JP2012188783A - 炭素繊維束製造装置 - Google Patents

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Akira Kachi
暁 加地
Atsushi Kawamura
篤志 川村
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Abstract

【課題】多フィラメントポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理するのに際し、折り返しロールに溝付きロールを用いて略矩形である前駆体繊維束の形状を制御するとともに走行位置を規制し、反応の蓄熱による糸切れや毛羽立ちを抑制した炭素繊維束の製造方法を提供する。
【解決手段】総繊度が40000dtex以上のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理するにあたり、耐炎化炉の両端の折り返しロールに、下記式を満足する溝付きロールを配置し、溝付きロール通過後のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の幅1mm当たりのみかけの平均繊度を2400〜5000dtexに保つ。
0.55<b/a<0.91
0.19×a<h<0.6×a
0. 9×(a−b)<R<2.1×(a−b)
(式中、aは溝頂部の幅(mm)、bは溝底部の幅(mm)、hは溝の深さ(mm)、Rは溝底部角部の丸みの半径(mm)である。)
【選択図】図2

Description

本発明は、炭素繊維束製造装置に関する。
アクリル系前駆体繊維束(以下、「前駆体繊維束」という。)を耐炎化する方法としては、図1に示すように、炭素繊維束の製造装置10に具備された耐炎化炉12の外側に折り返しロール13を配置し、前駆体繊維束11をジグザグ状に折り返して耐炎化炉12内を走行させ、耐炎化処理する方法が一般的である。耐炎化処理された前駆体繊維束は、炭素化手段14により炭素化処理されて炭素繊維束となる。
このような方法においては、折り返しロールとしてロール表面に溝が設けられた溝付きロールを多数使用し、前駆体繊維束を溝付きロールの溝内に案内することによって、前駆体繊維束を分離、独立させて、耐炎化処理される前駆体繊維束同士の絡み、折り返しロール乗り越え、処理斑等を防止する場合が多い。
しかし、溝付きロールを使用しても、耐炎化処理される前駆体繊維束1本当たりのフィラメント数が多くなると、その断面形状が円形の場合、糸の最大厚みが大きくなり、蓄熱による糸切れが発生しやすくなるという問題があった。糸切れの発生を抑制するには耐炎化処理の温度を下げればよいが、処理時間が長くかかりやすかった。また、耐炎化反応に必要な酸素が前駆体繊維束の内部にまで十分に拡散されにくくなり、内部と表面とで耐炎化の進行度が異なり、耐炎化処理の後に行われる炭素化処理において毛羽立ちや糸傷み等が発生することがあった。
そこで、例えば特許文献1には、耐炎化炉の両側に配置された溝付きロールの溝形状を規定することによって、略矩形断面を有するポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の平均扁平率と平均繊度を制御する方法、および装置が記載されている。これにより、均一な耐炎化進行度の耐炎化繊維束が得られ、後の炭素化処理での毛羽立ちや糸傷み等の発生を抑制し、高品質、高品位の炭素繊維束を得られるとしている。
特開平10−266024号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、特に糸幅/糸厚み比で規定される平均扁平率が大きく、単位幅当たりの見かけの平均繊度が小さい前駆体繊維束の場合、溝付きロールを通過時に略矩形に保たれた前駆体繊維束の端が折れたり、厚み斑となったりすることがあった。その結果、耐炎化炉内を走行することで耐炎化斑や蓄熱による糸切れを引き起こすことがあった。また、溝付きロールの溝内において、溝を形成する凸部のうち、片方の凸部の傾斜部に前駆体繊維束の走行位置がずれた場合、溝底部の端部を境に前駆体繊維束が折れやすくなり、走行する前駆体繊維束の形態が不安定になるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理するに際し、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の折れや厚み斑を防止し、耐炎化炉内を走行するポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の形態を安定に維持できる炭素繊維束製造装置を提供することを目的とする。
