JP5506463B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、トレッド接地幅内の2本の周方向主溝間に、細溝により区画形成した複数の五角形以上の多角形状ブロックを少なくとも2列の縦列及び複数の横列に配置してなる多角形状ブロック群が設けられる空気入りタイヤに関する。
氷雪上路面、ウェット路面等に対する駆動、制動及び旋回性能を向上させるための空気入りタイヤの、従来から知られているトレッドパターンでは、図6に示すように、主溝や横溝をもって、ほぼ同一大の四角形状や三角形状をトレッド接地面内に均一に区画形成するブロックパターンを用いており、さらに、エッジ効果を用いて氷雪上性能を向上させるために、この区画形成されたブロック内にサイプを設けることが広く一般に行われている。
ここで、エッジ効果の向上のために上記のようにサイプを形成すると、サイプによって分割されたブロックが接地時に倒れ込みを生ずる場合があるため、通常、接地性を良くして氷雪上性能を確保するために、これら四角形状や三角形状のブロックは均一且つ比較的大きな接地面積で設計されている。
特開2008−56057号公報
しかし、このように比較的接地面積の大きいブロックパターンをトレッド接地面内に均一に配置すると、各ブロック全体としての剛性が高くなることから、タイヤ接地時に各ブロックに充分な柔軟性を持たせることが難しくなる。その結果、かかる構成のままでは、特に踏み込み又は蹴り出しの際に、ブロックに充分な路面追従性を持たせることが容易ではない。
一方で、近年、車両のさらなる性能向上を求める声が高まっており、氷雪上路面の走行を主たる目的とする冬用の空気入りタイヤに対しては、氷雪上性能を向上させるだけでなく、同時に、ブロックの路面追従性等の性能も充分に有するような、タイヤに必要な種々の性能をバランス良く兼ね備えることが要求されている。
かかる要求の下、本願発明者等が鋭意研究を重ねた結果、トレッド接地面内に従来のような四角形状や三角形状のブロックを設ける場合と比較して、ブロックを、五角形以上の多角形状で且つ比較的小さな接地面積で密集配置させた場合の方が、氷雪上性能を向上させることができるとともに、より良好なブロックの路面追従性を確保可能であることがわかった。このような多角形状のブロックとした場合、トータルエッジ長及びエッジ数が増加するともに、タイヤ負荷転動時に、各ブロックが、従来よりも柔軟に変形可能となるからである。
しかしながら、タイヤのトレッド部のうちのショルダー領域(トレッド部の幅方向外側領域)では、トレッド部表面が平坦な路面に押し付けられることで、ショルダー領域の径方向内側に位置するベルト層が強制的に引き伸ばされる。そしてトレッド部が路面から離れる際には、この強制的に引き伸ばされたベルト層が、元の形状に戻ろうとする。このようにタイヤ転動時、ショルダー領域においてブロックの形状変形が繰返される。そしてこの形状の変化によって、トレッド部を形成するブロックの中でも、特に、ショルダー領域に位置するブロック陸部において肩落ち摩耗やステップダウン摩耗が生じ易いことが知られている。
従って、上記の多角形状のブロックを単純にトレッド接地面内の全体に一律に配置してしまうと、複数の多角形状ブロックの中でも、特に、ショルダー領域に位置する多角形状ブロックに摩耗が生じてしまうことが懸念される。
また、複数の多角形状のブロックを密集配置させると、ブロックを区画形成するための溝幅が狭く、また溝線が直線状ではなく複雑に入り組んだ線状になる等の理由から、良好な排水性を維持することが難しくなる。従って、多角形状ブロックをトレッド接地面全体へ一律に配置することで、タイヤ全体の排水性の悪化も懸念される。
従ってこの発明は、氷雪上性能のさらなる向上とタイヤに必要な他の諸性能との両立を図るうえで、各性能を充分に発揮し、且つショルダー領域における偏摩耗が生じにくい、最適なトレッドパターン配置を有する空気入りタイヤを提供することを目的としている。
これに対して本願発明者らは、氷雪上性能、路面追従性、排水性等の種々の性能はいずれもタイヤの機能上重要な性能であるが、必要とされる各性能の重要度は、トレッド接地面において必ずしも一律ではなく、タイヤ負荷転動時のタイヤ設置方向や接地面の状況に応じて、トレッド接地面の領域ごとに異なるとの見地を得た。
そして、多角形状のブロックをトレッド接地面に一律に配置するだけではなく、上記事実及びトレッド接地面の領域ごとの特性を鑑みたうえで、タイヤ車両装着の際の使用目的に応じて、この多角形状のブロックをトレッド接地面内の最適な位置に配置することによって、タイヤ全体として、タイヤに必要な種々の性能をバランス良く兼ね備えたより有効なトレッドパターンを実現させようとする着想を得た。
すなわち、この発明に従う空気入りタイヤは、
トレッド接地幅内の2本の周方向主溝間に、細溝により区画形成した複数の五角形以上の多角形状ブロックであって、各々の実接地面積が50mm 〜250mm である多角形ブロックを少なくとも2列の縦列及び複数の横列に配置してなる多角形状ブロック群が設けられ、前記縦列は、隣接する縦列を構成する多角形状ブロック同士のタイヤ周方向における位相が相互に異なるように配置され、 前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心は、タイヤ赤道面を中心として前記トレッド接地幅の50%の幅を有する領域内に位置することを特徴とする空気入りタイヤである。
