JP2012255235A - 耐炎化繊維束の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐炎化の進行状況が均一で単繊維間の融着が防止された耐炎化繊維束を生産性良く提供する。
【解決手段】アクリル系前駆体繊維束に対して酸化性雰囲気中において非接触加熱方式により酸化処理し、引き続き、酸化性雰囲気中において接触加熱方式により酸化処理する、アクリル系前駆体繊維束からの耐炎化繊維束の製造方法。接触加熱方式は加熱ロールが好ましい。非接触加熱方式は熱風循環が好ましい。前駆体繊維束は総繊度が12000〜70000dtexであることが好ましい。接触加熱方式は、(1)温度240℃〜290℃の加熱ロール群1を用いて繊維の密度を1.27〜1.38g/cm3とする工程、次いで(2)温度260℃〜330℃の加熱ロール群2を用いて繊維の密度を1.30〜1.40g/cm3とする工程、次いで(3)温度280℃〜370℃の加熱ロール群3を用いて繊維の密度を1.33〜1.42g/cm3とする工程が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、高性能、高品位な耐炎化繊維束を高い生産性で製造可能な耐炎化繊維束の製造方法に関する。
アクリル系前駆体繊維束を用いて炭素繊維束を製造する一般的な方法として、アクリル系前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理(耐炎化工程)を行った後、300〜1000℃での前炭素化処理(前炭素化工程)を行い、さらに1000℃以上の不活性ガス雰囲気中で炭素化(炭素化工程)を行う方法が知られている。
上記製造方法のうち、耐炎化工程では、酸化性雰囲気下で前駆体繊維束を熱処理するが、アクリロニトリルを主成分とする前駆体繊維束には、発熱を伴う酸化反応により、耐炎性が付与される。従って、反応に必要な熱を与えつつ、除熱も同時に行うため低温且つ長時間、酸化性雰囲気に晒し反応を進める方式(以下「熱風循環方式」という)が現在主流となっている。しかしながら、この方式では発熱が除熱を上回り、繊維束内部に蓄熱して暴走反応を起こさないように、熱処理温度は200〜300℃と低く設定される。このため、所定の耐炎化繊維束を得るには長時間の熱処理が必要である。
特許文献1には、アクリル系前駆体繊維束を直接加熱体に接触させる方式(以下「接触加熱方式」という)で、熱伝導性の良い加熱体に接触した状態で反応に必要な熱を付与し、反応で生じた熱を接触したロールに逃がして制御する技術が記載されている。
特開昭51−64022号公報
しかしながら、特許文献1に記載された接触加熱方式は、アクリル系前駆体繊維束を直接加熱体に接触させて耐炎化を進行させるため繊維間の融着が生じ易く、そのため加熱体の温度を徐々に上げていく必要があり、所定の密度に上げるまでに加熱体への接触を一回当たりの接触時間を1秒以下に抑え、100回以上繰り返す必要がある。この方式で複数錘の処理を実施するには多数のロールを必要とするため、事実上不可能であり、単錘処理装置を並列して実施することになり、生産性に問題があった。
また接触回数の増加は製造にかかる電気消費量が増大するので好ましくない。しかもこの方式では加熱体への接触と剥離をくり返し行うので、得られる炭素繊維には繊維束からの毛羽発生が多く見受けられる。また二本のロールを対とし、二本のロールの回転軸を完全な平行から微小角ずらすことで、二本のロールの異なる位置に、搬送物の複数回の巻き付けを可能とする方式(ネルソン方式)では同一温度設定の加熱体への接触となるため、反応の制御が難しく融着が起こりやすいという問題があり、強度発現性にも問題があり、さらなる改善が望まれていた。
前記課題は、以下の本発明によって解決される。
本発明は、アクリル系前駆体繊維束に対して酸化性雰囲気中において非接触加熱方式による酸化処理を施し、引き続き、酸化性雰囲気中において接触加熱方式により2つ以上の異なる温度条件で酸化処理を施す、アクリル系前駆体繊維束からの耐炎化繊維束の製造方法である。
本発明によれば、耐炎化の進行状況が均一で単繊維間の融着が防止された耐炎化繊維束を生産性良く提供できる。また、繊維束からの毛羽発生が少ない炭素繊維束を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
(アクリル系前駆体繊維束)
本発明に用いるアクリル系前駆体繊維束を構成する重合体としては、アクリロニトリル単位90モル%以上と、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマー単位10モル%以下からなるアクリル系共重合体が好ましい。アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを挙げることができる。アクリル系共重合体中の共重合成分が10モル%以下であると後述する耐炎化工程で単繊維間接着の発生を抑制する事ができるため好ましい。また、アクリル系共重合体の重合方法は、特に限定されないが、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを適用することができる。
