JP2013023801A - 炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素化収率を低下させることなく効率的に炭素繊維束を製造する方法の提供。
【解決手段】明細書中に定義される耐炎化工程と前炭素化工程と炭素化工程とを含む炭素繊維束の製造方法であり耐炎化工程によって耐炎化繊維束の密度を1.32〜1.38g/cmにし耐炎化工程と前炭素化工程との間にさらに加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束と接触させることにより該耐炎化繊維束の温度を400℃以下に保ちつつ該耐炎化繊維束の密度が1.42〜1.49g/cmとなるまで加熱処理する前炭素化前処理工程を有する炭素繊維束の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、炭素繊維束の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、工業的には前駆体繊維を200〜300℃の空気中で熱処理する耐炎化工程と、1000℃未満の不活性雰囲気中で熱処理する前炭素化工程と、1000℃以上の不活性雰囲気中で熱処理する炭素化工程を経て製造されるのが一般的である。この際、前駆体繊維に含まれる酸素原子、窒素原子、水素原子などが熱分解により脱離し、最終的に炭素原子の含有割合(炭素含有量)が95質量%以上の炭素繊維となる。
前駆体繊維の原料としては、ポリアクリロニトリルモノマーが多く用いられている。ポリアクリロニトリルモノマーの炭素含有量は約68質量%であり、その前駆体繊維を基準にした炭素繊維の収率(以下、単に「炭素化収率」という。)は、理想的な場合でも約68質量%である。しかし、実際は炭素原子の脱離も生じるため、炭素化収率は50質量%前後であるのが実状である。
そのため、炭素化収率の低さも含めて、炭素繊維の製造コストに占める原料コストの割合は大きく、炭素繊維の製造コストを低減するには原料コストをいかに削減するかが重要である。
これまで、炭素化収率を向上させるために、いくつかの技術が提案されている。特許文献1ではHS、SOなどの硫黄化合物、特許文献2ではヨウ素ガス、特許文献3、4では有機化合物を用いて、炭素繊維を製造する方法がそれぞれ開示されている。また、特許文献5〜7には、炭素繊維を短時間で炭素化収率よく製造する方法が開示されている。
特開昭58−109625号公報 特開2002−160912号公報 特開2001−248025号公報 特開2005−113305号公報 特開昭51−75124号公報 特開昭58−174630号公報 特開昭58−214535号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法では、炭素繊維の製造の際に硫黄化合物、ヨウ素ガス、有機化合物を用いているため、これらに起因した廃棄物や排気ガスが発生しやすく、廃棄物や排気ガスの処理に設備投資やユーティリティーコストがかかることがあった。これにより、炭素繊維の製造コストが高くなることがあり、工業的な技術として適用するのに困難な場合があった。
また、特許文献5〜7に記載の方法は、炭素繊維を炭素化収率よく製造することはできるものの、処理時間が長くなることによる設備投資やユーティリティーコストまでは考慮されていない。従って、炭素化収率を低下させることなく効率的にアクリル系炭素繊維束を製造する方法としては不十分な場合があり、さらなる改良が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、炭素化収率を低下させることなく効率的に炭素繊維束を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、
炭素繊維前駆体繊維束を酸化性ガス雰囲気下、200〜300℃で加熱処理し、耐炎化繊維束とする耐炎化工程と、
耐炎化繊維束を不活性ガス雰囲気下、500〜800℃の最高処理温度で加熱処理し、前炭素化処理繊維束とする前炭素化工程と、
前炭素化処理繊維束を不活性ガス雰囲気下、1000℃以上の最高処理温度で加熱処理して、炭素繊維束とする炭素化工程と
を含む炭素繊維束の製造方法であって、
耐炎化工程によって耐炎化繊維束の密度を1.32g/cm以上1.38g/cm以下にし、
耐炎化工程と前炭素化工程との間にさらに、
加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束と接触させることにより、該耐炎化繊維束の温度を400℃以下に保ちつつ、該耐炎化繊維束の密度が1.42g/cm以上1.49g/cm以下となるまで加熱処理する前炭素化前処理工程を有する炭素繊維束の製造方法である。