本発明の炭素繊維束製造装置は、総繊度が40000dtex以上のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を200〜300℃の温度で耐炎化処理する耐炎化炉と、該耐炎化炉の外側で前記ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を複数回折り返して、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化炉内に複数回走行させる折り返しロールと、耐炎化処理されたポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を600℃を超える温度で炭素化処理する炭素化手段とを具備する炭素繊維束製造装置において、前記耐炎化処理におけるポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の幅1mm当たりのみかけの平均繊度を2400〜5000dtexに保ち、前記みかけの平均繊度を、耐炎化炉の両側に配置された、下記(1)、(2)、(3)式を満足する形状の溝付きロールによって制御することを特徴とする。
0.55<(b/a)<0.91 ・・・(1)
0.19×a<h<0.6×a ・・・(2)
0.9×(a−b)<R<2.1×(a−b) ・・・(3)
(式(1)〜(3)中、aは溝開口部の平均幅(mm)であり、bは溝底部の平均幅(mm)であり、hは溝の平均深さ(mm)であり、Rは溝底部の曲率半径(mm)である。)
本発明の炭素繊維束製造装置によれば、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理するに際し、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の折れや厚み斑を防止し、耐炎化炉内を走行するポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の形態を安定に維持できる。
本発明の炭素繊維束製造装置を示す概略構成図である。 溝付きロールの溝部分を拡大した断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の炭素繊維束製造装置を示す概略構成図である。この例の炭素繊維束の製造装置10は、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束(以下、「前駆体繊維束」という。)11を耐炎化処理する耐炎化炉12と、耐炎化炉12の外側で前駆体繊維束11を合計6回折り返して、前駆体繊維束を耐炎化炉12内に走行させる折り返しロール13と、耐炎化処理された前駆体繊維束11を炭素化処理する炭素化手段14とを具備する。
本発明に用いられる前駆体繊維束11としては、アクリロニトリル系重合体からなる繊維を束ねたものが挙げられる。アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルのホモポリマーおよび/またはアクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることができる。また、本発明に用いられる前駆体繊維束11は、総繊度が40,000dtex以上である。特に総繊度が50,000〜60,000dtexの前駆体繊維束を耐炎化処理するのに好適である。
耐炎化炉12内を走行する前駆体繊維束11の断面形状は略矩形に保たれ、その平均扁平率が15〜70の範囲に制御されるのが好ましい。平均扁平率が15未満であると、前駆体繊維束11の厚みが増大し、耐炎化処理での反応による蓄熱で糸切れ等が起こりやすくなる。また、平均扁平率が70を超えると前駆体繊維束11の幅が増大するため、耐炎化炉12幅に対して処理可能な前駆体繊維束11の本数が減少し、設備生産性が低下する。従って、前駆体繊維束11は平均扁平率が15〜70の範囲に制御されるのが好ましく、より好ましくは25〜50の範囲である。
ここで、「略矩形」とは、略平行な2組の直線で囲まれた形状を指し、角が曲線であっても構わない。
略矩形の前駆体繊維束の平均扁平率は以下のようにして定義した。一般に知られるレーザー変位計をアクチュエータにより20mm/sの速度にてトウ幅方向に渡ってスライドさせながら、サンプリング周期10ミリ秒毎にて測定し、同様の測定を1サンプルにつき5回行い、それを平均して繊維束厚みAとする。また、走行する前駆体繊維束の駆動を止めて、ノギスを用いて前駆体繊維束の幅を長手方向に5cmの間隔で5点測定し、それを平均して繊維束幅Bとする。繊維束幅Bを繊維束厚みAで除した値(B/A)を平均扁平率とする。
耐炎化炉12は、前駆体繊維束11を200〜300℃の温度で耐炎化処理する手段である。耐炎化炉12の対面する側壁には、前駆体繊維束11が送入または送出するスリット状の送入口または送出口(図示略)が設けられている。このような耐炎化炉12としては、炭素繊維束を製造する際に用いられる公知の耐炎化炉を使用できる。
折り返しロール13は、耐炎化炉12の外側に回転可能に設けられている。折り返しロール13は、耐炎化炉12から送出された前駆体繊維束11を掛け回して折り返すことにより、前駆体繊維束11の走行方向を逆方向に転換させ、再び耐炎化炉12内に走行させる。折り返しロール13としては、以下のような形状の溝付きロール15が適している。また、折り返しロール13の材質としては特に限定されず、例えば炭素鋼、ステンレス鋼、セラミックス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。
