JP2010155478A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッドパターンの適正化を図ることにより、氷上性能を飛躍的に向上させる。
【解決手段】この空気入りタイヤは、トレッド部1に複数の独立した小ブロック3が相互に密集配置されてなる小ブロック群Gが設けられており、小ブロック3の基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群の基準区域内に存在する小ブロック3の個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(PL×W×(1−N/100))で与えられる、該小ブロック群の単位実接地面積当りの小ブロック個数密度Dは0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にある。各小ブロック3は、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型多角形でありかつ相互に合同に形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、トレッド部に、溝により区画してなるブロックを備える空気入りタイヤに関し、より具体的には、氷上性能の飛躍的な向上をもたらす技術を提案するものである。
従来、空気入りタイヤでは、エッジ効果を高めることによって、氷上性能等を向上させることを目的に、図4に示すように、トレッド部100に、トレッド周方向に延びる縦溝101やトレッド幅方向に延びる横溝102をもってブロック103を区画形成するとともに、形成されたブロック103内に複数のサイプ104を付加することが広く一般に行われている。そして、このような従来の空気入りタイヤでは、より高い駆動、制動及び旋回性能の要求の下で、ブロック103内に多数のサイプ104を配設するため、また特に氷上性能を大きな接地面積の確保によって向上させるために、トレッド踏面内のブロック列数を3から9列と少なくするとともに各ブロック103をトレッド周方向に長い縦長の形状としていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−192914号公報
しかしながら、上記のような従来の空気入りタイヤでは、サイプ104によって区画された分割ブロック部分103aが横長となって剛性が低くなり過ぎて、接地時に分割ブロック部分103aの倒れ込みが生じ接地性が悪化してしまうことから、近年の車両性能の向上に見合った十分な氷上性能を得ることが難しかった。また、ブロック103一つ一つの大きさが大きく、ブロック103の中央域においてはサイプ104の形成のみでは、氷上でのブレーキの際に氷面とタイヤとの間の水膜を十分除去することができず、このことからも氷上性能を飛躍的に向上させることは困難であった。
それゆえ、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、トレッドパターンの適正化を図ることにより、氷上性能を飛躍的に向上させることにある。
前記の目的を達成するため、この発明の空気入りタイヤは、溝により区画された複数の独立した小ブロックが相互に密集配置されてなる小ブロック群が、トレッド部の少なくとも一部に設けられ、該小ブロック群の小ブロックによりトレッド周方向に延びるブロック列又は陸部列が複数形成された空気入りタイヤであって、前記小ブロック群における小ブロックの基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群の基準区域内に存在する前記小ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(PL×W×(1−N/100))で与えられる、該小ブロック群の単位実接地面積当りの小ブロック個数密度Dは0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にあり、前記小ブロックは、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型多角形でありかつ相互に合同に形成されていることを特徴とするものである。
ここで、「小ブロックの基準ピッチ長さ」とは、小ブロック群を構成する1つのブロック列における小ブロックの繰り返し模様の最小単位を指すものとし、例えば1つの小ブロックとその小ブロックを区画する溝によってパターンの繰り返し模様が規定されている場合は、小ブロック1個分のトレッド周方向長さとこの小ブロックのトレッド周方向に隣接する溝1本分のトレッド周方向長さとを加算したものが小ブロックの基準ピッチ長さとなる。また、「小ブロック群の幅W」とは、小ブロックを密集配置してなる小ブロック群のトレッド幅方向長さを指し、例えば小ブロック群がトレッド全体に存在する場合は、トレッド接地幅を指すものとする。しかも、小ブロック群の「実接地面積」とは、小ブロック群の基準区域内に在る全小ブロックの総表面積をいうものとし、言い換えれば、基準ピッチ長さPLと幅Wとの積で規定される、上記基準区域の面積から個々の小ブロックを区画している溝の面積を減算した面積を指すものである。
