JP2012188781A - 炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、従来技術における問題点を解決し、ラージトウでありながらも高い品質を有する炭素繊維を提供することにある。
【解決手段】本発明の要旨は、95質量%以上のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸溶液を、吐出孔を50000〜70000有する紡糸口金装置を用いて、有機溶剤水溶液からなる凝固浴中に吐出させて凝固糸にするとともに、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取る工程と、さらに5〜6倍の延伸を施す工程と、シリコン系油剤の添油処理を行う工程と、乾燥させた後に、ロール間で加熱しながら1.2〜1.7倍の延伸を施す工程と、引き続き焼成して炭素繊維とする工程とを有する炭素繊維の製造方法にある。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の要旨は、95質量%以上のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸溶液を、吐出孔を50000〜70000有する紡糸口金装置を用いて、有機溶剤水溶液からなる凝固浴中に吐出させて凝固糸にするとともに、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取る工程と、さらに5〜6倍の延伸を施す工程と、シリコン系油剤の添油処理を行う工程と、乾燥させた後に、ロール間で加熱しながら1.2〜1.7倍の延伸を施す工程と、引き続き焼成して炭素繊維とする工程とを有する炭素繊維の製造方法にある。
【選択図】なし
Description
本発明は、炭素繊維とその製造方法に関するものである。
単繊維数が24,000本よりも多い、いわゆるラージトウ炭素繊維が上市されている。ラージトウ炭素繊維は、生産性が良く、低価格に設定されているものの、性能、品質の面から、産業用途分野での使用に限定されるものであった。高品質と低価格が両立したラージトウ炭素繊維が、多くの市場で望まれている。
特許文献1には、ラージトウでありながらも高い品質を有する炭素繊維およびそれを生産性よく製造する方法として、単糸繊度が0.6〜1.3dtex、単繊維の数が49000以上で捲縮のない実質的にストレートなマルチ繊維の形態をしており、動的粘弾性測定で得られる170℃でのtanδが2.5以上でSi量が500〜5000ppmのアクリロニトリル系重合体を前駆体繊維の原料として用い、200℃以下で1.05〜1.4倍に延伸する工程と、1500〜6500dtex/mmの投入密度として酸化性雰囲気中200〜300℃で耐炎化処理する工程と、300〜1000℃の不活性雰囲気中で0.7分以上熱処理する前炭素化処理を行う工程と、不活性雰囲気中1000℃以上で炭素化処理する工程と、を有する方法で炭素繊維を製造することが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法を、ラージトウ炭素繊維に摘要しても、そのトウボリュームの大きさから、連続的に均一に安定した物性を得ることは難しいかった。本発明の課題は、従来技術の問題点を解決し、高い品質と低価格が両立したラージトウ炭素繊維を提供することにある。
本願発明の第1の要旨は、50000〜175000本の単繊維からなる、ストランド弾性率斑が2%以下である炭素繊維である。
また、第2の要旨は、 95質量%以上のアクリロニトリル単位であるアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸溶液を50000〜70000個の吐出孔を有する紡糸口金から有機溶剤の水溶液の凝固浴中に吐出して凝固糸とし、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取り、
さらに5〜6倍の延伸を施し、
シリコン系油剤の添油処理を行い、
乾燥した後に、加熱しながら1.2〜1.7倍の延伸を施して炭素繊維前駆体繊維を得、
その炭素繊維前駆体繊維を焼成して、50000〜70000本の炭素繊維を得、
その後、1〜3本の炭素繊維を合糸して1本にして巻き取り、50000〜175000本の単繊維からなる炭素繊維の製造方法である。
また、第2の要旨は、 95質量%以上のアクリロニトリル単位であるアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸溶液を50000〜70000個の吐出孔を有する紡糸口金から有機溶剤の水溶液の凝固浴中に吐出して凝固糸とし、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取り、
さらに5〜6倍の延伸を施し、
シリコン系油剤の添油処理を行い、
乾燥した後に、加熱しながら1.2〜1.7倍の延伸を施して炭素繊維前駆体繊維を得、
その炭素繊維前駆体繊維を焼成して、50000〜70000本の炭素繊維を得、
その後、1〜3本の炭素繊維を合糸して1本にして巻き取り、50000〜175000本の単繊維からなる炭素繊維の製造方法である。
本発明によれば、従来の問題を解決し、高い品質と低価格が両立したラージトウ炭素繊維を提供できる。
(炭素繊維前駆体繊維の製造)
本発明に好適な炭素繊維前駆体繊維は、アクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維である。その中でも単繊維繊度が0.6〜1.3dtexのものである。単繊維繊度が0.6dtex以上とすることでアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を安定して紡糸することが容易となる。逆に単繊維繊度1.3dtex以下とすると断面二重構造の発生が抑えられ、高性能の炭素繊維を得やすい。さらに好ましい単繊維繊度の範囲は、0.7〜1.2dtexであり、最も好ましくは0.75dtex〜1.0dtexである。
