JP6312902B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、氷上性能を維持しつつ雪上性能を向上しうる空気入りタイヤに関する。
雪路での走行性能(以下、「雪上性能」という。)を向上させるために、タイヤ軸方向にのびる横溝が設けられた空気入りタイヤが提案されている。このような空気入りタイヤは、雪路走行時、路面の雪を横溝内で圧縮して雪柱を形成し、該雪柱をせん断するときの反力(以下、「雪柱せん断力」という。)で駆動力等を得る。
雪上性能と、氷上での走行性能(以下、「氷上性能」という。)とを両立するために、トレッド部のブロックに、タイヤ軸方向にのびる実質的に厚さを有していない切込状のサイプが設けられた空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このような空気入りタイヤは、横溝及びサイプのエッジ効果によって、氷上性能を向上させる。
特開2009−269500号公報
しかしながら、上記のような空気入りタイヤは、サイプによって陸部の剛性が低下する。このため、雪路走行時、横溝が雪を押し固める作用が低下し、雪柱せん断力が低下するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、陸部に踏面を凹ませたディンプルを設けることを基本として、氷上性能を維持しつつ雪上性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、前記一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間の一対のミドル陸部とが区分された空気入りタイヤであって、前記ショルダー陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本のショルダー横溝が設けられ、前記ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるミドル副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ミドル陸部と、タイヤ軸方向内側の第2ミドル陸部とに区分され、前記第1ミドル陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本の第1ミドル横溝が設けられ、前記ショルダー陸部及び前記第1ミドル陸部には、それぞれ、踏面内に表れる閉じたエッジを有しかつ該エッジで囲まれた領域が凹んでいるディンプルが設けられ、前記ディンプルは、前記ショルダー横溝又は前記第1ミドル横溝に隣接し、前記ディンプルのタイヤ周方向の長さL1は、前記ディンプルのタイヤ軸方向の幅W1よりも大きく、前記ディンプルの前記エッジは、長円状又は楕円状であることを特徴とする。
本発明は、トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、前記一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間の一対のミドル陸部とが区分された空気入りタイヤであって、前記ショルダー陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本のショルダー横溝が設けられ、前記ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるミドル副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ミドル陸部と、タイヤ軸方向内側の第2ミドル陸部とに区分され、前記第1ミドル陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本の第1ミドル横溝が設けられ、前記ショルダー陸部及び前記第1ミドル陸部には、それぞれ、踏面内に表れる閉じたエッジを有しかつ該エッジで囲まれた領域が凹んでいるディンプルが設けられ、前記ディンプルは、前記ショルダー横溝又は前記第1ミドル横溝に隣接し、前記ディンプルのタイヤ周方向の長さL1は、前記ディンプルのタイヤ軸方向の幅W1よりも大きく、前記1つのショルダー陸部に設けられた前記ディンプルの合計数Nsは、前記1つの第1ミドル陸部に設けられた前記ディンプルの合計数Nmよりも大きいことを特徴とする。