JP4496242B2 - スピントランジスタ及び磁気メモリ - Google Patents

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Description

本発明は、スピントランジスタ及び磁気メモリに係り、例えば、キャリアのスピンの向きに依存する出力特性を有するスピントランジスタ、及びこのスピントランジスタを用いて情報を記録することが可能な磁気メモリに関する。
近年、電子の電荷とスピンの性質を同時に利用した新しいデバイスの研究が盛んになってきている。その中の1つであるスピントランジスタでは、ソース電極及びドレイン電極に磁性体を用い、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向を変えることにより出力特性を制御することのできるトランジスタである(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行なときにドレイン電流Id(P)が大きくなり、一方、相対的な磁化方向が略反平行であるときにドレイン電流Id(AP)が小さくなることを利用する。
スピントランジスタをメモリやリコンフィギュラブルロジック回路に用いる際には、Id(P)/Id(AP)比、すなわち、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行のときと略反平行のときのドレイン電流変化を大きくする必要がある。このId(P)/Id(AP)比を大きくするためには、(1)ソース電極及びドレイン電極に用いる磁性体のスピン偏極率を大きくする、(2)半導体チャネルへのスピン注入効率を高くする、(3)半導体中でのスピン拡散、スピン緩和を抑える、等の工夫が必要になる。現状では、半導体中でのスピン拡散、スピン緩和が大きいために、応用上必要となるId(P)/Id(AP)比を確保できないという問題がある。
なお、半導体及び磁性体の種類を調整することにより、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行であるときにドレイン電流Id(P)が小さくなり、一方、相対的な磁化方向が略反平行であるときにドレイン電流Id(AP)が大きくなる、いわゆるインバース型のスピントランジスタを構成することもできる。この場合には、Id(AP)/Id(P)比を大きくするために、半導体中のスピン拡散、スピン緩和を小さくする必要がある。
S. Sugahara and M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 84(2004)2307
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チャネル領域内でのスピン拡散或いはスピン緩和を抑えることで、Id(P)/Id(AP)比を改善することが可能なスピントランジスタ及び磁気メモリを提供することを目的とする。
本発明の第1の視点に係るスピントランジスタは、第1の方向に延在するように基板上に設けられ、かつ電子の通路を一次元化する幅を有する複数の凸状半導体層と、前記複数の凸状半導体層の上部にそれぞれ設けられた第1の導電型の複数のチャネル領域と、前記複数のチャネル領域の両端にそれぞれ設けられた第2の導電型の第1及び第2の拡散層と、前記第1の拡散層に接するように前記基板上に設けられ、かつ磁化方向が固定された第1の強磁性層と、前記第2の拡散層に接するように前記基板上に設けられ、かつ磁化方向が可変の第2の強磁性層と、前記複数のチャネル領域上に設けられたゲート電極とを具備することを特徴とする。
本発明の第2の視点に係るスピントランジスタは、基板上に設けられ、かつ磁化方向が固定された第1の強磁性層と、前記基板上に前記第1の強磁性層から第1の方向に離間して設けられ、かつ磁化方向が可変の第2の強磁性層と、前記第1の方向に延在するように前記基板上に設けられ、かつ前記第1の強磁性層及び前記第2の強磁性層に挟まれ、かつ前記第1の方向に直交する方向に対して上面が傾斜した複数の半導体層と、前記複数の半導体層にそれぞれ設けられた複数のチャネル領域と、前記複数のチャネル領域上に設けられたゲート電極とを具備することを特徴とする。
本発明の第3の視点に係るスピントランジスタは、半導体基板内に設けられ、かつ磁化方向が固定された第1の強磁性層と、前記半導体基板内に前記第1の強磁性層から第1の方向に離間して設けられ、かつ磁化方向が可変の第2の強磁性層と、前記第1の方向に延在するように、前記第1の強磁性層及び前記第2の強磁性層間で前記半導体基板内に設けられた複数のチャネル領域と、前記複数のチャネル領域上に設けられたゲート電極とを具備することを特徴とする。
本発明の第4の視点に係る磁気メモリは、上記第1乃至3の視点のいずれかのスピントランジスタと、前記第1の強磁性層に電気的に接続された第1のビット線と、前記第2の強磁性層に電気的に接続された第2のビット線と、前記ゲート電極に電気的に接続されたワード線とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、チャネル領域内でのスピン拡散或いはスピン緩和を抑えることで、Id(P)/Id(AP)比を改善することが可能なスピントランジスタ及び磁気メモリを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図2は、図1に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図である。図3は、凸状半導体層(フィン)12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図である。なお、図2ではフィン12及びチャネル領域13の構造の理解を容易にするために、ゲート電極19、ゲート絶縁膜18、及び電極21の図示を省略している。また、図1は、図2に示したフィン12をX方向に切断した断面図に対応する。
半導体基板11上には、X方向に延在し、かつY方向に切断した断面形状が凸状である凸状半導体層(フィン)12が1個或いは複数個設けられている。各フィン12は、トランジスタの活性層として用いられる。フィン12の数については特に限定されず、本実施形態では、2個のフィン12について例示している。
半導体基板11としては、
(a)N型或いはP型のSi(シリコン)
(b)Ge(ゲルマニウム)、SiGe1−x(0<x<1)
(c)III−V族やII−VI族の化合物半導体
(d)磁性半導体
などを用いることができる。フィン12は、半導体基板11と同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料を用いてもよい。フィン12としては、上記(a)〜(d)の材料を用いることができる。
なお、基板としてSOI(Silicon On Insulator)型基板を用いてもよい。この場合は、埋め込み絶縁層(BOX(Buried Oxide)絶縁層)上に設けられた半導体層(SOI層)にフィン12が形成される。このSOI層の材料としては、半導体基板11の材料として例示した各種半導体のいずれかが用いられる。
各フィン12には、キャリアの通路であるチャネル領域13が設けられている。このチャネル領域13は、フィン12の上面から不純物を導入することで形成される。或いは、超格子構造を作製する方法、変調ドープを用いたヘテロ界面成長プロセスなどを用いることもできる。
半導体基板11上でフィン12の両側にはそれぞれ、フィン12に接触するように、第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15が設けられている。第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15は、チャネル領域13により電気的に接続されている。第2の強磁性層15上には、非磁性層16、第3の強磁性層17が順に設けられている。
第1の強磁性層(ソース電極)14及び第3の強磁性層17は、磁化固定層として機能する強磁性体であり、その磁化は所定の方向に固定される。換言すれば、この第1の強磁性層14に含まれる電子の大部分が所定の方向にスピン偏極されている。第1の強磁性層14と第3の強磁性層17との磁化方向は、例えば同じ方向に設定される。しかし、これに限定されず、これらの磁化方向は、逆方向に設定されるようにしてもよい。また、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17は、一方向異方性を有することが望ましい。