本発明に好適な炭素繊維前駆体繊維は、アクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維である。その中でも単繊維繊度が0.6〜1.3dtexのものである。単繊維繊度が0.6dtex以上とすることでアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を安定して紡糸することが容易となる。逆に単繊維繊度1.3dtex以下とすると断面二重構造の発生が抑えられ、高性能の炭素繊維を得やすい。さらに好ましい単繊維繊度の範囲は、0.7〜1.2dtexであり、最も好ましくは0.75dtex〜1.0dtexである。
本発明に好適なアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維は、50000〜175000本の単繊維を有するものである。前記範囲とすることで得られる炭素繊維の性能を維持しながら、炭素繊維の生産性が向上することが可能となる。
本発明に好適なアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維は、捲縮のないストレートなマルチ繊維の形態を有しているものである。本発明でいう捲縮は、クリンプと称される座屈変形が付与され、この座屈変形は、アクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維に機械的ダメージを与えるものであり、炭素繊維製造工程中の単糸切れ(毛羽)を誘発し、ロールへの巻き付き等のトラブルを招くとともに得られる炭素繊維の品位、性能の低下を招く。
本発明に好適なアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維は、不純物、内部ボイド、クレーズやクラック等の表面欠陥を含まないことが好ましい。
前述のアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の原料であるアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリル単独重合体若しくは共重合体、またはそれら混合物を用いることができる。アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリルと、それと共重合可能な他の単量体との共重合体である。共重合可能な他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の重合性の二重結合を有する酸類およびそれらの塩類;スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、β−スチレンスルホン酸ナトリウム、メタアリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体;2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体;マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。共重合可能な他の単量体は1種でも2種以上でも良い。本発明に用いるアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル単位を95質量%以上含有する。
アクリロニトリル系重合体の重合方法としては、水溶液中におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合等が挙げられる。これらに限定されるものではない。
アクリロニトリル系重合体の重合方法としては、水溶液中におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合等が挙げられる。これらに限定されるものではない。
本発明では、アクリロニトリル系重合体を有機溶剤に溶解し、有機溶剤溶液として用いる。有機溶剤としては、特に制限は無く、ジメチルアセトアミドは、好ましく用いることができる。有機溶剤溶液中のアクリロニトリル系重合体の濃度は、10〜35質量%とすることが好ましい。
本発明では、前述の有機溶剤溶液の紡糸原液を50000〜70000個の吐出孔を有する紡糸口金から有機溶剤の水溶液からなる凝固浴中に吐出し、凝固糸とし、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取る、これにより膨潤糸条が得られる。
吐出孔の数は、50000〜70000個であることが必要である。70000個以下とすることで、耐炎化工程での炭素繊維前駆体繊維束の発熱量があまり多くならず工程通過性に悪影響を及ぼすことがない。また、50000個以上であると、いわゆるラージトウの炭素繊維前駆体繊維を得るとき、焼成工程よりも前に合糸する必要がない。本発明では、凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取る。この範囲とすることで、吐出孔の数が、50000〜70000個もあるような紡糸口金を用いて炭素繊維前駆体繊維束を製造しても、糸切れが多発することもなく、均質な品質の炭素繊維前駆体繊維を得ることができる。
吐出孔の数は、50000〜70000個であることが必要である。70000個以下とすることで、耐炎化工程での炭素繊維前駆体繊維束の発熱量があまり多くならず工程通過性に悪影響を及ぼすことがない。また、50000個以上であると、いわゆるラージトウの炭素繊維前駆体繊維を得るとき、焼成工程よりも前に合糸する必要がない。本発明では、凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取る。この範囲とすることで、吐出孔の数が、50000〜70000個もあるような紡糸口金を用いて炭素繊維前駆体繊維束を製造しても、糸切れが多発することもなく、均質な品質の炭素繊維前駆体繊維を得ることができる。
本発明では、上述の膨潤糸条を洗浄し、延伸する。洗浄は、一般的な方法でよく、具体的には、水中、特に温水中に浸漬させる方法がよい。延伸方法としては、水中、温水中に浸漬しながら延伸する方法、熱板やローラ等のより空気中で乾熱延伸する方法また熱風が循環している箱型炉内で延伸する方法でもよく、これらに限定されるものではない。経済的な観点からは、温水中に浸漬しながら延伸する方法が好ましい。延伸の倍率は、5〜6倍とする。なお、上記洗浄と延伸の順番については、洗浄を先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