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ディンプルの前記エッジは、長円状又は楕円状であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ショルダー横溝は、トレッド接地端から前記ショルダー主溝までのびており、前記第1ミドル横溝は、前記ショルダー主溝を介して前記ショルダー横溝と滑らかに連なっているのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ショルダー陸部は、複数本の前記ショルダー横溝で区分されたショルダーブロックが並ぶブロック列であり、前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向にのびるショルダー副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ショルダーブロック片と、タイヤ軸方向内側の第2ショルダーブロック片とに区分されているのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ1及び前記第1ミドル横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ2は、それぞれ、5〜25°であるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ディンプルの前記幅W1は、1.0〜2.5mmであるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ディンプルの前記長さL1は、3.0〜4.5mmであるのが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤは、前記ディンプルの深さd1は、0.5〜3.0mmであるのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、ショルダー主溝と前記センター主溝との間の一対のミドル陸部とが区分されている。
ショルダー陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本のショルダー横溝が設けられている。ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるミドル副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ミドル陸部と、タイヤ軸方向内側の第2ミドル陸部とに区分されている。第1ミドル陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本の第1ミドル横溝が設けられている。このようなショルダー横溝及び第1ミドル横溝は、氷路走行時にエッジ効果を発揮し、かつ、雪路走行時に大きな雪柱せん断力を発揮する。従って、氷上性能が維持されつつ、雪上性能が向上する。
ショルダー陸部及び第1ミドル陸部には、それぞれ、踏面内に表れる閉じたエッジを有しかつ該エッジで囲まれた領域が凹んでいるディンプルが設けられている。このようなディンプルは、エッジが横溝に連通しないため、陸部の剛性の低下を効果的に抑制する。さらに、このようなエッジは、多方向にエッジ効果を発揮する。従って、優れた氷上性能が発揮される。
ディンプルは、ショルダー横溝又は第1ミドル横溝に隣接している。ディンプルのタイヤ周方向の長さL1は、ディンプルのタイヤ軸方向の幅W1よりも大きい。このようなディンプルは、従来のサイプと比較して、陸部のタイヤ周方向の剛性を大きくし、横溝の溝壁のタイヤ周方向の変形を効果的に抑制する。このため、雪路走行時、横溝内で雪に作用する圧力が大きくなり、より強固な雪柱が形成される。従って、大きな雪柱せん断力が発揮され、優れた雪上性能が発揮される。
このため、本発明の空気入りタイヤは、氷上性能を維持しつつ、雪上性能を向上させることができる。
本実施形態の空気入りタイヤを示すトレッド部の展開図である。 図1のA−A断面図である。 図1のディンプルの拡大斜視図である。 図1のショルダー陸部の拡大図である。 図1のミドル陸部の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1のトレッド部2の展開図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、例えば、乗用車用の冬用タイヤとして好適に使用される。
図1に示されているように、タイヤ1のトレッド部2には、一対のショルダー主溝3、3と、その間のセンター主溝4とが設けられている。
ショルダー主溝3は、最もトレッド接地端Te側でタイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態のショルダー主溝3は、略一定の溝幅を有し、直線状である。ショルダー主溝3は、波状又はジグザグ状でも良い。
「トレッド接地端Te」は、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
「正規状態」は、タイヤが正規リム(図示せず)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
センター主溝4は、ショルダー主溝3よりもタイヤ軸方向内側に設けられている。センター主溝4は、タイヤ周方向に連続してのびている。センター主溝4は、略一定の溝幅を有し、直線状である。本実施形態のセンター主溝4は、1本からなり、タイヤ赤道C上に設けられている。センター主溝4は、例えば、タイヤ赤道Cの両側に設けられた一対のものでも良い。
