JP4446092B2 - 荷電制御強磁性半導体 - Google Patents

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この発明は、荷電制御強磁性半導体に関する。
近年、半導体エレクトロニクスにおいて電子のスピンを利用したデバイス機能を実現しようとする「スピンエレクトロニクス」という新しい分野の研究が進展し、近い将来における実現が期待されている。
これは電子の電荷だけを利用する既存のエレクトロニクスの高度化(微細化、高速化、低消費電力化)あるいはこれまで実現不可能だった全く新しい機能(量子情報処理など)の実現が期待されるフロンティアである。
このスピンエレクトロニクスにおいて、半導体の構成元素の一部を磁性を有する原子(遷移元素、希土類元素など)で置換した半導体(希薄磁性半導体)は電子スピン制御の観点から重要な材料であり、その中でもとりわけ磁性原子の磁気モーメントが自発的に揃う「強磁性半導体」は、スピンの揃った自由電子の供給源など半導体スピンエレクトロニクスにおける基本的な機能実現のために必要な新材料と考えられる。
実用的なデバイス実現のためには、室温以上の温度で強磁性転移を示し、その強磁性−常磁性間の転移を外部電界などのパラメーターで制御できる半導体材料の開発が必須である。本発明はこの強磁性半導体の新しい材料開発に関するものである。
従来、強磁性半導体としてはMn添加のGaAsが最も良く研究されており、スピンエレクトロニクス・デバイス機能のデモンストレーションも報告されている。ただ強磁性転移温度が最高で200K程度と室温に達していないこと、および添加したMnが同時にアクセプターとして正孔を供給しそれが媒介して強磁性を発現するというメカニズムのため、強磁性を保ったままキャリアの型・濃度を制御することが困難である。
最近これに代わり、Cr添加のII-VI族半導体が強磁性半導体として注目されている。具体的には、理論計算に基づくCrあるいはV添加のII-VI族半導体における室温強磁性の予測について報告されている(非特許文献1および特許文献1)。
さらに、Cr添加のII-VI族半導体の試料作製および実験について報告され(非特許文献2および特許文献2)、その中で、II-VI族半導体ZnTeにCrを20%添加することにより、室温での強磁性転移が実現できることを示している。
K. Sato and H. Katayama-Yoshida, `Ab initio study on the magnetism in ZnO-, ZnS-, ZnSe- and ZnTe-based diluted magnetic semiconductors’ physica status solidi (b) vol.229, No.2, pp. 673-680 (2002).[著者: 佐藤 和則、吉田 博、 タイトル「ZnO, ZnS, ZnSe, ZnTeベース希薄磁性半導体の磁性に関する第一原理計算による研究」、雑誌名: physica status soilidi (b)、発行所: WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, (Weinheim, Germany)、発行日: 2002年1月、 229巻2号673-680頁] H. Saito, V. Zayets, S. Yamagata, and K. Ando, ‘Room-temperature ferromagnetism in a II-VI diluted magnetic semiconductor Zn1-xCrxTe’, Physical Review Letters vol.90, No.20, 207202, 1-4 (2003).[著者: 齋藤 秀和、V. Zayets, 山形 伸二、安藤 功兒、タイトル「II-VI族希薄磁性半導体Zn1-xCrxTeにおける室温強磁性」、雑誌名: Physical Review Letters, 発行所: American Physical Society (U.S.A.)、発行日: 2003年5月20日、90巻20号207202番1-4頁] 特開2002−255698号公報 特開2003−318026号公報
しかしながら上記の知見に基いてCr添加II-VI族半導体をスピントロニクス・デバイスに応用するには、以下に述べるような問題点がある。