この発明の空気入りタイヤにあっては、溝により区画された小ブロックを相互に密集して配置したことから、陸部のトータルエッジ長さが増大し、サイプよりも高いエッジ効果が得られる。また、小ブロック一つあたりの表面積が小さいことからブロック一つ一つの接地性が向上する。さらに小ブロックの中央域からブロック周縁までの距離が小さいので、小ブロックの中央域での水膜はブロック接地時に効率的に除去される。また、この発明の空気入りタイヤにあっては、各小ブロックを合同な形状に形成したことから、小ブロックの配置範囲での接地圧をほぼ均一にでき接地性を向上させることができる。さらに、小ブロックの形状を星型多角形とし、すなわち小ブロックの周面に形成される凸状の角部(頂角部)と凹状の角部(底角部)とが該周面に沿って交互に配置されるようにし、小ブロックの周壁をジグザク状としたことから、角部が全て凸状である通常の多角形と比較してトレッド周方向(前後)及びトレッド幅方向(横方向)のエッジ成分長さを増大させることができ、特に氷上でのブレーキ性能、トラクション性能及びコーナリング性能をより一層向上させることができる。しかもこのように、小ブロックを、凸状の角部と凹状の角部とを有する形状とすることにより、隣接する小ブロック間に溝幅の大きい部分と小さい部分を形成することができるので、雪路における高い雪柱せん断力を効果的に発揮させることができ、雪上での走行性能をも顕著に向上させることができる。
従って、この発明の空気入りタイヤによれば、上記作用が相まって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜の除去を実現することができ、氷雪上性能を飛躍的に向上させることができる。
なお、小ブロック群はトレッド全体に設けると氷上性能に対してより有効であるが、限られた領域に適用することで操縦安定性や耐偏摩耗性等の他性能とのバランスを図ることができる。
さらに、この発明の空気入りタイヤにあっては、小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されていることが好ましい。
さらに、この発明の空気入りタイヤにあっては、小ブロックは、少なくとも1本のサイプを有することが好ましい。なおここでいう「サイプ」とは、少なくとも小ブロックの表面を2つ以上のブロック片に区分することができる細い切り込みであって、接地時に閉じることが可能なものを指す。
しかも、この発明の空気入りタイヤにあっては、小ブロックは、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型八角形又は星型六角形であることが好ましい。
この発明の空気入りタイヤによれば、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜の除去を実現することにより氷上性能を顕著に向上させることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は、この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のトレッドパターンを示した部分展開図であり、図2は、この発明に従う他の実施形態のタイヤのトレッドパターンを示した部分展開図である。なお、図1、2中、上下方向がトレッド周方向を示し、左右方向(赤道面Eに直交する方向)がトレッド幅方向を示している。
この実施形態のタイヤは、図示を省略するが、左右一対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスと、このカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置したベルトと、このベルトのタイヤ径方向外側に配置したトレッド部とを具える慣例に従ったタイヤ構造を有し、トレッド部に図1に示したトレッドパターンを有するものである。
このタイヤは、図1に示すように、トレッド部1に、溝2により区画した、独立した複数の小ブロック3を互いに密集させてなる小ブロック群Gを有する。小ブロック群Gは、この実施形態では、トレッド部1の全体に存在する。小ブロック3は、トレッド周方向に沿って並べられて複数のブロック列をなす。
小ブロック3の個々の大きさは図4に示す従来のパターンに比べて小さく設定され、かつ小ブロック3の密集度は、図4に示す従来のパターンに比べて高く設定されている。小ブロック3の大きさを小さくすればするほど、また密集度を高くすればするほどエッジ効果及び除水効果を高めることができるが、その適正な範囲は以下の通りである。すなわち、小ブロック群Gにおける小ブロック3の基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群Gの幅をW(mm)(この実施形態では、トレッド部1の全体に小ブロック3が配置されているので、トレッド接地幅TWと等しい。)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群Gの基準区域Z(図中斜線で示す領域)内に存在する小ブロック3の個数をa(個)、基準区域Z内のネガティブ率をN(%)としたとき、
Figure 2010155478