ここで「トレッド接地幅」とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格、例えばアメリカ合衆国ではThe Tire and Rim Association Inc.の“Year Book”、欧州ではThe European Tyre and Rim Technical Organisationの“Standard Manual”、日本では日本自動車協会の“JATMA Year Book”に記載の規格の適用サイズにおける標準リムにタイヤを組み付け、かかる規格の適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)及び最大荷重に対応する空気圧を適用した状態において、タイヤ表面が地面と接触する面の最大幅のことを言う。
また、ここで言う「実接地面積」とは、無負荷状態における多角形状ブロックの表面積のことをいい、「縦列」とは、周方向に所定の間隔で配置される多角形状ブロックからなる列のことを言う。この縦列はタイヤ幅方向に、少なくとも2列以上で複数列配置される。
多角形状ブロック同士を「タイヤ周方向に位相が異なるように」配置するとは、トレッド表面上に、縦列を構成する同一形状の複数の多角形状ブロックが、隣接する縦列を構成する個々の多角形状ブロックと周方向に相互にずれるように、千鳥状に配置される状態のことを言う。
「多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心」とは、多角形状ブロックが密集配置されている領域のタイヤ幅方向中央のことを言う。すなわち、多角形状ブロックが複数列配置されている場合には、タイヤ幅方向最外側に位置する2つの多角形状ブロックの、各々のタイヤ幅方向最外点を結ぶ線分の中心のことである。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、車両への装着の向きが定められており、車両装着時において、前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心は、車両内側となるトレッド半域内に在ること、又は、車両外側となるトレッド半域内に在ることが好ましい。
ここで、「車両への装着の向きが定められており」とは、タイヤの外面上に、使用者に対して、車両への装着の向きを示す文字、図形、模様等のインジケータが付されていることを言う。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、前記周方向主溝、幅方向横溝、前記細溝によって区画形成した側ブロックを周方向に複数個配置してなる側ブロック列が、前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向両側にそれぞれ一列ずつ設けられることが好ましい。
ここで言う「幅方向横溝」とは、幅方向最外側の多角形状ブロックの、幅方向外側に形成される周方向の細溝と、周方向主溝とに交差する横溝のことを言う。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、前記多角形状ブロック群及び前記側ブロック列のタイヤ幅方向長さは、前記トレッド接地幅の7.5%〜50%であることが好ましい。
ここで、「多角形状ブロック群及び側ブロック列のタイヤ幅方向長さ」とは、タイヤ幅方向断面において、側ブロックを区画形成する二本の周方向主溝の、各多角形状ブロック群側の点を結ぶ線分の長さのことを言う。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、前記多角形状ブロックを区画する前記細溝の深さは、前記周方向主溝の深さよりも小さいことが好ましい。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、前記多角形状ブロックは、前記多角形状ブロック群の基準ピッチ長さをPL(mm)、前記多角形状ブロック群の幅をGbW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅GbWとで区画される前記多角形状ブロック群の基準区域内に存在する前記多角形状ブロックの個数をa個、前記基準区域内のネガティブ率をN%とした場合、
S=a/(PL×GbW×(1−N/100))
で与えられる前記多角形状ブロック群の単位実接地面積当りのブロック個数密度Sは、0.003個/mm以上0.04個/mm以下の範囲内であることが好ましい。
ここで、「多角形状ブロック群の基準ピッチ長さ」とは、トレッド接地幅内に在る、多角形状ブロック群を構成する1つの縦列における多角形状ブロックの繰り返し模様の最小単位を指すものとし、例えば1つの多角形状ブロックとその多角形状ブロックを区画する溝によってパターンの繰り返し模様が規定されている場合は、多角形状ブロック1個分のタイヤ周方向長さとこの多角形状ブロックのタイヤ周方向に隣接する溝1個分のタイヤ周方向長さとを加算したものを、多角形状ブロックの基準ピッチ長さとする。
「多角形状ブロック群の幅」とは、トレッド接地幅内に在る、多角形状ブロック群のタイヤ幅方向の長さを指す。
多角形状ブロック群の「実接地面積」とは、多角形状ブロック群の基準区域内に在る全多角形状ブロックの総表面積を言うものとし、例えば、基準ピッチ長さPLと幅GbWとの積で規定される、上記基準区域の面積から個々の多角形状ブロックを区画している溝の面積を減算した面積を指す。
また、この発明に従う空気入りタイヤにおいては、前記周方向主溝の少なくとも一方は、溝内に底上げブロックを有することが好ましい。
ここで「底上げブロック」とは溝内に形成されるブロックであって、幅方向の一方側が側ブロックと連結しており、側ブロックよりもブロック高さが低いブロックのことを言う。
この発明によれば、使用状態に応じてトレッド接地面の領域ごとの特性を考慮することで、氷雪上性能だけでなく他の種々のタイヤ性能も備え、さらにショルダー領域における偏摩耗が発生し難い、最適なトレッドパターン配置を有する空気入りタイヤを提供することができる。
