JP5368786B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、トレッド部に、溝により区画してなるブロックを備える空気入りタイヤに関し、より具体的には、氷上性能の飛躍的な向上をもたらす技術を提案するものである。
従来、空気入りタイヤでは、エッジ効果を高めることによって、氷上性能等を向上させることを目的に、図4に示すように、トレッド部100に、トレッド周方向に延びる縦溝101やトレッド幅方向に延びる横溝102をもってブロック103を区画形成するとともに、形成されたブロック103内に複数のサイプ104を付加することが広く一般に行われている。そして、このような従来の空気入りタイヤでは、より高い駆動、制動及び旋回性能の要求の下で、ブロック103内に多数のサイプ104を配設するため、また特に氷上性能を大きな接地面積の確保によって向上させるために、トレッド踏面内のブロック列数を3から9列と少なくするとともに各ブロック103をトレッド周方向に長い縦長の形状としていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−192914号公報
しかしながら、上記のような従来の空気入りタイヤでは、サイプ104によって区画された分割ブロック部分103aが横長となって剛性が低くなり過ぎて、接地時に分割ブロック部分103aの倒れ込みが生じ接地性が悪化してしまうことから、近年の車両性能の向上に見合った十分な氷上性能を得ることが難しかった。また、ブロック103一つ一つの大きさが大きく、ブロック103の中央域においてはサイプ104の形成のみでは、氷上でのブレーキの際に氷面とタイヤとの間の水膜を十分除去することができず、このことからも氷上性能を飛躍的に向上させることは困難であった。
それゆえ、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、トレッドパターンの適正化を図ることにより、氷上性能を飛躍的に向上させることにある。
前記の目的を達成するため、この発明の空気入りタイヤは、溝により区画された複数の独立した小ブロックが相互に密集配置されてなる小ブロック群が、トレッド部の少なくとも一部に設けられ、該小ブロック群の小ブロックによりトレッド周方向に延びるブロック列が複数形成された空気入りタイヤであって、前記小ブロック群における小ブロックの基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群の基準区域内に存在する前記小ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(PL×W×(1−N/100))で与えられる、該小ブロック群の単位実接地面積当りの小ブロック個数密度Dは0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にあり、前記小ブロックは、相互に対向するとともに同一方向に直線状に延びる2つの直線部と、これら2つの直線部の間にそれぞれ延びるとともに小ブロックの外側に向けて凸に湾曲する2つの曲線部とを持つトレッド表面輪郭形状を有し、かつ相互に合同に形成されていることを特徴とするものである。
ここで、「小ブロックの基準ピッチ長さ」とは、小ブロック群を構成する1つのブロック列における小ブロックの繰り返し模様の最小単位を指すものとし、例えば1つの小ブロックとその小ブロックを区画する溝によってパターンの繰り返し模様が規定されている場合は、小ブロック1個分のトレッド周方向長さとこの小ブロックのトレッド周方向に隣接する溝1本分のトレッド周方向長さとを加算したものが小ブロックの基準ピッチ長さとなる。また、「小ブロック群の幅」とは、小ブロックを密集配置してなる小ブロック群のトレッド幅方向長さを指し、例えば小ブロック群がトレッド全体に存在する場合は、トレッド接地幅を指すものとする。さらに、小ブロック群の「実接地面積」とは、小ブロック群の基準区域内に在る全小ブロックの総表面積をいうものとし、言い換えれば、基準ピッチ長さPLと幅Wとの積で規定される、上記基準区域の面積から個々の小ブロックを区画している溝の面積を減算した面積を指すものである。しかも、小ブロックの「直線部」とは、全体として直線状に延在するものを指し、すなわちその途中に凹凸等が形成されているものも直線部に含むものとする。
この発明の空気入りタイヤにあっては、溝により区画された小ブロックを相互に密集して配置したことから、陸部のトータルエッジ長さが増大し、サイプよりも高いエッジ効果が得られる。また、小ブロック一つあたりの表面積が小さいことからブロック一つ一つの接地性が向上する。さらに小ブロックの中央域からブロック周縁までの距離が小さいので、小ブロックの中央域での水膜はブロック接地時に効率的に除去される。また、この発明の空気入りタイヤにあっては、各小ブロックを合同な形状に形成したことから、小ブロックの配置範囲での接地圧をほぼ均一にでき接地性を向上させることができる。
