JP4471033B1 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】中央にタイヤ周方向主溝11を設け、主溝11の両外側に周方向主溝12を設け、ショルダー端1eから幅方向に主溝1に連通するラグ溝21と、ショルダー端1eから幅方向に主溝12を横切るが主溝11とは非連通となるラグ溝22とを周方向に交互に配置し、センターリブ30、ショルダーブロック列40の各ブロック41及び中間ブロック列50の各ブロック51〜53に幅方向サイプ35,45,55を形成した空気入りタイヤにおいて、ラグ溝21の中間ブロック列50内に位置する部分及び主溝12の中間ブロック列50に隣接する部分に底上げ部56を形成し、底上げ部56の高さを主溝12の深さの10%〜30%の範囲とし、底上げ部56の主溝12への最大突き出し幅を主溝12の幅の10%〜30%の範囲とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、冬用タイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
従来、スタッドレスタイヤに代表される冬用タイヤには、トレッド部に多数のブロックを区画し、各ブロックにタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを形成したトレッドパターンが多く採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。このようなトレッドパターンにおいては、水膜除去効果やエッジ効果を増大させるために、サイプの周方向間隔を狭くすることが行われている。
しかしながら、サイプの周方向間隔を狭くすると、ブロック剛性の低下により操舵時や制動時のブロック変形量が増加するため、ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能が悪化するという問題がある。
特開2005−349970号公報 特開2008−307918号公報
本発明の目的は、ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の中央領域にタイヤ周方向に延びる一対の第一主溝を設け、これら第一主溝の両外側にタイヤ周方向に延びる一対の第二主溝を設け、前記第一主溝と前記第二主溝との間に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝を設け、前記トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長して前記第一主溝に連通する複数本の第一ラグ溝と、前記トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長して前記第二主溝を横切るが前記第一主溝とは非連通となる複数本の第二ラグ溝とをタイヤ周方向に沿って交互に配置し、前記第二ラグ溝を前記準主溝に連通させ、前記一対の第一主溝間にタイヤ周方向に連続的に延在するセンターリブを区画し、前記第二主溝とショルダー端との間に複数のブロックからなるショルダーブロック列を区画し、前記第一主溝と前記第二主溝との間に複数のブロックからなる中間ブロック列を区画し、前記中間ブロック列においてショルダーブロック列の2つのブロックに跨がる周方向長さを有する長尺ブロックとショルダーブロック列と同一ピッチとなる一対のブロックとからなる単位ブロック群をタイヤ周方向に反復的に配置すると共に、前記センターリブ、前記中間ブロック列の各ブロック及び前記ショルダーブロック列の各ブロックにそれぞれタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを形成した冬用空気入りタイヤにおいて、前記第二ラグ溝の中間ブロック列内に位置する部分及び前記第二主溝の中間ブロック列に隣接する部分に第一底上げ部を形成し、該第一底上げ部の高さを前記第二主溝の深さの10%〜30%の範囲とし、該第一底上げ部の前記第二主溝への最大突き出し幅を該第二主溝の幅の10%〜30%の範囲とし、前記準主溝に第二底上げ部を形成し、該第二底上げ部の高さを前記第二主溝の深さの20%〜50%の範囲で前記第一底上げ部よりも高くし、該第二底上げ部の前記第二ラグ溝への最大突き出し位置を前記準主溝のショルダー側の溝壁から前記単位ブロック群内の最小ブロックの幅の0%〜20%の範囲にしたことを特徴とするものである。
