JP6077934B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、氷上性能を維持しつつ耐摩耗性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
従来、氷上での走行性能(以下、氷上性能という。)を向上させるために、ブロックにサイプを設けた空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このような空気入りタイヤは、サイプのエッジ効果及び吸水効果等により、氷上性能が向上する。
特開2009−190677号公報
しかしながら、サイプが設けられたブロックは、低い剛性を有する。剛性の小さいブロックは、走行中の変形が大きく、ひいては摩耗し易いという問題があった。ブロックの耐摩耗性能を向上させるために、サイプの長さ及び深さを小さくすると、氷上性能が低下するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ブロック内のサイプの配置及び深さを改善することを基本として、氷上性能を維持しつつ耐摩耗性能を向上しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち、請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ周方向にのびる縦溝及びタイヤ軸方向にのびる横溝で区分されたブロックを含む空気入りタイヤであって、前記ブロックには、タイヤ軸方向にのび、かつ、両端がタイヤ軸方向両側のブロック縁でそれぞれ開口するサイプが複数本設けられ、前記サイプは、略一定の深さを有する基部と、前記基部よりも小さい深さを有する浅底部とを含む深さ変化サイプを複数本含み、前記深さ変化サイプは、第1深さ変化サイプと、第2深さ変化サイプとを含み、前記第1深さ変化サイプの前記浅底部は、前記第2深さ変化サイプの前記基部にタイヤ周方向で向き合っており、前記横溝は、溝底面が隆起したタイバーを含み、前記タイバーは、前記タイバーのタイヤ周方向の両側それぞれにおいて、最も前記タイバーに近い前記深さ変化サイプの前記基部とタイヤ周方向で向き合い、かつ、最も前記タイバーに近い前記深さ変化サイプの前記浅底部とタイヤ周方向で向き合っておらず、前記縦溝は、センター主溝と、前記センター主溝のタイヤ軸方向外側に設けられたミドル主溝とを含み、前記ミドル主溝は、タイヤ軸方向外側に凸の第1コーナ部と、タイヤ軸方向内側に凸の第2コーナ部とがタイヤ周方向に交互に設けられたジグザグ状であり、前記横溝は、前記各第1コーナ部から前記センター主溝までのびる複数のミドル横溝を含み、前記ブロックは、前記センター主溝、前記ミドル主溝、及び、前記各ミドル横溝で区分されたミドルブロックを含むことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記横溝のタイヤ周方向両側それぞれにおいて、最も前記横溝に近い前記深さ変化サイプは、前記浅底部が互いに向き合っている請求項1記載の空気入りタイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記サイプは、タイヤ軸方向に波状でのびている請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記ミドルブロックに設けられた前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離は、タイヤ軸方向で変化し、前記複数のミドル横溝は、互いに逆向きに傾斜した第1ミドル横溝と第2ミドル横溝とを含み、前記第1ミドル横溝と前記第2ミドル横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記センター主溝は、タイヤ赤道の両側に一対設けられ、前記ブロックは、一対の前記センター主溝の間に区分されたセンターブロックを含み、前記センターブロックに設けられた前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離は、タイヤ軸方向で一定である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
