JP4455558B2 - スピンmosfet - Google Patents

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Description

本発明は、スピンMOSFETに関する。
近年、スピンMOSFETなどの新しい機能を有するデバイスの研究開発が盛んに行なわれている。その一つとして、ソース/ドレイン領域が磁性体から構成されるスピンMOSFETがある。スピンMOSFETの特徴は、ソース/ドレイン領域の磁性体のスピンモーメントの方向を反転するだけで、その出力特性を制御できる点にあり、これを用いると、リコンフィギュラブル(re-configurable)な機能を有するとともに増幅機能を有するスピンMOSFET、リコンフィギュラブルな論理回路を構成することが可能である。
しかし、リコンフィギュラブルな機能を有しかつ増幅機能を有するスピンMOSFET、リコンフィギュラブルな論理回路を実用化するためには、2大課題を克服する必要がある。
一つは、ソース/ドレイン領域の磁性体のスピンモーメントの方向を反転する書込み時の電流を低減すること、もう一つは、スピンモーメントの方向を反転したときの出力特性の差を大きくすることである。
一番目の課題を解決するために、スピン注入法による書き込み方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。スピン偏極した電流をスピン注入することによってスピン反転することが観測されている。しかし、スピン注入法をスピントンネル素子に応用した場合、トンネル絶縁膜のブレークダウン等の素子破壊の問題があり、素子の信頼性に問題があった。また、最終的な課題としては、スケーラビリティを確保するために、微細化した時に熱揺らぎの影響を受けない構造でかつ低電流密度でスピン注入反転を実現しなければいけない。
スピン注入法による書き込みを行っても、素子破壊の無い程度の書き込み時の電流密度が小さく、熱揺らぎ耐性を有し、低電流密度で反転するスピンメモリを提供することが必要であった。
二番目の課題を解決するために、磁性体としてハーフメタルを用いることが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。ハーフメタルを用いた場合も、まだ、出力差は十分とはいえず、更なる出力差の増大が課題として挙げられる。
米国特許第6,256,223号明細書 APL84(2004)2307.
以上説明したように、これまでに、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFET構造は得られていない。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられたトンネル絶縁体からなる第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備えたことを特徴とする。
また、本発明の第2の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備え、書き込み時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備え、書き込み時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とする。
また、本発明の第4の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備え、前記磁化自由層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造を含み前記強磁性層間に反強磁性結合を有し、前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが反平行で、かつ書き込み時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備え、前記磁化自由層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造を含み前記強磁性層間に反強磁性結合を有し、前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが平行で、かつ書き込み時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とする。
また、本発明の第6の態様によるスピンMOSFETは、半導体基板と、前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着されたハーフメタル強磁性層を有する第1強磁性層、この第1強磁性層上に設けられCoFe層を含む第2強磁性層を有する第1磁性膜と、前記第1磁性膜の第2強磁性層上に設けられた第1反強磁性層と、前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変のハーフメタル強磁性層を有する磁化自由層、この磁化自由層上に設けられたトンネル絶縁層、このトンネル絶縁層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層、この磁化固着層上に設けられCoFe層を含む第3強磁性層、および第3強磁性層上に設けられた第2反強磁性層を有する第2磁性膜と、前記第1および第2磁性膜の間の前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、備えたことを特徴とする。
本発明によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に至った経緯を説明する。
本発明者達は、図1に示すようなスピンMOSFETのテスト試料を作成した。このスピンMOSFETは、n型シリコン基板2上に離間してMgOからなる一対のトンネル絶縁膜4が形成され、この一対のトンネル絶縁膜4の一方の上に磁化20Aの向きが固着されたCoFeBからなる磁性層を有する第1磁性膜6が形成され、他方のトンネル絶縁膜4上に磁化20Bの向きが可変のCoFeBからなる磁性層(磁化自由層)を有する第2磁性膜8が形成されている。また、一対のトンネル絶縁膜の間のシリコン基板2上にはMgOからなるゲート絶縁膜10が形成され、このゲート絶縁膜10上にCoFeBからなるゲート電極12が形成されている。このスピンMOSFETにおいて、第1磁性膜6および第2磁性膜8の一方がソースとなり、他方がドレインとなる。そして、ゲート電極12にゲート電圧を印加すると、スピン偏極された電流22がソースからチャネル領域を通してドレインに流れる。
上記テスト試料のスピンMOSFETにゲート電圧Vgを0.4V、0.8V、1.2Vを印加し、ソース/ドレイン間の磁気抵抗変化率を測定した結果を図2(a)、2(b)、2(c)に示す。なお、この測定は室温で行った。図2(a)、2(b)、2(c)において、横軸は外部磁界を表し、縦軸はソース/ドレイン間の抵抗を示す。0.4Vのゲート電圧Vgを印加した場合は正の磁気抵抗効果を示し(図2(a))、0.8Vのゲート電圧Vgを印加した場合は負の磁気抵抗効果を示し(図2(b))、1.2Vのゲート電圧Vgを印加した場合は正の磁気抵抗効果を示す(図2(c))。このことは、ゲート電圧Vgの大きさに伴って磁気抵抗変化の符号が変化することを示している。この現象は、半導体に注入された電子スピンは、スピン軌道相互作用により回転するが、その回転がゲート電圧で制御可能なことを示している。この知見に基づいて、本発明者達は本発明の各実施形態のスピンMOSFETを得た。なお、正の磁気抵抗効果は、ソースおよびドレインの一方から半導体領域(チャネル領域)に注入されたスピン偏極された電子のスピンが半導体領域(チャネル領域)を通過する間に180°変化し、他方に伝わることを意味し、負の磁気抵抗効果は、ソースおよびドレインの一方からチャネル領域に注入されたスピン偏極された電子のスピンが回転されずそのままに他方に伝わることを意味している。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるスピンMOSFETの断面を図3に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、例えばシリコンからなる半導体基板2に、ソース/ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1磁性膜6と、ソース/ドレインの他方となる磁化の向きが可変な磁性層を含む第2磁性膜8とが離間して形成されている。第1および第2磁性膜6,8と半導体基板との接合面にはトンネル絶縁膜4が形成されている。第1および第2磁性膜6,8間の半導体基板2の領域3(チャネル領域3)上にはゲート絶縁膜10が形成され、このゲート絶縁膜10上にゲート電極12が形成されている。また、第1磁性膜の磁化の向きを固着する反強磁性層7が第1磁性膜6上に形成されている。なお、図1において、Iはスピン注入電流を示す。
本実施形態においては、第1磁性膜6は単層の強磁性層からなり、第2磁性膜8は強磁性層と非磁性層とが交互に積層された積層構造を有している。第2磁性膜8の第1具体例の構成を図4(a)に示す。この第1具体例の第2磁性膜8は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、および反強磁性層9が順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層8、非磁性層8、強磁性層8がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層9によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層8と強磁性層8とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8として第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7および反強磁性層9は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6の強磁性層、第2磁性膜8の強磁性層8、8の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜8の第2具体例の構成を図4(b)に示す。この第2具体例の磁性膜8は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8および反強磁性層9が順次積層された構造となっている。第2磁性膜8として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7と反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
第2磁性膜8として、図4(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6の強磁性層6および第2磁性膜8の強磁性層8、8、8の磁化(スピン)の向きを図5に示す。すなわち、本実施形態においては、第1磁性膜6の磁化の向きと、磁化固着層の磁化の向き8、8が逆(反平行)である。なお、本明細書では、磁化固着層の磁化の向きとは、磁化自由層に一番近い強磁性層(本実施形態では強磁性層8)の磁化の向きを意味し、第1磁性膜6の磁化の向きとは、チャネル3に電子が流れ込む強磁性層の磁化の向きを指すが、第1磁性膜6が複数の強磁性層が積層された多層構造の場合は、第1磁性膜6の最下層で半導体基板に一番近い強磁性層(例えば、後述する第2実施形態では強磁性層6)の磁化の向きを意味する。
本実施形態のスピンMOSFETにおいて、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンの向きが変化しないゲート電圧を用いる。本実施形態では、強磁性層8の磁化の向きを図5に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6の磁化固着層となる強磁性層の磁化の向きと反対(反平行)となるスピン配置となっているので、磁化自由層となる強磁性層8のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと反平行な場合には第1磁性膜6側からスピン偏極された電子をチャネル3に注入すれば、チャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンは向きが変化せず、強磁性層8に伝わり、スピントルクが強磁性層8に働く。さらに、強磁性層8を通過した電子は強磁性層8によって反射されて、強磁性層8に流入する。これにより、磁化自由層となる強磁性層8に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。また、磁化自由層となる強磁性層8のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと平行な場合には強磁性層8側からスピン偏極された電子を、磁化自由層となる強磁性層8を介してチャネル3に注入すれば、強磁性層8によってスピン偏極された電子は、磁化自由層となる強磁性層8に伝わりスピントルクが強磁性層8に働く。さらにさらに、強磁性層8を通過した電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが変化されずに強磁性層6に伝わり、この強磁性層6によって反射される。この反射された電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが変化されずに強磁性層8に伝わる。これにより、磁化自由層となる強磁性層8に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。すなわち、書き込みの際に負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、磁化自由層となる強磁性層8に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する間に電子のスピンの向きが180°変化するゲート電圧を用いる。図5に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転される。このため、磁化自由層となる強磁性層8のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転されない場合(負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が高くなる。このとき、強磁性層8、8の磁化の向きは反平行であるため、強磁性層8、8間の抵抗は、強磁性層8、8の磁化の向きが平行である場合に比べて高い。
また、磁化自由層となる強磁性層8のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと反平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転されない場合(負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が低くなる。このとき、強磁性層8、8の磁化の向きは平行であるため、強磁性層8、8間の抵抗は、強磁性層8、8の磁化の向きが反平行である場合に比べて低い。
このため、本実施形態のように、読み出し時に正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる場合に比べて、磁化自由層となる強磁性層8の磁化の向きが異なる状態における、チャネル3の抵抗と、強磁性層8、8間の抵抗との和の差が大きくなる。すなわち、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため、読み出し出力が大幅に増大されることになる。
書き込み時、読み出し時の好ましいゲート電圧は、基板の種類、基板へのドープ量により変化するため、適宜調整する必要があるが、基板の種類、基板へのドープ量を一定のものを用いれば、その値は一定となる。また、本実施形態においては、半導体基板2と第1および第2磁性膜6,8との間にトンネル絶縁膜4が設けられているので、半導体と磁性体の拡散が抑えられる他、磁性体として抵抗が小さな材料を用いても図2(a)、2(b)、2(c)に示したように室温においてチャネル領域3を介した磁気抵抗変化率が観測でき、特性が向上する。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