本発明では、トレッド部の中央領域にセンターリブを配置し、該センターリブの外側に第一ラグ溝によってタイヤ周方向に分断された複数のブロックを含む中間ブロック列を配置し、該中間ブロック列の外側に第一ラグ溝及び第二ラグ溝によってタイヤ周方向に分断された複数のブロックを含むショルダーブロック列を配列し、かつ第二ラグ溝の中間ブロック列内に位置する部分及び第二主溝の中間ブロック列に隣接する部分に第一底上げ部を形成することにより、センターリブ及びブロックからなる陸部の剛性がトレッド部の中央領域からタイヤ幅方向外側に向かって徐々に低下するような剛性分布を形成している。このような剛性分布は接地圧分布に対応するものであり、接地圧が高い部位ほど剛性が高くなっている。そのため、センターリブ、中間ブロック列の各ブロック及びショルダーブロック列の各ブロックに複数本のサイプを形成した場合であっても、操舵時や制動時における陸部の変形を可及的に抑制し、サイプによるエッジ効果を十分に確保することができるので、ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能を向上することができる。また、上記剛性分布を形成することにより、偏摩耗を抑制する効果も併せて得ることができる。
本発明において、第一主溝と第二主溝との間に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝を設け、第二ラグ溝を準主溝に連通させ、中間ブロック列においてショルダーブロック列の2つのブロックに跨がる周方向長さを有する長尺ブロックとショルダーブロック列と同一ピッチとなる一対のブロックとからなる単位ブロック群をタイヤ周方向に反復的に配置すると共に、準主溝に第二底上げ部を形成し、該第二底上げ部の高さを第二主溝の深さの20%〜50%の範囲で第一底上げ部よりも高くし、該第二底上げ部の第二ラグ溝への最大突き出し位置を準主溝のショルダー側の溝壁から単位ブロック群内の最小ブロックの幅の0%〜20%の範囲にするこのように準主溝の付加によって中間ブロック列をセンター側の長尺ブロックとショルダー側の一対のブロックとからなる単位ブロック群から構成し、準主溝に第二底上げ部を形成することにより、中間ブロック列を構成するブロックの剛性分布を適正化し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。
中間ブロック列の単位ブロック群における長尺ブロックの面積に対する最小ブロックの面積の比率は35%〜50%とすることが好ましい。これにより、中間ブロック列を構成するブロックの剛性分布を適正化し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。
ショルダーブロック列におけるサイプの周方向間隔は中間ブロック列におけるサイプの周方向間隔の105%〜115%とし、ショルダーブロック列におけるサイプは途中で途切れた構造とすることが好ましい。これにより、ショルダーブロック列を構成するブロックの剛性を増大し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。
センターリブの幅はタイヤ接地幅の5%〜25%とし、センターリブにおけるサイプの周方向間隔は中間ブロック列におけるサイプの周方向間隔の85%〜95%とすることが好ましい。センターリブの幅を上記範囲とすることにより、トレッド部の剛性分布を適正化し、耐偏摩耗性、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。また、センターリブはブロック列に比べて制動時に倒れ込みを生じ難いので、センターリブにおけるサイプの周方向間隔を相対的に狭めることによって氷上での制動性能を向上することができる。
トレッド部のタイヤ接地幅内の溝面積比率は25%〜40%であることが好ましい。これにより、ウエット路面での操縦安定性と氷上での制動性能とを両立することができる。なお、タイヤ接地幅とは、JATMAイヤーブック(2008年度版)に規定される空気圧−負荷能力対応表において、最大負荷能力に対応する空気圧をタイヤに充填し、その最大負荷能力の80%の荷重をかけたときのタイヤ軸方向の接地幅である。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。 図1における中間ブロック列を拡大して示す平面図である。 図1における中間ブロック列を拡大して示す側面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示し、図2及び図3は図1の中間ブロック列を拡大して示すものである。なお、図1のトレッドパターンは回転方向Rが指定された方向性を有するものである。図2及び図3においては、理解を容易にするために、各底上げ部に傾斜方向が異なる斜線を付与している。
