JP6027500B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ドライ路面での操縦安定性能を維持しつつ、雪上性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
トレッド部に、タイヤ軸方向にのびる横溝やサイプが設けられた空気入りタイヤが提案されている。このような空気入りタイヤは、横溝及びサイプのエッジ成分により、雪上での走行性能(以下、「雪上性能」という)を向上させる。
しかしながら、上述のような横溝やサイプは、トレッド部の剛性を低下させ、ドライ路面での操縦安定性能を低下させるという問題があった。
下記特許文献1には、トレッド部の剛性の低下を抑制するために、ベルトプライのベルトコードの傾斜方向と、トレッド部の横溝の傾斜方向とを規定した空気入りタイヤが提案されている。
特開2012−136187号公報
しかしながら、上記特許文献1の空気入りタイヤは、雪上性能の向上については、さらなる改善の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ドライ路面での操縦安定性能を維持しつつ、雪上性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記一対のショルダー主溝の間でタイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター主溝とが設けられることにより、前記トレッド部が、前記一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、前記一対のショルダー主溝と前記1本のセンター主溝との間の一対のミドル陸部と区分された空気入りタイヤであって、
前記ミドル陸部の踏面には、前記ショルダー主溝からタイヤ周方向に対する角度を漸減させつつタイヤ軸方向内側にのびるミドル横溝のみが設けられ、前記ミドル横溝には、該ミドル横溝に沿ってのびかつ前記ミドル横溝の溝底部で開口する溝底サイプが設けられ、前記ミドル横溝は、前記センター主溝までのびる第1ミドル横溝と、前記ミドル陸部内で終端する第2ミドル横溝とを含み、前記第1ミドル横溝と前記第2ミドル横溝とは、互いに交わることなくタイヤ周方向に交互に設けられていることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ミドル横溝の溝深さd3は、0.6〜1.5mmであり、前記ミドル横溝の溝深さd3と、前記ミドル横溝の溝底部から前記溝底サイプの溝底までのタイヤ半径方向の距離である前記溝底サイプの深さd4との比d3/d4は、0.33〜0.37であるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ショルダー主溝の溝深さd1及び前記センター主溝の溝深さd2は、それぞれ、5mmよりも大きく、前記ミドル横溝の溝深さd3と前記溝底サイプの深さd4との合計は、4.0mm以下であるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度は、40〜60°であるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記ミドル横溝の溝幅は、1.3〜3.0mmであるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記溝底サイプの幅は、0.4〜1.0mmであるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記ミドル陸部の実際の接地面積Srと、前記ミドル陸部に設けられた全ての溝を埋めた状態で測定される前記ミドル陸部の仮想接地面積Svとの比Sr/Svが、0.80〜0.90であるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅W8と、前記ミドル陸部のタイヤ軸方向の幅W3との比W8/W3は、1.6〜2.0であるのが望ましい。また、本発明の空気入りタイヤにおいて、前記溝底サイプは、前記ショルダー主溝に連通することなく前記ミドル陸部内で途切れているのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、ショルダー主溝とセンター主溝との間の一対のミドル陸部とが区分されている。
ミドル陸部には、ショルダー主溝からタイヤ周方向に対する角度を漸減させつつタイヤ軸方向内側にのびるミドル横溝が設けられている。このようなミドル横溝は、大きな接地圧が負荷するミドル陸部のタイヤ軸方向内側において、ミドル陸部のタイヤ周方向剛性の低下を抑制する。このため、ドライ路面での操縦安定性能が維持される。また、ミドル横溝は、ミドル陸部のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびるエッジ成分を増加させる。このため、とりわけ雪路での横滑りが抑制され、雪上性能が向上する。
ミドル横溝には、ミドル横溝に沿ってのびかつミドル横溝の溝底部で開口する溝底サイプが設けられている。このような溝底サイプは、雪路走行時、ミドル横溝内で圧縮された雪内の水分を効果的に吸収する。従って、ミドル陸部の踏面と路面との間での水膜の発生が抑制され、雪上性能が向上する。また、このような溝底サイプは、例えば、雪路走行時、ミドル横溝をより大きく開口させて溝容積を増加させる。従って、雪上性能が向上する。さらに、ミドル陸部の接地時の変形により、ミドル横溝のエッジ及び溝底サイプのエッジ両方を路面に接触させることができる。従って、氷雪路での性能がさらに向上する。