本実施形態において、第1および第2磁性膜の強磁性層の磁性材料としては、特に制限は無く、Ni−Fe合金、Co−Fe合金、Co−Fe−Ni合金、または、(Co,Fe)−(B)、(Co,Fe,Ni)−(B)、(Co,Fe,Ni)−(B)−(P,Al,Mo,Nb,Mn)系またはCo−(Zr,Hf,Nb,Ta,Ti)系などのアモルファス材料、Co−Cr−Fe−Al系、Co−Cr−Fe−Si系、Co−Mn−Si系、Co−Mn−Alなどのホイスラー材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の薄膜、FeSi系などのFeとSiの固層拡散で作製できるハーフメタル材料などの薄膜またはそれら多層膜で構成された材料を用いることができる。
なお、後述するトンネル絶縁膜4を有しないショットキー型スピンMOSFETの場合は、強磁性層の磁性材料の抵抗は大きいほうが好ましく、(Co,Fe)−(B)、(Co,Fe,Ni)−(B)、(Co,Fe,Ni)−(B)−(P,Al,Mo,Nb,Mn)系またはCo−(Zr,Hf,Nb,Ta,Ti)系などのアモルファス材料、Co−Cr−Fe−Al系、Co−Cr−Fe−Si系、Co−Mn−Si系、Co−Mn−Alなどのホイスラー材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の薄膜、FeSi系などのFeとSiの固層拡散で作製できるハーフメタル材料などを用いることが好ましい。
また、磁化固着層としては、一方向異方性を、磁化自由層としては、一軸異方性を有することが望ましい。またその厚さは0.1nmから100nmが好ましい。さらに、これらの強磁性層の膜厚は、超常磁性にならない程度の厚さが必要であり、0.4nm以上であることがより望ましい。
また、これら磁性材料には、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、B(ボロン)などの非磁性元素を添加して磁気特性を調節したり、その他、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。特に、トンネル絶縁膜に近い強磁性層にはMR(磁気抵抗)が大きくなるCo−Fe,Co−Fe−Ni、FeリッチNi−Feを用い、トンネル絶縁膜と接していない強磁性層にはNiリッチNi−Fe,NiリッチNi−Fe−Coなどを用いるとMRを大きく保ったまま,スイッチング磁界を低減でき、より好ましい。
また、非磁性層8の材料としては、Cu、Ag、Auなどの金属元素またはこれら合金、または、AlOx、MgOなどの酸化物を用いることができる。特に、Al(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)などの酸化物トンネル絶縁膜を用いると読み出し時の出力がより大きくなり好ましい。
非磁性層8の材料としてトンネル絶縁膜を用いる場合に、磁化固着層6と磁化自由層8との間に設けられる絶縁層(あるいは誘電体層)としては、その他、SiO(酸化シリコン)、AlN(窒化アルミニウム)、Bi(酸化ビスマス)、MgF(フッ化マグネシウム)、CaF(フッ化カルシウム)、SrTiO(酸化チタン・ストロンチウム)、AlLaO(酸化ランタン・アルミニウム)、Al−N−O(酸化窒化アルニウム)などの各種の絶縁体(誘電体)を用いることができる。
これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、あるいは過不足が存在していてもよい。また、この絶縁層(誘電体層)の厚さは、トンネル電流が流れる程度に薄い方が望ましく、実際上は、10nm以下であることが望ましい。
また、非磁性材料8は、Ru、Rh、Irまたはこれら合金を用いることが好ましい。これらの材料を用いると、磁化固着層8,8,8の磁化が安定に固着される。
より具体的には、強磁性層を一方向に固着する方法として、Co(Co−Fe)/Ru(ルテニウム)/Co(Co−Fe)、Co(Co−Fe)/Ir(イリジウム)/Co(Co−Fe)、Co(Co−Fe)/Os(オスニウム)/Co(Co−Fe)、Co(Co−Fe)/Re(レニウム)/Co(Co−Fe)、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Ru(ルテニウム)/Co−Fe、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Ir(イリジウム)/Co−Fe、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Os(オスニウム)/Co−Fe、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Re(レニウム)/Co−Feなどの3層構造の積層膜を用いる。これら積層膜を磁化固着層として用いる場合は、さらに、これに隣接して反強磁性層を設けることが望ましい。この場合の反強磁性層としても、前述したものと同様に、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Ir−Mn、NiO、Feなどを用いることかできる。この構造を用いると、磁化固着層の磁化がビット線やワード線からの電流磁界の影響をより受け難く、しっかりと磁化が固着される。また、磁化固着層からの漏洩磁界(stray field)を減少(あるいは調節)でき、磁化固着層を形成する2層の強磁性層の膜厚を変えることにより,磁化自由層の磁化シフトを調整することができる。さらに、この強磁性層の膜厚は、超常磁性にならない程度の厚さが必要であり、0.4nm以上であることがより望ましい。非磁性材料としては、Rh(ロジウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスニウム),Re(レニウム)、Ir(イリジウム)またはそれら合金を用いることができる。
磁化自由層においても、これら磁性体に、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスニウム)、Re(レニウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの非磁性元素を添加して磁気特性を調節したり、その他、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
また、反強磁性膜は、PtMn,Ir−Mn,FeMn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mnを用いることができる。
また、トンネル絶縁膜4としては、Al(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)などの酸化物を用いることができる。特に、トンネル絶縁膜4にMgOを用いた場合は、このトンネル絶縁膜4上に形成される磁性層6、8をエピタキシャル成長で形成することが可能となり、磁気特性が良好となる。
また、半導体基板としては、Si、Geなどの半導体、GaAs、ZnSeなどの化合物半導体からなる基板を用いても良いし、表面がSi、GeなどのIV族の半導体、GaAs、ZnSeなどのIII−V族、II−VI族の化合物半導体からなる基板を用いても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるスピンMOSFETの断面を図6に示す。
本実施形態のスピンMOSFETは、図3に示す第1実施形態のスピンMOSFETにおいて、反強磁性層7を削除し、第1磁性膜6を、単層の強磁性層から図7(a)に示すように、強磁性層6、非磁性層6、強磁性層6の積層構造からなるシンセティックな磁化固着層と、この磁化固着層の磁化の向きを固着させる反強磁性層6aとの積層構造を有する第1磁性膜6Aに置き換えた構成となっている。なお、強磁性層6と強磁性層6とは非磁性層6を介して反強磁性結合をしている。
本実施形態における第2磁性膜8の第1具体例としては、図7(b)に示すように、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、および反強磁性層9が順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層8、非磁性層8、強磁性層8、非磁性層8、および強磁性層8がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層9によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層8、強磁性層8と、強磁性層8は非磁性層8および非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8として第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層9は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6、第2磁性膜8の強磁性層8、8、8の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜8の第2具体例の構成を図7(c)に示す。この第2具体例の第2磁性膜8は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8、および反強磁性層9が順次積層された構造となっている。この第2具体例においては、強磁性層8、非磁性層8、強磁性層8がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層9によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層8と強磁性層8とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜8の第3具体例の構成を図7(d)に示す。この第3の具体例の第2磁性膜は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)8、非磁性層8、磁化の向きが固着された強磁性層8および反強磁性層9が順次積層された構造となっている。第2磁性膜8として第3具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層9は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6、第2磁性膜8の強磁性層8、8の磁化の向きを固着することができる。
第2磁性膜8として図7(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜8の強磁性層8、8、8、8の磁化の向きを図8に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいて、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このとき、強磁性層8の磁化の向きを図8に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6Aの強磁性層6の磁化の向きと反対(反平行)となるスピン配置を用いると磁化自由層となる強磁性層8に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。図8に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
書き込み時、読み出し時の好ましいゲート電圧は、基板の種類、基板へのドープ量により変化するため、適宜調整する必要があるが、基板の種類、基板へのドープ量を一定のものを用いれば、その値は一定となる。また、本実施形態においては、半導体基板2と第1および第2磁性膜6A、8との間にトンネル絶縁膜4が設けられているので、半導体と磁性体の拡散が抑えられる他、磁性体として抵抗が小さな材料を用いても図2(a)、2(b)、2(c)に示したように室温においてチャネル領域3を介した磁気抵抗変化率が観測でき、特性が向上する。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層6、8、8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6A、8の強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態によるスピンMOSFETの断面を図9に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図3に示す第1実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第2磁性膜8の具体的な構成も第1実施形態と同様に、図4(a)または図4(b)に示す多層構造を有している。第2磁性膜8が図4(a)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6の強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8、8、8との磁化の向きは第1実施形態と同様に、図5に示すようになっている。
第1実施形態と同様に、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第1実施形態と同様に、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第1実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態によるスピンMOSFETの断面を図10に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図6に示す第2実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第2実施形態と同様に、第1磁性膜6Aの具体的な構成は図7(a)に示す多層構造を有しており、第2磁性膜8の具体的な構成も図7(b)乃至図7(d)のいずれかに示す多層構造を有している。第1磁性膜6Aが図7(a)に示す多層構造を有し、第2磁性膜8が図7(b)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6、6と、第2磁性膜の強磁性層8、8、8、8との磁化の向きは第2実施形態と同様に、図8に示すようになっている。
第2実施形態と同様に、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第2実施形態と同様に、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第2実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態によるスピンMOSFETの断面を図11に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図3に示す第1実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜8を強磁性層と非磁性層とが交互に積層された積層構造を有している第2磁性膜18に置き換えた構成となっている。この第2磁性膜18は、第1具体例として例えば図12(a)に示すように、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18と強磁性層18とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18として第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7と反強磁性層19とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜18の第2具体例の構成を図12(b)に示す。この第2具体例の磁性膜18は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。第2磁性膜8として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7および反強磁性層19は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6の強磁性層、第2磁性膜18の強磁性層18の磁化の向きを固着することができる。