さらに、小ブロックに相互に対向するとともに同一方向に直線状に延びる2つの直線部を設けたことから、氷上性能に有効なエッジを形成することができる。ここで、これらの直線部をトレッド幅方向に平行又は略平行に設定すれば、特に氷上でのブレーキ・トラクション性能に有効になる。一方、これらの直線部をトレッド周方向に平行又は略平行に設定すれば、トレッド幅方向の力の入力に有効なエッジを得ることができ、氷上での操縦安定性を高めることが可能となる。また、この発明では、2つの直線部間に小ブロックの外側に向けて凸に湾曲する曲線部を設けたことから、ウェット路面走行時における小ブロック周辺の排水の流れを円滑にし排水性能をさらに高めることができる。しかも、このように直線部と小ブロックの外側に凸に湾曲した曲線部とを組み合わせることにより、これらの直線部と曲線部で形成される角部を鈍角化して当該角部付近の剛性を高めることができ、氷上性能及び操縦安定性をより一層向上させることができる。
従って、この発明の空気入りタイヤによれば、上記作用が相まって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜、排水の除去を実現することができ、氷上性能を飛躍的に向上させることができる。
なお、小ブロック群はトレッド全体に設けると氷上性能に対してより有効であるが、限られた領域に適用することで操縦安定性や耐偏摩耗性等の他性能とのバランスを図ることができる。
さらに、この発明の空気入りタイヤにあっては、小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されていることが好ましい。
さらに、この発明の空気入りタイヤにあっては、小ブロックは、少なくとも1本のサイプを有することが好ましい。なおここでいう「サイプ」とは、少なくとも小ブロックの表面を2つ以上のブロック片に区分することができる細い切り込みであって、接地時に閉じることが可能なものを指す。
しかも、この発明の空気入りタイヤにあっては、直線部に凹凸を形成してなることが好ましい。
この発明の空気入りタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜、排水の除去を実現することにより氷上性能を顕著に向上させることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は、この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のトレッドパターンを示した部分展開図である。なお、図中、上下方向がトレッド周方向を示し、左右方向(赤道面Eに直交する方向)がトレッド幅方向を示している。
この実施形態のタイヤは、図示を省略するが、左右一対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスと、このカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置したベルトと、このベルトのタイヤ径方向外側に配置したトレッド部とを具える慣例に従ったタイヤ構造を有し、トレッド部に図1に示したトレッドパターンを有するものである。
このタイヤは、図1に示すように、トレッド部1に、溝2により区画した、独立した複数の小ブロック3を互いに密集させてなる小ブロック群Gを有する。この実施形態では、小ブロック群Gは、トレッド部1の全体に存在する。小ブロック3は、トレッド周方向に沿って並べられて複数のブロック列をなす。小ブロック群の小ブロック3は、トレッド周方向に対して千鳥状に配置されている。
各小ブロック3は、その表面輪郭形状が、相互に対向するとともに同一方向に直線状に延びる2つの直線部3a、3aと、これら2つの直線部3a、3aの間にそれぞれ延びるとともに小ブロック3の外側に向けて凸に湾曲する2つの湾曲部3b、3bとからなるレーストラック形状である。なお、小ブロック3は、表面輪郭形状と同一の横断面形状を有する。すなわち、小ブロック3は、レーストラック状の一定の横断面積形状を有する柱状のブロックである。また、小ブロック群Gの小ブロック3は、相互に合同(表面輪郭形状及びその大きさについて同一)に形成されている。この実施形態では、小ブロック3の各直線部3aはそれぞれトレッド幅方向に対して平行に設定されている。
小ブロック3の個々の大きさは図4に示す従来のパターンに比べて小さく設定され、かつ小ブロック3の密集度は、図4に示す従来のパターンに比べて高く設定されている。小ブロック3の大きさを小さくすればするほど、また密集度を高くすればするほどエッジ効果及び除水効果を高めることができるが、その範囲は以下の通りである。すなわち、小ブロック群Gにおける小ブロック3の基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群Gの幅をW(mm)(この実施形態では、トレッド部1の全体に小ブロック3が配置されているので、トレッド接地幅TWと等しい。)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群Gの基準区域Z(図中斜線で示す領域)内に存在する小ブロック3の個数をa(個)、基準区域Z内のネガティブ率をN(%)としたとき、
