JP4762285B2 - スピントランジスタ、集積回路、及び、磁気メモリ - Google Patents

スピントランジスタ、集積回路、及び、磁気メモリ Download PDF

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Description

本発明は、スピントランジスタ、集積回路、及び、磁気メモリに係り、特に、強磁性体を用いたスピントランジスタ、集積回路、及び、磁気メモリに関する。
近年、電子の電荷とスピンの性質を同時に利用した新しいデバイスの研究が盛んになってきている。その中の1つであるスピントランジスタは、ソース電極及びドレイン電極に強磁性体を用い、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向を変えることにより出力特性を制御する(例えば、非特許文献1参照)。
スピントランジスタでは、例えば、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行なときのドレイン電流(IDP)が大きく、相対的な磁化方向が略反平行であるときのドレイン電流(IDAP)が小さくなる。
スピントランジスタを磁気メモリやリコンフィギュラブルな論理回路に用いる際にはIDP/IDAP比、即ち、相対的な磁化方向が略平行のときと略反平行のときのドレイン電流変化を大きくするのが好ましい。
このIDP/IDAP比を大きくするためには、ソース電極及びドレイン電極に用いる磁性体のスピン偏極率を大きくする必要がある。しかし、仮にスピン偏極率が100%の磁性体を用いることができたとしても、ソース-ドレイン電極間に有限のバイアスを印加するとIDP/IDAP比が劣化する、という問題がある。
S. Sugahara and M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 84(2004)2307 G. H. Fecher and C. Felser, J.Phys. D40, 1582 (2007) B. Balke et.al., Phys. Rev. B74 104405 (2006) J.Phys. : Cond.Matt. 16, 3089 (2004)
本発明は、スピントランジスタのソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際のIDP/IDAP比の劣化を防止する技術について提案する。
本発明の例に係わるスピントランジスタは、磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを備え、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ。
本発明の例に係わるスピントランジスタは、磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを備え、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第2強磁性層から前記第1強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ。
本発明の例に係わるスピントランジスタは、磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを備え、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ。
本発明の例に係わるスピントランジスタは、磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを備え、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第2強磁性層から前記第1強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ。
本発明によれば、スピントランジスタのソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際のIDP/IDAP比の劣化を防止することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 概要
本発明の例では、ソース電極及びドレイン電極が共に強磁性層から構成されるスピントランジスタにおいて、ソース電極を構成する強磁性層を、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成し、IDP/IDAP比の劣化を防止する。
また、本発明の例では、ソース電極及びドレイン電極が共に強磁性層から構成されるスピントランジスタにおいて、ドレイン電極を構成する強磁性層を、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成し、IDP/IDAP比の劣化を防止する。
ここで、ハーフメタルを、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンド分布を有し、これら二つのバンドが独立している材料と定義すると、ソース電極を構成する強磁性体は、ハーフメタルから構成することができる。
この場合、マイノリティースピンバンドのギャップとは、高エネルギー側のバンドと低エネルギー側のバンドとの間のギャップを意味するものとする。
また、強磁性体は、ハーフメタル以外の材料、即ち、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンド分布を有しているが、これら二つのバンドが繋がっている材料から構成することもできる。そのような材料としては、例えば、ホイスラー合金がある。
この場合、マイノリティースピンバンドのギャップとは、高エネルギー側のバンドの状態密度がその最大値の10%となる最も低エネルギー側のポイントと低エネルギー側のバンドの状態密度がその最大値の10%となる最も高エネルギー側のポイントとの間のギャップを意味するものとする。
具体的には、ソース電極を構成する強磁性体は、Co2FeAl1-xSix(1 > x > 0.5)、Co2Mn1-xFexSi(1 > x > 0.5)、Co2Cr1-xFexAl(1 > x > 0.4)などから構成される。また、ドレイン電極を構成する強磁性体は、Co2FeAl1-xSix(0 < x < 0.5)、Co2Mn1-xFexSi(0 < x < 0.5)及びCo2Cr1-xFexAl(0 < x < 0.4)などから構成される。
また、強磁性体は、X2YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかを、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより多く又は少なく含む組成比とすることにより、フェルミ準位の位置を調整した材料から構成される。
例えば、電子数(特に、価電子数)が多い元素の組成比を大きくした場合には、フェルミ準位を高エネルギー側にシフトさせることができるし、逆に、電子数(特に、価電子数)が少ない元素の組成比を大きくした場合には、フェルミ準位を低エネルギー側にシフトさせることができる。
2. 原理
本発明の例に係わるスピントランジスタおいて、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行なときのドレイン電流をIDPとし、相対的な磁化方向が略反平行であるときのドレイン電流をIDAPとしたときに、ソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際のIDP/IDAP比を大きくする原理について説明する。
ここで、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行とは、ソース電極の磁化方向とドレイン電極の磁化方向との相対角度θが0°(完全に平行)≦θ<90°の範囲内にあることを意味し、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略反平行とは、ソース電極の磁化方向とドレイン電極の磁化方向との相対角度θが90°<θ≦180°(完全に反平行)の範囲内にあることを意味するものとする。
まず、一般的なスピントランジスタにおいて、ソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際のIDP/IDAP比が劣化する原因を突き止める必要がある。
図1は、スピントランジスタのソース-ドレイン電極間のバイアスVDSとドレイン電流IDP, IDAPとの関係について示す実験例である。このグラフは、ゲート-ソース間の電圧VGSをパラメータにしている。
この実験例の詳細については、非特許文献1に開示される。
サンプルは、同図(a)に示すように、ソース及びドレインが面内磁化(in-plane magnetization)の強磁性層(HMF source / HMF drain)から構成され、ゲート絶縁膜の厚さtoxが3 nmのスピントランジスタとした。同図(a)は、2つの強磁性層の磁化方向が略平行の状態を示しているが、2つの強磁性層のうちの1つの磁化方向を反転させることにより略反平行の状態を作ることができる。