(1) Mn添加III-V族半導体と異なり、II-VI族半導体に添加したCrはII族元素と同価数のため、本質的に電気的には絶縁体となる。したがって電流を流す必要のあるデバイスにそのまま用いることはできない。
(2)強磁性転移温度はCr組成によって決まってしまい、転移温度を変化させるためにはCr組成の異なる結晶を作製するしかない。また、一旦作製した結晶の強磁性状態は、温度以外の外部パラメーターで変化させることは不可能である。
(3)強磁性転移温度が室温以上となる材料を実現しようとすると、Crを高濃度(組成20%以上)に添加しなければならず、そうすると単結晶を成長させることは困難で、多結晶構造になってしまい、高品質の結晶が要求されるデバイスには不適応である。
本発明は、上記に鑑み、実用的なデバイス実現のためには、室温以上の温度で強磁性転移を示し、その強磁性−常磁性間の転移を外部電界などのパラメーターで制御できる荷電制御強磁性半導体を実現することを課題とするものである。
本発明は上記課題を解決するために、II-VI族半導体のII族原子がCrで置換され、n型またはp型のドーパントが添加されて成ることを特徴とする荷電制御強磁性半導体を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、II-VI族半導体のII族原子がCrで置換され、n型またはp型のドーパントが添加されて成る荷電制御強磁性半導体であって、前記Cr濃度は一定であり、n型あるいはp型のドーパントを添加する濃度によってフェルミ準位を調整することで、強磁性転移温度を調節可能であることを特徴とする荷電制御強磁性半導体を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、II-VI族半導体のII族原子がCrで置換され、n型のドーパントが添加されて成る荷電制御強磁性半導体であって、前記Cr組成は、CrがII族原子を置換した混晶が高品質の単結晶として成長できる7%以下の範囲であり、強磁性転移温度が室温であることを特徴とする荷電制御強磁性半導体を提供する。
前記キャリアの濃度が、外部電界によりフェルミ準位を変調させることにより、強磁性―常磁性の磁気転移を制御できる電界効果トランジスター構造として適用される構成としてもよい。
以上の構成から成る本発明に係る荷電制御強磁性半導体によると、次のような効果が生じる。
(1)導電性と強磁性が共存する半導体新材料が実現できるので、電子のスピン自由度を利用したスピンエレクトロニクスに応用できる。
(2)室温での強磁性状態を利用してスピンの揃った電子の供給源として、用いることができ、スピントランジスターなどのスピンデバイスに応用できる。
(3)添加するドーパントの型(n型かp型か)およびその濃度により強磁性転移温度が変化するため、Cr濃度(組成)を一定として、ドーパント添加に伴うフェルミ準位のシフトにより強磁性転移温度を制御することが可能になる。例えば、電界効果トランジスター構造で、外部電界によりフェルミ準位を変調させることにより、強磁性―常磁性の磁気転移を制御でき、磁気メモリー、円偏光発光ダイオードなどに応用できる。
本発明に係る荷電制御強磁性半導体を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
(発明の原理、概要)
まず、本発明に係る荷電制御強磁性半導体の基本的な原理、構成を説明する。Cr添加のII-VI族半導体での強磁性転移が生じることは既に公知であるが、この強磁性を発現させるメカニズムとして有力視されている「二重交換相互作用」に対する物理的考察から、本願発明を想到する基となった、ドーパント添加により強磁性状態を変化させるという着想に至った。これを以下に説明する。
II-VI族半導体中にCrを添加すると、Crのd電子が母体のII-VI族半導体のバンドギャップ中に局在した準位を形成する。フェルミ準位がd電子の局在準位の中途にあり、この準位が部分的に占有されているとき、d電子の運動エネルギー分の利得を得るために強磁性的な相互作用が働く、というのが「二重交換相互作用」の概要である。
このとき、この二重交換相互作用がどの程度の強さになるかは、d電子状態密度の大きさで決まると考えられる。それに基づくと、フェルミ準位がこのd電子状態密度が最大となる位置に来たときに二重交換相互作用は最も有効にはたらき、高い温度で強磁性転移が生じると予想される。図1に示すCr添加ZnTeのバンド図を例にとって説明する。ドーパントを添加していない場合には、フェルミ準位は、Crのd電子準位(結晶場によって2つの準位に分裂している)中の図1に示す位置にあると考えられる。