第2の強磁性層(ドレイン電極)15は、磁化記録層として機能する強磁性体であり、外部から与えられる磁界やスピン注入によって、その磁化方向が変化する。第2の強磁性層15は、一軸異方性を有することが望ましい。なお、第1の強磁性層14、第2の強磁性層15、及び第3の強磁性層17の容易磁化方向は膜面に対して平行(面内磁化)であってもよいし、垂直(垂直磁化)であってもよい。
第2の強磁性層15の磁化方向が可変であるため、この第2の強磁性層15の磁化方向を、第1の強磁性層14の磁化方向に対して、「平行」或いは「反平行」に制御することが可能である。ここで、ある磁化方向に対して「平行」とは、2つの磁化方向が略一致することを意味し、ある磁化方向に対して「反平行」とは、2つの磁化方向が互いに略反対であることを意味する。以下の説明においても、「平行」と「反平行」という表現はこの定義に従う。
チャネル領域13上及びフィン12の両側面には、ゲート絶縁膜18が設けられている。すなわち、ゲート絶縁膜18は、フィン12を覆うように設けられている。ゲート絶縁膜18上及び側面上には、ゲート電極19が設けられている。ゲート絶縁膜18としては、例えば酸化シリコンが用いられる。ゲート電極19としては、例えば不純物が導入された導電性の多結晶シリコンが用いられる。
第1の強磁性層14、ゲート電極19、及び第3の強磁性層17上にはそれぞれ、保護膜を兼ねた電極20、21、及び22が設けられている。電極20〜22としては、例えばAl(アルミニウム)が用いられる。
次に、このように構成されたスピントランジスタ10の動作について説明する。まず、電極20と電極22との間に電圧を印加し、さらに、電極21(すなわち、ゲート電極19)に閾値以上のゲート電圧を印加する。この場合、ソース側の第1の強磁性層14の磁化方向に応じて、スピン偏極した電子が各チャネル領域13に入射される。
電極20と電極22との間に電圧を印加した際のドレイン電流Idは、電極21に印加された電圧(ゲート電圧)の大きさ、及び、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向に依存する。第2の強磁性層15が第1の強磁性層14と同じ向きに磁化されている場合にはチャネル電流は流れやすく、一方、逆向きに磁化されている場合にはチャネル電流は流れにくい。
このように、スピントランジスタ10は、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向に応じてドレイン電流Idが変化するという特性を有する。すなわち、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向が略平行であれば大きなドレイン電流Id(P)が流れ、略反平行であればドレイン電流Id(AP)は小さくなる。従って、閾値以上のゲート電圧を印加した状態において、電極20と電極22との間のドレイン電流Idを計測すれば、第2の強磁性層15の磁化方向が第1の強磁性層14の磁化方向に対して略平行であるか略反平行であるかを特定することができる。
これは、スピントランジスタ10にメモリ機能が備わっていることを意味する。特に、第2の強磁性層15は、電流磁場やスピン注入などによって外部からエネルギーが与えられない限り、その磁化方向を保持するので、スピントランジスタ10は不揮発性のメモリ機能を実現することができる。
ところで、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向が略平行な場合のドレイン電流Id(P)と、略反平行な場合のドレイン電流Id(AP)との比(Id(P)/Id(AP)比)が大きいほど、スピントランジスタ10としての性能は高くなる。このId(P)/Id(AP)比は、強磁性層のスピン偏極率、強磁性層からチャネル領域13へのスピン注入効率、チャネル領域13中でのスピン拡散或いはスピン緩和に依存する。なお、スピン緩和とは、所定の方向にスピン偏極された電子のスピンが緩和されて、電子がそのスピン情報を保持できなくなる状態をいう。
チャネル領域13の幅(チャネル幅)が大きい場合には、第1の強磁性層14からチャネル領域13へ入射した電子の走行角度が一様でなくなるために、Rashba効果に起因するスピン緩和が大きくなる。そして、スピン緩和が大きくなると、第1の強磁性層14によってスピン偏極した電子のスピン情報が第2の強磁性層15に伝わらないため、Id(P)/Id(AP)比が小さくなってしまう。
一方、本実施形態では、スピントランジスタ10のチャネル領域13をフィン12に形成している。さらに、フィン12の幅(プロセスの制約により決定される)を小さくすることで、チャネル領域13の幅を小さく設定する。そして、チャネル領域13の幅を小さくして、電子の通路を一次元に近づけるようにする。なお、電子の通路を一次元に近づけるには、各チャネル領域13の幅はできる限り小さい方がよい。
このように構成されたスピントランジスタ10では、第1の強磁性層14からチャネル領域13への電子の入射角を略ゼロにすることができる。このとき、Rashba効果に起因して電子に印加される磁界は電子のスピンの方向と略同一方向となるため、スピンには歳差運動が起きない。これにより、電子のスピン緩和を抑えることができる。このように幅の狭いチャネルを利用することにより、Rashba効果によるスピン緩和を抑えて大きなId(P)/Id(AP)比を実現することができる。
また、本実施形態では、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との間に、幅の狭いチャネル領域13を複数本並列に形成している。幅の狭いチャネル領域13を複数本用いることで、第2の強磁性層15の磁化方向を変化させるのに必要なドライブ電流を大きくできるという利点がある。これにより、スピン注入を利用した第2の強磁性層15の磁化方向の書き換えを容易に行うことができる。なお、フィン12の数(すなわち、チャネル領域13の数)については、スピントランジスタ10のサイズや、所望のドライブ電流の大きさに起因して設定される。
すなわち、幅の狭い1本のチャネル領域13のみで所望のドライブ電流を確保できるのであれば、チャネル領域13は1本でも構わない。しかし、通常は、所望のドライブ電流を確保するのに必要な幅を有するチャネル領域を複数に分割し、それぞれが幅の狭い複数のチャネル領域として使用する。
また、図1に示すように、第2の強磁性層15上には、非磁性層16、及び磁化方向が固定された第3の強磁性層17が順に設けられている。すなわち、第2の強磁性層15、非磁性層16、及び第3の強磁性層17は、磁気抵抗効果素子を構成している。この磁気抵抗効果素子に流れる電流も同様に、第2の強磁性層15と第3の強磁性層17との相対的な磁化方向によって変化する。従って、磁気抵抗効果素子による電流変化分も加味されるため、スピントランジスタ10のId(P)/Id(AP)比をより大きくすることができる。
次に、スピントランジスタ10に用いられる材料について説明する。
第1の強磁性層14、第2の強磁性層15、及び第3の強磁性層17に用いられる強磁性材料は、
(a)Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、或いはこれらの合金
(b)Co−Pt、Co−Fe−Pt、Fe−Pt、Co−Fe−Cr−Pt、Co−Cr−Pt、Ni−Mn−Sb、CoMnGe、CoMnAl、CoMnSi、CoCrFeAlなどの合金
(c)GeMn、SiCNi、SiCMn、SiCFe、ZnMnTe、ZnCrTe、BeMnTe、ZnVO、ZnMnO、ZnCoO、GaMnAg、InMnAs、InMnAb、GaMnP、GaMnN、GaCrN、AlCrN、BiFeTe、SbVTe、PbSnMnTe、GeMnTe、CdMnGeP、ZnSiNMn、ZnGeSiNMn、BeTiFeO、CdMnTe、ZnMnS、TiCoO、SiMn、SiGeMnなどの磁性半導体
を用いることができる。
なお、上記磁性材料に、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスニウム)、Re(レニウム)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの非磁性元素を添加することで、磁気特性を調節したり、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