本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図1のA−A断面図である 図1のミドル陸部の拡大図である。 図3のB−B断面図である。 走行時のミドル横溝を示す説明図である。 図1のショルダー陸部の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1のトレッド部2の展開図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、例えば、乗用車用のラジアルタイヤとして好適に使用される。
図1に示されているように、タイヤ1のトレッド部2には、一対のショルダー主溝3、3と、その間のセンター主溝4とが設けられている。
ショルダー主溝3は、最もトレッド接地端Te側でタイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態のショルダー主溝3は、略一定の溝幅を有し、直線状である。ショルダー主溝3は、波状又はジグザグ状でも良い。
「トレッド接地端Te」は、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
「正規状態」は、タイヤが正規リム(図示せず)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
センター主溝4は、ショルダー主溝3よりもタイヤ軸方向内側に設けられている。センター主溝4は、タイヤ周方向に連続してのびている。センター主溝4は、略一定の溝幅を有し、直線状である。本実施形態のセンター主溝4は、1本からなり、タイヤ赤道C上に設けられている。センター主溝4は、例えば、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向両側に2本設けられても良い。
ショルダー主溝3の溝幅W1及びセンター主溝4の溝幅W2は、例えば、トレッド接地幅TWの2.5〜4.5%である。このようなショルダー主溝3及びセンター主溝4は、トレッド部2の剛性を維持しつつ、優れたウェット性能を発揮する。トレッド接地幅TWは、前記正規状態のタイヤ1のトレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。
図2には、図1のA−A断面図が示されている。図2に示されているように、ショルダー主溝3の溝深さd1及びセンター主溝4の溝深さd2は、例えば、5〜10mmであるのが望ましい。
図1に示されているように、トレッド部2には、一対のミドル陸部5、5と、一対のショルダー陸部6、6とが区分されている。
図3には、ミドル陸部5の拡大図が示されている。図3に示されているように、ミドル陸部5は、ショルダー主溝3とセンター主溝4との間に設けられている。
ミドル陸部5のタイヤ軸方向の幅W3は、好ましくはトレッド接地幅TW(図1に示す)の0.10倍以上、より好ましくは0.12倍以上であり、好ましくは0.16倍以下、より好ましくは0.14倍以下である。このようなミドル陸部5は、ドライ路面での操縦安定性能と雪上性能とを両立させる。
ミドル陸部5には、ミドル横溝10が複数本設けられている。各ミドル横溝10は、タイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜している。
ミドル横溝10は、ショルダー主溝3からタイヤ周方向に対する角度θ1を漸減させつつタイヤ軸方向内側bに向かってのびている。
このようなミドル横溝10は、大きな接地圧が作用するミドル陸部5のタイヤ軸方向内側bにおいて、ミドル陸部5のタイヤ周方向剛性の低下を抑制する。このため、ドライ路面での操縦安定性能が維持される。また、ミドル横溝10は、ミドル陸部5のタイヤ軸方向内側bでタイヤ周方向にのびるエッジ成分を増加させる。このため、タイヤ軸方向に対して優れたエッジ効果を発揮し、とりわけ雪路での横滑りが抑制され、雪上性能が向上する。
ミドル横溝10のタイヤ周方向に対する角度θ1は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。前記角度θ1が小さい場合、ミドル陸部5のタイヤ軸方向の剛性が低下して、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。逆に、前記角度θ1が大きい場合、タイヤ周方向のエッジ成分が低下し、雪上性能が低下するおそれがある。
ミドル横溝10には、溝底サイプ15が設けられている。溝底サイプ15は、ミドル横溝10に沿ってのびている。
図4には、図3のミドル横溝10のB−B断面図が示されている。図4に示されているように、溝底サイプ15は、ミドル横溝10の溝底部10dで開口している。このような溝底サイプ15は、雪路走行時、ミドル横溝10内で圧縮された雪内の水分を効果的に吸収する。従って、ミドル陸部5の踏面5sと路面との間での水膜の発生が抑制され、雪上性能が向上する。また、このような溝底サイプ15は、例えば、雪路走行時、ミドル横溝10をより大きく開口させて溝容積を増加させる。従って、雪上性能が向上する。
図5には、タイヤ1が矢印aの向きに駆動力が作用して走行しているときのミドル横溝10の断面図が示されている。図5に示されているように、ミドル陸部5の接地時の変形により、ミドル横溝10のエッジ10e及び溝底サイプ15のエッジ15eの両方を路面Gに接触させることができる。従って、氷雪路での性能がさらに向上する。
