JP5081409B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維の製造方法は、一般的に、アクリロニトリル系前駆体繊維を200〜300℃の酸化性雰囲気中で加熱処理する耐炎化工程によって耐炎化繊維にした後、引き続いて1,000℃以上の不活性雰囲気中で加熱処理する炭素化工程によって炭素繊維を製造する。このようにして得られた炭素繊維は、その優れた力学的性質により、航空宇宙用途を始め、スポーツ・レジャー用途等の高性能複合材料の補強繊維素材として広く利用されている。また、近年では自動車、船舶、建材用途等の一般産業分野の用途への要求が増加している。
しかしながら、従来のスモールトウ(総繊度21,000dtex未満)の炭素繊維は物性、品質的には優れているが、価格が高いために、コストを重視する産業用途分野での多用化は十分に実現できていない状況であった。一方、太物トウであるラージトウ炭素繊維は、価格は低く設定されているものの、性能、品質の面から、やはり産業用途分野での使用は、限定されるものであった。したがって、高品質と低価格が両立する炭素繊維は、多くの市場で望まれているものである。
炭素繊維の低コスト化のためには、製造工程中の処理時間の最も長い耐炎化工程の生産性を向上することが必要である。しかし、耐炎化工程においては、アクリロニトリル系前駆体繊維の酸化反応による激しい発熱があるためにアクリロニトリル系前駆体繊維内部に蓄熱し、処理温度に対して、アクリロニトリル系前駆体繊維内部の温度が極端に高くなる。そのため、スモーク等の問題が発生しやすくなり、耐炎化処理温度を下げて生産を行わなければならず、したがって十分に耐炎化の進行した耐炎化繊維を得るのに時間を要していた。
炭素繊維の低価格化の手法として、太物タイプのアクリル繊維を効率良く焼成することを挙げることができる。しかしながら太物トウではスモールトウよりも蓄熱が多くなるためにスモールトウより耐炎化処理温度を下げて生産を行わなければならず、十分な耐炎化繊維を得るためには100分を越えるような長時間の処理が必要であった。したがって、太物トウを効率良く焼成することは、スモールトウより困難が伴うものであった。
太物トウにおけるこのような問題点を解決すべく、特開平10−266024号公報(特許文献1)には、耐炎化処理時におけるアクリロニトリル系前駆体繊維の断面形状を、糸幅/糸厚み比で規定される平均扁平率を略矩形に保つ方法が開示されているが、得られる引張強度は低く高性能とは言い難い。
また、炭素繊維の製造において、1000℃を超える温度で熱処理をする炭素化炉の設備およびその維持費、さらに動力費は、製造コストを上昇させる大きな要因であり、炭素化炉のコンパクト化はコスト削減に非常に効果があるものと考えられる。
特開平10−266024号公報
本発明は、太物トウでありながらも、品質の良い炭素繊維を生産性よく得ることができる炭素繊維の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、フィラメント数49,000以上の捲縮が5山/25mm以下のトウからなるアクリロニトリル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気中200〜300℃で耐炎化処理する工程と、耐炎化処理された繊維を不活性雰囲気中1,000℃以上で炭素化処理する工程を有する炭素繊維の製造方法であって、
前記耐炎化処理の時間が100分以下であり、かつ
前記耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅Wの制御を、アクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間は、下記式(1)に従って制御し、1.25〜1.30g/cm3である間は下記式(2)に従って制御し、1.30〜1.40g/cm3である間は下記式(3)に従って制御する炭素繊維の製造方法を提供するものである。
0.065×A1/2≦W≦0.083×A1/2 式(1)
0.053×A1/2≦W≦0.075×A1/2 式(2)
0.040×A1/2≦W≦0.063×A1/2 式(3)
(式中、Aはアクリロニトリル系前駆体繊維の総繊度(dtex)を表す。)
また本発明は、フィラメント数49,000以上の捲縮が5山/25mm以下のトウからなるアクリロニトリル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気中200〜300℃で耐炎化処理する工程と、耐炎化処理された繊維を不活性雰囲気中1,000℃以上で炭素化処理する工程を有する炭素繊維の製造方法であって、
前記耐炎化処理の時間が100分以下であり、かつ
前記耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅Wの制御を、アクリロニトリル系前駆体繊維の密度(ρ)が1.15〜1.40g/cm3の範囲において、下記式(4)に従って行う炭素繊維の製造方法を提供するものである。
Figure 0005081409
(式中、dはアクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維繊度(dtex)、Aはアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ総繊度(dtex)、ρは耐炎化工程糸の密度(g/cm3)を表す。)
また本発明は、前記耐炎化処理において、多数のアクリロニトリル系前駆体繊維を並列にしたシート状物を複数の耐炎化炉を通過させ、
最初に耐炎化炉に導入する際の前記シート物の幅Sw1と、最終の耐炎化炉から出る前記シート状物の幅Sw2との比(Sw2/Sw1)が下式(5)の範囲にある前記のいずれかの製造方法を提供するものである。
0.50≦Sw2/Sw1≦0.85 式(5)