(a)は、この発明に従う空気入りタイヤの一実施形態のトレッドパターンを示した部分展開図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した図である。 (a)はタイヤ装着時におけるネガティブキャンバーの状態を示す図であり、(b)は、(a)の装着状態における、この発明に従う空気入りタイヤのトレッドパターンの一実施形態を示した部分展開図である。 (a)はタイヤ装着時におけるネガティブキャンバーの状態を示す図であり、(b)は、(a)の装着状態における、この発明に従う空気入りタイヤのトレッドパターンの一実施形態を示した部分展開図である。 周方向主溝内に設けられる底上げブロックを示す図であり、図2(b)の線P−Pに沿って切断した矢視図である。 比較例タイヤのトレッドパターンを示す図である。 従来からのタイヤのトレッドパターンを示す図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は、この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のトレッドパターンを示した部分展開図である。なお、図中、上下方向がトレッド周方向を示し、左右方向(赤道面Cに直交する方向)がトレッド幅方向を示している。
そして、図1に示されるように、タイヤ1のトレッド接地端2、2の間のトレッド領域の一部に、第1の細溝3a及び第2の細溝3bにより区画形成した、複数の五角形以上の多角形状のブロック4(以下、単に「多角形状ブロック」という)を互いに密集させてなる多角形状ブロック群Gbが配置されている。
ここで、第1の細溝3aとは、多角形状ブロック間の略幅方向の溝のことを言い、第2の細溝3bとはこの第1の細溝3aに交差する溝のことを言う。これらの溝は、隣接する多角形状ブロック同士が相互に完全に拘束されることがなく、各ブロックが個々に可動となる程度の幅を有しており、好ましくは、0.7mm〜3mmの幅である。
この実施形態のタイヤにあっては、上記のように、多角形状ブロック群Gbに十分なネガティブ率を確保しつつ多角形状ブロック4を密集配置する構成を採用したことから、それぞれのブロックのトータルエッジ長さ及びエッジ方向(異なる方向に向いたエッジの数)を増大させ、優れたエッジ効果を発揮させることができる。これにより、氷雪上性能の向上を図ることができる。また、サイプではなく溝によってブロックを区画形成することで、ブロックが密集配置しつつも個々のブロックが独立に可動となり、接地時に柔軟に変形することができるので、トレッドの接地性が向上し、結果として氷雪上性能をより効果的に向上させることができる。
また多角形状ブロック4は、周方向に所定の間隔に配置してなる縦列がタイヤ幅方向に複数列、好ましくは少なくとも2列以上配置されている。また、隣接する縦列を形成する多角形状ブロック4、4同士は、タイヤ周方向に位相が異なるようにして配置されている。すなわち、多角形状ブロック4は、タイヤ周方向に千鳥状(スタッガード格子状)に配置されている。
ここで、タイヤ周方向に位相が異なるとは、隣接する縦列を形成する隣接する多角形状ブロックの図心同士が、タイヤ幅方向において同一直線上に位置することがない状態のことを言う。例えば、図1に示す例では、多角形状ブロック列L1と、これに隣接する多角形状ブロック列L2を構成する多角形状ブロックの図心が、ブロック半個分ずつタイヤ周方向にずれた状態となる。従って、このようにブロック半個分ずつタイヤ周方向にずれ、ブロック列が複数列存在する場合には、トレッド表面に配置される複数の多角形状ブロックをタイヤ幅方向に関して着目すると、隔列毎(一列おき)の縦列を形成する多角形状ブロック同士が、タイヤ幅方向において同位相となる(つまり、図心が同一直線上に位置する)ように配置されることになる。
ただし、タイヤ周方向に位相が異なる縦列は、必ずしも上記のようにブロック半個分ずつ位置が相違する必要は無い。従って、図示はしていないが、位相が同じとなる多角形状ブロックは、必ずしも隔列毎に縦列を形成するブロックではなく、複数列おきに縦列を形成するブロックであってもよい。
このように、多角形状ブロック群の多角形状ブロックをトレッド周方向に位相が異なるように配置することで、ブロックを密集配置させてトレッド面上のスペースを有効に利用することができるので、タイヤ転動時に、より多くの多角形状ブロックの形成下で、各々のブロックのエッジを逐次作用させて、一層優れたエッジ効果を発揮させることができる。また、このように位相をずらして配置すれば、トレッド幅方向に隣接するブロックの相互間で、路面への接地タイミングをずらすことができるので、パターンノイズを低減させることもできる。
なお、このタイヤ1の多角形状ブロック群Gbにおいて、各々の実接地面積が50mm〜250mmである、比較的小さなブロックとすることが肝要である。
比較的小さなブロックとすれば、ブロック剛性が低くなるので、ブロックの柔軟性が高まり、トレッドの接地性が向上して、特に氷雪上性能(ブレーキ、トラクション、コーナリング等)性能の向上を図ることができるからである。しかも、比較的小さなブロックとすることによって、ブロックの中央域からブロック周縁までの距離を小さくすることができるので、多角形状ブロック4による水膜の除去効果を向上させることもできる。従って、この実施形態のタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、多角形状ブロック4による効率的な水膜の除去とを実現することにより、氷雪上性能を飛躍的に向上させることができる。