また、請求項6記載の発明は、前記ミドルブロックは、前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離がタイヤ軸方向外側に向かって漸増する第1ブロックと、前記サイプ間周方向距離がタイヤ軸方向外側に向かって漸減する第2ブロックとをタイヤ周方向に交互に含む請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項7記載の発明は、前記第1深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の一方側の端部に設けられ、前記第2深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の他方側の端部に設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項8記載の発明は、前記第1深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の中央部に設けられ、前記第2深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の両端部に設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのブロックには、タイヤ軸方向にのび、かつ、両端がタイヤ軸方向両側のブロック縁でそれぞれ開口するサイプが複数本設けられる。このようなサイプは、優れたエッジ効果及び吸水効果を発揮し、氷上性能を向上させる。
サイプは、略一定の深さを有する基部と、基部よりも小さい深さを有する浅底部とを含む深さ変化サイプを複数本含む。このような深さ変化サイプは、エッジ効果を発揮しつつ、浅底部によってブロックの剛性を補強する。このため、氷上性能が維持されつつ、ブロックの耐摩耗性能が向上する。
深さ変化サイプは、第1深さ変化サイプと、第2深さ変化サイプとを含む。第1深さ変化サイプの浅底部は、第2深さ変化サイプの基部にタイヤ周方向で向き合っている。これにより、第2深さ変化サイプの基部によるブロックの剛性低下が、第1深さ変化サイプの浅底部によって抑制される。従って、このような深さ変化サイプは、ブロックの剛性分布を均一にしながら、耐摩耗性能をさらに向上させる。
本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図1のA−A断面図である。 図1のセンターブロックの部分拡大図である。 (a)は図3のB−B断面図であり、(b)は図3のC−C断面図である。 図3のD−D断面図である。 図1のミドルブロックの部分拡大図である。 他の実施形態のブロックの部分拡大図である。 (a)は図7のE−E断面図であり、(b)は、図7のF−F断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1が示される。本実施形態の空気入りタイヤ1は、例えば、冬用の重荷重用空気入りタイヤとして好適に利用される。タイヤ1のトレッド部2には、タイヤ周方向にのびる縦溝7及びタイヤ軸方向にのびる横溝10が設けられている。
トレッド部2は、特に限定されないが、好ましくは74%以上、より好ましくは74%以上であり、好ましくは84%以下、より好ましくは80%以下のランド比Lrを有する。ランド比Lrが74%よりも小さい場合、操縦安定性が低下するおそれがある。逆に、ランド比が84%よりも大きい場合、ウェット性能が低下するおそれがある。なお、ランド比Lrは、全ての溝を埋めた状態で測定されるトレッド部2の全接地面積に対する、実際のトレッド部2の合計接地面積の割合である。
本実施形態の縦溝7は、一対のセンター主溝3、3、一対のミドル主溝4、4、及び、一対のショルダー細溝5、5を含んでいる。
センター主溝3、3はタイヤ赤道Cの両側に設けられている。センター主溝3は、タイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態のセンター主溝3は、ジグザグ状である。センター主溝3は、直線状でも良い。
ミドル主溝4、4は、一対のセンター主溝3、3のタイヤ軸方向外側に設けられている。ミドル主溝4は、タイヤ軸方向に連続してのびている。本実施形態のミドル主溝4はジグザグ状である。ミドル主溝4は、直線状でも良い。
図2には、図1のA−A断面図が示される。図2に示されるように、センター主溝3の溝幅W1(溝の中心線と直角な溝幅を意味する。)及び溝深さd1、並びに、ミドル主溝4の溝幅W2及び溝深さd2は、慣例に従って種々定められる。これらの溝幅又は溝深さが小さい場合、雪上性能が低下するおそれがある。逆に、これらの溝幅又は溝深さが大きい場合、トレッド部2の剛性が低下し、操縦安定性が低下するおそれがある。このため、センター主溝3の溝幅W1及びミドル主溝4の溝幅W2は、例えば、トレッド接地幅TWの3〜7%が望ましい。センター主溝3の溝深さd1及びミドル主溝4の溝深さd2は、例えば、14.5〜24.5mmが望ましい。
トレッド接地幅TWは、トレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。トレッド接地端Teは、正規状態のタイヤに、正規荷重を付加しかつキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地端を意味する。
前記「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。なお、本明細書では特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態で測定された値とする。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