また、第1の強磁性層14、第2の強磁性層15、及び第3の強磁性層17の膜厚はそれぞれ、0.1乃至100nmが好ましい。さらに、これらの強磁性層の膜厚は、超常磁性にならない程度の厚さが必要であり、この条件を加味すると、0.4nm以上であることがより好ましい。
非磁性層16としては、
(a)Cu(銅)、Cr(クロム)、Au(金)、Ag(銀)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Rh(ロジウム)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Al(アルミニウム)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、或いはこれらの合金
(b)Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)などの酸化物或いは窒化物
(c)SrTiO、NdGaO、SiGe1−x(0<x<1)
(d)III−V族或いはII−VI族の化合物半導体
(e)磁性半導体
を用いることができる。
以上詳述したように本実施形態では、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との間に複数のフィン12を形成し、各フィン12にチャネル領域13を形成する。そして、各フィン12の幅を小さくすることで、各チャネル領域13の幅を小さくするようにしている。換言すると、チャネル領域を複数に分割することで、1つのチャネル領域の幅を小さくするようにしている。
従って本実施形態によれば、電子の通路を一次元に近づけることができるため、スピン緩和を抑えることができる。これにより、Id(P)/Id(AP)比を大きくすることができる。
また、フィン12を覆うようにゲート電極19を形成している。これにより、通常のフィン型MOSトランジスタと同様に、ゲート電圧によるスピントランジスタ10の制御性を向上させることができる。
また、第2の強磁性層15上に、非磁性層16、及び磁化方向が固定された第3の強磁性層17を順に形成している。これにより、第2の強磁性層15と第3の強磁性層17との間でも磁気抵抗効果が発現するため、Id(P)/Id(AP)比をより大きくすることができる。なお、非磁性層16及び第3の強磁性層17は必ずしも必要ではない。第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15のみでもスピントランジスタとしての機能を十分に果たすことが可能である。
なお、図1乃至図3には、デプレッション型のスピントランジスタについて示しているが、これに限定されるものではなく、エンハンスメント型のスピントランジスタを用いることも可能であることは勿論である。図4は、エンハンスメント型のスピントランジスタ10の構成を示す断面図である。図5は、図4に示したエンハンスメント型のスピントランジスタ10の構造を示す斜視図である。なお、図5ではフィン12及びチャネル領域13の構造の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。
各フィン12の上部には、P型のチャネル領域13が設けられている。このチャネル領域13は、フィン12の上面から、P型不純物(ホウ素(B)等)を導入することで形成される。
フィン12の両端部にはそれぞれ、第1の強磁性層14(或いは、第2の強磁性層15)の膜厚と同じ深さのN拡散領域30及び31が設けられている。N拡散領域30及び31はそれぞれ、ゲート電極19の下方に入り込むように(ゲート絶縁膜18に接触するように)形成されている。N拡散領域30及び31はそれぞれ、フィン12の上面から、高濃度のN型不純物(リン(P)、ヒ素(As)など)を導入することで形成される。
第1の強磁性層14は、N拡散領域30に接触している。同様に、第2の強磁性層15は、N拡散領域31に接触している。このように、本実施形態のチャネル構造をエンハンスメント型のスピントランジスタに適用した場合でも、デプレッション型のスピントランジスタを用いて説明した効果と同様の効果を得ることができる。
さらに、図1乃至図3に示したデプレッション型のスピントランジスタに、チャネル領域13と同じ導電型の拡散領域30及び31を設けるようにしてもよい。このように構成することで、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との間に流れるドレイン電流Idを大きくすることが可能となる。
なお、半導体及び磁性体の種類を調整することにより、ソース電極及びドレイン電極の相対的な磁化方向が略平行であるときにドレイン電流Id(P)が小さくなり、一方、相対的な磁化方向が略反平行であるときにドレイン電流Id(AP)が大きくなる、いわゆるインバース型のスピントランジスタを構成することもできる。この場合においても、Id(AP)/Id(P)比を大きくするために本実施形態の手法を用いることができる。以下の実施形態においても同様である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、上面が傾斜した半導体層23を複数備えた傾斜ステップ基板を用い、これら半導体層23にチャネル領域13を形成することで、各チャネル領域13の幅を小さくする。そして、この幅の小さいチャネル領域13を電子が通ることで、スピン緩和を抑えるようにしている。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図7は、図6に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図である。図8は、半導体層23をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図である。なお、図7では、半導体層23及びチャネル領域13の構成の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。また、図6は、図7に示した半導体層23をX方向に切断した断面図に対応する。
本実施形態の半導体基板としては、傾斜ステップ基板が用いられる。すなわち、半導体基板11上には、X方向に延在し、かつ上面がY方向に対して傾斜し、かつY方向に切断した断面形状が三角形である半導体層23が1個或いは複数個設けられている。各半導体層23は、トランジスタの活性層として用いられる。半導体層23の数については特に限定されず、本実施形態では、4個の半導体層23について例示している。
各半導体層23の傾斜面に相当する上部には、キャリアの通路であるチャネル領域13が設けられている。このチャネル領域13は、例えば、ヘテロ界面成長プロセスを利用して形成される。
半導体基板11上で半導体層23の両側にはそれぞれ、半導体層23に接触するように、第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15が設けられている。第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15は、チャネル領域13により電気的に接続されている。第2の強磁性層15上には、非磁性層16、第3の強磁性層17が順に設けられている。
チャネル領域13上及び半導体層23の側面には、ゲート絶縁膜18が設けられている。すなわち、ゲート絶縁膜18は、複数の半導体層23を覆うように設けられている。ゲート絶縁膜18上には、ゲート電極19が設けられている。第1の強磁性層14、ゲート電極19、及び第3の強磁性層17上にはそれぞれ、保護膜を兼ねた電極20、21、及び22が設けられている。
ここで、各半導体層23の傾斜面の幅(プロセスの制約により決定される)を小さくすることで、チャネル領域13の幅を小さく設定する。そして、チャネル領域13の幅を小さくして、電子の通路を一次元に近づけるようにする。