Figure 0005368786
として表される、小ブロック群Gの単位実接地面積当りの小ブロック個数密度D(個/mm)が、0.003(個/mm)以上0.04(個/mm)以下である。小ブロック個数密度Dは、小ブロック3が配置された部分の実接地面積(溝分を除いた面積)中の単位面積(mm)当りに何個の小ブロック3があるかということを密度として表現したものである。ちなみに、通常のスタッドレスタイヤの場合には、この密度Dは概ね0.002以下となる。なお、小ブロック群Gの基準区域Z内の小ブロック3の個数aをカウントするに際して、小ブロック3が基準区域Zの内外に跨って存在し、1個として数えることができない場合は、小ブロック3の表面積に対する、基準区域内に残った小ブロック3の残存面積の比率を用いて数えることとする。例えば、図1に符号B1で示すブロックのように、基準区域Zの内外に跨り、基準区域Z内にその半分しか存在しないブロックの場合は、1/2個と数えることができる。
小ブロック群Gにおける小ブロック3の個数密度Dが0.003(個/mm)未満の場合は、サイプの形成なしには、高いエッジ効果の実現が難しく、一方、小ブロック3の個数密度Dが0.04(個/mm)を超えると小ブロック3が小さくなり過ぎて所要のブロック剛性の実現が難しい。また、小ブロック群Gにおける小ブロック3の個数密度Dを、0.0035〜0.03個/mmの範囲内とすれば、小ブロック3の剛性とエッジ効果との両立をより高い次元で達成することができる。
この実施形態のタイヤにあっては、溝2により区画された小ブロック3を相互に密集して配置したことから、陸部のトータルエッジ長さが増大し、従来のサイプよりも高いエッジ効果が得られる。また、小ブロック3の一つあたりの表面積が小さいことからブロック一つ一つの接地性が向上する。さらに小ブロック3の中央域からブロック周縁までの距離が小さいので、小ブロック3の中央域での水膜はブロック接地時に効率的に除去される。また、この実施形態のタイヤにあっては、各小ブロック3を合同な形状に形成したことから、小ブロック3の配置範囲での接地圧をほぼ均一にでき接地性を向上させることができる。さらに、小ブロック3に相互に対向するとともに同一方向に直線状にそれぞれ延びる2つの直線部3a、3aを設けたことから、氷上性能に有効なエッジを形成することができる。これらの直線部3a、3aはトレッド幅方向に平行に設定されているので、特に氷上でのブレーキ・トラクション性能に有効になる。また、小ブロック3の2つの直線部3a、3a間に小ブロック3の外側に向けて凸に湾曲する曲線部3b、3bを設けたことから、ウェット路面走行時における小ブロック周辺の排水の流れを円滑にし排水性能をさらに高めることができる。しかも、このように直線部3aと小ブロック3の外側に凸に湾曲した曲線部3bとを組み合わせることにより、これらの直線部3aと曲線部3bで形成される角部3cを鈍角化して当該角部3c付近の剛性を高めることができ、氷上性能及び操縦安定性をより一層向上させることができる。
従って、この実施形態のタイヤによれば、上記作用が相まって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロック3による効率的な水膜、排水の除去を実現することができるので、氷上性能を飛躍的に向上させることが可能となる。
また、この実施形態のタイヤによれば、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置したことから、タイヤ転動時に、より多くの小ブロック3の形成下で、それぞれのエッジを逐次作用させることができるので、エッジ効果をより一層効果的に発揮させることが可能となる。また、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置することで、トレッド幅方向に隣接する小ブロック3の相互間で路面への接地タイミングをずらすことができ、パターンノイズをも低減させることもできる。さらに、このように小ブロック3を千鳥状に配置することにより、小ブロック3の高い密集配置を容易に実現することができる。また、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置するとともに、小ブロック個数密度Dを高く設定して、小ブロック3に高負荷が加わった際に隣り合う小ブロック同士で支え合うようにすることもでき、これによれば、小ブロック3の剛性をさらに高めて氷上性能を一層向上させることが可能となる。
次いで、この発明の他の実施形態を図2を参照して説明する。
図2に示すタイヤでは、各小ブロック3にトレッド幅方向に延びるサイプ4が各2本設けられている。サイプ4は、その中間部分がトレッド周方向に向けてジグザグ状に屈折しながらトレッド幅方向に延在している。
このように各小ブロック3にサイプ4を設けることにより、エッジ効果及び除水効果を一層向上させることができるので、より高い氷上性能を得ることができるとともに、例えば氷上性能以外の他性能との調整を図る観点から、小ブロック個数密度Dを、サイプ4を形成しない場合よりも小さくしても(つまり小ブロック3の大きさをある程度大きくしても)、本発明が狙いとするところの優れた氷上性能を得ることができる。