図4に示されているように、ミドル横溝10の溝幅W4は、好ましくは1.3mm以上、より好ましくは1.6mm以上であり、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.7mm以下である。ミドル横溝10の溝幅W4が小さい場合、走行時、溝底サイプ15のエッジ15eが路面に接触しないおそれがある。逆に、ミドル横溝10の溝幅W4が大きい場合、ミドル陸部5の剛性が低下して、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
ミドル横溝10の溝深さd3は、好ましくは0.6mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。ミドル横溝10の溝深さd3が小さい場合、ミドル横溝10の溝容積が低下し、雪上性能が低下するおそれがある。逆に、ミドル横溝10の溝深さd3が大きい場合、溝底サイプ15のエッジ15eが路面に接触しないおそれがある。
このため、溝底サイプの幅W5は、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.6mm以上であり、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。溝底サイプ15の幅W5が小さい場合、雪路走行時、ミドル横溝10内で圧縮された雪内の水分が吸収されないおそれがある。逆に、溝底サイプ15の幅W5が大きい場合、ミドル陸部5の剛性が低下して、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
同様の観点から、溝底サイプ15の深さd4は、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは2.8mmであり、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.2mm以下である。溝底サイプの深さd4は、ミドル横溝10の溝底部10dから溝底サイプ15の溝底15dまでのタイヤ半径方向の距離である。
ミドル横溝10の溝深さd3と溝底サイプ15の深さd4との比d3/d4は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.33以上であり、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.37以下である。このようなミドル横溝10及び溝底サイプ15は、ミドル陸部5の剛性を維持しつつ、優れた雪上性能を発揮する。
図3に示されているように、ミドル横溝10は、例えば、第1ミドル横溝11と、第2ミドル横溝12とを含む。第1ミドル横溝11は、ショルダー主溝3からセンター主溝4までのびている。第2ミドル横溝12は、ショルダー主溝3からタイヤ軸方向内側に向かってのび、ミドル陸部5内で終端している。このような第1ミドル横溝11及び第2ミドル横溝12は、大きい接地圧が作用するミドル陸部5のタイヤ軸方向内側の剛性を維持しつつ、エッジ成分を増加させる。これにより、ドライ路面での操縦安定性能が向上する。
ミドル陸部5の実際の接地面積Srと、ミドル陸部5に設けられた全ての溝を埋めた状態で測定されるミドル陸部5の仮想接地面積Svとの比Sr/Svは、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.83以上である。前記比Sr/Svが0.80より小さい場合、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。前記比Sr/Svは、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.87以下である。前記比Sr/Svが0.90より大きい場合、ウェット性能及び雪上性能が低下するおそれがある。
図6には、ショルダー陸部6の拡大図が示されている。図6に示されているように、ショルダー陸部6は、ショルダー主溝3のタイヤ軸方向外側に設けられている。
ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W8と、ミドル陸部のタイヤ軸方向の幅W3との比W8/W3は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.9以下である。このようなショルダー陸部6は、タイヤ軸方向の幅が十分に確保され、ドライ路面での操縦安定性能を向上させる。
ショルダー副溝20は、タイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態のショルダー副溝20は、略一定の溝幅を有し、直線状である。ショルダー副溝20は、波状又はジグザグ状でも良い。
ショルダー副溝20は、ショルダー主溝3よりも小さい溝幅W6を有する。このようなショルダー副溝20は、ショルダー陸部6の剛性を維持しつつ、エッジ成分を増加させる。ショルダー副溝20の溝幅W6は、好ましくはショルダー主溝3の溝幅W1の0.35倍以上、より好ましくは0.40倍以上であり、好ましくは0.55倍以下、より好ましくは0.50倍以下である。ショルダー副溝20の溝幅W6がショルダー主溝3の溝幅W1の0.35倍より小さい以下の場合、ウェット性能が低下するおそれがある。逆に、ショルダー副溝20の溝幅W6が、前記溝幅W1の0.55倍より大きい場合、ショルダー陸部6の剛性が低下し、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
