JP5454294B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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本発明は、容量形成用の内部電極が、誘電体セラミック層を介して積層された構造を有する積層セラミックコンデンサの製造方法に関し、詳しくは、内部電極に、誘電体セラミック層を構成するセラミックと同種のセラミックを含ませるようにした積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサは、例えば、図1に示すように、セラミック積層体(積層セラミック素子)10の内部に配設された内部電極12が、誘電体層であるセラミック層(誘電体セラミック層)11を介して積層され、かつ、セラミック積層体10の両端面には、交互に逆側の端面に露出した内部電極12と導通するように一対の外部電極13a,13bが配設された構造を有しており、小型で大きな容量を得ることができることから、種々の用途に広く用いられている。
このような積層セラミックコンデンサは、通常、内部電極形成用の導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを積層、圧着してなる未焼成のセラミック積層体を焼成する工程を経て製造される。そのため、焼成工程において、導電性ペーストとセラミックグリーンシートとの間の焼成収縮率の相違から、焼成後に形成される内部電極の連続性が低下して、電極切れや、誘電体セラミック層を介して対向する内部電極の対向面積(有効面積)の減少を招いたり、内部電極層と誘電体セラミック層との間の層間剥離を生じたりするおそれがある。
そこで、導電性ペーストの焼結収縮を抑制する目的で、誘電体セラミック層を構成するセラミック材料を共材として内部電極に添加することが知られているが、多量に共材を添加すると、内部電極の連続性の低下を招くという問題点がある。
そこで、共材を多量に添加した場合に生じるような内部電極の連続性の低下を招くことなく、高い静電容量を得ることが可能な積層セラミックコンデンサが得られるようにするために、内部電極形成用の導電性ペースト中のNi粉末100重量%に対して0.5〜3.0重量%のLaおよびCrの少なくとも何れかの酸化物粉末を含有させるようにした積層セラミックコンデンサの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。なお、この特許文献1においては、内部電極形成用の導電性ペーストに含有させるLaやCrの酸化物粉末の平均粒径を0.5〜1.0μmとすることが好ましいとされている。
そして、特許文献1によれば、導電性ペーストに含まれるLa23やCr23などの酸化物は、焼結制御効果を有するため、その分だけ導電性ペーストへの共材の添加量を少なくすることが可能で、しかも焼成した後、LaやCrの元素は、内部電極を形成している導体内部に析出することなく、積層された内部電極と誘電体セラミック層との界面に偏析するとされている。
しかしながら、特許文献1の積層セラミックコンデンサの製造方法において用いられている導電性ペースト(Niペースト)は、その段落0016に記載されているように、誘電体セラミック層を構成する材料である共材(BaTiO3などのセラミック)を含有するものであり、導電性ペースト中の共材は分散性が悪いため、焼結後、偏析が生じやすいという問題点がある。なお、偏析が生じると、内部電極のカバレッジ(被覆率)の低い箇所が形成され、それに起因する信頼性の低下(例えば、高温負荷試験における寿命特性の劣化など)や得られる静電容量の減少などの不具合が生じるという問題がある。
特開2000−269073号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、内部電極形成用の導電性ペーストとして、誘電体セラミック層を構成するセラミック材料と同種のセラミック材料を共材として含有する導電性ペーストを用いて、積層セラミックコンデンサを製造するにあたって、導電性ペーストへの共材の分散性を高め、焼成工程で共材の偏析が生じることを抑制して、内部電極のカバレッジが高く、特性の良好な積層セラミックコンデンサを効率よく製造することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、
一般式ABO3(AサイトはBaであって、Ba以外にSr,Ca,Mgからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、また、BサイトはTiであって、Ti以外にZrおよびHfからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、Oは酸素)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とする誘電体セラミック層を介して、
