JP2004014806A - 磁気抵抗素子および磁気メモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー変換効率に優れた実用的な磁気抵抗素子を提供する。
【解決手段】層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層1および第2強磁性層2と、これら強磁性層を電気的に接続する伝導層3と、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移可能であり、強磁性の状態で第1強磁性層1と磁気的に結合するように配置された磁性転移層5とを含む磁気抵抗素子とする。
【選択図】 図3
【解決手段】層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層1および第2強磁性層2と、これら強磁性層を電気的に接続する伝導層3と、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移可能であり、強磁性の状態で第1強磁性層1と磁気的に結合するように配置された磁性転移層5とを含む磁気抵抗素子とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗素子およびこれを用いた磁気デバイス、特に磁気メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性体が有するスピン情報を利用すると、不揮発メモリを実現できる。これまでに、非磁性層を介して交換結合した磁性膜よりなる人工格子膜が巨大磁気抵抗効果(GMR)を示すことが発見され、GMRを用いた磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)も提案されている。GMRでは、非磁性層にCu等の導体を用いるが、非磁性層にAl2O3等の絶縁体を用いたトンネル型GMR膜(TMR)の研究も盛んとなっている。
【0003】
磁性体内の磁化状態は、交換エネルギー、結晶磁気異方性エネルギー、静磁エネルギー、外部磁場によるゼーマンエネルギーの和によって決定される。このうち、磁化反転を誘起するために制御可能な物理量は、静磁エネルギーとゼーマンエネルギーである。従来、GMRやTMRを利用した磁気抵抗素子の磁化状態を電気的エネルギーにより制御するためには、線電流により発生する外部磁場が利用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、線電流による磁界発生のエネルギー変換効率は、1%程度に過ぎない。また、線電流により発生する磁界強度は距離に反比例する。磁気デバイスでは、通常、線電流を流すための導線と磁場を利用するための強磁性体等との間に絶縁体を配置する必要があるため、エネルギー変換効率は1%よりさらに低下するという課題がある。このため、線電流を用いずとも駆動する実用的な磁気デバイスが求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、本発明の磁気抵抗素子は、層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層および第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層とを電気的に接続する伝導層と、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移可能であり、強磁性の状態で第1強磁性層と磁気的に結合するように配置された磁性転移層とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の磁気抵抗効果素子では、磁性転移層(以下、単に「転移層」とする)を用いて強磁性層の磁化状態を制御することとしたため、エネルギー変換効率を改善できる。また、本発明では、一対の強磁性層を面内方向に離間して配置することとした。この配置により、強磁性層間を接続する伝導層の伝導状態を制御できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
最初に本発明の磁気抵抗素子の作動原理を説明する。図1に示した磁気抵抗素子では、第1強磁性層1と第2強磁性層2とがこれらの層の面内方向に離間して配置され(換言すれば、面垂直方向に沿って観察したときに重ならないように配置され)、この2つの層を伝導層3が接続している。そして、両強磁性層1,2の磁化相対角に応じて変化する素子抵抗が、両強磁性層1,2にそれぞれ接続した電極11,12を利用して検出される。図1では、第2強磁性層(固定磁性層)2の磁化方向が一定であり、第1強磁性層(自由磁性層)1の磁化方向が反転する素子を示したが(矢印参照)、磁化方向の変化はこれに限らない。また、図1では、両強磁性層1,2の表面が同じ高さとなるように形成されているが、強磁性層の配置はこれに限らない。伝導層3の配置についても同様である。
【0008】
自由磁性層1の磁化方向を変化させるためには、例えば図2に示したように、自由磁性層1上に、転移層5、絶縁層6および電極7をこの順に積層すればよい。この素子では、電源13から電極7に電圧を印加することによって転移層5にキャリアが注入され、転移層5の磁性状態が変化する。例えば、キャリアの注入によって、常磁性または反強磁性の状態にあった転移層5に強磁性が誘起されると、これが転移層5と磁気的に結合した自由磁性層1に伝達され、その結果、両強磁性層1,2の間の磁化相対角が変化する。このように、本発明の好ましい形態では、転移層5が、絶縁層6を介して電極7に接続され、電極7の電位の変化により、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移する。
【0009】
自由磁性層1の磁化方向を所定の方向に制御するために、例えば図3に示したように、磁化安定層8をさらに含ませてもよい。磁化安定層8は、転移層5に誘起された強磁性の磁化方向に一軸性を付与するために、強磁性の状態となった転移層5と磁気的に結合するように配置するとよい。磁化安定層8を用いると、転移層5を介して自由磁性層1の磁化方向を安定して制御できる。
【0010】
磁化安定層8と転移層5とは、直接接触していてもよいが(図3)、他の層を介して磁気的に結合していてもよい。図4に示した素子では、磁化安定層8と転移層5との間に強磁性層9が配置されており、これら2つの層5,8は、この強磁性層9を介して磁気的に結合している。
【0011】
なお、図4に示した素子では、固定磁性層2上に、磁化安定層10を配置することにより、この磁性層の磁化方向に一軸性を付与している。このように、反強磁性層等の磁化安定層を用いて固定磁性層の磁化方向を安定化させてもよい。
【0012】
転移層5は、自由磁性層1と磁気的に結合するように配置されていればよく、必ずしも自由磁性層上に形成する必要はない。例えば図5に示したように、転移層5は、面内方向に沿って自由磁性層1に隣接するように配置してもよい。磁化安定層8の配置についても、転移層5との磁気的結合が保たれている限り特に制限はない。磁化安定層8は、例えば図6に示したように、面内方向に沿って転移層5に隣接するように配置しても構わない。
【0013】
以下、各層の好ましい材料について説明する。
転移層5は、いわゆる磁性半導体を主成分とすることが好ましい。母材となる半導体としては、化合物半導体が磁性を誘起する上で好適であり、具体的には、I−V族、I−VI族、II−IV族、II−V族、II−VI族、III−V族、III−VI族、IV−IV族、IV−VI族、I−III−VI族、I−V−VI族、II−III−VI族、II−IV−V族化合物、例えば、GaAs、GaSe、AlAs、InAs、AlP、AlSb、GaP、GaSb、InP、InSb、In2Te3、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdTe、CdSb、HgS、HgSe、HgTe、SiC、GeSe、PbS、Sb2Se3、Mg2Si、Mg2Sn、Mg3Sb2、TiO2、CuInSe2、ZnIn2Se4、CdSnAs2、AgInTe2、AgSbSe2、GaN、AlN、GaAlN、BN、AlBNおよびGaInNAsから選ばれる少なくとも1種が適している。この母材に、IVa〜VIII族およびIb族(新IUPAC表示に基づくと4〜11族)から選ばれる少なくとも1種の元素を添加した磁性半導体が転移層には適している。
【0014】
磁性半導体としては、式QDA(ただし、Qは、Sc, Y,ランタノイド, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Niおよび Znから選ばれる少なくとも1種の元素、Aは、C, N, O, FおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物を用いてもよい。
【0015】
磁性半導体としては、式MLX(ただし、Mは、B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素、Lは、NおよびPから選ばれる少なくとも1種の元素、XはIVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種)で示される化合物を用いてもよい。
【0016】
磁性半導体としては、式ZnXO(ただし、Xは、IVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種の元素、例えばZnMnO)で示される化合物を用いてもよい。
【0017】
磁性半導体としては、式EZO(ただし、EはTi、Zr、V、Nb、Fe、Ni、Al、InおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素、Zは、元素Eを除くIVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物を用いてもよい。
【0018】
