JP6776723B2 - 炭素繊維前駆体アクリル繊維束、その製造方法及び炭素繊維束の製造方法 - Google Patents
炭素繊維前駆体アクリル繊維束、その製造方法及び炭素繊維束の製造方法 Download PDFInfo
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Description
(1)前記小トウに水を付与して、その水分率を1質量%以上10質量%以下とする工程、及び、
(2)前記小トウを並列配置して、扁平矩形形状断面の糸道と該糸道の幅方向に所定の間隔をおいて該糸道内に開口するエア噴出孔とを有するエア交絡装置の該糸道に導入して、該エア噴出孔から、隣接する前記小トウが互いに接する位置のそれぞれに対して、600NL/分以上900NL/分以下のエアを噴出させて交絡処理を行う工程、
を有する炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、2本以上のアクリル繊維束の小トウが並列に集合された一本の集合トウであって、フックドロップ法によって測定される交絡値及び挿入ピン抵抗法によって測定される平均交絡強度と交絡強度の出現頻度が特定の値を有することを特徴としている。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束に用いるアクリル繊維束の小トウは、例えば以下の方法で製造することができる。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束である集合トウは、2本以上の小トウを並列して隣接させ、隣接する小トウ間をエア等の気体流によって交絡することにより得ることができる。この方法によれば、トウに捲縮を付与せずに、焼成工程(耐炎化工程,炭素化工程)で自然に元の小トウに分割可能な分割能を有する集合トウを形成できる。
(1)前記小トウに水を付与して、その水分率を1質量%以上10質量%以下とする工程、
(2)前記小トウを並列配置して、扁平矩形形状断面の糸道と該糸道の幅方向に所定の間隔をおいて該糸道内に開口するエア噴出孔とを有するエア交絡装置の該糸道に導入して、該エア噴出孔から、隣接する前記小トウが互いに接する位置のそれぞれに対して、600NL/分以上900NL/分以下のエアを噴出させて交絡処理を行う工程。
1.水分率の測定方法
ウエット状態にある集合トウの質量wと、これを熱風乾燥機内で105℃×2時間で乾燥した後の質量woを測定し、次式によって水分率を求める。
集合トウをその形態を崩さないようにして、その先端に10g/3000デニール(10g/330Tex)の荷重を掛け吊す。先端から20mmが直角に折り曲げられた直径1mmの針金に10gの重りを吊り下げ、この重りを集合トウのトウ間に引っ掛けて自由落下させたときの落下長をXmとして、次式によって交絡値を求める。
交絡値=1/X
測定は30回繰り返して行い、得られた30個の数値のうち大きい数値5点と小さい数値5点を除外し、中間値20点の平均値を採用する。
図4に示した様に、集合トウの引き上げ高さを2mとする。引き上げ高さは、収納容器15の上部に設けた張力付与手段16が炭素繊維前駆体繊維束に接触する部位の最上部から、真上に引き上げてガイド18のうち、炭素繊維前駆体繊維束が最初に接触するガイドバーまでの高さの差を言う。ガイド18は、5本のガイドバーから構成される。係るガイドバーは、平ガイドバー(軸方向に直線状のガイドバー)であっても、湾曲ガイドバー(軸方向に、ある曲率で湾曲したガイドバー)であってもよい。収納容器より集合トウを走行速度10m/minで鉛直方向に引き上げ、張力付与手段16を通し、さらに鉛直に引き上げてガイド18を通過させることでトウ張力を制御してワインダーで巻取る。ヤーン・テンションメーター(インテック株式会社 MODEL:IT−NP セラミックピン式)のセラミックピンを張力付与手段16を通過直後の炭素繊維前駆体繊維束の小トウ間の接合部位に貫通させ、0.1秒間毎に該セラミックピンにかかる抵抗力を交絡強度として10分間、即ち6000回測定し、交絡強度ごとの交絡数の分布を得る。また、測定された交絡強度の平均値を平均交絡強度とする。交絡数は集合トウの長さ1m当たりの出現数で表示することもできる。
1.小トウ製造
アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。このアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度21質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔数50000、孔径50μmの紡糸口金を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させて凝固糸にし、紡糸原液の吐出線速度の0.40倍の引取り速度で引き取った。
このようにして得られた小トウを2本用い、それぞれ図1に示すようにタッチロール2で脱イオン水を付与した後、給糸される2本の小トウを、第1の交絡付与装置3へそれぞれ供給した。それぞれの小トウへの交絡付与装置は図2に示す構造を備えていた。すなわち、この第1の交絡付与装置は、中央部にトウ走行方向に貫通する偏平矩形状の糸道6を有する上ノズル4および下ノズル5を備えていた。この上ノズル4および下ノズル5は前記糸道6を挟んで上下に対称な構造を有しており、圧縮エア導入部4aおよび5aにそれぞれ連通し、そのエア導入方向に沿った対向面に開口する多数のエア噴出孔4bおよび5bを有していた。糸道6の糸道幅は16mm、糸道高さは2.5mm、糸道長さ(小トウの走行方向)は20mmであり、エア噴出孔4bおよび5bの噴出開口径は0.75mm、その配置ピッチは1.35mmとし、供給エア流量を200NL/分とした。