同図(b)に示すように、この実験例では、ソース-ドレイン電極間のバイアスVDSが所定値(例えば、0.3 V)以上になると、バイアスVDSが大きくなるに従い、IDP/IDAP比が急激に劣化することが分かる。また、IDP/IDAP比は、ソース-ドレイン電極間のバイアスのほか、強磁性層のスピン偏極率、強磁性層からチャネルへのスピン注入効率、チャネル中でのスピン緩和などにも依存する。
図2は、従来のスピントランジスタのソース-ドレイン電極間にバイアスを印加した状態のバンド図を示している。
ここでは、スピントランジスタの電気伝導に係わるキャリアを、マジョリティースピンバンド(majority spin band)に存在する電子(同図では上向き矢印)と、マイノリティースピンバンド(minority spin band)に存在する電子(同図では下向き矢印)とに分けて検討する。
ソース電極(例えば、ハーフメタル)からトンネルバリアを経由して半導体に注入される電子は、フェルミ面(フェルミ準位)Eよりも低いエネルギーを持つ電子となる。ソース-ドレイン電極間のバイアスが小さい状態では、マジョリティースピンバンドに存在する電子のみがソース電極から半導体に注入される。
しかし、ソース-ドレイン電極間のバイアスが大きくなると、マイノリティースピンバンドに存在する電子も半導体に注入されるようになるため、半導体に注入される電子のスピン偏極率が低下する。その結果、IDP/IDAP比が劣化する。
また、半導体からトンネルバリアを経由してドレイン電極(例えば、ハーフメタル)に注入される電子は、フェルミ面Eよりも高いエネルギーを持つ電子となる。ソース-ドレイン電極間のバイアスが小さい状態では、マジョリティースピンバンドのみに電子が注入される。
しかし、ソース-ドレイン電極間のバイアスが大きくなると、マイノリティースピンバンドにも電子が注入されるようになるため、ドレイン電極におけるマジョリティースピンとマイノリティースピンとの選択性が低下する。その結果、IDP/IDAP比が劣化する。
このように、スピントランジスタの電気伝導に係わるキャリアを、マジョリティースピンを持つ電子とマイノリティースピンを持つ電子とについて検討した結果、マイノリティースピンを持つ電子が電気伝導のキャリアとして機能することがIDP/IDAP比の劣化の原因となっていることが判明した。
図3は、本発明の例に係わるスピントランジスタのソース-ドレイン電極間にバイアスを印加した状態のバンド図を示している。
このバンド図の第一の特徴は、図2のバンド図と比べると、ソース電極(例えば、ハーフメタル)の二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側に、ソース電極を構成する材料のフェルミ準位がシフトしている点にある。
これにより、ソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際に、マイノリティースピンバンドに存在する電子が半導体に注入され難くなるため、半導体に注入される電子のスピン偏極率が低下することもなくなる。その結果、IDP/IDAP比が向上する。
また、このバンド図の第二の特徴は、図2のバンド図と比べると、ドレイン電極(例えば、ハーフメタル)の二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側に、ドレイン電極を構成する材料のフェルミ準位がシフトしている点にある。
これにより、ソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際に、マイノリティースピンバンドに電子が注入され難くなるため、ドレイン電極におけるマジョリティースピンとマイノリティースピンとの選択性が良くなる。その結果、IDP/IDAP比が向上する。
このように、本発明の原理は、スピントランジスタのソース/ドレイン電極を構成する強磁性体のフェルミ準位をシフトさせ、マイノリティースピンを持つ電子が電気伝導のキャリアとして機能しないようにすることにある。
ここで、スピントランジスタのソース/ドレイン電極を構成する強磁性体のフェルミ準位をシフトさせる例を説明する。
まず、ハーフメタルのフェルミ準位をシフトさせる例を説明する。
ハーフメタルとしてCo2FeAl1-xSixを使用する場合は、以下の通りである。
この例の場合、AlとSiの組成比xを制御することによりCo2FeAl1-xSixのフェルミ準位をシフトさせることが可能である。
Co2FeAl1-xSixでは、x = 0.5のとき、フェルミ準位Eの位置は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央になる。
これを基準にして、Siの組成比xを上げる(Si richな状態にする)ことにより、Co2FeAl1-xSix内の電子数(特に、価電子数)が増加し、フェルミ準位がマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にシフトする。
また、Siの組成比xを下げる(Si poorな状態にする)ことにより、Co2FeAl1-xSix内の電子数(特に、価電子数)が減少し、フェルミ準位がマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にシフトする。
従って、Co2FeAl1-xSixをソース電極として使用するときは、x > 0.5とし、Co2FeAl1-xSixをドレイン電極として使用するときは、x < 0.5とする。
尚、フェルミ準位のシフト量については、必要とされるスピントランジスタの性能(IDP/IDAP比)により調整する。Co2FeAl1-xSixのフェルミ準位のシフトについては、例えば、非特許文献2に開示される。
また、ハーフメタルとしてCo2Mn1-xFexSiを使用する場合は、以下の通りである。
この例の場合、FeとMnの組成比xを制御することによりCo2Mn1-xFexSiのフェルミ準位をシフトさせることが可能である。
Co2Mn1-xFexSiでは、x=0.5のとき、フェルミ準位Eの位置は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央になる。
これを基準にして、Feの組成比xを上げる(Fe richな状態にする)ことにより、Co2Mn1-xFexSi内の電子数(特に、価電子数)が増加し、フェルミ準位がマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にシフトする。
また、Feの組成比xを下げる(Fe poorな状態にする)ことにより、Co2Mn1-xFexSi内の電子数(特に、価電子数)が減少し、フェルミ準位がマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にシフトする。
従って、Co2Mn1-xFexSiをソース電極として使用するときは、x > 0.5とし、Co2Mn1-xFexSiをドレイン電極として使用するときは、x < 0.5とする。
尚、フェルミ準位のシフト量については、必要とされるスピントランジスタの性能(IDP/IDAP比)により調整する。Co2Mn1-xFexSiのフェルミ準位のシフトについては、例えば、非特許文献3に開示される。
ところで、フェルミ準位のシフトは、同様の原理により、上述の材料以外についても行うことが可能である。
例えば、Co2Cr1-xFexAlでは、x = 0.4のとき、フェルミ準位Eの位置は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央になる。また、Co2Cr1-xFexAlをソース電極として使用するときは、x > 0.4とし、Co2Cr1-xFexAlをドレイン電極として使用するときは、x < 0.4とする。これについては、非特許文献4に開示される。
また、ホイスラー合金としてのX2YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auのうちの1つ、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feのうちの1つ、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snのうちの1つ)については、フェルミ準位Eの位置は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央にある。
従って、X2YZのうちの一部の元素をそれよりも電子数(特に、価電子数)の多い元素で置換すれば、フェルミ準位は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にシフトする。
また、X2YZのうちの一部の元素をそれよりも電子数(特に、価電子数)の少ない元素で置換すれば、フェルミ準位は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にシフトする。
3. 基本構造
(1) 第1基本構造
図4は、第1基本構造を示している。
第1強磁性層F1は、磁化方向が不変な面内磁化材料(in-plane magnetic material)から構成され、第2強磁性層F2は、磁化方向が可変な面内磁化材料から構成される。
ここで、磁化方向が不変とは、書き込み電流を用いた書き込み前後において磁化方向が変化しないことであり、磁化方向が可変とは、書き込み電流を用いた書き込み前後において磁化方向が変化し得ることである。
第1強磁性層F1と第2強磁性層F2との間のチャネル(半導体層)CH上には、ゲート電極Gが配置される。ゲート絶縁膜IがチャネルCHとゲート電極Gとの間に配置されるとき、スピントランジスタは、MOSFET(同図(a))になり、ゲート電極GがチャネルCH上に直接配置されるとき、スピントランジスタは、ジャンクション(J)−FET又はMES(metal-semiconductor)FET(同図(b))になる。
