JP3994719B2 - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘電体セラミック層を備える積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品に関するもので、特に、積層セラミック電子部品における誘電体セラミック層の薄層化を有利に図り得るようにするための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、以下のようにして製造されるのが一般的である。
【0003】
まず、その表面に、所望のパターンをもって内部電極となる導電材料を付与した、誘電体セラミック原料を含むセラミックグリーンシートが用意される。誘電体セラミックとしては、たとえば、BaTiO3 を主成分とするものが用いられる。
【0004】
次に、上述した導電材料を付与したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、熱圧着され、それによって一体化された生の積層体が作製される。
【0005】
次に、この生の積層体は焼成され、それによって、焼結後の積層体が得られる。この積層体の内部には、上述した導電材料をもって構成された内部電極が形成されている。
【0006】
次いで、積層体の外表面上に、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように、外部電極が形成される。外部電極は、たとえば、導電性金属粉末およびガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体の外表面上に付与し、焼き付けることによって形成される。
【0007】
このようにして、積層コンデンサが完成される。
【0008】
上述した内部電極のための導電材料として、近年、積層セラミックコンデンサの製造コストをできるだけ低くするため、たとえばニッケルまたは銅のような比較的安価な卑金属を用いることが多くなってきている。しかしながら、卑金属をもって内部電極を形成した積層セラミックコンデンサを製造しようとする場合、焼成時における卑金属の酸化を防止するため、中性または還元性雰囲気中での焼成を適用しなければならず、そのため、積層セラミックコンデンサにおいて用いられる誘電体セラミックは、耐還元性を有していなければならない。
【0009】
上述のような耐還元性を有する誘電体セラミックとして、たとえば、特開平5−9066号公報、特開平5−9067号公報または特開平5−9068号公報においては、BaTiO3 −希土類酸化物−Co2 3 系の組成が提案されている。また、特開平6−5460号公報または特開平9−270366号公報では、高い誘電率を有し、誘電率の温度変化が小さく、高温負荷寿命が長い、誘電体セラミックが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電子部品の小型化が急速に進行し、積層セラミックコンデンサについても、小型化かつ大容量化の傾向が顕著になってきている。
【0011】
したがって、内部電極に使用する卑金属が酸化されない焼成雰囲気においても、誘電率が高く、誘電率の温度変化および経時変化が小さく、誘電体セラミック層が薄層化されても、電気絶縁性が高く、それゆえ信頼性に優れた誘電体セラミックを望む要求が強くなってきている。しかしながら、前述したような従来の誘電体セラミックは、必ずしも、この要求を十分に満足し得るものではない。
【0012】
たとえば、特開平5−9066号公報、特開平5−9067号公報または特開平5−9068号公報に記載された誘電体セラミックは、EIA規格におけるX7R特性を満足し、かつ高い電気絶縁性を示すものの、誘電体セラミック層を薄層化したとき、具体的には、5μm以下、特に3μm以下というように薄層化したときの信頼性に関しては、必ずしも、市場の要求を十分満たし得るものではない。
【0013】
また、特開平6−5460号公報に記載される誘電体セラミックは、これを得るために用いられるBaTiO3 粉末の粒径が大きいため、誘電体セラミック層が薄層化されるに従って、信頼性が低下し、また、静電容量の経時変化が大きいという問題がある。
【0014】
同様に、特開平9−270366号公報に記載される誘電体セラミックも、薄層化されるに従って、信頼性が低下し、また、直流電圧印加での静電容量の経時変化が大きいという問題がある。
【0015】
以上のようなことから、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化に対応するために、誘電体セラミック層を薄層化した場合、定格電圧が薄層化する前と同じであると、誘電体セラミック層の1層あたりに印加される電界強度が大きくなるため、室温または高温での絶縁抵抗が低くなってしまうことなどの点で、信頼性が著しく低下してしまう。そのため、従来の誘電体セラミックを用いる場合には、誘電体セラミック層を薄層化するにあたって、定格電圧を下げる必要がある。
【0016】
そこで、誘電体セラミック層を薄層化しながらも、定格電圧を下げる必要がなく、また、高い電界強度下での絶縁抵抗が高く、信頼性に優れた、積層セラミックコンデンサの実現が望まれるところである。
【0017】
また、積層セラミックコンデンサは、通常、直流電圧を印加した状態で使用されるため、静電容量が経時的に変化することが知られている。しかしながら、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化に伴う誘電体セラミック層の薄層化の結果、誘電体セラミック層の1層あたりの直流電界強度が高くなり、静電容量の経時変化がより大きくなるという問題がある。
