JP4457630B2 - 誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

この発明は、誘電体セラミックおよびこの誘電体セラミックを用いて構成される積層セラミックコンデンサに関するもので、特に、積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミック層の薄層化を有利に図り得るようにするための改良に関するものである。
積層セラミックコンデンサは、以下のようにして製造されるのが一般的である。
まず、その表面に、所望のパターンをもって内部電極となる導電材料を付与した、誘電体セラミック原料を含むセラミックグリーンシートが用意される。誘電体セラミックとしては、たとえば、BaTiO3 を主成分とするものが用いられる。
次に、上述した導電材料を付与したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、熱圧着され、それによって一体化された生の積層体が作製される。
次に、この生の積層体は焼成され、それによって、焼結後の積層体が得られる。この積層体の内部には、上述した導電材料をもって構成された内部電極が形成されている。
次いで、積層体の外表面上に、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように、外部電極が形成される。外部電極は、たとえば、導電性金属粉末およびガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体の外表面上に付与し、焼き付けることによって形成される。
このようにして、積層コンデンサが完成される。
上述した内部電極のための導電材料として、古くは、パラジウムまたはパラジウム−銀合金などが用いられていたが、近年、積層セラミックコンデンサの製造コストをできるだけ低くするため、たとえばニッケルまたは銅のような比較的安価な卑金属を用いることが多くなってきている。しかしながら、卑金属をもって内部電極を形成した積層セラミックコンデンサを製造しようとする場合、焼成時における卑金属の酸化を防止するため、中性または還元性雰囲気中での焼成を適用しなければならず、そのため、積層セラミックコンデンサにおいて用いられる誘電体セラミックは、耐還元性を有していなければならない。
積層セラミックコンデンサにおいて、容量温度特性がたとえばJIS規格のB特性を満足させようとする場合、上述のような耐還元性を有する誘電体セラミックとして、たとえば、BaTiO3 を主成分とし、これに希土類元素の酸化物、Mn、Fe、NiまたはCuなどのいわゆるアクセプター元素の酸化物および焼結助剤などを添加したものが用いられている。
たとえば、特開平5−9066号公報(特許文献1)、特開平5−9067号公報(特許文献2)、特開平5−9068号公報(特許文献3)または特開平9−270366号公報(特許文献4)においては、高い誘電率を有し、誘電率の温度変化が小さく、高温負荷寿命が長い、誘電体セラミックの組成が提案されている。
また、誘電体セラミックの構造および組織に着目すると、特開平6−5460号公報(特許文献5)、特開2001−220224号公報(特許文献6)または特開2001−230149号公報(特許文献7)においては、いわゆるコアシェル構造の誘電体セラミックが提案されている。
また、上述の特許文献4によれば、セラミックの粒界構造を制御することにより、より高い誘電率およびより優れた電気絶縁性を有する、誘電体セラミックが得られると記載されている。
また、特開平11−157928号公報(特許文献8)においては、BaTiO3 系主成分に、SiO2 と希土類元素の酸化物とを含むガラス成分が添加された、誘電体セラミックが提案されている。この誘電体セラミックによれば、誘電率が高く、絶縁抵抗が高く、誘電損失が小さく、高温負荷試験における信頼性が良好である、という効果が得られている。
特開平5−9066号公報 特開平5−9067号公報 特開平5−9068号公報 特開平9−270366号公報 特開平6−5460号公報 特開2001−220224号公報 特開2001−230149号公報 特開平11−157928号公報
近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電子部品の小型化が急速に進行し、積層セラミックコンデンサについても、小型化かつ大容量化の傾向が顕著になってきている。積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を図る有効な手段として、誘電体セラミック層の薄層化が挙げられる。誘電体セラミック層の厚みは、商品レベルでは2μm以下、実験レベルでは1μm以下となってきている。
また、電気回路を、温度の変動にも関わらず、安定に動作させるためには、これに用いられるコンデンサについても、温度に対して、安定なものでなければならない。
以上のようなことから、容量の温度変化が小さく、誘電体セラミック層が薄層化されても、電気絶縁性が高く、信頼性に優れる、積層セラミックコンデンサの実現が強く望まれている。
前述した特許文献1、2および3に記載された誘電体セラミックは、EIA規格におけるX7R特性を満足し、かつ高い電気絶縁性を示すものの、誘電体セラミック層を薄層化したとき、具体的には、5μm以下、特に3μm以下というように薄層化したときの容量温度特性および信頼性に関しては、必ずしも、市場の要求を十分満たし得るものではない。
同様に、特許文献4に記載される誘電体セラミックも、誘電体セラミック層が薄層化されるに従って、容量温度特性および信頼性が悪化するという問題がある。さらに、特許文献4に記載される誘電体セラミックは、BaTiO3 などの主成分に添加する添加剤を、焼成過程において、溶融させる必要があるため、主成分と添加剤との反応が進みやすく、特に誘電体セラミック層を薄層化した際の容量温度特性が悪化するという問題がある。
