JP4292771B2 - 熱処理炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維の製造に用いて好適な熱処理炉およびそれを用いた炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱処理炉、特に炭素繊維の製造に用いられる熱処理炉としては、熱処理室の上面に設けた熱風供給口および下面に設けた熱風排出口と、熱処理室の側壁に糸条導入口と糸条導出口とを有し、熱処理室内で糸条を水平方向に走行させながら、その糸条に上方から熱風を吹き付けて熱処理するようにした熱処理炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような熱処理炉においては、例えばそれが耐炎化炉である場合、複数本のポリアクリロニトリル(PAN)系のプリカーサ(前駆体繊維)からなる糸条は、水平面内において任意のピッチを保ちながら熱処理室内に導入され、かつ、熱処理室の両側に設置されたガイドローラによって走行方向を反転しながら熱処理室内への出入を繰り返し、熱処理室の上下方向において任意のピッチを保ちながら走行し、耐炎化処理される。
【0004】
特許文献1に開示されている熱処理炉においては、熱処理室側壁の糸条導入口および糸条導出口の外側に隣接してシール室を設け、そのシール室に排気機構を備えることで、熱処理室から流出する熱風を排気し、有害ガスの炉外への漏出を阻止すると共に、熱処理室内への外気流入を抑制している。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−173761号公報(第2−6頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された熱処理炉では、生産性を上げるための一手段として、熱処理室内を出入りする糸条の段数を増やす場合、流れが糸条を通過する際に生じる抵抗が大きくなり、流れの上流から下流に向けて生じる圧力低下が増大する。このため、熱処理室内と炉外雰囲気との圧力差も増大し、前記シール室だけでは熱処理室内への外気流入を防ぐことができなくなる。結果、熱処理室の上方に設けた糸条導入口および糸条導出口からは熱処理室内の熱風が流出し、熱処理室の下方に設けた糸条導入口および糸条導出口からは外気が熱処理室内へ流入するようになる。
【0007】
熱処理室内への外気流入は、熱処理室内の温度むらを引き起こし、製品の品質を低下させるという問題がある。また、外気の流入した領域は、温度が低いために糸条の熱処理が進行せず、生産性が低下する。また、熱風排出口から排出される熱風を熱風供給口に戻して循環使用する場合、外気の流入によって温度が低下した循環熱風を、再び所望の温度に加熱するためのヒータ消費電力量が増えるため、エネルギー効率が低下するという問題がある。
【0008】
また上記熱処理炉では、熱処理室から流出する熱風を排気すると共に、熱処理室への外気流入を抑制するために、熱処理室の外側にシール室という追加設備が必要であり、設備の設置スペースが大きくなるとともに、設備費が増大し製造原価が上がるという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、特別な追加設備を設置することなく、熱処理室外への熱風流出と熱処理室内への外気流入とを防ぎ、熱処理室内の温度均一性に優れた熱処理炉、およびそれを用いた炭素繊維の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対し、本発明者らは、熱風に作用する浮力を利用することで解決できることを見出した。すなわち、本発明によれば、熱処理室と、この熱処理室の上方側に設けた熱風排出口および下方側に設けた熱風供給口と、熱処理室の側方側に設けた糸条導入口および糸条導出口とを有し、熱処理室内で糸条を水平方向に走行させながら、その糸条に下方から熱風を吹き付けて熱処理するようにするとともに、複数本の糸条を、水平面内において任意のピッチPhを保つように熱処理室内に導入し、かつ、熱処理室内への出入を繰り返しながら熱処理室の上下方向において任意のピッチPvを保つようにし、さらに、熱風が糸条を通過するときの圧力低下量をΔP(Pa)、炉外雰囲気の密度と熱風の密度との差に基づいて熱風に生ずる浮力をF(N/m 3 )、上下方向の糸条ピッチをPv(m)としたとき、F×Pv/ΔPが0.7〜1.6の範囲内になるように、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件が調整されてなる熱処理炉が提供される。