【0018】
そこで、直流電圧が印加された状態での静電容量の経時変化が小さい、積層セラミックコンデンサが望まれるところである。
【0019】
また、上述したような積層セラミックコンデンサに対する要望は、積層セラミックコンデンサと同様、積層された複数の誘電体セラミック層と、誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成される内部電極とを含む、積層体を備える、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品に対しても、言えることである。
【0020】
したがって、この発明の目的は、誘電率が高く、誘電率の温度変化および直流電圧印加下での経時変化が小さく、絶縁抵抗と静電容量との積(CR積)が高く、高温高電圧における絶縁抵抗の加速寿命が長い、そのような誘電体セラミック層を備える、積層セラミック電子部品を提供しようとすることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、積層された複数の誘電体セラミック層と、誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成される内部電極とを含む、積層体を備える、積層セラミック電子部品に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、誘電体セラミック層において、次のような組成が与えられていることを特徴としている。
【0022】
すなわち、誘電体セラミック層は、ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびにその一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、副成分として、2種類の希土類元素R1およびR2を含んでいる。ここで、希土類元素R1は、Sm、Y、Gd、DyおよびHoから選ばれた少なくとも1種であり、希土類元素R2は、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれた少なくとも1種である。
【0023】
また、上述の希土類元素R1のイオン半径をr1とし、希土類元素R2のイオン半径をr2としたとき、r1>r2である。
【0024】
また、希土類元素R1の濃度をM1とし、希土類元素R2の濃度をM2としたとき、誘電体セラミック層の厚み方向中央部である誘電体セラミック層中央部では、M1/M2>1であり、内部電極と誘電体セラミック層との界面から誘電体セラミック層側へ誘電体セラミック層の厚みの1/5だけ入り込んだ箇所である内部電極近傍では、M1/M2<1である。
【0025】
また、誘電体セラミック層中央部における(M1+M2)/内部電極近傍における(M1+M2)は、(1/2)〜2である。
【0027】
この発明は、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成される外部電極をさらに備える、積層セラミックコンデンサに対して特に有利に適用される。
【0028】
上述の場合、内部電極は、卑金属を導電成分として含むことが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【0030】
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極4および5とをもって構成される。内部電極4および5は、積層体2の外表面にまで到達するように形成されるが、積層体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、積層体2の内部において交互に配置されている。
【0031】
積層体2の外表面上であって、端面6および7上には、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。また、外部電極8および9上には、ニッケル、銅などからなる第1のめっき層10および11がそれぞれ形成され、さらにその上には、半田、錫などからなる第2のめっき層12および13がそれぞれ形成されている。
【0032】
このような積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層3の組成は、ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびに一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、副成分として、2種類の希土類元素R1およびR2を含んでいる。
【0033】
上述の希土類元素R1は、Sm、Y、Gd、DyおよびHoから選ばれた少なくとも1種であり、希土類元素R2は、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれた少なくとも1種である。
また、希土類元素R1のイオン半径をr1とし、希土類元素R2のイオン半径をr2としたとき、r1>r2の関係にある。
【0034】
さらに、誘電体セラミック層3の組成は、次のような条件を満足するようにされる。図2は、図1の一部を拡大して示す断面図であり、対をなす内部電極4および5間に位置する誘電体セラミック層3の一部を示している。
【0035】
図2を参照して、誘電体セラミック層3の厚み方向中央部を、誘電体セラミック層中央部14とし、内部電極4または5と誘電体セラミック層3との界面から誘電体セラミック層3側へ誘電体セラミック層3の厚みの1/5だけ入り込んだ箇所を、内部電極近傍15と定義する。