なお、サイプ4の形態は、接地時のブロック3の過大な変形を抑制してさらなる氷上性能の向上を図る観点からジグザグ状のものとしているが、サイプ4の形態は、図示例に限らず直線状とすることができ、あるいはタイヤ径方向に向けて屈折する、いわゆる3次元サイプとすることもできる。また、図示例では、サイプ4は、その両端にてブロック3を区画する溝2に開口しているが、これに限らず一方の端又は両端をブロック3内で終端させてなる、いわゆる盲サイプとすることもでき、これによれば、ブロック3の剛性の低下を抑制することができ、これは特にブロック3内に複数のサイプ4を設けた場合に有利である。また、この発明では、サイプ4は全てのブロック3に設ける必要はなく、複数個のブロック3に設ければ所定の効果を得ることができる。より高いエッジ効果等が必要とされる場合には各ブロック群のほぼ半数以上のブロック3にサイプ4を設けることが好ましい。
また、各小ブロック3に対するサイプ4の配設本数は2本に限らず、小ブロック3の剛性と必要とされるエッジ成分長さ(エッジ効果)との調整により、3本としたり1本としたりすることができる。より具体的には、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、小ブロック3を比較的大きく形成することが要求される場合には、小ブロック個数密度Dを0.003個/mm以上0.01個/mm以下の範囲内とし、小ブロック3にそれぞれ設けるサイプ4の本数を2本以上とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。そして、このように小ブロック3に複数のサイプ4を配設した場合、同一小ブロック3内でのサイプ4は相互に平行に配置することが好ましい。このように同一小ブロック3内でのサイプ4を平行に配置することで、サイプ間の分割ブロック部分の形態を均一化してブロック剛性の部分的な強弱を無くす又は低減することができ、氷上性能をさらに向上させることができるからである。また、ブロック剛性の部分的な強弱を低減することは、耐偏摩耗性にも有利である。なお、より高いブロック剛性の要求の下では、小ブロック個数密度Dを0.003個/mm以上0.008個/mm以下とすることがより好ましい。
一方、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、小ブロック3を比較的小さく形成することが要求される場合には、小ブロック個数密度Dを0.005個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、小ブロック3にそれぞれ設けるサイプ4の本数を1本とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。なお、より高いエッジ効果の要求の下では、小ブロック個数密度Dを0.007個/mm以上0.015個/mm以下とすることより好ましい。
また、サイプ4の延在方向も図2のものに限らず、必要とする性能との関係で任意に設定することができる。例えば、トラクション性能やブレーキ性能を重視する場合には、トレッド幅方向に沿って設定することができ、一方で横方向の入力(コーナリング性能)を重視する場合には、トレッド幅方向に対して傾斜させて設定することができる。また、図示を省略するが、トレッド踏面内においてブロック単位で部分的にサイプ4の方向を異ならせることで、より効果的に性能調整することができる。このようにすれば、トラクション性能、ブレーキ性能及びコーナリング性能の良好なバランスを図りつつこれらを効率的に向上させることができる。
次いで、この発明のさらに他の実施形態を図3を参照して説明する。
図3に示す実施形態のタイヤでは、小ブロック3の直線部3a、3aに、該小ブロック3の内側及び外側に向けてジグザク状に凹凸5が形成されている。直線部3a、3aは、全体としてみて、トレッド幅方向に沿って直線状に延びる、すなわちジグザグ状の凹凸5の中心線Cがトレッド幅方向に沿って直線状に延びる。
この実施形態のタイヤによれば、小ブロック3の直線部3aに凹凸5を形成したことで、直線部3aのエッジの作用方向を多様化することができ、単一方向からの力の入力に対してだけでなく、複数方向からの力の入力に対して効果的にエッジ効果を発揮させることができる。例えば、図1の実施形態のタイヤのように、直線部3aをトレッド幅方向に沿って配置するとともに凹凸を設けない場合には、この直線部3aは氷上でのブレーキ・トラクション性能に有効なエッジとして機能するのみである。これに対して、直線部3aに凹凸5を設けてジグザグ化することにより、ブレーキ・トラクション性能に有効なエッジのみでなく、トレッド周方向に傾斜した方向からの力の入力に対しても有効なエッジとして機能させることできるので、特にコーナリング性にも有効となる。