ここで、溝付きロール15について、図2を用いて具体的に説明する。図2は溝付きロール15の溝部分を拡大した断面図である。溝付きロール15の表面には、前駆体繊維束の進行方向に沿って延びる複数の溝151が設けられている。図2に示すように、繊維束規制部材15の表面には、複数の凸部152が離間して設けられ、溝151が形成されている。凸部152は、溝151に面する壁面153a、153bと、先端部154を有する。また、溝151の溝底部155は、その端部156a、156bが曲率半径R’の曲面状である。
上記溝付きロールに設けられた溝151は、下記式(1)〜(3)満たす。
0.55<b/a<0.91 ・・・(1)
0.19×a<h<0.6×a ・・・(2)
0.9×(a−b)<R<2.1×(a−b) ・・・(3)
式(1)〜(3)中、aは溝開口部158の平均幅(mm)であり、bは溝底部155の平均幅(mm)であり、hは溝151の平均深さ(mm)であり、Rは溝底部155の曲率半径(mm)である。ここで、溝開口部158の幅とは、図2に示すように、隣接する凸部152の先端部154間の幅(凸部の先端部から、隣接する凸部の先端部までの距離a’)のことである。溝開口部158の平均幅は、距離a’を10点測定し、これらの値を平均したものである。溝底部155の幅とは、図2に示すように、溝底部155の端部156aの形状を形成する曲率半径R’の円と、溝151に面する壁面153aとの接点157aから、端部156bの形状を形成する曲率半径R’の円と、溝151に面する壁面153bとの接点157bまでの距離b’のことである。溝底部155の平均幅は、距離b’を10点測定し、これらの値を平均したものである。溝151の深さとは、図2に示すように、凸部152の先端部154から溝底部155までの距離h’のことである。溝151の平均深さは、距離h’を10点測定し、これらの値を平均したものである。溝底部155の平均曲率半径は、曲率半径R’を10点測定し、これらの値を平均したものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、前駆体繊維束の断面形状を略矩形に保つには、溝底部155の曲率半径R’を規定し、溝底部155に幅をもたせることが重要であることを見出した。すなわち、溝開口部158の平均幅(a)と、溝底部155の平均幅(b)の比(b/a)が0.55未満であると、溝151の形状がV字状に近づき、前駆体繊維束の断面形状を略矩形に保持しにくくなる。一方、b/aが0.91を越えると、凸部152の壁面153a、153bの傾きが溝底部155に対して大きくなり、走行中の前駆体繊維束の端が折れやすくなり、前駆体繊維束の形態維持性が低下する。b/aは0.75〜0.85が好ましい。
溝151の平均深さ(h)が溝開口部158の平均幅(a)の0.19倍未満であると、走行中の前駆体繊維束の一部が溝151を乗り越える場合があり、隣接する前駆体繊維束同士が絡んで毛羽立ちを生じることがある。一方、hが溝開口部158の平均幅(a)の0.6倍を超えると、溝151の断面積に対する前駆体繊維束の断面積が小さくなり、加工コストが増大して経済的ではない。hは0.3×a〜0.4×aが好ましい。
溝底部155の平均曲率半径(R)が0.9×(a−b)未満であると、前駆体繊維束の端が折れやすくなったり、溝底部155の端部156a、156bにおいて前駆体繊維束に厚み斑が生じたりしやすくなる。一方、Rが2.1×(a−b)を超えると、溝底部155の幅に対して、端部156a、156bの形状を形成する円の半径が大きくなりすぎ、前駆体繊維束が溝151を乗り越える場合があり、隣接する前駆体繊維束同士が絡んで毛羽立ちを生じることがある。また、Rが大きくなると、凸部152の壁面153a、153bと、溝底部155とが滑らかにつながりにくくなり、前駆体繊維束の端が折れる原因となる可能性がある。Rは1.3×(a−b)〜1.7×(a−b)が好ましい。
なお、溝底部155は図2に示すような平底に限定されず、円弧状であてもよい。円弧状であれば、前駆体繊維束の幅方向の走行の振れを抑制しやすくなり、走行位置制御性の向上が図れる。
また、折返しロール13を必ずしも全て溝付きロール15にする必要は無く、必要箇所に用いればよい。
炭素化手段14は、耐炎化処理された前駆体繊維束11を、600℃を超える温度で炭素化処理する手段である。炭素化手段14としては、炭素繊維束を製造する際に用いられる公知の炭素化炉を使用できる。
図1に示す炭素繊維の製造装置1を用いた炭素繊維の製造方法では、前駆体繊維束11を耐炎化炉12にて200〜300℃の温度で耐炎化処理し、次いで炭素化手段14にて600℃を超える温度で炭素化処理することで、炭素繊維束を製造できる。