【0011】
ここで水平方向とは、地面に対して概略平行となる方向のことである。概略平行とした理由の1つは、糸条は自重によって懸垂するため、その走行方向は地面に対して完全に平行とはならないためである。もう1つの理由は、熱処理室の両側で糸条を支えるガイドローラに段差があるなどの原因で、糸条の走行方向が地面に対して傾斜しても、糸条が熱処理室の向かい合う2側面に渡してあれば、実質的には以下に記す本発明の原理が成り立つためである。
【0012】
一般に、熱処理室内の熱風は外気に比べ気体密度が小さいため、熱風には浮力が作用し、熱処理室の上下方向に圧力勾配が生じる。すなわち、炉外雰囲気の圧力に対して熱処理室上方の圧力は大きくなり、熱処理室下方の圧力は小さくなる。一方、熱処理室内の熱風には、流れが糸条を通過する際の抵抗によって圧力損失が生じ、熱風の上流から下流に向けて圧力が低下する。
【0013】
本発明の熱処理炉は、熱風の上流となる熱風供給口を熱処理室の下方側に設け、熱風の下流となる熱風排出口を熱処理室の上方側に設けることで、流れが糸条を通過する際の抵抗によって生じる圧力勾配が、浮力の作用によって生じる圧力勾配に対して逆符号となるようにしている。そのため、浮力の作用によって生じる圧力勾配と流れが糸条を通過する際の抵抗によって生じる圧力勾配とが打ち消し合い、熱処理室の上下方向に生じる圧力勾配が小さくなる。結果として、熱処理室内と炉外雰囲気との圧力差が小さくなり、何ら特別な追加設備を設置することなく、熱処理室外への熱風流出と熱処理室内への外気流入とを防ぎ、熱処理室内の温度均一性に優れた熱処理炉が提供される。
【0014】
上記熱処理炉において、複数本の糸条を、水平面内において任意のピッチPhを保つように熱処理室内に導入し、かつ、熱処理室内への出入を繰り返しながら熱処理室の上下方向において任意のピッチPvを保つようにすることで、糸条の大量処理が可能な多段熱処理炉が提供される。
【0015】
上記多段熱処理炉において、熱風が糸条を通過するときの圧力低下量をΔP(単位:Pa)、炉外雰囲気の密度と熱風の密度との差に基づいて熱風に生ずる浮力をF(単位:N/m3)、上下方向の糸条ピッチをPv(単位:m)としたとき、F×Pv/ΔPが0.7〜1.6の範囲内になるように、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件を調整することで、温度均一性に優れた熱処理炉が提供される。F×Pv/ΔPの範囲は、外気流入を防止するための範囲として採用したものである。
【0016】
ここでF×Pv/ΔPの調整に、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhを用いる理由を以下に述べる。
【0017】
ΔPは流れが糸条を通過する際に生じる糸条1段あたりの圧力低下量である。ΔPは、水平面内における糸条のピッチPh、糸条の形状、熱風の流速などによって変化する。このうち変更可能な生産条件は、糸条ピッチPhと熱風の流速である。ΔPの値は、実験的に測定しても良いし、生産機において測定しても良いし、数値シミュレーションによって求めても良い。
【0018】
また、熱風に作用する浮力Fは、炉外雰囲気の密度をρ0(単位:kg/m3)、熱風の密度をρh(単位:kg/m3)、重力加速度の大きさをg(単位:m/s2)とすると、F=g(ρ0−ρh)と表される。地上の常温・大気圧雰囲気下に置かれた熱処理炉の場合、重力加速度の大きさgと炉外雰囲気密度ρ0はほぼ固定されるため、変更可能な生産条件は熱風の温度によって決まる密度ρhである。糸条が熱処理室の上下方向にピッチPvを保ちながら多段に並んでいる場合、浮力による糸条1段あたりの圧力上昇量はF×Pvとなる。
【0019】
以上の理由により、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhの調整によって、F×Pv/ΔPが決定されることになる。
【0020】