【0036】
そして、希土類元素R1の濃度をM1とし、希土類元素R2の濃度をM2としたとき、誘電体セラミック層中央部14では、M1/M2>1の関係を満たし、内部電極近傍15では、M1/M2<1の関係を満たしている。
【0037】
上述のような誘電体セラミック層中央部14でのM1/M2>1の関係および内部電極近傍15でのM1/M2<1の関係を満足しない場合には、高温高電圧下における絶縁抵抗の加速寿命が短くなったり、誘電率の温度変化や直流電圧印加下での経時変化が大きくなったりしてしまう。
【0038】
希土類元素R1およびR2の総濃度である(M1+M2)に関して、誘電体セラミック層中央部14における(M1+M2)は、内部電極近傍15における(M1+M2)の(1/2)〜2倍の範囲にある。
【0039】
これは、誘電体セラミック層中央部14における(M1+M2)と内部電極近傍15における(M1+M2)との差が大きいと、電圧印加時に局所的な電界集中を招き、誘電体セラミック層3を薄層化した場合の信頼性が低くなってしまったり、直流電圧印加下での静電容量の経時変化が大きくなってしまったりするからである。
【0040】
希土類元素R1およびR2の総濃度(M1+M2)自身については、特に限定されるものではないが、高温負荷寿命の延長という観点からは、主成分であるABO3 100モルに対して、0.2モル以上であることが好ましく、他方、高誘電率とするためには、ABO3 100モルに対して、5モル以下であることが好ましい。
【0042】
なお、希土類元素R1およびR2として、それぞれ、1種類の希土類元素を用いても、目的とする特性を実現することが可能であるが、2種類以上の希土類元素を組み合わせることによって、高誘電率化したり、絶縁抵抗を高くしたり、高温負荷寿命を延長したりするなど、市場要求に応じた特性制御を容易に行なうことが可能になる。
【0043】
誘電体セラミック層3となるべき誘電体セラミック原料粉末において、主成分であるABO3 粉末の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、誘電体セラミック層3の薄層化により適切に対応するには、0.05〜0.7μmの範囲にあることが好ましい。このような平均粒子径を有するABO3 粉末を主成分とする誘電体セラミック原料粉末を用いた場合、誘電体セラミック層3の厚みは、1μm前後にまで薄層化することができる。
【0044】
誘電体セラミック層3には、主成分であるABO3 ならびに副成分である希土類元素R1およびR2のほか、Ni、Co、Fe、Cr、Mn、Si、Mg、V、BまたはAlなどが存在しても、あるいは、主成分ABO3 の構成元素であるA(Ba、CaおよびSrの少なくとも1種)またはB(Bは、Ti、ZrおよびHfの少なくとも1種)が存在しても、特性を低下させることはない。
【0045】
また、誘電体セラミックの原料粉末の作製や、積層セラミックコンデンサ1を得るためのその他の製造工程のいずれかの段階において、Al、Zr、Fe、Hf、Na等が不純物として混入する可能性があるが、これら不純物の混入は、積層セラミックコンデンサ1の電気的特性上、問題となることはない。
【0046】
積層セラミックコンデンサ1は、好ましくは、次のようにして製造される。
【0047】
まず、ABO3 を合成し、粉砕することによって、ABO3 粉末を得る。
【0048】
次に、ABO3 粉末に対して、適量の希土類元素R1を含有する化合物の粉末を混合するとともに、必要に応じて、希土類元素R2を含有する化合物、SiO2 、MgO、MnO2 、B2 3 などの各粉末を混合し、誘電体セラミックの原料粉末とする。
【0049】
他方、希土類元素R2を含有する化合物の粉末とABO3 粉末とを混合し、得られた混合粉末を仮焼し、R2変性ABO3 を作製する。
【0050】
次に、このR2変性ABO3 の粉末を、内部電極4および5を形成するための導電性ペーストに添加する。
【0051】
次に、前述した誘電体セラミックの原料粉末に、有機バインダおよび溶剤を添加し、混合することによって、スラリーを作製し、このスラリーを用いて、誘電体セラミック層3となるセラミックグリーンシートを成形する。
【0052】
次いで、特定のセラミックグリーンシート上に、内部電極4または5となるべき導電性ペースト膜を、前述したR2変性ABO3 を添加した導電性ペーストを用いて、たとえばスクリーン印刷によって形成する。この導電性ペーストは、導電成分として、ニッケルまたは銅のような卑金属を含んでいる。
【0053】
次に、上述のように導電性ペースト膜を形成したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、熱圧着した後、必要に応じてカットする。
【0054】
このようにして、複数のセラミックグリーンシート、およびセラミックグリーンシート間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された内部電極4および5となるべき導電性ペースト膜が積層された構造を有する生の積層体が得られる。この生の積層体において、導電性ペースト膜は、その端縁をいずれかの端面に露出させている。
【0055】
次に、生の積層体を、還元性雰囲気中において焼成する。これによって、図1に示すような焼結後の積層体2が得られる。積層体2において、前述したセラミックグリーンシートが誘電体セラミック層3を構成し、導電性ペースト膜が内部電極4または5を構成している。
【0056】
次に、内部電極4および5の露出した各端縁にそれぞれ電気的に接続されるように、積層体2の端面6および7上に、それぞれ、外部電極8および9を形成する。
【0057】