具体的には、前駆体繊維束11は、耐炎化炉12の側壁内に設けられたスリット状の送入口(図示略)から送入され、耐炎化炉12を直線的に走行した後、対面の側壁に設けられたスリット状の送出口(図示略)から耐炎化炉12の外側に一旦送出される。次いで、折返しロールが溝付きロール15の場合は、溝付きロール15を通過する際に束毎に溝付きロール15の溝151に押し込まれて、前駆体繊維束の幅が任意の幅になるように規制されながら折り返され走行方向を転換し、再び耐炎化炉12内に送入される。このように、前駆体繊維束11は、溝付きロール15を通過することによって走行位置や断面形状を規制されつつ折り返され、走行方向を複数回折り返すことで、耐炎化炉12内への送入送出を複数回繰り返しながら、耐炎化炉12内を全体として図1の上から下に向けて移動し、耐炎化処理される。耐炎化処理された前駆体繊維束(耐炎化繊維束)は、炭素化手段14によって炭素化処理され、炭素繊維束が得られる。なお、炭素繊維束を製造する際は、前駆体繊維束を複数本平行に並べ、同時に耐炎化炉および炭素化手段内を走行させて、耐炎化処理および炭素化処理してもよい。
溝付きロール15を通過した前駆体繊維束は、該前駆体繊維束の幅1mm当たりの見かけの平均繊度が2400〜5000dtexに保たれる。見かけの平均繊度が2400dtex未満であると、処理可能な前駆体繊維束の本数が少なくなり、設備生産性が低下する。一方、見かけの平均繊度が5000dtexを超えると、厚みが増大して耐炎化反応による蓄熱で毛羽立ちや糸切れが発生しやすくなる。前駆体繊維束の幅1mm当たりの見かけの平均繊度は、2700〜4000dtexに保たれるのが好ましい。
本発明によれば、前駆体繊維束の幅1mm当たりの見かけの平均繊度を上記範囲内に保つことができるので、耐炎化処理温度を下げることなく、耐炎化反応の蓄熱による毛羽立ちや糸切れの発生を抑制でき、生産性を良好に維持できる。さらに、耐炎化反応に必要な酸素が前駆体繊維束の内部にまで十分に拡散されるので、内部と表面とで均一に耐炎化が進行しやすくなる。よって、炭素化処理において毛羽立ちや糸傷み等の発生を抑制できる。
また、耐炎化炉12内を走行する前駆体繊維束は、耐炎化炉前後に設置される駆動ローラーやニップローラーなどの駆動装置(図示せず)によって6.6×10−2〜2×10−1g/dtexの張力を付与されるのが好ましい。張力が6.6×10−2g/dtex未満であると、前駆体繊維束が懸垂し耐炎化炉の底にこすれて毛羽が発生し、後の炭素化処理で得られる炭素繊維束の品位、および引張り強度低下を招くおそれがある。一方、張力が2×10−1g/dtexを超えると、耐炎化処理での単糸切れによる毛羽立ちが増長し、ロール上で巻付きを発生するおそれがある。耐炎化炉内にて安定して耐炎化処理するには、前駆体繊維束にかかる張力を1×10−1〜1.7×10−1g/dtexとするのがより好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、前駆体繊維束を耐炎化処理するに際し、溝の形状を規定した溝付きロールを用いることで、前駆体繊維束の走行位置を規制するとともに、前駆体繊維束の断面形状を略矩形に維持しつつ、平均繊度を所望の値に保つことができる。従って、耐炎化処理するに際し、特に溝付きロール通過時の前駆体繊維束の折れや厚み斑を防止でき、かつ耐炎化炉内を走行する前駆体繊維束の形態を安定に維持できる。従って、本発明によれば、耐炎化処理中の糸切れや毛羽立ちを抑制でき、安定して高品位の炭素繊維束を製造できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。各種測定方法は、以下の通りである。
(平均扁平率)
レーザー変位計((株)キーエンス製、製品名:LK−G10)をアクチュエータ(THK(株)製、製品名:KT45)により20mm/sの速度にてトウ幅方向に渡ってスライドさせながら、サンプリング周期10ミリ秒毎にて測定し、同様の測定を1サンプルにつき5回行い、それを平均して繊維束厚みAとした。また、走行する前駆体繊維束の駆動を止めて、ノギスを用いて前駆体繊維束の幅を長手方向に5cmの間隔で5点測定し、それを平均して繊維束幅Bとした。繊維束幅Bを繊維束厚みAで除した値(B/A)を平均扁平率とした。
(平均繊度)
前駆体繊維束の幅1mmに対する見かけの平均繊度は、前駆体繊維束の総繊度を前記ノギスを用いて測定した繊維束幅Bで除することにより求めた。
(張力)
前駆体繊維束にかかる張力は、走行する前駆体繊維束をテンションメータ(SHIMPO社製、製品名:DTMB)により測定した。
(実施例1)
炭素繊維束の製造装置として、図1に示す装置を用いた。折り返しロール13には繊維束規制部材15としてa=20mm、b=17mm、h=6mm、R=5.0mm(すなわち、b/a=0.85、h=0.30×a、R=1.67×(a−b))の溝が表面に設けられた溝付きロールAを配置した。そして、総繊度が60,000dtexのポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を用い、炭素繊維束を製造した。
前駆体繊維束が溝付きロールAを通過したときの形態を観察し、平均扁平率、前駆体繊維束の幅1mmに対する見かけの平均繊度、前駆体繊維束にかかる張力を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