ショルダー主溝3の溝幅W2及びセンター主溝4の溝幅W3は、例えば、トレッド接地幅TWの2.5〜4.5%である。このようなショルダー主溝3及びセンター主溝4は、トレッド部2の剛性を維持しつつ、優れたウェット性能を発揮する。トレッド接地幅TWは、前記正規状態のタイヤ1のトレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。
図2には、図1のA−A断面図が示されている。図2に示されているように、ショルダー主溝3の溝深さd2及びセンター主溝4の溝深さd3は、例えば、7.0〜12.0mmであるのが望ましい。
図1に示されているように、トレッド部2には、一対のショルダー陸部5、5と、一対のミドル陸部6、6とが区分されている。
ショルダー陸部5は、ショルダー主溝3よりもタイヤ軸方向外側に設けられている。ショルダー陸部5のタイヤ軸方向の幅W4は、例えば、トレッド接地幅TWの0.20〜0.30倍である。このようなショルダー陸部5は、氷上性能と雪上性能とを両立させる。
ショルダー陸部5は、複数本のショルダー横溝10で区分されたショルダーブロック14が並ぶブロック列である。各ショルダー横溝10は、トレッド接地端Teからショルダー主溝3までタイヤ軸方向にのびている。
ショルダー横溝10は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。ショルダー横溝10のタイヤ軸方向に対する角度θ1は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、好ましくは25°以下、より好ましくは20°以下である。このようなショルダー横溝10は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランス良くエッジ効果を発揮する。
ショルダー横溝10は、第1部分11と第2部分12とを含んでいる。ショルダー横溝10の第1部分11は、ショルダー主溝3に連なり、かつ、略一定の溝幅を有する。ショルダー横溝10の第2部分12は、第1部分11のタイヤ軸方向外側に段差8を介して連なり、第1部分11とはタイヤ周方向に位置ずれしている。このようなショルダー横溝10は、雪路での旋回時、大きな雪柱せん断力を発揮する。
ショルダー横溝10の溝幅W5は、例えば、ショルダー主溝3の溝幅W2の1.25〜1.35倍である。このようなショルダー横溝10は、氷上性能を維持しつつ、雪上性能を向上させる。
ミドル陸部6は、ショルダー主溝3とセンター主溝4との間に設けられている。ミドル陸部6のタイヤ軸方向の幅W6は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.15〜0.25倍である。このようなミドル陸部6は、氷上性能を維持しつつ、優れた雪上性能を発揮する。
ミドル陸部6には、ミドル副溝30が設けられている。ミドル副溝30は、タイヤ周方向に連続してのびている。ミドル副溝30の溝幅W7は、例えば、ショルダー主溝3の溝幅W2よりも小さい。ミドル副溝30の溝幅W7は、好ましくは、ショルダー主溝3の溝幅W2の0.50〜0.85倍である。
ミドル陸部6は、ミドル副溝30により、タイヤ軸方向外側の第1ミドル陸部31と、タイヤ軸方向内側の第2ミドル陸部32とに区分されている。
第1ミドル陸部31には、複数本の第1ミドル横溝34が設けられている。各第1ミドル横溝34は、ショルダー主溝3からミドル副溝30までタイヤ軸方向にのびている。
第1ミドル横溝34は、例えば、タイヤ軸方向に対して傾斜している。第1ミドル横溝34のタイヤ軸方向に対する角度θ2は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、好ましくは25°以下、より好ましくは20°以下である。このような第1ミドル横溝34は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランス良くエッジ効果を発揮する。
第1ミドル横溝34は、略一定の溝幅W8を有している。第1ミドル横溝34の溝幅W8は、例えば、ショルダー主溝3の溝幅W2の0.9〜1.0倍である。
第1ミドル横溝34は、例えば、ショルダー主溝3を介してショルダー横溝10と滑らかに連なっているのが望ましい。これにより、雪路走行時、ショルダー主溝3とショルダー横溝10及び第1ミドル横溝34との交差部9で、大きな雪柱が形成される。このため、雪柱せん断力が大きくなり、雪上性能が向上する。
ショルダー陸部5及び第1ミドル陸部31には、ディンプル20が設けられている。ディンプル20は、踏面内に表れる閉じたエッジ21を有する。ディンプル20は、エッジ21で囲まれた領域が凹んでいる。このようなディンプル20は、エッジ21が横溝に連通しないため、ショルダー陸部5及び第1ミドル陸部31の剛性の低下を効果的に抑制する。さらに、ディンプル20のエッジ21は、多方向にエッジ効果を発揮する。従って、優れた氷上性能が発揮される。