図1に示されるように、ショルダー細溝5、5は、ミドル主溝4のタイヤ軸方向外側に設けられている。ショルダー細溝5は、タイヤ周方向に連続して直線状にのびている。
図2に示されるように、ショルダー細溝5の溝幅W3は、好ましくはミドル主溝4の溝幅W2の0.10〜0.15倍である。ショルダー細溝5の溝深さd3は、好ましくはセンター主溝3の溝深さd2の0.50〜0.70倍である。このようなショルダー細溝5は、トレッド部2のタイヤ軸方向外側の剛性を相対的に大きくし、操縦安定性を高める。
図1に示されるように、本実施形態の横溝10は、センター横溝13、ミドル横溝14、内側ショルダー横溝15、及び、外側ショルダー横溝16を含んでいる。
センター横溝13は、センター主溝3、3の間に設けられている。センター横溝13は、略一定の幅で直線状にのびている。センター横溝13は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。
ミドル横溝14は、センター主溝3とミドル主溝4との間に設けられている。ミドル横溝14は、略一定の幅で直線状にのびている。ミドル横溝14は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。
内側ショルダー横溝15は、ミドル主溝4とショルダー細溝5との間に設けられている。内側ショルダー横溝15は、略一定の幅で直線状にのびている。内側ショルダー横溝15は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。
外側ショルダー横溝16は、ショルダー細溝5とトレッド接地端Teとの間に設けられている。外側ショルダー横溝16は、タイヤ軸方向と略平行である。外側ショルダー横溝16の溝幅は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増している。
タイヤ1は、トレッド部2に、縦溝7で区分された複数のブロック列21を含む。各ブロック列21は、横溝10で区分された複数のブロック20を含んでいる。
各ブロック列21において、タイヤ全周でのブロック20の個数Nbは、好ましくは70以上、より好ましくは74以上であり、好ましくは84以下、より好ましくは80以下である。各ブロック列21のタイヤ全周でのブロック20の個数Nbが70より小さい場合、ブロック20のエッジ成分の量が低下し、氷上性能が低下するおそれがある。逆に、前記個数Nbが84より大きい場合、各ブロック20が小さくなり、耐摩耗性能が低下するおそれがある。
ブロック20のゴム硬度Hbは、好ましくは62°以上、より好ましくは64°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは68°以下である。ブロック20のゴム硬度Hbが62°より小さい場合、耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。逆に、前記ゴム硬度Hbが70°より大きい場合、氷上性能及び雪上性能が低下するおそれがある。本明細書において、「ゴム硬度」は、JIS−K6253に基づくデュロメータータイプAによる硬さである。
ブロック20は、センターブロック23、ミドルブロック24、内側ショルダーブロック25、及び、外側ショルダーブロック26を含んでいる。センターブロック23は、センター主溝3及びセンター横溝13で区分されている。ミドルブロック24は、センター主溝3、ミドル主溝4及びミドル横溝14で区分されている。内側ショルダーブロック25は、ミドル主溝4、ショルダー細溝5及び内側ショルダー横溝15で区分されている。外側ショルダーブロック26は、ショルダー細溝5及び外側ショルダー横溝16で区分されている。
図3には、ブロック20の部分拡大図として、センターブロック23の部分拡大図が示されている。図3に示されるように、ブロック20には、サイプ30が複数本設けられている。本明細書において「サイプ」とは、溝幅が0.5〜1.5mmの切り込み状の溝を意味する。
1つのブロック20内に設けられているサイプの本数Nsは、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3である。本実施形態では、1つのブロック20内に2本のサイプ30が設けられている。これにより、ブロック20の剛性が維持されつつ、優れたエッジ効果が発揮される。従って、氷上性能及び耐摩耗性能が両立したタイヤが得られる。
サイプ30は、タイヤ軸方向にのびている。本実施形態のサイプ30は、波状にのびている。このようなサイプ30は、直線状のものに比して、大きい長さを有するので、高い吸水性能を持つ。しかも、このようなサイプ30は、多方向にエッジ効果を発揮する。このため、氷上性能が向上する。