図1に示すように、トレッド部1の中央領域にはタイヤ周方向に延びる一対の主溝11,11(第一主溝)が形成され、これら主溝11,11の両外側にはタイヤ周方向に延びる一対の主溝12,12(第二主溝)が形成されている。これら主溝11,12は直線状であっても良く、或いは、ジグザグ状であっても良い。また、主溝11と主溝12との間にはジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝13が形成されている。ここで、主溝とはトレッド表面での溝幅が5mm〜20mm、溝深さが7.9mm〜12.5mmの溝であり、準主溝とはトレッド表面での溝幅が1.5mm〜15mm、溝深さが7.9mm〜12.5mmの溝であり、準主溝のトレッド表面での溝幅は主溝のトレッド表面での溝幅よりも狭く、準主溝の溝幅に対する主溝の溝幅の比が1.2以上になっている。
トレッド部1には、ショルダー端1eからタイヤ幅方向内側に向かって延長して主溝11に連通する複数本のラグ溝21(第一ラグ溝)と、ショルダー端1eからタイヤ幅方向内側に向かって延長して主溝12を横切るが主溝11とは非連通となる複数本のラグ溝22(第二ラグ溝)とがタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。これらラグ溝21,22はタイヤ幅方向外側に向かってタイヤ回転方向Rとは反対方向に傾斜している。
これにより、一対の主溝11,11間にはタイヤ周方向に連続的に延在するセンターリブ30が区画され、主溝12とショルダー端1eとの間には複数のブロック41からなるショルダーブロック列40が区画され、主溝11と主溝12との間には複数のブロック51,52,53からなる中間ブロック列50が区画されている。中間ブロック列50は、ショルダーブロック列40の2つのブロック41,41に跨がる周方向長さを持つ長尺ブロック51、即ち、ショルダーブロック列40のブロック41に対して2倍ピッチとなる長尺ブロック51と、ショルダーブロック列40のブロック41に対して同一ピッチとなる2種類のブロック52,53とからなる単位ブロック群をタイヤ周方向に反復的に配置した構成になっている。単位ブロック群の中で、ブロック52は踏面の面積が最も小さい最小ブロックである。
センターリブ30、ショルダーブロック列40の各ブロック41及び中間ブロック列50の各ブロック51,52,53にはそれぞれタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ35,45,55が形成されている。これらサイプ35,45,55はいずれもトレッド表面においてジグザグ形状をなしているが、その形状が特に限定されるものではない。
上記空気入りタイヤにおいて、図2及び図3に示すように、ラグ溝22の中間ブロック列50内に位置する部分及び主溝12の中間ブロック列50に隣接する部分には底上げ部56(第一底上げ部)が形成されている。底上げ部56の高さH1は主溝12の深さD(即ち、ブロック高さ)の10%〜30%の範囲に設定されている。また、底上げ部56の主溝12への最大突き出し幅W1は主溝12の幅Wの10%〜30%の範囲に設定されている。本実施形態では、主溝12がタイヤ周方向に対して僅かに傾斜しているため、底上げ部56はその突き出し幅が主溝12に沿って徐々に広がるように形成されているが、主溝12がタイヤ周方向と平行である場合は、底上げ部56の主溝12への突き出し幅を一定にしても良い。
また、主溝12のショルダーブロック列40に隣接する部分には底上げ部46が形成されており、底上げ部46は中間ブロック列50における底上げ部56と同様の高さと最大突き出し幅を有している。このような底上げ部46は必要に応じて適宜付加することができる。
一方、準主溝13には底上げ部57(第二底上げ部)が形成されている。底上げ部57の高さH2は主溝12の深さDの20%〜50%の範囲で底上げ部56よりも高くなるように設定されている。また、底上げ部57のラグ溝22への最大突き出し位置は準主溝13のショルダー側の溝壁から単位ブロック群内の最小ブロック52の幅Wbの0%〜20%の範囲に設定されている。図2においては、底上げ部57と底上げ部56との境界が準主溝13のショルダー側の溝壁の延長線上にあり、即ち、底上げ部57のラグ溝22への最大突き出し位置は準主溝13のショルダー側の溝壁から最小ブロック52の幅Wbの0%の位置に設定されている。
上記空気入りタイヤでは、トレッド部1の中央領域にセンターリブ30を配置し、該センターリブ30の外側にラグ溝21によってタイヤ周方向に分断された複数のブロック51を含む中間ブロック列50を配置し、該中間ブロック列50の外側にラグ溝21,22によってタイヤ周方向に分断された複数のブロック41を含むショルダーブロック列40を配列することにより、トレッド部1の中央領域からタイヤ幅方向外側に向かって陸部の面積を徐々に小さくしている。しかも、ラグ溝22の中間ブロック列内に位置する部分及び主溝22の中間ブロック列に隣接する部分に底上げ部56を形成することにより、トレッド部1の中央領域からタイヤ幅方向外側に向かって陸部の剛性が徐々に低下するような剛性分布を形成している。