外部電極8および9の材料としては、内部電極4および5と同じ材料を用いることができるが、銀、パラジウム、銀−パラジウム合金なども使用可能であり、また、これらの金属粉末に、B2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系ガラス、B2 3 −SiO2 −BaO系ガラスなどからなるガラスフリットを添加したものも使用可能である。積層セラミックコンデンサ1の用途、使用場所などを考慮に入れて適当な材料が選択される。
【0058】
また、外部電極8および9は、通常、上述のような導電性金属の粉末を含むペーストを、焼成後の積層体2の端面6および7上に塗布し、焼き付けることによって形成されるが、焼成前の生の積層体の端面上に付与し、積層体2を得るための焼成と同時に焼き付けることによって形成されてもよい。
【0059】
その後、外部電極8および9上に、ニッケル、銅などのめっきを施し、第1のめっき層10および11を形成する。そして、この第1のめっき層10および11上に、半田、錫などのめっきを施し、第2のめっき層12および13を形成する。
【0060】
以上のようにして、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
【0061】
積層セラミックコンデンサ1を上述のような方法によって製造することにより、特に、生の積層体を得るために用いられる誘電体セラミックの原料粉末および導電性ペーストの各々について、前述したような組成とすることにより、得られた積層セラミックコンデンサ1における誘電体セラミック層を、前述したようなこの発明の特徴となる組成とすることが容易である。
【0062】
すなわち、得られた積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層3の組成を、主成分として、ABO3 を含み、副成分として、2種類の希土類元素R1よびR2(希土類元素R1のイオン半径r1は希土類元素R2のイオン半径r2より大きい。)を含みながら、希土類元素R1およびR2の分布状態に関して、希土類元素R1の濃度をM1とし、希土類元素R2の濃度をM2としたとき、図2に示すように、誘電体セラミック層中央部14では、M1/M2>1となり、内部電極近傍15では、M1/M2<1となるようにすることが容易である。
【0063】
なお、積層セラミックコンデンサ1、特に生の積層体を得るための方法は、これに限るものではないが、これ以外の方法に関して、次のようなことを確認している。
【0064】
たとえば、誘電体セラミックの原料粉末を作製するため、ABO3 となるべき各元素の化合物に、希土類元素R1を含有する化合物、希土類元素R2を含有する化合物、SiO2 、MgO、MnO2 、B2 3 などの各粉末をすべて混合して、一度に反応させる方法を用いた場合には、誘電体セラミック層3内において、希土類元素R1およびR2が上述したような所望の分布状態となった積層セラミックコンデンサ1を得ることが困難であることを確認している。
【0065】
また、内部電極4および5を形成するための導電性ペーストに、希土類元素R2の酸化物そのものを添加することによって、内部電極近傍15において所望の希土類元素R2の濃度を高くするといった手法を用いた場合には、内部電極近傍15において、局所的に希土類元素R2の濃度の高い部分が生じるため、半導体化しやすくなったり、信頼性の低下を招いたりするといった問題があることを確認している。
【0066】
次に、この発明に基づき実施した実験例について説明する。
【0067】
1.誘電体セラミック原料粉末および変性ABO3 粉末の作製
実施例1〜5および比較例1〜5として、表1に示すような組成を有する誘電体セラミック原料粉末を作製し、また、表2に示すような組成を有する変性ABO3 粉末を作製した。
【0068】
【表1】
Figure 0003994719
【0069】
【表2】
Figure 0003994719
【0070】
表1において、誘電体セラミック原料に含まれる添加成分の添加量は、主成分ABO3 100モルに対してのモル比で示されている。表2において、変性ABO3 に含まれる添加成分の添加量は、主成分ABO3 100モルに対してのモル比で示されている。
【0071】
以下に、表1および表2を参照しながら、実施例1〜5および比較例1〜5の各々の詳細について説明する。
【0072】
(実施例1)
炭酸バリウム(BaCO3 )および二酸化チタン(TiO2 )の各粉末を用意し、これらを、Ba:Ti=1:1の割合になるように秤量し、純水を加えてボールミルにより24時間湿式混合した後、蒸発乾燥して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、自然雰囲気中において、1000℃の温度で仮焼し、粉砕することによって、BaTiO3 粉末を得た。
【0073】
次に、上述した主成分としてのBaTiO3 粉末に、添加成分として、Ho2 3 、Yb2 3 、NiO、MnO2 、BaOおよびSiO2 を、表1に示す組成比となるように配合し、誘電体セラミックの原料粉末となる混合粉末を得た。
【0074】
他方、前述したBaTiO3 粉末に、Yb2 3 粉末を、表2に示す組成比となるように配合し、純水を加えてボールミルにより24時間湿式混合した後、蒸発乾燥して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、自然雰囲気中において、1000℃の温度で仮焼し、粉砕することによって、導電性ペーストに添加すべきYb2 3 変性BaTiO3 粉末を得た。
【0075】
(比較例1)