磁性半導体として上記以外の材料を用いてもよい。このような材料としては、例えば、ZnRS、ZnRSe、ZnRTe、MnAs、JTiMnO3、RF2、ZnRF2、CdMnTe、CdRSe(ただし、Jは、Mg, Ca, SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素、Rは、Mn, Fe, CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の添加元素)が挙げられる。
【0019】
転移体としては、外部電界によりメタ磁性転移をする材料(例えば、Au2Mn, MnSi, FeSi, Co(S1−XSeX)2(ただし、0≦x≦0.5), L’(Co1−XAlX)2(ただし、0≦x≦0.5、L’は、Y, LaおよびLuから選ばれる少なくとも1種)、HfTaFe, La(Fe1−XSiX)13HY)(ただし、0≦x≦0.5、0≦y≦1)を用いてもよい。
【0020】
強磁性層1,2には、従来から知られている材料を特に制限なく使用できる。例えば、▲1▼Fe, Co, Ni, FeCo合金, NiFe合金、CoNi合金、NiFeCo合金;▲2▼FeN, FeTiN, FeAlN, FeSiN, FeTaN, FeCoN, FeCoTiN, FeCo(Al,Si)N, FeCoTaN等の窒化物、酸化物、炭化物、硼化物またはフッ化物磁性体に代表され、式TGA’(ただし、Tは、Fe, CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、 Gは、Mg, Ca, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Al, Si, Mg, GeおよびGaから選ばれる少なくとも1種の元素、A’は、N, B, O, FおよびCから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物;▲3▼式(Co, Fe)M’(ただし、M’は、Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, CuおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素);▲4▼FeCr、FeSiAl, FeSi, FeAl, FeCoSi, FeCoAl, FeCoSiAl, FeCoTi, Fe(Ni)(Co)Pt, Fe(Ni)(Co)Pd, Fe(Ni)(Co)Rh, Fe(Ni)(Co)Ir, Fe(Ni)(Co)Ru, FePt等に代表され、式TQ’(ただし、TはFe, Co,およびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、Q’は、Cu, Ag, Au, Pd, Pt, Rh, Ir, Ru, Os, Ru, Si, Ge, Al, Ga, Cr, Mo, W, V, Nb, Ta, Ti, Zr, Hf, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物、を用いることができる。
【0021】
強磁性層1,2には、Fe3O4、式X’MnSb(ただし、X’は、Ni, CuおよびPtから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物、LaSrMnO, LaCaSrMnO, CrO2に代表されるハーフメタル材料を用いてもよい。
【0022】
強磁性層1,2には、キャリアの注入によって磁性誘起した磁性半導体を用いてもよい。具体的には、磁性半導体にホールキャリアまたは電子キャリアをドーピングすることにより、強磁性を発現させるとよい。図5および図6に示すように、強磁性層1,2と転移層5とを面内方向に隣接して配置する場合は、これら2つの層となる部分を磁性半導体により同時に形成し、この磁性半導体の一部にのみホール(または電子)キャリアをドーピングして強磁性層(強磁性領域)1,2を形成しても構わない。この場合、ドーピングにより強磁性を発現させない領域が転移層(転移領域)5として利用される。
【0023】
図6に示すように、さらに磁化安定層8を隣接して配置する場合には、この層となる部分も上記磁性半導体により同時に形成し、この部分に、強磁性発現のためにドーピングしたキャリアとは逆のキャリア(ホールキャリアをドーピングした場合には電子キャリア)をドーピングして、反強磁性を発現させてもよい。図6では、ホールキャリアをドーピングして(p+)強磁性を発現させ、電子キャリアをドーピングして(n+)反強磁性を発現させた例を示したが、磁性半導体の種類等によっては、キャリアの種類はこの逆となる。
【0024】
このように、本発明の好ましい形態では、強磁性層1,2および転移層5が同種の磁性半導体を含み、強磁性層1,2がキャリアの注入により磁性誘起される。また、本発明の好ましい別の形態では、強磁性層1,2、転移層5に加えて磁化安定層8が同種の磁性半導体を含み、強磁性層1,2に第1キャリア(例えばホールキャリア)が注入されて強磁性が誘起され、磁化安定層8に第2キャリア(例えば電子キャリア)が注入されて反強磁性が誘起される。
【0025】
強磁性層1,2には、ペロブスカイト型酸化物、フェライト等のスピネル型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物強磁性体を用いてもよい。
【0026】
伝導層3には、バリスティックな伝導を可能とする伝導体を用いることが好ましい。バリスティック効果によりスピン散乱を小さくするためには、伝導層の厚みおよび幅は、ともに100 nm以下が好適である。室温近傍での動作を考慮すると、伝導層の厚みおよび幅は、ともに50 nm以下が好ましい。
【0027】
バリスティックな伝導を可能とする伝導体として、半導体をヘテロ積層して得られる2次元電子ガス領域を用いてもよい。また、細線伝導体として機能する炭素チューブを用いても構わない。炭素チューブは単層から多層まで種々存在するが、伝導体として機能すればいずれを用いてもよい。さらに、100 nm以下、特に数nm〜数十nmまでの厚みおよび幅、さらに好ましくは1μm以下の長さ、に加工し、高濃度キャリアドープした(例えばキャリア濃度を1017〜1021/cm3とした)Si細線を用いてもよい。
【0028】
従来は、スピン情報を直接伝送するためには、ごく薄いトンネルバリアにおける偏極スピントンネル現象が利用されていたが(TMR素子)、これでは、伝送スピンを直接制御する回路を構成することはできない。しかし、バリスティックな伝導を可能とする伝導体を用いると、伝送スピンを直接制御する回路を構成することが可能となる。この回路は、例えば図7および図8に示したように、バリスティック伝導層30上に、絶縁層(ゲート絶縁膜)31および電極(ゲート電極)32をこの順に形成することにより実現できる。このようなMOS型の素子とすると、電源25からゲート電極32に電圧を印加することにより、スピンキャリアの伝導を乱すことができる。スピンキャリアの伝導は、電圧の印加による伝導層内におけるキャリアの誘起によっても変化させることができる。スピンキャリアの伝導の変化は、両強磁性層1,2にそれぞれ接続した電極(ドレイン電極、ソース電極)21,22間の抵抗変化として検出できる。
【0029】
即ち、本発明は、その別の側面において、層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層および第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層とを電気的に接続する伝導層と、この伝導層に絶縁層を介して積層された電極とを含み、この電極への電圧の印加により、上記伝導層におけるスピンキャリアの伝導度(バリスティック効果)が変化する磁気抵抗素子を提供する。
【0030】
伝導層3におけるスピンキャリアの制御は、強磁性層1,2の磁化相対角の変化とともに利用してもよい。ドレイン電極21とソース電極22との間の抵抗は、強磁性層1,2の磁化相対角に影響される。両強磁性層1,2の磁化方向が同じであっても(図7)異なっていても(図8)、伝導層3におけるスピンキャリアの伝導を乱すと抵抗値が上がるため、磁気抵抗変化が顕著となる。この動作を利用すると、所望の磁気抵抗変化を得ることが容易となる。強磁性層における磁化方向の制御は、上記のように転移層5を含む積層体を用いればよい(図9)。
【0031】
絶縁層6は、非導電性であればよく、この層には、絶縁体または半導体であれば特に制限なく使用できる。絶縁層6には、例えば、Mg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Crを含むIIa〜VIa族、La,Ceを含むランタノイド、およびZn,B,Al,Ga,Siを含むIIb〜IVb族から選ばれる少なくとも1種の元素と、F, O, C, NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物、あるいはポリイミドやフタロシアニン系の有機材料が適している。ゲート絶縁膜31にも、上記と同様の材料を用いればよい。
【0032】
電極7には、導電体であれば特に制限なく使用できるが、抵抗率が100μΩ・cm以下の材料、例えばCu,Al,Ag,Au,PtおよびTiNから選ばれる少なくとも1種が好適である。ゲート電極32にも、上記と同様の材料を用いればよい。
【0033】
磁化安定層8は、反強磁性層、高保磁力層および積層フェリ磁性層から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。積層フェリ磁性層は、反強磁性層と積層して用いてもよい。
【0034】
高保磁力層には、CoPt, FePt, CoCrPt, CoTaPt, FeTaPt, FeCrPt等の保磁力が100 Oe(7.96 kA/m)以上である磁性体が好適である。反強磁性層としては、例えばPtMn、PtPdMn、FeMn、IrMn、NiMn等のMn含有反強磁性体を用いることができる。積層フェリ磁性層は、磁性体と非磁性体の多層構造体であり、磁性体としてはCoまたはCoを含んだFeCo, CoFeNi, CoNi, CoZrTa, CoZrB, CoZrNb合金等が、非磁性体としてはCu, Ag, Au, Ru, Rh, Ir, Re, Osもしくはこれら金属の合金、または酸化物等が、それぞれ適している。