として表される、小ブロック群Gの単位実接地面積当りの小ブロック個数密度D(個/mm)が、0.003(個/mm)以上0.04(個/mm)以下である。なお、小ブロック群Gの基準区域Z内の小ブロック3の個数aをカウントするに際して、小ブロック3が基準区域Zの内外に跨って存在し、1個として数えることができない場合は、小ブロック3の表面積に対する、基準区域内に残った小ブロック3の残存面積の比率を用いて数えることとする。例えば、図1に符号B1で示すブロックのように、基準区域Zの内外に跨り、基準区域Z内にその半分しか存在しないブロックの場合は、1/2個と数えることができる。
小ブロック群Gにおける小ブロック3の個数密度Dが0.003(個/mm)未満の場合は、サイプの形成なしには、高いエッジ効果の実現が難しく、一方、小ブロック3の個数密度Dが0.04(個/mm)を超えると小ブロック3が小さくなり過ぎて所要のブロック剛性の実現が難しい。また、小ブロック群Gにおける小ブロック3の個数密度Dを、0.0035〜0.03個/mmの範囲内とすれば、小ブロック3の剛性とエッジ効果との両立をより高い次元で達成することができる。
小ブロック3は、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型八角形、すなわち小ブロック3の周面に8つの凸状の角部(頂角部)と8つの凹状の角部(底角部)とが該周面に沿って交互に繰り返す形状である。しかも、これら星型八角形の小ブロック3は、相互に合同な形状(形状、大きさにおいて同一)に形成されている。
この実施形態のタイヤにあっては、溝2により区画された小ブロック3を相互に密集して配置したことから、陸部のトータルエッジ長さが増大し、従来のサイプよりも高いエッジ効果が得られる。また、小ブロック3の一つあたりの表面積が小さいことからブロック一つ一つの接地性が向上する。さらに小ブロック3の中央域からブロック周縁までの距離が小さいので、小ブロック3の中央域での水膜はブロック接地時に効率的に除去される。また、この実施形態のタイヤにあっては、各小ブロック3を合同な形状に形成したことから、小ブロック3の配置範囲での接地圧をほぼ均一にでき接地性を向上させることができる。さらに、小ブロックの形状を星型多角形とし、小ブロックの周面に形成される凸状の角部と凹状の角部とが該周面に沿って交互に配置されるようにしたことから、角部が全て凸状である通常の多角形と比較してトレッド周方向(前後)及びトレッド幅方向(横方向)のエッジ成分長さを増大させることができ、特に氷上でのブレーキ性能、トラクション性能及びコーナリング性能をより一層向上させることができる。しかもこのように、小ブロックを、凸状の角部と凹状の角部とを有する形状とすることにより、隣接する小ブロック間に溝幅の大きい部分2aと小さい部分2bとを形成することができるので、「溝」として雪上走行時に雪をつかむ力(雪柱せん断力)を増大させることができる。よって、雪路においても高い雪柱せん断力を効果的に発揮させることができ、雪上での走行性能をも顕著に向上させることができる。なぜなら、溝幅の均一な溝で生成される均一な雪柱と比べて、溝に溝幅の小さい部分2bと大きい部分2aとがある場合には、溝幅の大きい部分2aでより多くの雪を掴む効果がある一方、溝幅の小さい部分2bでは高い圧縮効果があるため、これらの作用が相まってより強い雪柱を形成でき、すなわちより大きい雪柱せん断力を発揮させることができるからである。
従って、この実施形態のタイヤによれば、上記作用が相まって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロック3による効率的な水膜の除去を実現することができるので、氷上性能を飛躍的に向上させることが可能となる。
また、この実施形態のタイヤによれば、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置したことから、タイヤ転動時に、より多くの小ブロック3の形成下で、それぞれのエッジを逐次作用させることができるので、エッジ効果をより一層効果的に発揮させることが可能となる。また、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置することで、トレッド幅方向に隣接する小ブロック3の相互間で路面への接地タイミングをずらすことができ、パターンノイズをも低減させることもできる。さらに、このように小ブロック3を千鳥状に配置することにより、小ブロック3の高い密集配置を容易に実現することができる。また、小ブロック3をトレッド周方向に千鳥状に配置するとともに、小ブロック個数密度Dを高く設定して、小ブロック3に高負荷が加わった際に隣り合う小ブロック同士で支え合うようにすることもでき、これによれば、小ブロック3の剛性をさらに高めて氷上性能を一層向上させることが可能となる。
さらに、この実施形態のタイヤによれば、トレッド踏面における小ブロック3の形状を星型八角形としたことから、小ブロック3の周面に形成される凸状の角部の角度(内角)を鈍角に近づけて小ブロック3の凸状の角部における十分な剛性の下、タイヤ負荷転動時での当該角部の倒れ込みを抑制することができ、特に氷上性能を一層高めることができる。また、角部の数を多く設定することで、小ブロック3による前後及び横方向のエッジ成分長さを効果的に増大させることができるので、雪上性能全般に有効なトレッドパターンとすることができる。なお、凸状の角部における剛性を確保する観点からは、でき得る限り多くの凸状の角部を設けることが好ましいが、角部が多過ぎると凸状の角部の突出長さh(凸状の角部と凹状の角部の段差)が小さくなり過ぎる結果、エッジ成分長さの増大化が困難となりエッジ効果の向上の効果が小さくなるおそれがあるため、小ブロック3の形状は、角形数が12角形(凸状の角部の数が12個)以下の星型多角形とすることが好ましい。