サイプ30は、両端30e、30eがタイヤ軸方向両側のブロック縁20e、20eでそれぞれ開口している。このようなサイプ30は、優れたエッジ効果を発揮する。しかも、サイプ30は、ブロック縁20eで開口しているため、ウェット走行時、吸水した水を速やかに縦溝7側に排出する。従って、このようなサイプは、優れた吸水効果を発揮する。
サイプ30は、深さが変化する深さ変化サイプ35を複数本含んでいる。
図4(a)及び(b)には、図3の深さ変化サイプ35のB−B断面図及びC−C断面図が示される。図4(a)に示されるように、深さ変化サイプ35は、基部36及び浅底部37を含む。
基部36は、略一定の深さd4を有している。基部36の深さd4は、好ましくはセンター主溝3の溝深さd1(図2に示す)の0.5倍以上、より好ましくは0.55倍以上であり、好ましくは0.70倍以下、より好ましくは0.60倍以下である。このような基部36により、ブロック20は、高い剛性を維持しつつ、優れた吸水性能を発揮する。
浅底部37は、基部36よりも小さい深さd5を有している。浅底部37を含む深さ変化サイプ35は、エッジ効果を発揮しつつ、ブロック20の剛性低下を防止する。このため、氷上性能が維持されつつ、ブロック20の耐摩耗性能が向上する。
浅底部37の深さd5と基部36の深さd4との比d5/d4は、好ましくは0.24以上、より好ましくは0.30以上であり、好ましくは0.42以下、より好ましくは0.36以下である。前記比d5/d4が0.24より小さい場合、浅底部37の底面37dが、ブロック20の摩耗により早期に接地面に露出する。このため、優れた氷上性能が発揮される期間が短くなるおそれがある。逆に、前記比d5/d4が0.42よりも大きい場合、ブロック20の耐摩耗性能の向上効果が十分に期待できないおそれがある。
浅底部37のタイヤ軸方向の長さL2と深さ変化サイプ35のタイヤ軸方向の長さL1との比L2/L1は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。前記比L2/L1が0.10より小さい場合、ブロック20の剛性を補強する効果が小さくなるおそれがある。逆に、前記比L2/L1が0.25より大きい場合、ブロック20の摩耗により浅底部37の底面37dが接地面に露出したとき、氷上性能が大きく低下するおそれがある。
図3に示されるように、深さ変化サイプ35は、第1深さ変化サイプ38と、第2深さ変化サイプ39とを含む。
第1深さ変化サイプ38と、第2深さ変化サイプ39との間のサイプ間周方向距離L3は、ブロック20の剛性分布を均一にするために、タイヤ軸方向で一定とされている。このため、ブロックのヒールアンドトゥ摩耗が効果的に抑制される。
図4(a)は、本実施形態の第1深さ変化サイプ38の断面図である。図4(a)に示されるように、第1深さ変化サイプ38の浅底部37aは、第1深さ変化サイプ38のタイヤ軸方向の一方側の端部31に設けられている。
図4(b)は、本実施形態の第2深さ変化サイプ39の断面図である。図4(b)に示されるように、第2深さ変化サイプ39の浅底部37bは、第2深さ変化サイプ39のタイヤ軸方向の他方側の端部32に設けられている。
さらに、第1深さ変化サイプの浅底部37aは、第2深さ変化サイプ39の基部36bにタイヤ周方向で向き合っている。これにより、第2深さ変化サイプ39の基部36bによるブロック20の剛性低下が、第1深さ変化サイプの浅底部37bによって抑制される。従って、このような深さ変化サイプ35を有するブロック20は、均一な剛性分布を持ち、優れた耐摩耗性能を有する。
図3に示されるように、ブロック20は、横溝10を挟んでタイヤ周方向に複数個設けられている。
図5には、横溝10のD−D断面図が示される。図5に示されるように、横溝10は、主部11とタイバー40とを含んでいる。
主部11は、略一定の深さd6を有する。主部11の深さd6は、好ましくはセンター主溝3の溝深さd1(図2に示す)の0.75倍以上、より好ましくは0.78倍以上であり、好ましくは0.90倍以下、より好ましくは0.85倍以下である。主部11を含む横溝10は、トレッド部のタイヤ周方向の剛性を維持しつつ、優れた排水性能を発揮する。
タイバー40は、横溝10の溝底面10dが隆起した部分である。主部11及びタイバー40は、横溝10の排水性能を維持しつつ、ブロックの過度の倒れ込みを防ぐ。このため、ウェット性能が維持されつつ、操縦安定性が向上する。
タイバー40の深さd7と、主部11の深さd6との比d7/d6は、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.75以上であり、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.85以下である。前記比d7/d6が0.65より小さい場合、タイバー40の底面40dが、ブロック20の摩耗により早期に接地面に露出する。このため、優れた氷上性能が発揮される期間が短くなるおそれがある。逆に、前記比d7/d6が0.95より大きい場合、ブロック間の剛性が大きくならず、操縦安定性が低下するおそれがある。