第2磁性膜18として、図12(a)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性
膜6の強磁性層および第2磁性膜8の磁性層18、18、18の磁化の向きを図13に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいて、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する際にスピン偏極された電子のスピンが180°回転するゲート電圧を用いる。本実施形態においては、強磁性層18の磁化の向きが図13に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6の磁化固着層となる強磁性層の磁化の向きと同じ(平行)となるスピン配置となっているので、磁化自由層となる強磁性層18のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと平行な場合には第1磁性膜6側からスピン偏極された電子をチャネル3に注入すれば、チャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンは向きが180°回転されて、強磁性層18に伝わり、スピントルクが強磁性層18に働く。さらに、強磁性層18を通過した電子は強磁性層18によって反射され、強磁性層18に流入する。これにより、磁化自由層となる強磁性層18に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。また、磁化自由層となる強磁性層18のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと反平行な場合には強磁性層18側からスピン偏極された電子を、磁化自由層となる強磁性層18を介してチャネル3に注入すれば、強磁性層18によってスピン偏極された電子は、磁化自由層となる強磁性層18に伝わりスピントルクが強磁性層18に働く。さらに、強磁性層18を通過した電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが180°回転されて強磁性層6に伝わり、この強磁性層6によって反射される。この反射された電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが再度180°回転されて強磁性層18に伝わる。これにより、磁化自由層となる強磁性層18に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。すなわち、書き込みの際に正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、磁化自由層となる強磁性層18に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンの向きは変化しないゲート電圧を用いる。図13に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが変化しない。このため、磁化自由層となる強磁性層18のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転される場合(正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が低くなる。このとき、強磁性層18、18の磁化の向きは平行であるため、強磁性層18、18間の抵抗は、強磁性層18、18の磁化の向きが反平行である場合に比べて低い。
また、磁化自由層となる強磁性層18のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと反平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転される場合(正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が高くなる。このとき、強磁性層18、18の磁化の向きは反平行であるため、強磁性層18、18間の抵抗は、強磁性層18、18の磁化の向きが平行である場合に比べて高い。
このため、本実施形態のように、読み出し時に負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる場合に比べて、磁化自由層となる強磁性層18の磁化の向きが異なる状態における、チャネル3の抵抗と、強磁性層18、18間の抵抗との和の差が大きくなる。すなわち、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6、18の強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第5実施形態によるスピンMOSFETの断面を図14に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図6に示す第2実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜8を強磁性層と非磁性層とが交互に積層された積層構造を有している第2磁性膜18に置き換えた構成となっている。
本実施形態の第1磁性膜6Aは図15(a)に示すように、強磁性層6、非磁性層6、強磁性層6の積層構造からなるシンセティックな磁化固着層と、この磁化固着層の磁化の向きを固着させる反強磁性層6aとの積層構造となっている。なお、強磁性層6と強磁性層6とは非磁性層6を介して反強磁性結合をしている。
また、本実施形態における第2磁性膜18の第1具体例としては、図15(b)に示すように、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18、非磁性層18、および強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18、強磁性層18と、強磁性層18は非磁性層18および非磁性層18を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18として第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層19とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜18の第2具体例の構成を図15(c)に示す。この第2具体例の第2磁性膜18は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18、および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。この第2具体例においては、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18と強磁性層18とは非磁性層18を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層19は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6、第2磁性膜18の強磁性層18、18の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜18の第3具体例の構成を図15(d)に示す。この第3具体例の第2磁性膜18は、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。第2磁性膜18として第3具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層19とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
第2磁性膜18として図15(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜8の磁性層8、8、8、8の磁化の向きを図16に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいて、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このとき、強磁性層18の磁化の向きを図16に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6Aの強磁性層6の磁化の向きと同じ(平行)となるスピン配置を用いると磁化自由層となる強磁性層18に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、図2(b)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。図16に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層6、18、18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6A、18の強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態によるスピンMOSFETの断面を図17に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図11に示す第5実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第2磁性膜18の具体的な構成も第5実施形態と同様に、図12(a)または図12(b)に示す多層構造を有している。第2磁性膜18が図12(a)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6の強磁性層6と、第2磁性膜の強磁性層18、18、18との磁化の向きは第5実施形態と同様に、図13に示すようになっている。
第5実施形態と同様に、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第5実施形態と同様に、読み出し時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第5実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態によるスピンMOSFETの断面を図18に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図14に示す第6実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第6実施形態と同様に、第1磁性膜6Aの具体的な構成は図15(a)に示す多層構造を有しており、第2磁性膜18の具体的な構成も図15(b)乃至図15(d)のいずれかに示す多層構造を有している。第1磁性膜6Aが図15(a)に示す多層構造を有し、第2磁性膜18が図15(b)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6、6と、第2磁性膜の強磁性層18、18、18、18との磁化の向きは第6実施形態と同様に、図16に示すようになっている。
第6実施形態と同様に、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第6実施形態と同様に、読み出し時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第6実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態によるスピンMOSFETの断面を図19に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図3乃至図5に示す第1実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜8を第2磁性膜8Aに置き換えた構成となっている。この第2磁性膜8Aの第1具体例を図20(a)に示す。この具体例の第2磁性膜8Aは、強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなる磁化自由層8と、非磁性層8と、強磁性層8、非磁性層8、および強磁性層8からなるシンセティックな磁化固着層と、この磁化固着層の磁化の向きを固着する反強磁性層9とが順次積層された構成となっている。この第2磁性膜の磁化固着層においては、強磁性層8と強磁性層8とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8として第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7と反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜8Aの第2具体例の構成を図20(b)に示す。この第2具体例の磁性膜8Aは、強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなる磁化自由層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、反強磁性層9とが順次積層された構造となっている。この第2具体例の第2磁性膜8Aを有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7および反強磁性層9は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6の強磁性層、第2磁性膜8Aの強磁性層8の磁化の向きを固着することができる。
第2磁性膜8Aとして、図20(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6の強磁性層、第2磁性膜8Aの磁性層8、8、8の磁化の向きを図21に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいては、第1磁性膜の強磁性層6と、強磁性層8の磁化の向きが平行でかつ磁化自由層となる強磁性層8が強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなるシンセティクな構造を有しているため、書き込み時および読み出し時には図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンの向きが180°変化するゲート電圧を用いる。
本実施形態では、強磁性層8の磁化の向きを図21に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6の磁化固着層となる強磁性層の磁化の向きと同じ(平行)となるスピン配置となっているので、書き込み時に、磁化自由層となる強磁性層811のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと平行な場合には第1磁性膜6側からスピン偏極された電子をチャネルに注入すれば、スピン偏極された電子のスピンは180°回転して、強磁性層811に伝わり、スピントルクが強磁性層811に働く。さらに、強磁性層811に伝わった電子は、強磁性層811、813を通過して強磁性層8に伝わり、反射されて強磁性層813を通過して強磁性層811に到達し、スピントルクが強磁性層811に働く。これにより、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、磁化自由層となる強磁性層811のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと反平行な場合には強磁性層8側からスピン偏極された電子を磁化自由層に注入すれば、スピン偏極された電子は、強磁性層813を通過して強磁性層811に伝わりスピントルクが強磁性層811に働く。さらに、強磁性層811に伝わった電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが180°回転されて強磁性層6に伝わり、この強磁性層6によって反射される。この反射された電子は、チャネル3を通過する際にスピンの向きが再度180回転されて強磁性層811に伝わる。これにより、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。すなわち、書き込みの際に正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
