JP6191182B2 - 炭素繊維束及びその製造方法 - Google Patents
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特許文献1の場合、イオン注入により表層の結晶部が低下しており、電気伝導性も低下する問題があった。
また、特許文献2の場合、耐炎化時間が長いため、単繊維繊度が1.1texより小さい前駆体繊維を使用した場合、低い炭素化温度でも引張弾性率が発現し、剛性の高い炭素繊維ができやすいという問題があった。
εcf = 1.07 × D/R2
そして、(4)ストランド弾性率が250GPa以下であることが好ましい。
(A)表面温度が150℃以上440℃以下である加熱ロールに断続的に接触させるか、または、
(B)酸化性雰囲気中で加熱した後、表面温度が150℃以上440℃以下である加熱ロールに断続的に接触させるかして、
繊維密度を1.35g/cm3以上1.43g/cm3以下とする際に繊維束を加熱する時間を30分以下とする、炭素繊維束の製造方法。
である。
炭素繊維の電気伝導性を向上させるためには、グラファイト網面構造を発達させる必要がある。その方法として、炭素化工程での焼成温度を高くする方法や、繊維を伸長させながら焼成する方法などが従来から知られている。しかしながら、これらの方法を用いると、ストランド引張弾性率も同時に増大して繊維の剛性が高まるため、炭素繊維の柔軟性が低下して、複合材料への加工性が低下することが予想される。
下限値は、成型の加工性の点から、4.0以上が好ましく、5.0以上がより好ましく、6.0以上がさらに好ましい。
D2 = 4/π×T/(ρ×f)×106
ρ:炭素繊維の密度(g/cm3)
f:炭素繊維束のフィラメント数
ループ試験は以下の方法で行う。
ε=1.07×D/R2・・・・・(1)
炭素繊維のグラファイト網面結晶子サイズLcは、以下の方法で求めることができる。(1)測定に使用する炭素繊維トウを50mm長に切断し、ここから12mg精秤採取し、試料繊維軸が正確に平行になるようにして引き揃えた後、幅1mmの厚さが均一な繊維試料束に整える。
(式中、Kはシェラー定数0.9、λは用いたX線の波長(ここではCuKα線を用いているので、0.15418nm)、θはBraggの回折角、β0 は真の半価幅、β0 2=βE 2−β1 2(βEは見かけの半価幅、β1 は装置定数であり、ここでは0.063rad)である。
グラファイト網面結晶子サイズLcの測定のときと同様にして試料を調整し、同様の解析方法によって得られたd(002)回折の最高強度を含む2θで、サンプル繊維束をX線に対して垂直な面上で360°回転させながら回折強度を測定し、回折プロフィルの半価幅(H°)から、下記の式(3)を用いて結晶配向度π002(%)を求めた。
炭素繊維束の体積抵抗率は、JIS−R−7609記載の方法で測定することができる。なお、多数の単繊維から構成される繊維束(炭素繊維束)を用いて測定することができる。この炭素繊維束を構成する単繊維数は例えば1000〜50000本とすることができる。また、炭素繊維束の抵抗値は二端子法により測定した(図2)。この方法では、試験長Lで測定した抵抗値Rを、以下の式(4)にそれぞれ代入し、各試験長Lに対して体積抵抗率S(L)を求める。JIS法によると、試験長は1点のみでよいが、本発明では、最小二乗法でフィッティングを行うため、50、130、210mmの3点の試験長で体積抵抗率の測定を行い、各試験長に対して3回ずつ測定を行い、その平均値を実測した抵抗値とした。この方法は、測定の際に発生してしまう試料以外の抵抗を除去するものである。
ここで、S(L): 体積抵抗率(Ω・m)、L: 試験長(m)、R: 実測した抵抗値(Ω)、T: トウの目付け(g/m)、ρ: 炭素繊維の密度(g/m3)である。
炭素繊維用前駆体繊維として、ポリアクリロニトリル系重合体からなる特定の単繊維繊度を有する繊維を用いる。このアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル単位を含めばよく、アクリロニトリルのホモポリマー(単独重合体)であっても良いし、アクリロニトリルと、他のモノマーとのコポリマー(共重合体)であっても良い。
なお、密度が急激に上昇し始める温度域では、暴走反応を防ぐために接触時間を短くしている。得られた耐炎化繊維の密度は1.39g/cm3であった。
実施例1と同じ前駆体繊維束を、熱風循環式耐炎化炉にて220〜250℃の加熱空気中、伸長率0%で耐炎化処理を20分行い、耐炎化繊維を得た。この耐炎化繊維の密度は1.23g/cm3であった。その後、この耐炎化繊維を270、300℃にそれぞれ設定した加熱ロール2組(6本×2組)に順に接触させることで、耐炎化繊維を得た。繊維が各組を通過する間の時間は、それぞれ2分、4分で、合計26分要した。この耐炎化繊維の密度は1.39g/cm3であった。この耐炎化繊維を実施例1と同じ条件で炭素化処理し、炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維の、曲率半径と繊維径の比(r/D)は、11.33、体積抵抗率は、1.6×10−5Ω・m、グラファイト網面結晶サイズ(Lc)は1.80nm、結晶配向度は80.7%、引張弾性率は239GPa、圧縮強度は5.41GPaであった。得られた炭素繊維はr/dが高く、剛性の高いものであった。