アクリル系重合体を紡糸する際に使用する溶媒としては、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、塩化亜鉛水溶液、硝酸などの有機・無機の溶媒を使用することができる。
紡糸方法としては、特に限定されないが、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などを適用することができる。湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などで得られた凝固糸は、従来公知の水洗、浴延伸、工程油剤付与、乾燥緻密化、スチーム延伸などを行うことにより所定の繊度を有するアクリル系前駆体繊維束とされる。
工程油剤には、従来公知のシリコーン系油剤やケイ素を含まない有機化合物からなる油剤などを用いることができる。後述する耐炎化工程や前炭素化工程での単繊維間の接着を防止できれば、工程油剤として好適に使用できる。シリコーン系油剤としては、耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを含有するものが好ましい。
工程油剤を付与された繊維束は、加熱により乾燥するのが良い。乾燥処理は50℃以上200℃以下の温度に設定した加熱ロールに接触させて行うのが効率的である。繊維束の含有水分率が1質量%以下となるまで乾燥し、繊維構造を緻密化させることが好ましい。
また、乾燥された繊維束は、引き続き延伸を施すことができる。延伸方法としては、特に限定されないが、乾熱延伸法、熱板延伸法、スチーム延伸法などを適用することができる。
アクリル系前駆体繊維束の構成本数としては、好ましくは1000本以上70000本以下、より好ましくは12000本以上70000本以下の範囲である。
アクリル系前駆体繊維束の単繊維繊度としては、好ましくは0.6dtex以上3dtex以下、より好ましくは0.7dtex以上2.5dtex以下、さらに好ましくは0.8dtex以上2.0dtex以下である。アクリル系前駆体繊維束の単繊維繊度が0.6dtex以上3dtex以下の範囲であれば、得られる炭素繊維の繊維径が適度な大きさとなり、複合材料の強化繊維として用いた場合の圧縮応力下での座屈変形を抑制でき、圧縮強度向上の観点から好ましい。また単繊維繊度がこの範囲であれば、耐炎化工程において焼成斑を起こすことがないため、好ましい。
(非接触加熱方式による酸化処理)
本発明においてアクリル系前駆体繊維束の耐炎化は、2方式の酸化処理を順次施すことによって行われる。
アクリル系前駆体繊維束は、先ず、酸化性雰囲気中において非接触加熱方式による酸化処理を受ける。非接触加熱方式による酸化処理としては、熱風循環方式、赤外線照射方式、蒸気加熱酸化方式等による酸化処理が挙げられる。コスト的な有利さ、均一処理のしやすさの点から熱風循環方式が好ましい。
熱風循環方式で酸化処理を施す条件としては、例えば、酸化性雰囲気中、200℃以上300℃以下の温度、緊張下で、20分〜90分程度、加熱処理する条件が採用される。繊維の密度が、好ましくは1.22g/cm3以上1.38g/cm3以下、より好ましくは1.24g/cm3以上1.36g/cm3以下となるまで加熱するのがよい。
繊維の密度が1.22g/cm3以上1.38g/cm3以下の範囲であると、後述する接触加熱方式によって耐炎化処理を施す際、高温接触体上での延伸による糸切れを抑制できる。
本発明において酸化性雰囲気としては、空気、酸素、二酸化窒素など公知の酸化性雰囲気を採用できるが、経済性の面から空気が好ましい。
(接触加熱方式による酸化処理)
引き続き行われる接触加熱方式による酸化処理は、酸化性雰囲気中、緊張下、加熱体の温度を240℃以上370℃以下の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは260℃以上360℃以下の温度、また、270℃以上350℃以下の温度に設定することがさらに好ましい。加熱体の温度を240℃以上370℃以下の範囲とすると、耐炎化反応の進行が適度になり、さらに分解反応の進行を抑制でき、極端な質量減少による歩留まりの低下ならびに糸切れを抑制できるので好ましい。
加熱体を用いた接触加熱によって、繊維束の密度が1.33g/cm3以上1.42g/cm3以下となるまで加熱するのが好ましい。接触加熱時間は、例えば1分程度である。加熱体としては、加熱ロール、熱板等が挙げられる。
加熱ロールを用いる酸化処理としては、温度範囲が異なる加熱ロール群を使用する、以下の三工程を順次行う方法が好ましい。
(1)温度240℃〜290℃の加熱ロール群1を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.27〜1.38g/cm3(ρ1)とする工程、
(2)工程(1)に引き続いて、温度260℃〜330℃の加熱ロール群2を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.30〜1.40g/cm3(ρ2)とする工程、
(3)工程(2)に引き続いて、温度280℃〜370℃の加熱ロール群3を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.33〜1.42g/cm3(ρ3)とする工程。