第2強磁性層F2の磁化方向を変えることにより、第1及び第2強磁性層F1,F2の磁化は、略平行又は略反平行の関係となる。即ち、第2強磁性層F2の磁化方向によりデータが記憶される。
書き込みは、例えば、端子A,Bの間に、書き込みデータに応じた向きの書き込み電流を流すことにより行う。読み出しは、例えば、端子Bから端子Aに読み出し電流を流すことにより行う。この場合、電子は、端子A(第1強磁性層F1)から端子B(第2強磁性層F2)に向かって流れる。
そこで、第1強磁性層F1及び第2強磁性層F2の少なくとも1つについては、以下の要件を満たす強磁性体から構成する。
第1強磁性層F1については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
第2強磁性層F2については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
(2) 第2基本構造
図5は、第2基本構造を示している。
第1強磁性層F1は、磁化方向が不変な垂直磁化材料(perpendicular magnetic material)から構成され、第2強磁性層F2は、磁化方向が可変な垂直磁化材料から構成される。ここで、第1及び第2強磁性層F1,F2をその膜面に垂直方向に磁化を有する垂直磁化膜とするには、以下の手法を用いることができる。
例えば、強磁性体が面内方向に磁化を有する場合には、この強磁性体の膜面に垂直な方向に磁化を有する磁性体を積層することにより、強磁性体の磁化方向を面内方向から垂直方向に向けることが可能である。
このような膜面に垂直方向に磁化を有する磁性体としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及び、マンガン(Mn)のうち1つ以上の元素と、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、及び、アルミ(Al)のうち1つ以上の元素とを含む合金であって、かつ、結晶構造がL10構造の規則合金等が挙げられる。 一例として、FePd、FePt、CoPtなどがある。
第1強磁性層F1と第2強磁性層F2との間のチャネル(半導体層)CH上には、ゲート電極Gが配置される。ゲート絶縁膜IがチャネルCHとゲート電極Gとの間に配置されるとき、スピントランジスタは、MOSFET(同図(a))になり、ゲート電極GがチャネルCH上に直接配置されるとき、スピントランジスタは、ジャンクション(J)−FET又はMESFET(同図(b))になる。
第2強磁性層F2の磁化方向を変えることにより、第1及び第2強磁性層F1,F2の磁化は、略平行又は略反平行の関係となる。即ち、第2強磁性層F2の磁化方向によりデータが記憶される。
書き込みは、例えば、端子A,Bの間に、書き込みデータに応じた向きの書き込み電流を流すことにより行う。読み出しは、例えば、端子Bから端子Aに読み出し電流を流すことにより行う。この場合、電子は、端子A(第1強磁性層F1)から端子B(第2強磁性層F2)に向かって流れる。
そこで、第1強磁性層F1及び第2強磁性層F2の少なくとも1つについては、以下の要件を満たす強磁性体から構成する。
第1強磁性層F1については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
第2強磁性層F2については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
(3) 第3基本構造
図6は、第3基本構造を示している。
ゲート電極Gは、第1及び第2拡散層D1,D2の間のチャネル(半導体層)CH上に配置される。ゲート絶縁膜IがチャネルCHとゲート電極Gとの間に配置されるとき、スピントランジスタは、MOSFET(同図(a))になり、ゲート電極GがチャネルCH上に直接配置されるとき、スピントランジスタは、ジャンクション(J)−FET又はMESFET(同図(b))になる。
第1強磁性層F1は、第1拡散層D1上に配置され、第2強磁性層F2は、第2拡散層D2上に配置される。
ここで、チャネルCHと第1及び第2強磁性層F1,F2との位置関係について、第3基本構造でも、第1及び第2強磁性層F1,F2の間にチャネルCHが存在する、ということができるものとする。
第1強磁性層F1は、磁化方向が不変な面内磁化材料から構成され、第2強磁性層F2は、磁化方向が可変な面内磁化材料から構成される。第2強磁性層F2の磁化方向を変えることにより、第1及び第2強磁性層F1,F2の磁化は、略平行又は略反平行の関係となる。即ち、第2強磁性層F2の磁化方向によりデータが記憶される。
書き込みは、例えば、端子A,Bの間に、書き込みデータに応じた向きの書き込み電流を流すことにより行う。読み出しは、例えば、端子Bから端子Aに読み出し電流を流すことにより行う。この場合、電子は、端子A(第1強磁性層F1)から端子B(第2強磁性層F2)に向かって流れる。
そこで、第1強磁性層F1及び第2強磁性層F2の少なくとも1つについては、以下の要件を満たす強磁性体から構成する。
第1強磁性層F1については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
第2強磁性層F2については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
(4) 第4基本構造
図7は、第4基本構造を示している。
ゲート電極Gは、第1及び第2拡散層D1,D2の間のチャネル(半導体層)CH上に配置される。ゲート絶縁膜IがチャネルCHとゲート電極Gとの間に配置されるとき、スピントランジスタは、MOSFET(同図(a))になり、ゲート電極GがチャネルCH上に直接配置されるとき、スピントランジスタは、ジャンクション(J)−FET又はMESFET(同図(b))になる。
第1強磁性層F1は、第1拡散層D1上に配置され、第2強磁性層F2は、第2拡散層D2上に配置される。
ここで、チャネルCHと第1及び第2強磁性層F1,F2との位置関係について、第4基本構造でも、第1及び第2強磁性層F1,F2の間にチャネルCHが存在する、ということができるものとする。
第1強磁性層F1は、磁化方向が不変な垂直磁化材料から構成され、第2強磁性層F2は、磁化方向が可変な垂直磁化材料から構成される。ここで、第1及び第2強磁性層F1,F2をその膜面に垂直方向に磁化を有する垂直磁化膜とするには、上述の第2基本構造で説明した手法と同じ手法を用いることができる。
第2強磁性層F2の磁化方向を変えることにより、第1及び第2強磁性層F1,F2の磁化は、略平行又は略反平行の関係となる。即ち、第2強磁性層F2の磁化方向によりデータが記憶される。
書き込みは、例えば、端子A,Bの間に、書き込みデータに応じた向きの書き込み電流を流すことにより行う。読み出しは、例えば、端子Bから端子Aに読み出し電流を流すことにより行う。この場合、電子は、端子A(第1強磁性層F1)から端子B(第2強磁性層F2)に向かって流れる。
そこで、第1強磁性層F1及び第2強磁性層F2の少なくとも1つについては、以下の要件を満たす強磁性体から構成する。
第1強磁性層F1については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
第2強磁性層F2については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つこと。
(5) その他
第1乃至第4基本構造は、本発明に最低限必要な構成要素について規定したものであり、次に説明する実施例で示すように、さらに構成要素を付加して、高性能なスピントランジスタとすることが可能である。
また、第3及び第4基本構造(図6及び図7)において、第1及び第2拡散層D1,D2は、省略することも可能である。
4. 実施例
(1) 第1実施例
図8は、第1実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、MOSFET構造を有する。
半導体基板1の表面に2つの凹部が形成され、そのうちの1つ内に強磁性層3が満たされ、他の1つ内に強磁性層4が満たされる。強磁性層3,4間のチャネル2上には、ゲート絶縁膜7を介してゲート電極8が形成される。
強磁性層3は、磁化方向が不変の磁気固着層(magnetic pinned layer)であり、強磁性層4は、磁化方向が可変の磁気記録層(magnetic free layer)である。強磁性層4上には、非磁性層5を介して強磁性層6が形成される。非磁性層5は、絶縁体であってもよいし、導電体であってもよい。強磁性層6は、磁化方向が不変の磁気固着層である。
強磁性層3,6上及びゲート電極8上には、これらを保護する機能を持つ電極10,11,12が形成される。
このスピントランジスタでは、電極10,12間に流れる電流は、電極10,12間に印加するバイアス電圧の値及び強磁性層3,4の相対的な磁化方向に依存する。
例えば、電極11にゲート電圧が印加されたときに、強磁性層3,4の相対的な磁化方向が略平行であれば大きな電流(IDP)が流れ、略反平行であれば小さな電流(IDAP)が流れる。また、半導体基板1及び強磁性層3,4の材料によっては、電極11にゲート電圧が印加されたときに、強磁性層3,4の相対的な磁化方向が略反平行であれば大きな電流(IDP)が流れ、略平行であれば小さな電流(IDAP)が流れることもある。