また、特許文献5、6および7に記載される、いわゆるコアシェル型の誘電体セラミックについても、誘電体セラミック層が薄層化されるに従って、容量温度特性および信頼性が悪化するという問題がある。
また、特許文献8に記載される誘電体セラミックでは、BaTiO3 系主成分に、SiO2 と希土類元素の酸化物とがガラス状態で存在しているため、誘電体セラミック層を薄層化したときの信頼性に関しては、必ずしも、市場の要求を十分満たし得るものではない。
以上のようなことから、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化に対応することを目的として、誘電体セラミック層を薄層化した場合、交流信号レベルを薄層化する前と同じにすると、誘電体セラミック層の1層あたりに印加される電界強度が大きくなるため、容量温度特性が著しく低下してしまう。また、信頼性に関しても、誘電体セラミック層を薄層化した場合、直流定格電圧を薄層化する前と同じにすると、誘電体セラミック層の1層あたりに印加される電界強度が大きくなるため、これが著しく低下してしまう。
そこで、誘電体セラミック層を薄層化しながらも、薄層化したほどには、誘電率の温度依存性が悪化せず、また、信頼性に優れた、積層セラミックコンデンサの実現が望まれるところである。
この発明の目的は、上述のような要望を満たし得る、誘電体セラミックおよびこの誘電体セラミックを用いて構成される積層セラミックコンデンサを提供しようとすることである。
この発明に係る誘電体セラミックは、ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびにその一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、さらに希土類元素、AlおよびSiを含む、誘電体セラミックであって、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、上記希土類元素の少なくとも一部と、上記Alと、上記Siの少なくとも一部とは、これら希土類元素、AlおよびSiからなる、前述の主成分とは異なる複合化合物として存在し、この複合化合物の割合は、主成分100モルに対して、0.01モル以上、25モル以下であり、かつこの複合化合物は、その少なくとも一部において結晶性を有しており、かつ、上記希土類元素の全量の50%以上が当該複合化合物として存在していることを特徴としている。
の発明に係る誘電体セラミックは、Si、BおよびLiの少なくとも1種を含む焼結助剤をさらに含んでいてもよい。
この発明は、さらに、上述のような誘電体セラミックを用いて構成される積層セラミックコンデンサにも向けられる。
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、複数の積層された誘電体セラミック層および誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された内部電極を含む、積層体と、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成される外部電極とを備えるもので、誘電体セラミック層が、上述したような誘電体セラミックからなることを特徴としている。
以上のように、この発明に係る誘電体セラミックによれば、希土類元素、AlおよびSiが、これら希土類元素、AlおよびSiからなる複合化合物として存在し、複合化合物がその少なくとも一部において結晶性を有しており、かつ、上記希土類元素の全量の50%以上が当該複合化合物として存在しているので、これをもって積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を構成した場合、誘電体セラミック層を薄層化しても、薄層化したほどには誘電率の温度依存性が悪化せず、また、信頼性に優れたものとすることができる。
したがって、この誘電体セラミックをもって積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を構成すれば、良好な容量温度特性および信頼性を維持しながら、誘電体セラミック層の薄層化によって、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を図ることができる。特に、この発明に係る誘電体セラミックによれば、誘電体セラミック層の厚みを0.5μm程度にまで問題なく薄層化することができる。
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極4および5とをもって構成される。内部電極4および5は、積層体2の外表面にまで到達するように形成されるが、積層体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、積層体2の内部において交互に配置されている。
積層体2の外表面上であって、端面6および7上には、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。また、外部電極8および9上には、ニッケル、銅などからなる第1のめっき層10および11がそれぞれ形成され、さらにその上には、半田、錫などからなる第2のめっき層12および13がそれぞれ形成されている。
このような積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層3は、ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびにその一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、さらに希土類元素、AlおよびSiを含む、誘電体セラミックから構成される。