紡糸原液を凝固浴中に吐出する量のみを変更して、他は実施例1と全く同じ条件で、単繊維繊度が2.5dtexの前駆体繊維束を得た。この前駆体繊維束を熱風循環式耐炎化炉にて230〜270℃の加熱空気中、伸長率3%で耐炎化処理を30分行い、耐炎化繊維を得た。耐炎化繊維の密度は1.26g/cm3であった。その後、耐炎化繊維を270、290、330、360℃に設定した加熱ロールに15秒間毎連続的に接触させて、耐炎化繊維を得た。耐炎化繊維Cの密度は1.37g/cm3であった。この耐炎化繊維を実施例1と同じ条件で炭素化処理し、炭素繊維束を得た。
紡糸原液を凝固浴中に吐出する量のみを変更して、他は実施例1と全く同じ条件で、単繊維繊度が2.5dtexの前駆体繊維束を得た。この前駆体繊維束を熱風循環式耐炎化炉にて230〜270℃の加熱空気中、伸長率3%で耐炎化処理を90分行い、耐炎化繊維を得た。耐炎化繊維の密度は1.38g/cm3であった。この耐炎化繊維を実施例1と同じ条件で炭素化処理し、炭素繊維束を得た。
アクリロニトリル質量98質量%、メタクリル酸2.0質量%を共重合させたアクリロニトリル系共重合体を、ジメチルホルムアミドに溶解して、重合体濃度23.5質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を、孔数12000のノズル孔を有する口金を用いて、空気中に紡出させて約5mmの空間を通過させた後、温度15℃、濃度80.0質量%のジメチルホルムアミド水溶液中に吐出して、凝固糸とした。この凝固糸を、洗浄延伸及び熱延伸させて、全体で8.0倍延伸させた前駆体繊維束を得た。この前駆体繊維の単繊維繊度は、0.77dtexであった。
実施例3と同じ前駆体繊維束を、熱風循環式耐炎化炉にて230〜270℃の加熱空気中、熱風循環式耐炎化炉にて220〜270℃の加熱空気中、伸長率6%で耐炎化処理を45分行い耐炎化繊維を得た。耐炎化繊維の密度は1.34g/cm3であった。その後、この耐炎化繊維を、最高温度を1,100℃にした以外は、実施例1と同じ条件で炭素化処理し、炭素繊維束を得た。
実施例3と同じ前駆体繊維束を、熱風循環式耐炎化炉にて230〜270℃の加熱空気中、熱風循環式耐炎化炉にて220〜270℃の加熱空気中、伸長率6%で耐炎化処理を45分行い、耐炎化繊維を得た。耐炎化繊維の密度は1.34g/cm3であった。
その後、この耐炎化繊維を、最高温度を2,400℃にした以外は、実施例1と同じ条件で炭素化処理し、炭素繊維束を得た。
2 カプトン膜
3 カバーガラス
4 テープ
5 スライドガラス
6 単繊維
10 抵抗測定器
11 導線
12 長さ計
13 試験片
14 電極
21 試験片
22 締付けネジ
23 端子
24 絶縁板
25 銅板
Claims (5)
- 単繊維のループ試験における、破断直前のループ頂点部分の繊維の曲率半径r(μm)と繊維径D(μm)の比(r/D)が7.4以下であり、二端子法を用いて測定した炭素繊維束の体積抵抗率が2×10−5Ω・m以下である炭素繊維束。
- 単繊維のループ試験における、ループの短径R1(μm)と長径R2(μm)の比(R1/R2)が急激に上昇し始める座屈点において、次式で求められる圧縮降伏歪とストランド引張弾性率の積から得られる単繊維圧縮強度が5GPa以上である、請求項1に記載の炭素繊維束。
εcf = 1.07 × D/R2 - X線回折法で2θ測定を行い、d(002)面の回折強度のピーク半価幅から求めたグラファイト網面結晶サイズLcが1.7nm以上で、d(002)面回折が最高強度になる2θでβ測定を行い、回折強度のピーク半価幅から求めた結晶子配向度πが75%以上である請求項1または2に記載の炭素繊維束。
- ストランド弾性率が250GPa以下で、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維束。
- 単繊維繊度が2.3dtex以下の炭素繊維前駆体アクリル繊維束を酸化性雰囲気中、表面温度が150℃以上440℃以下である加熱ロールに断続的に接触させて、繊維密度を1.35g/cm3以上1.43g/cm3以下とする際に繊維束を加熱する時間を15分以下とする、炭素繊維束の製造方法。
但し、前記炭素繊維前駆体アクリル繊維束を酸化性雰囲気中で加熱した後、前記加熱ロールに接触させる場合を除く。
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