【0035】
上記で説明した各素子は、従来から公知の製法、通常の薄膜プロセスと微細加工プロセスとにより作製できる。各層は、パルスレーザデポジション(PLD)、イオンビームデポジション(IBD)、クラスターイオンビーム、RF、DC、ECR、ヘリコン、ICPまたは対向ターゲット等の各種スパッタリング法、MBE、イオンプレーティング法等により成膜すればよい。また、これらPVD法に代えて、CVD法を用いてもよく、メッキ法、ゾルゲル法等の成膜法を適用してもよい。また、微細加工は、半導体プロセス、GMRヘッド作製プロセス等で用いられるイオンミリング、RIE、FIB等の物理的・化学的エッチング法と、ステッパー、EB法等を用いたフォトリソグラフィー技術とを組み合わせて実施すればよい。また、電極等の表面平坦化のために、CMP、クラスターイオンビームエッチング等を適用してもよい。
【0036】
以下、本発明の磁気抵抗素子を用いた磁気デバイスの例として、磁気メモリの好ましい形態について説明する。
【0037】
この磁気メモリは、磁気抵抗素子と、この磁気抵抗素子に情報を記録するための情報記録用導体線(記録線)と、この情報を読み出すための情報読出用導体線(読出線)とを含んでおり、例えば、図10に示したように、複数の磁気抵抗素子をマトリクス状(行列状)に配置して構成される。図10に示した例では、記録線(記録線1,記録線2)の交点に素子が配置され、記録の対象として素子Mが選択されている。
【0038】
この磁気メモリには、素子の磁化状態を個別に読み取るために、素子ごとに、FETに代表されるスイッチ素子、整流素子等の非線形素子を配置するとよい。非線形素子として、バリスタやトンネル素子を用いても構わない。ただし、図11に示したように、素子ごとに非線形素子を配置せず、単に、記録線(ワード線41とビット線42)の交点に素子を配置してもよい。この場合、情報の読み出し時には、複数の素子に電流が流れるため、読み出しの精度を保つためには素子数を10000以下とすることが好ましい。なお、この素子では、ワード線41およびセンス線43と磁気抵抗素子との電気的接続のためにオーミック電極48が、ビット線42との接続のために伝導体44がそれぞれ形成されている。
【0039】
この磁気メモリへの情報の書き込み/読み出しの例を、図12に基づいて説明する。図12(a)に示したように、書き込み時には、ワード線41とビット線42との間に所定の電圧Vgを印加する(Vg≠0)。これにより、転移層5に磁性が誘起され、自由磁性層1に磁化情報が書き込まれる。この書き込み動作は、電圧駆動であり、動作上問題のない範囲で発生したリーク電流を除けば、ワード線41およびビット線42に積極的に電流を流す必要はない。ただし、自由磁性層1における磁化回転をアシストするために、これらの線に電流を流しても構わない。図12(a)には、ワード線41に電流を流した場合に生じる磁界47を示した。このように、本発明の磁気メモリでは、必要に応じて、情報記録用導体線を用いて記録磁界を発生させてもよい。
【0040】
図12(b)に示したように、情報の読み出し時には、センス線43に電圧を印加してスイッチ素子(FET)45をon状態に移行し、ビット線42とセンス線43との間の抵抗が読み取られる。情報の書き込み時を除いては、ワード線41とビット線42との間の電位は等しくしておけばよい(Vg=0)。
【0041】
図13(a)(b)に、スイッチ素子45に代えて整流素子46を用いたメモリにおける動作例を示す。
【0042】
図14に示すように、情報の読み出しには、比較用抵抗素子を用いて差分を検出することが好ましい。配線抵抗を含めた比較用抵抗素子からの出力(Vref)との差をとることにより、配線抵抗および素子基準抵抗をキャンセルできるため、高S/N化が容易となる。図14では、前値増幅器および主増幅器を用いた回路例を示したが、検出回路はこれに限らない。
【0043】
図15および図16に磁気メモリ(磁気ランダムアクセスメモリ:MRAM)の配線例を示す。図15では、素子Z1に情報が書き込まれている状態が示されており、図16では、同じく素子Z1から情報が読み出されている状態が示されている。これらの図に示したように、素子の選択は、例えばパストランジスタにより行えばよい。図14に示した比較用抵抗素子は、例えば図17に示したように配置するとよい。図17に示したMRAMでは、M行N列のマトリクス状に磁気抵抗素子(Z11・・・ZMN)が配置されており、N個の各素子列にそれぞれ対応するように、N個の比較抵抗素子(R1・・・RN)が配置されている。このMRAMでは、作動増幅器を用いて、電圧Vと電圧Vrefとの差分を検出するとよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により制限を受けるものでない。なお、以下の実施例において、ドーピング量を示す%表示はすべて原子%であり、全体に対する割合を示す。
【0045】
(実施例1)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、以下の要領で2つのサンプルを作製した。まず、図18(a)に示す積層体を作製するために、以下の多層膜を基板100上に成膜した。
【0046】
<サンプル1−1>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaMnAs(15)
<サンプル1−2>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaCoAs(15)
【0047】
多層膜は、基板に近い側から順に記載されており(左側が基板側)、カッコ内の数値は単位をnmとする膜厚である(以下において同様)。
【0048】
なお、ノンドープGaAs層は、約500〜700℃の基板温度で成膜し、GaAsS層、GaMnAs層、GaCoAs層は、それぞれ約200〜300℃の基板温度で低温成長させた。
【0049】
この多層膜に、積層体にEB(電子ビーム)加工およびフォトリソグラフィー法により加工を施して、図18(a)に示した積層体とした。ここで、ノンドープGaAs層はバッファー層110として、GaAsS(Sドーピング量:25%)層は伝導層103として、GaMnAs(Mnドーピング量:7%)層またはGaCoAs(Coドーピング量:5.5%)層は磁性半導体101,102として形成されている。ただし、2つの磁性半導体では、ドーピングにより強磁性が発現している。なお、磁性半導体をともにサンプル1−1または1−2により構成してもよい。
【0050】
次に、図18(b)に示した積層体を得るため、両サンプルとも、さらに、
GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
を成膜した。
【0051】
具体的には、2層のGaMnAs層、GaZnAs層、GaAlAs層は約200〜300℃の基板温度で低温成長させて成膜し、その後、いわゆるin−situ搬送により高真空を保った状態で試料移動を行い、室温下におけるスパッタ法によりAu層およびTa層を堆積した。
【0052】
ここで、GaMnAs(25)(Mnドーピング量:7%)層は転移層105、GaMnAs(80)(Mnドーピング量:1%)層は絶縁層(半絶縁層)106、GaZnAs(Znドーピング量:2%)層およびGaAlAs(Alドーピング量:2%)層は伝導層(図示せず)、Au/Ta層は電極107としてそれぞれ形成されている。なお、GaAlAs層とのコンタクトにはAuを用いてオーミック接触を確保した。
【0053】
こうして作製した素子の動作を以下により確認した。まず、両磁性半導体101,102にそれぞれ電気的に接続された端子(P端子、F端子)間に外部磁界を印加して磁気抵抗効果を検出した。その結果、予め付与された磁気異方性(形状異方性も含む)および飽和磁化の差によって、保磁力差型の磁気抵抗特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この素子では、磁性半導体101が相対的に保磁力が弱く磁化が回転しやすい自由層として機能していた。
【0054】
次いで、電極107に接続された端子(B端子)と強磁性層102に接続され端子(F端子)との間に電圧を印加して、転移層105にキャリアを注入して磁性誘起を行った。このとき、B−F端子間に電圧を印加しながら、温度範囲4〜370 KにおいてP−F端子間の電気特性を測定した。その結果、印加した電圧が±600V以下のときに(−600 V≦Vg≦600 V)、およそ150 K以下の温度範囲で磁気抵抗効果が確認された。電圧の絶対値が一度600 Vを超えると磁気抵抗変化が小さくなった。このことは、GaMnAsで構成した絶縁層の耐圧限界により素子の一部が変質したためと考えられる。
【0055】
この温度範囲では、(半)絶縁層106であるGaMnAs(80)層は半絶縁性を有しており、電圧を印加しない場合(Vg=0)、転移層105であるGaMnAs(25)層は他の測定によれば常磁性を示す。同じく他の測定により、この転移層は、正の電圧印加により常磁性または反強磁性を、負の電圧印加により強磁性を発現することがこれまでの検討から予測されている。実際、負の電圧印加を行ったときと正の電圧印加を行ったときとでは、P−F端子間の抵抗に差異が現れた。この差異は、転移層105がホールキャリアの注入により強磁性誘起され、磁性層101(GaMnAs層またはGaCoAs層)との磁気結合が生じ、その結果、両磁性層101,102の磁化方向の相対角が変化したためと解釈される。なお、誘起された強磁性は僅かながら一方向に磁化固定された振る舞いを示した。これは、GaMnAs(80)層が磁化安定層としても作用したためと推察される。
【0056】
以上より、外部磁界を用いずに磁化反転可能な磁気抵抗素子の基本動作が確認された。
【0057】
さらに図18(b)に示した構成において、磁性層102上に、反強磁性体としてNiO、MnAs、PtMnの各層を積層した。いずれの場合にも、P−F端子間の磁気抵抗特性はスピンバルブ型素子に特徴的な磁気抵抗特性を示した。これは、磁性層102が反強磁性体と磁気的に結合し、磁化方向が固定されたためと考えられる。このように、磁性層102を固定磁性層とすると、磁性層101は自由磁性層となる。