また、スピントランジスタの抵抗状態は、磁気トンネル接合又は半導体-磁性体結合を構成する2つの磁性体が反平行のときに高抵抗状態、平行のときに低抵抗状態になる場合と、2つの磁性体が平行のときに高抵抗状態、反平行のときに低抵抗状態になる場合との2通りがある。後者の具体例としては、FeCo/Si/FeCoからなる接合構造がある。これについては、例えば、”Spin transport in a lateral spin-injection device with an FM/Si/FM junction”, W.J.Hwang et al., Journal of Magnetism and Magnetic Materials 272-276(2004) 1915-1916に記載されている。
上述の第1乃至第4基本構造では、2つの磁性体が反平行のときに高抵抗状態、平行のときに低抵抗状態になる場合を説明したが、2つの磁性体が平行のときに高抵抗状態、反平行のときに低抵抗状態になる場合にも適用することができる。
以上は、後述する第2乃至第9実施例においても同じである。
第1実施例では、強磁性層3,4のうち、いずれをソース側とし、いずれをドレイン側とするかは、自由である。
但し、強磁性層3,4のうち、ソース側となる強磁性層及びドレイン側となる強磁性層のうちの少なくとも1つについては、以下の要件を満たすことが必要である。
ソース側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ドレイン側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
これにより、電極10,12間にバイアス電圧を印加した状態でのIDP/IDAP比を向上させることができる。
また、半導体基板1と強磁性体3との間、及び、半導体基板1と強磁性体4との間のうちの少なくとも1つにトンネルバリア層を形成すれば、スピン注入効率を高めることができるため、スピントランジスタの性能をさらに向上できる。
尚、強磁性層3,4,6は、面内磁化を有しているが、これに代えて、垂直磁化を有するようにしてもよい。
次に、図8に示すスピントランジスタの製造方法について簡単に説明する。
まず、半導体基板1にインプラ(ion implantation)及びアニールを用いてチャネル2を形成した後にゲート絶縁膜7及びゲート電極8を形成する。
また、エッチングにより半導体基板1に凹部を形成する。
次に、この凹部内に強磁性体を埋め込み、強磁性層3,4を形成する。この後、強磁性層4上に、非磁性層5及び強磁性層6を形成する。
また、強磁性層3,6上及びゲート電極8上に電極10,11,12を形成する。
最後に、強磁性層3,4,6に磁気異方性を付与するために1Tの一様磁場中で270 ℃1時間のアニールを行う。
以上により、図8のスピントランジスタを形成できる。
(2) 第2実施例
図9は、第2実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、J−FET構造又はMESFET構造を有する。
J−FET構造では、ゲート電極8は、半導体から構成され、ゲート電極8の導電型は、半導体基板1の導電型と逆になる。また、MESFET構造では、ゲート電極8は、金属から構成される。MESFET構造では、半導体基板1は、主に、化合物半導体(GaAs, InP, SiC etc.)から構成され、半導体基板1とゲート電極8とによりショットキー接合が形成される。
半導体基板1の表面に2つの凹部が形成され、そのうちの1つ内に強磁性層3が満たされ、他の1つ内に強磁性層4が満たされる。強磁性層3,4間のチャネル2上には、ゲート電極8が形成される。
強磁性層3は、磁化方向が不変の磁気固着層であり、強磁性層4は、磁化方向が可変の磁気記録層である。強磁性層4上には、非磁性層5を介して強磁性層6が形成される。非磁性層5は、絶縁体であってもよいし、導電体であってもよい。強磁性層6は、磁化方向が不変の磁気固着層である。
強磁性層3,6上及びゲート電極8上には、これらを保護する機能を持つ電極10,11,12が形成される。
このスピントランジスタでは、第1実施例と同様に、電極10,12間に流れる電流は、電極10,12間に印加するバイアス電圧の値及び強磁性層3,4の相対的な磁化方向に依存する。
第2実施例でも、強磁性層3,4のうち、いずれをソース側とし、いずれをドレイン側とするかは、自由である。
但し、強磁性層3,4のうち、ソース側となる強磁性層及びドレイン側となる強磁性層のうちの少なくとも1つについては、以下の要件を満たすことが必要である。
ソース側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ドレイン側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
これにより、電極10,12間にバイアス電圧を印加した状態でのIDP/IDAP比を向上させることができる。
また、半導体基板1と強磁性体3との間、及び、半導体基板1と強磁性体4との間のうちの少なくとも1つにトンネルバリア層を形成すれば、スピン注入効率を高めることができるため、スピントランジスタの性能をさらに向上できる。
尚、強磁性層3,4,6は、面内磁化を有しているが、これに代えて、垂直磁化を有するようにしてもよい。
次に、図9に示すスピントランジスタの製造方法について簡単に説明する。
まず、半導体基板1にインプラ及びアニールを用いてチャネル2を形成した後にゲート電極8を形成する。
また、エッチングにより半導体基板1に凹部を形成する。
次に、この凹部内に強磁性体を埋め込み、強磁性層3,4を形成する。この後、強磁性層4上に、非磁性層5及び強磁性層6を形成する。
また、強磁性層3,6上及びゲート電極8上に電極10,11,12を形成する。
最後に、強磁性層3,4,6に磁気異方性を付与するために1Tの一様磁場中で270 ℃1時間のアニールを行う。
以上により、図9のスピントランジスタを形成できる。
(3) 第3実施例
図10は、第3実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、MOSFET構造を有する。第3実施例は、第1実施例の変形例である。
第3実施例が第1実施例と異なる点は、強磁性層3と電極10との間に反強磁性層(anti-ferromagnetic layer)AF1が配置され、強磁性層6と電極12との間に反強磁性層AF2が配置されている点にある。反強磁性層AF1,AF2は、ピン層とも呼ばれ、磁気固着層としての強磁性層3,6の磁化を固着する機能を有する。
反強磁性層AF1,AF2の存在により強磁性層3,6の磁化方向が安定化するため、結果として、IDP/IDAP比のばらつきが抑制され、スピントランジスタの安定した動作が実現できる。
尚、強磁性層3,4,6が垂直磁化を有するときは、強磁性層3,6の磁化方向は、反強磁性層がなくても安定化することがある。
(4) 第4実施例
図11は、第4実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、J−FET構造又はMESFET構造を有する。第4実施例は、第2実施例の変形例である。
第4実施例が第2実施例と異なる点は、強磁性層3と電極10との間に反強磁性層AF1が配置され、強磁性層6と電極12との間に反強磁性層AF2が配置されている点にある。反強磁性層AF1,AF2は、ピン層とも呼ばれ、磁気固着層としての強磁性層3,6の磁化を固着する機能を有する。
反強磁性層AF1,AF2の存在により強磁性層3,6の磁化方向が安定化するため、結果として、IDP/IDAP比のばらつきが抑制され、スピントランジスタの安定した動作が実現できる。
尚、強磁性層3,4,6が垂直磁化を有するときは、強磁性層3,6の磁化方向は、反強磁性層がなくても安定化することがある。
(5) 第5実施例
図12は、第5実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、MOSFET構造を有する。第5実施例は、第3実施例の変形例である。
第5実施例が第3実施例と異なる点は、半導体基板1と強磁性層3との間にトンネルバリア層B1が配置され、半導体基板1と強磁性層4との間にトンネルバリア層B2が配置されている点にある。トンネルバリア層B1,B2は、チャネル2に高スピン偏極率のキャリアを注入し、強磁性層3,4の磁化方向の変化に伴うコンダクタンスの変化を大きくする機能を有する。
また、トンネルバリア層B1,B2は、半導体基板1と強磁性層3,4との間での反応を防止するバリア機能を有する。このため、半導体基板1と強磁性層3,4との接合面を良好に形成でき、製造歩留まりの向上を図ることが可能である。
尚、トンネルバリア層B1,B2の一方を省略することもできる。また、第5実施例では、反強磁性層AF1,AF2を有しているが、これらを省略することもできる。
(6) 第6実施例
図13は、第6実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、J−FET構造又はMESFET構造を有する。第6実施例は、第4実施例の変形例である。
第6実施例が第4実施例と異なる点は、半導体基板1と強磁性層3との間にトンネルバリア層B1が配置され、半導体基板1と強磁性層4との間にトンネルバリア層B2が配置されている点にある。トンネルバリア層B1,B2は、チャネル2に高スピン偏極率のキャリアを注入し、強磁性層3,4の磁化方向の変化に伴うコンダクタンスの変化を大きくする機能を有する。