このように構成されたスピントランジスタ10では、第1の強磁性層14からチャネル領域13への電子の入射角を略ゼロにすることができる。このとき、Rashba効果に起因して電子に印加される磁界は電子のスピンの方向と略同一方向となるため、スピンには歳差運動が起きない。これにより、電子のスピン緩和を抑えることができる。このように幅の狭いチャネルを利用することにより、Rashba効果によるスピン緩和を抑えて大きなId(P)/Id(AP)比を実現することができる。その他の効果については、第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態のチャネル構造をエンハンスメント型のスピントランジスタに適用することも可能である。さらに、図6乃至図8に示したデプレッション型のスピントランジスタに、チャネル領域13と同じ導電型の拡散領域30及び31を設けるようにしてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、半導体基板11内に複数のチャネル領域13を形成し、各チャネル領域13の幅を小さくする。そして、この幅の小さいチャネル領域13を電子が通過することで、スピン緩和を抑えるようにしている。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図10は、図9に示したスピントランジスタ10の構造を示す平面図である。図11は、チャネル領域13をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図である。なお、図10では、チャネル領域13の構成の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。また、図9は、図10に示したチャネル領域13をX方向に切断した断面図に対応する。
半導体基板11は、離間した2つの開口部を有している。一方の開口部には、第1の強磁性層14が設けられている。他方の開口部には、第2の強磁性層15が設けられている。第2の強磁性層15上には、非磁性層16、第3の強磁性層17が順に設けられている。
第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との間の半導体基板11内には、X方向に延在するように、複数のチャネル領域13が設けられている。チャネル領域13の数については特に限定されず、本実施形態では、4個のチャネル領域13について例示している。第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15は、これらチャネル領域13により電気的に接続されている。チャネル領域13は、例えば、半導体基板11内に不純物を導入して形成される。
チャネル領域13上には、ゲート絶縁膜18が設けられている。ゲート絶縁膜18上には、ゲート電極19が設けられている。第1の強磁性層14、ゲート電極19、及び第3の強磁性層17上にはそれぞれ、保護膜を兼ねた電極20、21、及び22が設けられている。
ここで、チャネル領域13の幅は、電子の通路を一次元に近づけるようにするために、小さく設定される。換言すると、チャネル領域を複数に分割することで、1つのチャネル領域の幅を小さくするようにしている。
このように構成されたスピントランジスタ10では、第1の強磁性層14からチャネル領域13への電子の入射角を略ゼロにすることができる。これにより、電子のスピン緩和を小さくすることができる。このように幅の狭いチャネルを利用することにより、Rashba効果によるスピン緩和を抑えて大きなId(P)/Id(AP)比を実現することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態のチャネル構造をエンハンスメント型のスピントランジスタに適用することも可能である。さらに、図9乃至図11に示したデプレッション型のスピントランジスタに、チャネル領域13と同じ導電型の拡散領域30及び31を設けるようにしてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、フィン構造を有するスピントランジスタ10において、チャネル領域13上に直接、導電体からなるゲート電極19を設けるようにしている。すなわち、第4の実施形態は、フィン構造及びMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)構造を有するスピントランジスタ10の構成例である。
図12は、本発明の第4の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図13は、フィン12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図である。なお、スピントランジスタ10の斜視図は、図2と同じである。
チャネル領域13上及びフィン12の両側面には、ゲート電極19が設けられている。すなわち、フィン12とゲート電極19とは、ショットキー接触している。ゲート電極19としては、例えば金属が用いられる。その他の構成は、第1の実施形態で示したスピントランジスタ10と同じである。
このようなMESFET構造を適用したスピントランジスタ10においても、第1の実施形態と同様の動作が可能であり、また第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態は、第2の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図6に示したスピントランジスタ10において、半導体層23上に直接、導電体からなるゲート電極19を形成し、半導体層23とゲート電極19とをショットキー接触させる。このように構成した場合でも、第2の実施形態と同様の動作が可能であり、また第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態は、第3の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図9に示したスピントランジスタ10において、半導体基板11上に直接、導電体からなるゲート電極19を形成し、半導体基板11とゲート電極19とをショットキー接触させる。このように構成した場合でも、第3の実施形態と同様の動作が可能であり、また第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、フィン構造を有するスピントランジスタ10において、チャネル領域13上に、チャネル領域13と逆導電型の半導体からなるゲート電極19を設けるようにしている。すなわち、第5の実施形態は、フィン構造及び接合型(junction-gate)FET(JFET)構造を有するスピントランジスタ10の構成例である。
図14は、本発明の第5の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図15は、フィン12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図である。なお、スピントランジスタ10の斜視図は、図2と同じである。
チャネル領域13上及びフィン12の両側面には、ゲート電極19が設けられている。ゲート電極19は、チャネル領域13と逆導電型の不純物が導入された半導体層から構成される。その他の構成は、第1の実施形態で示したスピントランジスタ10と同じである。
このようなJFET構造を適用したスピントランジスタ10においても、第1の実施形態と同様の動作が可能であり、また第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態は、第2の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図6に示したスピントランジスタ10において、半導体層23上にチャネル領域13と逆導電型の不純物が導入された半導体層から構成されるゲート電極19を形成する。このように構成した場合でも、第2の実施形態と同様の動作が可能であり、また第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態は、第3の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図9に示したスピントランジスタ10において、半導体基板11上にチャネル領域13と逆導電型の不純物が導入された半導体層から構成されるゲート電極19を形成する。このように構成した場合でも、第3の実施形態と同様の動作が可能であり、また第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、フィン構造を有するスピントランジスタ10において、磁化方向が固定された第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17上にそれぞれ、これらの磁化方向を強固に固定するための反強磁性層を積層するようにしている。
