度に設定した。
(比較例1)
2回目の耐炎化処理にも、図4に示す従来の耐炎化炉40を用いた以外は、実施例と同様にして、前駆体繊維束1の糸切れが発生した温度を測定した。その結果、2回目の耐炎化処理において、246℃で糸切れが発生した。
次に、前述の1回目の耐炎化処理を行った前駆体繊維束1を用いて、2回目の耐炎化炉の熱風温度を、糸切れが発生した温度から8℃低い238℃に設定して、耐炎化処理を行った。耐炎化繊維束の密度が実施例1と同じ1.27g/cmに到達するために要する時間を測定したところ、17分を要した。
結果、実施例1の耐炎化炉30は、比較例1の従来の熱処理炉40に比べて、高い温度で耐炎化処理が行えることが確認された。
また、実施例1の耐炎化密度を1.27g/cmとするのに、糸切れの可能性のない温度において、実施例1の耐炎化炉30では13分、比較例1の従来の熱処理炉40では17分を要した。よって、本発明によると、従来の耐炎化炉に比べて耐炎化処理の温度を高く設定できることで、耐炎化処理がより短時間で施せることが確認できた。
本発明の耐炎化炉を用いた耐炎化繊維の製造方法によると、耐炎化初期(初期の走行域)の前駆体繊維の発熱を効率よく除熱できるため、糸切れや発火等を生じにくくなり、耐炎化繊維束の品質を向上できる。
また、本発明の耐炎化炉は、初期の走行域の熱処理室内の温度を一様としながら、初期の走行域の風速を後期の走行域の風速より速くすることにより、初期の走行域の除熱を後期の走行域の除熱より高めることができる。これにより、熱処理室内の温度制限を初期の走行域の温度設定に制約されずに済み、従来の耐炎化炉に比べて高い温度で耐炎化処理を行うことができる。ゆえに、前駆体繊維束の耐炎化処理を早めることができ、耐炎化繊維束の生産性を向上できる。
よって、本発明の耐炎化炉及び耐炎化繊維の製造方法を用いれば、耐炎化繊維の生産性及び品質の向上が実現できる。
本発明の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。 従来の耐炎化炉の一例を示す概略構成図。 本発明の別の実施形態例を示す耐炎化炉の概略構成図。
符号の説明
1 前駆体繊維
10、20、30、50 耐炎化炉
11 熱処理室
11a、11b熱処理区画
12 ガイドロール
13、13a、13b熱風吹出口
14、14a、14b熱風排出口
15 加熱器
16 送風器
17 循環路
17a 分岐路
18 仕切り板
40 従来の耐炎化炉

Claims (4)

  1. 前駆体繊維が送入送出を繰り返して内部を複数回走行する熱処理室と、前駆体繊維が走行するそれぞれの走行域に熱風を吹き込む加熱手段と、初期の走行域の風速を後期の走行域の風速より速くする風速制御手段とを備える耐炎化炉。
  2. 風速制御手段が、加熱手段に備えられている請求項1に記載の耐炎化炉。
  3. 初期の走行域と後期の走行域との間に仕切り板が設けられている請求項1または2に記載の耐炎化炉。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の耐炎化炉に前駆体繊維を送入する耐炎化繊維の製造方法。
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