本発明の炭素繊維束の製造方法によれば、炭素化収率を低下させることなく効率的に炭素繊維束を製造できる。
本発明の炭素繊維束の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。 前炭素化前処理工程に用いることのできる装置の概略側面図である。 前炭素化工程に用いることのできる装置の概略側面図である。 前炭素化前処理工程に用いる前炭素化前処理装置と、前炭素化工程に用いる前炭素化処理装置とを接続した装置の概略側面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、炭素繊維前駆体繊維束(例えば、アクリル系前駆体繊維束)を熱処理して炭素繊維束を得るものである。また、本発明は、耐炎化工程と、前炭素化工程と、炭素化工程とを有し、さらに、耐炎化工程と前炭素化工程との間に、加熱した不活性ガスにより耐炎化繊維束の加熱処理をおこなう前炭素化前処理工程を有する。
<アクリル系重合体>
本発明では、炭素繊維前駆体繊維束(以下、前駆体繊維束と称する)として、アクリル系前駆体繊維束を用いることができる。
なお、アクリル系前駆体繊維束は、アクリル系重合体からなることができる。アクリル系重合体は、アクリロニトリルの単独重合体であっても良いし、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体であっても良いが、耐炎化工程での安定性の観点から共重合体が好ましい。
また、共重合体である場合、アクリル系重合体中のアクリロニトリル単位の割合は90質量%以上、ビニル系モノマー単位の割合は10質量%以下が好ましい。ビニル系モノマー単位の割合が10質量%以下であれば、耐炎化工程での単繊維間の接着を容易に抑制できる。
ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸や、それらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類;アクリルアミドおよびその誘導体;アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などのスルホン酸や、それらの塩類およびアルキルエステル類などが挙げられる。なお、ビニル系モノマーは、1種または2種以上を用いることができる。
アクリル系共重合体を重合する方法としては特に限定されないが、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを適用することができる。また、アクリル系重合体を紡糸する際に使用する溶媒としては特に限定されないが、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド、塩化亜鉛水溶液、硝酸などの有機系溶媒や無機系溶媒を使用することができる。
<前駆体繊維束>
前駆体繊維束を構成する重合体(例えば、アクリル系重合体)を紡糸する方法としては特に限定されないが、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などを適用することができる。そして、これらの方法で得られた凝固糸に対して、従来公知の水洗、浴延伸、工程油剤付与、乾燥緻密化、スチーム延伸などを施すことにより、所定の繊度を有する前駆体繊維束とすることができる。
工程油剤としては、従来公知のシリコーン系油剤や、ケイ素を含まない有機化合物からなる油剤などが挙げられるが、これら以外にも耐炎化工程から前炭素化工程までの単繊維間の接着を防止できるものであれば、工程油剤として好適に使用できる。これらの中でも、単繊維間の接着を効果的に防止できる点で、シリコーン系油剤が好ましく、特に、耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを含有するものが好ましい。
工程油剤を付与された繊維束は、加熱により乾燥するのがよい。乾燥処理は50〜200℃に加熱されたロールに接触させて行うのが効率的である。その際、繊維束の含有水分率が1質量%以下となるまで乾燥し、繊維構造を緻密化させることが好ましい。
また、乾燥された繊維束は、引き続き延伸を施すのがよい。延伸する方法としては特に限定されないが、乾熱延伸法、熱板延伸法、スチーム延伸法などを適用することができる。
前駆体繊維束は、構成本数(単繊維数)が1000〜300000本であることが好ましく、より好ましくは3000〜200000本であり、さらに好ましくは12000〜100000本である。構成本数が1000〜300000本であれば、耐炎化工程及び炭素化工程での繊維束の取り扱いが容易であると共に、炭素繊維束を複合材料に成形する際の取り扱いも容易である。なお、本発明では各工程を通して、繊維束を構成する単繊維数は変化しない。