この誘電体セラミックにおいて、上述の希土類元素の少なくとも一部と、Alと、Siの少なくとも一部とは、これら希土類元素、AlおよびSiからなる、主成分とは異なる複合化合物として存在し、かつこの複合化合物は、その少なくとも一部において結晶性を有しており、かつ、上記希土類元素の全量の50%以上が当該複合化合物として存在していることを特徴としている。
一般に、ABO3 、特にBaTiO3 を主成分とし、この主成分に何らかの添加成分が添加されて構成された誘電体セラミックは、この添加成分が固溶した場合、誘電率の温度依存性が大きくなる。そのため、このような誘電体セラミックを用いて積層セラミックコンデンサを作製した場合、容量温度特性の悪い積層セラミックコンデンサとなる。
近年、上記添加成分として、希土類元素が頻繁に用いられている。希土類元素は、たとえばBaTiO3 に添加した場合、容易に固溶するので、そのような誘電体セラミックの誘電率の温度依存性が悪くなる。また、希土類元素が酸化物として単独で存在する場合には、信頼性が低下することも知られている。
そこで、本件発明者は、調査および実験を重ねたところ、Alとともに、希土類元素をSiとの結晶性反応物として添加することによって、希土類元素と、Alと、Siとからなる化合物が、ABO3 を主成分とする誘電体セラミック中に存在し、希土類元素のABO3 への固溶が抑制されることを見出した。このとき、希土類元素と、Alと、Siとの反応物は、100%結晶性である必要はなく、少なくとも一部が結晶性を有していればよいことがわかった。また、希土類元素は、単独ではなく、Siとの化合物で存在すれば、誘電体セラミックの信頼性を低下させないこともわかった。
このようなことから、前述したように、ABO3 を主成分とし、さらに希土類元素、AlおよびSiを含み、希土類元素の少なくとも一部と、Alと、Siの少なくとも一部とが、これら希土類元素、AlおよびSiからなる、主成分とは異なる複合化合物として存在し、かつこの複合化合物が、その少なくとも一部において結晶性を有しており、かつ、上記希土類元素の全量の50%以上が当該複合化合物として存在している、そのような誘電体セラミックによって、図1に示した誘電体セラミック層3を構成すれば、誘電体セラミック層3を薄層化しても、薄層化したほどには誘電率の温度依存性が悪化せず、また、信頼性に優れたものとすることができる。したがって、このような誘電体セラミックからなる誘電体セラミック層3を備える積層セラミックコンデンサ1は、容量温度特性および信頼性に優れたものとすることができる。
図2には、上述した誘電体セラミックの構造が図解的に示されている。誘電体セラミックは、ABO3 粒子21を備えている。また、誘電体セラミックには、ABO3 粒子21とは別に、希土類元素、AlおよびSiからなる複合化合物22が存在している。
上述したABO3 粒子21には、希土類元素、AlおよびSiのような添加成分が一部固溶していてもよい。
また、誘電体セラミックは、Si、BおよびLiの少なくとも1種を含む焼結助剤をさらに含んでいてもよい。
内部電極4および5は、たとえば、ニッケル、ニッケル合金、銅または銅合金のような卑金属を導電成分として含んでいる。
また、外部電極8および9は、導電性金属粉末の焼結層またはガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層をもって構成される。
次に、この積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
まず、誘電体セラミック層3を構成する誘電体セラミックの原料粉末を作製するため、ABO3 を作製する工程と、少なくとも希土類元素とSiとを反応させ、それによって、その一部において結晶性を有する反応物を作製する工程とがそれぞれ実施される。
上述のABO3 を作製するにあたっては、AおよびBのそれぞれを含む化合物を、所望の割合で混合し、たとえば熱処理することによって、ABO3 を合成し、これを粉砕することによって、ABO3 粉末を作製するようにされる。
他方、希土類元素とSiO2 とを含む反応物を作製するにあたっては、所望の希土類元素とSiとをそれぞれ含む化合物を混合し、これをたとえば熱処理することによって、希土類元素とSiとを含む反応物を得、これを粉砕することによって、希土類元素とSiとを含む反応物粉末を作製するようにされる。この反応物には、アルカリ土類元素や遷移金属元素などの希土類元素、Si以外の元素が含まれていてもよい。また、この反応物粉末の平均粒径は、上述したABO3 粉末の平均粒径より小さいことが好ましい。
次に、ABO3 粉末と反応物粉末とを混合することによって、誘電体セラミックの原料粉末が得られる。この原料粉末を得るための混合工程において、アクセプター元素としてのAlを含む化合物がさらに混合される。また、Si、BおよびLiの少なくとも1種を含む焼結助剤が混合されても、あるいは、希土類元素を含む化合物がさらに混合されてもよい。なお、アクセプター元素は、反応物粉末中に予め添加されていることが好ましい。この場合、複合酸化物相中にアクセプター元素が存在することになる。
次に、上述のようにして得られた混合粉末に、有機バインダおよび溶剤を添加し、混合することによって、スラリーが作製され、このスラリーを用いて、誘電体セラミック層3となるセラミックグリーンシートが成形される。
次いで、特定のセラミックグリーンシート上に、内部電極4または5となるべき導電性ペースト膜がたとえばスクリーン印刷によって形成される。この導電性ペースト膜は、たとえば、ニッケル、ニッケル合金、銅または銅合金を導電成分として含んでいる。なお、内部電極4および5は、スクリーン印刷法のような印刷法のほか、たとえば、蒸着法、めっき法などによって形成されてもよい。