また、トンネルバリア層B1,B2は、半導体基板1と強磁性層3,4との間での反応を防止するバリア機能を有する。このため、半導体基板1と強磁性層3,4との接合面を良好に形成でき、製造歩留まりの向上を図ることが可能である。
尚、トンネルバリア層B1,B2の一方を省略することもできる。また、第6実施例では、反強磁性層AF1,AF2を有しているが、これらを省略することもできる。
(7) 第7実施例
図14は、第7実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、MOSFET構造を有する。
半導体基板1の表面領域には、ソース/ドレイン拡散層D1,D2が形成される。ソース/ドレイン拡散層D1,D2間のチャネル2上には、ゲート絶縁膜7を介してゲート電極8が形成される。
ソース/ドレイン拡散層D1上には、強磁性層3が形成され、ソース/ドレイン拡散層D2上には、強磁性層4が形成される。強磁性層3は、磁化方向が不変の磁気固着層であり、強磁性層4は、磁化方向が可変の磁気記録層である。
強磁性層4上には、非磁性層5を介して強磁性層6が形成される。非磁性層5は、絶縁体であってもよいし、導電体であってもよい。また、強磁性層6は、磁化方向が不変の磁気固着層である。
強磁性層3,6上及びゲート電極8上には、これらを保護する機能を持つ電極10,11,12が形成される。なお、図10などに示されるように、反強磁性層を強磁性層3,6と電極10,12との間にそれぞれ設けることができる。
ここで、第7実施例では、強磁性層4,6及び非磁性層5により磁気抵抗効果素子MTJが形成されるものとする。
このため、非磁性層5は、トンネルバリア層としてもよい。
このスピントランジスタでは、電極10,12間に流れる電流は、電極10,12間に印加するバイアス電圧の値及び強磁性層3,4,6の相対的な磁化方向に依存する。
第7実施例では、強磁性層3,4のうち、いずれをソース側とし、いずれをドレイン側とするかは、自由である。
但し、強磁性層3,4のうち、ソース側となる強磁性層及びドレイン側となる強磁性層のうちの少なくとも1つについては、以下の要件を満たすことが必要である。
ソース側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ドレイン側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ここで、強磁性層3をソース側とし、強磁性層4をドレイン側とした例を図15に示すことにする。
この場合、例えば、強磁性層3は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位Eを有し、強磁性層4は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位Eを有する。
また、強磁性層6については、強磁性層4よりも、さらに、フェルミ準位Eを低エネルギー側にシフトさせる。
これにより、電極10,12間にバイアス電圧を印加した状態でのIDP/IDAP比を向上させることができる。
また、半導体基板1と強磁性体3との間、及び、半導体基板1と強磁性体4との間のうちの少なくとも1つにトンネルバリア層を形成すれば、スピン注入効率を高めることができるため、スピントランジスタの性能をさらに向上できる。
尚、強磁性層3,4,6は、面内磁化を有しているが、これに代えて、垂直磁化を有するようにしてもよい。
強磁性層3,4,6が垂直磁化を有するときは、これら強磁性層3,4,6の磁化方向は、反強磁性層が存在しなくても安定化することがある。
(8) 第8実施例
図16は、第8実施例に関わるスピントランジスタを示している。
このスピントランジスタは、J−FET構造又はMESFET構造を有する。
半導体基板1の表面領域には、ソース/ドレイン拡散層D1,D2が形成される。ソース/ドレイン拡散層D1,D2間のチャネル2上には、ゲート電極8が形成される。
ソース/ドレイン拡散層D1上には、強磁性層3が形成され、ソース/ドレイン拡散層D2上には、強磁性層4が形成される。強磁性層3は、磁化方向が不変の磁気固着層であり、強磁性層4は、磁化方向が可変の磁気記録層である。
強磁性層4上には、非磁性層5を介して強磁性層6が形成される。非磁性層5は、絶縁体であってもよいし、導電体であってもよい。また、強磁性層6は、磁化方向が不変の磁気固着層である。
強磁性層3,6上及びゲート電極8上には、これらを保護する機能を持つ電極10,11,12が形成される。なお、図11などに示されるように、反強磁性層を強磁性層3,6と電極10,12との間にそれぞれ設けることができる。
ここで、第8実施例でも、第7実施例と同様に、強磁性層4,6及び非磁性層5により磁気抵抗効果素子MTJが形成されるものとする。
このため、非磁性層5は、トンネルバリア層としてもよい。
このスピントランジスタでは、電極10,12間に流れる電流は、電極10,12間に印加するバイアス電圧の値及び強磁性層3,4,6の相対的な磁化方向に依存する。
第8実施例でも、強磁性層3,4のうち、いずれをソース側とし、いずれをドレイン側とするかは、自由である。
但し、強磁性層3,4のうち、ソース側となる強磁性層及びドレイン側となる強磁性層のうちの少なくとも1つについては、以下の要件を満たすことが必要である。
ソース側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ドレイン側となる強磁性層については、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ強磁性体から構成すること。
ここで、強磁性層3をソース側とし、強磁性層4をドレイン側とした場合、強磁性層3は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位Eを有し、強磁性層4は、マイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位Eを有する。
また、強磁性層6については、強磁性層4よりも、さらに、フェルミ準位Eを低エネルギー側にシフトさせる。
これにより、電極10,12間にバイアス電圧を印加した状態でのIDP/IDAP比を向上させることができる。
また、半導体基板1と強磁性体3との間、及び、半導体基板1と強磁性体4との間のうちの少なくとも1つにトンネルバリア層を形成すれば、スピン注入効率を高めることができるため、スピントランジスタの性能をさらに向上できる。
尚、強磁性層3,4,6は、面内磁化を有しているが、これに代えて、垂直磁化を有するようにしてもよい。
強磁性層3,4,6が垂直磁化を有するときは、これら強磁性層3,4,6の磁化方向は、反強磁性層が存在しなくても安定化することがある。
(9) 第9実施例
第9実施例は、上述した第1〜第8実施例のデバイスに使用する材料に関する。
まず、半導体基板は、Si, Geなどを用いることができる。半導体基板の導電型は、n型であってもよいし、p型であってもよい。また、SixGe1-x (0 < x < 1)などのIV族、III-V族及びII-VI族の化合物半導体、磁性半導体などを半導体基板とすることも可能である。
強磁性層を構成する強磁性体は、一方向異方性を有することが望ましい。その厚さは、0.1 nmから100 nmまでの範囲内の値とするのが好ましい。さらに、これら強磁性体の厚さの下限については、超常磁性にならないことが条件となり、これを考慮すると、強磁性体の厚さは、0.4 nmから100 nmまでの範囲内の値とするのが好ましい。
強磁性体は、ハーフメタル、ホイスラー合金などを使用する。例えば、強磁性体は、前述したCo2FeAl1-xSix、Co2Mn1-xFexSi及びCo2Cr1-xFexAlのうちの1つとするのが望ましい。これら材料の組成を調整する方法としては、インプラがある。
強磁性体としては、フェルミ準位の位置の制御が可能な限り、全ての強磁性体を本発明の対象とすることができる。
スピントランジスタ、集積回路や、磁気メモリなどに使用する強磁性体としては、以下の材料が知られており、かつ、これら材料についてはフェルミ準位の位置の制御が可能であるため、本発明の対象とすることができる。
・ Co、Fe、Ni又はそれらの合金、例えば、Co-Pt、Co-Fe-Pt、Fe-Pt、Co-Fe-Cr-Pt、C0-Cr-P 但し、X-Y-Zは、元素X, Y, Zを含む合金を意味する(以下、同じ)。
・ NiMnSb、Co2MnGe、Co2MnAl、Co2MnSi、CoCrFeAlなどの合金
・ GeMn、SiCNi、SiCMn、SiCFe、ZnMnTe、ZnCrTe、BeMnTe、ZnVO、ZnMnO、ZnCoO、GaMnAs、InMnAs、InMnAb、GaMnP、GaMnN、GaCrN、AlCrN、BiFeTe、SbVTe、PbSnMnTe、GeMnTe、CdMnGeP、ZnSiNMn、ZnGeSiNMn、BeTiFeO、CdMnTe、ZnMnS、TiCoO、SiMn、SiGeMnなどの磁性半導体
また、これらの磁性材料に、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスニウム)、Re(レニウム)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの非磁性元素を添加して、磁気特性を調節したり、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することも可能である。