ところで、この発明において、小ブロック群Gにおけるネガティブ率Nは5%〜50%とすることが好ましい。小ブロック群Gにおけるネガティブ率Nが5%未満の場合は、溝面積が小さ過ぎ排水性が不十分となる他、小ブロック一つ一つの大きさが大きくなり過ぎて本発明が狙いとするところのエッジ効果の実現が難しくなり、一方、50%を超えると接地面積が小さくなり過ぎて、操縦安定性が低下するおそれがあるからである。
上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、この発明では、小ブロック3の直線部3aの延在方向はトレッド幅方向に限らず、トレッド周方向及びトレッド周方向に傾斜した方向に設定することができる。また、図3の実施形態にて直線部3aに形成した凹凸5の数も図示例と比して増減しても良い。さらに、小ブロック3の対向する2つの直線部3a、3aうちのいずれか一方に凹凸5を設けても良く、また直線部3aから小ブロック3の内側に窪んだ凹部や外側に突出した凸部のみを形成しても良い。
次に、この発明に従う実施例1〜3のタイヤ、従来技術に従う従来例1のタイヤ及び比較例1〜4のタイヤをそれぞれ試作し、氷上性能及び排水性能についての評価を行ったので、以下説明する。
実施例1のタイヤは、図1に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤは、トレッド部全体に、溝により区画形成した、独立した複数の小ブロックを密集させてなる小ブロック群を有する。実施例1のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
実施例2のタイヤは、図2に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤは、各小ブロックにサイプが各2本設けられていることを除いて実施例1のタイヤとほぼ同じである。実施例2のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
実施例3のタイヤは、図3に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤは、各小ブロックの直線部にジグザグ状に凹凸が形成されていることを除いて実施例2のタイヤとほぼ同じである。実施例3のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
Figure 0005368786
比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部全体のネガティブ率が31.9%である図4に示すトレッドパターンを有する従来例1のタイヤ及びトレッド部全体のネガティブ率が32.6%である図5に示すトレッドパターンを有する比較例1のタイヤを併せて試作した。従来例1のタイヤは、トレッド部に、トレッド周方向に延びる縦溝と、この縦溝に直交して延びる横溝とによって複数の長方形の小ブロックが区画形成されている。縦溝は、幅が3mm、深さが8.5mmであり、横溝は、幅が7.9mm、深さが8.5mmである。また各小ブロックには直線状に延びるサイプが3本ずつ形成されている。比較例1のタイヤは、トレッド部に、トレッド周方向に延びる縦溝と、この縦溝に直交して延びる横溝とによって複数の長方形の小ブロックが区画形成されている。縦溝は、幅が1.2mm、深さが8.5mmであり、横溝は、幅が4.5mm、深さが8.5mmである。また各小ブロックには直線状に延びるサイプが2本ずつ形成されている。その他の諸元を表2に示す。
さらに比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部に図6及び7に示すトレッドパターンを有する比較例2及び3のタイヤについても併せて試作した。比較例2及び3は、小ブロック個数密度Dが、0.003個/mm〜0.04個/mmの範囲外にある点で実施例1のタイヤとは異なる。その他の諸元を表2に示す。
さらに比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部に図8に示すトレッドパターンを有する比較例4のタイヤについても併せて試作した。このタイヤは、小ブロックのトレッド表面輪郭形状が円形である。その他の諸元を表2に示す。
Figure 0005368786
(性能評価)
上記各供試タイヤについて、サイズ6.5J×16のリムに組み付け、内圧220kPa(相対圧)として車両に装着し、以下の試験を行って性能を評価した。
(1)氷上でのブレーキ性能評価試験
氷上でのブレーキ性能は、氷板路面上を時速20km/hからフル制動したときの制動距離を測定し、その測定した距離から評価した。その評価結果を表3に示す。表3中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜4のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのブレーキ性能が良好であることを示す。
(2)氷上でのトラクション性能評価試験