【0058】
(実施例2)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、実施例1と同様にして2つのサンプルを作製した。本実施例で作製したサンプルは、図19に示したように、磁性半導体102上にも磁性半導体101上と同じ多層膜を形成した以外は、実施例1で作製した積層体(図18(b))と同じ積層構成を有する。ただし、本実施例では、以下に示すように、磁性半導体101,102の膜厚を5 nmとした。
【0059】
<サンプル2−1>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaMnAs(5)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
<サンプル2−2>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaCoAs(5)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
【0060】
こうして作製した素子においても、P−F端子間において、外部磁界を印加することにより磁気抵抗効果が確認された。その結果、予め付与された磁気異方性(形状も含む)および飽和磁化の差によって、保磁力差型の磁気抵抗特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この素子では、磁性半導体101が相対的に保磁力が弱く磁化が回転しやすい自由層として機能していた。
【0061】
次いで、A−P端子間およびB−F端子間にそれぞれ電圧を印加することにより、両転移層105にキャリアを注入して磁性誘起を行った。このとき、両端子間に電圧を印加しながら、温度範囲4〜370 KにおいてP−F端子間の電気特性を測定した。その結果、印加した電圧が±600 V以下のときに(−600 V≦Vg1(Vg2)≦600 V)、およそ150 K以下の温度範囲で磁気抵抗効果が確認された。
【0062】
この素子においても、端子AまたはBから、負の電圧印加を行ったときと正の電圧印加を行ったときとでは、P−F端子間の抵抗に差異が現れた。また、誘起された強磁性は僅かながら一方向に磁化固定された振る舞いを示した。この素子では、B−F端子間に電圧を印加して磁性誘起した場合と、A−P端子間に電圧を印加して磁性誘起した場合とでは、P−F端子間の磁気抵抗特性である互いの保磁力差が変化した。これを利用すると、メモリの多値化を実現できる。
【0063】
(実施例3)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、以下の要領で2つのサンプルを作製した。図20に示した積層体を作製するために、以下の多層膜を基板100上に成膜した。
【0064】
<サンプル3−1>
ノンドープCdTe(300)/n−CdMnTe(100)/CrAs(50)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au (100)/Pt(25)
<サンプル3−2>
ノンドープCdTe(300)/n−CdMnTe(100)/MnTe(50)/ノンドープCdMnTe(15)/MnSe(30)/ノンドープCdTe(80)/n−CdTe/Au(100)/Pt(25)
【0065】
なお、CdMnTe層へのn型ドーピングにはヨウ素(I)を用いた。また、ノンドープCdTe層は約500〜700℃の基板温度で成膜し、n−CdMnTe層以降でAu層の前までの各層は、約200〜300℃の基板温度で低温成長させた。その後、in−situ搬送により高真空を保って試料移動を行い、室温下のスパッタ法によりAu層およびPt層を堆積した。
【0066】
次いで、積層体にEB加工およびフォトリソグラフィー法により加工を施して、図20に示した積層体とした。ここで、ノンドープCdTe層はバッファ層110として、n−CdMnTe(Mnドーピング量:5−80%)層は磁性半導体114として設けられている。ノンドープCdTe / n−CdMnTe界面では、2DEG(2次元電子ガス)層113の形成が予測されている。
【0067】
また、CrAs層またはMnTe層は磁性半導体101,102として、GaMnAs(25)層(Mnドーピング量:7%)またはノンドープCdMnTe層は転移層105として、GaMnAs(80)層(Mnドーピング量:1%)またはノンドープCdTe層は(半)絶縁層106として設けられている。なお、<サンプル3−1>におけるGaZnAs(50;Zn置換量:2%)/GaAlAs(100;Al置換量:2%)層は伝導層(図示省略)として、<サンプル3−2>におけるn−CdTe層は伝導層として設けられている。また、MnSeは磁性半導体であるが、ここでは転移層105に接する強磁性層(図4:9)として設けられている。Au/Pt層は電極107であり、オーミック接触のためにAuを、リソグラフィーの相性からPt層を配している。
【0068】
こうして作製した素子についても、実施例2で作製した素子と同様の動作が確認できた。2DEG(2次元電子ガス)層113がスピン伝導路として機能したと考えられる。このように、伝導層は、強磁性層101,102に直接接触している必要はない。
【0069】
(実施例4)
本実施例では、図21(a)〜(e)に示した手順に従って磁気抵抗素子を作製した。SOI (Silicon on Insulator)/SiO2基板200,210を用い、Siの細線を作製した。まず、SOI層を熱酸化してSOI(20)/SiO2(25)を形成した。ここで、SiO2(25)自体をレジスト体として利用し、EB(電子ビーム)加工を施し、5〜50 nmの幅を有する細線パターン描画を行った。この際の描画に用いたドーズ量は1〜10 C/cm2であった。現像にはバッファードフッ酸(HF: 0.2mol/l、NH4: 0.2mol/l)を用いた。この後、RIE(反応性イオンエッティング)を行って、SOI層を加工し、再び、バッファードフッ酸を用いてレジスト体のSiO2層を除去し、所望の5〜50 nmサイズのSiの細線を得た。この後、PSG(リンケイ酸ガラス)を用い、800℃、約10分程度リンの熱拡散を行い、細線全体にリンをドープして導電性を与えた。この際のキャリア濃度は、1017〜1021/cm3とした。こうして、伝導体203としてリンドープSi細線配線を形成した基板を得た。
【0070】
さらに、細線表面に、熱酸化によって1〜5 nm程度の絶縁酸化膜211を作製した(図21(a))。次いで、薄いアモルファスSi層を瞬時熱酸化して、径が2〜10 nm程度のSiドットを細線上に形成した。これにより、単電子チャージングの効果が誘起され、バリスティック的あるいはコトンネル的な伝導効果が期待される。この微細加工部分に、有機レジストを堆積し、磁性層を堆積し、その後のリフトオフ工程等を経て、厚さ20 nmの磁性電極(強磁性層201,202;CrZnOまたはCoTiO2)を配置した(図21(b))。さらに微細加工した伝導体部分に絶縁体212を堆積し、その上に多元スパッタを用いて以下のサンプルを作製した(図21(c))。以下には、上記強磁性層201,202も併せて示す。ここで、堆積絶縁体212の厚さは、強磁性層201,202を除く積層体よりも厚くした。
【0071】
<サンプル4−1>
(CrZnO(20))/MnFeZnO(20)/CoFe(5)/PtMn(20)/Al2O3(50)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−2>
(CrZnO(20))/MnFeZnO(15)/NiZnO(5)/NiO(50)/MgZnO(20)/NiFe(50)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−3>
(CrZnO(20))/MnZnO(20)/CoZnO(5)/Al2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)<サンプル4−4>
(CoTiO2(20))/MnTiO2(15)/CoTiO2(5)/Al2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−5>
CoTiO2(20)/MnTiO2(15)/CoTiO2(5)/Cr2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
【0072】
このサンプル(図21(c))にフォトリソグラフィック加工等の工程を通じて、図21(d)に示すような形状を形成し、各端子を配置した(図21(e))。
【0073】
ここで、<サンプル4−1〜4−3>におけるCrZnO層、<サンプル4−4〜4−5>におけるCoTiO2層は、磁性電極(強磁性を発現させた磁性半導体)201,202である。<サンプル4−1、4−2>のMnFeZnO層、<サンプル4−3>のMnZnO層、<サンプル4−4、4−5>のMnTiO2層は転移層205である。<サンプル4−1>のCoFe層、<サンプル4−2>のNiZnO層、<サンプル4−3>のCoZnO層、<サンプル4−4〜4−5>のCoTiO2層は強磁性層209である。さらに、<サンプル4−1>のPtMn層、<サンプル4−2>のNiO層は磁化安定層(反強磁性層;図示省略)である。<サンプル4−1,4−3〜4−4>のAl2O3層、<サンプル4−2>のMgZnO層、<サンプル4−5>のCr2O3層は絶縁層(図示省略)である。<サンプル4−1>を除いては、この絶縁層上に強磁性層(NiFe層またはCoFe層;図示省略)が配置されている。各サンプルにおいて、Ta/Cu/Taの積層体は、電極207として用いられている。
【0074】
本実施例にて構成した磁気抵抗素子の動作を以下のように確認した。