次いで、上述のように導電性ペースト膜を形成したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、熱圧着された後、必要に応じてカットされる。このようにして、複数のセラミックグリーンシート、およびセラミックグリーンシート間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された内部電極4および5となるべき導電性ペースト膜が積層された構造を有する生の積層体が得られる。この生の積層体において、導電性ペースト膜は、その端縁をいずれかの端面に露出させている。
次いで、生の積層体は、還元性雰囲気中において焼成される。これによって、図1に示すような焼結後の積層体2が得られる。この積層体2において、前述のセラミックグリーンシートによって、誘電体セラミック層3が構成され、導電性ペースト膜によって、内部電極4または5が構成される。
次いで、内部電極4および5の露出した各端縁にそれぞれ電気的に接続されるように、積層体2の端面6および7上に、それぞれ、外部電極8および9が形成される。
外部電極8および9の材料としては、内部電極4および5と同じ材料を用いることができるが、銀、パラジウム、銀−パラジウム合金なども使用可能であり、また、これらの金属粉末に、B2 3 −SiO2 −BaO系ガラス、Li2 O−SiO2 −BaO系ガラス、B2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系ガラスなどからなるガラスフリットを添加したものも使用可能である。積層セラミックコンデンサ1の用途、使用場所などを考慮に入れて適当な材料が選択される。
また、外部電極8および9は、通常、上述のような導電性金属の粉末を含むペーストを、焼成後の積層体2の外表面上に塗布し、焼き付けることによって形成されるが、焼成前の生の積層体の外表面上に塗布し、積層体2を得るための焼成と同時に焼き付けることによって形成されてもよい。
その後、外部電極8および9上に、ニッケル、銅などのめっきを施し、第1のめっき層10および11を形成する。そして、この第1のめっき層10および11上に、半田、錫などのめっきを施し、第2のめっき層12および13を形成する。なお、外部電極8および9上に、このようなめっき層10〜13のような導体層を形成することは、積層セラミックコンデンサ1の用途によっては省略されることもある。
以上のようにして、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層3を構成する誘電体セラミックは、図2に示すように、ABO3 粒子21に加えて、希土類元素の少なくとも一部とSiの少なくとも一部とが複合化合物22として存在している構造を有している。希土類元素とSiとの反応物の一部は、ABO3 粒子21に固溶してもよいが、希土類元素の全量の50%以上が希土類元素と、Alと、Siとの複合化合物22として存在するようにされる。
主成分であるABO3粒子21の平均粒子径(平均一次粒子)は、誘電体セラミック層3の薄層化により対応するためには、0.05〜0.7μmの範囲になるようにされることが好ましい。このように、0.05〜0.7μmの平均粒子径を有するABO3 粒子21を主成分とすることにより、誘電体セラミック層3は、0.5μm程度の厚みまで問題なく薄層化することができる。また、複合化合物22の割合は、主成分100モルに対して、0.01モル以上、25モル以下である。好ましくは、0.1モル以上、5モル以下である。
なお、誘電体セラミックの原料粉末の作製や、その他の積層セラミックコンデンサ1の製造工程のいずれかの段階において、Al、Zr、Fe、Hf、Na、N等が不純物として混入する可能性があるが、これら不純物の混入は、積層セラミックコンデンサ1の電気的特性上、問題となることはない。
また、積層セラミックコンデンサ1の製造工程のいずれかの段階において、内部電極4および5にFe等が不純物として混入する可能性もあるが、この不純物の混入についても、電気的特性上、問題となることはない。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
1.実験例1
実験例1では、次のような実施例1および2ならびに比較例1−1、1−2および2の各々に係る試料を作製した。なお、実施例1および2ならびに比較例1−1、1−2および2は、いずれもAlを含まない点で、この発明の範囲外のものである。
(実施例1)
実施例1は、ABO3 として、(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 を用い、添加成分として、Y2 3 、MgO、MnO2 およびSiO2 を用いたものである。
まず、主成分の出発原料として、BaCO3 、CaCO3 、TiO2 およびZrO2 を準備し、これらを、(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 の組成となるように秤量し、次いで、これらをボールミルにより混合し、1150℃の温度で熱処理することによって、(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 を合成し、これを粉砕した。
他方、添加成分としてのY2 3 およびSiO2 を1:2のモル比になるように秤量し、次いで、これらをボールミルにより混合し、1000℃の温度で熱処理することによって、YO3/2 −SiO2 系の反応物を得、これを粉砕した。
次に、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合し、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得た。
次に、この混合粉末に、ポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加え、ボールミルを用いた湿式混合を実施することによって、セラミックスラリーを作製した。