ディンプル20は、ショルダー横溝10又は第1ミドル横溝34に隣接している。「ディンプルが溝に隣接している」とは、ディンプルのエッジと該溝の溝縁との距離が、該溝の溝幅よりも小さく、かつ、該ディンプルと該溝との間にサイプ及び他の溝が設けられていないことを意味する。
図3には、ディンプル20の拡大斜視図が示されている。図3は、図1の破線で囲まれた領域aの拡大斜視図である。図3に示されているように、ディンプル20のタイヤ周方向の長さL1は、ディンプル20のタイヤ軸方向の幅W1よりも大きい。このようなディンプル20は、従来のサイプと比較して、陸部のタイヤ周方向の剛性を大きく保ち、横溝の溝壁のタイヤ周方向の変形を効果的に抑制する。このため、雪路走行時、横溝内で雪に作用する圧力が大きくなり、より強固な雪柱が形成される。従って、大きな雪柱せん断力が発揮され、優れた雪上性能が発揮される。
ディンプル20のタイヤ周方向の長さL1と、ディンプル20のタイヤ軸方向の幅W1との比L1/W1は、1よりも大であるが、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.3以上であり、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。前記比L1/W1が1.8より小さい場合、陸部のタイヤ周方向の剛性が低下し、上述した効果が得られないおそれがある。逆に、前記比L1/W1が4.0より大きい場合、陸部のタイヤ軸方向の剛性が低下して、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
ディンプル20のタイヤ周方向の長さL1は、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.5mm以上であり、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.0mm以下である。ディンプル20の前記長さL1が3.0mmより小さい場合、タイヤ周方向のエッジ成分が小さくなり、氷路での旋回性能が低下するおそれがある。逆に、ディンプル20の前記長さL1が4.5mmより大きい場合、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
ディンプル20のタイヤ軸方向の幅W1は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。このようなディンプル20は、陸部の剛性を維持しつつ、優れたエッジ効果を発揮する。
ディンプル20の深さd1は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。ディンプル20の深さd1が0.5mmより小さい場合、エッジ効果が得られず、氷上性能が低下するおそれがある。逆に、ディンプル20の深さd1が3.0mmより大きい場合、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。
本実施形態のディンプル20のエッジ21は、楕円状である。このようなディンプル20は、陸部のタイヤ周方向の変形を効果的に抑制する。ディンプル20のエッジ21は、長円状又は矩形状でもよい。このようなディンプル20のエッジ21は、タイヤ周方向のエッジ成分を増加させ、氷路での横滑りを効果的に抑制する。
図1に示されているように、1つ(1列)のショルダー陸部5に設けられたディンプル20の合計数Nsは、1つ(1列)のミドル陸部6に設けられたディンプル20の合計数Nmよりも大きいのが望ましい。これにより、ミドル陸部6の剛性が維持され、かつ、ショルダー陸部5エッジ成分が増加する。このため、ドライ路面での操縦安定性能が維持されつつ、優れた氷上性能が発揮される。
1つのショルダー陸部5に設けられたディンプル20の合計数Nsと、1つのミドル陸部6に設けられたディンプル20の合計数Nmとの比Ns/Nmは、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。これにより、ドライ路面での操縦安定性能と氷上性能とが、バランス良く向上する。
図4には、ショルダー陸部5の拡大図が示されている。図4に示されているように、各ショルダーブロック14には、1本のショルダー副溝13が設けられている。ショルダー副溝13は、タイヤ周方向にのびている。ショルダー副溝13は、略一定の溝幅を有し、直線状である。本実施形態のショルダー副溝13は、タイヤ周方向に対して5〜15°の角度θ3で傾斜している。
ショルダー副溝13の溝幅W11は、例えば、ショルダー主溝3の溝幅W2よりも小さい。ショルダー副溝13の溝幅W11は、好ましくはショルダー主溝3の溝幅W2の0.25倍以上、より好ましくは0.28倍以上であり、好ましくは0.35倍以下、より好ましくは0.32倍以下である。