まず、図21(e)にて示した、P−F端子間において、転移層205へ電圧を印加することによって磁気抵抗効果を検出した。A−P端子間およびB−F端子間にそれぞれ電圧を印加することにより、転移層へのキャリア注入および誘起を図り、磁化状態の制御を行った。なお、測定は、A−P端子間およびB−F端子間に電圧印加を行いながら、測定温度範囲が4〜370 KにてP−F端子間の電気特性測定を行った。測定の結果、磁気抵抗変化特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この際、電圧印加を行うことで転移体の磁化を発現させたほうが磁化保持力が向上しているのが分かった。このことから、端子間の電圧印加を切り替えることで、高保磁力層−低保磁力層(自由磁性層)を切り替えられることが確認できた。
【0075】
印加した電圧範囲は−600V≦Vg1(Vg2)≦600Vで、電圧印加がゼロの場合(Vg1(Vg2)=0)では転移層は常磁性あるいはスピングラス状態であることが他の測定から期待され、また、正の電圧印加によっては常磁性、反強磁性またはスピングラス状態を、負の電圧印加によっては強磁性特性を発現することがこれまでの検討から期待される。実際、負の電圧印加を行った際に磁気抵抗素子部の抵抗と、正の電圧印加を行った際の磁気抵抗素子部の抵抗には差が現れた。このことから、本実施例では、Si細線をスピン伝導層として用い得ることが示されただけでなく、電圧印加によって生じる転移層の磁性により、磁気抵抗素子としての特性を制御できることが確認された。
【0076】
なお、ここでは、Si細線を伝導体として用いたが、炭素チューブを用いても同様な構成により、同様な効果を確認できた。なお、この際の炭素チューブは、単層に限らず、多層の炭素チューブを用いても同様の効果が得られる。この際のチューブの幅は、2〜30 nm程度が好ましい。
【0077】
(実施例5)
実施例2で示した<サンプル2−1>を基本素子として、集積メモリを作製した。素子配列は、16×16素子のメモリを1ブロックとし合計8ブロックとした。サンプルの素子断面積は0.2μm×0.3μmで、素子の平面形状は、図22(a)に示した矩形とした。また、ワード線およびビット線等には全てCuを用いた。
【0078】
ワード線とビット線と間の電圧印加およびワード線を用いた磁界印加を行うことにより、8つのブロックの8素子にそれぞれの自由磁性層の磁化反転を情報に応じて同時に書き込みを行い、8ビットずつの信号を記録した。次に、パストランジスタとして作製したGaAs上MES−FETのゲートをそれぞれのブロックに付き1素子ずつONし、センス電流をP−F間すなわちセンス線−ビット線間に流した。このとき、各ブロック内でのビット線、素子、及びFETに発生する電圧と、ダミー電圧をコンパレータにより比較し、それぞれの素子の出力電圧から、同時に8ビットの情報を読みとった。
【0079】
自由磁性層の長軸と短軸の比を1.5:1(長軸は図22の紙面左右方向で0.2μm)に保ちながら、自由磁性層の平面形状を図22(b)〜(e)とした集積メモリを作製した。これらのメモリの記録に要する消費電力は、図22(b)〜(e)の形状では図22(a)の形状の約3/5〜1/2程度であった。自由磁性層の平面形状を、矩形ではなく、内角が90°を上回る多角形((d)、(e))、偶角部に丸みをつけた形状((b))、円ないし楕円((c))とすると、消費電力を抑制できる。
【0080】
上記で作製したメモリ(例えば実施例5で作製した基本素子200を含むメモリ)を用いれば、図23に基本回路を示したような、メモリ機能を搭載したプログラマブルメモリ、あるいはリコンフィギュアブルメモリを作製できる。図23において、Vo=Vi×(Rv+Rc)/(Ri+Rv+Rc)の関係が成立する。ここで、RcはFET2のon抵抗であり、Rvは伝導層を介した2つの磁性層間の抵抗である。磁気抵抗素子の抵抗が互いの磁化が平行なときのRvをRvp、反平行なときのRvをRvapとし、反平行の時の抵抗が相対的に高いとすると、負荷回路とのゲ−ト電圧Vdと、磁気抵抗素子の抵抗の関係を
Vd<Vo= Vi×(Rvap +Rc)/(Ri+Rvap+Rc)
Vd>Vo= Vi×(Rvp +Rc)/(Ri+Rvp+Rc)
のようにすることで、不揮発性リコンフィギュアブルメモリとして用いることができる。
【0081】
例えば、負荷回路として論理回路を用いた場合は不揮発プログラマブル素子、負荷回路として表示回路を用いた場合は静止画像等の不揮発保存に使用でき、これら複数の機能を集積したシステムLSIとして用いることもできる。なお、図23のFETはそれぞれウエハ上に作製することが可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来にはない新しい磁気抵抗素子を提供できる。この素子は、転移層を用いて磁気抵抗効果を発現させるため、従来の素子よりもエネルギー変換効率に優れたものとなる。この磁気抵抗素子は、磁気メモリに限らず、光磁気ディスク、ハードディスク、デジタルデータストリーマ(DDS)、デジタルVTR等の磁気記録装置の磁気ヘッド(再生ヘッド)、各種磁気センサーのような磁気デバイスに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗素子の動作原理を示す図である。
【図2】本発明の磁気抵抗素子の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の磁気抵抗素子の別の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の磁気抵抗素子のまた別の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の磁気抵抗素子のさらに別の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の磁気抵抗素子のさらに異なる一例を示す断面図である。
【図7】伝導層に電圧を印加するための電極を備えた磁気抵抗素子を示す断面図である。
【図8】図7の素子において、強磁性層の磁化方向が変化した状態を示す断面図である。
【図9】図7,図8に示した素子にさらに転移層等を積層した磁気抵抗素子を示す断面図である。
【図10】本発明の磁気メモリの基本配線を示す図である。
【図11】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺の配線例を示す断面図である。
【図12】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺の別の配線例を示す断面図であり、書き込みの状態(a)と読み出しの状態(b)を示す図である。
【図13】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺のまた別の配線例を示す断面図であり、書き込みの状態(a)と読み出しの状態(b)を示す図である。
【図14】本発明の磁気メモリの出力動作の一例を示す図である。
【図15】本発明の磁気メモリの配線の例を示す図であり、書き込みの状態を示す図である。
【図16】本発明の磁気メモリの配線の例を示す図であり、読み出しの状態を示す図である。
【図17】本発明の磁気メモリの配線であって比較抵抗素子を配置した例を示す図である。
【図18】実施例1で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図19】実施例2で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図20】実施例3で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図21】実施例4で作製した磁気抵抗素子の構成を、その作製段階を含めて示す断面図である。
【図22】実施例5で作製した磁気抵抗素子の自由磁性層の平面形状を示す図である。
【図23】本発明の磁気抵抗素子を用いたメモリ機能を搭載したプログラマブルメモリ、あるいはリコンフィギュアブルメモリの基本回路を示す図である。
【符号の説明】
1 強磁性層(自由層)
2 強磁性層(固定層)
3 伝導層
5 転移層
6 絶縁層
7 電極
8 磁化安定層
9 強磁性層
11,12 端子(電極)
13 電極
30 伝導層
31 ゲート絶縁膜
32 ゲート電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗素子およびこれを用いた磁気デバイス、特に磁気メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性体が有するスピン情報を利用すると、不揮発メモリを実現できる。これまでに、非磁性層を介して交換結合した磁性膜よりなる人工格子膜が巨大磁気抵抗効果(GMR)を示すことが発見され、GMRを用いた磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)も提案されている。GMRでは、非磁性層にCu等の導体を用いるが、非磁性層にAl2O3等の絶縁体を用いたトンネル型GMR膜(TMR)の研究も盛んとなっている。
【0003】
磁性体内の磁化状態は、交換エネルギー、結晶磁気異方性エネルギー、静磁エネルギー、外部磁場によるゼーマンエネルギーの和によって決定される。このうち、磁化反転を誘起するために制御可能な物理量は、静磁エネルギーとゼーマンエネルギーである。従来、GMRやTMRを利用した磁気抵抗素子の磁化状態を電気的エネルギーにより制御するためには、線電流により発生する外部磁場が利用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、線電流による磁界発生のエネルギー変換効率は、1%程度に過ぎない。また、線電流により発生する磁界強度は距離に反比例する。磁気デバイスでは、通常、線電流を流すための導線と磁場を利用するための強磁性体等との間に絶縁体を配置する必要があるため、エネルギー変換効率は1%よりさらに低下するという課題がある。このため、線電流を用いずとも駆動する実用的な磁気デバイスが求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、本発明の磁気抵抗素子は、層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層および第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層とを電気的に接続する伝導層と、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移可能であり、強磁性の状態で第1強磁性層と磁気的に結合するように配置された磁性転移層とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の磁気抵抗効果素子では、磁性転移層(以下、単に「転移層」とする)を用いて強磁性層の磁化状態を制御することとしたため、エネルギー変換効率を改善できる。また、本発明では、一対の強磁性層を面内方向に離間して配置することとした。この配置により、強磁性層間を接続する伝導層の伝導状態を制御できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