反強磁性層としては、Fe-Mn(鉄−マンガン)、Pt-Mn(白金−マンガン)、Pt-Cr-Mn(白金−クロム−マンガン)、Ni-Mn(ニッケル−マンガン)、Ir-Mn(イリジウム−マンガン)、NiO(酸化ニッケル)、Fe2O3(酸化鉄)などを用いることができる。
トンネルバリア層としては、Si、Ge、Al、Ga、Mg、Tiなどの酸化物又は窒化物や、SrTiO、NdGaOなどを用いることができる。
非磁性層としては、Cu、Cr、Au、Ag、Hf、Zr、Rh、Pt、Ir、Alのうちの少なくとも1つの元素を含む材料、Si、Ge、Al、Ga、Mg、Tiなどの酸化物若しくは窒化物、SrTiO、NdGaO、SixGe1-x(0 <x <1)、III-V族及びII-VI族の化合物半導体、又は、磁性半導体を用いることができる。
5. 実験例
以下、実際に本発明の例に係わるサンプルを作成し、その特性を評価した実験例を説明する。
サンプルは、図17に示す手順により製造したスピントランジスタである。
まず、CMOSプロセスを用いて、半導体基板1上にSTI (shallow trench isolation)構造の素子分離絶縁層I1、I2を形成する。また、インプラにより不純物を半導体基板1内に注入することでチャネル2を形成する。
次に、熱酸化法により、半導体基板1上にゲート絶縁膜7となるシリコン酸化膜を成長させ、続いて、このゲート絶縁膜7上にゲート電極8となるポリシリコン膜を堆積する。このポリシリコン膜に不純物を注入し、アニールを行った後に、フォトリソグラフィー及びエッチングによりゲート電極8及びゲート絶縁膜7をパターニングする。この後、セルフアラインプロセスを用いて、SiO2からなる側壁絶縁膜S1、S2を形成する。
次に、ゲート電極8及び側壁絶縁膜S1、S2をマスクとして、反応性イオンエッチングにより、半導体基板1をエッチングすると、半導体基板1に凹部が形成され、同図(a)に示す構造が得られる。
次に、半導体基板1の凹部内に、トンネルバリア層B1、B2となるSiO2を形成する。また、トンネルバリア層B1、B2上に、半導体基板1の凹部を満たす強磁性層3、4を形成する。ここでは、強磁性層3は、ソースとして機能させるため、その材料としては、Co2FeAl0.4Si0.6 を使用し、強磁性層4は、ドレインとして機能させるため、Co2FeAl0.6Si0.4 を使用した。
次に、強磁性層4上に非磁性層5及び強磁性体層6を形成した後に、強磁性層3、6上に反強磁性層AF1、AF2を形成する。ここで、非磁性層5は、Ta (5 nm)とし、強磁性層6は、(Co50Fe50)80B20 (3 nm)とした。また、反強磁性層AF1、AF2は、PtMn (20 nm)とした。
次に、反強磁性層AF1、AF2上及びゲート電極8上に、それぞれ、電極10、11、12を形成すると、同図(b)に示す構造が得られる。電極10、11、12は、Alとした。この後、1Tの一様磁場中で270℃、1時間のアニールを行った。
上述の手順で作製したスピントランジスタに対して、IDPとIDAPのVd依存性を測定した。測定手順は次の通りである。
まず、スピントランジスタの閾値電圧(Vth)以上の電圧を電極11に印加した後に磁場を掃引し、強磁性層3と強磁性層4の相対的な磁化方向を略平行にし、IDPのVd依存性を測定した。次に、強磁性層3と強磁性層4の相対的な磁化方向を略反平行にし、IDAPのVd依存性を測定した。
このサンプルにおいてIDP/IDAP比の減少が始まるVdは、1.0 Vであった。
次に、比較例として作製したサンプルの測定を行った。
比較例に係わるサンプルは、強磁性層3、4を構成する強磁性体の組成比が異なること以外については、本発明の例に係わるサンプルと同じである。
具体的には、比較例に係わるサンプルの強磁性層(ソース)3は、Co2FeAl0.5Si0.5とし、強磁性層(ドレイン)4は、Co2FeAl0.5Si0.5とした。
このサンプルにおいて同様の測定を行ったところ、IDP/IDAPの減少が始まるVdは、0.5 Vであった。
以上の結果から、ソース電極及びドレイン電極のフェルミ準位を適切に調節することにより、バイアス印加に伴うIDP/IDAP比の減少を抑制できることが分かった。
6. 適用例
本発明の例に係わるスピントランジスタは、以下の適用が可能である。
(1) 集積回路に適用する場合
本発明の例に係るスピントランジスタは、ロジックLSIなどの集積回路に適用できる。例えば、スピントランジスタのメモリ機能を利用し、1つの回路により複数のロジックを選択的に使用することが可能である。
図18は、リコンフィギャブルなロジック回路の一例を示している。
このロジック回路は、スピントランジスタSN1の状態により、入力信号Aの通過を許可/禁止する機能を有する。
Nチャネル型スピントランジスタ SN1のゲート端には入力信号Aが入力され、ソース端には、Nチャネル型MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field Effect Transistor) N1を介して、第一の電源電位(例えば、接地電位)Vssが印加され、ドレイン端には、出力端Oが接続される。
Pチャネル型MISFET P1のゲート端には、クロック信号CLが入力され、ソース端には第一の電源電位Vssよりも高い第二の電源電位(例えば、プラスの電源電位)Vddが印加され、ドレイン端には出力端Oが接続される。
Nチャネル型MISFET N1のゲート端には、クロック信号CLが入力される。
出力端Oは、クロックドインバータの入力端に接続される。
クロックドインバータは、直列接続されるPチャネル型MISFET P2,P3及びNチャネル型MISFET N2,N3から構成される。
Pチャネル型MISFET P2及びNチャネル型MISFET N2のゲート端(入力端)には、出力端Oが接続され、V1が入力される。クロック信号CLは、Nチャネル型MISFET N3のゲート端に入力され、クロック信号CLの反転信号bCLは、Pチャネル型MISFET P3のゲート端に入力される。
ここで、MISFETは、電界効果トランジスタを意味し、ゲート電極を構成する材料については、金属に限定されない。
図19は、図18のロジック回路において、Nチャネル型スピンFET SN1が低抵抗状態にあるときの動作波形を示している。
クロック信号CLが“L(=0)”のとき、Pチャネル型MISFET P3及びNチャネル型MISFET N3がオフであり、クロックドインバータは、非動作状態である。また、Pチャネル型MISFET P1がオンであり、出力端Oが充電され、V1は、“H(=1)”になる。この時、入力信号Aは、入力されていない状態(“L”)であり、また、Nチャネル型MISFET N1がオフであるため、貫通電流は発生しない。
クロック信号CLが“L”から“H”に変化すると、Pチャネル型MISFET P1がオフになり、出力端Oの充電が終了すると共に、クロックドインバータが動作状態になる。また、Nチャネル型MISFET N1がオンになる。このため、クロック信号CLが“H”の状態で入力信号Aを入力すると、入力信号Aの値に応じてV1の値が決定される。
例えば、同図に示すように、入力信号Aが“H”のときは、出力端Oの電荷がNチャネル型スピンFET SN1を経由して第一の電源電位Vssに急速に放電されるため、V1は、“H”から“L”に変化する。これに対し、入力信号Aが“L”のときは、V1は、“H”のままとなる。
このように、Nチャネル型スピンFET SN1が低抵抗状態にある場合、入力信号Aが“H”のときは、クロックドインバータの出力信号Zは、“H”になり、また、入力信号Aが“L”のときは、クロックドインバータの出力信号Zは、“L”になる。
尚、クロック信号CLが“L”のとき、クロックドインバータの出力信号Zは、V1の値に影響されず、直前のCL=“H”のときの状態を保持し続ける。
図20は、図18のロジック回路において、Nチャネル型スピンFET SN1が高抵抗状態にあるときの動作波形を示している。
クロック信号CLが“L(=0)”のとき、Pチャネル型MISFET P3及びNチャネル型MISFET N3がオフであり、クロックドインバータは、非動作状態である。また、Pチャネル型MISFET P1がオンであり、出力端Oが充電され、V1は、“H(=1)”になる。この時、入力信号Aは、入力されていない状態(“L”)であり、また、Nチャネル型MISFET N1がオフであるため、貫通電流は発生しない。
クロック信号CLが“L”から“H”に変化すると、Pチャネル型MISFET P1がオフになり、出力端Oの充電が終了すると共に、クロックドインバータが動作状態になる。また、Nチャネル型MISFET N1がオンになる。しかし、Nチャネル型スピンFET SN1が高抵抗状態にあるときは、クロック信号CLが“H”の状態で入力信号Aが入力されても、入力信号Aの値に応じてV1の値が変化することはない。
即ち、入力信号Aが“H”のときは、Nチャネル型スピンFET SN1がオンになるが、そのオン抵抗(ソース端とドレイン端との間の抵抗値)が非常に大きい。このため、出力端Oの電荷がNチャネル型スピンFET SN1を経由して第一の電源電位Vssに放電される速度が遅くなる。そこで、V1の電位が後段のクロックドインバータの回路閾値を下回る前に、クロック信号CLが“H”から“L”に戻るようにクロック信号CLの周期を設定しておくことで、V1は、入力信号Aに依存せずに“H”のままとなる。
このように、Nチャネル型スピンFET SN1が高低抵抗状態にある場合には、クロックドインバータの出力信号Zは、常に“L”になり、入力信号Aの通過が禁止される。