導電成分である卑金属粉末と、前記誘電体セラミック層を構成する前記ペロブスカイト型化合物と同じペロブスカイト型化合物を主成分とするセラミック粉末と、有機ビヒクルとを含む導電性ペーストを塗布、焼成することにより形成された内部電極が積層された構造を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、
前記内部電極の形成に用いられる前記導電性ペーストを構成する前記セラミック粉末として、
(a)前記誘電体セラミック層を構成する前記ペロブスカイト型化合物と同じペロブスカイト型化合物の粉末を、下記の式(1):
粉砕率X(%)=(粉砕後ペロブスカイト型化合物粉末の比表面積/粉砕前ペロブスカイト型化合物粉末の比表面積)×100 ……(1)
で表される粉砕率Xが、100<粉砕率X≦200となるように粉砕する第1粉砕工程と、
(b)第1粉砕工程で粉砕した前記ペロブスカイト型化合物粉末に、副成分粉末を混合して、前記副成分粉末を含む混合粉末とする混合工程と、
(c)前記混合工程で得た混合粉末を、下記の式(2):
粉砕率Y(%)=(粉砕後混合粉末の比表面積/粉砕前混合粉末の比表面積)×100 ……(2)
で表される粉砕率Yが、250≦粉砕率Y≦700となるように粉砕する第2粉砕工程と
を経て調製されたセラミック粉末を用いること
を特徴としている。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法においては、
前記(b)の工程でペロブスカイト型化合物粉末に混合される副成分粉末が、
(イ)下記のC,D,Rで表される成分を含み、かつ、
C:Si、LiおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種、
D:Mg、Mn、V、FeおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種、
R:La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,LuおよびYからなる群より選ばれる少なくとも1種
(ロ)前記C,D,Rで表される成分の前記セラミック粉末に対する割合が、前記セラミック粉末100モル部に対して、
C:0.1〜5モル部
D:0.1〜2モル部
R:0.1〜6モル部
の割合であることが望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法においては、内部電極の形成に用いられる前記導電性ペーストとして、導電成分としての卑金属粉末と、有機ビヒクルと、セラミック粉末(いわゆる共材)を含む導電性ペーストを用いるとともに、上記セラミック粉末として、(a)誘電体セラミック層を構成するペロブスカイト型化合物と同じペロブスカイト型化合物の粉末を、上記の式(1)で表される粉砕率Xが、100<粉砕率X≦200となるように粉砕する第1粉砕工程と、(b)第1粉砕工程で粉砕したペロブスカイト型化合物粉末に、副成分粉末を混合して混合粉末とする混合工程と、(c)混合工程で得た混合粉末を、上記の式(2)で表される粉砕率Yが、250≦粉砕率Y≦700となるように粉砕する第2粉砕工程とを経て調製されたセラミック粉末を用いるようにしているので、導電性ペーストに添加されるセラミック粉末(共材)が微粒になることに加え、副成分の分散性も非常に良好となることから、焼成工程でセラミック成分の偏析が生じることを抑制して、内部電極のカバレッジが高く、特性の良好な積層セラミックコンデンサを効率よく製造することが可能になる。
また、ペロブスカイト型化合物粉末に混合される副成分粉末として、C:Si、LiおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種、D:Mg、Mn、V、FeおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種、R:La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,LuおよびYからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いるとともに、(ロ)C,D,Rで表される成分のセラミック粉末に対する割合を、セラミック粉末100モル部に対して、C:0.1〜5モル部、D:0.1〜2モル部、R:0.1〜6モル部の割合とすることにより、高温負荷信頼性を向上させることが可能になる。
なお、上記副成分であるC,D,およびRには、それぞれ以下のような作用効果が期待される。
C:焼結時のガラス成分の軟化に伴う卑金属粒子間の濡れ性の向上
D:誘電体層への拡散による誘電体の価数安定化
R:誘電体層への拡散による誘電体の低抵抗成分の均一化
本発明の実施例において製造した積層セラミックコンデンサの一例を示す図である。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
(A)導電性ペーストに添加するセラミック粉末(共材)の調製