図16は、本発明の第6の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図17は、図16に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図である。なお、図17ではフィン12及びチャネル領域13の構成の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。
第1の強磁性層14上には、反強磁性層24が設けられている。反強磁性層24上には、電極20が設けられている。反強磁性層24は、第1の強磁性層14の磁化方向を固定するために用いられる。すなわち、第1の強磁性層14と反強磁性層24との交換結合により、第1の強磁性層14の磁化が一方向に固定される。同時に、第1の強磁性層14と反強磁性層24との交換結合により、第1の強磁性層14には高い磁気異方性エネルギーが付与され、磁化固定層としての機能が付与される。
第3の強磁性層17上には、反強磁性層25が設けられている。反強磁性層25上には、電極22が設けられている。反強磁性層25は、第3の強磁性層17の磁化方向を固定するために用いられる。すなわち、第3の強磁性層17と反強磁性層25との交換結合により、第3の強磁性層17の磁化が一方向に固定される。同時に、第3の強磁性層17と反強磁性層25との交換結合により、第3の強磁性層17には高い磁気異方性エネルギーが付与され、磁化固定層としての機能が付与される。
反強磁性層24及び25としては、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Ir−Mn、NiO(酸化ニッケル)、Fe(酸化鉄)などを用いることができる。
このように構成されたスピントランジスタ10では、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17の磁化安定性を得ることができる。これにより、スピントランジスタ10の安定した動作を実現することができる。
なお、本実施形態は、第2の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図6に示したスピントランジスタ10において、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17上にそれぞれ、反強磁性層24及び25を積層する。これにより、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17の磁化安定性を得ることができる。
さらに、本実施形態は、第3の実施形態に適用することも可能である。すなわち、図9に示したスピントランジスタ10において、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17上にそれぞれ、反強磁性層24及び25を積層する。これにより、第1の強磁性層14及び第3の強磁性層17の磁化安定性を得ることができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、強磁性層と半導体基板(フィンを含む)との間に、トンネルバリア層を設けるようにしている。このトンネルバリア層の付与により、チャネル領域13に高スピン偏極率で電子を注入することができる。
図18は、本発明の第7の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図19は、図18に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図である。なお、図19ではフィン12及びチャネル領域13の構成の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。
第1の強磁性層14の底面及び側面には、トンネルバリア層26が設けられている。すなわち、トンネルバリア層26は、第1の強磁性層14とフィン12との間に設けられている。また、トンネルバリア層26は、第1の強磁性層14と半導体基板11との間に設けられている。
第2の強磁性層15の底面及び側面には、トンネルバリア層27が設けられている。すなわち、トンネルバリア層27は、第2の強磁性層15とフィン12との間に設けられている。また、トンネルバリア層27は、第2の強磁性層15と半導体基板11との間に設けられている。
トンネルバリア層26及び27としては、
(a)Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)などの酸化物或いは窒化物
(b)SrTiO、NdGaO
などを用いることができる。
このように構成されたスピントランジスタ10では、トンネルバリア層を付与したことにより、チャネル領域13に高スピン偏極率で電子を注入することができる。この結果、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向の変化に伴うコンダクタンスの変化を大きくすることができる。
また、このトンネルバリア層は、半導体基板11の表面(或いは、フィン12の表面)と第1の強磁性層14との間で生じうる反応(相互拡散など)や、半導体基板11の表面(或いは、フィン12の表面)と第2の強磁性層15との間で生じうる反応をそれぞれ防止する役割を果たす。従って、第1の強磁性層14と半導体基板11の表面との間の接合、及び第2の強磁性層15と半導体基板11の表面との間の接合を良好に形成することができ、スピントランジスタ10の製造歩留まりを向上させることが可能である。
なお、本実施形態は、第2乃至第6の実施形態を適用することも可能であることは勿論である。
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、フィン構造を有するMOSトランジスタのソース領域上に第1の強磁性層14を設け、ドレイン領域上に第2の強磁性層15を設けるようにしている。すなわち、第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15は、第1の実施形態のようにフィン12の両側に配置されず、フィン12上に設けられる。
図20は、本発明の第8の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図21は、図20に示したスピントランジスタ10のチャネル領域13をチャネル幅方向に切断した断面図である。図22は、図20に示したスピントランジスタ10のソース領域32をチャネル幅方向に切断した断面図である。
半導体基板11上には、X方向に延在するように、例えば2個のフィン12が設けられている。フィン12の上部には、離間したソース領域32及びドレイン領域33が設けられている。なお、ドレイン領域33は、図22に示したソース領域32と同じ形状である。ソース領域32及びドレイン領域33は、フィン12の上面から、高濃度のN型不純物(リン(P)、ヒ素(As)など)を導入して形成されたN拡散領域から構成されている。
フィン12の上部でソース領域32及びドレイン領域33間には、P型のチャネル領域13が設けられている。チャネル領域13上には、ゲート絶縁膜18、ゲート電極19、電極21が順に積層されている。
ソース領域32上には、トンネルバリア層26、第1の強磁性層14、電極20が順に積層されている。ドレイン領域33上には、トンネルバリア層27、第2の強磁性層15、非磁性層16、第3の強磁性層17、電極22が順に積層されている。
このようにしてスピントランジスタ10を構成した場合でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に、第4乃至第6の実施形態を適用することも可能である。
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、傾斜ステップ基板にMOSトランジスタを形成し、さらにこのMOSトランジスタのソース領域上に第1の強磁性層14を設け、ドレイン領域上に第2の強磁性層15を設けるようにしている。
図23は、本発明の第9の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図24は、図23に示したスピントランジスタ10のチャネル領域13をチャネル幅方向に切断した断面図である。図25は、図23に示したスピントランジスタ10のソース領域32をチャネル幅方向に切断した断面図である。