加熱ロールをこのような三つのロール群に分けることで、繊維束の均一性を上げ、単繊維間の融着を防ぐことができる。三工程の接触加熱によって繊維はρ1<ρ2<ρ3となる段階的な密度上昇を経る。繊維束の均一性を上げ、単繊維間の融着を防ぐことで、後工程の炭素化で得られる炭素繊維のストランド強度の低下を防ぐことができる。
以上のようにして製造された耐炎化繊維束は、公知の前炭素化処理、炭素化処理を経て炭素繊維束とされ、必要に応じてサイジング処理等される。以下、代表的な前炭素化処理条件、炭素化処理条件、黒鉛化処理条件、電解酸化処理条件、サイジング処理条件を例示する。
(耐炎化繊維束の前炭素化)
本発明の製造方法によって得られた耐炎化繊維束は、窒素等の不活性雰囲気中、最高温度が700℃で、張力が0.5〜1mN/dTexでの緊張下に加熱して、前炭素化処理が行われる。この前炭素化処理での300〜500℃での昇温速度は200℃/分以下に、300℃以上での処理時間は1.5分以上であることが炭素繊維の機械的特性を向上させるために有効である。
(前炭素化繊維束の炭素化)
前炭素化繊維束の炭素化条件としては、不活性雰囲気中、最高温度が1200〜2000℃で緊張下に、1000〜1200℃の温度領域において500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で加熱することが炭素繊維の機械的特性を向上させるために有効である。雰囲気については、窒素、アルゴン、ヘリウムなど公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
(炭素化繊維束の黒鉛化)
さらに、必要に応じて公知の方法により黒鉛化することができる。例えば、かかる炭素化繊維束を、不活性雰囲気中、最高温度が2000〜3000℃で緊張下に加熱することにより黒鉛化することができる。
(電解酸化処理)
こうして得られた炭素化(黒鉛化)繊維束の表面改質のため、電解酸化処理をすることができる。電解酸化処理に用いる電解液には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドといったアルカリまたはそれらの塩を水溶液として使用することができる。ここで、電解酸化処理に要する電気量は、適用する炭素繊維により適宜選択することができる。かかる電解酸化処理により、複合材料において炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を適正化でき、バランスのとれた強度特性が発現されるようになる。
(サイジング処理)
引き続き、炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤には、樹脂との相溶性の良いサイジング剤を、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。尚、炭素繊維束について、以下の方法によって、樹脂含浸ストランド特性、毛羽量、融着量を評価した。
〔1.樹脂含浸ストランド特性〕
JIS−R 7608準拠して、弾性率と強度を測定した。
〔2.毛羽量の測定〕
繊維束に1000dtexあたり100gの張力を付与した状態で、10m/分の速度で100m走行させ、繊維束上部面より5mm離れた固定点にレーザー光を通し、そこを通過した毛羽の本数を測定し、1mあたりの平均値をもって毛羽量とした。
〔3.融着量の測定〕
1本の繊維束を12000本単位の束に分けた後、長さ3mmに切断し、300mlビーカーに投入し、更に200mlのイオン交換水を加え、長さ15mmのマグネティックスターラを50回転/分の速度で10分間回転させ、直ちに直径200mmのシャーレに移し、シャーレ内で全ての繊維が沈んだことを確認した後、虫眼鏡を用いて単繊維が接着している箇所を計数した。
(実施例1)
アクリロニトリル単位96モル%と、アクリルアミド単位3モル%と、メタクリル酸単位1モル%とからなるアクリル系重合体の20質量%ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を作製した。この溶液を孔径60μm、孔数6万個の紡糸口金を通して、DMAc水溶液中(温度35℃、溶剤濃度67質量%)で凝固させて凝固繊維束を得た。この凝固繊維束を水洗後、95℃の熱水浴中で3倍に延伸し、アミノ変性シリコーン油剤を付与した後、温度135℃で3分間乾燥した。さらに加圧スチーム処理装置を用いて3倍に延伸処理を行い、単繊維繊度1.0dTex、総繊度60000dTexのアクリル系前駆体繊維束を得た。
得られたアクリル系前駆体繊維束を、空気中、温度220〜250℃、張力2mN/dTexの緊張下で加熱して(熱風循環方式)、密度1.30g/cm3の繊維束とした。さらに四本の加熱ロールで構成される加熱ロール群1(進行方向手前から順に、温度は、240℃、240℃、260℃および260℃)を通し、続いて四本の加熱ロールで構成される加熱ロール群2(進行方向手前から順に、温度は、280℃、280℃、300℃および300℃)を通し、更に、八本の加熱ロールで構成される加熱ロール群3(進行方向手前から順に、温度は、310℃、310℃、320℃、320℃、330℃、330℃、340℃および340℃)を通した。各ロールでの接触時間を10秒(総接触時間160秒)とすることで、密度1.40g/cm3の耐炎化繊維束を得た。尚、加熱ロール群1通過後および加熱ロール群2通過後の耐炎化繊維束の密度は、それぞれ1.33g/cm3および1.36g/cm3であった。