1)まず出発原料としてBaCO3,TiO2を用意した。そして、両者をBaTiO3の組成となるように秤量した後、ボールミルにより混合した。そして、得られた混合粉末を1150℃で熱処理し、BaTiO3粉末(ペロブスカイト型化合物粉末)を得た。なお、このBaTiO3粉末は、固相合成法により合成され、所望の粒径を得ることができる温度で熱処理したものである。
このBaTiO3粉末の平均粒径は0.15μm、BaとTiのモル比(Ba/Ti比)は1.0070であった。
2)それから、第1粉砕工程として、上記BaTiO3粉末を、ボールミルにより粉砕する工程を実施した。なお、第1粉砕工程においては、ボールミルによる加工時間(粉砕時間)をコントロールすることにより、第1粉砕工程における粉砕率Xを調整して、表1に示すような、粉砕率Xが異なる複数種類のBaTiO3粉末を作製した。
なお、第1粉砕工程における粉砕率Xは、下記の式(1)により求めた。
粉砕率X(%)=(粉砕後ペロブスカイト型化合物粉末(BaTiO 3 粉末)の比表面積/粉砕前ペロブスカイト型化合物粉末(BaTiO 3 粉末)の比表面積)×100 ……(1)
3)次に、上記第1粉砕工程で粉砕した後のBaTiO3粉末に、副成分粉末として、Dy23、SiO2、およびMnOを、mol%換算で、
100BaTiO3−1.5Dy−3.0Si−0.5Mn
となるように混合する混合工程を実施した。
4)さらに、第2粉砕工程として、上記混合工程で得た混合粉末を、ボールミルにより粉砕する工程を実施した。この第2粉砕工程においては、ボールミルによる加工時間(粉砕時間)をコントロールすることにより、第2粉砕工程における粉砕率Yを調整して、表1に示すような、粉砕率Yの異なる複数種類の粉末を作製した。
なお、第2粉砕工程における粉砕率Yは、下記の式(2)により求めた。
粉砕率Y(%)=(粉砕後混合粉末の比表面積/粉砕前混合粉末の比表面積)×100 ……(2)
なお、上記粉砕率Xおよび粉砕率Yを求める際に必要となる比表面積(SSA)は、BET法によって求めた。
そして、この第2粉砕工程において粉砕することにより得た粉末(表1の試料番号1〜8の試料(本発明の要件を備えていない比較例の試料)、および試料番号9〜12の試料(本発明の要件を備えた実施例の試料))をセラミック粉末(共材)として、下記の手順で内部電極形成用の導電性ペーストを作製した。
なお、ここで使用した主成分BaTiO3粉末は、固相合成法により合成され、所望の粒径が得られるような温度で熱処理することにより製造されたものであるが、水熱合成法、加水分解法などの他の方法で製造されたBaTiO3を用いることも可能であり、固相合成法により合成されたBaTiO3を用いた場合と同様のセラミック粉末を得ることができる。
また、BaTiO3製造用の素材、各添加成分の化合物形態は、酸化物,炭酸化合物に限らず、塩化物、金属有機化合物など他の化合物形態であってもよい。
また、副成分を添加した後のペロブスカイト型化合物(ABO3)の、AサイトとBサイトのmol比(A/B比)の好ましい範囲は、0.980〜1.020である。
(B)内部電極形成用の導電性ペーストの作製
平均粒径0.4μmのNi粉末45gと、上述の(A)の工程で作製したセラミック粉末5gとを、エチルセルロースをテルピネオールに溶解させた有機ビヒクル50g中に、3本ロールミルを使用して分散させることにより、内部電極形成用の導電性ペースト(Niペースト)を作製した。
なお、この実施例1においては、導電性粉末であるNi粉末と、上記セラミック粉末の配合比率を重量比で45:5(すなわち導電性粉末であるNi粉末とセラミック粉末の合計量に対するセラミック粉末の割合(含有率)が10重量%)となるようにしたが、内部電極の焼結収縮を抑制する効果を得るために好ましいセラミック粉末の含有率は、通常、5〜15重量%の範囲である。
(C)積層セラミックコンデンサの作製
上記(A)の「導電性ペーストに添加するセラミック粉末の調製」における第1粉砕工程に供したBaTiO3粉末(粉砕前のBaTiO3粉末)と同じBaTiO3粉末を用意した。
そして、このBaTiO3粉末に対し、Dy23、SiO2、MnOをmol%換算で、100BaTiO3−1.5Dy−3.0Si−0.5Mnとなるように混合し、誘電体セラミック層用のセラミック原料を得た。このセラミック原料は、上記 (B)の工程で、共材として作製したセラミック粉末と同じ組成のものである。
このセラミック原料に、エタノール、PVB系バインダーを加えて混合、分散し、セラミックスラリーを作製した。それから、このセラミックスラリーをシート成形し、セラミックグリーンシートを得た。
そして、このセラミックグリーンシートに、上記の内部電極形成用の導電性ペーストを印刷して、内部電極パターン(導電性ペースト層)を形成した。
それから、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを、内部電極パターンが交互に逆の端部側に引き出されるように複数枚積層し、未焼成の積層体を得た。
この積層体を、N2雰囲気中で熱処理して、バインダーを燃焼させた後、酸素分圧10-10MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中にて1250℃で焼成し、セラミック積層体(積層セラミック素子)を得た。