一方、図21に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°変化する。このため、磁化自由層となる強磁性層811のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが変化しない場合(負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が高くなる。このとき、強磁性層813、8の磁化の向きは反平行であるため、強磁性層813、8間の抵抗は、強磁性層813、8の磁化の向きが平行である場合に比べて高い。
また、磁化自由層となる強磁性層811のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと反平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが変化しない場合(負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が低くなる。このとき、強磁性層813、8の磁化の向きは平行であるため、強磁性層813、8間の抵抗は、強磁性層813、8の磁化の向きが反平行である場合に比べて低い。
このため、本実施形態のように、読み出し時に正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる場合に比べて、磁化自由層の磁化の向きが異なる状態における、チャネル3の抵抗と、強磁性層813、8間の抵抗との和の差が大きくなる。すなわち、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため、読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層812、8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6、8Aの強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
また、本実施形態では、磁化自由層は複数の強磁性層が非磁性層を介して積層された構造を有し、これらの強磁性層が反強磁性結合をしていたが、強磁性結合であってもよい。この場合は、磁化自由層が単層の強磁性層である場合と同じ向きの磁気抵抗効果を示すゲート電圧を書き込みおよび読み出しに用いる。このことは、以下の実施形態でも同様である。
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態によるスピンMOSFETの断面を図22に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図6に示す第2実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜8を第2磁性膜8Aに置き換えた構成となっている。この第2磁性膜8Aは、第2実施形態の第2磁性膜8に係る単層の強磁性層からなる磁化自由層をシンセティックな磁化自由層に置き換えた構成となっている。
本実施形態の第1磁性膜6Aの一具体例の構成を図23(a)に示す。この具体例の第1磁性膜6Aは、強磁性層6、非磁性層6、強磁性層6の積層構造からなるシンセティックな磁化固着層と、この磁化固着層の磁化の向きを固着させる反強磁性層6aとの積層構造を有している。なお、強磁性層6と強磁性層6とは非磁性層6を介して反強磁性結合をしている。
また、本実施形態における第2磁性膜8Aの第1具体例を図23(b)に示す。この第1具体例の第2磁性膜8Aは、強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、反強磁性層9とが順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層811と、強磁性層813は非磁性層812を介して反強磁性結合している。
また、強磁性層8、非磁性層8、強磁性層8、非磁性層8、および強磁性層8がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層9によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層8、強磁性層8と、強磁性層8は非磁性層8および非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8Aとして第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜8Aの第2具体例の構成を図23(c)に示す。この第2具体例の第2磁性膜8Aは、強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、反強磁性層9とが順次積層された構造となっている。この第2具体例においては、強磁性層8、非磁性層8、強磁性層8がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層9によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層8と強磁性層8とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜8として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層9は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜8の強磁性層8、8の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜8Aの第3具体例の構成を図23(d)に示す。この第3具体例の第2磁性膜Aは、強磁性層811、非磁性層812、および強磁性層813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層8と、非磁性層8と、磁化の向きが固着された強磁性層8と、反強磁性層9とが順次積層された構造となっている。第2磁性膜8Aとして第3具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
第2磁性膜8Aとして図23(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜8Aの磁性層8、8、8、8の磁化の向きを図24に示す。
本実施形態のスピンMOSFETは、強磁性層61と、強磁性層83の磁化の向きが平行でかつ磁化自由層がシンセティック構造を有しているため、第9実施形態と同様に、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。すると、書き込み時は、第9実施形態と同様に磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、第9実施形態と同様に、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。すると、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層6、812、8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6A、8Aの強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態によるスピンMOSFETの断面を図25に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図19に示す第9実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第2磁性膜8Aの具体的な構成も第9実施形態と同様に、図20(a)または図20(b)に示すように、シンセティックな磁化自由層8を有する多層構造を備えている。第2磁性膜8Aが図20(a)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6の強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層8、8との磁化の向きは第9実施形態と同様に、図21に示すようになっている。
第9実施形態と同様に、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第9実施形態と同様に、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第1実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第12実施形態)
次に、本発明の第12実施形態によるスピンMOSFETの断面を図26に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図22に示す第10実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第10実施形態と同様に、第1磁性膜6Aの具体的な構成は図23(a)に示す多層構造を有しており、第2磁性膜8Aの具体的な構成も図23(b)乃至図23(d)のいずれかに示す多層構造を有している。第1磁性膜6Aが図23(a)に示す多層構造を有し、第2磁性膜8Aが図23(b)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6、6と、第2磁性膜の強磁性層8、8、8、8との磁化の向きは第10実施形態と同様に、図24に示すようになっている。
第10実施形態と同様に、書き込み時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第2実施形態と同様に、読み出し時は、図2(a)に示すような正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第10実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第13実施形態)
次に、本発明の第13実施形態によるスピンMOSFETの断面を図27に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図11に示す第5実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜18を第2磁性膜18Aに置き換えた構成となっている。この第2磁性膜18Aは、第2磁性膜18において、単層の強磁性層からなる磁化自由層18をシンセティックな磁化自由層18に置き換えた構成となっている。
この第2磁性膜18Aは、第1具体例として例えば図28(a)に示すように、強磁性層1811、非磁性層1812、強磁性層1813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、反強磁性層19とが順次積層された構造となっている。この第1具体例においては、強磁性層1811、非磁性層1812、強磁性層1813がシンセティックな磁化自由層81を形成し、強磁性層1811と、強磁性層1813は非磁性層1812を介して反強磁性結合している。
また、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18と強磁性層18とは非磁性層8を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18Aとして第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7および反強磁性層19は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6の強磁性層、第2磁性膜18Aの強磁性層18の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜18Aの第2具体例の構成を図28(b)に示す。この第2具体例の磁性膜18Aは、磁化の向きが可変の強磁性層(磁化自由層)18、非磁性層18、磁化の向きが固着された強磁性層18および反強磁性層19が順次積層された構造となっている。第2磁性膜18Aとして第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層7と反強磁性層19とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
第2磁性膜18Aとして、図28(a)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6の強磁性層6および第2磁性膜18Aの磁性層18、18、18の磁化の向きを図29に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいては、第1磁性膜の強磁性層6と、強磁性層18の磁化の向きが反平行でかつ磁化自由層となる強磁性層18が強磁性層1811、非磁性層1812、および強磁性層1813からなるシンセティクな構造を有しているため、書き込み時および読み出し時には図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧、すなわちチャネル3を通過する際にはスピン偏極された電子のスピンの向きが変化しないゲート電圧を用いる。
本実施形態では、強磁性層18の磁化の向きを図29に示すスピン配置、すなわち第1磁性膜6の磁化固着層となる強磁性層の磁化の向きと反対(反平行)となるスピン配置となっているので、書き込み時に、磁化自由層となる強磁性層1811のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと平行な場合には第1磁性膜6側からスピン偏極された電子をチャネルに注入すれば、スピン偏極された電子のスピンは変化しないで強磁性層1811を通過して強磁性層1813に伝わり、スピントルクが強磁性層1813に働く。さらに、強磁性層1813を通過して強磁性層18に伝わった電子は、強磁性層18によって反射されて強磁性層1813に伝わり、スピントルクが強磁性層813に働く。これにより、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、磁化自由層となる強磁性層1811のスピンの向きが第1磁性膜6のスピンの向きと反平行な場合には強磁性層18側からスピン偏極された電子を磁化自由層に注入すれば、スピン偏極された電子は、強磁性層1813に伝わりスピントルクが強磁性層1813に働く。さらに、強磁性層1813に伝わった電子は、強磁性層1811、チャネル3を通過し、強磁性層6に伝わり、この強磁性層6によって反射される。この反射された電子は、チャネル3、強磁性層1811を通過して強磁性層1813に伝わる。これにより、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。すなわち、書き込みの際に負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、磁化自由層に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