また、前記多段熱処理炉における別の好まし態様として、熱処理室上部の圧力P1と熱処理室下部の圧力P2との関係が、−9Pa≦P1−P2≦6Paとなるように、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件を調整することで、温度均一性に優れた熱処理炉が提供される。P1−P2の範囲は、外気流入を防止するための範囲として採用したものである。
【0021】
圧力を測定する際の熱処理室上部とは、糸条の最上段より上側で、かつ熱処理室の上面より下側の領域である。同様に熱処理室下部とは、糸条の最下段より下側で、かつ熱処理室の下面よりも上側の領域である。圧力P1およびP2は各領域内の静圧である。P1とP2との圧力差は、絶対圧力計で測定したそれぞれの領域の圧力の差として求めても良いし、差圧計を用いて2つの領域の圧力差を直接測定しても良い。また、数値シミュレーションによって求めても良い。測定値は時間的に変動するので、各測定箇所で3回以上サンプリングし、その平均値とすることが好ましい。測定箇所は、各領域内で1カ所づつとしても良いし、各領域内で複数箇所測定し、その平均値として求めても良い。
【0022】
また、前記多段熱処理炉における別の好ましい態様として、熱処理室上部の圧力P1と熱処理室下部の圧力P2との関係が、P1−P2>6Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P1−P2<−9Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する熱処理炉が提供される。
【0023】
熱風の流速を調整する手段としては、ファンの回転数を変更するものや、ダンパの開き具合を変更するものがある。また、これを自動化するために、圧力差を逐次検出するための検出装置と、同検出装置によって検出された信号により、ファンの回転数やダンパの開き具合を調整する制御装置とを備えることもある。
【0024】
また、前記多段熱処理炉における別の好ましい態様として、熱処理室上部の圧力P1と炉外雰囲気の圧力P0との関係が、P1−P0>3Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P1−P0<−5Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する熱処理炉が提供される。
【0025】
また、前記多段熱処理炉における別の好ましい態様として、熱処理室下部の圧力P2と炉外雰囲気の圧力P0との関係が、P2−P0<−3Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P2−P0>4Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する熱処理炉が提供される。P1−P0およびP2−P0の範囲は、外気流入を防止するための範囲として採用したものである。
【0026】
また、前記多段熱処理炉における別の好ましい態様として、熱処理室の上半分にある糸条導入口または糸条導出口から熱処理室外への熱風流出が観測された場合には熱風の流速が大きくなるように調整し、熱処理室の下半分にある糸条導入口または糸条導出口から熱処理室外への熱風流出が観測された場合には熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する熱処理炉が提供される。
【0027】
熱処理室の上半分とは、熱処理室の高さ方向において、中央より上側の領域の少なくとも一部のことである。同様に、熱処理室の下半分とは、熱処理室の高さ方向において、中央より下側の領域の少なくとも一部のことである。
【0028】
また、前記多段熱処理炉における別の好ましい態様として、熱風排出口から排出される熱風の温度が最大になるように、熱風の流速を調整する手段を有する熱処理炉が提供される。
【0029】
また、前記全ての熱処理炉における別の好ましい態様として、糸条と熱処理室側面を構成する側壁との間の未処理ゾーンにおいて、水平方向に設置した仕切板を上下方向に少なくとも1つ以上有する熱処理炉が提供される。
【0030】
ここで未処理ゾーンとは、糸条と熱処理室側面を構成する側壁との間の空間のことである。具体的には、熱処理室の側面を構成する側壁のうち、糸条導入口または糸条導出口のいずれをも有さない側壁と糸条との間の空間である。未処理ゾーンは、通常、炉外への放熱によって側壁近傍の温度が低下し、糸条の熱処理不足が生じるのを回避するために設けられるが、熱処理室内で糸条を水平方向に走行させながらその糸条に下方から熱風を吹き付けて熱処理する場合に、下方からの熱風が走行糸条を避けてこの未処理ゾーンを通過するため、この未処理ゾーンを仕切板によって塞ぐことによって効率よく熱処理することができるのである。