さらに本発明は、前記耐炎化処理において、トウ幅Wの均一性を示す下記式により得られるCV値が10%以下である上記のいずれかの炭素繊維の製造方法を提供するものである。
CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100
本発明によれば、太物トウ(ラージトウ)でありながらも、高品質の炭素繊維を製造でき、かつ生産性の高い炭素繊維の製造方法を提供することができる。
本発明のアクリロニトリル系前駆体繊維は、アクリロニトリル系重合体として、アクリロニトリル90質量%以上を含有する重合体を使用することが好ましい。アクリロニトリルは95質量%以上であることがより好ましい。このアクリロニトリルの単独重合体または共重合体あるいはこれらの重合体の混合したものを使用できる。アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリルと共重合し得る単量体とアクリロニトリルとの共重合生成物である。アクリロニトリルと共重合し得る単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の重合性の二重結合を有する酸類およびそれらの塩類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド等のイミド系不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド等のアミド系不飽和単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル等のビニル系単量体、更にはスチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体、2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
重合方法としては、例えば水溶液におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アクリロニトリル系重合体溶液は、湿式紡糸、乾湿式紡糸等の公知のアクリロニトリル系前駆体繊維の紡糸方法を利用することによって製造することができる。例えば、通常の湿式紡糸においては、紡糸、延伸、水洗、油剤処理、乾燥緻密化の後で、必要に応じて乾熱延伸、スチーム延伸等の後延伸を施す。
本発明におけるアクリロニトリル系前駆体繊維は、不純物、内部ボイド、クレーズやクラック等の表面欠陥ができる限り少ないことが好ましい。
また、本発明におけるアクリロニトリル系前駆体繊維は、捲縮が5山/25mm以下のトウを使用する。捲縮が5山/25mmを超えるとクリンプと称される座屈変形が付与され、この座屈変形は本質的にアクリロニトリル系前駆体繊維へ機械的ダメージを与えるものである。すなわち、捲縮は、炭素繊維製造工程において単糸切れによる毛羽の発生を誘発し、ロールへの巻き付き等のトラブルや得られる炭素繊維の品位、性能の低下を招く。
本発明におけるアクリロニトリル系前駆体繊維の単糸繊度(単繊維繊度)は0.5〜1.3dtexであることが好ましい。単糸繊度が低すぎるとアクリロニトリル系前駆体繊維を安定して紡糸することが難しくなる。逆に単糸繊度が高すぎると断面二重構造が顕著となり、高性能である炭素繊維が得られにくい。好ましい単糸繊度の範囲は、0.6〜1.25dtexであり、より好ましくは0.7〜1.20dtexである。
本発明におけるアクリロニトリル系前駆体繊維のフィラメント数は、49,000本以上であることが必要であり、これにより生産性が向上できる。
一般に炭素繊維製造用のアクリロニトリル系前駆体繊維を製造する工程の速度と、そのアクリロニトリル系前駆体繊維を焼成して炭素繊維にする焼成工程の速度とは大幅に異なるために、アクリロニトリル系前駆体繊維は一旦ボビンに巻き上げられた状態、又は、箱の中に折りたたみ積層されて収容された状態(ケンス収容という)で、焼成工程に供給される。
本発明におけるアクリロニトリル系前駆体繊維は、ケンス収容時には1本のトウの形態を保ち、容器から引き出して使用するときには複数本の小トウに分割可能な幅方向における分割能を有するものであってもよい。
このようにして得られたアクリロニトリル系前駆体繊維は、酸化性雰囲気の例えば熱風循環型加熱炉からなる耐炎化炉に供給され耐炎化処理を施される。この耐炎化処理が炭素繊維の製造工程中で最も処理時間が長いため、本発明では、炭素繊維製造の低コスト化のために、耐炎化処理を短時間で行い、さらに、その処理に投入する前駆体繊維のトウ幅を耐炎化中の繊維の密度に応じて制御し、生産性を向上することを図った。
耐炎化処理では、耐炎化中の繊維糸条はそれ自体が発熱することにより、その繊維内部で急激に蓄熱される。そこで、耐炎化中の繊維がこれによって切断しないように、耐炎化中の繊維にあてる熱風の温度は、耐炎化中の繊維糸条の蓄熱切断温度より低い温度にコントロールしなければならない。
一方、蓄熱切断温度は、耐炎化反応が進行した繊維ほど高くなり、また、その蓄熱切断温度は、耐炎化処理の工程糸の密度と相関し、密度が高くなるに従い高くなる。さらに、耐炎化中の繊維の蓄熱切断温度は、繊維の投入密度(単位トウ幅あたりの繊度)にも依存し、投入密度が高い、すなわちトウ幅が狭いほど蓄熱切断温度は低下する。
以上のように、耐炎化の反応速度は温度が高いほど大きく、投入密度が高いほど大きい。したがって、耐炎化反応を促進して耐炎化時間を短縮するには、耐炎化中の繊維の蓄熱切断温度より低いが、なるべく高い温度で、投入密度を高くして耐炎化中の繊維を耐炎化処理することが重要となる。
耐炎化処理時間の短縮は、耐炎化炉の設備のコンパクト化や動力費の低減の効果が期待でき、製造コストの削減に寄与すると考えられるが、炭素繊維の性能発現においても重要である。耐炎化処理が長すぎる場合、炭素繊維の強度が低下することが知られている。太物トウは、フィラメントの集合組織が大きいため、蓄熱がし易く、その結果として耐炎化処理時間を長く設定せざるをえなかった。性能発現性の観点から、耐炎化処理時間は、100分以下が好ましく、より好ましくは95分以下、より好ましくは90分以下である。