傾斜ステップ基板11は、X方向に延在し、かつ上面が傾斜した半導体層23を例えば4個備えている。各半導体層23の傾斜面に相当する上部には、離間したソース領域32及びドレイン領域33が設けられている。なお、ドレイン領域33は、図25に示したソース領域32と同じ形状である。ソース領域32及びドレイン領域33は、半導体層23の傾斜面から、高濃度のN型不純物(リン(P)、ヒ素(As)など)を導入して形成されたN拡散領域から構成されている。
半導体層23の上部でソース領域32及びドレイン領域33間には、P型のチャネル領域13が設けられている。チャネル領域13上には、ゲート絶縁膜18、ゲート電極19、電極21が順に積層されている。
ソース領域32上には、トンネルバリア層26、第1の強磁性層14、電極20が順に積層されている。ドレイン領域33上には、トンネルバリア層27、第2の強磁性層15、非磁性層16、第3の強磁性層17、電極22が順に積層されている。
このようにしてスピントランジスタ10を構成した場合でも、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に、第4乃至第6の実施形態を適用することも可能である。
(第10の実施形態)
第10の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、半導体基板にMOSトランジスタを形成し、さらにこのMOSトランジスタのソース領域上に第1の強磁性層14を設け、ドレイン領域上に第2の強磁性層15を設けるようにしている。
図26は、本発明の第10の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図である。図27は、図26に示したスピントランジスタ10の平面図である。なお、図27では、チャネル領域13の構成の理解を容易にするために、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18の図示を省略している。
半導体基板11内には、離間したソース領域32及びドレイン領域33が設けられている。ソース領域32及びドレイン領域33は、半導体基板11に高濃度のN型不純物(リン(P)、ヒ素(As)など)を導入して形成されたN拡散領域から構成されている。
半導体基板11内でソース領域32及びドレイン領域33間には、X方向に延在するように、P型のチャネル領域13が例えば4個設けられている。チャネル領域13上には、ゲート絶縁膜18、ゲート電極19、電極21が順に積層されている。
ソース領域32上には、トンネルバリア層26、第1の強磁性層14、電極20が順に積層されている。ドレイン領域33上には、トンネルバリア層27、第2の強磁性層15、非磁性層16、第3の強磁性層17、電極22が順に積層されている。
このようにしてスピントランジスタ10を構成した場合でも、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に、第4乃至第6の実施形態を適用することも可能である。
(第11の実施形態)
第11の実施形態は、スピントランジスタ10を用いた磁気メモリの構成例である。図28は、本発明の第11の実施形態に係る磁気メモリの構成を示す回路図である。
メモリセルアレイ41は、複数のスピントランジスタ10がマトリクス状に配列されて構成されている。データの記憶単位である1つのメモリセルは、1つのスピントランジスタ10により構成される。このスピントランジスタ10としては、第1乃至第10の実施形態で示したスピントランジスタ10のいずれかが用いられる。
具体的には、磁化方向が可変の第2の強磁性層15を記憶部として用い、データを第2の強磁性層15の磁化方向として記憶する。そして、磁化方向が固定された第1の強磁性層14と磁化方向が可変の第2の強磁性層15との間に生ずる磁気抵抗効果を利用して当該データを読み出すことで、スピントランジスタ10をメモリセルとして利用することができる。
スピントランジスタ10のドレインは、カラム方向に延在するビット線BLに電気的に接続されている。スピントランジスタ10のソースは、カラム方向に延在するビット線/BLに電気的に接続されている。
ビット線BLの一端には、CMOSタイプの第1の電源回路43が接続されている。第1の電源回路43は、直列に接続されたPチャネルMOSトランジスタP1及びNチャネルMOSトランジスタN1を備えている。MOSトランジスタP1のソースは、電源端子Vddに接続されている。MOSトランジスタN1のソースは、接地端子Vssに接続されている。MOSトランジスタP1とN1との接続点には、ビット線BLが接続されている。MOSトランジスタP1のゲートには、制御信号Aが入力される。MOSトランジスタN1のゲートには、制御信号Bが入力される。
ビット線/BLの一端には、CMOSタイプの第2の電源回路44が接続されている。第2の電源回路44は、直列に接続されたPチャネルMOSトランジスタP2及びNチャネルMOSトランジスタN2を備えている。MOSトランジスタP2のソースは、電源端子Vddに接続されている。MOSトランジスタN2のソースは、接地端子Vssに接続されている。MOSトランジスタP2とN2との接続点には、ビット線/BLが接続されている。MOSトランジスタP2のゲートには、制御信号Cが入力される。MOSトランジスタN2のゲートには、制御信号Dが入力される。
ビット線BLの他端には、第3の電源回路45が接続されている。第3の電源回路45は、NチャネルMOSトランジスタN3を備えている。MOSトランジスタN3のソースは、接地端子Vssに接続されている。MOSトランジスタN3のドレインは、ビット線BLに接続されている。MOSトランジスタN3のゲートには、データ読み出し時にハイレベルとなる制御信号Eが入力される。
ビット線/BLの他端には、カラム選択スイッチとしてのNチャネルMOSトランジスタSTを経由して、センスアンプSAが接続されている。センスアンプSAは、例えば、差動増幅器から構成され、ビット線/BLの読み出し電圧Vrとリファレンス電圧Vrefとに基づいて、スピントランジスタ10に記憶されたデータを判定する。センスアンプSAの出力信号は、選択されたスピントランジスタ10の読み出しデータとなる。MOSトランジスタSTのゲートには、カラムデコーダ(図示せず)から供給されるカラム選択信号Fが入力される。
スピントランジスタ10のゲートには、ワード線WLが接続されている。ワード線WLは、ロウデコーダ42に接続されている。ロウデコーダ42は、ワード線WLを介して、スピントランジスタ10のオン/オフを制御する。
次に、このように構成された磁気メモリの動作について説明する。まず、スピントランジスタ10へのデータの書き込み動作について説明する。
スピントランジスタ10へデータ“0”を書き込む場合には、選択ワード線WLにスピントランジスタ10がオンするゲート電圧を印加し、さらに、制御信号A及びBをハイレベル、制御信号C及びDをローレベルにする。これにより、スピントランジスタ10には、第1の電源回路43から第2の電源回路44に向かうスピン注入電流が流れる。なお、本実施形態では、電流とは、電子の流れをいうものとする。
一方、スピントランジスタ10へデータ“1”を書き込む場合には、選択ワード線WLにスピントランジスタ10がオンするゲート電圧を印加し、さらに、制御信号A及びBをローレベル、制御信号C及びDをハイレベルにする。これにより、スピントランジスタ10には、第2の電源回路44から第1の電源回路43に向かうスピン注入電流が流れる。なお、データ書き込み時は、第3の電源回路45及びセンスアンプSAは、非活性化される。このようにして、スピントランジスタ10にデータ“0”或いは“1”を書き込むことができる。
次に、スピントランジスタ10からのデータの読み出し動作について説明する。データ読み出しの場合には、選択ワード線WLにスピントランジスタ10がオンするゲート電圧を印加し、さらに、制御信号Eをハイレベル、カラム選択信号Fをハイレベルにする。これにより、読み出し電流は、第3の電源回路45からスピントランジスタ10を経由してセンスアンプSAに流れる。この時、センスアンプSAは、読み出し電位Vrと参照電位Vrefとを比較してデータを出力する。
なお、データ読み出し時には、第1の電源回路43及び第2の電源回路44は、非活性化される。また、読み出し電流は、スピン注入電流よりも小さく設定し、読み出し時に誤書き込みが発生するのを防止する。このようにして、スピントランジスタ10に記憶されたデータを読み出すことができる。