【0031】
前記仕切板は、上下方向には糸条と同じ高さとなる位置に設置するのがより好ましい。また前記仕切板は、糸条走行方向に糸条導入口から糸条導出口にかけて設置することがより好ましい。
【0032】
また、前記の熱処理炉は全て、炭素繊維の製造に用いて好適なものであり、耐炎化炉や炭化炉として用いることができ、特に耐炎化炉として好適なものである。
【0033】
したがって本発明に係る炭素繊維の製造方法は、上記の耐炎化炉を用いて炭素繊維を製造することを特徴とする方法からなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の熱処理炉を、炭素繊維製造用の耐炎化炉として使用する場合の一例を示す概略構成図である。耐炎化炉内の熱処理室1には、熱処理室の上方側にある上面に設けた熱風排出口2と熱処理室の下方側にある下面に設けた熱風供給口3とが、糸条6を挟んで対向するように配置されている。熱処理室1の側方側にある側壁には糸条導入口4および糸条導出口5を有し、熱処理室1内で糸条6を水平方向に走行させ、その糸条6に下方から200〜350℃の熱風を吹き付けて耐炎化処理する。糸条導入口4および糸条導出口5は、熱処理室外への熱風流出や熱処理室内への外気流入を防止する効果を高めるため、糸条が接触しない程度に開口面積が小さいことが好ましい。
【0035】
糸条6は、各ガイドローラ7で走行方向を反転しながら、熱処理室1の側壁に設けた糸条導入口4と糸条導出口5とを通り、熱処理室1内を複数回通過する。糸条6は、熱処理室1の上下方向において、ガイドローラ7の設置間隔によって決まる任意のピッチPvを保ちながら走行する。
【0036】
図2は図1の鉛直断面の一例である。複数本の糸条6が水平面内において任意のピッチPhを保ちながら導入される。熱処理室の側面を構成する側壁のうち、糸条導入口または糸条導出口を有さない側壁と糸条との間には未処理ゾーン10を有する。図3は溝付きのガイドローラ断面の一例である。水平面内におけるピッチPhは、ガイドローラに刻まれた溝のピッチによって決まる。
【0037】
図4は、熱風排出口2から排出される熱風を熱風供給口3に戻して循環使用するようにした場合の一例である。ファン8は、熱風供給口3へ熱風を送風すると共に熱風排出口2から熱風を吸い込み、ヒータ9で熱風を所望の温度に制御している。
【0038】
また特開平11−173761号公報に開示されているように、熱処理室1の側壁に設けた糸条導入口4および糸条導出口5の外側に、シール室を設けても良い。
【0039】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
【実施例】
[参考例1]太さ1.1デシテックスのPAN系のプリカーサ単糸を12,000本束ねた糸条を耐炎化処理した。熱処理室の下面に熱風供給口を設け、上面に熱風排出口を設けることで、熱処理室の下から上へ熱風を流し、糸条に対して下方から熱風を吹き付けた。熱風排出口から排出した熱風は、再び熱風供給口に戻して循環使用した。熱風排出口と熱風供給口との間に設けたファンの回転数を変更し、熱風供給口および熱風排出口における熱風の平均速度が1m/秒になるように制御した。また、熱風排出口と熱風供給口との間に設けたヒータによって、熱風供給口における熱風の平均温度が250℃になるように制御した。糸条は、熱処理室の両側に設置されたガイドローラによって走行方向を反転しながら、熱処理室内へ19回の出入を繰り返すようにした。糸条の走行速度は0.05m/秒とした。上下方向の糸条ピッチPvは0.2m、水平面内の糸条ピッチPhは0.01mとした。熱処理室の側面を構成する側壁のうち、糸条導入口または糸条導出口を有さない側壁から0.3m内側までの領域を未処理ゾーンとした。炉外雰囲気の温度は30℃であった。
【0041】