比較例1では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 粉末として、実施例1と同じBaTiO3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Ho2 3 、Yb2 3 、NiO、MnO2 、BaOおよびSiO2 の各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0076】
他方、導電性ペーストに添加すべき粉末として、比較例1では、変性ABO3 粉末の代わりに、上述したBaTiO3 粉末自身を用いた。
【0077】
(実施例2)
実施例2では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例1と同様にして得られた(Ba0.95Sr0.05)TiO3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Dy2 3 、Cr2 3 、MgO、BaOおよびSiO2 の各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0078】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 粉末として、実施例2では、実施例1と同様にして得られた、表2に示す組成のEr2 3 変性(Ba0.89Ca0.10Sr0.01)TiO3 粉末を用いた。
【0079】
(比較例2)
比較例2では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例2と同じ(Ba0.95Sr0.05)TiO3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Dy2 3 、Er2 3 、Cr2 3 、MgO、BaOおよびSiO2 の各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0080】
他方、導電性ペーストに添加すべき粉末として、変性ABO3 粉末に代わりに、比較例2では、(Ba0.89Ca0.10Sr0.01)TiO3 粉末自身を用いた。
【0081】
(実施例3)
実施例3では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例1と同様にして得られた(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.95Zr0.04Hf0.01)O3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Sm2 3 、Y2 3 、MgO、MnO2 、B2 3 およびSiO2 の各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0082】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 粉末として、実施例3では、実施例1と同様にして得られた、表2に示す組成のLu2 3 変性(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.95Zr0.04Hf0.01)O3 粉末を用いた。
【0083】
(比較例3)
比較例3では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例3と同じ(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.95Zr0.04Hf0.01)O3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Lu2 3 、Y2 3 、MgO、MnO2 、B2 3 およびSiO2 の各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0084】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 粉末として、比較例3では、表2に示す組成のSm2 3 変性(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.95Zr0.04Hf0.01)O3 粉末を用いた。
【0085】
(実施例4)
実施例4では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例1と同様にして得られた(Ba0.89Ca0.10Sr0.01)TiO3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Y2 3 、MgO、B2 3 、SiO2 、CoOおよびCaOの各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0086】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 粉末として、実施例4では、実施例1と同様にして得られた、表2に示す組成のEr2 3 変性(Ba0.95Sr0.05)(Ti0.95Zr0.05)O3 粉末を用いた。
【0087】
(比較例4)