図2に示されているように、ショルダー副溝13の溝深さd5は、例えば、ショルダー主溝3の溝深さd2及びショルダー横溝10の溝深さd4よりも小さい。ショルダー副溝13の溝深さd5は、好ましくは1.0〜2.0mmである。
図4に示されているように、各ショルダーブロック14は、ショルダー副溝13により、タイヤ軸方向外側の第1ショルダーブロック片15と、タイヤ軸方向内側の第2ショルダーブロック片16とに区分されている。
第1ショルダーブロック片15は、タイヤ周方向両側の端縁15e、15eが互いに平行にのびている略台形状である。
第1ショルダーブロック片15のタイヤ周方向の長さL2は、例えば、ショルダー陸部5のタイヤ軸方向の幅W4より小さい。第1ショルダーブロック片15の前記長さL2は、好ましくはショルダー陸部5のタイヤ軸方向の幅W4の0.55倍以上、より好ましくは0.60倍以上であり、好ましくは0.70倍以下、より好ましくは0.65倍以下である。このような第1ショルダーブロック片15は、ワンダリング性能を維持しつつ、氷上性能を向上させる。
第1ショルダーブロック片15には、第1ショルダーサイプ17が設けられている。第1ショルダーサイプ17は、波状又はジグザグ状である。第1ショルダーサイプ17は、タイヤ軸方向にのびる軸方向サイプ17aと、タイヤ周方向にのびる周方向サイプ17bとを含んでいる。
軸方向サイプ17aは、ショルダー副溝13に連通し、タイヤ軸方向外側にのびている。軸方向サイプ17aは、第1ショルダーブロック片15内で終端している。軸方向サイプ17aは、タイヤ周方向に複数本隔設されている。複数の軸方向サイプ17aは、互いに平行に設けられている。このような軸方向サイプ17aは、優れたエッジ効果を発揮し、かつ、第1ショルダーブロック片15のタイヤ軸方向外側の偏摩耗を抑制する。
周方向サイプ17bは、軸方向サイプ17aのタイヤ軸方向外側に設けられている。周方向サイプ17bは、両端が第1ショルダーブロック片15内で終端するクローズドタイプである。このような周方向サイプ17bは、ワンダリング性能を向上させ、かつ、第1ショルダーブロック片15の偏摩耗を抑制する。
第2ショルダーブロック片16は、略矩形状である。第2ショルダーブロック片16には、第2ショルダーサイプ18及び前記ディンプル20が設けられている。
第2ショルダーサイプ18は、ショルダー副溝13からショルダー主溝3までタイヤ軸方向にのびている。第2ショルダーサイプ18は、波状又はジグザグ状である。第2ショルダーサイプ18は、タイヤ周方向に複数本隔設されている。複数の第2ショルダーサイプ18は、互いに平行に設けられている。このような第2ショルダーサイプ18は、優れたウェット性能及び氷上性能を発揮する。
ショルダー陸部5に設けられたディンプル20は、タイヤ軸方向に複数個隔設されているのが望ましい。本実施形態のショルダー陸部5に設けられたディンプル20は、タイヤ軸方向に3個隔設されている。これにより、ショルダー陸部5のエッジ成分が増加し、氷上性能が向上する。
タイヤ軸方向で隣り合うディンプル20、20のタイヤ軸方向の間隔W10は、好ましくはディンプル20のタイヤ軸方向の幅W1の1.05倍以上、より好ましくは1.10倍以上であり、好ましくは1.20倍以下、より好ましくは1.15倍以下である。このようなディンプル20は、ショルダー横溝10の溝壁10wのタイヤ周方向の変形を効果的に抑制しつつ、エッジ効果を大きくする。
ショルダー陸部5に設けられたディンプル20の少なくとも1つは、ショルダー主溝3に隣接しているのが望ましい。このようなディンプル20は、サイプが設けられた場合と比較して、第2ショルダーブロック片16の角部16cの変形を効果的に抑制する。このため、雪路走行時、ショルダー主溝3とショルダー横溝10との交差部9aでより強固な雪柱が形成される。従って、雪柱せん断力が大きくなり、雪上性能が向上する。
図5には、第1ミドル陸部31及び第2ミドル陸部32の拡大図が示されている。図5に示されているように、第1ミドル陸部31は、第1ミドルブロック36がタイヤ周方向に隔設しているブロック列である。第1ミドルブロック36は、第1ミドル横溝34で区分されている。
第1ミドルブロック36は、タイヤ周方向両側の端縁36a、36aが互いに平行である略台形状である。
第1ミドルブロック36には、前記ディンプル20と、第1ミドルサイプ37とが設けられている。
ディンプル20は、ショルダー主溝3又はミドル副溝30に隣接して設けられているのが望ましい。これにより、第1ミドルブロック36の角部40の変形が抑制される。従って、雪路走行時、より強固な雪柱が形成され、雪上性能が向上する。
ディンプル20は、第1ミドルブロック36のタイヤ周方向にのびる端縁36cと、第1ミドルブロック36のタイヤ軸方向にのびる端縁36aとのなす角度θ4が鋭角となる角部40aに設けられているのが望ましい。これにより、前記角部40aと、前記角度θ4が鈍角となる角部40bとの摩耗の進行が均一となり、偏摩耗が抑制される。