焼成後得られたセラミック積層体の両端面にB23−Li2O−SiO2−BaOガラスフリットを含有するCuペーストを塗布し、N2雰囲気中において800℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成することにより、図1に示すような構成を有する積層セラミックコンデンサを得た。
この積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、セラミック積層体(積層セラミック素子)10の内部に配設された内部電極12が、誘電体層であるセラミック層(誘電体セラミック層)11を介して積層され、かつ、セラミック積層体10の両端面には、交互に逆側の端面に露出した内部電極12と導通するように一対の外部電極13a,13bが配設された構造を有している。
なお、得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は幅:1.25mm,長さ:2.0mm,厚さ:1.0mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは3.0μmであった。
また、有効誘電体セラミック層の総数は10であり、一層当たりの内部電極の対向面積は1.6mm2であった。
(D)特性の評価
上述のようにして作製した積層セラミックコンデンサについて、内部電極のカバレッジを調べた。
内部電極のカバレッジは、積層セラミックコンデンサを内部電極に沿って剥離し、露出した内部電極を倍率500倍の顕微鏡で観察するとともに、倍率500倍の顕微鏡写真に撮り、画像解析処理を行うことによって、内部電極に形成されている貫通孔(内部電極に覆われていない領域)の面積と内部電極(前記貫通孔も含めて内部電極が配設されている領域全体)の面積との関係を定量化し、平均値を求めたものである(試料数100)。
上述のようにして求めた内部電極のカバレッジの値を表1に併せて示す。
Figure 0005454294
表1に示すように、
第1粉砕工程の粉砕率X:100<粉砕率X≦200、および、
第2粉砕工程で粉砕率Y:250≦粉砕率Y≦700
の要件の少なくとも一方を満たさない試料番号1〜8の試料(比較例の試料)の場合、内部電極のカバレッジが58%(試料番号7)〜76%(試料番号3)と低いことが確認された。
一方、表1に示すように、
第1粉砕工程の粉砕率X:100<粉砕率X≦200、および
第2粉砕工程での粉砕率Y:250≦粉砕率Y≦700
の要件の両方を満たす、本発明の実施例にかかる試料番号9〜12の試料の場合、内部電極のカバレッジが80%を超えることが確認された。
また、試料(積層セラミックコンデンサ)を断面研磨し、セラミック積層体の積層方向に沿う方向の断面について、WDX(波長分散型X線分析装置)により元素マッピングを行い、内部電極の占める面積のうち、セラミック成分の検出された面積の割合(面積比率(%))を求めた。
その結果、本発明の要件を備えていない試料番号1〜8の試料(比較例の試料)では、内部電極に占めるセラミック成分の面積の割合が、上記面積比率(%)で1〜10%と大きかったが、本発明の要件を備えた試料番号9〜12の試料(実施例の試料)の場合、内部電極に占めるセラミック成分の面積の割合が、上記面積比率(%)で0.1〜1%と大幅に小さくなっていることが確認された。
この実施例2では、導電性ペーストに配合するセラミック粉末として、表2A,表2Bに示す各種の原料誘電体セラミック粉末に、副成分として、表2A,表2Bに示すような所定の成分を添加してなるセラミック粉末を調製し、このセラミック粉末を共材として含有する導電性ペーストを調製した。
そして、この導電性ペーストを用いて形成された内部電極を備えた積層セラミックコンデンサを作製した。
以下に説明する。
(A)導電性ペーストに添加するセラミック粉末(共材)の調製
1)まず出発原料としてBaCO3,CaCO3,SrCO3,MgCO3,TiO2を準備して、規定のペロブスカイト型化合物組成になるように秤量した後、ボールミルにより混合し、1150℃で熱処理し、ペロブスカイト型化合物粉末を得た。平均粒径は0.20μm、AサイトとBサイトのmol比(A/B比)は1.0060であった。
2)そして、このペロブスカイト型化合物粉末をボールミルにより粉砕する第1粉砕工程を実施した。
3)次に、混合工程として、粉砕したペロブスカイト型化合物粉末に、添加成分としてC(=Si、LiおよびBのいずれか1種)、D(=Mg、Mn、V、FeおよびCrのいずれか1種)、およびR(=La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,LuおよびYのいずれか1種)をmol%換算で、
100ABO3−2.0R−1.2C−0.5D
の組成となるように混合する混合工程を実施した。
4)それから、第2粉砕工程として、上記混合工程で得た混合粉末を、ボールミルにより粉砕する工程を実施することにより、セラミック粉末(共材)を作製した。