本発明は、耐炎化中の密度が高くなり、耐炎化中の繊維の蓄熱切断温度が上昇していくのに併せて、耐炎化中の繊維の投入密度を高くすることにより、生産性が向上し且つ炭素繊維の性能が発現しやすい耐炎化時間内で、フィラメント数49,000以上の太物トウの形態を有するアクリロニトリル系前駆体繊維を、焼成(耐炎化)できることを見出したものである。
耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が、1.15〜1.25g/cm3である間は、トウ幅Wを下記式(1)に従って制御し、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅Wを下記式(2)に従って制御し、1.30〜1.40g/cm3である間はトウ幅Wを下記式(3)に従って制御する。
0.065×A1/2≦W≦0.083×A1/2 式(1)
0.053×A1/2≦W≦0.075×A1/2 式(2)
0.040×A1/2≦W≦0.063×A1/2 式(3)
ここで、式中、Aはアクリロニトリル系前駆体繊維の総繊度(dtex)を表している。
式中のA1/2は、前駆体繊維トウの大きさを表す指標である。前駆体繊維トウの形状は円、或いは円に非常に近い楕円である。すなわち、前駆体繊維トウの密度をρPCとすると、A/ρPCは1万m当たりのトウ体積であり、さらにこの値は、トウの断面積を表す指標となっている。したがって、(A/ρPC1/2は、長さを次元とするトウの断面の大きさを表す指標と考えられるものであり、つまりは上式のA1/2は、長さを次元とするトウの断面の大きさを表す指標であるといえる。このような理由から、耐炎化工程における適正なトウ幅を考える際に、A1/2を指標に用いることは理にかなったものとなり、その結果、適正なトウ幅を制御する範囲を限定するのに非常に有効な指標になりえるものとなっている。
それぞれの密度領域に有する耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅が左辺未満であると蓄熱による暴走反応により、糸切れ、スモーク等が起こりやすくなる。一方、トウ幅が右辺を超えると、耐炎化炉機幅に対する処理トウの数量が減少し、設備生産性が低下し、目的とする製造コストの削減効果を得ることはできなくなる。
また、耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度(ρ)が、1.15〜1.40g/cm3の範囲において、トウ幅Wを下記式(4)で制御することでも目的を達成することができる。
Figure 0005081409
d:アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維(フィラメント)繊度(dtex)
A:アクリロニトリル系前駆体繊維のトウ総繊度(dtex)
ρ:耐炎化工程糸の密度(g/cm3)。
以下に式(4)の変数について説明をする。
(1)d-1/2について
耐炎化反応は、熱風伝熱による加熱による環化反応と酸素のフィラメント内部への拡散により生ずる酸化反応により進行する。したがって、単位重量当たりの表面積は耐炎化反応性を考える上で非常に重要である。単繊維繊度が小さい前駆体繊維ほど単位重量当たりの表面積が大きく、その結果発熱反応が急激に生じ易い傾向がある。このような状況下、耐炎化工程における前駆体繊維の発熱性の指標としては、フィラメント断面の周長さと断面積との比を用いることが非常に有効であると考えられる。フィラメントの断面は凡そ丸形状をしていることから、半径をrとすると断面の周長さと断面積の比は、2r-1/2と表せる。ここで、d1/2は一次の長さを有するフィラメントの形状因子である。したがって、前駆体繊維の発熱性の指標はd-1/2を用いることが有用である。
(2)(A/ρ)1/2について
先に述べたように、(A/ρ)1/2は、耐炎化処理中の工程糸の長さを次元とするトウの断面の大きさを表す指標となっている。
(3)exp(−ρ)について
蓄熱切断温度は、耐炎化処理の工程糸の密度と相関し、密度が高くなるに従い高くなる。耐炎化反応性と密度の相関を取ると、アウレニウス型に比較的良く合致する。そこで、耐炎化反応性の指標として、exp(−ρ)を用いることとした。
それぞれの密度領域に有する耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅が左辺未満であると蓄熱による暴走反応により、糸切れ、スモーク等が起こりやすくなる。一方、トウ幅が右辺を超えると、耐炎化炉機幅に対する処理トウの数量が減少し、設備生産性が低下し、所望の製造コストの削減効果を得ることはできなくなる。
より好ましい制御するトウ幅Wは、式(6)の範囲である。
Figure 0005081409
多数のアクリロニトリル系前駆体繊維を特定の間隔で並列にしたシート状物を、最初に耐炎化炉に導入する際のシート幅Sw1と、最終の耐炎化炉から出る並列にしたシート状物の幅Sw2において、Sw2/Sw1の値が下式(5)の範囲であることが商業生産において好ましい。ここで商業生産とは、設備投資が小さく、ランニングコストも小さく更に、高品質な炭素繊維を高生産で製造できることを意味する。
0.50≦Sw2/Sw1≦0.85 式(5)。
耐炎化炉を出た繊維が並列したシートは、引き続き炭素化炉で処理される。炭素繊維の製造において、1000℃を超える温度で熱処理をする炭素化炉の設備およびその維持費、さらに動力費は、製造コストを上昇させる大きな要因の一つであり、炭素化炉のコンパクト化はコスト削減に非常に効果がある。したがって、このシート状物の幅を小さくすることにより、炭素化炉の装置幅を小さく設計することが可能となる。その結果、設備費、稼動費を小さくすることができ、炭素繊維の製造コストを削減することが可能となる。Sw2/Sw1を0.85以下にすることにより、コスト削減効果が顕著となる。一方、Sw2/Sw1が小さすぎると、隣接するトウ同士の絡み合いが大きくなること、トウの走行する糸道の直線性が維持できなくなり、撚などの混入が避けられなくなるなどの問題が生じる。