第1ミドルサイプ37は、波状又はジグザグ状である。第1ミドルサイプ37は、ショルダー主溝3からミドル副溝30までタイヤ軸方向にのびている。第1ミドルサイプ37は、タイヤ周方向に複数本隔設されている。複数本の第1ミドルサイプ37は、互いに平行である。このような第1ミドルサイプ37は、優れた氷上性能を発揮する。
第2ミドル陸部32は、第2ミドルブロック38がタイヤ周方向に隔設されているブロック列である。第2ミドルブロック38は、第2ミドル横溝35で区分されている。
第2ミドル横溝35は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅W9が拡大しているのが望ましい。このような第2ミドル横溝35は、雪路での旋回時、タイヤ軸方向に大きな雪柱せん断力を発揮する。このため、雪上性能が向上する。
第2ミドル横溝35の溝幅W9は、好ましくはショルダー主溝3の溝幅W2の0.62倍以上、より好ましくは0.72倍以上であり、好ましくは0.88倍以下、より好ましくは0.78倍以下である。このような第2ミドル横溝35は、氷上性能を維持しつつ、優れた雪上性能を発揮する。
第2ミドル横溝35は、ミドル副溝30において第1ミドル横溝34とタイヤ周方向に位置ずれしているのが望ましい。このような第2ミドル横溝35は、ミドル陸部6の剛性の低下を抑制し、ドライ路面での操縦安定性能及び氷上性能を維持する。
第2ミドルブロック38には、第2ミドルサイプ39が設けられている。第2ミドルサイプ39は、波状又はジグザグ状である。第2ミドルサイプ39は、センター主溝4からミドル副溝30までタイヤ軸方向にのびている。第2ミドルサイプ39は、タイヤ周方向に複数本隔設されている。複数本の第2ミドルサイプ39は、互いに平行である。このような第2ミドルサイプ39は、ミドル陸部6のエッジ成分を増加させ、優れた氷上性能を発揮する。
本実施形態の冬用タイヤとしては、例えば、トレッドゴムとして、好ましくは40度以上、より好ましくは45度以上であり、好ましくは60度以下、より好ましくは53度以下のゴム組成物が好適に用いられる。トレッドゴムのゴム硬度が40度より小さい場合、ショルダー陸部5及びミドル陸部6の剛性が低下し、ドライ路面及び氷路での操縦安定性能が低下するおそれがある。逆に、トレッドゴムのゴム硬度が60度より大きい場合、ドライ路面でのグリップ力が低下するおそれがある。本明細書においてゴム硬度は、JIS−K6253に基づきデュロメータータイプAにより、23℃の環境下で測定したデュロメータA硬さを意味する。
同様の観点から、冬用タイヤとして、トレッド部2のランド比は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。トレッド部2のランド比が60%より小さい場合、トレッド部2の剛性が低下し、ドライ路面での操縦安定性能が低下するおそれがある。逆に、トレッド部2のランド比が70%より大きい場合、溝、サイプ及びディンプルが発揮するエッジ効果及び雪柱せん断力が小さくなり、氷上性能及び雪上性能が低下するおそれがある。ランド比は、全ての溝、サイプ及びディンプルを埋めた状態で測定されるトレッド部2の全接地面積に対する、実際のトレッド部の合計接地面積の割合である。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施される。
図1の基本パターンを有するサイズ195/65R15の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、ディンプルを有しない空気入りタイヤが試作された。各テストタイヤのドライ路面での操縦安定性能、氷上性能、及び、雪上性能がテストされた。各タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:15×6J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:前輪駆動車、排気量1500cc
タイヤ装着位置:全輪
<ドライ路面での操縦安定性能>
乾燥したアスファルト路面からなるテストコースを前記テスト車両で走行したときの操縦安定性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性能が優れていることを示す。
<氷上性能>
前記テスト車両を用いて、氷路からなるテストコースにおいて、40km/hで直進状態から急制動を行い、その制動距離が測定された。結果は、制動距離の逆数であり、比較例1を100とする指数で表示されている。結果は、数値が大きい程良好である。
<雪上性能>
前記テスト車両で雪上を走行したときの雪上性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、雪路での操縦安定性能が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