ここで50mm〜250mmの範囲とするのは、50mmよりも小さくしてしまうと、ブロック表面積に対してブロックの高さが高く(すなわち溝が深く)なり、ブロックの曲げ剛性の低下により倒れ込みが生じ、ドライ性能/ウェット性能/氷上性能/雪上性能のハンドリングが悪化してしまうからである。また、250mmよりも大きくしてしまうと、上述のように、比較的小さなブロックにすることによって氷雪上性能の向上を図ることができないからである。また、個々のブロックを大きくしてしまうと、ウェット路面走行時に、多角形状ブロックによる排水抵抗が大きくなってしまい、ハイドロプレーニング性能が悪化してしまうからである。
また、このタイヤ1の多角形状ブロック群Gbにおいて、多角形状ブロックの基準ピッチ長さをPL(mm)、該多角形状ブロック群Gbの幅をGbW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅GbWとで区画される、該多角形状ブロック群Gbの基準区域Z(図1(a)の斜線領域)内に存在する多角形状ブロック4の個数をa個、基準区域Z内のネガティブ率をN%としたとき、
S=a/(PL×GbW×(1−N/100))
で与えられる、該多角形状ブロック群Gbの単位実接地面積当りのブロック個数密度Sが、0.003個/mm以上0.04個/mm以下の範囲内にあることが好ましい。
多角形状ブロックの個数密度Sが0.003個/mm未満の場合は、サイプの形成なしには、高いエッジ効果の実現が難しく、一方、多角形状ブロックの個数密度Sが0.04個/mmを超えると多角形状ブロックが小さくなり過ぎて、所望のブロック剛性の実現が難しいからである。
ここで、基準区域Z内に在るブロックの個数aをカウントするに際して、ブロックが基準区域Zの内外に跨って存在し、1個として数えることができない場合は、ブロックの表面積に対する、基準区域内に残ったブロックの残存面積の比率を用いて数えることとする。例えば、基準区域Zの内外に跨り、基準区域Z内にその半分しか存在しないブロックの場合は、1/2個と数えることができる。
また、上記数式において、「基準ピッチ長さ」とは、多角形状ブロック群Gbを構成する1つのブロック縦列における多角形状ブロックの繰り返し模様の最小単位を指すものとし、例えば1つの多角形状ブロック4をその多角形状ブロック4を区画する第1の細溝3a、第2の細溝3bによってパターンの繰り返し模様が規定されている場合は、多角形状ブロック1個分のタイヤ周方向長さとこの多角形状ブロックのタイヤ周方向に隣接する第1の細溝3a1本分のタイヤ周方向長さとを加算したものが基準ピッチ長さとなる。
また、多角形状ブロック群Gbの「実接地面積」とは、多角形状ブロック群Gbの基準区域内に在る全多角形状ブロックの総表面積を言うものとし、例えば、基準ピッチ長さPLと多角形状ブロック群の幅GbWとの積で規定される上記基準区域の面積から、個々の多角形状ブロック4を区画している第1の細溝3a及び第2の細溝3bの面積を減算した面積から求めることができる。
さらに、タイヤ1のトレッド接地端2、2の間のトレッド領域内において、上記のように形成される多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向両側に、周方向主溝5、6と、幅方向横溝7、8と、第1及び第2の細溝3a、3bとによって区画形成したブロック(以下、「側ブロック9」という)が、周方向に配置されている。
この側ブロック9は、多角形状ブロック群Gbと周方向主溝5、6の間に、それぞれ一列ずつ側ブロック列SB、SBとして配置される。そして、図1で示す例のように、側ブロック9の多角形状ブロック群Gb側のブロック形状は、多角形状ブロック4の形状に合わせてジグザグ状に形成されているが、周方向主溝5、6側のブロック形状は、溝が直線状になるように、直線部を有するように形成されるのが好ましい。
周方向主溝を直線状に形成することで、排水性を高めることができることに加え、氷雪上での直進安定性を向上させることができるからである。一方で、多角形状ブロック群Gb側では多角形状ブロック4の形状に合わせて溝を形成することで、多角形状ブロック4と側ブロック9の間にも、多角形状ブロック4の周囲の溝(すなわち、細溝3a及び3b)と同形状同幅の溝を確保することができるので、側ブロックに隣接する多角形状ブロックにおいても、他の多角形状ブロックと同様の効果を得ることができるからである。
また、この側ブロック9は、多角形状ブロック4に比べて接地面積が大きくなるように形成される。
タイヤ負荷時には、コーナリングやリムからの荷重負荷によってショルダー側のブロックの倒れ込みが生じ、タイヤ幅方向外側から内側に向かって力が掛かることで、トレッド中央部のブロックにも負荷が掛かることが考えられる。この際に、上記の通り多角形状ブロック群Gbを囲うようにして周方向に形成される側ブロック9の接地面積を大きくしてブロックの剛性を高くすれば、この側ブロック9がタイヤ幅方向外側から掛かる力を吸収するので、側ブロック9よりもトレッド中央部寄りに位置する多角形状ブロック4に対して幅方向外側から掛かる力を、抑制することができる。その結果、この側ブロック9、9の間に位置する多角形状ブロック4を良好な状態で接地させることができるので、上述のような氷雪上性能を効果的に発揮することができるからである。
また、多角形状ブロック群Gbを挟んでタイヤ方向に両サイドに位置する側ブロック9、9は、一方の側ブロックの実接地面積と、反対側のブロックの実接地面積が異なることが好ましい。
上述のように、タイヤ負荷時には、コーナリングやリムからの荷重負荷によってショルダー側のブロックの倒れ込みが生じ、タイヤ幅方向外側に位置するブロックほど、タイヤ幅方向外側から内側に向かう力を受けやすい。従って、多角形状ブロック群Gbを挟む両側ブロックのうち、タイヤ幅方向外側に位置する側ブロックの実接地面積を大きくすることが好ましい。側ブロックのブロック剛性を高めることで、タイヤ幅方向内側に位置する多角形状ブロックへの横力負荷を軽減させることができるからである。タイヤ幅方向内側に位置する(反対側の)側ブロックの実接地面積は、タイヤ幅方向外側に位置する側ブロックの実接地面積よりも小さくすることが好ましい。多角形状ブロックの両側とも大きなブロックを配置してしまうと、これら大きなブロック間に挟まれた多角形状ブロックが柔軟に可動することができず、上述の氷雪上性能等の効果を充分に発揮させることができなくなってしまう。従って、一方の側ブロックを小さくすることでブロックのエッジ成分が増加させ、隣接する多角形状ブロックと同様に、氷雪上トラクション性能やブレーキ性能を向上させることができるからである。