図2に示すタイヤは、図1に示すタイヤの、ブロック群Gの小ブロック3にトレッド幅方向に延びるサイプ4を各2本設けたものである。サイプ4は直線状をなし、トレッド幅方向に沿って配置されている。
このように各小ブロック3にサイプ4を設けることにより、エッジ効果及び除水効果を一層向上させることができるので、より高い氷雪上性能を得ることができるとともに、例えば氷雪上性能以外の他性能との調整を図る観点から、小ブロック個数密度Dを、サイプ4を形成しない場合よりも小さくしても(つまり小ブロック3の大きさをある程度大きくしても)、本発明が狙いとするところの優れた氷雪上性能を得ることができる。
なお、サイプ4の形態は、図示例のものに限らず、小ブロック3の過大な変形を抑制してさらなる氷雪上性能の向上を図る観点から、その中間部分がトレッド周方向に向けてジグザグ状に屈折しながらトレッド幅方向に延在するものや、あるいはタイヤ径方向に向けて屈折する、いわゆる3次元サイプとすることができる。また、図示例では、サイプ4は、その両端にて小ブロック3を区画する溝2に開口しているが、これに限らず一方の端又は両端を小ブロック3内で終端させてなる、いわゆる盲サイプとすることもでき、これによれば、小ブロック3の剛性の低下を抑制することができ、これは特に小ブロック3内に複数のサイプ4を設けた場合に有利である。また、この発明では、サイプ4は全ての小ブロック3に設ける必要はなく、複数個の小ブロック3に設ければ所定の効果を得ることができる。より高いエッジ効果等が必要とされる場合には各小ブロック群Gのほぼ半数以上の小ブロック3にサイプ4を設けることが好ましい。
また、各小ブロック3に対するサイプ4の配設本数は2本に限らず、小ブロック3の剛性と必要とされるエッジ成分長さ(エッジ効果)との調整により、3本としたり1本としたりすることができる。より具体的には、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、小ブロック3を比較的大きく形成することが要求される場合には、小ブロック個数密度Dを0.003個/mm以上0.01個/mm以下の範囲内とし、小ブロック3にそれぞれ設けるサイプ4の本数を2本以上とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。そして、このように小ブロック3に複数のサイプ4を配設した場合、同一小ブロック3内でのサイプ4は相互に平行に配置することが好ましい。このように同一小ブロック3内でのサイプ4を平行に配置することで、サイプ間の分割ブロック部分の形態を均一化してブロック剛性の部分的な強弱を無くす又は低減することができ、氷雪上性能をさらに向上させることができるからである。また、ブロック剛性の部分的な強弱を低減することは、耐偏摩耗性にも有利である。なお、より高いブロック剛性の要求の下では、小ブロック個数密度Dを0.003個/mm以上0.008個/mm以下とすることがより好ましい。
一方、例えば操縦安定性や耐摩耗性等の他性能とのバランスを図る目的で、小ブロック3を比較的小さく形成することが要求される場合には、小ブロック個数密度Dを0.005個/mm以上0.02個/mm以下の範囲内とし、小ブロック3にそれぞれ設けるサイプ4の本数を1本とすることが好ましい。このようにすれば、他性能とのバランスを図りつつ所要のエッジ効果を得ることができる。なお、より高いエッジ効果の要求の下では、小ブロック個数密度Dを0.007個/mm以上0.015個/mm以下とすることより好ましい。
また、サイプ4の延在方向も図2のものに限らず、必要とする性能との関係で任意に設定することができる。例えば、トラクション性能やブレーキ性能を重視する場合には、トレッド幅方向に沿って設定することができ、一方で横方向の入力(コーナリング性能)を重視する場合には、トレッド幅方向に対して傾斜させて設定することができる。また、図示を省略するが、トレッド踏面内においてブロック単位で部分的にサイプ4の方向を異ならせることで、より効果的に性能調整することができる。このようにすれば、トラクション性能、ブレーキ性能及びコーナリング性能の良好なバランスを図りつつこれらを効率的に向上させることができる。
次いで、この発明の他の実施形態について説明する。図3は、この発明に従う他の実施形態のタイヤのトレッドパターンを示した部分展開図である。なお、先の実施形態で説明した要素と同様のものには同様の符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態にかかるトレッドパターンでは、小ブロック群Gがトレッド部全体に設けられている。また、小ブロック群Gの小ブロック3によりトレッド周方向に延びるブロック列が複数形成されている。小ブロック個数密度Dは、0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にある。
各小ブロック3は、トレッド踏面における形状が星型六角形、すなわち小ブロック3の周面に6つの凸状の角部と6つの凹状の角部とが該周面に沿って交互に繰り返す形状である。