これに対し、p型ドーパントを添加するとフェルミ準位が低エネルギー方向(図1の下方)に移動し、d電子状態密度の大きさは減少する。逆にn型ドーパントを添加すると、フェルミ準位が高エネルギー方向(図1の上方)に移動し、d電子状態密度の大きさは増加する。
上述した二重交換相互作用の性質より、強磁性相互作用はp型ドーピングでは弱くなり、n型ドーピングでは強くなるということが導き出される。本発明では、まさにこの着想通りに、強磁性転移温度はp型ドーピングで低下し、n型ドーピングで上昇することを示している。
要するに、本願発明者等は、添加するドーパントがp型の場合には、強磁性転移温度は低下し、逆にn型の場合には強磁性転移温度は上昇するという新規な知見を得た。この知見に基づき、本願発明に係る荷電制御強磁性半導体では、Cr組成を一定にしたまま、添加するドーパントの型および濃度により強磁性転移温度を変化可能な構成とした。
また、上述のとおり、n型ドーパントの添加で強磁性転移温度は上昇するが、本願発明者等は、CrがII族原子を置換した混晶が高品質の単結晶として成長できる7%以下の範囲であり、例えば、Cr組成が5%程度と低い場合でも、n型ドーパントの添加により強磁性転移温度は室温に達するという知見を得た。この知見に基づき、本願発明に係る荷電制御強磁性半導体では、単結晶を保ったまま成長できるCr組成の小さい範囲の薄膜で、室温強磁性が実現可能な構成とした。なお、Cr組成の範囲は上記のとおり7%以下であるが、下限は0.5%である。
(製造手段、プロセス)
本発明に係る荷電制御強磁性半導体の具体的な構成を、その製造装置、製造プロセスによりさらに説明する。
本発明係る荷電制御強磁性半導体を作製するためには、さまざまな薄膜成長法が応用できるが、ここでは代表例として分子線エピタキシー(MBE)法による場合を説明する。図2は、本発明に係る荷電制御強磁性半導体を製造するために使用する超高真空容器の構成を説明する模式図である。
この超高真空容器1は、製造の際には10−6〜10−8Pa程度の超高真空状態に維持可能である。この超高真空容器1には、高周波プラズマ励起ガス供給装置2及び蒸着用原料を入れた複数の固体原料の蒸発源(「Kセル」とも言う。)3〜6が付設されている。さらに、超高真空容器1は、その内部において、高周波プラズマ励起ガス供給装置2及び複数の固体原料の蒸発源3〜6に相対する位置に、基板8を加熱する基板加熱装置7が設けられている。
高周波プラズマ励起ガス供給装置1は、配管9を通して窒素ガスが導入するとともに、高周波コイル10を用いてこの内側を通過する気体分子を高周波電圧で励起し、プラズマ状の分子線を発生するように構成されている。
複数の固体原料の蒸発源3〜6は、荷電制御強磁性半導体を構成する原料となるII族、VI族元素、金属Cr、n型あるいはp型ドーパントなどの構成元素を供給する分子線源となる。図2に示す固体原料の蒸発源3〜6では、それぞれに蒸着用原料として、具体的には、Zn、Te、Cr、CdIが充填されている。
なお、各構成元素は、II族元素としてCd、Zn、Hgなど、VI族元素としてTe、 Se、S、Oなどが利用される。そして添加するn型ドーパントとして、III族元素(Al、Ga、Inなど)あるいはVII族元素(F、Cl、Br、Iなど)が利用される。また、添加するp型ドーパントとして、I族元素(Li、Naなど)あるいはV族元素(N、P、As、Sbなど)が利用される。基板8は、例えばGaAs単結晶などを用いる。
以上の構成の超高真空容器1を利用して本発明に係る荷電制御強磁性半導体を製造する場合は、図2に示す10−6〜10−8Pa程度の超高真空容器1内で基板8を適当な温度(200〜300℃程度)に加熱し、一方、原料は、固体の場合は固体原料の蒸発源3〜6内いおいて加熱・昇華させ、また気体の場合は高周波電圧によりプラズマ状に励起し、いずれも分子線の形で超高真空容器内に供給して、基板8上に堆積させて結晶を成長させ荷電制御強磁性半導体の薄膜11を形成する。
このとき、固体原料の場合は加熱温度、気体原料の場合は流量を変化させることで、分子線の供給量を調節し、Crおよびドーパントの濃度を変化させることができる。
Cr組成は数%程度から最大100%までの間で変化させることができ、またn型あるいはp型のドーパントの濃度は1016〜1020cm−3の範囲内の値を選んで、高品質の結晶を作製することが可能である。