得られた耐炎化繊維束を窒素雰囲気中、最高温度が700℃で、張力が0.8mN/dTexでの緊張下に加熱して、前炭素化繊維束とした。この前炭素化処理での300〜500℃での昇温速度は200℃/分であり、300℃以上での処理時間は1.5分であった。
得られた前炭素化繊維束を、不活性ガス雰囲気中、最高温度が1350℃、張力が2.5mN/dTexでの緊張下に加熱して、炭素化繊維束とした。この炭素化処理での1000〜1300℃での昇温速度は200℃/分であり、1000℃以上での処理時間は1.5分であった。
得られた炭素化繊維束を表面処理後、サイジング剤を付与し、総繊度60000dTexの炭素繊維束を得た。この炭素繊維束の樹脂含浸ストランド特性を測定すると、弾性率260GPa、強度4500MPaであった。毛羽量は2本/mであり、融着量は0個/10000本であった。
(実施例2)
加熱ロール群による加熱方法を、二本の加熱ロールで構成される加熱ロール群1(進行方向手前から順に、温度は、240℃および260℃)、二本の加熱ロールで構成される加熱ロール群2(進行方向手前から順に、温度は、280℃および300℃)、四本の加熱ロールで構成される加熱ロール群3(進行方向手前から順に、温度は、310℃、320℃、330℃および340℃)とし、各ロールでの接触時間を10秒(総接触時間80秒)とした。これ以外は、実施例1と同じ方法で、密度1.38g/cm3の耐炎化繊維束を得た。尚、加熱ロール群1通過後および加熱ロール群2通過後の耐炎化繊維束の密度は、それぞれ1.32g/cm3および1.35g/cm3であった。
引き続き、実施例1と同様に前炭素化、炭素化、表面処理を行い、弾性率260GPa、強度4300MPaの樹脂含浸ストランド特性を有する炭素繊維束を得た。また、毛羽量は0本/m、融着量は1個/10000本であった。
(比較例1)
加熱ロール群による加熱処理を行わずに、実施例1と同様の熱風循環方式のみで酸化処理を行ない耐炎化繊維束を得た。この繊維束を実施例1と同じ方法で前炭素化処理し、密度1.33g/cm3の繊維束を得た。引き続き、実施例1と同様に炭素化、表面処理を行い、弾性率240GPa、強度3400MPaの樹脂含浸ストランド特性を有する炭素繊維束を得た。また、毛羽量は0本/m、融着量は4個/10000本であった。
(比較例2)
実施例1で得られたアクリル系前駆体繊維束を、空気中、温度220〜250℃、張力2mN/dTexの緊張下で加熱して(熱風循環方式)、密度1.30g/cm3 の繊維束とした後、ネルソン方式の接触方式処理により、温度250℃の加熱ロールに一回当たりの接触時間が5秒で、120回接触させ(総接触時間10分)、密度1.38g/cm3 の耐炎化繊維束を得た。引き続き、実施例1と同様に前炭素化、炭素化、表面処理を行い、弾性率260GPa、強度3000MPaの樹脂含浸ストランド特性を有する炭素繊維束を得た。また毛羽量は50本/m、融着量は150個/10000本であった。
(比較例3)
ネルソン方式の接触方式処理による、温度250℃の加熱ロールに一回当たりの接触時間を0.5秒とし、1200回接触させた(総接触時間10分)以外は、比較例2と同様に処理をして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束の樹脂含浸ストランド特性を測定すると、弾性率260GPa、強度3600MPaであった。また毛羽量は80本/mであり、融着量は8個/10000本であった。
Figure 2012255235

Claims (5)

  1. アクリル系前駆体繊維束に対して酸化性雰囲気中において非接触加熱方式による酸化処理を施し、引き続き、酸化性雰囲気中において接触加熱方式により2つ以上の異なる温度条件で酸化処理を施す、アクリル系前駆体繊維束からの耐炎化繊維束の製造方法。
  2. 前記接触加熱方式による酸化処理が加熱ロールを用いる酸化処理である請求項1に記載の方法。
  3. 前記加熱ロールを用いる酸化処理が以下の三工程である請求項2に記載の方法。
    (1)温度240℃〜290℃の加熱ロール群1を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.27〜1.38g/cm3とする工程、
    (2)工程(1)に引き続いて、温度260℃〜330℃の加熱ロール群2を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.30〜1.40g/cm3とする工程、
    (3)工程(2)に引き続いて、温度280℃〜370℃の加熱ロール群3を用いる酸化処理によって繊維の密度を1.33〜1.42g/cm3とする工程。
  4. 前記アクリル系前駆体繊維束として、総繊度が12000〜70000dtexのアクリル系前駆体繊維束を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記非接触加熱方式による酸化処理が熱風循環方式による酸化処理である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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