この集合トウを収納容器から引き出してゾーン毎に220℃〜250℃に設定した耐炎化炉内へ給糸し、70分間耐炎化処理し、さらに300℃〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気の炭素化炉中にて、収縮を制限しながら3分間の炭化処理を行い炭素繊維束を得た。収納容器からの集合トウの引出しに際しては一旦集合トウを上方へ引き上げてガイドバーを複数回通過させて小トウを引き揃えた。引き揃えられた集合トウは、収納容器から引き上げ時にも、ガイドバーを複数回通過時にも、また耐炎化炉内に導入される時にも、小トウへのバラケは一切発生しなかった。
第2の交絡装置エア流量とトウ水分率を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にして、炭素繊維束を得た。いずれの条件においても、容器からの引き上げ時には、小トウへのバラケは一切発生せず、ガイドバーを複数回通過時もしくは、通過後から耐炎化工程の中で小トウに分割された。
第2の交絡装置エア流量とトウ水分率を表2に示す値に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にして、炭素繊維ストランドを得た。比較例1〜4、8は、耐炎化処理炉内に導入後も集合トウが小トウに分割されず、耐炎化工程にて蓄熱して、糸が切断するトラブルが発生した。比較例5〜7は、容器からの引き上げ時から集合トウが小トウにバラケてしまい、隣接する小トウとの縺れ、絡まりが発生し、耐炎化処理工程で蓄熱して糸が切れる等のトラブルが発生した。
2 タッチロール
3 第1の交絡付与装置
4、9 上ノズル
5、10 下ノズル
4a、5a、9a、10a 圧縮エア導入部
4b、5b、9b、10b エア噴出孔
6、11 糸道
7 フリーロール
8 第2の交絡付与装置
12 集合トウ
13 ギアロール
14 シュート
15 収納容器
16 張力付与手段
17 張力計
18 ガイド
19 ワインダー
Claims (6)
- 2本以上のアクリル繊維束の小トウが並列配置されて集束された一本の集合トウである炭素繊維前駆体アクリル繊維束であって、
前記集合トウは、並列配置された各小トウの端部の一部が隣接する小トウの端部の一部と重なり合った接合部を有し、
フックドロップ法で測定される該小トウ間の交絡値が1m−1未満であり、
下記の測定方法で測定される小トウ間の平均交絡強度が0.1cN以上1.0cN以下、交絡強度が0.1cN以上の交絡数が20個/m以上50個/m以下であり、
該交絡強度が0.1cN以上の交絡数のうち、交絡強度が0.1cN以上1.0cN以下の交絡数の割合が50%以上99%以下、交絡強度が1.0cNより大きく5.0cN以下の交絡数の割合が1%以上45%以下、交絡強度が5.0cNより大きい交絡数の割合が5%以下である、
炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
〔測定方法:収納容器より集合トウを鉛直方向に引き上げ、張力付与手段を通し、トウ張力を0.016g/dtexに制御して走行速度10m/分で巻取る。その間に、該張力付与手段を通過直後の集合トウの小トウ間の接合部位にヤーン・テンションメーターのセラミックピンを貫通させて検出される抵抗力を交絡強度とする。交絡強度を0.1秒間毎に10分間、即ち6000回測定し、その平均値を平均交絡強度とし、0.1cN以上1.0cN以下、1.0cNより大きく5.0cN以下、および、5.0cNより大きい交絡強度が検出された回数を測定し、1m当たりの回数を求めてそれぞれの交絡強度の交絡数とする。〕 - 前記集合トウの水分率が1質量%以上10質量以下である、請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
- 前記小トウが単繊維繊度0.7dtex以上2.0dtex以下、単繊維数24000本以上100000本以下からなり、前記集合トウの総単繊維数が48000本以上400000本以下である、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束。
- 2本以上のアクリル繊維束の小トウが並列配置されて集束された一本の集合トウである炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法であって、
(1)前記小トウに水を付与して、その水分率を1質量%以上10質量%以下とする工程、及び、
(2)前記小トウを並列配置して、扁平矩形形状断面の糸道と該糸道の幅方向に所定の間隔をおいて該糸道内に開口するエア噴出孔とを有するエア交絡装置の該糸道に導入して、該エア噴出孔から、隣接する前記小トウが互いに接する位置のそれぞれに対して、600NL/分以上900NL/分以下のエアを噴出させて交絡処理を行う工程、
を有する炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。 - 前記集合トウに含まれる小トウの数が2本または3本である、請求項4に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維束を耐炎化処理し、次いで炭素化処理して炭素繊維束の製造方法であって、該耐炎化処理中に発生する張力により前記集合トウを小トウに分割しながら耐炎化処理する、炭素繊維束の製造方法。
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JP2016162707A Active JP6776723B2 (ja) | 2016-08-23 | 2016-08-23 | 炭素繊維前駆体アクリル繊維束、その製造方法及び炭素繊維束の製造方法 |
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