本発明に係る荷電制御強磁性半導体の実施例1を説明する。この実施例1の荷電制御強磁性半導体は、GaAsで形成された基板上に、II-VI族半導体であるZnTeに組成5%のCrを添加した結晶で、ドーパントを同時に添加して成る薄膜を、分子線エピタキシー法により、結晶成長させて製造したものである。
図3は、実施例1においてドーパントとしてp型ドーパントを添加したものと、実施例1においてドーパントとしてn型ドーパントを添加したものと、ドーパントを添加しない比較例1とについて、それぞれ測定温度2Kにおける磁化の磁場依存性を測定して得られた磁化曲線を比較して示すグラフである。
図3において、(イ)〜(ハ)はそれぞれ、次のとおりである。
(イ)は、実施例1の荷電制御強磁性半導体であって、p型ドーパントとしてプラズマ励起したN(窒素)を添加した導電性薄膜を有するもの。
(ロ)は、実施例1の荷電制御強磁性半導体であって、n型ドーパントしてI(ヨウ素)を添加した薄膜を有するものである。
(ハ)は、比較例1であり、GaAsで形成された基板上に、II-VI族半導体であるZnTeにCr組成5%を添加したZn0.95Cr0.05Teであるが、ドーパントは添加しない絶縁性薄膜を有するものである。
この図3に示す磁化曲線によれば、比較例1において、ドーパントを添加しない薄膜(ハ)では、磁化曲線が履歴現象を示し、この物質が強磁性であることを示している。
これに対して、実施例1において、p型ドーパントを添加した薄膜(イ)では、この履歴現象が消失して強磁性でなくなっている。n型ドーパントを添加した薄膜(ロ)では、磁化曲線の履歴の大きさが拡大して保磁力、残留磁化、飽和磁化がいずれも増大し、強磁性が増強されている。
このことから、発明に係る荷電制御強磁性半導体では、良好な結晶性、導電性と室温での強磁性が共存する半導体材料が実現できるので、スピンエレクトロニクスのさまざまな場面で応用できると考えられる。特に、室温での強磁性を利用してスピンの揃った自由電子あるいは正孔の供給源としてこの材料を利用することにより、スピントランジスターなどのスピンデバイスが実現できる。
本発明に係る荷電制御強磁性半導体の実施例2を説明する。この実施例2の荷電制御強磁性半導体は、GaAsで形成された基板上に、II-VI族半導体であるZnTeに、Crとドーパントを同時に添加し、分子線エピタキシー法により、結晶成長させて製造した薄膜を有するものである。
図4は、上記実施例2においてドーパントとしてp型ドーパントを添加したものと、実施例2においてドーパントとしてn型ドーパントを添加したものと、II-VI族半導体であるZnTeにCrは添加したがドーパントを添加しない比較例2とについて、それぞれCr濃度を変えた場合の磁化曲線の変化を測定して得られた強磁性転移温度を比較して示すグラフである。
図4において、(イ)〜(ハ)はそれぞれ、次のとおりである。
(イ)は、実施例2の荷電制御強磁性半導体であって、p型ドーパントとしてプラズマ励起したN(窒素)を添加した導電性薄膜を有するもの。
(ロ)は、実施例1の荷電制御強磁性半導体であって、n型ドーパントしてI(ヨウ素)を添加した薄膜を有するものである。
(ハ)は、比較例2であり、GaAsで形成された基板上に、II-VI族半導体であるZnTeにCrを添加して成るが、ドーパントを添加しない絶縁性の薄膜を有するものである。
この図4に示す曲線によれば、比較例2において、ドーパントを添加しない絶縁性薄膜(ハ)では、強磁性転移温度はCr組成の増加に伴いほぼ直線的に増加し、最大組成17%で275Kに達する。
これに対して、実施例2のp型ドーパントを添加した薄膜(イ)では、強磁性転移は全く起こらないか、あるいは転移温度は非常に低くなる。これに対して、n型ドーパントを添加した薄膜(ロ)では、Cr組成5%で転移温度は300K付近に達した
この図4に示す強磁性転移曲線によれば、5%で程度の低いCr組成での室温強磁性が実現できることと、ドーパントの型及び濃度を変えることで強磁性転移温度が0Kから300Kの広い範囲で制御可能であることを示している。
即ち、Cr組成を5%一定とした場合、ドーパント無添加の場合(図4中の点線(ハ)参照)から見て、上方に向けてn型ドーパントの場合(図4中の実線(ロ))の濃度が大きくなり、下方に向けてp型ドーパントの場合(図4中の破線(イ))の濃度が高くなるのである。