同様の観点から、図2に示されているように、ショルダー副溝20の溝深さd5は、好ましくはショルダー主溝3の溝深さd1の0.37倍以上、より好ましくは0.42倍以上であり、好ましくは0.57倍以下、より好ましくは0.52倍以下である。
図6に示されているように、上述のようなショルダー副溝20が設けられることにより、ショルダー陸部6は、主部21と、副部22とに区分されている。
副部22は、ショルダー主溝3とショルダー副溝20との間に設けられている。副部22は、幅が0.5〜1.5mmのサイプよりも大きい溝幅を持つ溝が設けられていないリブである。副部22は、略一定の幅で直線状にのびている。
副部22のタイヤ軸方向の幅W7と、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W8との比W7/W8は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.18以上であり、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.27以下である。前記比W7/W8が小さい場合、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向内側の剛性が低下し、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。逆に、前記比W7/W8が大きい場合、ショルダー副溝20のエッジ効果が小さくなるおそれがある。
主部21は、ショルダー副溝20のタイヤ軸方向外側に設けられている。主部21には、ショルダーラグ溝30とショルダーサイプ26とが複数本設けられている。
ショルダーラグ溝30は、トレッド接地端Teからタイヤ軸方向内側に向かってのびている。ショルダーラグ溝30は、ショルダー副溝20に連通することなく終端している。このようなショルダーラグ溝30は、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向内側の剛性を維持しつつ、雪路走行時の排雪性能を向上させる。従って、ドライ路面での操縦安定性能が維持されつつ、雪上性能が向上する。
ショルダーラグ溝30は、第1部分31と第2部分32とを含んでいる。ショルダーラグ溝30の第1部分31は、タイヤ軸方向に対して平行にのびている。ショルダーラグ溝30の第2部分32は、第1部分31のタイヤ軸方向内側に連なり、タイヤ軸方向に対するショルダーラグ溝30の角度θ2を漸増させつつタイヤ軸方向内側にのびている。このようなショルダーラグ溝30は、第1部分31によってワンダリング性能を維持し、かつ、第2部分32によってタイヤ周方向のエッジ成分を増加させ、雪上での横滑りを効果的に抑制する。
ショルダーラグ溝30の溝幅W9は、好ましくはショルダー主溝3の溝幅W1の0.45倍以上、より好ましくは0.48倍以上であり、好ましくは0.55倍以下、より好ましくは0.52倍以下である。ショルダーラグ溝30の溝幅W9がショルダー主溝3の溝幅W1の0.45倍より小さい場合、ワンダリング性能が低下するおそれがある。逆に、ショルダーラグ溝30の溝幅W9がショルダー主溝3の溝幅W1の0.55倍より大きい場合、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
同様の観点から、図2に示されているように、ショルダーラグ溝30の溝深さd6は、好ましくはショルダー主溝3の溝深さd1の0.80倍以上、より好ましくは0.83倍以上であり、好ましくは0.90倍以下、より好ましくは0.87倍以下である。
図6に示されているように、ショルダーラグ溝30のタイヤ軸方向の長さL1とショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W8との比L1/W8は、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.44以上であり、好ましくは0.56以下、より好ましくは0.52以下である。前記比L1/W8が0.40より小さい場合、ワンダリング性能が低下するおそれがある。逆に、前記比L1/W8が0.56より大きい場合、ショルダー陸部6の剛性が低下し、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
ショルダーサイプ26は、第1ショルダーサイプ27と第2ショルダーサイプ28とを含んでいる。
第1ショルダーサイプ27は、タイヤ周方向で隣り合うショルダーラグ溝30、30の間に設けられている。第1ショルダーサイプ27は、ショルダーラグ溝30と略平行にのびている。第1ショルダーサイプ27は、両端27e、27eが主部21内で終端するクローズドタイプのサイプである。このような第1ショルダーサイプ27は、ショルダー陸部6の剛性を維持しつつ、エッジ成分を増加させる。このため、ドライ路面での操縦安定性能が維持されつつ、雪上性能が向上する。
第1ショルダーサイプ27とショルダーラグ溝30とは、タイヤ周方向に交互に設けられているのが望ましい。これにより、ショルダー陸部6の剛性分布が均一になり、ショルダー陸部6の偏摩耗が抑制される。