(B)内部電極形成用の導電性ペーストの作製
上記(A)の工程で作製したセラミック粉末を共材とし、実施例1と同じ方法で内部電極形成用の導電性ペースト(Niペースト)を作製した。
(C)積層セラミックコンデンサの作製
誘電体セラミック層を形成するためのセラミック原料として、上記(A)の工程で作製したセラミック粉末(共材)と同じ組成のセラミック原料であって、上記(A)の工程における第1粉砕工程および第2粉砕工程を経ていないセラミック原料を用い、上記実施例1の場合と同じプロセスおよび条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
(D)特性の評価
そして、得られた積層セラミックコンデンサについて、実施例1の場合と同じ方法で内部電極のカバレッジを調べた。
また、得られた積層セラミックコンデンサについて、高温負荷寿命試験を行った。なお、高温負荷寿命試験は、温度125℃にて、電界強度が10kV/mmになるように電圧を印加して、絶縁抵抗の経時変化を測定した。
高温負荷寿命試験は100個の試料について行い、1000時間および2000時間を経過するまでに、絶縁抵抗値が200kΩ以下になった試料を不良と判定した。
特性の測定結果を表2A,表2Bに示す。
Figure 0005454294
Figure 0005454294
表2A,表2Bに示すように、副成分についての本発明の要件を備えていない試料番号13〜18の試料(比較例の試料)の場合、カバレッジの値は良好であったが、高温負荷寿命試験では1000時間における故障の発生は認められなかったものの、2000時間では故障の発生が認められた。
一方、添加成分に関する本発明の要件を備えた試料番号19〜33の試料(実施例の試料)の場合、十分な内部電極のカバレッジが得られるとともに、1000時間の高温負荷寿命試験で故障の発生が認められないことはもちろん、2000時間の高温負荷寿命試験においても故障の発生は認められなかった。
この実施例3では、表3に示すように、原料誘電体セラミックであるBaTiO3に、副成分として、表3に示すような所定の成分を、表3に示すような割合で添加してなるセラミック粉末を調製し、このセラミック粉末を共材として含有する導電性ペーストを調製した。
そして、この導電性ペーストを用いて形成された内部電極を備えた積層セラミックコンデンサを作製した。
以下に説明する。
(A)導電性ペーストに添加するセラミック粉末(共材)の調製
1)まず出発原料としてBaCO3,TiO2を用意した。そして、両者をBaTiO3の組成となるように秤量した後、ボールミルにより混合した。そして、得られた混合粉末を1150℃で熱処理し、BaTiO3粉末(ペロブスカイト型化合物粉末)を得た。なお、このBaTiO3粉末は、固相合成法により合成され、所望の粒径が得られる温度で熱処理されたものである。
このBaTiO3粉末の平均粒径は0.13μm、BaとTiのモル比(Ba/Ti比)は1.0080であった。
2)そして、このペロブスカイト型化合物粉末をボールミルにより粉砕する第1粉砕工程を実施した。
3)次に、粉砕したペロブスカイト型化合物粉末に、添加成分としてC(=Si、LiおよびBのいずれか1種)、D(=Mg、Mn、V、およびFeのいずれか1種)、およびR(=Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,Er,Yb,LuおよびYのいずれか1種)を、表3に示すような所定の割合となるように混合する混合工程を実施した。
4)それから、第2粉砕工程として、上記混合工程で得た混合粉末を、ボールミルにより粉砕する工程を実施することにより、セラミック粉末(共材)を作製した。
(B)内部電極形成用の導電性ペーストの作製
上記(A)で作製したセラミック粉末を共材とし、実施例1と同じ方法で内部電極形成用の導電性ペースト(Niペースト)を作製した。
(C)積層セラミックコンデンサの作製
誘電体セラミック層を形成するためのセラミック原料として、上記(A)の「導電性ペーストに添加するセラミック粉末(共材)の調製」の工程で作製した共材と同じ組成のセラミック原料であって、上記(A)の工程における第1粉砕工程および第2粉砕工程を経ていないセラミック原料を用い、上記実施例1の場合と同じプロセス、条件で積層セラミックコンデンサを作製した。
(D)特性の評価
そして、得られた積層セラミックコンデンサについて、実施例1の場合と同じ方法で内部電極のカバレッジを調べた。
また、得られた積層セラミックコンデンサについて、高温負荷寿命試験を行った。なお、高温負荷寿命試験は、温度125℃にて、電界強度が10kV/mmになるように電圧を印加して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。
高温負荷寿命試験は100個の試料について試験を行い、1000時間および2000時間を経過するまでに、絶縁抵抗値が200kΩ以下になった試料を不良と判定した。
特性の測定結果を表3に示す。
Figure 0005454294