糸条導入口および糸条導出口を有する熱処理室の側壁から0.2m離れた位置に、熱処理室の高さ方向に5カ所、熱電対を配置し、熱処理室内の温度を測定した。5カ所の測定点は、糸条の最上段付近に設けたものをA点、糸条の最下段付近に設けたものE点とし、残りの3点はA点とE点との間にほぼ等間隔になるように設け、上からB点、C点、D点とした。測定の結果、A点:249℃、B点:248℃、C点:247℃、D点:249℃、E点、250℃となり、設定温度(熱風供給口の平均温度250℃)との差は最大で3℃となった。
【0042】
また、糸条導入口および糸条導出口の周辺に78デシテックス24フィラメントのナイロン糸を長さ約0.07mに切断した吹き流しを設置し、熱処理室外への熱風流出を観測した結果、吹き流しは垂れ下がった状態であり、顕著な熱風の流出は観測されなかった。
【0043】
[比較例1]太さ1.1デシテックスのPAN系のプリカーサ単糸を12,000本束ねた糸条を耐炎化処理した。従来の熱処理炉と同様に、熱処理室の上面に熱風供給口を設け、下面に熱風排出口を設けることで、熱処理室の上から下へ熱風を流し、糸条に対して上方から熱風を吹き付けた。その他の条件は参考例1と同じにした。概略図を図5に示す。
【0044】
参考例1と同様に、熱処理室内の温度を測定した結果、A点:249℃、B点:241℃、C点:233℃、D点:170℃、E点、136℃となり、設定温度(熱風供給口の平均温度250℃)との差は最大で114℃となった。このことから、熱処理室の下方では、糸条導入口および糸条導出口から外気が流入していることが明らかであった。
【0045】
また、参考例1と同様に、糸条導入口および糸条導出口の周辺に78デシテックス24フィラメントのナイロン糸を長さ約0.07mに切断した吹き流しを設置した結果、熱処理室の上方では吹き流しが炉外側になびき、顕著な熱風の流出が観測された。また、熱処理室の下方では吹き流しが炉内側になびき、顕著な熱風の流入が観測された。
【0046】
このように、参考例1によれば、熱処理室の下から上へ熱風を流すことで、熱処理室内からの熱風流出と熱処理室内への外気流入とを防ぎ、熱処理室内の温度均一性を大幅に向上させることができた。
【0047】
[実施例1〜5、比較例2〜5]太さ1.1デシテックスのPAN系のプリカーサ単糸を12,000本束ねた糸条を耐炎化処理した。熱処理室の下面に熱風供給口を設け、上面に熱風排出口を設けることで、熱処理室の下から上へ熱風を流し、糸条に対して下方から熱風を吹き付けた。熱風排出口から排出した熱風は、再び熱風供給口に戻して循環使用した。熱風排出口と熱風供給口との間に設けたファンの回転数を調節し、熱風供給口および熱風排出口における熱風の平均速度を0.6m/秒から1.4m/秒まで0.1m/秒刻みで変化させた。その他の条件は参考例1と同じにした。
【0048】
上記熱処理炉において、糸条の最上段から上側へ0.1m離れた位置の熱処理室の側壁に圧力測定管を設け、この位置の圧力をP1とした。差圧計の一端を圧力測定管につなぎ、他端を熱処理室外へ設置することで、熱処理室上部と炉外雰囲気との圧力差P1−P0を測定した。同様に、糸条の最下段から下側へ0.1m離れた位置の熱処理室の側壁に圧力測定管を設け、熱処理室下部と炉外雰囲気との圧力差P2−P0を測定した。また、熱処理室上部と熱処理室下部との圧力差P1−P2は、前述のP1−P0とP2−P0との差として求めた。その他、参考例1と同様に、熱処理室内の温度をA点〜E点の5カ所で測定した。また参考例1と同様に、糸条導入口および糸条導出口の周辺に78デシテックス24フィラメントのナイロン糸を長さ約0.07mに切断した吹き流しを設置し、熱処理室外への熱風流出を観測した。
【0049】
測定結果を表1に示す。熱処理室外への熱風流出が起こらない圧力範囲は、−9Pa≦P1−P2≦6Pa、−5Pa≦P1−P0≦3Pa、−3Pa≦P2−P0≦4Paであった。
【0050】
表1中に示したF×Pv/ΔPの導出方法を以下に記す。熱風が糸条を通過するときに生じる糸条1段あたりの圧力低下量は、数値シミュレーションによって求めた。具体的には、図6に示すような2次元断面モデルにおいて、糸条を固体とし、それを通過する熱風の流速を変化させることで、各流速における圧力低下量を知ることができる。数値シミュレーションの結果、上記の耐炎化処理条件における圧力低下量(単位:Pa)は、ΔP=0.93×U2となった。ここで、Uは熱風の平均流速(単位:m/s)である。次に、浮力Fは、炉外雰囲気の密度をρ0(単位:kg/m3)、熱風の密度をρh(単位:kg/m3)、重力加速度の大きさをg(単位:m/s2)とすると、F=g(ρ0−ρh)で表され、F=9.8×(1.15−0.67)=4.7N/m3となる。