一方、図21に示すスピン配置においてこの状態で読み出すと、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが変化しない。このため、磁化自由層となる強磁性層1811のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが変化する場合(正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が低くなる。このとき、強磁性層1813、18の磁化の向きは平行であるため、強磁性層1813、18間の抵抗は、強磁性層813、18の磁化の向きが反平行である場合に比べて低い。
また、磁化自由層となる強磁性層1811のスピンの向きが強磁性層6のスピンの向きと反平行な場合には、チャネル3を通過する際の電子のスピンの向きが180°回転する場合(正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いた場合)に比べてチャネル3の抵抗が高くなる。このとき、強磁性層1813、18の磁化の向きは反平行であるため、強磁性層1813、18間の抵抗は、強磁性層1813、18の磁化の向きが平行である場合に比べて高い。
このため、本実施形態のように、読み出し時に負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いれば、正の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる場合に比べて、磁化自由層の磁化の向きが異なる状態における、チャネル3の抵抗と、強磁性層1813、18間の抵抗との和の差が大きくなる。すなわち、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため、読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6、18Aの強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、18Aの強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第14実施形態)
次に、本発明の第14実施形態によるスピンMOSFETの断面を図30に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、図14に示す第6実施形態のスピンMOSFETにおいて、第2磁性膜18を第2磁性膜18Aに置き換えた構成となっている。この第2磁性膜18Aは、第2磁性膜18の単層の強磁性層からなる磁化自由層81をシンセティックな磁化自由層81に置き換えた構成となっている。
本実施形態の第1磁性膜6Aは図31(a)に示すように、強磁性層6、非磁性層6、強磁性層6の積層構造からなるシンセティックな磁化固着層と、この磁化固着層の磁化の向きを固着させる反強磁性層6aとの積層構造となっている。なお、強磁性層6と強磁性層6とは非磁性層6を介して反強磁性結合をしている。
また、本実施形態における第2磁性膜18Aの第1具体例としては、図31(b)に示すように、強磁性層1811、非磁性層1812、および強磁性層1813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、反強磁性層19が順次積層された構造となっている。
この第1具体例においては、強磁性層1811、非磁性層1812、および強磁性層1813がシンセティックな磁化自由層8となり、強磁性層1811と、強磁性層1813とが非磁性層1812を介して反強磁性結合をしている。
また、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18、非磁性層18、および強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18、強磁性層18と、強磁性層18は非磁性層18および非磁性層18を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18Aとして第1具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層19は同じ材料を用いることができる。また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜18Aの強磁性層18、18、18の磁化の向きを固着することができる。
また、第2磁性膜18Aの第2具体例の構成を図31(c)に示す。この第2具体例の第2磁性膜18Aは、強磁性層1811、非磁性層1812、および強磁性層1813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、反強磁性層19とが順次積層された構造となっている。この第2具体例においては、強磁性層18、非磁性層18、強磁性層18がシンセティックな磁化固着層を形成し、この磁化固着層が反強磁性層19によって磁化の向きが固着された構成となっている。また、強磁性層18と強磁性層18とは非磁性層18を介して反強磁性結合している。この場合、シンセティックな磁化固着層がより強固に固着され素子安定性に優れた特性を得ることができる。第2強磁性膜18として第2具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aと反強磁性層9とは異なる材料とする必要があり、かつ磁化の向きを固着する際のアニールで、180度の磁場の反転が必要となる。
また、第2磁性膜18Aの第3具体例の構成を図31(d)に示す。この第3具体例の第2磁性膜18は、強磁性層1811、非磁性層1812、および強磁性層1813からなる磁化の向きが可変の磁化自由層18と、非磁性層18と、磁化の向きが固着された強磁性層18と、反強磁性層19とが順次積層された構造となっている。第2磁性膜18Aとして第3具体例の構造を有するスピンMOSFETにおいては、反強磁性層6aおよび反強磁性層19は同じ材料を用いることができ、また、磁化の向きを固着する際のアニールで、何の工夫もせずに第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜18Aの強磁性層18の磁化の向きを固着することができる。
第2磁性膜18Aとして図31(b)に示す第1具体例の構造を用いた場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6,6および第2磁性膜8の強磁性層1811、1813、18、18、18の磁化の向きを図32に示す。
本実施形態のスピンMOSFETにおいて、書き込み時は、第13実施形態と同様に図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いると、化自由層18に2重のスピントルクが加わることになりスピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、読み出し時は、第13実施形態と同様に、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いると、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
なお、本実施形態においては、非磁性層18の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちCu、Ag、Au、AlOx、MgOなどを用いることができる。また、非磁性層6、8、8の材料としては、第1実施形態の非磁性層8と同じ材料、すなわちRu、Rh、Irなどを用いることができる。
また、第1および第2磁性膜6A、18Aの強磁性層としては、第1実施形態の第1および第2磁性膜6、8の強磁性層と同じ材料を用いることができる。
(第15実施形態)
次に、本発明の第15実施形態によるスピンMOSFETの断面を図33に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図27に示す第13実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第2磁性膜18Aの具体的な構成も第13実施形態と同様に、図28(a)または図28(b)に示す多層構造を有している。第2磁性膜18Aが図28(a)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6の強磁性層6と、第2磁性膜18Aの強磁性層1811、1813、18、18との磁化の向きは第13実施形態と同様に、図29に示すようになっている。
第13実施形態と同様に、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第13実施形態と同様に、読み出し時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第13実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第16実施形態)
次に、本発明の第16実施形態によるスピンMOSFETの断面を図34に示す。本実施形態のスピンMOSFETは、ショットキー型スピンMOSFETであって、図30に示す第14実施形態のスピンMOSFETにおいて、トンネル絶縁膜4を削除した構成となっている。
したがって、第14実施形態と同様に、第1磁性膜6Aの具体的な構成は図31(a)に示す多層構造を有しており、第2磁性膜18Aの具体的な構成も図31(b)乃至図31(d)のいずれかに示す多層構造を有している。第1磁性膜6Aが図31(a)に示す多層構造を有し、第2磁性膜18Aが図31(b)に示す多層構造を有している場合の第1磁性膜6Aの強磁性層6、6と、第2磁性膜の強磁性層1811、1813、18、18、18との磁化の向きは第14実施形態と同様に、図32に示すようになっている。
第14実施形態と同様に、書き込み時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用い、スピン注入による磁化反転時の反転電流密度を低減することができる。
また、第14実施形態と同様に、読み出し時は、図2(b)に示すような負の磁気抵抗効果が観測されるゲート電圧を用いる。このため、チャネル領域3を介した磁気抵抗変化率に加え、多層構造の磁気抵抗変化率も加わるため読み出し出力が大幅に増大されることになる。
本実施形態も第14実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
(第17実施形態)
次に、本発明の第17実施形態によるスピンMOSFETを図35(a)、35(b)に示す。図35(a)は、本実施形態のスピンMOSFETの第1磁性膜6、6Aの半導体基板2側の強磁性層6または6および第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化自由層8、18および磁化固着層の強磁性層の磁化の向きを示し、図35(b)は、本実施形態のスピンMOSFETの断面を示す。
本実施形態のスピンMOSFETは、第1、第2、第5、第6、第9、第10、第13、第14実施形態において、第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化自由層8、18の磁化の向きを、第1磁性膜6、6Aの半導体基板2側の強磁性層6、6の磁化に向きに対して0度より大きく45度以下の角度θだけ傾けた構成となっている。すなわち、第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化自由層8、18の磁化の向きは、第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化固着層の磁化の向きに対しても角度θだけ傾いている。
このように、第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化自由層8、18の磁化の向きを第1磁性膜6、6Aの半導体基板2側の強磁性層6、6の磁化に向きに対して0度より大きく45度以下の角度θだけ傾けることにより、スピン注入による磁化反転電流密度を更に低減することができる。
なお、本実施形態も、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができることは云うまでもない。
磁化自由層8、18の磁化(磁気モーメント)の方向を傾ける方法としては、別途設けた電流磁界を発生する配線を用いる方法、または読み出し配線用電流を流す配線が作る自己磁界を用いる方法の他、磁化固着層のスピンモーメントを固着する時に行う磁界中アニールの時に、磁化固着層の磁気モーメントが固着されるブロッキング温度以下の温度で、磁界の方向を所望の方向に傾ける方法を用いればよい。
なお、本実施形態の第1変形例として、本実施形態において、図36(a)、36(b)に示すように、トンネル絶縁膜4を削除したショットキー型スピンMOSFETであってもよい。
また、本実施形態の第2変形例によるスピンMOSFETを図37(a)、37(b)に示す。この変形例のスピンMOSFETは、第17実施形態において、第2磁性膜8、8A、18、18Aの膜面形状を実質的に平行四辺形にした構成となっている。なお、実質的に平行四辺形とは、角が丸まった平行四辺形も含むことを意味する。
また、本実施形態の第3変形例によるスピンMOSFETを図38(a)、38(b)に示す。この変形例のスピンMOSFETは、第2変形例において、トンネル絶縁膜4を削除したショットキー型スピンMOSFETである。
また、本実施形態の第4変形例によるスピンMOSFETを図39(a)、39(b)に示す。この変形例のスピンMOSFETは、第17実施形態において、第2磁性膜8、8A、18、18Aの膜面形状を実質的に六角形にした構成となっている。なお、実質的に六角形とは、角が丸まった六角形も含むことを意味する。
また、本実施形態の第5変形例によるスピンMOSFETを図40(a)、40(b)に示す。この変形例のスピンMOSFETは、第4変形例において、トンネル絶縁膜4を削除したショットキー型スピンMOSFETである。
第1乃至第5変形例も、第17実施形態と同様に、スピン注入による磁化反転電流密度を更に低減することができるとともに、スピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができる。
また、本実施形態および第1乃至第5変形例のように、第2磁性膜8、8A、18、18Aの磁化自由層8、18の磁化の向きを第1磁性膜6、6Aの半導体基板2側の強磁性層6、6の磁化に向きに対して0度より大きく45度以下の角度θだけ傾けることにより、図41に示すように反転に必要なエネルギーバリアが低下するとともに、図42に示すようにスピントルクの効率を向上することが可能となる。なお、図41において、Hyは磁化自由層の磁化困難軸方向の磁場の強さを示し、Kは磁化自由層の一軸異方性の強さを示し、Mは磁化の大きさを示す。図41において、(K/M)×0.5および
(K/M)×1.0はHyを示し、したがって、図41はHyの大きさをパラメータにして表した特性グラフを示している。この図41に示す特性グラフからわかるように、第1磁性膜の磁化固着層と、第2磁性膜の磁化自由層とのスピンのなす角度が90度の場合にスピン反転エネルギーバリアが高くなっている。そして、Hyを大きくする、すなわち
第1磁性膜の磁化固着層のスピンの向きに対して第2磁性膜の磁化自由層のスピンの向きを傾けることによって、反転に必要なエネルギーバリアが低下し、反転し易くなる。特に、傾き角θが0度より大きく45度以下の場合(平行な状態から傾いた場合)か、135度以上で180度より小さい場合(反平行な状態から傾いた場合)にスピン反転エネルギーバリアが低くなっている。
また、図42からわかるように、MRが95%以上では、傾き角θが135度以上180度より小さい場合(反平行な状態から傾いた場合)にスピントルクの強さが大きくなっている。傾き角θが0度より大きく45度以下の場合(平行な状態から傾いた場合)にはスピントルクの強さはMRの値に拘わらず、傾き角θが増大するにつれて増大している。そして、スピントルクの全体の強さは反平行な状態から傾いている場合と、平行な状態から傾いている場合との平均値で表されること、また、MR比はcosθに比例するので、傾き角θが45度より大きくなると、MR比が小さくなることから、傾き角θは0度より大きく45度以下の値であることが好ましい。