本発明では、上記の洗浄し、延伸した後に得られた糸条にシリコン系油剤を付与する。付与は、一般的な方法でよく、具体的には、油剤が入った油浴槽に導いて、糸条に油剤を付与する方法がよい。油剤としては、シリコン化合物を含有するシリコン系油剤を使用する。シリコン化合物としては、特に限定されないが、ジメチルシリコンオイルや有機変性シリコンオイルを用いることができる。中でも、アミノ変性シリコンオイルが好適である。通常は、シリコン化合物とノニオン系乳化剤とを混合し、乳化したものを用いる。また、場合により、酸化防止剤や各種添加剤、さらにシリコン原子を含まない有機物を混合することもできる。
本発明では、上記で得られた油剤付与糸条を乾燥緻密化する。乾燥緻密化は、一般的な方法でよく、具体的には、熱板や加熱ローラに接触させることにより行う方法が良い。
本発明では、上記で得られた乾燥緻密化後の糸条を二次延伸する。二次延伸は、一般的な方法でよく、具体的には、乾熱延伸、スチーム延伸等が挙げられる。乾燥緻密化後糸条の二次延伸の倍率は1.2〜1.7とする。二次延伸の倍率が1.2倍以上であれば、繊維構造の形成が十分行われ、一方、1.7倍以下であると耐炎化前の延伸性が十分に確保できるのでよい。さらに好ましい二次延伸の倍率は1.4〜1.5倍である。
(炭素繊維の製造)
本発明の炭素繊維は、50000〜175000本の単繊維からなる、ストランド弾性率斑が2%以下の炭素繊維である。
本発明の炭素繊維は、50000〜175000本の単繊維を有するものである。前記範囲とすることで得られる炭素繊維の性能を維持しながら、炭素繊維の生産性が向上することが可能となる。
また、ストランド弾性率斑が2%以下のものである。ストランド弾性率斑が2%以下であれば後工程で使用した場合に、強度発現率に斑がなく、繊維の長手方向に品質が一定な複合材料製品を製造すること容易となる。
このような特性を満足する炭素繊維は、以下のような炭素繊維の製造方法により好適に製造できる。なお、本発明の炭素繊維の製造方法は、本発明の炭素繊維の製造に特に好適であるが、他の炭素繊維の製造に利用することもできる。
本発明の炭素繊維は、50000〜175000本の単繊維からなる、ストランド弾性率斑が2%以下の炭素繊維である。
本発明の炭素繊維は、50000〜175000本の単繊維を有するものである。前記範囲とすることで得られる炭素繊維の性能を維持しながら、炭素繊維の生産性が向上することが可能となる。
また、ストランド弾性率斑が2%以下のものである。ストランド弾性率斑が2%以下であれば後工程で使用した場合に、強度発現率に斑がなく、繊維の長手方向に品質が一定な複合材料製品を製造すること容易となる。
このような特性を満足する炭素繊維は、以下のような炭素繊維の製造方法により好適に製造できる。なお、本発明の炭素繊維の製造方法は、本発明の炭素繊維の製造に特に好適であるが、他の炭素繊維の製造に利用することもできる。
本発明の炭素繊維の製造は、前述のアクリルニトリル系炭素繊維前駆体繊維を酸化性雰囲気中、温度200〜300℃で耐炎化処理し、耐炎化繊維を得る。
耐炎化繊維の密度は、1.33〜1.4g/cm3であることが好ましく、1.34〜1.37g/cm3であることがより好ましい。耐炎化繊維の密度が1.33g/cm3以上であると、後の炭素化工程で耐炎化糸条が融着せず、毛羽立ちが防止できるため、高性能、高品位である炭素繊維が容易に得られる。耐炎化繊維の密度が1.4g/cm3以下であると、酸素の耐炎化繊維糸条内への過剰導入が起こらず、強度が低下しない。
本発明の方法では、上記で得られた耐炎化繊維を、温度300〜1000℃、不活性雰囲気中で0.7分以上熱処理することで前炭素化処理する。前炭素化処理の時間が0.7分以上であると毛羽立ちの発生が防止でき、製品品位も維持でき、高性能な炭素繊維が得られる。また、装置の大きさなどの観点から、前炭素化処理の時間は3分以下であることが好ましい。
本発明の方法では、上記で得られた前炭素化処理後の繊維を、不活性雰囲気中1000℃以上で炭素化処理する。炭素化処理の温度が1000℃未満であると高性能である炭素繊維が得られにくくなる。
本発明の炭素繊維には、必要に応じて更に従来公知の技術により表面処理、サイジング付与等を行うことができる。
本発明の炭素繊維には、必要に応じて更に従来公知の技術により表面処理、サイジング付与等を行うことができる。
また、本発明の方法では、焼成して炭素繊維とする工程に引き続き、2〜3本の炭素繊維を合糸して1本にして巻き取る工程を有することが、高次加工設備への炭素繊維の積層回数、巻き付け回数の減少、成形時間の短縮、クリール設備のコンパクト化が可能となる利点があるため好ましい。
以上のような本発明の炭素繊維は、ラージトウでありながらも高い品質を有する炭素繊維である。本発明の炭素繊維は、優れた機械特性を持つ複合材料の補強繊維素材として好適に使用することができる。その複合材料は、航空宇宙用途を始め、スポーツ・レジャー用途、自動車・船舶、建材用途等、一般産業分野への用途など広く利用できる。
以下、本発明を、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(ストランド強度及びストランド弾性率の測定)
ストランド強度及びストランド弾性率は、ASTM 4018Dの方法に準拠してエポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を測定した。なお、長手方向のストランド強度、弾性率の斑を測定するために測定した試験片の数は15本とし、その平均値を求めた。
ストランド強度及びストランド弾性率は、ASTM 4018Dの方法に準拠してエポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を測定した。なお、長手方向のストランド強度、弾性率の斑を測定するために測定した試験片の数は15本とし、その平均値を求めた。
(実施例1)
アクリロニトリル、アクリルアミド、及びメタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。得られたアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を孔数60000、孔直径45μmの紡糸口金(紡糸ノズル)を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させ、紡糸原液の吐出線速度の0.38倍の引取り速度で引き取ることで繊維束(膨潤糸条)を得た。