また、側ブロックを区画形成する、側ブロック間の幅方向横溝は、1mm〜8mmであることが好ましい。そして、上記のようにタイヤ幅方向の側ブロックの実接地面積が異なる場合、ブロック面積が大きい側ブロック間に形成する幅方向横溝の数を少なくして、その分、幅方向横溝の溝幅を、ブロック面積が小さい側ブロック間に形成する幅方向横溝よりも大きくするのが好ましい。図1に示す例では、ブロック面積が大きい側ブロック間に形成する幅方向横溝8を、ブロック面積が小さい側ブロック間に形成する幅方向横溝7よりも大きく形成している。具体的には、ブロック面積が大きい方の側ブロック間の幅方向横溝は、3mm〜8mmにするのが良い。溝体積を確保して、雪上でのトラクションブレーキ性能を向上させることができるからである。一方、ブロック面積が小さい方の側ブロック間の幅方向横溝は、1mm〜5mmにするのが良い。溝幅を小さくして、ブロック面積が小さいほうの側ブロックのブロック剛性を高めることができるからである。このように、幅方向横溝の溝幅は、タイヤの目標性能に応じて、適宜変更させることができる。
なお、多角形状ブロック及び側ブロックには、図1に示すように、サイプを形成するのが好ましい。サイプを形成することによって、各ブロック中央領域での除水効果を高めると共に、各ブロックのエッジ効果を利用して氷雪上性能を向上させることができる。また、トレッドの柔軟性が上がるため、接地性を向上させることができるからである。但し、かかるサイプは必ずしも形成する必要はなく、必要に応じて適宜形成してもよい。サイプを形成しないことによって、各ブロック剛性を高めてブロックを倒れ難くすることができるからである。
そして、本発明に従う空気入りタイヤでは、図1に示すように、多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向中心GbCが、タイヤ赤道面Cを中心としてトレッド接地幅TW(トレッド接地端2、2間のトレッド幅)の50%の幅を有するトレッド接地幅TWh内に位置している。すなわち、多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向中心GbCは、トレッド中心から左右のトレッド域に対して各々トレッド接地幅の25%の幅領域内に位置することになり、多角形状ブロック群Gbは、トレッド中心寄りに位置することになる。
既述の通り、トレッド部のうちショルダー領域において偏摩耗が生じ易いが、偏摩耗発生のメカニズムについて簡単に説明する。
タイヤに荷重を負荷した際にリムから踏面に対して垂直方向の力が加わるが、この垂直方向の力は、ビード部、サイドウォール部を経た後、ショルダー領域を介して略タイヤ幅方向内側に向かって、トレッド部中央への横力として伝達される。この横力が伝達されると、トレッド部のブロックは幅方向内側向きの力を受けることになり、トレッド部のブロックの中でも、タイヤ幅方向外側に位置する路面近傍のブロック(すなわちショルダー領域のブロック)で、最もせん断変形が生じることになる。また、荷重負荷時だけでなくコーナリング時においても、タイヤ幅方向外側に位置するショルダー領域のブロック、特に接地端から近い領域に位置するブロックが最も変形を生じやすい。
従って本発明のように、多角形状ブロック群をショルダー領域ではなくトレッド中心寄りに配置することで、多角形状ブロックが横力から受ける影響を低減させることができ、氷雪上性能や路面追従性等の独自の機能を効果的に発揮させることが可能となる。換言すれば、せん断変形の影響を受け易いショルダー領域内には多角形状ブロックを配置していないので、多角形状ブロックは、横力等の影響で摩耗し難い。従って、多角形状ブロックの形状を、長期に亘って良好な状態で維持することができる。
そしてまた、トレッド部の中心であるタイヤ赤道面Cは、路面に対して垂直に走行する場合もコーナリング等の傾斜角を有する場合も、路面と接触する確率が高い領域内に含まれる。従って、多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向中心GbCがタイヤ赤道面Cを中心としてトレッド接地幅TWの50%の幅を有する領域内に位置する構成とすれば、多角形状ブロック群Gbはタイヤ赤道面C寄りに配置されることになるので、トレッド中央領域における氷雪上性能や路面追従性等を効果的に発揮することができる。
またここで、空気入りタイヤでは一般に、ネガティブキャンバー又はポジティブキャンバー等、キャンバー角を有するように車両設定をした場合や、タイヤ使用中の荷重の変化や経時変化によってキャンバー角を有する状態で使用する場合、車両の装着内側と装着外側とでは、トレッドの路面への接地頻度やトレッド部への負荷が異なる。
すなわち、ネガティブキャンバーの場合には、車両装着内側となるトレッド部が路面に強く接地し、車両装着外側となるトレッド部では逆に路面から浮き上がる傾向にある。反対にポジティブキャンバーの場合には、車両装着外側となるトレッド部が路面に強く接地し、車両装着内側となるトレッド部では逆に路面から浮き上がる傾向にある。