より好ましくは、0.50≦Sw2/Sw1≦0.80の範囲である。さらに好ましくは、0.50≦Sw2/Sw1≦0.75である。
Sw2/Sw1の制御方法としては、公知の技術により繊維の張力によりロールをたわませ制御する方法、アクリロニトリル系前駆体繊維に交絡処理を施し制御する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。交絡処理を施し制御する場合は、交絡条件はアクリロニトリル系前駆体繊維の総繊度等により適宜決定される。
耐炎化処理に際して、繊維には16×10-3cN/dTex〜327×10-3cN/dTex、好ましくは32×10-3cN/dTex〜261×10-3cN/dTex、より好ましくは65×10-3cN/dTex〜229×10-3cN/dTexの張力を付与することが望ましい。かかる張力が小さすぎると、繊維に弛みが発生し単糸毛羽がロールに取られやすくなり、張力が大きすぎると耐炎化途中の繊維の一部が切断し始め、毛羽や糸切れが起こりやすくなる。
耐炎化炉への繊維の投入密度を制御する方法としては、耐炎化炉外に溝付ロールを設置する方法、コームとフラットロールを設置する方法があるがいずれも用いることができる。
溝付ロールは、耐炎化中の繊維の毛羽、あるいは隣接する繊維同士の干渉により、1つの溝に2錘が入ることによる、所謂合糸が生じたりすることが稀にあり、合糸が生じると投入密度が高くなるばかりでなく、撚りが生じるため、除熱不良による糸切れ、スモーク等が起こりやすくなるので注意が必要である。
一方、フラットロールを用いた場合は、溝飛びによる合糸、撚りの発生がなく工程安定性の点で好ましい。フラットロールの場合は公知の技術によりアクリロニトリル系前駆体繊維に交絡処理を施し制御することが好ましい。交絡処理条件はアクリロニトリル系前駆体繊維の総繊度等により適宜決定される。フラットロールは、耐炎化炉の両側に設置して用いることができる。
更に、トウ幅を制御しつつ、耐炎化中の繊維の蓄熱切断温度が上昇していくのに併せて、その温度よりも低いが、なるべく高い温度にコントロールすることが望まれる。耐炎化処理は通常200〜300℃、好ましくは220〜280℃の温度範囲内で行われる。このような温度コントロールは、個別に温度調節可能なゾーンに分けた従来の耐炎化炉を用いて行うことができる。
温度コントロール可能なゾーンの数が増えれば増えるほど耐炎化時間が短縮可能になり、またゾーンの数の多い時は少ない時と比べて、耐炎化中の繊維の蓄熱切断温度に対し余裕を持って十分に高い温度で耐炎化でき、同じ耐炎化時間でより不具合の生じない運転が可能である。
しかし、ゾーン数を増やすと、これに伴って耐炎化炉の価格は高額となり、生産性の向上の効果は小さくなっていく。生産性向上の効果を害することなく、細かな温度制御を可能とする観点から、ゾーン数は3〜8とするのが好ましく、3〜5とするのが更に好ましい。
耐炎化炉におけるアクリロニトリル系前駆体繊維の通過経路は、1基の耐炎化炉内に複数段設けられているのが好ましく、5〜15パスとするのが好ましく、7〜11パスとするのが更に好ましい。通過経路が少ないと充分にかつ確実な耐炎化反応を進行するのに、耐炎化炉の数が増えるため設備投資が大きくなる、或いは長時間の耐炎化処理を有することになるため高性能な炭素繊維が得られにくい。通過経路が多すぎると、耐炎化炉が大きくなるため、設備投資が大きくなるばかりか、耐炎化炉内の風速、温度斑が大きくなり糸切れ、スモーク等が発生しやすくなる。
1パスの長さは、5〜30mが好ましく、10〜25mが更に好ましい。1パスの長さが短すぎるとパス数或いは耐炎化炉の数が増えることになるため、設備投資が大きくなる。1パスの長さが長すぎると耐炎化炉内の風速、温度斑が大きくなるために、糸切れ、スモーク等が発生しやすくなるばかりか、高性能な炭素繊維が得られ難くなる。
耐炎化炉内の風向きは、多錘の耐炎化中の繊維が形成する面に対して平行であり、かつ耐炎化中の繊維に対して平行である平行流、垂直である直行流、多錘の耐炎化中の繊維が形成する面に対して垂直であり、かつ耐炎化中の繊維に対して垂直である垂直流等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。風速は、0.3〜5m/secが好ましい。風速が低すぎると、耐炎化炉内の風による除熱作用が得られにくくなり、除熱不良によるスモークが発生しやすくなる。風速が高すぎると、耐炎化炉内の風による耐炎化中の繊維のバタツキが大きくなり、耐炎化中の繊維の接触による単糸切れが生じやすくなる。
耐炎化処理終了後の耐炎化繊維糸条の密度は、1.33〜1.40g/cm3が好ましく、1.34〜1.37g/cm3がより好ましい。この密度が低すぎると後の炭素化工程で耐炎化糸条が融着し、毛羽立ちが発生するため、高性能、高品位である炭素繊維が得られにくくなる。この密度が高すぎると、酸素の耐炎化繊維糸条内への過剰導入により強度が低下しやすくなる。
耐炎化処理において、アクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅の均一性を示す下記式により得られるCV値が10%以下であることが好ましい。
CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100
このCV値が大きすぎると、耐炎化中の隣接するアクリロニトリル系前駆体繊維とマージングし、毛羽立ちが起こりやすくなるばかりか、糸切れ、スモーク等が起こりやすくなる。CV値は5%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましい。