この実施形態のタイヤによれば、図1の実施形態の小ブロック3に比べて、凸状の角部の突出長さh(凸状の角部と凹状の角部の段差)を大きく設定することができるため、当該凸状の角部近傍におけるエッジ成分長さを増大させることができ、特に雪上性能を向上させることができる。なお、凸状の角部における良好なエッジ効果を得る観点からは、でき得る限り上記突出長さhを大きく設定することが好ましいが、このようにした場合凸状の角部が鋭角となり過ぎて当該角部の剛性が低下するおそれがあることから、小ブロック3の形状は、角形数が5(凸状の角部の数が5個)以上の星型多角形とすることが好ましい。
ところで、この発明において、小ブロック群Gにおけるネガティブ率Nは5%〜50%とすることが好ましい。小ブロック群Gにおけるネガティブ率Nが5%未満の場合は、溝面積が小さ過ぎ排水性が不十分となる他、小ブロック一つ一つの大きさが大きくなり過ぎて本発明が狙いとするところのエッジ効果の実現が難しくなり、一方、50%を超えると接地面積が小さくなり過ぎて、操縦安定性が低下するおそれがあるからである。
上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、この発明では、小ブロック3の形状は星型六角形や星型八角形に限らず、星型七角形や星型九角形等他の星型多角形を採用することができる。
次に、この発明に従う実施例1〜3のタイヤ、従来技術に従う従来例1のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤをそれぞれ試作し、氷雪上性能についての性能評価を行ったので、以下説明する。
実施例1のタイヤは、図1に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤは、トレッド部全体に、溝により区画形成した、独立した複数の小ブロックを密集させてなる小ブロック群を有する。各小ブロックは、トレッド踏面における形状が星型正八角形に形成されている。小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されている。実施例1のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
実施例2のタイヤは、図2に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤは、各小ブロックにサイプが各2本設けられていることを除いて実施例1のタイヤとほぼ同じである。実施例2のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
実施例3のタイヤは、図3に示すトレッドパターンをトレッド部に有する、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤである。このタイヤでは、各小ブロックの形状は星型正六角形である。小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されている。実施例3のタイヤにおける他の諸元は表1に示すとおりである。
比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部全体のネガティブ率が31.9%である図4に示すトレッドパターンを有する従来例1のタイヤ及びトレッド部全体のネガティブ率が32.6%である図5に示すトレッドパターンを有する比較例1のタイヤを併せて試作した。従来例1のタイヤは、トレッド部に、トレッド周方向に延びる縦溝と、この縦溝に直交して延びる横溝とによって複数の長方形の小ブロックが区画形成されている。縦溝は、幅が3mm、深さが8.5mmであり、横溝は、幅が7.9mm、深さが8.5mmである。また各小ブロックには直線状に延びるサイプが3本ずつ形成されている。比較例1のタイヤは、トレッド部に、トレッド周方向に延びる縦溝と、この縦溝に直交して延びる横溝とによって複数の長方形の小ブロックが区画形成されている。縦溝は、幅が1.2mm、深さが8.5mmであり、横溝は、幅が4.5mm、深さが8.5mmである。また各小ブロックには直線状に延びるサイプが2本ずつ形成されている。その他の諸元を表1に示す。
さらに比較のため、205/55R16サイズの乗用車用ラジアルタイヤであり、トレッド部に図6及び7に示すトレッドパターンを有する比較例2及び3のタイヤについても併せて試作した。比較例2及び3は、小ブロック個数密度Dが、0.003個/mm〜0.04個/mmの範囲外にある点で実施例1のタイヤとは異なる。
Figure 2010155478
(性能評価)
上記各供試タイヤについて、サイズ6.5J×16のリムに組み付け、内圧220kPa(相対圧)として車両に装着し、以下の試験を行って性能を評価した。
(1)氷上でのブレーキ性能評価試験
氷上でのブレーキ性能は、氷板路面上を時速20km/hからフル制動したときの制動距離を測定し、その測定した距離から評価した。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのブレーキ性能が良好であることを示す。
(2)氷上でのトラクション性能評価試験