【0051】
上記熱処理室内の圧力勾配は、主に、熱風の浮力によって生じる圧力勾配と、熱風が糸条を通過する際の抵抗によって生じる圧力勾配とが打ち消し合った結果として生じる。したがって、F×Pv/ΔPが1に近いほど熱処理室上部と熱処理室下部との圧力差は小さくなる。表1に示すように、F×Pv/ΔPが0.7〜1.6の範囲内であれば、熱処理室外への熱風流出はなかった。また、F×Pv/ΔPが1に近いほど、熱風排出口で測定した循環排気温度が大きくなった。また、A点〜E点の5カ所で測定した熱処理室内の温度と、設定温度(熱風供給口の平均温度250℃)との差は、F×Pv/ΔPが1に近いほど小さくなった。
【0052】
このように、本発明によれば、F×Pv/ΔPが0.7〜1.6の範囲内になるように、熱風の流速U、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件を調整することで、熱処理室内からの熱風流出を防ぐことができる。また、熱風排出口から排出される熱風の温度が最大になるように熱風の流速を調整することで、熱風を循環使用する際に必要なヒータの消費エネルギーが小さくなると同時に、熱処理室内の温度均一性が向上する。
【0053】
【表1】
【0054】
[参考例2]太さ1.1デシテックスのPAN系のプリカーサ単糸を12,000本束ねた糸条を耐炎化処理した。熱処理室の下面に熱風供給口を設け、上面に熱風排出口を設けることで、熱処理室の下から上へ熱風を流し、糸条に対して下方から熱風を吹き付けた。熱風排出口から排出した熱風は、再び熱風供給口に戻して循環使用した。熱風排出口と熱風供給口との間に設けたファンの回転数を変更し、熱風供給口および熱風排出口における熱風の平均速度が1m/秒になるように制御した。概略図を図7に示すように、熱処理室の側面を構成する側壁のうち、糸条導入口または糸条導出口を有さない側壁から0.3m内側までの領域を未処理ゾーン10とした。未処理ゾーン内には糸条と同じ高さとなる位置に、糸条と同じ段数の仕切板11を設置した。仕切板11の幅は0.27mとし、糸条導入口から糸条導出口にかけて連続的に設置した。その他の条件は参考例1と同じにした。
【0055】
未処理ゾーン10は仕切板11によって流れが滞留し、ほぼ無風の状態となった。糸条が走行する領域の風速は1.0±0.2m/秒であり、熱風供給口および熱風排出口における平均速度とほぼ等しかった。これに対し参考例1では、糸条が存在しない未処理ゾーンの風速が3〜5m/秒と非常に速く、糸条が走行する領域の風速は0.9±0.2m/秒と熱風供給口および熱風排出口における平均速度よりも若干遅くなっていた。
【0056】
参考例1と同様に、熱処理室内の温度を測定した結果、A点:247℃、B点:248℃、C点:245℃、D点:249℃、E点、249℃となり、設定温度(熱風供給口の平均温度250℃)との差は最大で5℃となった。
【0057】
このように参考例2によれば、熱処理室内の温度むらだけでなく風速むらも小さくなるため、糸条のばたつきが低減し、工程安定性が向上する。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱処理炉によれば、特別な追加設備を設置することなく、熱処理室内からの熱風流出と熱処理室内への外気流入とを防ぎ、熱処理室内の温度むらを小さくすることが可能であり、工程安定性の確保と、製造原価の低減が実現できる。
【0059】
また、熱処理室内の温度均一性に優れているため、熱風を循環使用する際に必要なヒータの消費電力量が小さくなり、省エネ効果がある。
【0060】
また、熱処理室内では熱風に作用する浮力によって生じる圧力勾配と、熱風が糸条を通過する際の抵抗によって生じる圧力勾配とが打ち消し合うため、熱処理室内の温度均一性を悪化させることなく、糸条の段数を増やし、生産性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱処理炉の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱処理炉の概略構成図であり、図1の鉛直方向断面図である。