次に、セラミックスラリーを、ドクターブレード法によって、焼成後の誘電体セラミック層の厚みが1.5μmになるような厚みをもってシート状に成形し、矩形のセラミックグリーンシートを得た。
次に、セラミックグリーンシート上に、ニッケルを導電成分として含む導電性ペーストをスクリーン印刷し、内部電極となるべき導電性ペースト膜を形成した。
次いで、導電性ペースト膜が引き出されている側が互い違いとなるように、導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、生の積層体を得た。
次に、生の積層体を、窒素雰囲気中において350℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10-10 MPaのH2 −N2 −H2 Oガスからなる還元性雰囲気中において、1200℃の温度で2時間焼成し、焼結した積層体を得た。
次いで、積層体の両端面上に、B2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系ガラスフリットを含有するとともに銅を導電成分とする導電性ペーストを塗布し、窒素雰囲気中において700℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅1.6mm、長さ3.2mmおよび厚さ1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは、1.5μmであった。また、有効誘電体セラミック層の数は100であり、1層あたりの対向電極面積は2.1mm2 であった。
(比較例1−1)
比較例1−1は、実施例1と同じ組成を有するが、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 に、1.0モルのY2 3 、2.0モルのSiO2 、0.5モルのMgOおよび0.5モルのMnO2 を一度に混合することによって、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得た。
その後、この混合粉末を用いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、積層セラミックコンデンサを作製した。
(比較例1−2)
比較例1−2は、実施例1と同じ組成を有するが、実施例1における添加成分としてのYO3/2 −SiO2 系の反応物に代えて、Y2 3 とSiO2 とを1:2のモル比となるように秤量した後、ボールミルにより混合し、1500℃の温度で溶融し、次いで、この溶融物を水中に投入して、ガラスカレットを作製し、このガラスカレットを粉砕して得られたものを添加成分として用いたことを除いて、実施例1の場合と同様に、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得、かつ、積層セラミックコンデンサを作製した。
なお、比較例1−2において用いた上述の添加成分は、XRDにより、結晶性ではないことが確認された。
(実施例2)
実施例2は、ABO3 として、Ba(Ti0.85Zr0.15)O3 を用い、添加成分として、Gd2 3 、MgO、MnO2 およびSiO2 を用いたものである。
まず、主成分の出発原料として、BaCO3 、TiO2 およびZrO2 を準備し、これらを、Ba(Ti0.85Zr0.15)O3 の組成になるように秤量し、次いで、これらをボールミルにより混合し、1150℃の温度で熱処理することによって、Ba(Ti0.85Zr0.15)O3 を合成し、これを粉砕した。
他方、添加成分として、Gd2 3 、SiO2 およびMnO2 を、0.5:1:1のモル比になるように秤量し、次いで、これらをボールミルにより混合し、1000℃の温度で熱処理することによって、GdO3/2 −SiO2 −MnO2 系の反応物を得た。
次に、100モルのBa(Ti0.85Zr0.15)O3 と、1.0モルのGdO3/2 −SiO2 −MnO2 系反応物と、10モルのMgOと、7.5モルのGd2 3 とを混合することによって、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得た。
その後、この混合粉末を用いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、積層セラミックコンデンサを作製した。
(比較例2)
比較例2は、実施例2と同じ組成を有するものであり、100モルのBa(Ti0.85Zr0.15)O3 に、8モルのGd2 3 、1.0モルのSiO2 、10モルのMgOおよび1.0モルのMnO2 を一度に混合することによって、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得た。
その後、この混合粉末を用いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、積層セラミックコンデンサを作製した。
[評価]
このようにして得られた実施例1および2ならびに比較例1−1、1−2および2に係る積層セラミックコンデンサについて、次のような評価を行なった。
まず、積層セラミックコンデンサに備える誘電体セラミック層を構成するセラミックの構造を、WDXおよびTEM−EDXを用いて観察および分析し、希土類元素とSiとを含む化合物の存在の有無を確認した。また、この化合物の存在が確認された試料については、TEMの電子線回折およびXRDにより、希土類元素とSiとを含む化合物が結晶性であるかどうかを確認した。
また、各試料に係る積層セラミックコンデンサに備える誘電体セラミック層の室温(25℃)での誘電率を、1kHzおよび1Vrms の条件下で測定した。