第2ショルダーサイプ28は、ショルダーラグ溝30のタイヤ軸方向の内端30iからショルダー主溝3までのびている。第2ショルダーサイプ28は、タイヤ軸方向に対してショルダーラグ溝30の第2部分32と同じ向きに傾斜している。また、第2ショルダーサイプ28は、タイヤ軸方向に対してミドル横溝10(図1に示す)と逆向きに傾斜している。このような第2ショルダーサイプ28は、ミドル横溝10と異なる方向にエッジ効果を発揮する。このため、雪上性能が向上する。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施される。
図1の基本パターンを有するサイズ185/60R15の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、溝底サイプを有しない空気入りタイヤが試作された。各テストタイヤのドライ路面での操縦安定性能及び雪上性能がテストされた。各タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:15×6J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:前輪駆動車、排気量1300cc
タイヤ装着位置:全輪
<ドライ路面での操縦安定性能>
乾燥したアスファルト路面からなるテストコースを前記テスト車両で走行したときの操縦安定性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性能が優れていることを示す。
<雪上性能>
前記テスト車両で雪上を走行したときの雪上性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性能が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
Figure 0006027500
Figure 0006027500
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、ドライ路面での操縦安定性能を維持しつつ、雪上性能が向上しているのが確認できた。
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
4 センター主溝
5 ミドル陸部
6 ショルダー陸部
10 ミドル横溝
15 溝底サイプ

Claims (9)

  1. トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記一対のショルダー主溝の間でタイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター主溝とが設けられることにより、前記トレッド部が、前記一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、前記一対のショルダー主溝と前記1本のセンター主溝との間の一対のミドル陸部と区分された空気入りタイヤであって、
    前記ミドル陸部の踏面には、前記ショルダー主溝からタイヤ周方向に対する角度を漸減させつつタイヤ軸方向内側にのびるミドル横溝のみが設けられ、
    前記ミドル横溝には、該ミドル横溝に沿ってのびかつ前記ミドル横溝の溝底部で開口する溝底サイプが設けられ、
    前記ミドル横溝は、前記センター主溝までのびる第1ミドル横溝と、前記ミドル陸部内で終端する第2ミドル横溝とを含み、
    前記第1ミドル横溝と前記第2ミドル横溝とは、互いに交わることなくタイヤ周方向に交互に設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ミドル横溝の溝深さd3は、0.6〜1.5mmであり、
    前記ミドル横溝の溝深さd3と、前記ミドル横溝の溝底部から前記溝底サイプの溝底までのタイヤ半径方向の距離である前記溝底サイプの深さd4との比d3/d4は、0.33〜0.37である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ショルダー主溝の溝深さd1及び前記センター主溝の溝深さd2は、それぞれ、5mmよりも大きく、
    前記ミドル横溝の溝深さd3と前記溝底サイプの深さd4との合計は、4.0mm以下である請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度は、40〜60°である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ミドル横溝の溝幅は、1.3〜3.0mmである請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記溝底サイプの幅は、0.4〜1.0mmである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ミドル陸部の実際の接地面積Srと、前記ミドル陸部に設けられた全ての溝を埋めた状態で測定される前記ミドル陸部の仮想接地面積Svとの比Sr/Svが、0.80〜0.90である請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅W8と、前記ミドル陸部のタイヤ軸方向の幅W3との比W8/W3は、1.6〜2.0である請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記溝底サイプは、前記ショルダー主溝に連通することなく前記ミドル陸部内で途切れている請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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