氷上でのトラクション性能は、氷上路面上をフル加速し、20mの距離に達するまでの時間を測定し、その測定した時間から評価した。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのトラクション性能が良好であることを示す。
(3)氷上でのフィーリング評価試験
氷上でのフィーリング評価は、氷板路面のテストコースを各種走行モードで走行したときのテストドライバーによる制動性、加速性、直進性およびコーナリング性を総合的にフィーリング評価することによって行った。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど氷上でのフィーリングが良好であることを示す。
(4)雪上でのトラクション評価試験
雪上でのトラクション性能評価試験
雪上でのトラクション性能は、圧雪上をフル加速し、50mの距離に達するまでの時間を測定し、その測定した時間から評価した。その評価結果を表2に示す。表2中の評価は、従来例1の結果を100とし実施例1〜3のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤについて指数で表したものであり、数値が大きいほど雪上でのトラクション性能が良好であることを示す。
Figure 2010155478
表2に示す評価結果から、実施例1〜3のタイヤは、従来例1のタイヤ及び比較例1〜3のタイヤに比べて、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能、氷上フィーリング及び雪上トラクション性能の全てにおいて顕著に優れた性能を示している。また、小ブロックにサイプを形成した実施例2のタイヤは、実施例1のタイヤに比べて優れた結果を示している。実施例3のタイヤは、特に雪上トラクション性能において実施例1のタイヤに比べて優れた結果を示している。
この発明によって、優れた接地性及びエッジ効果の確保と、小ブロックによる効率的な水膜の除去を実現することにより、氷雪上性能を飛躍的に向上させることが可能となった。
この発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(実施例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤ(実施例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 この発明に従う他の実施形態の空気入りタイヤ(実施例3のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 従来技術の空気入りタイヤ(従来例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例1のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例2のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。 比較としての空気入りタイヤ(比較例3のタイヤ)のトレッドパターンを示した部分展開図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 溝
3 小ブロック
4 サイプ
小ブロック群
PL 小ブロック群のトレッド周方向の基準ピッチ長さ
PW 小ブロック群のトレッド幅方向のピッチ長さ
小ブロックの周方向長さ
小ブロックの幅方向長さ
W 小ブロック群の幅
Z 基準区域

Claims (4)

  1. 溝により区画された複数の独立した小ブロックが相互に密集配置されてなる小ブロック群が、トレッド部の少なくとも一部に設けられ、該小ブロック群の小ブロックによりトレッド周方向に延びるブロック列又は陸部列が複数形成された空気入りタイヤであって、
    前記小ブロック群における小ブロックの基準ピッチ長さをPL(mm)、該小ブロック群の幅をW(mm)、該基準ピッチ長さPLと該幅Wとで区画される、該小ブロック群の基準区域内に存在する前記小ブロックの個数をa(個)、該基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、a/(PL×W×(1−N/100))で与えられる、該小ブロック群の単位実接地面積当りの小ブロック個数密度Dは0.003(個/mm)〜0.04(個/mm)の範囲内にあり、
    前記小ブロックは、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型多角形でありかつ相互に合同に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記小ブロックは、トレッド周方向に千鳥状に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記小ブロックは、少なくとも1本のサイプを有する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記小ブロックは、トレッド踏面における形状がそれぞれ星型八角形又は星型六角形である、請求項1〜3の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
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