そのため、センターリブ30、中間ブロック列50のブロック51,52,53及びショルダーブロック列40のブロック41にそれぞれ複数本のサイプ35,55,45を形成し、その周方向間隔を小さく設定した場合であっても、操舵時や制動時における陸部の変形を可及的に抑制し、サイプ35,55,45によるエッジ効果を十分に確保することができるので、ドライ路面やウエット路面での操縦安定性及び氷上での制動性能を向上することができる。このような剛性分布は、耐偏摩耗性の改善にも寄与する。
ここで、底上げ部56の高さH1が主溝12の深さDの10%未満であると中間ブロック列50の剛性が不十分になり、逆に30%を超えると溝体積の減少によりウエット路面での操縦安定性が低下する。また、底上げ部56の主溝12への最大突き出し幅W1が主溝12の幅Wの10%未満であると中間ブロック列50の剛性が不十分になり、逆に30%を超えると溝体積の減少によりウエット路面での操縦安定性が低下する。
また、上記空気入りタイヤでは、主溝11と主溝12との間に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝13を設け、ラグ溝22を準主溝13に連通させ、中間ブロック列50においてショルダーブロック列40の2つのブロック41に跨がる周方向長さを有する長尺ブロック51とショルダーブロック列40と同一ピッチとなる一対のブロック52,53とからなる単位ブロック群をタイヤ周方向に反復的に配置し、準主溝13に底上げ部57を形成するしているので、中間ブロック列50を構成するブロック51,52,53の剛性分布を適正化し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。
ここで、底上げ部57の高さが主溝12の深さDの20%未満であると中間ブロック列50の剛性が不十分になり、逆に50%を超えると溝体積の減少によりウエット路面での操縦安定性が低下する。また、底上げ部57のラグ溝22への最大突き出し位置が準主溝13のショルダー側の溝壁よりも後退した位置にあると中間ブロック列50の剛性が不十分になる。逆に、底上げ部57のラグ溝22への最大突き出し位置が準主溝13のショルダー側の溝壁から単位ブロック群内の最小ブロック52の幅Wbの20%を超えた位置にあると溝体積の減少によりウエット路面での操縦安定性が低下する。
上記空気入りタイヤにおいて、中間ブロック列50の単位ブロック群における長尺ブロック51の面積に対する最小ブロック52の面積の比率は35%〜50%に設定すると良い。これにより、中間ブロック列50を構成するブロック51,52,53の剛性分布を適正化し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。長尺ブロック51の面積に対する最小ブロック52の面積の比率が35%未満であると最小ブロック52の剛性が不十分になり、逆に50%を超えると長尺ブロック51の剛性が不十分になり、いずれの場合もタイヤ幅方向の剛性分布が乱れる要因となる。
中間ブロック列50におけるサイプ55の周方向間隔は3.5mm〜8.0mmの範囲に設定すると良い。サイプ55の周方向間隔は上記範囲に設定することにより、中間ブロック列50を構成するブロック51〜53の剛性を十分に確保しながら氷上での制動性能を十分に発揮することが可能になる。中間ブロック列50において、ブロック51〜53の周方向両端部分や長尺ブロック51のラグ溝22に近接する部分ではサイプ55をクローズドサイプとし、それ以外の部分ではサイプ55をオープンサイプとすることが好ましい。
ショルダーブロック列40におけるサイプ45の周方向間隔は中間ブロック列50におけるサイプ55の周方向間隔の105%〜115%であると良い。このようにショルダーブロック列40におけるサイプ45の周方向間隔を中間ブロック列50におけるサイプ55の周方向間隔よりも大きくすることにより、ショルダーブロック列40を構成するブロック41の剛性を増大し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。上記比率が105%未満であるとショルダーブロック列40のブロック41の剛性増大効果が不十分になり、逆に115%を超えると氷上での制動性能が低下する要因となる。