尚、入力信号Aを入力するタイミングについて、Pチャネル型MISFET P1がオンのとき(充電時)は、常にNチャネル型MISFET N1がオフになって貫通電流が防止されるため、入力信号Aは、Nチャネル型MISFET N1をオンにして放電を開始する前にNチャネル型スピンFET SN1のゲート端に与えることもできる。
例えば、Pチャネル型MISFET P1をオンにして充電を開始した後、Nチャネル型MISFET N1をオンにして放電を開始する前に、Nチャネル型スピンFET SN1のゲート端に入力信号Aを与える。
以上、説明したように、この適用例では、入力信号の通過を許可/禁止する機能をNチャネル型スピンFETに書き込むデータにより再構成可能で、しかも、通常動作時に貫通電流の発生がないリコンフィギャブルな論理回路を実現できる。
また、Nチャネル型スピンFETの磁化状態は、電源を遮断した後にも不揮発に保持されるため、電源の再投入時にも同じ動作をさせることが可能である。
(2) 磁気メモリに適用する場合
次に、本発明の例に係るスピントランジスタを磁気メモリに適用する場合の例について説明する。
本発明の例に係るスピントランジスタは、それ自体を磁気メモリのメモリセルとして使用できる。
図21は、スピントランジスタを使用した磁気メモリの例を示している。
メモリセルアレイは、スピントランジスタSMから構成される。そして、例えば、1つのスピントランジスタSMにより1つのメモリセルが構成される。スピントランジスタSMのソース/ドレインの一方は、ビット線BL(L)に接続され、他方は、ビット線BL(R)に接続される。ビット線BL(L),BL(R)は、同じ方向、本例では、共に、カラム方向に延びている。
ビット線BL(L)の一端には、CMOSタイプドライバ/シンカーDS1が接続される。ドライバ/シンカーDS1は、電源端子Vdd,Vss間に直列接続され、スピン注入電流Isの発生/遮断を制御するPチャネルMOSトランジスタP1及びNチャネルMOSトランジスタN1から構成される。
そして、ビット線BL(L)の一端は、MOSトランジスタP1,N1の接続点に接続され、制御信号Aは、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートに入力され、制御信号Cは、NチャネルMOSトランジスタN1のゲートに入力される。
ビット線BL(L)の他端には、カラム選択スイッチとしてのNチャネルMOSトランジスタST1を経由して、センスアンプS/Aが接続される。センスアンプS/Aは、例えば、差動増幅器から構成され、リファレンス電圧Vrefに基づいて、スピントランジスタSMに記憶されたデータの値を判定する。
センスアンプS/Aの出力信号は、選択されたスピントランジスタSMの読み出しデータDATAとなる。
制御信号φjは、カラムjを選択するカラム選択信号であり、NチャネルMOSトランジスタST1のゲートに入力される。
ビット線BL(R)の一端には、CMOSタイプドライバ/シンカーDS2が接続される。ドライバ/シンカーDS2は、電源端子Vdd,Vss間に直列接続され、スピン注入電流Isの発生/遮断を制御するPチャネルMOSトランジスタP2及びNチャネルMOSトランジスタN2を有する。
そして、ビット線BL(R)の一端は、MOSトランジスタP2,N2の接続点に接続され、制御信号Bは、PチャネルMOSトランジスタP2のゲートに入力され、制御信号Dは、NチャネルMOSトランジスタN2のゲートに入力される。
NチャネルMOSトランジスタNEは、ビット線BL(R)の他端と電源端子Vssとの間に接続され、読み出し時にオンとなる。制御信号Eは、ロウiを選択するロウ選択信号であり、MOSトランジスタNEのゲートに入力される。
このような磁気メモリにおいて、例えば、メモリセルとしてのスピントランジスタSMがNチャネル型である場合、例えば、以下のようにしてスピントランジスタSMの磁気記録部に対する書き込みを行う。
“0”−書き込みの場合には、制御信号Wiを“H”、制御信号A,Cを“L”、制御信号B,Dを“H”にし、スピン注入電流Isを、ドライバ/シンカーDS1からドライバ/シンカーDS2に向かって流す。
“1”−書き込みの場合には、制御信号Wiを“H”、制御信号A,Cを“H”、制御信号B,Dを“L”にし、スピン注入電流Isを、ドライバ/シンカーDS2からドライバ/シンカーDS1に向かって流す。
また、データ読み出しは、制御信号Wiを“H”、制御信号A,Bを“H”、制御信号C,Dを“L”にし、制御信号E,φjを“H”にして、読み出し電流を、センスアンプS/AからスピンFETを経由してMOSトランジスタNEに向かって流すことにより行う。
尚、読み出し電流の値は、スピン注入電流の値よりも小さくし、読み出し時に誤書き込みが発生することを防止する。
(3) チップ上に搭載してシステムを構成する場合
本発明の例に係わるスピントランジスタは、1チップ上に搭載されたシステムを構成することができる。この場合、上述の磁気メモリと組み合わせることも可能である。
図22は、磁気メモリの例である。
本発明の例に係るスピントランジスタは、磁気メモリの周辺回路に使用する。メモリセルアレイは、例えば、MRAM (magnetic random access memory)、FeRAM (ferroelectric random access memory)、フラッシュメモリ(NAND型、NOR型など)である。また、メモリセルアレイとしては、本発明の例に係るスピントランジスタをメモリセルとしてもよい。
図23は、システムLSIの例である。
システムLSIは、SoC(system on chip)を含む。
本発明の例に係るスピントランジスタは、例えば、システムLSIを構成するロジック回路に使用する。CPU(central processing unit)については、通常のCMOS回路により構成してもよいし、本発明の例に係るスピントランジスタにより構成してもよい。
また、ROM(read only memory)については、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリの他、本発明の例に係るスピントランジスタをメモリセルとする半導体メモリ、本発明の例に係る磁気メモリなどを使用できる。
RAM(random access memory)は、SRAM,DRAMなどの高速動作が可能なメモリにより構成する。
図24は、メモリ混載ロジックLSIの例である。
本発明の例に係るスピントランジスタは、ロジック回路に使用する。また、メモリ回路については、通常の半導体メモリの他、本発明の例に係るスピントランジスタをメモリセルとする半導体メモリ、本発明の例に係る磁気メモリなどを使用できる。
その他、本発明の例に係るスピントランジスタによりニューロタイプの回路を構成すると、脳機能の実現など、フレキシブルなメモリシステムを構築できる。
(4) その他
本発明の例に係わるスピントランジスタは、さらに、以下の適用及び変形が可能である。例えば、チャネルタイプとしては、エンハンスメント型及びデプレッション型のいずれにも適用可能である。チャネルの製造方法としては、イオン注入の他、変調ドープを用いたヘテロ界面成長プロセスを利用してもよい。また、傾斜基板上に半導体材料をエピタキシャル成長させてスピントランジスタを形成することもできる。
本発明の例に係わるスピントランジスタを、図18のリコンフィギャブルなロジック回路に適用する場合において、スピントランジスタに対するデータ書き込みは、図21の磁気メモリにおけるドライバ/シンカーDS1,DS2と同じ回路を用いて行うことができる。
7. むすび
本発明によれば、スピントランジスタのソース-ドレイン電極間に有限バイアスを印加した際のIDP/IDAP比の劣化を防止することができる。
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
IDP/IDAP比のバイアス依存性を示す図。 電気伝導に係わるキャリアについて示すバンド図。 電気伝導に係わるキャリアについて示すバンド図。 第1基本構造のスピントランジスタを示す図。 第2基本構造のスピントランジスタを示す図。 第3基本構造のスピントランジスタを示す図。 第4基本構造のスピントランジスタを示す図。 第1実施例のスピントランジスタを示す図。 第2実施例のスピントランジスタを示す図。 第3実施例のスピントランジスタを示す図。 第4実施例のスピントランジスタを示す図。 第5実施例のスピントランジスタを示す図。 第6実施例のスピントランジスタを示す図。 第7実施例のスピントランジスタを示す図。 図14のスピントランジスタに使用する強磁性体のバンド図。 第8実施例のスピントランジスタを示す図。 本発明の実験例に使用したサンプルの製作工程を示す図。 適用例としての集積回路を示す図。 図18の集積回路の動作を示す波形図。 図18の集積回路の動作を示す波形図。 適用例としての磁気メモリを示す図。 適用例としてのメモリチップを示す図。 適用例としてのシステムLSIを示す図。 適用例としてのメモリ混載ロジックLSIを示す図。
符号の説明
1…半導体基板、 2…チャネル、 3,4,6…強磁性層、 5…非磁性層、 7…ゲート絶縁膜、 8…ゲート電極、 10、11、12…電極、 AP1、AP2…反強磁性層、 I1、I2…素子分離絶縁層、 S1、S2…側壁絶縁膜、 B1、B2…トンネルバリア層。

Claims (22)

  1. 磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを具備し、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つことを特徴とするスピントランジスタ。