以上詳述したように本実施形態によれば、第1乃至第10の実施形態で示したスピントランジスタ10のいずれかを用いて磁気メモリを構成することができる。また、データの記憶単位である1つのメモリセルを1つのスピントランジスタ10のみで構成することができるため、メモリセルアレイの構成が容易である。
(実施例1)
次に、第1の実施形態で示したフィン構造を有するスピントランジスタ10のより具体的な実施例について説明する。本実施例では、第1の実施形態で示したフィン構造を有するスピントランジスタ10に、さらに、反強磁性層24,25、及びトンネルバリア層26,27を付加したスピントランジスタを作製した。図29及び図30は、実施例1に係るスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図である。
図29に示すように、基板11A、BOX絶縁層11B、SOI層が順に積層されたSOI基板を準備し、通常のCMOSプロセスを用いてBOX絶縁層11B上に素子分離絶縁層I1,I2、及び活性層を形成する。
続いて、活性層上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて絶縁膜を堆積し、フォトリソグラフィを用いてこの絶縁膜をパターニングする。続いて、レジスト層を除去した後に、上記絶縁膜をハードマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて活性層をエッチングし、BOX絶縁層11B上に複数のフィン12を形成する。
続いて、各フィン12に不純物をイオン注入して、各フィン12にキャリアの通路であるチャネル領域13を形成する。
続いて、フィン12の露出した表面に、熱酸化法を用いてゲート絶縁膜18を形成する。続いて、ゲート絶縁膜18上にゲート電極19となるメタル層をスパッタリング法若しくはCVD法により堆積する。続いて、フォトリソグラフィを用いてメタル層をパターニングすることにより、ゲート電極19を形成する。
続いて、図30に示すように、フィン12の両端部にトンネルバリア層26及び27となるSiO層を形成する。続いて、トンネルバリア層26及び27上にそれぞれ、第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15となるCoFe(3nm)、Ta(5nm)を順に堆積する。
続いて、第1の強磁性層14以外の領域をレジスト層で保護した後に、第1の強磁性層14上のTa層を除去する。続いて、第1の強磁性層14上に、反強磁性層24となるPtMn(20nm)、電極20となるAlを順に堆積する。その後、必要な箇所以外のPtMn層、及びAl層を除去する。なお、上記Ta層の除去と、PtMn層の成膜プロセスとを行うチャンバー間は搬送室を介して接続されており、真空を保ったまま試料を移動することができる。また、第1の強磁性層14及び反強磁性層24は、指向性の良いスパッタ装置を用いて成膜することが望ましい。
続いて、第2の強磁性層15以外の領域をレジスト層で保護した後に、第2の強磁性層15上のTa層を除去する。続いて、第2の強磁性層15上に、非磁性層16となるCu、第3の強磁性層17となるCo90Fe10、反強磁性層25となるPtMn(20nm)、電極20となるAlを順に堆積する。
続いて、各層のパターニングを行った後に、層間絶縁層やコンタクトホールを形成し、測定電極となるAl配線を形成する。最後に、試料に、1Tの一様磁場中で270℃1時間のアニール処理を行う。
上記の手順で作製した本実施例のスピントランジスタ10に対して、ドレイン電流Id(P)、及びId(AP)を測定する。測定手順は次の通りである。
まず、閾値電圧Vth以上のゲート電圧を電極21に印加した後に磁場を掃引し、スピン注入により、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向を略平行に設定する。そして、電極20及び22間に電圧を印加して、ドレイン電流Id(P)を測定する。続いて、外部磁場を印加して、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向を略反平行に設定する。そして、電極20及び22間に電圧を印加して、ドレイン電流Id(AP)を測定する。この場合のId(P)/Id(AP)比は3程度である。
次に、比較例として、合計したチャネル幅(すなわち、複数のチャネル領域13の合計幅)は第1の実施例で作成したスピントランジスタ10と同じであるが、この合計したチャネル幅と同じ1本のチャネル領域を有するスピントランジスタを作製する。この比較例のId(P)/Id(AP)比を測定すると、2程度である。つまり、チャネル領域を複数に分割することで、スピン緩和が抑えられ、Id(P)/Id(AP)比を増大させることができる。
(実施例2)
次に、第3の実施形態で細線チャネル構造を有するスピントランジスタ10のより具体的な実施例について説明する。本実施例では、第3の実施形態で示した細線チャネル構造を有するスピントランジスタ10に、さらに、反強磁性層24,25、及びトンネルバリア層26,27を付加したスピントランジスタを作製する。図31及び図32は、実施例2に係るスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図である。
図31に示すように、通常のCMOSプロセスを用いて、シリコン基板11内に素子分離絶縁層I1及びI2を形成する。続いて、シリコン基板11上に、複数の細線列からなるマスク層を形成した後、シリコン基板11に不純物をイオン注入することで、シリコン基板11内に複数のチャネル領域13を形成する。
続いて、シリコン基板11の表面に、熱酸化法を用いてゲート絶縁膜18となるシリコン酸化膜を成長させる。続いて、このゲート絶縁膜18上に、ゲート電極19となる多結晶シリコンを堆積する。続いて、この多結晶シリコン層に不純物をイオン注入し、さらに試料をアニール処理する。
続いて、フォトリソグラフィ及びRIE法を用いて、ゲート電極19及びゲート絶縁膜18をパターニングする。続いて、ゲート電極19の両側面に、自己整合プロセスを用いて、SiOからなる側壁S1及びS2を形成する。
続いて、ゲート電極19及び側壁S1,S2をマスクとして、RIE法を用いて第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15の形成予定領域である開口部O1及びO2をシリコン基板11内に形成する。
続いて、図32に示すように、開口部O1及びO2内に、トンネルバリア層26及び27となるSiO層を形成する。続いて、トンネルバリア層26及び27上にそれぞれ、第1の強磁性層14及び第2の強磁性層15となるCoFe(3nm)、Ta(5nm)を順に堆積する。
続いて、第1の強磁性層14以外の領域をレジスト層で保護した後に、第1の強磁性層14上のTa層を除去する。続いて、第1の強磁性層14上に、反強磁性層24となるPtMn(20nm)、電極20となるAlを順に堆積する。その後、必要な箇所以外のPtMn層、及びAl層を除去する。なお、上記Ta層の除去と、PtMn層の成膜プロセスとを行うチャンバー間は搬送室を介して接続されており、真空を保ったまま試料を移動することができる。また、第1の強磁性層14及び反強磁性層24は、指向性の良いスパッタ装置を用いて成膜することが望ましい。
続いて、第2の強磁性層15以外の領域をレジスト層で保護した後に、第2の強磁性層15上のTa層を除去する。続いて、第2の強磁性層15上に、非磁性層16となるCu、第3の強磁性層17となるCo90Fe10、反強磁性層25となるPtMn(20nm)、電極20となるAlを順に堆積する。
続いて、各層のパターニングを行った後に、層間絶縁層やコンタクトホールを形成し、測定電極となるAl配線を形成する。最後に、試料に、1Tの一様磁場中で270℃1時間のアニール処理を行う。
上記の手順で作製した本実施例のスピントランジスタ10に対して、ドレイン電流Id(P)、及びId(AP)を測定する。測定手順は次の通りである。
まず、閾値電圧Vth以上のゲート電圧を電極21に印加した後に磁場を掃引し、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向を略平行に設定し、ドレイン電流Id(P)を測定した。続いて、第1の強磁性層14と第2の強磁性層15との相対的な磁化方向を略反平行に設定し、ドレイン電流Id(AP)を測定した。この場合のId(P)/Id(AP)比は3程度である。