最初に本発明の磁気抵抗素子の作動原理を説明する。図1に示した磁気抵抗素子では、第1強磁性層1と第2強磁性層2とがこれらの層の面内方向に離間して配置され(換言すれば、面垂直方向に沿って観察したときに重ならないように配置され)、この2つの層を伝導層3が接続している。そして、両強磁性層1,2の磁化相対角に応じて変化する素子抵抗が、両強磁性層1,2にそれぞれ接続した電極11,12を利用して検出される。図1では、第2強磁性層(固定磁性層)2の磁化方向が一定であり、第1強磁性層(自由磁性層)1の磁化方向が反転する素子を示したが(矢印参照)、磁化方向の変化はこれに限らない。また、図1では、両強磁性層1,2の表面が同じ高さとなるように形成されているが、強磁性層の配置はこれに限らない。伝導層3の配置についても同様である。
【0008】
自由磁性層1の磁化方向を変化させるためには、例えば図2に示したように、自由磁性層1上に、転移層5、絶縁層6および電極7をこの順に積層すればよい。この素子では、電源13から電極7に電圧を印加することによって転移層5にキャリアが注入され、転移層5の磁性状態が変化する。例えば、キャリアの注入によって、常磁性または反強磁性の状態にあった転移層5に強磁性が誘起されると、これが転移層5と磁気的に結合した自由磁性層1に伝達され、その結果、両強磁性層1,2の間の磁化相対角が変化する。このように、本発明の好ましい形態では、転移層5が、絶縁層6を介して電極7に接続され、電極7の電位の変化により、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移する。
【0009】
自由磁性層1の磁化方向を所定の方向に制御するために、例えば図3に示したように、磁化安定層8をさらに含ませてもよい。磁化安定層8は、転移層5に誘起された強磁性の磁化方向に一軸性を付与するために、強磁性の状態となった転移層5と磁気的に結合するように配置するとよい。磁化安定層8を用いると、転移層5を介して自由磁性層1の磁化方向を安定して制御できる。
【0010】
磁化安定層8と転移層5とは、直接接触していてもよいが(図3)、他の層を介して磁気的に結合していてもよい。図4に示した素子では、磁化安定層8と転移層5との間に強磁性層9が配置されており、これら2つの層5,8は、この強磁性層9を介して磁気的に結合している。
【0011】
なお、図4に示した素子では、固定磁性層2上に、磁化安定層10を配置することにより、この磁性層の磁化方向に一軸性を付与している。このように、反強磁性層等の磁化安定層を用いて固定磁性層の磁化方向を安定化させてもよい。
【0012】
転移層5は、自由磁性層1と磁気的に結合するように配置されていればよく、必ずしも自由磁性層上に形成する必要はない。例えば図5に示したように、転移層5は、面内方向に沿って自由磁性層1に隣接するように配置してもよい。磁化安定層8の配置についても、転移層5との磁気的結合が保たれている限り特に制限はない。磁化安定層8は、例えば図6に示したように、面内方向に沿って転移層5に隣接するように配置しても構わない。
【0013】
以下、各層の好ましい材料について説明する。
転移層5は、いわゆる磁性半導体を主成分とすることが好ましい。母材となる半導体としては、化合物半導体が磁性を誘起する上で好適であり、具体的には、I−V族、I−VI族、II−IV族、II−V族、II−VI族、III−V族、III−VI族、IV−IV族、IV−VI族、I−III−VI族、I−V−VI族、II−III−VI族、II−IV−V族化合物、例えば、GaAs、GaSe、AlAs、InAs、AlP、AlSb、GaP、GaSb、InP、InSb、In2Te3、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdTe、CdSb、HgS、HgSe、HgTe、SiC、GeSe、PbS、Sb2Se3、Mg2Si、Mg2Sn、Mg3Sb2、TiO2、CuInSe2、ZnIn2Se4、CdSnAs2、AgInTe2、AgSbSe2、GaN、AlN、GaAlN、BN、AlBNおよびGaInNAsから選ばれる少なくとも1種が適している。この母材に、IVa〜VIII族およびIb族(新IUPAC表示に基づくと4〜11族)から選ばれる少なくとも1種の元素を添加した磁性半導体が転移層には適している。
【0014】
磁性半導体としては、式QDA(ただし、Qは、Sc, Y,ランタノイド, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Niおよび Znから選ばれる少なくとも1種の元素、Aは、C, N, O, FおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物を用いてもよい。
【0015】
磁性半導体としては、式MLX(ただし、Mは、B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素、Lは、NおよびPから選ばれる少なくとも1種の元素、XはIVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種)で示される化合物を用いてもよい。
【0016】
磁性半導体としては、式ZnXO(ただし、Xは、IVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種の元素、例えばZnMnO)で示される化合物を用いてもよい。
【0017】
磁性半導体としては、式EZO(ただし、EはTi、Zr、V、Nb、Fe、Ni、Al、InおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素、Zは、元素Eを除くIVa〜VIII族およびIb族から選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物を用いてもよい。
【0018】
磁性半導体として上記以外の材料を用いてもよい。このような材料としては、例えば、ZnRS、ZnRSe、ZnRTe、MnAs、JTiMnO3、RF2、ZnRF2、CdMnTe、CdRSe(ただし、Jは、Mg, Ca, SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素、Rは、Mn, Fe, CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の添加元素)が挙げられる。
【0019】
転移体としては、外部電界によりメタ磁性転移をする材料(例えば、Au2Mn, MnSi, FeSi, Co(S1−XSeX)2(ただし、0≦x≦0.5), L’(Co1−XAlX)2(ただし、0≦x≦0.5、L’は、Y, LaおよびLuから選ばれる少なくとも1種)、HfTaFe, La(Fe1−XSiX)13HY)(ただし、0≦x≦0.5、0≦y≦1)を用いてもよい。
【0020】
強磁性層1,2には、従来から知られている材料を特に制限なく使用できる。例えば、▲1▼Fe, Co, Ni, FeCo合金, NiFe合金、CoNi合金、NiFeCo合金;▲2▼FeN, FeTiN, FeAlN, FeSiN, FeTaN, FeCoN, FeCoTiN, FeCo(Al,Si)N, FeCoTaN等の窒化物、酸化物、炭化物、硼化物またはフッ化物磁性体に代表され、式TGA’(ただし、Tは、Fe, CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、 Gは、Mg, Ca, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Al, Si, Mg, GeおよびGaから選ばれる少なくとも1種の元素、A’は、N, B, O, FおよびCから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物;▲3▼式(Co, Fe)M’(ただし、M’は、Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, CuおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素);▲4▼FeCr、FeSiAl, FeSi, FeAl, FeCoSi, FeCoAl, FeCoSiAl, FeCoTi, Fe(Ni)(Co)Pt, Fe(Ni)(Co)Pd, Fe(Ni)(Co)Rh, Fe(Ni)(Co)Ir, Fe(Ni)(Co)Ru, FePt等に代表され、式TQ’(ただし、TはFe, Co,およびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、Q’は、Cu, Ag, Au, Pd, Pt, Rh, Ir, Ru, Os, Ru, Si, Ge, Al, Ga, Cr, Mo, W, V, Nb, Ta, Ti, Zr, Hf, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物、を用いることができる。
【0021】
強磁性層1,2には、Fe3O4、式X’MnSb(ただし、X’は、Ni, CuおよびPtから選ばれる少なくとも1種の元素)で示される化合物、LaSrMnO, LaCaSrMnO, CrO2に代表されるハーフメタル材料を用いてもよい。
【0022】