ついで、前記繊維束に対して、水洗と同時に5.3倍の延伸を行い、さらに1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、ガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与した。引き続き、熱ロールを用いて繊維束を乾燥し、熱ロール間で1.5倍の二次延伸を施した。(トータル延伸倍率8倍)その後、タッチロールを用いて繊維束の水分率を調整し、単繊維繊度1dtexのアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得た。
アクリロニトリル、アクリルアミド、及びメタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。得られたアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を孔数60000、孔直径45μmの紡糸口金(紡糸ノズル)を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させ、紡糸原液の吐出線速度の0.38倍の引取り速度で引き取ることで繊維束(膨潤糸条)を得た。
ついで、前記繊維束に対して、水洗と同時に5.3倍の延伸を行い、さらに1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、ガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与した。引き続き、熱ロールを用いて繊維束を乾燥し、熱ロール間で1.5倍の二次延伸を施した。(トータル延伸倍率8倍)その後、タッチロールを用いて繊維束の水分率を調整し、単繊維繊度1dtexのアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得た。
得られた前記前駆体繊維を、次いで耐炎化処理温度220℃〜270℃で56分、伸長率−6%で連続的に耐炎化処理を行い、密度1.35g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて伸長率+3%、炭素繊維束1束当たりの3.5kg張力を付し、耐炎化繊維糸条の収縮を制限しながら、1.4分間の前炭素化処理を行った。続いて最高温度1250℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、1.4分間の炭素化処理を付すことにより、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例2)
炭素化処理の最高温度を1350℃とすること以外は実施例1と同様の方法で炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
炭素化処理の最高温度を1350℃とすること以外は実施例1と同様の方法で炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例3)
炭素化処理の最高温度を1500℃とすること以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
炭素化処理の最高温度を1500℃とすること以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例4)
炭素化処理の最高温度を1800℃とすること以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
炭素化処理の最高温度を1800℃とすること以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例5)
炭素化処理の最高温度を1300℃で炭素化処理した後、続いて最高温度1700℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、1.4分間第二の炭素化処理を行う以外は実施例1と同様にして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
炭素化処理の最高温度を1300℃で炭素化処理した後、続いて最高温度1700℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、1.4分間第二の炭素化処理を行う以外は実施例1と同様にして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例6)
耐炎化処理温度220℃〜270℃で100分、伸長率−6%で連続的に耐炎化処理を行い、密度1.35g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて伸長率+3%、炭素繊維束1束当たりの3.5kg張力を付し、耐炎化繊維糸条の収縮を制限しながら、2.5分間の前炭素化処理を行った。続いて最高温度1600℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、2分間の炭素化処理を付し、続いて最高温度2400℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、2分間第二の炭素化処理を付す以外は実施例1と同様にして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
耐炎化処理温度220℃〜270℃で100分、伸長率−6%で連続的に耐炎化処理を行い、密度1.35g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて伸長率+3%、炭素繊維束1束当たりの3.5kg張力を付し、耐炎化繊維糸条の収縮を制限しながら、2.5分間の前炭素化処理を行った。続いて最高温度1600℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、2分間の炭素化処理を付し、続いて最高温度2400℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり8kgの張力を付し、2分間第二の炭素化処理を付す以外は実施例1と同様にして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(実施例7)