上記第1乃至第17実施形態のスピンMOSFETは、各種スパッタ法、蒸着法、分子線エピタキシャル法などの通常の薄膜形成手段、微細加工方法を用いて、所定の基板上に形成することができる。この場合の基板としては、例えば、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウム砒素)、ZnSe、SiO(酸化シリコン)、Al(酸化アルミニウム)、スピネル、AlN(窒化アルニウム)など各種の基板を用いることができる。
(第18実施形態)
次に、実際にリコンフィギャブルな論理回路に用いる場合の簡単な回路構成について説明する。
実際にスピンMOSFETを用いてリコンフィギャブルな論理回路を構成する場合、2つのMOSFET(MOSFET1およびMOSFET2)に共通のフローティングゲートを有していることが好ましい。
AND,OR回路が作製できれば、NOR回路、排他的OR回路などの全ての回路を作製できるのでAND回路、OR回路についてのみ図43に示す。図示したように、本実施形態のリコンフィギャブルな論理回路は、基本的には、上記第1乃至第17実施形態のいずれかのスピンMOSFETのゲート絶縁膜10と、ゲート電極12との間に、フローティングゲート(図示せず)と、電極間絶縁膜を設けた、2つのスピンMOSFET30、32を用いる。スピンMOSFET30はp型のMOSFET、すなわち半導体基板2がn型基板であるMOSFETであり、スピンMOSFET32はn型のMOSFET、すなわち半導体基板2がp型であるMOSFETである。MOSFET30、32のフローティングゲートを共通に接続し、MOSFET30のソースを電源Vinpに接続し、MOSFET32のソースを接地する。そして、MOSFET30のドレインとMOSFET32のドレインを接続する。この共通接続したノードからの出力V1をインバータ40に入力し、このインバータ40の出力を本実施形態の論理回路の出力Voutとする。
これにより、AND回路、OR回路を形成できる。図44に示すようにフローティングゲート電圧Vfgが、MOSFET30のゲート入力AとMOSFET32のゲート入力Bの和の1/2の場合に、ドレイン、ソースの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントが平行(P)または反平行(AP)の時の出力電圧Yが“1”または“0”と変化する。
本実施形態の論理回路において、MOSFET32のソース・ドレインの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントをAP(反平行)状態とした場合にMOSFET30、32のゲート電極の入力A、Bの値に対応する、フローティングゲートの電位Vfg、MOSFET30,32の共通接続ノードの電位V1、論理回路の出力Voutの値を図45に示す。また、MOSFET32のソース・ドレインの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントをP(平行)状態とした場合にMOSFET30、32のゲート電極の入力A、Bの値に対応する、フローティングゲートの電位Vfg、MOSFET30,32の共通接続ノードの電位V1、論理回路の出力Voutの値を図46に示す。図45、図46に示したように、MOSFET32のドレイン、ソースの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントが反平行の時にAND回路、平行の時にOR回路となる。このため、ドレイン部の強磁性層のスピンモーメントを変えてプログラムしなおすことにより、論理回路を造り直すことなく構成することができ、すなわちリコンフィギャブルな論理回路を得ることができる。
AND回路、OR回路の場合、全てのトランジスタをスピンMOSFETにしても良いが、一部に通常のMOSFETを用いてもかまわない。図47に示すように2つのトランジスタの内一つ(例えばMOSFET32)を第1乃至第17実施形態のスピンMOSFETを用い、もう一つを通常の磁性体を用いないpMOSFET34を用いた場合も、一つのスピンMOSFTE32のソース・ドレインの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントを平行、反平行と制御することによって、同様の結果を得ることができる。
また、図48に示すように、インバータ40を用いなくともn型MOSFET32、p型MOSFET30の接続を入れ替えることにより、p型MOSFET30のソース・ドレインの半導体基板2に近い強磁性層のスピンモーメントを平行、反平行と制御することによっても、同様の効果が得られる。
上記論理回路として使用する場合は、スピンMOSFETの情報を読み出すためのゲート電圧制御回路、センス電流を制御するセンス電流制御素子回路、書き込み電流制御回路、ドライバ−およびシンカーをさらに具備することとなる。
(第19実施形態)
次に、本発明の第19実施形態によるスピンMOSFETを図54乃至図56を参照して説明する。本実施形態のスピンMOSFETは、図3に示す第1実施形態において、第1磁性膜6を第1磁性膜16の置き換えるとともに、第2磁性膜8を第2磁性膜28に置き換えた構成となっている(図54)。第1磁性膜16は、磁化が固着されたハーフメタル強磁性層16と、強磁性層16とを備えている。また、第2磁性膜28は、磁化自由層となるハーフメタル強磁性層28と、トンネル絶縁膜28と、磁化固着層28と、反強磁性層29とを備えている。磁化固着層28は、ハーフメタル強磁性層2831と、強磁性層2832とを備えている(図55)。なお、ハーフメタル強磁性層16と、磁化固着層28との磁化の向きは、図56に示すように、平行(同じ向き)となっている。
本実施形態においては、第1磁性膜16は、ハーフメタル強磁性層16を備えているため、ハーフメタル強磁性層16と、反強磁性層7との間に、合金からなる強磁性層16が設けられている。また、第2磁性膜28の磁化固着層28は、ハーフメタル強磁性層2831を備えているため、ハーフメタル強磁性層2831と、反強磁性層29との間に、合金からなる強磁性層2832が設けられている。合金からなる強磁性層16、2832の材料としては、CoFeか、またはCo,Fe,Niのうちの少なくとも2つの元素を含む合金が用いられる。
本実施形態においては、第2磁性膜28がハーフメタル強磁性層28/トンネル絶縁膜28/ハーフメタル強磁性層2831の積層構造を有している。このため、磁化自由層28のスピンがハーフメタル強磁性層16のスピンに対して平行から反平行に変化する場合に、チャネル長間のスピン依存伝導に加え、上記積層構造のスピン依存伝導が作用するため、大きなドレイン電流の差が得られる。なお、ハーフメタル強磁性層28は、ハーフメタル強磁性層/体心立方格子メタル/ハーフメタル強磁性層の積層構造であってもよい。なお、体心立方格子メタルの例としては、例えば、Cr、Fe、V、またはこれらの合金(例えばCr−Fe合金、Fe−V合金、Cr−V合金)が用いられる。
また、ハーフメタル強磁性層は、フルホイスラー合金が好ましい。その中でも、最も大きなドレイン電流の差が得られた組成は、CoFeSi1−xAlであった。組成比xは、0.1<x<0.9の範囲が好ましかった。この範囲で、室温での磁気抵抗は最大値を持つとともにMR変化率の電圧依存性が小さく好ましかった。なお、フルホイスラー合金とは、構成元素をA、B、Cとすると、組成がABCで表される合金であって、DO3構造をとる合金である。例えば、AはCo(コバルト)を、BはFe(鉄)を、CはSiおよびAlの少なくとも1つとすると、フルホイスラー合金はCoFeSi1−xAlと表される。なお、ハーフホイスラー合金とは、構成元素をA、B、Cとすると、組成がABCで表される合金であって、DO3構造をとる合金である。
また、トンネル絶縁膜4としては、上記各実施形態と同様に、Al(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)などの酸化物を用いることができる。特に、トンネル絶縁膜4にMgOを用いた場合は、このトンネル絶縁膜4上に形成されるフルホイスラー合金からなる磁性層16、28をエピタキシャル成長で形成することが可能となり、磁気特性が良好となる。
また、半導体基板としては、Si、Geなどの半導体、GaAs、ZnSeなどの化合物半導体からなる基板を用いても良いし、表面がSi、GeなどのIV族の半導体、GaAs、ZnSeなどのIII−V族、II−VI族の化合物半導体からなる基板を用いても良い。
本実施形態も、第1実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを得ることができる。
なお、本実施形態の変形例として、第1および第2磁性膜16、28と半導体基板2との間に設けられたトンネル絶縁膜4を削除することにより、図57に示すショットキー型スピンMOSFETを得ることができる。この変形例も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第20実施形態)
次に、本発明の第20実施形態によるスピンMOSFETを図58乃至図60を参照して説明する。本実施形態のスピンMOSFETは、図54に示す第19実施形態において、第1磁性膜16の強磁性層16を強磁性層1621、非磁性層1622、強磁性層1623の積層構造に置き換えるとともに、第2磁性膜28の磁化固着層28を磁化固着層28aに置き換えた構成となっている(図58、59)。磁化固着層28aは、磁化が固着されたハーフメタル強磁性層28a31と、強磁性層28a321、非磁性層28a322、および強磁性層28a323の積層構造からなる磁性膜28a32とを備えている。なお、ハーフメタル強磁性層16と、ハーフメタル強磁性層28a31との磁化の向きは、図60に示すように、反平行(逆の向き)となっている。
強磁性層1621、強磁性層1623、強磁性層28a321、および強磁性層28a323の材料としては、第19実施形態と同様に、CoFeか、またはCo,Fe,Niのうちの少なくとも2つの元素を含む合金が用いられる。非磁性層1622、28a322の材料としては、例えばRuが用いられる。
本実施形態も、第2磁性膜28がハーフメタル強磁性層28/トンネル絶縁膜28/ハーフメタル強磁性層28a31の積層構造を有している。このため、磁化自由層となるハーフメタル強磁性層28のスピンがハーフメタル強磁性層16のスピンに対して平行から反平行に変化する場合に、チャネル長間のスピン依存伝導に加え、上記積層構造のスピン依存伝導が作用するため、大きなドレイン電流の差が得られる。なお、ハーフメタル強磁性層28は、ハーフメタル強磁性層/体心立方格子メタル/ハーフメタル強磁性層の積層構造であってもよい。
また、ハーフメタル強磁性層は、第19実施形態と同様に、フルホイスラー合金が好ましい。その中でも、最も大きなドレイン電流の差が得られた組成は、CoFeSi1−xAlであった。組成比xは、0.1<x<0.9の範囲が好ましかった。この範囲で、室温での磁気抵抗は最大値を持つとともにMR変化率の電圧依存性が小さく好ましかった。
本実施形態も、第19実施形態と同様に、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを得ることができる。
なお、本実施形態の変形例として、第1および第2磁性膜16、28と半導体基板2との間に設けられたトンネル絶縁膜4を削除することにより、図61に示すショットキー型スピンMOSFETを得ることができる。この変形例も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
以下、実施例を参照しつつ本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。
(第1実施例)
まず、本発明の第1実施例によるスピンMOSFETとして、第2実施形態または第4実施形態のスピンMOSFETを作製した。
このスピンMOSFETの構造について、その製造手順はソース,ドレイン形成部分を除き通常のMOSFETのプロセスとほぼ同様であるが、製造プロセスに沿って説明すれば、以下の如くである。
Si基板2またはSIO基板2上に、まず、シランとアンモニアを気相成長しSi膜(図示せず)を形成する。その後、ソース−ゲート酸化膜−ドレイン形成領域にPEP(Photo-Engraving Process) を行う。すなわち、フォトレジスト(図示せず)をマスクとしSi膜をエッチングし、このエッチングされたSi膜をマスクとしソース−ゲート酸化膜−ドレイン形成領域以外の領域の自然酸化膜(SiOx)をエッチングする。その後、ソース−ゲート酸化膜−ドレイン形成領域以外の領域の自然酸化膜(SiOx)をエッチングによって除去した後、露出したSi上に分厚い素子分離用のフィールド酸化膜40を形成する。その後、ソース−ゲート酸化膜−ドレイン形成領域に残っているSi膜をリン酸で除去し、自然酸化膜(SiOx)もフッ酸で除去する。続いて、熱酸化法により例えばSiOxからなるゲート絶縁膜10を成長させ、続いてゲート絶縁膜10上に気相成長法により導電型不純物を含んだポリシリコン膜を堆積させた。その後、ポリシリコン膜にフォトリソグラフィーを施し、ゲート電極12を形成した後、ゲート電極12をマスクにしソース,ドレイン部分のゲート絶縁膜10もフッ素系RIEによって除去し、図49(a)に示す構造を作製した。
その後、ソースおよびドレインとなる第1および第2磁性膜6A、8を別々に形成する。例えば、第2実施形態のスピンMOSFETを作成する一例としては、第1磁性膜6Aとして、MgOからなるトンネル絶縁膜を形成した後、CoFeBからなる強磁性層6、Ruからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、IrMnからなる反強磁性層6aを指向性が強いスパッタ法により積層する。第2磁性膜8としてMgOからなるトンネル絶縁膜4を形成した後、CoFeBからなる強磁性層8、MgOからなる非磁性層8、CoFeBからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、およびIrMnからなる反強磁性層9を指向性が強いスパッタ法により成膜する。
また、第4実施形態のスピンMOSFETを作成する場合の一例としては、まず、ソース/ドレインとなる領域にFeを成膜後アニールによる固層拡散でFeSiを作製する。このFeSiが第1磁性膜6Aの強磁性層6、第2磁性膜8の強磁性層8となる。その後、第1磁性膜6AとしてFeSiからなる強磁性層6上にRuからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、およびIrMnからなる反強磁性層6aを指向性が強いスパッタ法により積層する。第2磁性膜8としてFeSiからなる強磁性層8上にMgOからなる非磁性層8、CoFeBからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、およびIrMnからなる反強磁性層9を指向性が強いスパッタ法により成膜する。
このように第1磁性膜6A、第2磁性膜8を形成した後、ポリシリコン電極52を指向性が強いスパッタ装置でスパッタし、図49(b)に示す構造を得た。その後、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中アニールを強磁性層の長軸方向(磁化容易軸方向)に磁場を印加した。
図50に、読み出し時のゲート電圧VGateが0.4Vとした場合の第2実施形態と第4実施形態のスピンMOSFETのドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す。図50において、IDrain APは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8とのスピンの向きが反平行な場合のドレイン電流を示し、IDrain Pは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8とのスピンの向きが平行な場合のドレイン電流を示す。
また、図示しないが、ゲート電圧VGateが0.8Vの条件でソース・ドレイン間電圧を第2実施形態の構造では1V以上、第4実施形態の構造では1.1V以上にするとスピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。その電流密度は、2.1×10A/cm、2.3×10A/cmで小さいことが明らかになった。