また、前駆体繊維束は、単繊維繊度が0.6〜3.0dtexであることが好ましく、より好ましくは0.7〜2.5dtexであり、さらに好ましくは0.8〜2.0dtexである。単繊維繊度が0.6〜3.0dtexであれば、得られる炭素繊維束の繊維径を適切な大きさに容易にすることができ、複合材料の強化繊維として用いた場合の圧縮応力下での座屈変形を容易に抑制でき、圧縮強度を容易に向上させることができる。加えて、耐炎化工程において焼成斑を容易に抑制できるので、均一性に優れた炭素繊維束が得られやすくなる。
<耐炎化工程>
耐炎化工程は、前駆体繊維束を酸化性ガス雰囲気中、200〜300℃で加熱して(耐炎化処理)、耐炎化繊維束を得る工程である。なお、耐炎化工程は、緊張下で行うことができる。ここで、「酸化性ガス雰囲気」とは、空気、酸素、二酸化窒素などの公知の酸化性物質を含む雰囲気のことである。中でも、経済性の面から空気雰囲気が好ましい。耐炎化処理の温度が200℃以上であれば、耐炎化反応速度が遅くなるのを抑制できるので、短時間で耐炎化処理できる。一方、耐炎化処理の温度が300℃以下であれば、アクリル系前駆体繊維束を構成するアクリル系重合体が熱分解するのを抑制できる。
通常、耐炎化工程では、得られる耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.28〜1.42g/cmになるまで、好ましくは1.29〜1.40g/cmになるまで加熱する。しかし、本発明では、加熱した不活性ガスによる耐炎化繊維束の加熱処理、即ち前炭素化前処理工程をおこなうため、耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.32〜1.38g/cmになるまで、好ましくは1.33〜1.37g/cmになるまで加熱する。
耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.32g/cm以上1.38g/cm以下であれば、後述する前炭素化前処理工程を行うことで炭素化収率を向上させることができる。さらに、耐炎化工程の所要時間が長くなることも防ぐことができ、経済性の面でも有利であり、効率的に炭素繊維束を製造できる。なお、耐炎化繊維の密度(ρ)は、JIS R 7603に準拠して測定することができる。
耐炎化処理の方法としては特に限定されないが、熱風循環炉(耐炎化炉)を用いた方法や、加熱固体表面に接触させる方法など、従来公知の方法を採用できる。耐炎化炉を用いた方法では、例えば、耐炎化炉に入った前駆体繊維束を一旦耐炎化炉の外部に出した後、耐炎化炉の外部に配設された折り返しロールによって折り返して耐炎化炉に繰り返し通過させる方法を採用することができる。加熱固体表面に接触させる方法では、例えば、前駆体繊維束を間欠的に加熱固体表面に接触させる方法を採用することができる。
<前炭素化前処理工程>
前炭素化前処理工程は、加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束と接触させて、この加熱した不活性ガスの対流伝熱により耐炎化繊維束を加熱処理する工程である。ここで、不活性ガスとは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの公知の不活性物質のことである。中でも、経済性の面から窒素が好ましく、窒素純度としては、99質量%以上が好ましい。このように、前炭素化前処理工程は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束と接触させる方法は、耐炎化繊維束1aの走行方向と同じ方向に流す方法や、耐炎化繊維束1aの走行方向に対して斜め方向から流して接触させる方法などあるが、加熱した不活性ガスの対流伝熱により耐炎化繊維束を加熱処理することができる方法であれば良い。
なお、図2に前炭素化前処理装置2の一例を示した。この装置2は、前炭素化前処理処理室3、前炭素化前処理シール部4および前炭素化前処理装置壁部5から構成されており、加熱した不活性ガスが耐炎化繊維束1aの走行方向と同じ方向に流れることにより、耐炎化繊維束1aを加熱処理し、前炭素化前処理繊維束1bを得ることができる。なお、この不活性ガスは排ガスとして排出される。
本発明では、この前炭素化前処理工程を、図1に示すように耐炎化工程と前炭素化工程との間に行う。耐炎化繊維束を直接前炭素化処理する従来公知の方法では、前炭素化工程前半において、耐炎化繊維束を加熱している際に、耐炎化が十分に進行していない部分が発熱することがあった。そして、この発熱に起因して耐炎化繊維束の温度が高くなることがあり、それにより分解反応が急激に起こることがあった。この急激な分解反応は、炭素化収率を押し下げる要因のひとつと考えられ、本発明者らは、前炭素化工程の前に、加熱した不活性ガスにより耐炎化繊維束を加熱処理する前炭素化前処理工程を行うことで、この前炭素化工程前半でおこる急激な分解反応を抑制することができ、炭素化収率を高めることができることを見出した。