強磁性層1,2には、キャリアの注入によって磁性誘起した磁性半導体を用いてもよい。具体的には、磁性半導体にホールキャリアまたは電子キャリアをドーピングすることにより、強磁性を発現させるとよい。図5および図6に示すように、強磁性層1,2と転移層5とを面内方向に隣接して配置する場合は、これら2つの層となる部分を磁性半導体により同時に形成し、この磁性半導体の一部にのみホール(または電子)キャリアをドーピングして強磁性層(強磁性領域)1,2を形成しても構わない。この場合、ドーピングにより強磁性を発現させない領域が転移層(転移領域)5として利用される。
【0023】
図6に示すように、さらに磁化安定層8を隣接して配置する場合には、この層となる部分も上記磁性半導体により同時に形成し、この部分に、強磁性発現のためにドーピングしたキャリアとは逆のキャリア(ホールキャリアをドーピングした場合には電子キャリア)をドーピングして、反強磁性を発現させてもよい。図6では、ホールキャリアをドーピングして(p+)強磁性を発現させ、電子キャリアをドーピングして(n+)反強磁性を発現させた例を示したが、磁性半導体の種類等によっては、キャリアの種類はこの逆となる。
【0024】
このように、本発明の好ましい形態では、強磁性層1,2および転移層5が同種の磁性半導体を含み、強磁性層1,2がキャリアの注入により磁性誘起される。また、本発明の好ましい別の形態では、強磁性層1,2、転移層5に加えて磁化安定層8が同種の磁性半導体を含み、強磁性層1,2に第1キャリア(例えばホールキャリア)が注入されて強磁性が誘起され、磁化安定層8に第2キャリア(例えば電子キャリア)が注入されて反強磁性が誘起される。
【0025】
強磁性層1,2には、ペロブスカイト型酸化物、フェライト等のスピネル型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物強磁性体を用いてもよい。
【0026】
伝導層3には、バリスティックな伝導を可能とする伝導体を用いることが好ましい。バリスティック効果によりスピン散乱を小さくするためには、伝導層の厚みおよび幅は、ともに100 nm以下が好適である。室温近傍での動作を考慮すると、伝導層の厚みおよび幅は、ともに50 nm以下が好ましい。
【0027】
バリスティックな伝導を可能とする伝導体として、半導体をヘテロ積層して得られる2次元電子ガス領域を用いてもよい。また、細線伝導体として機能する炭素チューブを用いても構わない。炭素チューブは単層から多層まで種々存在するが、伝導体として機能すればいずれを用いてもよい。さらに、100 nm以下、特に数nm〜数十nmまでの厚みおよび幅、さらに好ましくは1μm以下の長さ、に加工し、高濃度キャリアドープした(例えばキャリア濃度を1017〜1021/cm3とした)Si細線を用いてもよい。
【0028】
従来は、スピン情報を直接伝送するためには、ごく薄いトンネルバリアにおける偏極スピントンネル現象が利用されていたが(TMR素子)、これでは、伝送スピンを直接制御する回路を構成することはできない。しかし、バリスティックな伝導を可能とする伝導体を用いると、伝送スピンを直接制御する回路を構成することが可能となる。この回路は、例えば図7および図8に示したように、バリスティック伝導層30上に、絶縁層(ゲート絶縁膜)31および電極(ゲート電極)32をこの順に形成することにより実現できる。このようなMOS型の素子とすると、電源25からゲート電極32に電圧を印加することにより、スピンキャリアの伝導を乱すことができる。スピンキャリアの伝導は、電圧の印加による伝導層内におけるキャリアの誘起によっても変化させることができる。スピンキャリアの伝導の変化は、両強磁性層1,2にそれぞれ接続した電極(ドレイン電極、ソース電極)21,22間の抵抗変化として検出できる。
【0029】
即ち、本発明は、その別の側面において、層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層および第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層とを電気的に接続する伝導層と、この伝導層に絶縁層を介して積層された電極とを含み、この電極への電圧の印加により、上記伝導層におけるスピンキャリアの伝導度(バリスティック効果)が変化する磁気抵抗素子を提供する。
【0030】
伝導層3におけるスピンキャリアの制御は、強磁性層1,2の磁化相対角の変化とともに利用してもよい。ドレイン電極21とソース電極22との間の抵抗は、強磁性層1,2の磁化相対角に影響される。両強磁性層1,2の磁化方向が同じであっても(図7)異なっていても(図8)、伝導層3におけるスピンキャリアの伝導を乱すと抵抗値が上がるため、磁気抵抗変化が顕著となる。この動作を利用すると、所望の磁気抵抗変化を得ることが容易となる。強磁性層における磁化方向の制御は、上記のように転移層5を含む積層体を用いればよい(図9)。
【0031】
絶縁層6は、非導電性であればよく、この層には、絶縁体または半導体であれば特に制限なく使用できる。絶縁層6には、例えば、Mg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Crを含むIIa〜VIa族、La,Ceを含むランタノイド、およびZn,B,Al,Ga,Siを含むIIb〜IVb族から選ばれる少なくとも1種の元素と、F, O, C, NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物、あるいはポリイミドやフタロシアニン系の有機材料が適している。ゲート絶縁膜31にも、上記と同様の材料を用いればよい。
【0032】
電極7には、導電体であれば特に制限なく使用できるが、抵抗率が100μΩ・cm以下の材料、例えばCu,Al,Ag,Au,PtおよびTiNから選ばれる少なくとも1種が好適である。ゲート電極32にも、上記と同様の材料を用いればよい。
【0033】
磁化安定層8は、反強磁性層、高保磁力層および積層フェリ磁性層から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。積層フェリ磁性層は、反強磁性層と積層して用いてもよい。
【0034】
高保磁力層には、CoPt, FePt, CoCrPt, CoTaPt, FeTaPt, FeCrPt等の保磁力が100 Oe(7.96 kA/m)以上である磁性体が好適である。反強磁性層としては、例えばPtMn、PtPdMn、FeMn、IrMn、NiMn等のMn含有反強磁性体を用いることができる。積層フェリ磁性層は、磁性体と非磁性体の多層構造体であり、磁性体としてはCoまたはCoを含んだFeCo, CoFeNi, CoNi, CoZrTa, CoZrB, CoZrNb合金等が、非磁性体としてはCu, Ag, Au, Ru, Rh, Ir, Re, Osもしくはこれら金属の合金、または酸化物等が、それぞれ適している。
【0035】
上記で説明した各素子は、従来から公知の製法、通常の薄膜プロセスと微細加工プロセスとにより作製できる。各層は、パルスレーザデポジション(PLD)、イオンビームデポジション(IBD)、クラスターイオンビーム、RF、DC、ECR、ヘリコン、ICPまたは対向ターゲット等の各種スパッタリング法、MBE、イオンプレーティング法等により成膜すればよい。また、これらPVD法に代えて、CVD法を用いてもよく、メッキ法、ゾルゲル法等の成膜法を適用してもよい。また、微細加工は、半導体プロセス、GMRヘッド作製プロセス等で用いられるイオンミリング、RIE、FIB等の物理的・化学的エッチング法と、ステッパー、EB法等を用いたフォトリソグラフィー技術とを組み合わせて実施すればよい。また、電極等の表面平坦化のために、CMP、クラスターイオンビームエッチング等を適用してもよい。
【0036】
以下、本発明の磁気抵抗素子を用いた磁気デバイスの例として、磁気メモリの好ましい形態について説明する。
【0037】
この磁気メモリは、磁気抵抗素子と、この磁気抵抗素子に情報を記録するための情報記録用導体線(記録線)と、この情報を読み出すための情報読出用導体線(読出線)とを含んでおり、例えば、図10に示したように、複数の磁気抵抗素子をマトリクス状(行列状)に配置して構成される。図10に示した例では、記録線(記録線1,記録線2)の交点に素子が配置され、記録の対象として素子Mが選択されている。
【0038】
この磁気メモリには、素子の磁化状態を個別に読み取るために、素子ごとに、FETに代表されるスイッチ素子、整流素子等の非線形素子を配置するとよい。非線形素子として、バリスタやトンネル素子を用いても構わない。ただし、図11に示したように、素子ごとに非線形素子を配置せず、単に、記録線(ワード線41とビット線42)の交点に素子を配置してもよい。この場合、情報の読み出し時には、複数の素子に電流が流れるため、読み出しの精度を保つためには素子数を10000以下とすることが好ましい。なお、この素子では、ワード線41およびセンス線43と磁気抵抗素子との電気的接続のためにオーミック電極48が、ビット線42との接続のために伝導体44がそれぞれ形成されている。
【0039】
この磁気メモリへの情報の書き込み/読み出しの例を、図12に基づいて説明する。図12(a)に示したように、書き込み時には、ワード線41とビット線42との間に所定の電圧Vgを印加する(Vg≠0)。これにより、転移層5に磁性が誘起され、自由磁性層1に磁化情報が書き込まれる。この書き込み動作は、電圧駆動であり、動作上問題のない範囲で発生したリーク電流を除けば、ワード線41およびビット線42に積極的に電流を流す必要はない。ただし、自由磁性層1における磁化回転をアシストするために、これらの線に電流を流しても構わない。図12(a)には、ワード線41に電流を流した場合に生じる磁界47を示した。このように、本発明の磁気メモリでは、必要に応じて、情報記録用導体線を用いて記録磁界を発生させてもよい。
【0040】
図12(b)に示したように、情報の読み出し時には、センス線43に電圧を印加してスイッチ素子(FET)45をon状態に移行し、ビット線42とセンス線43との間の抵抗が読み取られる。情報の書き込み時を除いては、ワード線41とビット線42との間の電位は等しくしておけばよい(Vg=0)。
【0041】
図13(a)(b)に、スイッチ素子45に代えて整流素子46を用いたメモリにおける動作例を示す。