上記の方法によって得られた耐炎化繊維糸条は1,000℃以上の不活性雰囲気中で炭素化することが好ましい。1,000℃未満であると高性能である炭素繊維が得られにくくなる。
上記の方法によって得られた耐炎化繊維糸条は、耐炎化処理と炭素化処理の間において、300℃〜1,000℃の不活性雰囲気中で熱処理することが好ましく、0.5分以上行うことが好ましい。この熱処理は、耐炎化繊維糸条の毛羽立ちや糸切れを防止し、製品品位が高く、高性能である炭素繊維を得ることを目的として行うことができる。
このようにして得られた炭素繊維は、必要に応じて更に従来公知の技術により表面処理、サイジング付与等を行うことができる。
以下、本発明の炭素繊維の製造方法を、実施例に基づいて具体的に説明する。
尚、トウ幅は、耐炎化工程中のロール上のアクリロニトリル系前駆体繊維を物差しで30分毎に計10回測定した。
(実施例1)
湿式紡糸法により、捲縮1山/25mm、単繊維繊度1.0dtex、フィラメント数60,000本のアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。
このアクリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化処理温度を220℃〜260℃で連続的に耐炎化処理を行った。耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を17mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を14mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を11mmで制御しながら、かつ、工程張力を136×10-3cN/dTexにして収縮を制限しながら、密度1.36g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。耐炎化処理時間は90分、Sw2/Sw1は0.65、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ1.2%、1.3%、1.3%であった。耐炎化炉の両側に設置されたロールはフラットロールとした。
耐炎化繊維糸条を、300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる前炭素化炉を通過させ、続いて1,000〜1,300℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉を通過させ、炭素繊維を製造した。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は4.8GPa、弾性率は255GPaであった。
(実施例2)
以下の事項を除いて実施例1と同様にして炭素繊維を得た。
耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を19mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を17mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を14mmで制御した。耐炎化処理時間は80分、Sw2/Sw1は0.74、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCVは、それぞれ1.2%、1.3%、1.4%であった。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は4.9GPa、弾性率は260GPaであった。
(実施例3)
湿式紡糸法により、捲縮1山/25mm、単繊維繊度1.2dtex、フィラメント数50,000本のアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。
このアクリロニトリル系前駆体繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を製造した。Sw2/Sw1は0.65、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ1.3%、1.3%、1.3%であった。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は4.7GPa、弾性率は235GPaであった。
(実施例4)
以下の事項を除いて実施例3と同様にして炭素繊維を得た。
耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を19mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を17mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を14mmで制御した。耐炎化処理時間は70分、Sw2/Sw1は0.74、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ1.2%、1.3%、1.4%であった。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は4.8GPa、弾性率は240GPaであった。
(実施例5)
湿式紡糸法により、捲縮1山/25mm、単繊維繊度1.0dtex、フィラメント数80,000本のアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。
このアクリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化処理温度を220℃〜260℃で連続的に耐炎化処理を行った。耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を23mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を20mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を16mmで制御しながら、かつ、工程張力を136×10-3cN/dTexにして収縮を制限しながら、密度1.36g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。耐炎化処理時間は85分、Sw2/Sw1は0.70、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ1.5%、1.6%、1.5%であった。耐炎化炉の両側に設置されたロールはフラットロールとした。
耐炎化繊維糸条を、300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる前炭素化炉を通過させ、続いて1,000〜1,300℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉を通過させ、炭素繊維を製造した。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は4.9GPa、弾性率は255GPaであった。
(実施例6)
湿式紡糸法により、捲縮1山/25mm、単繊維繊度0.8dtex、フィラメント数50,000本のアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。
このアクリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化処理温度を220℃〜260℃で連続的に耐炎化処理を行った。耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を14mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を9mmで制御しながら、かつ、工程張力を136×10-3cN/dTexにして収縮を制限しながら、密度1.36g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。耐炎化処理時間は70分、Sw2/Sw1は0.64、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ1.4%、1.6%、1.5%であった。耐炎化炉の両側に設置されたロールはフラットロールとした。
耐炎化繊維糸条を、300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる前炭素化炉を通過させ、続いて1,000〜1,300℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉を通過させ、炭素繊維を製造した。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は5.1GPa、弾性率は255GPaであった。
(実施例7)
以下の事項を除いて実施例6と同様にして炭素繊維を得た。
耐炎化工程中のアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を19mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を17mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を14mmで制御しながら、耐炎化繊維糸条を得た。耐炎化処理時間は60分、Sw2/Sw1は0.74、耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCVは、それぞれ1.2%、1.3%、1.4%であった。
耐炎化工程通過性は極めて良好であり、更に高次加工においても、開繊性、品質は極めて良好であった。この炭素繊維のストランド強度は5.2GPa、弾性率は260GPaであった。
(比較例1)
湿式紡糸法により、捲縮10山/25mm、単繊維繊度1.0dtex、フィラメント数60,000本のアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様に炭素繊維を製造した。
耐炎化工程通過性は良好であったが、この炭素繊維のストランド強度は3.9GPa、弾性率は250GPaであった。
(比較例2)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を10mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を8mmで制御した以外は実施例1と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において糸切れが生じてしまい、炭素繊維の製造が行えなかった。
(比較例3)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を10mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を8mmで制御し、耐炎化処理温度を220℃〜250℃、耐炎化処理時間を110分にした以外は実施例1と同様に炭素繊維を製造した。
耐炎化工程通過性は良好であったが、この炭素繊維のストランド強度は4.5GPa、弾性率は245GPaであった。