通常、前炭素化工程はマッフル構造の加熱炉を使用した輻射伝熱による加熱方式をおこなっているため、発熱反応を抑制することが難しい。しかし、図2に示すように、加熱した不活性ガスを使用する前炭素化前処理工程では、加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束1aと同じ方向に流すことにより、処理前半では、耐炎化繊維束は不活性ガスからの対流伝熱により加熱される。その後、耐炎化繊維束の温度が反応によって不活性ガスの温度より高くなると、耐炎化繊維束は不活性ガスによって除熱されるため耐炎化繊維束の温度を一定の温度に制御することができる。ここで使用する不活性ガスは、前炭素化工程や炭素化工程で使用するガスと同じガスを使用することができる。また、不活性ガスの加熱には、電気ヒーター等の既知の加熱方法でおこなうことができるが、耐炎化工程で発生する排ガスを加熱処理するときに発生する熱エネルギーや後述の前炭素化工程および炭素化工程で発生する排ガスを加熱処理するときに発生する熱エネルギーを利用して加熱することでよりユーティリティーコストを下げることが可能である。
前炭素化前処理工程では、耐炎化工程において処理されていない未反応部分を急激な発熱がなくなるまで処理することができる。具体的には、繊維束の密度を1.42〜1.49g/cmになるまで、好ましくは1.44〜1.48g/cmになるまで加熱処理する。これにより前炭素化前処理工程後におこなう前炭素化工程での収率低下が抑制できる。なお、本発明では、密度が1.42〜1.49g/cmの繊維束を前炭素化工程に供給することになる。
また、前炭素化前処理工程における加熱処理では、耐炎化繊維束の最高温度を400℃以下とし、好ましくは300〜390℃とする。通常の熱処理装置では、装置炉壁の温度や雰囲気の温度制御をおこなうことにより間接的に処理物(耐炎化繊維束)の温度制御をおこなっている。処理物の反応による発熱が無い場合はこのような方法でも温度制御可能であるが、前炭素化前処理工程における耐炎化繊維束の温度は未反応部分の急激な発熱により、装置炉壁の温度や雰囲気の温度に対して高い温度となることがある。このため前炭素化前処理工程の処理条件は、予め不活性ガス温度とガス量を変更した検討をおこない、耐炎化繊維束の温度が400℃以下に保たれることを確認して、好ましい処理条件範囲を確認しておくことが望まれる。
この時、耐炎化繊維束の温度を正確に測定するため、熱容量の小さい熱電対を耐炎化繊維束の中に埋没して測定することが望ましい。加熱した不活性ガス温度とガス量は、前炭素化前処理工程でおこなう耐炎化繊維束の処理量、前炭素化前処理工程に用いる装置の構造により変わるため一概には決まらない。しかし、不活性ガスの温度は、耐炎化工程の最高処理温度以上とすることが好ましく、これにより耐炎化繊維束の反応が開始する温度まで容易に上昇させることができる。さらに、不活性ガス温度は300〜600℃であることがより好ましい。不活性ガス温度を300℃以上にすることで、前炭素化前処理の処理速度を容易に速く、効率的にすることができる。さらに、不活性ガス温度を600℃以下とすることで、急激な反応により発生する反応熱を容易に除熱することができる。
さらに、耐炎化繊維束とガスの相対速度は0.1m/sec以上とすることが好ましく、0.5m/sec以上とすることが更に好ましい。0.1m/sec以上となるようにガスの量と前炭素化前処理装置処置室の断面積とを調整することにより、耐炎化繊維束と加熱した不活性ガスとの間での効率的な対流伝熱を容易におこなうことができる。また、耐炎化繊維束とガスの相対速度が速い方が反応熱の除熱は容易におこなうことができるが、不活性ガスの使用量(ユーティリティーコスト)を抑制の観点から耐炎化繊維束とガスの相対速度は5.0m/sec以下とすることが好ましい。さらに、ガス量は、急激な温度上昇を抑制するために必要最小限であることが好ましい。
なお、通常、各工程間では繊維束を加熱しないため、耐炎化工程より得られた耐炎化繊維束は、前炭素化前処理工程に供給されるまでの間に冷却され、例えば室温まで温度が低下する。しかし、前炭素化前処理工程に供する前、即ち耐炎化工程と前炭素化前処理工程との間に、例えば後述する装置を用いてこの温度が低下した耐炎化繊維束の温度を上昇させることにより、さらに効率的な前炭素化前処理が可能となる。このとき、前炭素化前処理工程に供給する耐炎化繊維束の温度は、耐炎化工程の最高処理温度より低い実質的に耐炎化繊維の反応が進まない温度であって、具体的には150℃以上250℃以下の温度であることが好ましい。