Figure 0006312902
Figure 0006312902
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、氷上性能が維持されつつ、雪上性能が向上しているのが確認できた。
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
4 センター主溝
5 ショルダー陸部
6 ミドル陸部
10 ショルダー横溝
30 ミドル副溝
31 第1ミドル陸部
32 第2ミドル陸部
34 第1ミドル横溝
20 ディンプル
21 エッジ

Claims (9)

  1. トレッド部に、最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、前記一対のショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部と、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間の一対のミドル陸部とが区分された空気入りタイヤであって、
    前記ショルダー陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本のショルダー横溝が設けられ、
    前記ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるミドル副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ミドル陸部と、タイヤ軸方向内側の第2ミドル陸部とに区分され、
    前記第1ミドル陸部は、タイヤ軸方向にのびる複数本の第1ミドル横溝が設けられ、
    前記ショルダー陸部及び前記第1ミドル陸部には、それぞれ、踏面内に表れる閉じたエッジを有しかつ該エッジで囲まれた領域が凹んでいるディンプルが設けられ、
    前記ディンプルは、前記ショルダー横溝又は前記第1ミドル横溝に隣接し、
    前記ディンプルのタイヤ周方向の長さL1は、前記ディンプルのタイヤ軸方向の幅W1よりも大きく、
    前記第1ミドル陸部は、前記ショルダー主溝、前記ミドル副溝、及び前記第1ミドル横溝により区分された第1ミドルブロックがタイヤ周方向に隔設されたブロック列であり、
    前記第1ミドルブロックは、平面視で四角形状であり、タイヤ周方向にのびる端縁と、タイヤ軸方向にのびる端縁とのなす角度が鋭角となる角部を対角上に有し、
    前記第1ミドルブロックは、前記対角上の前記角部にそれぞれ配された一対の前記ディンプルを有するブロックを含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ショルダー横溝は、トレッド接地端から前記ショルダー主溝までのびており、
    前記第1ミドル横溝は、前記ショルダー主溝を介して前記ショルダー横溝と滑らかに連なっている請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ディンプルの前記エッジは、長円状、楕円状、又は矩形状である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記1つのショルダー陸部に設けられた前記ディンプルの合計数Nsは、前記1つの第1ミドル陸部に設けられた前記ディンプルの合計数Nmよりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ショルダー陸部は、複数本の前記ショルダー横溝で区分されたショルダーブロックが並ぶブロック列であり、
    前記ショルダーブロックは、タイヤ周方向にのびるショルダー副溝により、タイヤ軸方向外側の第1ショルダーブロック片と、タイヤ軸方向内側の第2ショルダーブロック片とに区分されている請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ1及び前記第1ミドル横溝のタイヤ軸方向に対する角度θ2は、それぞれ、5〜25°である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ディンプルの前記幅W1は、1.0〜2.5mmである請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ディンプルの前記長さL1は、3.0〜4.5mmである請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ディンプルの深さd1は、0.5〜3.0mmである請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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