また、読み出し特性も、図50から明らかなように、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8とのスピンの向きが平行な場合と、反平行な場合とで明らかにドレイン電流が異なること、ゲート電圧を印加することにより増幅作用があることが分かり、リコンフィギャブル論理回路用のスピンMOSFETの動作が確認できた。
(第2実施例)
本発明の第2実施例によるスピンMOSFETとして、第6実施形態および第8実施形態のスピンMOSFETを作製した。
ソースおよびドレインを形成する前までは、第1実施例と同様に形成する。その後、第6実施形態のスピンMOSFETとして、ソースおよびドレインとなる第1および第2磁性膜6A、18を別々に形成する。例えば、第6実施形態のスピンMOSFETを作製する一例としては、第1磁性膜6Aとして、MgOからなるトンネル絶縁膜4を形成した後、CoFeBからなる強磁性層6、Ruからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、およびIrMnからなる反強磁性層6aを指向性が強いスパッタ法により積層する。また第2磁性膜18として、MgOからなるトンネル絶縁膜4を形成した後、CoFeBからなる強磁性層18、MgOからなる非磁性層18、CoFeBからなる強磁性層18、Ruからなる非磁性層18、CoFeからなる強磁性層18、Ruからなる非磁性層18、CoFeからなる強磁性層18、およびIrMnからなる反強磁性層19を指向性が強いスパッタ法により積層する。
また、第8実施形態のスピンMOSFETを作製する一例としては、第1磁性膜6Aおよび第2磁性膜18の強磁性層6、18として、Feを成膜後アニールによる固層拡散でFeSiをソース・ドレイン形成領域に作製する。その後、第1磁性膜6Aとして、膜FeSiからなる強磁性層6上にRuからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、およびIrMnからなる反強磁性層6aを指向性が強いスパッタ法により積層する。第2磁性膜18として、FeSiからなる強磁性層18上に、MgOからなる非磁性層18、CoFeBからなる強磁性層18、Ruからなる非磁性層18、CoFeからなる強磁性層18、Ruからなる非磁性層18、CoFeからなる強磁性層18、およびIrMnからなる反強磁性層19を指向性が強いスパッタ法により形成する。
このように第1磁性膜6A、第2磁性膜18を形成した後、ポリシリコンからなる電極膜52を指向性が強いスパッタ装置でスパッタし、図49(b)に示す構造を得た。続いて、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中でのアニールを磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
図51に、読み出し時のゲート電圧VGateが0.8Vとした場合の第6実施形態と第8実施形態のスピンMOSFETのドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す。図51において、IDrain APは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜18の強磁性層18とのスピンの向きが反平行な場合のドレイン電流を示し、IDrain Pは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層18とのスピンの向きが平行な場合のドレイン電流を示す。
また、図示しないが、ゲート電圧VGateが1.2Vの条件でソース・ドレイン間電圧を第6実施形態の構造では1.2V以上とし、第8実施形態の構造では1.3V以上にするとスピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。その電流密度は、2.5×10A/cm、2.6×10A/cmで小さいことが明らかになった。
また、読み出し特性も、図51から明らかなように、第1磁性膜6Aの強磁性層61と、第2磁性膜18の強磁性層18とのスピンの向きが平行な場合と、反平行な場合とで明らかにドレイン電流が異なること、ゲート電圧を印加することにより増幅作用があることが分かり、リコンフィギャブル論理回路用スピンMOSFETの動作が確認できた。
(第3実施例)
本発明の第3実によるスピンMOSFETとして、第10実施形態および第12実施形態のスピンMOSFETを作製した。
このスピンMOSFETの製造手順は、第1または第2実施例同様である。第10実施形態の第1磁性膜6Aとしては、MgOからなるトンネル絶縁膜4上に、CoFeBからなる強磁性層6、Ruからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、およびIrMnからなる反強磁性層6aを順次積層する。また、第2磁性膜8Aとして、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeBからなる強磁性層811、Ruからなる非磁性層812、CoFeBからなる強磁性層813、MgOからなる非磁性層8、CoFeBからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、およびIrMnからなる反強磁性層9を順次成膜する。
また、第12実施形態のスピンMOSFETを作製する一例としては、第1磁性膜6Aの強磁性層6および第2磁性膜8Aの強磁性層811として、Feを成膜後アニールによる固層拡散でFeSiを作製する。その後、第1磁性膜6Aとして、FeSiからなる強磁性層6上にRuからなる非磁性層6、CoFeからなる強磁性層6、およびIrMnからなる反強磁性層6aを順次成膜する。また、第2磁性膜8Aとして、FeSiからなる強磁性層811上にRuからなる非磁性層812、CoFeBからなる強磁性層813、MgOからなる非磁性層8、CoFeBからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、Ruからなる非磁性層8、CoFeからなる強磁性層8、およびIrMnからなる反強磁性層9を順次成膜する。
このように第1磁性膜6A、第2磁性膜8Aを形成した後、ポリシリコン電極52を指向性が強いスパッタ装置でスパッタし、図49(b)に示す構造を得た。その後、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中アニールを強磁性層の長軸方向(磁化容易軸方向)に磁場を印加した。
図52に、読み出し時のゲート電圧VGateが0.6Vとした場合の第10実施形態と第12実施形態のスピンMOSFETのドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す。図52において、IDrain APは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層811とのスピンの向きが反平行な場合のドレイン電流を示し、IDrain Pは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層811とのスピンの向きが平行な場合のドレイン電流を示す。
また、図示しないが、ゲート電圧VGateが1.4Vの条件でソース・ドレイン間電圧を第10実施形態の構造では1.3V以上、第12実施形態の構造では1.5V以上にするとスピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。その電流密度は、2.9×10A/cm、2.8×10A/cmで小さいことが明らかになった。
また、読み出し特性も、図52から明らかなように、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層811とのスピンの向きが平行な場合と、反平行な場合とで明らかにドレイン電流が異なること、ゲート電圧を印加することにより増幅作用があることが分かり、リコンフィギャブル論理回路用のスピンMOSFETの動作が確認できた。
(第4実施例)
本発明の第4実施例によるスピンMOSFETとして、第1および第2磁性膜が第2実施形態および第10実施形態の多層膜積層構造を有し、第2磁性膜8、8Aの磁化自由層の膜面形状が図37に示す第17実施形態第2変形例のように、略平行四辺形であってかつ磁化自由層のスピンモーメントの向きが磁化固着層となる第1磁性膜6Aの強磁性層61のスピンの向きに対して角度θ傾いた構造のスピンMOSFETを作製した。
このスピンMOSFETの製造手順および多層膜構造は、第1または第3実施例と同様である。
本実施例において、多層膜積層構造が第2実施形態の構造を有するスピンMOSFETに、ゲート電圧VGateが0.8Vの条件でソース・ドレイン間電圧を0.8V以上にすると、スピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。その電流密度は、1.6×10A/cmであった。また、多層膜積層構造が第10実施形態の構造を有するスピンMOSFETに、ゲート電圧VGateが1.4Vの条件でソース・ドレイン間電圧を0.9V以上にすると、スピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。その電流密度は、2.2×10A/cmであって、第1および第3実施形態に比べて比べ反転電流密度が小さいことが明らかになった。
図53に、読み出し時のゲート電圧VGateが0.6Vとした場合の第2実施形態と第10実施形態のスピンMOSFETのドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す。図53に示すドレイン電流IDrain は、多層膜積層構造が第2実施形態の構造を有するスピンMOSFETでは、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8とのスピンの向きが反平行な場合のドレイン電流を示し、IDrain は、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8の強磁性層8とのスピンの向きが平行な場合のドレイン電流を示す。また、多層膜積層構造が第10実施形態の構造を有するスピンMOSFETでは、ドレイン電流IDrain は、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層811とのスピンの向きが平行な場合のドレイン電流を示し、IDrain は、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8Aの強磁性層811とのスピンの向きが反平行な場合のドレイン電流を示す。
また、読み出し特性も、図53から明らかなように、第1磁性膜6Aの強磁性層6と、第2磁性膜8、8Aの強磁性層8、811とのスピンの向きが平行な場合と、反平行な場合とで明らかにドレイン電流が異なること、ゲート電圧を印加することにより増幅作用があることが分かり、リコンフィギャブル論理回路用のスピンMOSFETの動作が確認できた。
また、本実施例において、磁化自由層の膜面形状が図39に示すように六角形形状のスピンMOSFETを作製し、試験を行った結果、本実施例と同様に、スピン注入反転電流密度が低減できることが明らかになっている。
(第5、6、7実施例)
次に、本発明による第5実施例として図54に示す第19実施形態のスピンMOSFETを作製するとともに、第6,7実施例として図58に示す第20実施形態のスピンMOSFETを作製した。
第5実施例においては、第1磁性膜16として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上に、CoFeSi0.5Al0.5からなる強磁性層16、CoFeからなる強磁性層16を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜し、その上にIrMnからなる反強磁性層7を指向性が強いスパッタ法を用いて成膜した。また、第2磁性膜28として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeSi0.5Al0.5からなる磁化自由層28、MgOからなるトンネル絶縁膜28、CoFeSi0.5Al0.5からなる強磁性層2831、CoFeからなる強磁性層2832、IrMnからなる反強磁性層29を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜した。その後、ポリシリコン電極を指向性が強いスパッタ装置でスパッタした。続いて、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向(磁化容易軸方向)に磁場を印加しながら行い、第5実施形態のスピンMOSFETを形成した。
また、第6実施例においては、第1磁性膜16として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeSi0.4Al0.6からなる強磁性層16、CoFeからなる強磁性層1621、Ruからなる非磁性層1622、CoFeからなる強磁性層1623を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜し、その上にIrMnからなる反強磁性層7を指向性が強いスパッタ法を用いて成膜した。また、第2磁性膜28として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeSi0.4Al0.6からなる磁化自由層28、MgOからなるトンネル絶縁膜28、CoFeSi0.4Al0.6からなる強磁性層28a31、CoFeからなる強磁性層28a321、Ruからなる非磁性層28a322、CoFeからなる強磁性層28a323、IrMnからなる反強磁性層29を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜した。その後、ポリシリコン電極を指向性が強いスパッタ装置でスパッタした。続いて、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向(磁化容易軸方向)に磁場を印加しながら行い、第6実施形態のスピンMOSFETを形成した。
また、第7実施例においては、第1磁性膜16として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeSi0.6Al0.4からなる強磁性層16、CoFeからなる強磁性層1621、Ruからなる非磁性層1622、CoFeからなる強磁性層1623を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜し、その上にIrMnからなる反強磁性層7を指向性が強いスパッタ法を用いて成膜した。また、第2磁性膜28として、MgOからなるトンネル絶縁膜4上にCoFeSi0.6Al0.4からなる磁化自由層28、MgOからなるトンネル絶縁膜28、CoFeSi0.6Al0.4からなる強磁性層28a31、CoFeからなる強磁性層28a321、Ruからなる非磁性層28a322、CoFeからなる強磁性層28a323、IrMnからなる反強磁性層29を指向性が強いスパッタ法を用いて順次成膜した。その後、ポリシリコン電極を指向性が強いスパッタ装置でスパッタした。続いて、層間絶縁膜、コンタクトホールを形成し、測定電極であるアルミ配線を形成した。その後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向(磁化容易軸方向)に磁場を印加しながら行い、第7実施形態のスピンMOSFETを形成した。すなわち、第6実施例と、第7実施例とは、ハーフメタル強磁性層16、28、28a31における、シリコンとアルミニウムとの組成が逆となっている以外は同一の構成となっている。
上記構成の第5乃至第7実施例のスピンMOSFETに、ゲート電圧1.2Vの条件でソース・ドレイン間電圧を1.1V以上にするとスピン注入書き込みが安定して繰り返し観測できることが明らかになった。第5乃至第7実施例のスピンMOSFETの電流密度は、1.23×10A/cm、1.25×10A/cm、1.25×10A/cmで小さいことが明らかになった。また、読み出し特性も、図62から明らかなように、ドレインおよびソースのスピンが反平行配列の時と平行配列の時で明らかにドレイイン電流が異なること、ゲート電圧を印加することにより増幅作用があることが分かり、リコンフィギャブル論理回路用スピンMOSFETの動作が確認できた。