耐炎化繊維束の温度を150℃以上にすることで前炭素化前処理工程での反応に寄与しない耐炎化繊維束の昇温時間を容易に短縮することができ、前炭素化前処理工程での繊維束の反応に有効な処理時間を延長することができるので、常温(室温)で前炭素化前処理工程に耐炎化繊維を供給するより炭素化収率を向上させることができる。さらに、耐炎化繊維束の反応が開始する温度までの昇温時間を短縮した分、前炭素化前処理工程に用いる装置を容易に小型化できるため、イニシャルコスト面で有利となり、効率的に炭素繊維束を製造できる。
また、耐炎化繊維束の温度を250℃以下とすることで繊維束の反応が進むことを容易に防ぐことができ、耐炎化繊維束の温度を前炭素化前処理工程前に予め上昇させる際に、繊維束の反応時に発生するガスの処理装置を設けなくて済む。
なお、前炭素化前処理工程前に耐炎化繊維束の温度を上昇させる際は、伝熱効率の良い接触伝熱を用いることが望ましい。耐炎化工程に用いる装置(例えば耐炎化炉)と、前炭素化前処理工程に用いる装置との間に設置する耐炎化繊維束の温度を上昇させる装置としては、例えば、耐炎化繊維束を加熱する加熱体との接触伝熱によって、耐炎化繊維束の温度を上昇させる装置を用いることができる。加熱体は、耐炎化繊維束に接触することによって耐炎化繊維束を加熱できるものから必要に応じて選択することができるが、繊維束との接触による繊維束へのダメージを少なくできるロールタイプの加熱体が好ましく、温度制御の容易さから誘導加熱ロールがより好ましい。
このように、本発明では、耐炎化工程と、前炭素化前処理工程との間にさらに、加熱体との接触によって耐炎化繊維束の温度を150℃以上250℃以下とする工程を有することができる。なお、この工程は、大気中(酸化性雰囲気下)で行うこともできる。
本発明では、図4に示すように、前炭素化前処理工程の加熱処理を行う前炭素化前処理装置2と、前炭素化工程の加熱処理を行う前炭素化炉10とを連結することが好ましい。これにより、前炭素化前処理工程より得られる耐炎化繊維束を、加熱した不活性ガスに接触させた状態のまま前炭素化工程に供給することができる。即ち、前炭素化前処理工程より得られる耐炎化繊維束、即ち前炭素化前処理繊維束を、加熱された状態のまま前炭素化工程に供給することができるので、前炭素化工程で前炭素化前処理繊維束を昇温する時間を容易に短縮できるため、前炭素化処理工程の効率を上げることができる。この時、前炭素化炉からの輻射熱が前炭素化前処理装置に入らないよう連結部の繊維束が通らない部分に遮熱部20を設けることが好ましい。
さらに、装置2および10を連結することにより、加熱した不活性ガスを前炭素化工程の不活性ガス雰囲気にも使用することができ、装置内を不活性雰囲気に保つためにシールとして使用している不活性ガスの量を容易に減らすことができる。
また、本発明では、耐炎化工程において、耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.32〜1.38g/cmとなるまで加熱処理するが、耐炎化繊維束はその密度を保ったまま前炭素化前処理工程に供給(投入)されることが好ましい。なお、耐炎化繊維束の密度(ρ)が高くなればなるほど、耐炎化工程での耐炎化処理が十分に行われていることを意味する。従って、耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.38g/cmより高い場合には、前炭素化前処理工程において耐炎化工程で処理されていない部分の発熱反応は起こりにくくなるため、前炭素化前処理工程における加熱処理時間は短くてよいが、耐炎化工程での処理時間が長くなるため焼成プロセス全体を考えた場合効率的とはいえない。耐炎化繊維束の密度(ρ)が1.32g/cmより低い場合には、耐炎化工程での処理時間は短くてよいが、前炭素化前処理工程における加熱処理時間が長くなり効率的な処理とはいえなくなる。
また、前炭素化前処理工程では、0.05〜5mN/dtexの張力を耐炎化繊維束に加えながら処理を行うのが好ましく、より好ましくは0.1〜3mN/dtexである。張力が0.05〜5mN/dtexであれば、得られる炭素繊維束の機械的特性を維持しやすくなる。加えて、製造中における毛羽の発生を容易に抑制できるので、高品質の炭素繊維束が得られやすい。
<前炭素化工程>
前炭素化工程は、耐炎化繊維束を不活性ガス雰囲気中、500〜800℃の最高処理温度で加熱処理し(前炭素化処理)、前炭素化繊維束を得る工程である。ここで、不活性ガス雰囲気とは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの公知の不活性物質を含む雰囲気のことであり、これらの不活性物質からなることができる。中でも、経済性の面から窒素雰囲気が好ましい。窒素純度としては、99質量%以上が好ましい。