また、温度変化に対する静電容量の変化率を求めた。この温度変化に対する静電容量の変化率については、20℃での静電容量を基準とした−25℃での変化率および85℃での変化率と、25℃での静電容量を基準とした−55℃での変化率および125℃での変化率とを評価した。
また、高温負荷試験を実施した。高温負荷試験は、100個の試料について、温度125℃において、電界強度が8kV/mmになるように12Vの電圧を印加して、その絶縁抵抗の経時変化を求め、絶縁抵抗値が1000時間経過するまでに200kΩ以下になった試料を不良と判定し、不良となった試料数を求めた。
また、耐湿高温負荷試験を実施した。耐湿高温負荷試験は、100個の試料について、温度85℃および湿度95%において、電界強度が4kV/mmになるように6Vの電圧を印加して、その絶縁抵抗の経時変化を求め、絶縁抵抗値が1000時間経過するまでに200kΩ以下になった試料を不良と判定し、不良となった試料数を求めた。
以上の評価結果が表1に示されている。
Figure 0004457630
表1に示すように、実施例1および2においては、誘電体セラミック層を構成する誘電体セラミック中に、希土類元素とSiとを含む化合物の存在が確認され、より具体的には、実施例1では、Y−Si−Oからなる結晶性の化合物の存在が確認され、実施例2では、Gd−Si−Mn−Oからなる結晶性の化合物の存在が確認された。また、実施例1および2によれば、その容量温度特性について、JIS規格のB特性およびEIA規格のX7R特性を満足し、また、高温負荷試験において信頼性が良好であることがわかった。
これに対して、比較例1−1では、実施例1の場合とは異なり、誘電体セラミック層を構成する誘電体セラミック中にYとSiとを含む化合物の存在が確認されず、これらYおよびSiは主成分中に固溶していることが確認された。そのため、比較例1−1によれば、実施例1に比べて、容量温度特性が劣っていた。
また、比較例1−2では、実施例1の場合とは異なり、誘電体セラミック層を構成する誘電体セラミック中にYとSiとを含む化合物の存在が確認されなかった。これは、ガラスとなった添加成分は、実施例1で見られた結晶性添加成分とは異なり、主成分との反応が進みやすいためであると推測される。そのため、後述する比較例2の場合と同様、比較例1−2では、実施例1に比べて、容量温度特性が劣っていた。また、比較例1−2では、耐湿高温負荷試験において、不良が発生した。これは、一般的にガラスは耐湿性が低く、比較例1−2では、添加成分をガラスとして添加しているためであると考えられる。
また、比較例2では、実施例2の場合とは異なり、誘電体セラミック層を構成する誘電体セラミック中にGdとSiとを含む化合物の存在が確認されず、Gd単独の化合物が存在しているだけであった。なお、比較例2では、Gd単独の化合物が存在しているため、容量温度特性については比較的良好であったが、実施例2に比べ、高温負荷試験による信頼性が劣っていた。
2.実験例2
実験例2では、希土類元素としてY以外の元素を用いた、次のような実施例3ないし16の各々に係る試料を作製した。なお、実施例3ないし16についても、Alを含まない点で、この発明の範囲外のものである。
(実施例3)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにLa2 3 を用い、かつLaO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例3に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例4)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにCeO2 を用い、かつCeO2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例4に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例5)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにPr6 11を用い、かつPrO11/6−SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例5に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例6)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにNd2 3 を用い、かつNdO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例6に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例7)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにSm2 3 を用い、かつSmO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例7に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例8)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにEu2 3 を用い、かつEuO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例8に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例9)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにGd2 3 