また、ショルダーブロック列40におけるサイプ45は途中で途切れた構造であると良い。このようにサイプ45に途中で途切れた構造を採用することにより、ショルダーブロック列40を構成するブロック41の剛性を増大し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。なお、ショルダーブロック列40におけるサイプ45の一部、特にブロック41の周方向両端部分を除く部分に位置するものは、主溝12に連通するオープンサイプであると良い。サイプ45の一部をオープンサイプとすることでエッジ量を確保し、氷上での制動性能を十分に確保することができる。また、ショルダーブロック列40において、ブロック41の周方向両端部分ではサイプ45をクローズドサイプとすることが好ましい。
センターリブ30の幅Wrはタイヤ接地幅TCWの5%〜25%であると良い。センターリブ30の幅Wrを上記範囲とすることにより、トレッド部1の剛性分布を適正化し、特に長尺ブロック51との剛性バランスを適切に保持することができる。その結果、耐偏摩耗性、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。センターリブ30の幅Wrが上記範囲から外れるとタイヤ幅方向の剛性分布が乱れる要因となる。
センターリブ30におけるサイプ35の周方向間隔は中間ブロック列50におけるサイプ45の周方向間隔の85%〜95%であると良い。センターリブ30は中間ブロック列50に比べて制動時に倒れ込みを生じ難いので、センターリブ30におけるサイプの周方向間隔を相対的に狭めることによって氷上での制動性能を向上することができる。上記比率が85%未満であるとセンターリブ30の剛性が低下し、逆に95%を超えると氷上での制動性能を改善する効果が不十分になる。
また、センターリブ30におけるサイプ35は途中で途切れた構造であると良い。このようにサイプ45に途中で途切れた構造を採用することにより、センターリブ30の剛性を増大し、操縦安定性及び制動性能の改善効果を高めることができる。
上記空気入りタイヤにおいて、トレッド部1のタイヤ接地幅TCW内の溝面積比率は25%〜40%、より好ましくは、28%〜35%に設定されている。これにより、ウエット路面での操縦安定性と氷上での制動性能とを両立することができる。この溝面積比率が25%未満であるとウエット路面での操縦安定性が低下し、逆に40%を超えると氷上での制動性能が低下する。
タイヤサイズが225/65R17であって、トレッド部の中央領域にタイヤ周方向に延びる一対の第一主溝を設け、これら第一主溝の両外側にタイヤ周方向に延びる一対の第二主溝を設け、第一主溝と第二主溝との間に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝を設け、トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長して第一主溝に連通する複数本の第一ラグ溝と、トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長しつつ第二主溝を横切って第二ラグ溝を準主溝に連通するが第一主溝とは非連通となる複数本の第二ラグ溝とをタイヤ周方向に沿って交互に配置し、一対の第一主溝間にタイヤ周方向に連続的に延在するセンターリブを区画し、第二主溝とショルダー端との間に複数のブロックからなるショルダーブロック列を区画し、第一主溝と前記第二主溝との間に複数のブロックからなる中間ブロック列を区画すると共に、センターリブ、中間ブロック列の各ブロック及びショルダーブロック列の各ブロックにそれぞれタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを形成した空気入りタイヤ(図1参照)において、必要に応じて、第二ラグ溝の中間ブロック列内に位置する部分及び第二主溝の中間ブロック列に隣接する部分に第一底上げ部を形成し、準主溝に第二底上げ部を形成し、第一底上げ部の高さ(第二主溝の深さに対する比率)、第一底上げ部の第二主溝への最大突き出し幅(第二主溝の幅に対する比率)、第二底上げ部の高さ(第二主溝の深さに対する比率)、第二底上げ部の第二ラグ溝への最大突き出し位置(単位ブロック群内の最小ブロックの幅に対する準主溝のショルダー側の溝壁からの距離の比率)、中間ブロック列の単位ブロック群における長尺ブロックの面積に対する最小ブロックの面積の比率を表1のように設定した従来例1、実施例1〜3及び比較例1〜4のタイヤを作製した。
これらタイヤについて、下記の評価方法により、氷上での制動性能、ウエット路面での操縦安定性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
氷上での制動性能:
試験タイヤをリムサイズ17×6 1/2Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧200kPaとして、氷上にて速度40km/hの走行状態から制動し、その制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど氷上での制動性能が優れていることを意味する。