【図3】溝付きのガイドロールの一例を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る熱処理炉の概略構成図である。
【図5】従来用いられてきた熱処理炉の一般的な形態である。
【図6】熱風が糸条を通過する際に生じる糸条1段あたりの圧力低下量を数値シミュレーションで求めるために用いる、解析モデルの一実施形態である。
【図7】本発明の一実施形態に係る熱処理炉の概略構成図であり、図1の鉛直方向断面図である。
【符号の説明】
1:熱処理室
2:熱風排出口
3:熱風供給口
4:糸条導入口
5:糸条導出口
6:糸条
7:ガイドローラ
8:ファン
9:ヒータ
10:未処理ゾーン
11:仕切板
Ph:水平面内の糸条ピッチ
Pv:上下方向の糸条ピッチ
P0:炉外雰囲気の圧力
P1:熱処理室上部の圧力
P2:熱処理室下部の圧力
ΔP:熱風が糸条を通過する際に生じる糸条1段あたりの圧力低下量
F:熱風に作用する浮力
g:重力加速度の大きさ
ρ0:炉外雰囲気の密度
ρh:熱風の密度
U:熱風の平均流速
Claims (10)
- 熱処理室と、この熱処理室の上方側に設けた熱風排出口および下方側に設けた熱風供給口と、熱処理室の側方側に設けた糸条導入口および糸条導出口とを有し、熱処理室内で糸条を水平方向に走行させながら、その糸条に下方から熱風を吹き付けて熱処理するようにするとともに、複数本の糸条を、水平面内において任意のピッチPhを保つように熱処理室内に導入し、かつ、熱処理室内への出入を繰り返しながら熱処理室の上下方向において任意のピッチPvを保つようにし、さらに、熱風が糸条を通過するときの圧力低下量をΔP(Pa)、炉外雰囲気の密度と熱風の密度との差に基づいて熱風に生ずる浮力をF(N/m3)、上下方向の糸条ピッチをPv(m)としたとき、F×Pv/ΔPが0.7〜1.6の範囲内になるように、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件が調整されてなる熱処理炉。
- 熱処理室上部の圧力P1と熱処理室下部の圧力P2との関係が、−9Pa≦P1−P2≦6Paとなるように、熱風の流速、熱風の温度、糸条のピッチPhおよびPvから選ばれる少なくとも一つの条件が調整されてなる請求項1に記載の熱処理炉。
- 熱処理室上部の圧力P1と熱処理室下部の圧力P2との関係が、P1−P2>6Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P1−P2<−9Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する請求項1に記載の熱処理炉。
- 熱処理室上部の圧力P1と炉外雰囲気の圧力P0との関係が、P1−P0>3Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P1−P0<−5Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する請求項1に記載の熱処理炉。
- 熱処理室下部の圧力P2と炉外雰囲気の圧力P0との関係が、P2−P0<−3Paであれば熱風の流速が大きくなるように調整し、P2−P0>4Paであれば熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する請求項1に記載の熱処理炉。
- 熱処理室の上半分にある糸条導入口または糸条導出口から熱処理室外への熱風流出が観測された場合には熱風の流速が大きくなるように調整し、熱処理室の下半分にある糸条導入口または糸条導出口から熱処理室外への熱風流出が観測された場合には熱風の流速が小さくなるように調整する手段を有する請求項1に記載の熱処理炉。
- 熱風排出口から排出される熱風の温度が最大になるように、熱風の流速を調整する手段を有する請求項1に記載の熱処理炉。
- 糸条と熱処理室側面を構成する側壁との間の未処理ゾーンにおいて、水平方向に設置した仕切板を上下方向に少なくとも1つ以上有する請求項1〜7のいずれかに記載の熱処理炉。
- 前記熱処理炉が炭素繊維の製造に用いられる耐炎化炉である請求項1〜8のいずれかに記載の熱処理炉。
- 請求項9に記載の耐炎化炉を用いたことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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