そこで、本発明に従う空気入りタイヤでは、図1に示すように、多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向中心GbCが、トレッド半域のどちらか一方の領域内のみに存在することが好ましい。すなわち、多角形状ブロック群Gbは、トレッド接地面内においてタイヤ赤道面Cに関してタイヤ幅方向長さが非対称となるように配置されるのが好ましい。具体的に言えば図1において、トレッド接地幅TWを有するトレッド領域を、赤道面Cを境界線として紙面に対して左右に分割した場合に、多角形状ブロック群Gbのタイヤ幅方向中心GbCが、左側の半域又は右側の半域のどちらか一方の半域内に配置されるのが好ましい。
車両がキャンバー角を有する場合には、車両装着内側又は外側のどちらか一方側の半域のトレッド部が路面と多く接することになる。従って、走行時の方向や状況に応じて、多角形状ブロック4を路面と多く接する側のトレッド半域内に配置することで、このトレッド半域におけるエッジ数を増加させることができ、またブロックが独立に可動となるので、氷雪上性能や路面追従性をさらに向上させることが可能となるからである。その一方で、他のトレッド領域においては通常のブロックパターンを配置する等することで、タイヤに必要な他の性能(例えばトレッド接地性やハイドロプレーニング性能)を良好な状態で維持することが可能となるからである。
すなわち、キャンバー角の存在を無視して多角形状ブロック群を単純にトレッド面上に設けてしまうと、せっかく多角形状ブロックを配置しても、走行時に路面との接地頻度が低い領域にブロックを配置してしまった場合、氷雪上性能等を向上させるという多角形状ブロックの効果を有効に利用することができない。
また逆に、路面への接地頻度が低いトレッド領域にまで多角形状ブロックを密集させてしまうと、タイヤ全体としての剛性が低くなって、全体の接地性を良好に維持できない可能性がある。また、入り組んだ形である多角形状ブロックを全体に多く配置し過ぎてしまうと、排水性が不利となって、ハイドロプレーニング性能を良好に維持できない可能性がある。
従って、トレッドの各領域に対して要求される性能に応じて、各々が異なる性能を有するブロックを選択して配置することによって、種々のタイヤ性能を兼ね備えた、全体としてさらに良好な空気入りタイヤを提供することが可能となるのである。
具体的には、図2(b)に示す通り、矢印に示す方向が車両内側となるように車両装着の向きが定められているネガティブキャンバーの場合には、車両装着の内側となるトレッド部の領域面に多角形状ブロック群Gbを配置する。
ネガティブキャンバーの下では、タイヤ赤道面Cよりも装着内側の領域が、路面との接地直下領域になる。接地領域が車両幅方向の比較的内側に位置する場合、特に走行中の直進時の性能に影響を与えることになるが、このように、多角形状ブロック群が接地領域に在れば、前述のような氷雪上性能、路面追従性等を有する多角形状ブロックの機能によって、直進時における氷雪上でのブレーキ/トラクション性能を向上させることができる。
また逆に、図3(b)に示す通り、矢印に示す方向が車両内側となるように車両装着の向きが定められているポジティブキャンバーの場合には、車両装着の外側となるトレッド部の領域面に、多角形状ブロック群Gbを配置する。
ポジティブキャンバーの下では、タイヤ赤道面Cよりも装着外側の領域が、路面との接地直下領域になる。接地領域が車両幅方向の比較的外側に位置する場合、特に走行中のコーナリング時の性能に影響を与えることになるが、このように、多角形状ブロック群が接地領域に在れば、前述のようにエッジ成分を多く有することによる氷雪上性能を向上させることができる。また、接地性能等を有する多角形状ブロックの機能によって、コーナリング時における、特にハンドリング性能を向上させることができる。
また、多角形状ブロック群Gbと側ブロック列SBのタイヤ幅方向長さW、すなわち、側ブロック9、9を画定する2本の周方向主溝5、6の間のタイヤ幅方向長さは、トレッド接地幅TWの7.5〜50%であり、より好ましくは15〜40%である。
前述のように、多角形状ブロック4を設けると氷雪上性能を有利に向上させることができるため、多角形状ブロック群Gbの領域は広い方が良い。一方で、多角形状ブロック4は五角形以上の入り組んだ形状をしているため、これらをトレッド全体に密集配置させてしまうと、排水性が悪化して、ハイドロプレーニング性能が悪化してしまう可能性がある。
従って、上記事実を考慮し、氷雪上性能及びハイドロプレーニング性能の両性能をバランス良く維持するためには、多角形状ブロック群Gb及び側ブロック列SBをトレッド接地幅TWの7.5〜50%の範囲に配置するのが好適である。トレッド接地幅TWの7.5%未満としてしまうと、氷雪上性能を効果的に向上させることができないからであり、トレッド接地幅TWの50%よりも長くしてしまうと、ハイドロプレーニング性能を良好に確保することができないからである。この事は、多角形状ブロック群Gb及び側ブロック列SBをトレッド接地幅TWの15〜40%の範囲に配置した場合、さらに効果的である。
また、多角形状ブロック4を区画する第1の細溝3a及び第2の細溝3bの溝深さは、側ブロック9、9を区画する周方向主溝5、6の溝深さよりも小さくなるように構成することが好ましい。
多角形状ブロック4は比較的接地面積が小さいため、側ブロック9の剛性と比較すると、多角形状ブロック4の剛性は低くなる。そこで、多角形状ブロック4を区画する第1の細溝3a及び第2の細溝3bの溝深さを周方向主溝5、6の溝深さよりも小さく形成することで、少しでも多角形状ブロック4の剛性を高めて、走行安定性を向上させることができるからである。その結果、多角形状ブロック4の接地性も安定するので、多角形状ブロックによる氷雪上性能をより効果的に機能させることができる。このように、当該第1の細溝3a及び第2の細溝3bの溝深さを小さくすることで、主にドライ性能/ウェット性能/氷上性能/雪上性能のハンドリング性能と、氷上のブレーキ性能/偏摩耗性能を向上させることができるのである。