タイバー40のタイヤ軸方向の長さL5と、横溝10のタイヤ軸方向の長さL4との比L5/L4は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.45以上であり、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.55以下である。前記比L5/L4が0.30より小さい場合、ブロック20の剛性が大きくならないおそれがある。逆に、前記比L5/L4が0.70より大きい場合、横溝10の排水性能が低下するおそれがある。
図3に示されるように、タイバー40は、タイバー40のタイヤ周方向の両側それぞれにおいて、最もタイバー40に近い深さ変化サイプ35、35の基部36とタイヤ周方向で向き合っている。これにより、タイバー40が、相対的に剛性低下の大きいサイプ30の基部36の近傍に設けられている。これにより、ブロック列21の剛性分布が均一になり、耐摩耗性能が向上する。
タイバー40が設けられた横溝10のタイヤ周方向両側それぞれにおいて、最も横溝10に近い深さ変化サイプ35の浅底部37は、タイバー40には向き合っていないのが望ましい。これにより、さらに剛性分布が均一になり、より一層耐摩耗性能が向上する。
同様の観点から、横溝10のタイヤ周方向両側それぞれにおいて、最も横溝10に近い深さ変化サイプ35、35は、浅底部37が互いに向き合っているのが望ましい。
図6には、ミドルブロック24の部分拡大図が示される。本実施形態のミドルブロック24は、第1ブロック24Aと第2ブロック24Bとをタイヤ周方向に交互に含んでいる。第1ブロック24Aは、サイプ間周方向距離L3aがタイヤ軸方向外側Aに向かって漸増している。第2ブロック24Bは、サイプ間周方向距離L3bがタイヤ軸方向外側Aに向かって漸減している。
第1ブロック24Aと第2ブロック24Bは、サイプ30のエッジ効果を多方向に発揮させ、とりわけ氷路での操縦安定性を向上させる。
図7には、他の実施形態のブロック50が示されている。図8(a)には、他の実施形態のブロック50の第1深さ変化サイプ51の断面図が示されている。図8(b)には、他の実施形態のブロック50の第2深さ変化サイプ52の断面図が示されている。
図8(a)に示されているように、他の実施形態のブロック50の第1深さ変化サイプ51は、浅底部53aが、サイプのタイヤ軸方向の中央部51cに設けられている。図8(b)に示されているように、他の実施形態のブロック50の第2深さ変化サイプ52は、浅底部53bが、サイプのタイヤ軸方向の両端部52e、52eに設けられている。
図7に示されているように、上述のような第1深さ変化サイプ51及び第2深さ変化サイプ52を含むブロック50は、同一のブロック50内で浅底部53による剛性補強箇所55が3箇所になる。このため、ブロックのねじれ剛性が効果的に向上する。従って、とりわけ旋回時の操縦安定性が向上する。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのはいうまでもない。
表1の仕様に基づくサイズ11R22.5の重荷重用空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。また、各試供タイヤの氷上性能、耐摩耗性能、雪上性能、及び、磨耗状態でのウェット性能がテストされた。各タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:8.25×22.5
タイヤ内圧:900kPa
テスト車両:10tトラック、荷台中央に標準積載量の50%積載
タイヤ装着位置:全輪
<氷上性能>
各テストタイヤを装着した車両の氷路での走行性能が、運転者の官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
<耐摩耗性能>
乾燥路面を一定距離走行した後のテストタイヤの摩耗量が測定された。結果は、タイヤ摩耗量の逆数であり、実施例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きい程耐摩耗性能が優れていることを示す。
<雪上性能>
各テストタイヤを装着した車両の雪路での走行性能が、運転者の官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、雪上性能が優れていることを示す。
<磨耗状態でのウェット性能>
摩耗した状態の各テストタイヤを装着した車両で、ウェット路面での走行性能が、運転者の官能により評価された。テストは、センター主溝の残りの溝深さが、新品時の20%の状態のテストタイヤで実施された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、ウェット性能が優れていることを示す。
テスト結果が表1に示される。
Figure 0006077934
Figure 0006077934
Figure 0006077934
Figure 0006077934