ウエット路面での操縦安定性:
試験タイヤをリムサイズ17×6 1/2Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧200kPaとして、ウエット路面においてテストドライバーによるフィーリング評価を実施した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウエット路面での操縦安定性が優れていることを意味する。
Figure 0004471033
この表1から明らかなように、実施例1〜3のタイヤは、従来例1との対比において、氷上での制動性能及びウエット路面での操縦安定性が大幅に改善されていた。一方、比較例1〜4のタイヤは、底上げ部の付加により氷上での制動性能及びウエット路面での操縦安定性について改善効果が認められるものの、必ずしも十分ではなかった。
1 トレッド部
11 主溝(第一主溝)
12 主溝(第二主溝)
21 ラグ溝(第一ラグ溝)
22 ラグ溝(第二ラグ溝)
30 センターリブ
35 サイプ
40 ショルダーブロック列
41 ブロック
45 サイプ
46 底上げ部
50 中間ブロック列
51 長尺ブロック
52,53 ブロック
55 サイプ
56 底上げ部(第一底上げ部)
57 底上げ部(第二底上げ部)

Claims (5)

  1. トレッド部の中央領域にタイヤ周方向に延びる一対の第一主溝を設け、これら第一主溝の両外側にタイヤ周方向に延びる一対の第二主溝を設け、前記第一主溝と前記第二主溝との間に屈曲しながらタイヤ周方向に延びる準主溝を設け、前記トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長して前記第一主溝に連通する複数本の第一ラグ溝と、前記トレッド部のショルダー端からタイヤ幅方向内側に向かって延長して前記第二主溝を横切るが前記第一主溝とは非連通となる複数本の第二ラグ溝とをタイヤ周方向に沿って交互に配置し、前記第二ラグ溝を前記準主溝に連通させ、前記一対の第一主溝間にタイヤ周方向に連続的に延在するセンターリブを区画し、前記第二主溝とショルダー端との間に複数のブロックからなるショルダーブロック列を区画し、前記第一主溝と前記第二主溝との間に複数のブロックからなる中間ブロック列を区画し、前記中間ブロック列においてショルダーブロック列の2つのブロックに跨がる周方向長さを有する長尺ブロックとショルダーブロック列と同一ピッチとなる一対のブロックとからなる単位ブロック群をタイヤ周方向に反復的に配置すると共に、前記センターリブ、前記中間ブロック列の各ブロック及び前記ショルダーブロック列の各ブロックにそれぞれタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを形成した冬用空気入りタイヤにおいて、前記第二ラグ溝の中間ブロック列内に位置する部分及び前記第二主溝の中間ブロック列に隣接する部分に第一底上げ部を形成し、該第一底上げ部の高さを前記第二主溝の深さの10%〜30%の範囲とし、該第一底上げ部の前記第二主溝への最大突き出し幅を該第二主溝の幅の10%〜30%の範囲とし、前記準主溝に第二底上げ部を形成し、該第二底上げ部の高さを前記第二主溝の深さの20%〜50%の範囲で前記第一底上げ部よりも高くし、該第二底上げ部の前記第二ラグ溝への最大突き出し位置を前記準主溝のショルダー側の溝壁から前記単位ブロック群内の最小ブロックの幅の0%〜20%の範囲にしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記中間ブロック列の単位ブロック群における長尺ブロックの面積に対する最小ブロックの面積の比率を35%〜50%としたことを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ショルダーブロック列におけるサイプの周方向間隔を前記中間ブロック列におけるサイプの周方向間隔の105%〜115%とし、前記ショルダーブロック列におけるサイプを途中で途切れた構造としたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記センターリブの幅をタイヤ接地幅の5%〜25%とし、前記センターリブにおけるサイプの周方向間隔を前記中間ブロック列におけるサイプの周方向間隔の85%〜95%としたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記トレッド部のタイヤ接地幅内の溝面積比率を25%〜40%としたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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