を用い、かつGdO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例9に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例10)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにTb4 7 を用い、かつTbO7/4 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例10に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例11)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにDy2 3 を用い、かつDyO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例11に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例12)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにHo2 3 を用い、かつHoO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例12に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例13)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにEr2 3 を用い、かつErO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例13に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例14)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにTm2 3 を用い、かつTmO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例14に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例15)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにYb2 3 を用い、かつYbO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例15に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例16)
実施例1において、希土類元素を含む化合物として、Y2 3 の代わりにLu2 3 を用い、かつLuO3/2 −SiO2 系の反応物を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の原料組成物を用い、同様の操作を経て、実施例16に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
[評価]
以上、実施例3〜16の各々において得られた積層セラミックコンデンサについて、実施例1の場合と同様の評価を行なった。その評価結果が表2に示されている。
Figure 0004457630
実施例3〜16のように、希土類元素として、Y以外の希土類元素を用いても、表2からわかるように、実施例1の場合とほぼ同じ特性が得られた。
3.実験例3
実験例3では、誘電体セラミックに含まれるアクセプター元素について、Mg以外の元素を用いた、次のような実施例17ないし22の各々に係る試料を作製した。なお、実施例17ないし22のうち、実施例17ないし20および22についても、Alを含まない点で、この発明の範囲外のものであるが、実施例21は、Alを含み、かつ希土類元素−Al−Siの複合酸化物を有することから、この発明の範囲内のものである。
(実施例17)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルのBaTiO3 と、2.2モルのY−Si−Mg−O(Y2 3 :SiO2 :MgO=1:2:1)系の反応物と、0.2モルのNiOと、0.1モルのCr2 3 とを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例17に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例18)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルの(Ba0.98Sr0.02)TiO3 と、1.8モルのY−Si−Ni−O(Y2 3 :SiO2 :NiO=1:1:1)系の反応物と、0.3モルのDy2 3 と、0.5モルのCuOと、0.1モルのAl2 3 と、0.02モルのB2 3 と、0.1モルのSiO2 とを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例18に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例19)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルの(Ba0.98Ca0.02)TiO3 と、1.5モルのY−Si−Fe−O(Y2 3 :SiO2 :Fe2 3 =1:3:0.5)系の反応物と、0.4モルのHo2 3 と、0.3モルのMnO2 と、0.5モルのCuOとを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例19に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例20)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルのBa(Ti0.95Hf0.05)O3 