前炭素化工程に用いることのできる装置の一例の概略を図3に示す。図3に示す前炭素化処理装置10は、前炭素化処理室11、前炭素化シール部12、前炭素化装置壁部13、およびヒーター14から構成されており、不活性ガス雰囲気下、前炭素化前処理繊維束1bを加熱処理し、前炭素化処理繊維束1cを得ることができる。不活性ガスは、装置10の紙面左右両側から前炭素化処理室11に供給され紙面中央部から排ガスとして排出される。
前炭素化工程処理時間としては、生産性及び炭素繊維としての強度発現性の観点から0.6〜3.0分であることが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0分である。また、前炭素化工程では、0.05〜5mN/dtexの張力を耐炎化繊維束に加えながら前炭素化工程を行うのが好ましく、より好ましくは0.1〜3mN/dtexである。張力が0.05〜5mN/dtexであれば、得られる炭素繊維束の機械的特性を維持しやすくなる。加えて、製造中における毛羽の発生を容易に抑制できるので、高品質の炭素繊維束が得られやすい。
<炭素化工程>
炭素化工程は、前炭素化処理繊維束を不活性ガス雰囲気中、1000℃以上の最高処理温度で加熱し(炭素化処理)、炭素化繊維束を得る工程である。なお、炭素化工程は緊張下で行うことができる。炭素化工程においても、不活性ガス雰囲気は、経済性の面から窒素雰囲気であることが好ましく、窒素純度としては、99質量%以上が好ましい。
炭素化工程では、1000〜1200℃の温度領域から500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で、最高温度1200〜2000℃まで昇温して、前炭素化処理繊維束を炭素化処理するのが好ましい。このように昇温しながら炭素化処理することで、得られる炭素繊維束の機械的特性を容易に向上できる。
<その他の工程>
炭素化工程で得られた炭素化繊維束は、そのまま炭素繊維束として用いることができるが、必要に応じて公知の方法により黒鉛化したものを炭素繊維束として用いてもよい。例えば炭素化繊維束を不活性雰囲気中、2000℃より高く、3000℃以下の最高温度で、緊張下で加熱することにより黒鉛化された炭素繊維束を得ることができる。
また、図1に示すように、炭素繊維束は、表面改質の目的で、電解酸化処理などの表面処理を施すことができる。電解酸化処理に用いる電解液には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドといったアルカリまたはそれらの塩を水溶液として使用することができる。ここで、電解酸化処理に要する電気量は、適用する炭素繊維束により適宜選択することができる。かかる電解酸化処理により、炭素繊維束を複合材料の強化繊維として用いた場合に、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性を容易に適正化でき、得られる複合材料においてバランスのとれた強度特性を容易に発現できる。
また、炭素繊維束に集束性を付与するために、サイジング処理をすることもできる。
サイジング剤には、マトリックス樹脂との相溶性の良いサイジング剤を、使用するマトリックス樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
以上説明したように、本発明によれば、耐炎化工程と前炭素化工程との間にさらに、加熱された不活性ガスにより耐炎化繊維束の加熱をおこなうことで、炭素化収率を低下させることなく効率的に炭素繊維束を製造できる。
なお、炭素繊維束は、通常、前駆体繊維束を耐炎化、前炭素化、および炭素化することにより減量させながら製造されるため、前駆体繊維束の炭素含有量を超える炭素化収率を得ることはできない。しかし、本発明であれば、炭素化収率を効率的に前駆体繊維束の炭素含有量に近づけることができ、ひいては炭素繊維束の製造コストを低減できる。
本発明により得られる炭素繊維束は、プリプレグ化したのち複合材料に成形することもできるし、織物などのプリフォームとした後、ハンドレイアップ法、プルトルージョン法、レジントランスファーモールディング法などにより複合材料に成形することもできる。また、フィラメントワインディング法や、チョップドファイバーやミルドファイバー化した後、射出成形することにより複合材料に成形することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例で行った各種測定方法は、以下の通りである。