比較例4では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例4と同じ(Ba0.89Ca0.10Sr0.01)TiO3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Y2 3 、MgO、B2 3 、SiO2 、CoOおよびCaOの各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0088】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 として、比較例4では、実施例1と同様にして得られた、表2に示す組成のEr2 3 変性(Ba0.95Sr0.05)(Ti0.95Zr0.05)O3 粉末を用いた。
【0089】
(実施例5)
実施例5では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例1と同様にして得られたBa(Ti0.98Zr0.02)O3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Gd2 3 、MgO、SiO2 、BaO、MnO2 およびCaOの各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0090】
他方、導電性ペーストに添加すべき変性ABO3 粉末として、実施例5では、表2に示す組成のYb2 3 変性Ba(Ti0.98Zr0.02)O3 粉末を用いた。
【0091】
(比較例5)
比較例5では、誘電体セラミックの原料粉末を得るため、主成分ABO3 として、実施例5と同じBa(Ti0.98Zr0.02)O3 粉末を用い、同粉末に、添加成分として、Gd2 3 、MgO、SiO2 、BaO、MnO2 およびCaOの各粉末を、表1に示す組成比となるように配合した。
【0092】
他方、導電性ペーストに添加すべき粉末として、比較例5では、変性ABO3 粉末の代わりに、Yb2 3 粉末を用いた。
【0093】
2.積層セラミックコンデンサの作製
次に、実施例1〜5および比較例1〜5の各々に係る誘電体セラミックの原料粉末に、ポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合を実施することによって、セラミックスラリーを作製した。
【0094】
次に、このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によって、焼成後の誘電体セラミック層の厚みが2μmになるような厚みをもってシート状に成形し、矩形のセラミックグリーンシートを得た。
【0095】
次に、セラミックグリーンシート上に、実施例1〜5および比較例1〜5の各々に係るABO3 粉末、変性ABO3 粉末または希土類元素の酸化物を、表2に示した添加量をもって添加した、ニッケルを主体とする導電性ペーストをスクリーン印刷し、内部電極となるべき導電性ペースト膜を形成した。
【0096】
次に、導電性ペースト膜が引き出されている側が互い違いとなるように、導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、生の積層体を得た。
【0097】
次に、生の積層体を、窒素雰囲気中において、350℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10-9〜10-12 MPaのH2 −N2 −H2 Oガスからなる還元性雰囲気中において、後掲の表3に示す温度で2時間焼成し、焼結した積層体を得た。
【0098】
次いで、積層体の両端面に、B2 3 −Li2 O−SiO2 −BaO系のガラスフリットを含有するとともに銀を導電成分とする導電性ペーストを塗布し、窒素雰囲気中において、800℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
【0099】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅1.6mm、長さ3.2mmおよび厚さ1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは2μmであった。また、有効誘電体セラミック層の数は100であり、1層あたりの対向電極面積は2.1mm2 であった。
【0100】
3.電気的特性の評価
上述のようにして得られた実施例1〜5および比較例1〜5の各々に係る積層セラミックコンデンサについて、各種電気的特性を評価した。
【0101】
まず、各積層セラミックコンデンサの室温での誘電率εおよび絶縁抵抗を測定した。この場合、誘電率εは、温度25℃、1kHz、および1Vrmsの条件下で測定した。また、10kV/mmの電界強度の下で絶縁抵抗を測定するため、20Vの直流電圧を2分間印加して、+25℃において絶縁抵抗を測定し、静電容量(C)と絶縁抵抗(R)との積、すなわちCR積を求めた。
【0102】
また、温度変化に対する静電容量の変化率を求めた。この温度変化に対する静電容量の変化率については、20℃での静電容量を基準とした−25℃と85℃との間での変化率(ΔC/C20)と、25℃での静電容量を基準とした−55℃と125℃との間での変化率(ΔC/C25)とを評価した。
【0103】
また、高温負荷寿命試験を実施した。高温負荷寿命試験は、36個の試料について、温度150℃において、電界強度が15kV/mmになるように30Vの電圧を印加して、その絶縁抵抗の経時変化を求めようとしたものである。なお、高温負荷寿命として、各試料の絶縁抵抗値が200kΩ以下になったときの時間を寿命時間として、その平均寿命時間を求めた。
【0104】
また、静電容量の経時変化を求めた。静電容量の経時変化は、温度85℃、1kHz、1Vrmsおよび直流電圧3.15V印加の条件下で、100時間後の容量変化を測定し、直流電圧印加直後の85℃での静電容量を基準として容量変化率を求め、これをDC負荷経時変化率とした。
【0105】