氷上でのトラクション性能は、氷上路面上をフル加速し、20mの距離に達するまでの時間を測定し、その測定した時間から評価した。その評価結果を表3に示す。表3中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜4のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのトラクション性能が良好であることを示す。
(3)氷上でのフィーリング評価試験
氷上でのフィーリング評価は、氷板路面のテストコースを各種走行モードで走行したときのテストドライバーによる制動性、加速性、直進性およびコーナリング性を総合的にフィーリング評価することによって行った。その評価結果を表3に示す。表3中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜4のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのフィーリングが良好であることを示す。
(4)排水性評価試験
排水性は、水深5mmの湿潤路面を直線走行し、ハイドロプレーニング現象が発生する限界速度を測定し、その測定した限界速度から評価した。その評価結果を表3に示す。表3の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜4のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど排水性が良好であることを示す。
Figure 0005368786
表3に示す評価結果から、この発明の適用により従来に比べて氷上性能が飛躍的に向上しているのが分かる。また、小ブロックにサイプを形成した実施例2及び3のタイヤは、実施例1のタイヤに比べて優れた結果を示し、直線部に凹凸を設けた実施例3のタイヤは、さらに優れた結果を示している。
この発明によって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜、排水の除去を実現することにより、氷上性能を飛躍的に向上させることが可能となった。
この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(実施例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤ(実施例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤ(実施例3のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 従来技術の空気入りタイヤ(従来例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例3のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例4のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 溝
3 小ブロック
3a 直線部
3b 曲線部
3c 角部
4 サイプ
5 凹凸
C 中心線
小ブロック群
PL 小ブロック群のトレッド周方向の基準ピッチ長さ
PW 小ブロック群のトレッド幅方向のピッチ長さ
BL 小ブロックの周方向長さ
BW 小ブロックの幅方向長さ
W 小ブロック群の幅
Z 基準区域

Claims (4)

  1. 溝により区画された複数の独立した小ブロックが相互に密集配置されてなる小ブロック群が、トレッド部の少なくとも一部に設けられ、該小ブロック群の小ブロックによりトレッド周方向に延びるブロック列が複数形成された空気入りタイヤであって、
    前記小ブロック群における小ブロックの基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群の基準区域内に存在する前記小ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(PL×W×(1−N/100))で与えられる、該小ブロック群の単位実接地面積当りの小ブロック個数密度Dは0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にあり、
    前記小ブロックは、相互に対向するとともに同一方向に直線状に延びる2つの直線部と、これら2つの直線部の間にそれぞれ延びるとともに小ブロックの外側に向けて凸に湾曲する2つの曲線部とを持つトレッド表面輪郭形状を有し、かつ相互に合同に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記小ブロックは、少なくとも1本のサイプを有する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記直線部に凹凸を形成してなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
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