と、2.4モルのY−Si−Cu−O(Y2 3 :SiO2 :CuO=1:1:0.5)系の反応物と、0.2モルのMnO2 と、0.1モルのFe2 3 と、0.1モルのSiO2 とを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例20に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例21)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルの(Ba0.99Sr0.01)(Ti0.99Zr0.01)O3 と、1.7モルのY−Si−Al−O(Y2 3 :SiO2 :Al2 3 =1:3:1)系の反応物と、0.2モルのYb2 3 と、0.3モルのNiOとを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例21に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
(実施例22)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルのBaTiO3 と、2.6モルのY−Si−Cr−O(Y2 3 :SiO2 :Cr2 3 =1:0.5:0.5)系の反応物と、0.05モルのLu2 3 と、0.2モルのSiO2 とを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例22に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
[評価]
以上、実施例17〜22において得られた積層セラミックコンデンサについて、実施例1の場合と同様の評価を行なった。その評価結果が表3に示されている。
Figure 0004457630
表3からわかるように、希土類元素とSiとを含みかつ結晶性を有する複合化合物は、実施例17〜22のように、さらに、Mn、Ni、Fe、Cu、Al、Cr等の元素(アクセプター元素)を含んでいてもよい。
4.実験例4
実験例4では、複合化合物の含有量が、上記実施例1〜22の場合とは異なる、次のような実施例23に係る試料を作製した。なお、実施例23は、Alを含まない点で、この発明の範囲外のものである。
(実施例23)
実施例1において、100モルの(Ba0.98Ca0.02)(Ti0.98Zr0.02)O3 と、2.0モルのYO3/2 −SiO2 系の反応物と、0.5モルのMgOと、0.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末(誘電体セラミックの原料粉末)の代わりに、100モルのBa(Ti0.8 Zr0.2 )O3 と、25モルのGd−Sm−Si−O(Gd2 3 :Sm2 3 :SiO2 =1:0.15:0.1)系の反応物と、11モルのMgOと、1.5モルのMnO2 とを混合した混合粉末を用いたことを除いて、実施例1の場合と同様の操作を経て、実施例23に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
[評価]
以上、実施例23において得られた積層セラミックコンデンサについて、実施例1の場合と同様の評価を行なった。その評価結果が表4に示されている。
Figure 0004457630
表4からわかるように、複合化合物となる、たとえばGd−Sm−Si−O系の反応物の含有量が、主成分100モルに対して25モルであっても、十分な特性が得られる。
この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。 この発明による誘電体セラミックの構造を図解的に示す図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 誘電体セラミック層
4,5 内部電極
8,9 外部電極
21 ABO3 粒子
22 複合化合物

Claims (3)

  1. ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびにその一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、さらに希土類元素、AlおよびSiを含む、誘電体セラミックであって、
    前記希土類元素の少なくとも一部と、前記Alと、前記Siの少なくとも一部とは、前記希土類元素、前記Alおよび前記Siからなる、前記主成分とは異なる複合化合物として存在し、前記複合化合物の割合は、前記主成分100モルに対して、0.01モル以上、25モル以下であり、かつ前記複合化合物は、その少なくとも一部において結晶性を有しており、かつ、
    前記希土類元素の全量の50%以上が前記複合化合物として存在していることを特徴とする、誘電体セラミック。
  2. Si、BおよびLiの少なくとも1種を含む焼結助剤をさらに含む、請求項1に記載の誘電体セラミック
  3. 複数の積層された誘電体セラミック層および前記誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された内部電極を含む、積層体と、
    前記内部電極の特定のものに電気的に接続されるように前記積層体の外表面上に形成される外部電極と
    を備え、
    前記誘電体セラミック層は、請求項1または2に記載の誘電体セラミックからなることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
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