以上詳述したように、本発明の各実施形態によれば、低電流密度でスピン反転し、かつスピン反転による出力特性が大きなスピンMOSFETを提供することができ、産業上のメリットは多大である。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気抵抗効果素子を構成する半導体、ドレイン,ソース部の強磁性体層、絶縁膜、反強磁性体層、非磁性金属層、電極などの具体的な材料や、膜厚、形状、寸法などに関しては、当業者が適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の範囲に包含される。
同様に、本発明の一実施形態によるスピンMOSFETを構成する各要素の構造、材質、形状、寸法についても、当業者が適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の実施形態として上述したスピンMOSFETを基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべてのリコンフィギャブル論理回路も同様に本発明の範囲に属する。
本発明の一実施形態によるスピンMOSFETを示す斜視図。 図1に示すスピンMOSFETのゲート電圧を変えたときの、チャネル領域を介したスピン依存伝導特性を示す図。 第1実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第1実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第1実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第2実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第2実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の構成を示す断面図。 第2実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第3実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第4実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第5実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第5実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第5実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第6実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第6実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の構成を示す断面図。 第6実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第7実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第8実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第9実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第9実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第9実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第10実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第10実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の構成を示す断面図。 第10実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第11実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第12実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第13実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第13実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第13実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第14実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第14実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の構成を示す断面図。 第14実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第15実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第16実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第17実施形態によるスピンMOSFETを示す図。 第17実施形態の第1変形例によるスピンMOSFETを示す図。 第17実施形態の第2変形例によるスピンMOSFETを示す図。 第17実施形態の第3変形例によるスピンMOSFETを示す図。 第17実施形態の第4変形例によるスピンMOSFETを示す図。 第17実施形態の第5変形例によるスピンMOSFETを示す図。 磁化自由層のスピン反転エネルギーバリアの傾き角依存性を示す図。 スピントルクの傾き角依存性を示す図。 第18実施形態による論理回路を示す回路図。 第18実施形態の論理回路の出力のフローティングゲート電圧依存性を示す図。 第18実施形態の論理回路がAND回路して機能する場合の論理表を示す図。 第18実施形態の論理回路がOR回路して機能する場合の論理表を示す図。 第18実施形態の第1変形例による論理回路を示す図。 第18実施形態の第2変形例による論理回路を示す図。 各実施形態のスピンMOSFETの製造工程を示す断面図。 第1実施例によるスピンMOSFETの読み出し時のドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す図。 第2実施例によるスピンMOSFETの読み出し時のドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す図。 第3実施例によるスピンMOSFETの読み出し時のドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す図。 第4実施例によるスピンMOSFETの読み出し時のドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す図。 第19実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第19実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第19実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第19実施形態の変形例によるスピンMOSFETを示す断面図。 第20実施形態によるスピンMOSFETを示す断面図。 第20実施形態のスピンMOSFETに係る第2磁性膜の構成を示す断面図。 第20実施形態のスピンMOSFETに係る第1および第2磁性膜の強磁性層の磁化の向きを示す図。 第20実施形態の変形例によるスピンMOSFETを示す断面図。 第5乃至第7実施例によるスピンMOSFETの読み出し時のドレイン電流のソース・ドレイン間電圧依存性を示す図。
符号の説明
2 半導体基板
4 トンネル絶縁膜
6 第1磁性膜
6A 第1磁性層
強磁性層
非磁性層
強磁性層
6a 反強磁性層
8 第2磁性膜
8A 第2磁性膜
強磁性層(磁化自由層)
11 強磁性層
12 非磁性層
13 強磁性層
非磁性層
強磁性層
非磁性層
強磁性層
非磁性層
強磁性層
10 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
18 第2磁性膜
18A 第2磁性膜
18 強磁性層(磁化自由層)
1811 強磁性層
1812 非磁性層
1813 強磁性層
18 非磁性層
18 強磁性層
18 非磁性層
18 強磁性層
18 非磁性層
18 強磁性層

Claims (20)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられたトンネル絶縁体からなる第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、前記チャネル領域が書き込み電流および読み出し電流のそれぞれの電流経路となることを特徴とするスピンMOSFET。
  2. 前記磁化自由層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造を含み、前記強磁性層間に反強磁性結合を有することを特徴とする請求項1記載のスピンMOSFET。
  3. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、
    前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが反平行で、かつ書き込み時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とするスピンMOSFET。
  4. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、
    前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが平行で、かつ書き込み時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とするスピンMOSFET。
  5. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、
    前記磁化自由層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造を含み前記強磁性層間に反強磁性結合を有し、前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが反平行で、かつ書き込み時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に負の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とするスピンMOSFET。
  6. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着された第1強磁性層を含む第1磁性膜と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変の磁化自由層およびこの磁化自由層上に設けられた第1非磁性層ならびにこの第1非磁性層上に設けられ磁化の向きが固着された磁化固着層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、
    前記磁化自由層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造を含み前記強磁性層間に反強磁性結合を有し、前記第1強磁性層と前記磁化固着層の磁化の向きが平行で、かつ書き込み時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加され、読み出し時に正の磁気抵抗効果となるゲート電圧が印加されることを特徴とするスピンMOSFET。
  7. 前記第1磁性膜上に第1反強磁性層が設けられ、前記磁化固着層上に第2反強磁性層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  8. 前記第1および第2反強磁性層の材料は異なることを特徴とする請求項7記載のスピンMOSFET。
  9. 前記第1磁性膜は、前記第1強磁性層/第2非磁性層/第2強磁性層の積層構造を有し、前記第1および第2強磁性層間に反強磁性結合を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  10. 前記磁化固着層は、第3強磁性層/第3非磁性層/第4強磁性層の積層構造を有し、前記第3および第4強磁性層間に反強磁性結合を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  11. 前記半導体基板と、前記第1および第2磁性膜との間にトンネル絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  12. 前記第1磁性膜の前記第1強磁性層の磁化の向きに対して前記磁化自由層の磁化の向きが0度より大きく45度以下の角度で傾いていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  13. 前記第2磁性膜の膜面形状が実質的に平行四辺形であることを特徴とする請求項12記載のスピンMOSFET。
  14. 前記第2磁性膜の膜面形状が実質的に六角形であることを特徴とする請求項12記載のスピンMOSFET。
  15. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に離間して設けられるソース・ドレインの一方となる磁化の向きが固着されたハーフメタル強磁性層を有する第1強磁性層、この第1強磁性層上に設けられCoFe層を含む第2強磁性層を有する第1磁性膜と、
    前記第1磁性膜の第2強磁性層上に設けられた第1反強磁性層と、
    前記ソース・ドレインの他方となる磁化の向きが可変のハーフメタル強磁性層を有する磁化自由層、この磁化自由層上に設けられたトンネル絶縁層、このトンネル絶縁層上に設けられ磁化の向きが固着されたハーフメタル強磁性層を有する磁化固着層、この磁化固着層上に設けられCoFe層を含む第3強磁性層、および第3強磁性層上に設けられた第2反強磁性層を有する第2磁性膜と、
    前記第1および第2磁性膜の間のチャネル領域となる前記半導体基板上に少なくとも設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    備え、前記チャネル領域が書き込み電流および読み出し電流のそれぞれの電流経路となることを特徴とするスピンMOSFET。
  16. 前記第2および第3強磁性層はそれぞれ、CoFe/Ru/CoFeの三層構造を有していることを特徴とする請求項15記載のスピンMOSFET。
  17. 前記ハーフメタル強磁性層はフルホイスラー合金から形成されることを特徴とする請求項15または16に記載のスピンMOSFET。
  18. 前記フルホイスラー合金は、CoFeSi1−xAl(0.1<x<0.9)であることを特徴とする請求項17記載のスピンMOSFET。
  19. 前記半導体基板と、前記第1および第2磁性膜との間にトンネル絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のスピンMOSFET。
  20. 前記半導体基板は、その表面がIV族の半導体、III−V族、II−VI族の化合物半導体のいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のスピンMOSFET。
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