繊維束規制部材として、a=17.5mm、b=13mm、h=6.5mm、R=5.0mm(すなわち、b/a=0.74、h=0.37×a、R=1.1×(a−b))の溝が表面に設けられた溝付きロールBを用いた以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。前駆体繊維束が溝付きロールBを通過したときの形態を観察し、平均扁平率、前駆体繊維束の幅1mmに対する見かけの平均繊度、前駆体繊維束にかかる張力を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
繊維束規制部材としてa=20mm、b=17.9mm、h=6mm、R=5.0mm(すなわち、b/a=0.90、h=0.30×a、R=2.4×(a−b))の溝が表面に設けられた溝付きロールCを用い、実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。前駆体繊維束が溝付きロールCを通過したときの形態を観察し、溝付きロールCを通過した後の平均扁平率、前駆体繊維束の幅1mmに対する見かけの平均繊度、前駆体繊維束にかかる張力を求めた。結果を表1に示す。
(比較例2)
繊維束規制部材としてa=20mm、b=17.6mm、h=5mm、R=2.0mm(すなわち、b/a=0.88、h=0.25×a、R=0.83×(a−b))の溝が表面に設けられた溝付きロールDを用い、実施例1と同様にして炭素繊維束を製造した。前駆体繊維束が溝付きロールDを通過したときの形態を観察し、溝付きロールDを通過した後の平均扁平率、前駆体繊維束の幅1mmに対する見かけの平均繊度、前駆体繊維束にかかる張力を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2012188783
溝付きロールA、またはBの通過後の前駆体繊維束の形態を観察したところ、前駆体繊維束の形態は制御されていた。また、前駆体繊維束の幅方向に溝付きロールA、またはBの設置位置をずらし、繊維束規制部材の凸部の壁面に片あたりさせて走行させたが、前駆体繊維束の形態は制御可能であった。
一方、比較例1の場合、溝付きロールCの通過後の前駆体繊維束の形態を観察したところ、前駆体繊維束の形態は制御されていたが、前駆体繊維束の幅方向に溝付きロールCの設置位置をずらし、繊維束規制部材の凸部の壁面に片あたりさせて走行させた場合、前駆体繊維束の端が厚くなり厚み斑が生じた。比較例2の場合、溝付きロールDの通過後の前駆体繊維束の形態を観察したところ、前駆体繊維束の形態は制御されていたが、前駆体繊維束の幅方向に溝付きロールDの設置位置をずらし、繊維束規制部材の凸部の壁面に片あたりさせて走行させた場合、前駆体繊維束の端が折れた状態で折り返しロールを通過する結果となった。
以上の結果より、上記式(1)、(2)を満足する溝であっても、繊維束規制部材の凸部の壁面と溝底部を滑らかに接続する曲率半径Rでなければ、特に前駆体繊維束が片あたりして走行した場合に前駆体繊維束の端が折れたり、厚み斑が生じたりするなどのトラブルが発生することになる。従って、上記式(3)を満足する範囲内に平均曲率半径Rを設定する必要がある。
10:炭素繊維束製造装置
11:前駆体繊維束
12:耐炎化炉
13:折り返しロール
14:炭素化手段
15:溝付きロール
151:溝
155:溝底部
158:溝開口部

Claims (1)

  1. 総繊度が40000dtex以上のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を200〜300℃の温度で耐炎化処理する耐炎化炉と、該耐炎化炉の外側で前記ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を複数回折り返して、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化炉内に複数回走行させる折り返しロールと、耐炎化処理されたポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を600℃を超える温度で炭素化処理する炭素化手段とを具備する炭素繊維束製造装置において、
    前記耐炎化処理におけるポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の幅1mm当たりのみかけの平均繊度を2400〜5000dtexに保ち、前記みかけの平均繊度を、耐炎化炉の両側に配置された、下記(1)、(2)、(3)式を満足する形状の溝付きロールによって制御することを特徴とする炭素繊維束製造装置。
    0.55<b/a<0.91 ・・・(1)
    0.19×a<h<0.6×a ・・・(2)
    0.9×(a−b)<R<2.1×(a−b) ・・・(3)
    (式(1)〜(3)中、aは溝開口部の平均幅(mm)であり、bは溝底部の平均幅(mm)であり、hは溝の平均深さ(mm)であり、Rは溝底部の曲率半径(mm)である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015067910A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東レ株式会社 炭素繊維およびその製造方法

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