また、側ブロック9、9を区画する周方向主溝5、6には、図4に示すように、溝内に底上げブロック(グルービング)10を設けることが好ましい。図4は、図2(b)の線P−Pに沿って切断した矢視図である。この実施形態では、周方向主溝5に底上げブロック10を設けるとともに、底上げブロック10内に略タイヤ幅方向に延びるポケット10aを形成されている。かかる構成とすれば、主溝内にもブロックエッジが形成されるので、特に雪上性能を向上させることができる。また、主溝の開口部は充分な溝幅を有するので、ハイドロプレーニング性能を悪化させることがない。なお、この底上げブロックは、どちらか一方の周方向主溝(5又は6)に設けても、両方の周方向主溝(5及び6)に設けてもよい。
次に、この発明に従う実施例タイヤ、従来技術に従う従来例タイヤをそれぞれ試作して、氷上性能及び雪上性能についての性能評価を行った。また、実施例タイヤにおける、ショルダー領域での偏摩耗の評価も行ったので、これらを以下に説明する。
実施例タイヤは、サイズが195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤの、図1に示す多角形状ブロック群及び側ブロック列を設けたタイヤである。このタイヤでは、トレッド部の一部に、溝により区画形成した、独立した複数のブロックを密集させてなるブロック群を有する。各ブロックの表面輪郭形状は、略正八角形であり、各部のサイズは以下の通りとした。
周方向主溝:(図1の紙面左から)5mm、12mm、7mm
周方向主溝の溝深さ:9mm
多角形状ブロックの周方向長さ(BL):13.0mm
多角形状ブロックの幅方向長さ(BW):15.6mm
トレッド周方向に隣接する多角形状ブロック間距離(BGL):3.4mm
トレッド幅方向に隣接する多角形状ブロック間距離(BGW):9.5mm
多角形状ブロックの高さ(BH):7mm
基準ピッチ長(PL):32.9mm
多角形状ブロック群及び側ブロック列の幅:52.1mm
多角形状ブロック群の接地幅対比の割合:32%
側ブロック(中央側)長さ:14.9mm
側ブロック(外側)長さ:28.8mm
多角形状ブロック面積:154mm
多角形状ブロック群の幅方向中心位置:タイヤ赤道面より車両装着内側に17.5mm(タイヤ半幅の中心位置はタイヤ赤道面より40mm)
まず、この実施例タイヤを、多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心が、車両内側となるように車両に装着し、氷上ブレーキ/トラクション性能、雪上ブレーキ/トラクション性能の性能評価を行った。
次に、上記と同一の実施例タイヤを、今度は多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心が車両外側となるように車両に装着し、氷上コーナリング/ブレーキ性能、雪上コーナリング/ブレーキ性能の性能評価を行った。
一方、従来例タイヤは、図6に示すトレッドパターンを有するタイヤであり、周方向主溝の幅は、タイヤ幅方向外側の両主溝を5mm、タイヤ幅方向内側の主溝を9.5mmとした。他の構成は、実施例タイヤに準ずるものとした。
Figure 0005506463
上記はそれぞれ、氷上ブレーキは氷板路面のテストコースを速度20km/h〜フル制動したときの制動距離の計測値の指数を、氷上トラクションは氷板路面のテストコースでの発進から加速までのタイム計測値の指数を、氷上コーナリングは氷板路面のテストコースにおける制動性、発進性、直進性、コーナリング性の総合フィーリング評価の計測値の指数を示している。また、雪上ブレーキは圧雪路面のテストコースを速度40km/h〜フル制動したときの制動距離の計測値の指数を、雪上トラクションは圧雪路面のテストコースを初速10km/h〜45km/hまで加速した際の区間タイムの計測値の指数を、雪上コーナリングは圧雪路面のテストコースにおける制動性、発進性、直進性、コーナリング性の総合フィーリング評価の計測値の指数を示している。
表1中の評価は、従来例タイヤを指数100とし、数値が大きくなるほど、氷上性能又は雪上性能が向上していることを示す。
表1の結果から、多角形状ブロック群及び側ブロック列をトレッド面の一部に設けた実施例タイヤは、実施例1のように多角形状ブロック群及び側ブロック列を車両装着時内側に設けた場合には、従来例タイヤに対し、特に氷雪上ブレーキ/トラクション性能が、実施例2のように車両装着時外側に設けた場合には、従来例タイヤに対し、特に氷雪上ブレーキ/コーナリング性能が優れていることがわかった。
さらに、上記の諸条件の下で測定した後の実施例タイヤについて、ショルダー領域における偏摩耗発生の有無を、目視によって評価した。評価の結果、実施例1及び実施例2ともに、実施例タイヤのショルダー領域における偏摩耗は確認されなかった。
また比較のために、図5のように多角形状ブロックを、装着時に車両内側となるショルダー領域に配置させたタイヤ(以下、比較例タイヤと呼ぶ)を用意し、ショルダー領域における偏摩耗性を評価した。偏摩耗性の評価は、ドライ状態の一般道を各種走行モードで5000km走行した際のブロック間の段差摩耗量の測定により行い、測定値は、実施例タイヤを100として指数で示した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0005506463
この結果、比較例タイヤでは、ショルダー領域におけるブロックで偏摩耗の発生が確認された。
なお、トレッド接地幅内に配置される多角形状ブロック4の表面輪郭形状は、五角形以上の多角形状であるのが好ましい。この形状とすることで、タイヤ表面の接地面積を十分に確保することができるからである。また、個々の多角形状ブロックを独立に可動としつつ、隣接するブロック同士で、ブロックの倒れ込みを相互に支え合うことができるからである。