<耐炎化繊維束の密度の測定>
耐炎化工程および前炭素化前処理工程より得られる耐炎化繊維束の密度は、JIS R 7603に準拠して測定した。
<前駆体繊維束及び炭素繊維束の総繊度の測定>
前駆体繊維束及び炭素繊維束の総繊度は、JIS R 7605に準拠して測定した。
<前炭素化前処理工程での繊維束最高温度測定>
シース熱電対(OKAZAKI製、商品名:SUPER COUPLE 1000H シース外形φ(直径)0.5mm)を繊維束の中に埋没して5回測定をおこないその平均値を最高温度とした。なお、シース熱電対が繊維束から外れた場合には温度上昇挙動がり不安定挙動となるため、平均値からは除外した。この時の温度測定のサンプリングタイムは0.1秒でおこなった。
<樹脂含浸ストランド特性の測定>
炭素繊維束のストランド弾性率およびストランド強度は、JIS R 7608に準拠して測定した。
<炭素化収率の測定>
炭素化収率は、前駆体繊維束の総繊度および炭素繊維束の総繊度から、耐炎化工程から炭素化工程までの伸長率(%)を考慮し、下記式(1)より求めた。
炭素化収率(%)=炭素繊維束の総繊度/前駆体繊維束の総繊度×(100+耐炎化工程から炭素化工程までの伸長率)・・・式(1)
耐炎化工程から炭素化工程までの伸長率(%)は、耐炎化工程の加熱処理装置に供給される繊維束、即ち、耐炎化炉入側の前駆体繊維束の走行速度と、炭素化工程の加熱処理装置から排出される繊維束、即ち炭素化炉出側の炭素繊維束の走行速度とから、下記式(2)より求めた。
耐炎化工程から炭素化工程までの伸長率(%)=(炭素化炉出側の炭素繊維束の走行速度−耐炎化炉入側の前駆体繊維束の走行速度)/耐炎化炉入側の前駆体繊維束の走行速度×100・・・式(2)
(実施例1)
<前駆体繊維束の調製>
前駆体繊維束は、次の方法で調製した。
アクリル系重合体(アクリロニトリル/アクリルアミド/メタクリル酸=96/3/1(質量比))を、濃度が22質量%になるようにジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解し、紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔径60μm、孔数12000の紡糸口金を通し、温度35℃、濃度67質量%のDMAC水溶液を満たした凝固浴中で凝固させ、凝固糸とした。得られた凝固糸を水洗した後、浴延伸し、アミノ変性シリコーン油剤を付与した。さらに加圧スチーム中で延伸して単繊維数12000本、単繊維繊度1.2dtex、総繊度14400dtexの前駆体繊維束を得た。
<炭素繊維束の製造>
得られた前駆体繊維束を空気中、温度230〜270℃、緊張下で、加熱時間を60分として加熱し、密度1.35g/cmの耐炎化繊維束を得た(耐炎化工程)。ついで耐炎化処理をおこなった後に室温まで冷却された耐炎化繊維束を筒状の熱処理室で前炭素化前処理した。このとき、繊維束最高温度が320℃となるように、加熱した不活性ガスの供給条件を調節し、30秒間加熱処理をおこなった。この際、不活性ガスの供給条件は、450℃に加熱した窒素を150L/min供給する条件とした。この処理により密度1.43g/cmの繊維束を得た(前炭素化前処理工程)。
得られた前炭素化前処理をおこなった繊維束を窒素雰囲気中、最高温度600℃、緊張下で、加熱時間を60秒として加熱し、前炭素化処理繊維束を得た(前炭素化工程)。
得られた前炭素化処理繊維束を窒素雰囲気中、最高温度1300℃、緊張下で、加熱時間を60秒として加熱し、炭素繊維束を得た(炭素化工程)。
得られた炭素繊維束を表面処理後、サイジング剤を付与し、総繊度7950dtexの炭素繊維束を得た。耐炎化工程から炭素化工程の伸長率は、−5.0%であった。
前記炭素繊維束の樹脂含浸ストランド特性を測定すると、ストランド弾性率は240GPa、ストランド強度は5.0GPaであった。また、炭素化収率は、52.4%であった。なお、実施例1では、前炭素化前処理工程に図2に示す加熱処理装置を使用し、前炭素化工程に図3に示す加熱処理装置を使用し、この2つの装置は連結させなかった。
(実施例2〜7)
耐炎化工程における加熱時間と耐炎化繊維束の密度(ρ)、および前炭素化前処理工程における繊維束最高温度(窒素加熱温度と供給量で調整)と加熱時間と繊維束の密度(ρ)を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1、2)
耐炎化工程における加熱時間と耐炎化繊維束の密度(ρ)を表1に示す値に変更し、前炭素化前処理をおこなわず、耐炎化工程より得られた室温まで冷却された繊維束を前炭素化工程に供給した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3〜6)