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、氷上性能を維持しつつ耐摩耗性能が向上していることが確認できた。
2 トレッド部
7 縦溝
10 横溝
20 ブロック
20e ブロック縁
30 サイプ
35 深さ変化サイプ
36 基部
37 浅底部
38 第1深さ変化サイプ
39 第2深さ変化サイプ

Claims (8)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向にのびる縦溝及びタイヤ軸方向にのびる横溝で区分されたブロックを含む空気入りタイヤであって、
    前記ブロックには、タイヤ軸方向にのび、かつ、両端がタイヤ軸方向両側のブロック縁でそれぞれ開口するサイプが複数本設けられ、
    前記サイプは、略一定の深さを有する基部と、前記基部よりも小さい深さを有する浅底部とを含む深さ変化サイプを複数本含み、
    前記深さ変化サイプは、第1深さ変化サイプと、第2深さ変化サイプとを含み、
    前記第1深さ変化サイプの前記浅底部は、前記第2深さ変化サイプの前記基部にタイヤ周方向で向き合っており、
    前記横溝は、溝底面が隆起したタイバーを含み、
    前記タイバーは、前記タイバーのタイヤ周方向の両側それぞれにおいて、最も前記タイバーに近い前記深さ変化サイプの前記基部とタイヤ周方向で向き合い、かつ、最も前記タイバーに近い前記深さ変化サイプの前記浅底部とタイヤ周方向で向き合っておらず、
    前記縦溝は、センター主溝と、前記センター主溝のタイヤ軸方向外側に設けられたミドル主溝とを含み、
    前記ミドル主溝は、タイヤ軸方向外側に凸の第1コーナ部と、タイヤ軸方向内側に凸の第2コーナ部とがタイヤ周方向に交互に設けられたジグザグ状であり、
    前記横溝は、前記各第1コーナ部から前記センター主溝までのびる複数のミドル横溝を含み、
    前記複数のミドル横溝は、互いに逆向きに傾斜した第1ミドル横溝と第2ミドル横溝とを含み、
    前記第1ミドル横溝と前記第2ミドル横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられており、
    前記ブロックは、前記センター主溝、前記ミドル主溝、並びに、前記第1ミドル横溝及び前記第2ミドル横溝で区分されたミドルブロックを含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記横溝のタイヤ周方向両側それぞれにおいて、最も前記横溝に近い前記深さ変化サイプは、前記浅底部が互いに向き合っている請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、タイヤ軸方向に波状でのびている請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ミドルブロックに設けられた前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離は、タイヤ軸方向で変化している請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記センター主溝は、タイヤ赤道の両側に一対設けられ、
    前記ブロックは、一対の前記センター主溝の間に区分されたセンターブロックを含み、
    前記センターブロックに設けられた前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離は、タイヤ軸方向で一定である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ミドルブロックは、前記第1深さ変化サイプと前記第2深さ変化サイプとの間のサイプ間周方向距離がタイヤ軸方向外側に向かって漸増する第1ブロックと、前記サイプ間周方向距離がタイヤ軸方向外側に向かって漸減する第2ブロックとをタイヤ周方向に交互に含む請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記第1深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の一方側の端部に設けられ、
    前記第2深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の他方側の端部に設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記第1深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の中央部に設けられ、
    前記第2深さ変化サイプは、前記浅底部が、サイプのタイヤ軸方向の両端部に設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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