さらに好ましくは、多角形状ブロック4の表面輪郭形状は、図1に示すような略正八角形である。角数が小さすぎると、ブロックが多方向に倒れ込むことができず、柔軟性に乏しいからである。また八角形以上の多角形とすると、一辺が短くなりすぎて、倒れ込み時に隣接するブロックと接する面が小さくなり、支え合いが困難になるからである。従って、表面輪郭形状を略正八角形とした場合、ブロックが多方向に倒れ込み、隣接するブロックと十分に支え合うことができる。なお、表面輪郭形状が正八角形の場合、多角形状ブロック4を区画する第1の細溝3aは、接地時に隣接するブロック同士で溝が閉塞しない程度に、周方向距離を有することが好ましい。またこれに対し、第1の細溝3aと交差し赤道面に対して傾斜する第2の細溝3bは、接地時に溝が閉塞する程度に、隣接するブロック同士が近接して形成されていることが好ましい。
但し、本発明の多角形状ブロックの表面輪郭形状は、必ずしも上記の形状に限定されるわけではない。このように溝によって区画形成がされ、且つ、個々の多角形状ブロックが隣接する多角形状ブロックに拘束されることなく、接地時に柔軟性を有することができるように、自由に独立して動くことが可能であればよい。
また、上記で示した実施例における多角形状ブロック及び側ブロック等の配置及び形状等は例示に過ぎず、他の形態も実施可能である。ここで示したブロック列の数やブロック数、形状、大きさ等は、いずれもこの発明に従うタイヤを説明するための一実施例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更可能である点に留意されたい。
この発明によって、タイヤ車両装着の際の使用目的及び状況に応じてブロック形状やブロック配置を構成することで、種々のタイヤ性能を確保したまま氷雪上性能を向上させるとともに、ショルダー領域における偏摩耗の発生を防ぐことが可能となった。
1 タイヤ
2 接地端
3a、3b 細溝
4 多角形状ブロック
5、6 周方向主溝
7、8 幅方向横溝
9 側ブロック
10 底上げブロック
W 多角形状ブロック群Gbと側ブロック列SBのタイヤ幅方向長さ
C 赤道面
Gb 多角形状ブロック群
GbC 多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心
GbW 多角形状ブロック群のタイヤ幅方向長さ
SB 側ブロック列
TW トレッド接地幅
TWh トレッド接地幅TWの50%幅

Claims (8)

  1. トレッド接地幅内の2本の周方向主溝間に、細溝により区画形成した複数の五角形以上の多角形状ブロックであって、各々の実接地面積が50mm 〜250mm である多角形ブロックを少なくとも2列の縦列及び複数の横列に配置してなる多角形状ブロック群が設けられ、前記縦列は、隣接する縦列を構成する多角形状ブロック同士のタイヤ周方向における位相が相互に異なるように配置され、
    前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心は、タイヤ赤道面を中心として前記トレッド接地幅の50%の幅を有する領域内に位置することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 車両への装着の向きが定められており、車両装着時において、前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心は、車両内側となるトレッド半域内に在ることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 車両への装着の向きが定められており、車両装着時において、前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向中心は、車両外側となるトレッド半域内に在ることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記周方向主溝、幅方向横溝、前記細溝によって区画形成した側ブロックを周方向に複数個配置してなる側ブロック列が、前記多角形状ブロック群のタイヤ幅方向両側にそれぞれ一列ずつ設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記多角形状ブロック群及び前記側ブロック列のタイヤ幅方向長さは、前記トレッド接地幅の7.5%〜50%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記多角形状ブロックを区画する前記細溝の深さは、前記周方向主溝の深さよりも小さいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記多角形状ブロックは、前記多角形状ブロック群の基準ピッチ長さをPL(mm)、前記多角形状ブロック群の幅をGbW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅GbWとで区画される前記多角形状ブロック群の基準区域内に存在する前記多角形状ブロックの個数をa個、前記基準区域内のネガティブ率をN%とした場合、
    S=a/(PL×GbW×(1−N/100))
    で与えられる前記多角形状ブロック群の単位実接地面積当りのブロック個数密度Sは、0.003個/mm 以上0.04個/mm 以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記周方向主溝の少なくとも一方は、溝内に底上げブロックを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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