耐炎化工程における加熱時間と耐炎化繊維束の密度(ρ)、および前炭素化前処理工程における繊維束最高温度(窒素加熱温度と供給量で調整)と加熱時間と繊維束の密度(ρ)を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
前炭素化前処理工程の前に加熱ロールを設置し、耐炎化繊維束の温度を230℃まで加熱し、230℃の耐炎化繊維束を前炭素化前処理工程に供した以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。実施例1と比較して前炭素化前処理後の繊維束密度が上昇し、炭素化収率が向上した。
(実施例9)
図4に示すように、前炭素化前処理工程に用いた加熱処理装置と前炭素化工程に用いた加熱処理装置とを接続した以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。実施例1と比較して前炭素化工程が効率化したことによる効果と考えられる炭素化収率の向上が見られた。また、装置を連結させることにより、前炭素化前処理装置の出側シール部4と前炭素化装置入側シール部12に使用している窒素を削減できた。
(実施例10)
前炭素化前処理工程の前に加熱ロールを設置し、耐炎化繊維束の温度を230℃まで加熱し、230℃の耐炎化繊維束を前炭素化前処理工程に供した以外は実施例9と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束について、各種測定を行った。結果を表1に示す。実施例9と比較して前炭素化前処理後の繊維束密度が上昇し、炭素化収率が向上した。
表1から明らかなように、各実施例で得られた炭素繊維束は、ストランド特性に優れた炭素繊維束を高炭素化収率で製造できた。一方、比較例1、5、6で得られた炭素繊維束は実施例に比べ炭素化収率が低かった。比較例2、3で得られた炭素繊維束の炭素化収率は高くなったがストランド特性は低く、耐炎化工程の加熱時間が長くなったことを考慮すると効率的な製造方法とはならなかった。また、比較例4では前炭素化前処理工程中で繊維束が切断し炭素繊維束を得ることができなかった。
Figure 2013023801
1a.耐炎化繊維束
1b.前炭素化前処理繊維束
1c.前炭素化処理繊維束
2.前炭素化前処理装置本体
3.前炭素化前処理処理室
4.前炭素化前処理シール部
5.前炭素化前処理装置壁部
10.前炭素化処理装置本体(前炭素化炉)
11.前炭素化処理室
12.前炭素化シール部
13.前炭素化装置壁部
14.ヒーター
20.遮熱部

Claims (4)

  1. 炭素繊維前駆体繊維束を酸化性ガス雰囲気下、200〜300℃で加熱処理し、耐炎化繊維束とする耐炎化工程と、
    耐炎化繊維束を不活性ガス雰囲気下、500〜800℃の最高処理温度で加熱処理し、前炭素化処理繊維束とする前炭素化工程と、
    前炭素化処理繊維束を不活性ガス雰囲気下、1000℃以上の最高処理温度で加熱処理して、炭素繊維束とする炭素化工程と
    を含む炭素繊維束の製造方法であって、
    耐炎化工程によって耐炎化繊維束の密度を1.32g/cm以上1.38g/cm以下にし、
    耐炎化工程と前炭素化工程との間にさらに、
    加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束に接触させることにより、該耐炎化繊維束の温度を400℃以下に保ちつつ、該耐炎化繊維束の密度が1.42g/cm以上1.49g/cm以下となるまで加熱処理する前炭素化前処理工程
    を有する炭素繊維束の製造方法。
  2. 加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束に接触させる際に、加熱した不活性ガスを耐炎化繊維束の走行方向と同じ方向に流す請求項1に記載の炭素繊維束の製造方法。
  3. 耐炎化工程と、前炭素化前処理工程との間にさらに、
    加熱体との接触によって耐炎化繊維束の温度を150℃以上250℃以下にする工程を有し、
    150℃以上250℃以下の耐炎化繊維束を前炭素化前処理工程に供給する請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
  4. 前炭素化前処理工程より得られる耐炎化繊維束を、前記加熱した不活性ガスに接触させた状態のまま前炭素化工程に供給し、該加熱した不活性ガスを前炭素化工程の不活性ガス雰囲気にも使用する請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維束の製造方法。
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