以上の誘電率ε、CR積、温度特性(ΔC/C20)、温度特性(ΔC/C25)、高温負荷寿命およびDC負荷経時変化率が、表3に示されている。
【0106】
【表3】
Figure 0003994719
【0107】
表3において、各種特性の欄に*を付した数値は、好ましくない範囲にあることを示している。
【0108】
4.希土類元素濃度の調査
また、実施例1〜5および比較例1〜5の各々に係る積層セラミックコンデンサについて、誘電体セラミック層中央部および内部電極近傍における希土類元素の濃度を調査するため、試料としての積層セラミックコンデンサを、内部電極面に直角に研磨し、誘電体セラミック層を露出させ、EPMA(ElectronProbe Micro Analysis;電子線微小分析法)によって分析を行なった。より具体的には、次のような操作を行なった。
【0109】
誘電体セラミック層中央部での希土類元素の濃度分析については、誘電体セラミック層の厚み方向の寸法をほぼ2等分した任意の点を分析点とした。総分析点は10点以上とし、各分析点における希土類元素の濃度をEPMAにより測定し、その平均値を、誘電体セラミック層中央部での希土類元素の濃度とした。
【0110】
内部電極近傍での希土類元素の濃度分析については、内部電極と誘電体セラミック層との界面から誘電体セラミック層側へ誘電体セラミック層の厚みの1/5だけ入り込んだ任意の点を分析点とした。総分析点は10点以上とし、各分析点における希土類元素の濃度をEPMAにより測定し、その平均値を、内部電極近傍での希土類元素の濃度とした。
【0111】
そして、前述のようにして、誘電体セラミック層中央部における希土類元素R1の濃度M1および希土類元素R2の濃度M2をそれぞれ求め、その総濃度すなわち「M1+M2」を算出した。また、内部電極近傍における希土類元素R1の濃度M1および希土類元素R2の濃度M2をそれぞれ求め、その総濃度すなわち「M1+M2」を算出した。さらに、誘電体セラミック層中央部および内部電極近傍の各々における、希土類元素R1の濃度M1に対する希土類元素R2の濃度M2の割合すなわち「M1/M2」を算出した。
【0112】
表4には、上述のようにして求めた、誘電体セラミック層中央部および内部電極近傍の各々における「M1+M2」および「M1/M2」が示されている。
【0113】
【表4】
Figure 0003994719
【0114】
表4において示したイオン半径は、「R.D.Shannon:Acta Crystallogr.,A32,751(1976)」に示された数値に基づいている。
【0115】
また、表4において、「M1+M2」の数値は、ABO3 100モルに対してのモル比を示している。
【0116】
また、表4において、「M1/M2」の欄に*を付したものは、この発明の範囲から外れたものである。
【0117】
5.総合評価
まず、実施例1と比較例1との間で比較する。
【0118】
表4に示すように、実施例1においては、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は2.3であり、内部電極近傍での「M1/M2」は0.9であった。他方、比較例1においては、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は0.9であり、内部電極近傍での「M1/M2」は1.4であった。
【0119】
これに関して、表3に示したように、誘電率ε、CR積および温度特性については、実施例1と比較例1とは、ほぼ変わらない値、すなわち、ともに、誘電率が2700程度、CR積が4000程度の値を示し、温度特性については、EIA規格のX7R特性を満足していた。
【0120】
しかしながら、高温負荷寿命については、実施例1では、250時間と長い寿命を示したのに対して、比較例1では、37時間と短く、十分な信頼性が得られなかった。また、DC負荷経時変化率についても、実施例1では、−3.8%と小さく、比較例1の−10.7%と比較して、より良好な特性が得られた。
【0121】
次に、実施例2〜5においては、表4に示したように、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は1よりも大きい値を示し、かつ、内部電極近傍での「M1/M2」は1よりも小さい値を示した。
【0122】
また、表3に示したように、実施例2〜5においては、いずれも、温度特性が、EIA規格のX7R特性を満足し、高温負荷寿命が長く、信頼性に優れ、また、DC負荷経時変化率も小さかった。
【0123】
これらに対して、比較例2では、表4に示したように、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は0.5であり、内部電極近傍での「M1/M2」は0.6であった。比較例2では、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」が1よりも小さいため、表3に示すように、高温負荷寿命が21時間と短く、十分な信頼性が得られなかった。また、DC負荷経時変化率についても、−13.1%と大きい値を示した。また、温度特性についても、EIA規格のX7R特性を満足しなかった。
【0124】
比較例3では、表4に示したように、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は0.6であり、内部電極近傍での「M1/M2」は2.1であった。比較例3では、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」が1よりも小さく、かつ、内部電極近傍での「M1/M2」が1よりも大きいため、表3に示したように、温度特性が、EIA規格のX7R特性を満足しなかった。