(比較例4)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を14mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を9mmで制御した以外は実施例1と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、毛羽が生じた。
(比較例5)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を33mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を23mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を15mmで制御した以外は実施例1と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、毛羽が生じた。
(比較例6)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を20mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を17mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を9mmで制御した以外は実施例1と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、糸切れが生じてしまい、炭素繊維の製造が行えなかった。
(比較例7)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を25mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を15mmで制御した以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を製造した。
耐炎化工程中のアクリル系前駆体繊維のトウ幅のCV値は、それぞれ10.2%、11.5%、11.3%であった。耐炎化工程において、撚の混入が明らかに認められ、通過性は不安定であり、更に高次加工においても、開繊性は不安定であった。
(比較例8)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を14mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を12mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を10mmで制御した以外は実施例5と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、糸切れが生じてしまい、炭素繊維の製造が行えなかった。
(比較例9)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を16mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を14mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を11mmで制御した以外は実施例5と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、毛羽が生じた。
(比較例10)
耐炎化工程においてアクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間はトウ幅を11mm、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅を9mm、1.30〜1.36g/cm3である間はトウ幅を7mmで制御した以外は実施例6と同様に炭素繊維を製造しようとしたところ、耐炎化処理において、毛羽が生じた。

Claims (2)

  1. フィラメント数49,000以上の捲縮が5山/25mm以下のトウからなるアクリロニトリル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気中200〜300℃で耐炎化処理する工程と、耐炎化処理された繊維を不活性雰囲気中1,000℃以上で炭素化処理する工程を有する炭素繊維の製造方法であって、
    前記耐炎化処理の時間が100分以下であり、かつ
    前記耐炎化処理中のアクリロニトリル系前駆体繊維のトウ幅W(mm)の制御を、アクリロニトリル系前駆体繊維の密度が1.15〜1.25g/cm3である間は、トウ幅W(mm)を下記式(1)に従って制御し、1.25〜1.30g/cm3である間はトウ幅W(mm)を下記式(2)に従って制御し、1.30〜1.40g/cm3である間はトウ幅W(mm)を下記式(3)に従って制御し、
    前記耐炎化処理において、多数のアクリロニトリル系前駆体繊維を並列にしたシート状物を複数の耐炎化炉を通過させ、
    最初に耐炎化炉に導入する際の前記シート状物の幅Sw1と、最終の耐炎化炉から出る前記シート状物の幅Sw2との比(Sw2/Sw1)が下式(5)の範囲にある炭素繊維の製造方法。
    0.065×A1/2≦W≦0.083×A1/2 式(1)
    0.053×A1/2≦W≦0.075×A1/2 式(2)
    0.040×A1/2≦W≦0.063×A1/2 式(3)
    (式中、Aはアクリロニトリル系前駆体繊維の総繊度(dtex)を表す。)
    0.50≦Sw2/Sw1≦0.85 式(5)
  2. 前記耐炎化処理において、トウ幅Wの均一性を示す下記式により得られるCV値が10%以下である請求項に記載の炭素繊維の製造方法。
    CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100
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