表3に示すように、副成分の添加量に関し、本発明の要件を備えていない試料番号34〜39の試料(比較例の試料)の場合、カバレッジの値は81%〜92%と良好であったが、高温負荷寿命試験では1000時間における故障の発生は認められなかったものの、2000時間では故障の発生が認められた。
一方、副成分の添加量に関し、本発明の要件を備えた、試料番号40〜42の試料(実施例の試料)の場合、内部電極のカバレッジの値は84%〜90%と十分に良好であるとともに、2000時間の高温負荷寿命試験においても故障が発生しないことが確認された。
なお、上記実施例では、内部電極(を形成するための導電性ペースト)を構成する導電材料がNiである場合を例にとって説明したが、内部電極を構成する導電材料としては、場合によってはNi以外の金属材料や、Niと他の金属の合金材料などを用いることも可能である。
また、積層セラミックコンデンサの構成、例えば、積層セラミックコンデンサの外形寸法、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚み、有効誘電体セラミック層の総数、一層当たりの内部電極の対向面積などについても、上記実施例に限定されるものではなく、任意に変形を加えることが可能である。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、積層セラミックコンデンサを構成するセラミック誘電体の具体的な組成、内部電極を構成する導電材料の種類などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
10 セラミック積層体(積層セラミック素子)
11 セラミック層(誘電体セラミック層)
12 内部電極
13a,13b 外部電極

Claims (2)

  1. 一般式ABO3(AサイトはBaであって、Ba以外にSr,Ca,Mgからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、また、BサイトはTiであって、Ti以外にZrおよびHfからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、Oは酸素)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とする誘電体セラミック層を介して、
    導電成分である卑金属粉末と、前記誘電体セラミック層を構成する前記ペロブスカイト型化合物と同じペロブスカイト型化合物を主成分とするセラミック粉末と、有機ビヒクルとを含む導電性ペーストを塗布、焼成することにより形成された内部電極が積層された構造を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、
    前記内部電極の形成に用いられる前記導電性ペーストを構成する前記セラミック粉末として、
    (a)前記誘電体セラミック層を構成する前記ペロブスカイト型化合物と同じペロブスカイト型化合物の粉末を、下記の式(1):
    粉砕率X(%)=(粉砕後ペロブスカイト型化合物粉末の比表面積/粉砕前ペロブスカイト型化合物粉末の比表面積)×100 ……(1)
    で表される粉砕率Xが、100<粉砕率X≦200となるように粉砕する第1粉砕工程と、
    (b)第1粉砕工程で粉砕した前記ペロブスカイト型化合物粉末に、副成分粉末を混合して、前記副成分粉末を含む混合粉末とする混合工程と、
    (c)前記混合工程で得た混合粉末を、下記の式(2):
    粉砕率Y(%)=(粉砕後混合粉末の比表面積/粉砕前混合粉末の比表面積)×100 ……(2)
    で表される粉砕率Yが、250≦粉砕率Y≦700となるように粉砕する第2粉砕工程と
    を経て調製されたセラミック粉末を用いること
    を特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  2. 前記(b)の工程でペロブスカイト型化合物粉末に混合される副成分粉末が、
    (イ)下記のC,D,Rで表される成分を含み、かつ、
    C:Si、LiおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種、
    D:Mg、Mn、V、FeおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種、
    R:La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,LuおよびYからなる群より選ばれる少なくとも1種
    (ロ)前記C,D,Rで表される成分の前記セラミック粉末に対する割合が、前記セラミック粉末100モル部に対して、
    C:0.1〜5モル部
    D:0.1〜2モル部
    R:0.1〜6モル部
    の割合であること
    を特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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