このように、II-VI族半導体であるZnTeにCrと同時に添加するドーパントの型がn型とp型のどちらかということ及びそのドーパントの濃度によって、強磁性転移温度が変化する。これはドーパント添加によって、前述のとおり、半導体中のフェルミ準位がシフトし、それによってCrの電子状態が変化するためである。
以上は、II-VI族半導体の結晶中にCrおよびドーパントを一様な濃度で添加した薄膜において強磁性転移温度がドーパントの型と濃度によって変化することの説明である。この場合は、一旦結晶中に添加するドーパントの型と濃度が決まれば強磁性転移温度は決まってしまい、結晶作製後に変化させることはできない。
しかし、II-VI族半導体の結晶中にCrおよびドーパントを一様な濃度で添加した材料において、添加するドーパントのn型かp型か及びその濃度によってフェルミ準位を変え、強磁性転移温度が制御できるのであれば、上記材料に対して加える外部電界を変えることで、同様にフェルミ準位を変化させ、強磁性転移温度を制御することが可能になる。
よって、II-VI族半導体の結晶中にCrおよびドーパントを一様な濃度で添加した材料を用いて半導体のpn接合などの接合構造を作製し、外部からの電界でフェルミ準位を変化させると、それによって強磁性転移温度を制御することが可能になる。
これを利用した1例として、電界効果トランジスター構造を挙げる。Crを添加したZnTeから成る層と、それよりバンドギャップの広い半導体にドーパントを添加した材料から成る層(例えばZnTeにMgを添加した混晶)の接合で構成された電界効果トランジスター構造を作製すると、外部から電界を印加することによりCr添加ZnTe層中のフェルミ準位をシフトさせることで強磁性転移温度を変化させることができる。
これにより強磁性―常磁性の状態間の転移を外部電界で制御することが可能になる。これ以外にも、強磁性を外部パラメーターで制御できることを利用して、磁気メモリー、円偏光発光ダイオードなどの用途にも適用できる。
以上、本発明に係る荷電制御強磁性半導体の最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
以上の構成の本発明に係る荷電制御強磁性半導体によれば、良好な結晶性、導電性と室温での強磁性が共存する半導体材料が実現できるので、スピンエレクトロニクスのさまざまな場面で応用できると考えられ、また、室温での強磁性を利用してスピンの揃った自由電子あるいは正孔の供給源としてこの材料を利用することにより、スピントランジスターなどのスピンデバイスが実現できる。
さらに、強磁性転移温度を制御できるから、例えば、電界効果トランジスター構造において、外部電界で結晶中のフェルミ準位を変調させて強磁性転移温度を変化させ、強磁性―常磁性の状態間の転移を外部電界で制御することが可能となり、磁気メモリー、円偏光発光ダイオードなどの用途にも適用できる。
本発明の荷電制御強磁性半導体の原理を説明するための図である。 本発明の荷電制御強磁性半導体の製造装置及びプロセスを説明するための模式図である。 本発明の実施例1の磁化曲線を比較例1と比較して説明する図である。 本発明の実施例2の強磁性転移温度の変化を、比較例2と比較して説明する図である。
符号の説明
1 超高真空容器
2 高周波プラズマ励起ガス供給装置
3、4、5、6 固体原料の蒸発源(Kセル)
7 基板加熱装置
8 基板
9 配管
10 高周波コイル
11 荷電制御強磁性半導体の薄膜

Claims (3)

  1. II-VI族半導体のII族原子がCrで置換され、II-VI族半導体のバンドギャップ中にCrのd電子の局在準位が形成されて成り、該d電子の局在準位中にあるフェルミ準位が、添加されるドーパントの濃度によってシフトして強磁性相互作用及び強磁性転移温度が変化する荷電制御強磁性半導体において、
    前記Cr濃度は一定であり、
    前記電子の局在準位中にあるフェルミ準位が、前記d電子状態密度が最大となる位置になるような濃度でn型ドーパントが添加されていることを特徴とする荷電制御強磁性半導体。
  2. 前記Cr組成は、CrがII族原子を置換した混晶が高品質の単結晶として成長できる7%以下の範囲であり、強磁性転移温度が室温であることを特徴とする請求項1記載の荷電制御強磁性半導体。
  3. 外部電界によりフェルミ準位を変調させることにより、強磁性―常磁性の磁気転移を制御できる電界効果トランジスター構造として適用されることを特徴とする請求項1又は2記載の荷電制御強磁性半導体。
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