炭素化処理を付した後に2本の炭素繊維束を合糸して120000本の炭素繊維を得た以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
炭素化処理を付した後に2本の炭素繊維束を合糸して120000本の炭素繊維を得た以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
(比較例1)
アクリロニトリル、アクリルアミド、及びメタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。このアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔数18000、孔径50μmの紡糸口金(紡糸ノズル)を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させ、紡糸原液の吐出線速度の0.31倍の引取り速度で引き取ることで繊維束(膨潤糸条)を得た。ついで、この繊維束に対して水洗と同時に4.8倍の延伸を行い、さらに1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、ガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与した。この繊維束を熱ロールを用いて乾燥し、二次延伸を2.77倍とし、トータル延伸倍率13倍を行った。その後、タッチロールにて繊維束の水分率を調整し、単繊維繊度1dtexのアクリロニトリル系繊維束を得た。製造したアクリロニトリル系前駆体繊維を、次いで耐炎化処理温度220℃〜270℃で56分、伸長率―6%で連続的に耐炎化処理を行い、密度1.35g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて伸長率+3%、炭素繊維束1束当たりの0.9kg張力を付し、耐炎化繊維糸条の収縮を制限しながら、1.4分間の前炭素化処理を行った。続いて最高温度1,250℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり1.1kgの張力を付し、1.4分間の炭素化処理を付した後に3本の炭素繊維束を合糸して54000本の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
アクリロニトリル、アクリルアミド、及びメタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。このアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔数18000、孔径50μmの紡糸口金(紡糸ノズル)を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させ、紡糸原液の吐出線速度の0.31倍の引取り速度で引き取ることで繊維束(膨潤糸条)を得た。ついで、この繊維束に対して水洗と同時に4.8倍の延伸を行い、さらに1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、ガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与した。この繊維束を熱ロールを用いて乾燥し、二次延伸を2.77倍とし、トータル延伸倍率13倍を行った。その後、タッチロールにて繊維束の水分率を調整し、単繊維繊度1dtexのアクリロニトリル系繊維束を得た。製造したアクリロニトリル系前駆体繊維を、次いで耐炎化処理温度220℃〜270℃で56分、伸長率―6%で連続的に耐炎化処理を行い、密度1.35g/cm3の耐炎化繊維糸条を得た。続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて伸長率+3%、炭素繊維束1束当たりの0.9kg張力を付し、耐炎化繊維糸条の収縮を制限しながら、1.4分間の前炭素化処理を行った。続いて最高温度1,250℃、伸長率−3.8%窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、炭素繊維束1束当たり1.1kgの張力を付し、1.4分間の炭素化処理を付した後に3本の炭素繊維束を合糸して54000本の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド物性の結果を、表2に示した。
Claims (2)
- 50000〜175000本の単繊維からなる、ストランド弾性率斑が2%以下である炭素繊維。
- 95質量%以上のアクリロニトリル単位であるアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸溶液を50000〜70000個の吐出孔を有する紡糸口金から有機溶剤の水溶液の凝固浴中に吐出して凝固糸とし、この凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.4倍の速度で凝固浴中から引き取り、
さらに5〜6倍の延伸を施し、
シリコン系油剤の添油処理を行い、
乾燥した後に、加熱しながら1.2〜1.7倍の延伸を施して炭素繊維前駆体繊維を得、
その炭素繊維前駆体繊維を焼成して、50000〜70000本の炭素繊維を得、
その後、1〜3本の炭素繊維を合糸して1本にして巻き取り、50000〜175000本の単繊維からなる炭素繊維の製造方法。
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- 2011-03-11 JP JP2011054072A patent/JP2012188781A/ja not_active Withdrawn
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