【0125】
比較例4では、表4に示したように、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は6.3であり、内部電極近傍での「M1/M2」は3.4であった。比較例4では、内部電極近傍での「M1/M2」が1よりも大きいため、表3に示したように、DC負荷経時変化率が−11.3%と大きい値を示した。また、温度特性についても、EIA規格のX7R特性を満足しなかった。
【0126】
比較例5では、表4に示したように、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」は0.8であり、内部電極近傍での「M1/M2」は0.4であった。比較例5では、誘電体セラミック層中央部での「M1/M2」が1よりも小さく、かつ、内部電極近傍において局所的に希土類元素の濃度の高い部分があったため、表3に示したように、高温負荷寿命が2時間と短く、十分な信頼性が得られなかった。
【0127】
以上、この発明を積層セラミックコンデンサに関連して説明したが、積層された複数の誘電体セラミック層と、誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成される内部電極とを含む、積層体を備える、積層セラミック電子部品であれば、同様に、この発明を適用することができる。
【0128】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、誘電体セラミック層において、誘電率が高く、誘電率の温度変化および直流電圧印加下での経時変化が小さく、絶縁抵抗と静電容量との積(CR積)が高く、高温高電圧における絶縁抵抗の加速寿命が長い、という優れた特性を与えることができるので、このような誘電体セラミック層を薄層化しても、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0129】
したがって、この発明が積層セラミックコンデンサに適用された場合、誘電体セラミック層の薄層化による小型化かつ大容量化が可能になり、また、誘電体セラミック層を薄層化しても、積層セラミックコンデンサの定格電圧を下げる必要がない。その結果、たとえば、誘電体セラミック層の厚みを1μm前後にまで薄層化した、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを問題なく得ることができる。
【0130】
また、この発明によれば、誘電体セラミック層中央部における(M1+M2)/内部電極近傍における(M1+M2)が、(1/2)〜2の範囲になるように設定されるので、誘電体セラミック層を薄層化した場合であっても、局所的な電界集中による信頼性の低下や、直流電圧印加下での静電容量の経時変化の増大を確実に防止することができる。
【0131】
また、この発明に係る積層セラミック電子部品に備える誘電体セラミック層は、耐還元性誘電体セラミックからなるものであるので、積層セラミック電子部品の内部電極において、卑金属を導電成分として問題なく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【図2】図1に示した積層セラミックコンデンサ1の誘電体セラミック層3の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 誘電体セラミック層
4,5 内部電極
8,9 外部電極
14 誘電体セラミック層中央部
15 内部電極近傍

Claims (3)

  1. 積層された複数の誘電体セラミック層と、誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成される内部電極とを含む、積層体を備え、
    誘電体セラミック層の組成は、
    ABO3 (Aは、Ba、またはBaならびにその一部が置換されたCaおよびSrの少なくとも1種であり、Bは、Ti、またはTiならびにその一部が置換されたZrおよびHfの少なくとも1種である。)を主成分とし、
    副成分として、2種類の希土類元素R1およびR2(希土類元素R1は、Sm、Y、Gd、DyおよびHoから選ばれた少なくとも1種であり、希土類元素R2は、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれた少なくとも1種である。)を含み、
    希土類元素R1のイオン半径をr1とし、希土類元素R2のイオン半径をr2としたとき、r1>r2であり、
    希土類元素R1の濃度をM1とし、希土類元素R2の濃度をM2としたとき、誘電体セラミック層の厚み方向中央部である誘電体セラミック層中央部では、M1/M2>1であり、内部電極と誘電体セラミック層との界面から誘電体セラミック層側へ誘電体セラミック層の厚みの1/5だけ入り込んだ箇所である内部電極近傍では、M1/M2<1であり、
    誘電体セラミック層中央部における(M1+M2)/内部電極近傍における(M1+M2)は、(1/2)〜2である
    積層セラミック電子部品
  2. 内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成される外部電極をさらに備え、積層セラミックコンデンサを構成する、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 内部電極は、卑金属を導電成分として含む、請求項に記載の積層セラミック電子部品。
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