  2. 磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを具備し、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、読み出し動作時に前記第2強磁性層から前記第1強磁性層へ電子を流し、かつ、前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つことを特徴とするスピントランジスタ。
  3. 磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを具備し、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、
    読み出し動作時に前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流し、
    前記第1及び第2強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、
    前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持ち、
    前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持つ
    ことを特徴とするスピントランジスタ。
  4. 磁化方向が不変の第1強磁性層と、磁化方向が可変の第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の半導体層と、前記半導体層上のゲート電極とを具備し、前記第2強磁性層の磁化方向によりデータを記憶するスピントランジスタにおいて、
    読み出し動作時に前記第2強磁性層から前記第1強磁性層へ電子を流し、
    前記第1及び第2強磁性層に用いる強磁性体は、高エネルギー側と低エネルギー側に二つのマイノリティースピンバンドを有し、
    前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも低エネルギー側にフェルミ準位を持ち、
    前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央よりも高エネルギー側にフェルミ準位を持つ
    ことを特徴とするスピントランジスタ。
  5. 前記強磁性体は、Co2FeAl1-xSix(1 > x > 0.5)、Co2Mn1-xFexSi(1 > x > 0.5)及びCo2Cr1-xFexAl(1 > x > 0.4)のうちの1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピントランジスタ。
  6. 前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、Co 2 FeAl 1-x Si x (1 > x > 0.5)、Co 2 Mn 1-x Fe x Si(1 > x > 0.5)及びCo 2 Cr 1-x Fe x Al(1 > x > 0.4)のうちの1つであり、
    前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、Co2FeAl1-xSix(0 < x < 0.5)、Co2Mn1-xFexSi(0 < x < 0.5)及びCo2Cr1-xFexAl(0 < x < 0.4)のうちの1つであることを特徴とする請求項に記載のスピントランジスタ。
  7. 前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、Co 2 FeAl 1-x Si x (1 > x > 0.5)、Co 2 Mn 1-x Fe x Si(1 > x > 0.5)及びCo 2 Cr 1-x Fe x Al(1 > x > 0.4)のうちの1つであり、
    前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、Co 2 FeAl 1-x Si x (0 < x < 0.5)、Co 2 Mn 1-x Fe x Si(0 < x < 0.5)及びCo 2 Cr 1-x Fe x Al(0 < x < 0.4)のうちの1つであることを特徴とする請求項4に記載のスピントランジスタ。
  8. 前記強磁性体は、ハーフメタルであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  9. 前記強磁性体は、X2YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかは、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより多く含む組成比であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピントランジスタ。
  10. 前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、X 2 YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかは、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより多く含む組成比であり、
    前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、X2YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかは、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより少なく含む組成比であることを特徴とする請求項に記載のスピントランジスタ。
  11. 前記第2強磁性層に用いる強磁性体は、X 2 YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかは、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより多く含む組成比であり、
    前記第1強磁性層に用いる強磁性体は、X 2 YZ (但し、Xは、Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, Ir, Pt, Auから選ばれる元素、Yは、Ti, V, Cr, Mn, Feから選ばれる元素、Zは、Al, Ga, Si, Ge, Snから選ばれる元素)を含み、前記Yにおいて選ばれた元素の組成比及び前記Zにおいて選ばれた元素の組成比の少なくともいずれかは、フェルミ準位が前記二つのマイノリティースピンバンドのギャップの中央に位置する組成比と比べて、電子数がより多い元素をより少なく含む組成比であることを特徴とする請求項4に記載のスピントランジスタ。
  12. 前記半導体層と前記ゲート電極との間のゲート絶縁膜をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  13. 前記ゲート電極は、前記半導体層に直接接触することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  14. 前記第1強磁性層上の反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  15. 前記第2の強磁性層上の非磁性層と、前記非磁性層上の磁化方向が不変の第3強磁性層とをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  16. 前記第3強磁性層上の反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項15に記載のスピントランジスタ。
  17. 前記第1強磁性層と前記半導体層との間及び前記第2強磁性層と前記半導体層との間の少なくとも一方に設けられたトンネルバリア層をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載のスピントランジスタを具備する集積回路。
  19. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載のスピントランジスタをメモリセルとして具備する磁気メモリ。
  20. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載のスピントランジスタにおいて、前記第1強磁性層に接続される第1ビット線と、前記第2強磁性層に接続される第2ビット線と、前記ゲート電極に接続されるワード線とを具備することを特徴とする磁気メモリ。
  21. 前記第1及び第2ビット線に接続され、前記第2強磁性層の磁化方向を反転させる書き込み電流を発生させる書き込み回路をさらに具備し、前記第2強磁性層に記憶させるデータは、前記書き込み電流の向きにより決定されることを特徴とする請求項20に記載の磁気メモリ。
  22. 前記第1及び第2ビット線のいずれか一方に接続され、前記読み出し動作時に前記第2強磁性層に記憶されたデータをセンスするセンスアンプをさらに具備することを特徴とする請求項20又は21に記載の磁気メモリ。
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