本実施例においても、チャネル領域を複数に分割することで、スピン緩和が抑えられ、Id(P)/Id(AP)比を増大させることができる。
なお、上記各実施形態のスピントランジスタを用いて集積回路を構成してもよい。また、上記各実施形態のスピントランジスタを用いて再構成可能(reconfigurable)なロジック回路を構成してもよい。リコンフィギュラブルロジック回路とは、プログラムデータに基づいて、1つのロジック回路で複数のロジックのうちの1つを選択的に実現できる回路のことである。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図1に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図。 図1に示した凸状半導体層(フィン)12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図。 スピントランジスタ10の変形例の構成を示す断面図。 図4に示したエンハンスメント型のスピントランジスタ10の構造を示す斜視図。 本発明の第2の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図6に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図。 図6に示した半導体層23をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図。 本発明の第3の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図9に示したスピントランジスタ10の構造を示す平面図。 図9に示したチャネル領域13をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図。 本発明の第4の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図12に示したフィン12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図。 本発明の第5の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図14に示したフィン12をY方向に切断したスピントランジスタ10の断面図。 本発明の第6の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図16に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図。 本発明の第7の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図18に示したスピントランジスタ10の構造を示す斜視図。 本発明の第8の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図20に示したスピントランジスタ10のチャネル領域13をチャネル幅方向に切断した断面図。 図20に示したスピントランジスタ10のソース領域32をチャネル幅方向に切断した断面図。 本発明の第9の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図23に示したスピントランジスタ10のチャネル領域13をチャネル幅方向に切断した断面図。 図23に示したスピントランジスタ10のソース領域32をチャネル幅方向に切断した断面図。 本発明の第10の実施形態に係るスピントランジスタ10の構造を示す断面図。 図26に示したスピントランジスタ10の平面図。 本発明の第11の実施形態に係る磁気メモリの構成を示す回路図。 本発明の実施例1に係るスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図。 図29に続くスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図。 本発明の実施例2に係るスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図。 図31に続くスピントランジスタ10の製造工程を示す断面図。
符号の説明
10…スピントランジスタ、11…半導体基板、11A…基板、11B…BOX絶縁層、12…凸状半導体層(フィン)、13…チャネル領域、14…第1の強磁性層、15…第2の強磁性層、16…非磁性層、17…第3の強磁性層、18…ゲート絶縁膜、19…ゲート電極、20〜22…電極、23…半導体層、24,25…反強磁性層、26,27…トンネルバリア層、30,31…N拡散領域、32…ソース領域、33…ドレイン領域、41…メモリセルアレイ、42…ロウデコーダ、43…第1の電源回路、44…第2の電源回路、45…第3の電源回路、BL,/BL…ビット線、WL…ワード線、P1,P2…PチャネルMOSトランジスタ、N1〜N3,ST…NチャネルMOSトランジスタ、SA…センスアンプ、WL…選択ワード線、I1,I2…素子分離絶縁層、S1,S2…側壁、O1,O2…開口部。

Claims (10)

  1. 第1の方向に延在するように基板上に設けられ、かつ電子の通路を一次元化する幅を有する複数の凸状半導体層と、
    前記複数の凸状半導体層の上部にそれぞれ設けられた第1の導電型の複数のチャネル領域と、
    前記複数のチャネル領域の両端にそれぞれ設けられた第2の導電型の第1及び第2の拡散層と、
    前記第1の拡散層に接するように前記基板上に設けられ、かつ磁化方向が固定された第1の強磁性層と、
    前記第2の拡散層に接するように前記基板上に設けられ、かつ磁化方向が可変の第2の強磁性層と、
    前記複数のチャネル領域上に設けられたゲート電極と
    を具備することを特徴とするスピントランジスタ。
  2. 前記ゲート電極と前記複数のチャネル領域との間に設けられたゲート絶縁膜をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のスピントランジスタ。
  3. 前記ゲート電極は、前記チャネル領域と逆導電型の半導体からなることを特徴とする請求項1に記載のスピントランジスタ。
  4. 前記第1の強磁性層上に設けられた第1の反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスピントランジスタ。
  5. 前記第2の強磁性層上に設けられた非磁性層と、
    前記非磁性層上に設けられ、かつ磁化方向が固定された第3の強磁性層と
    をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピントランジスタ。
  6. 前記第3の強磁性層上に設けられた第2の反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項5に記載のスピントランジスタ。
  7. 前記第1の強磁性層と前記第1の拡散領域との間、及び前記第2の強磁性層と前記第2の拡散領域との間の少なくとも一方に設けられたトンネルバリア層をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のスピントランジスタ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のスピントランジスタと、
    前記第1の強磁性層に電気的に接続された第1のビット線と、
    前記第2の強磁性層に電気的に接続された第2のビット線と、
    前記ゲート電極に電気的に接続されたワード線と
    を具備することを特徴とする磁気メモリ。
  9. 前記第1のビット線及び前記第2のビット線に接続され、かつ前記スピントランジスタに双方向の書き込み電流を供給する電源回路をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の磁気メモリ。
  10. 前記第1のビット線又は前記第2のビット線に接続され、かつ前記スピントランジスタのデータを検知するセンスアンプをさらに具備することを特徴とする請求項8又は9に記載の磁気メモリ。
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