【0042】
図14に示すように、情報の読み出しには、比較用抵抗素子を用いて差分を検出することが好ましい。配線抵抗を含めた比較用抵抗素子からの出力(Vref)との差をとることにより、配線抵抗および素子基準抵抗をキャンセルできるため、高S/N化が容易となる。図14では、前値増幅器および主増幅器を用いた回路例を示したが、検出回路はこれに限らない。
【0043】
図15および図16に磁気メモリ(磁気ランダムアクセスメモリ:MRAM)の配線例を示す。図15では、素子Z1に情報が書き込まれている状態が示されており、図16では、同じく素子Z1から情報が読み出されている状態が示されている。これらの図に示したように、素子の選択は、例えばパストランジスタにより行えばよい。図14に示した比較用抵抗素子は、例えば図17に示したように配置するとよい。図17に示したMRAMでは、M行N列のマトリクス状に磁気抵抗素子(Z11・・・ZMN)が配置されており、N個の各素子列にそれぞれ対応するように、N個の比較抵抗素子(R1・・・RN)が配置されている。このMRAMでは、作動増幅器を用いて、電圧Vと電圧Vrefとの差分を検出するとよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により制限を受けるものでない。なお、以下の実施例において、ドーピング量を示す%表示はすべて原子%であり、全体に対する割合を示す。
【0045】
(実施例1)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、以下の要領で2つのサンプルを作製した。まず、図18(a)に示す積層体を作製するために、以下の多層膜を基板100上に成膜した。
【0046】
<サンプル1−1>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaMnAs(15)
<サンプル1−2>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaCoAs(15)
【0047】
多層膜は、基板に近い側から順に記載されており(左側が基板側)、カッコ内の数値は単位をnmとする膜厚である(以下において同様)。
【0048】
なお、ノンドープGaAs層は、約500〜700℃の基板温度で成膜し、GaAsS層、GaMnAs層、GaCoAs層は、それぞれ約200〜300℃の基板温度で低温成長させた。
【0049】
この多層膜に、積層体にEB(電子ビーム)加工およびフォトリソグラフィー法により加工を施して、図18(a)に示した積層体とした。ここで、ノンドープGaAs層はバッファー層110として、GaAsS(Sドーピング量:25%)層は伝導層103として、GaMnAs(Mnドーピング量:7%)層またはGaCoAs(Coドーピング量:5.5%)層は磁性半導体101,102として形成されている。ただし、2つの磁性半導体では、ドーピングにより強磁性が発現している。なお、磁性半導体をともにサンプル1−1または1−2により構成してもよい。
【0050】
次に、図18(b)に示した積層体を得るため、両サンプルとも、さらに、
GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
を成膜した。
【0051】
具体的には、2層のGaMnAs層、GaZnAs層、GaAlAs層は約200〜300℃の基板温度で低温成長させて成膜し、その後、いわゆるin−situ搬送により高真空を保った状態で試料移動を行い、室温下におけるスパッタ法によりAu層およびTa層を堆積した。
【0052】
ここで、GaMnAs(25)(Mnドーピング量:7%)層は転移層105、GaMnAs(80)(Mnドーピング量:1%)層は絶縁層(半絶縁層)106、GaZnAs(Znドーピング量:2%)層およびGaAlAs(Alドーピング量:2%)層は伝導層(図示せず)、Au/Ta層は電極107としてそれぞれ形成されている。なお、GaAlAs層とのコンタクトにはAuを用いてオーミック接触を確保した。
【0053】
こうして作製した素子の動作を以下により確認した。まず、両磁性半導体101,102にそれぞれ電気的に接続された端子(P端子、F端子)間に外部磁界を印加して磁気抵抗効果を検出した。その結果、予め付与された磁気異方性(形状異方性も含む)および飽和磁化の差によって、保磁力差型の磁気抵抗特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この素子では、磁性半導体101が相対的に保磁力が弱く磁化が回転しやすい自由層として機能していた。
【0054】
次いで、電極107に接続された端子(B端子)と強磁性層102に接続され端子(F端子)との間に電圧を印加して、転移層105にキャリアを注入して磁性誘起を行った。このとき、B−F端子間に電圧を印加しながら、温度範囲4〜370 KにおいてP−F端子間の電気特性を測定した。その結果、印加した電圧が±600V以下のときに(−600 V≦Vg≦600 V)、およそ150 K以下の温度範囲で磁気抵抗効果が確認された。電圧の絶対値が一度600 Vを超えると磁気抵抗変化が小さくなった。このことは、GaMnAsで構成した絶縁層の耐圧限界により素子の一部が変質したためと考えられる。
【0055】
この温度範囲では、(半)絶縁層106であるGaMnAs(80)層は半絶縁性を有しており、電圧を印加しない場合(Vg=0)、転移層105であるGaMnAs(25)層は他の測定によれば常磁性を示す。同じく他の測定により、この転移層は、正の電圧印加により常磁性または反強磁性を、負の電圧印加により強磁性を発現することがこれまでの検討から予測されている。実際、負の電圧印加を行ったときと正の電圧印加を行ったときとでは、P−F端子間の抵抗に差異が現れた。この差異は、転移層105がホールキャリアの注入により強磁性誘起され、磁性層101(GaMnAs層またはGaCoAs層)との磁気結合が生じ、その結果、両磁性層101,102の磁化方向の相対角が変化したためと解釈される。なお、誘起された強磁性は僅かながら一方向に磁化固定された振る舞いを示した。これは、GaMnAs(80)層が磁化安定層としても作用したためと推察される。
【0056】
以上より、外部磁界を用いずに磁化反転可能な磁気抵抗素子の基本動作が確認された。
【0057】
さらに図18(b)に示した構成において、磁性層102上に、反強磁性体としてNiO、MnAs、PtMnの各層を積層した。いずれの場合にも、P−F端子間の磁気抵抗特性はスピンバルブ型素子に特徴的な磁気抵抗特性を示した。これは、磁性層102が反強磁性体と磁気的に結合し、磁化方向が固定されたためと考えられる。このように、磁性層102を固定磁性層とすると、磁性層101は自由磁性層となる。
【0058】
(実施例2)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、実施例1と同様にして2つのサンプルを作製した。本実施例で作製したサンプルは、図19に示したように、磁性半導体102上にも磁性半導体101上と同じ多層膜を形成した以外は、実施例1で作製した積層体(図18(b))と同じ積層構成を有する。ただし、本実施例では、以下に示すように、磁性半導体101,102の膜厚を5 nmとした。
【0059】
<サンプル2−1>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaMnAs(5)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
<サンプル2−2>
ノンドープGaAs(300)/GaAsS(50)/GaCoAs(5)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au(100)/Ta(25)
【0060】
こうして作製した素子においても、P−F端子間において、外部磁界を印加することにより磁気抵抗効果が確認された。その結果、予め付与された磁気異方性(形状も含む)および飽和磁化の差によって、保磁力差型の磁気抵抗特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この素子では、磁性半導体101が相対的に保磁力が弱く磁化が回転しやすい自由層として機能していた。
【0061】
次いで、A−P端子間およびB−F端子間にそれぞれ電圧を印加することにより、両転移層105にキャリアを注入して磁性誘起を行った。このとき、両端子間に電圧を印加しながら、温度範囲4〜370 KにおいてP−F端子間の電気特性を測定した。その結果、印加した電圧が±600 V以下のときに(−600 V≦Vg1(Vg2)≦600 V)、およそ150 K以下の温度範囲で磁気抵抗効果が確認された。
【0062】
この素子においても、端子AまたはBから、負の電圧印加を行ったときと正の電圧印加を行ったときとでは、P−F端子間の抵抗に差異が現れた。また、誘起された強磁性は僅かながら一方向に磁化固定された振る舞いを示した。この素子では、B−F端子間に電圧を印加して磁性誘起した場合と、A−P端子間に電圧を印加して磁性誘起した場合とでは、P−F端子間の磁気抵抗特性である互いの保磁力差が変化した。これを利用すると、メモリの多値化を実現できる。
【0063】
(実施例3)
半絶縁性のGaAs(001)基板上に多元分子線エピタクシー手法を用い、以下の要領で2つのサンプルを作製した。図20に示した積層体を作製するために、以下の多層膜を基板100上に成膜した。
【0064】
<サンプル3−1>
ノンドープCdTe(300)/n−CdMnTe(100)/CrAs(50)/GaMnAs(25)/GaMnAs(80)/GaZnAs(50)/GaAlAs(100)/Au (100)/Pt(25)
<サンプル3−2>
ノンドープCdTe(300)/n−CdMnTe(100)/MnTe(50)/ノンドープCdMnTe(15)/MnSe(30)/ノンドープCdTe(80)/n−CdTe/Au(100)/Pt(25)
【0065】
なお、CdMnTe層へのn型ドーピングにはヨウ素(I)を用いた。また、ノンドープCdTe層は約500〜700℃の基板温度で成膜し、n−CdMnTe層以降でAu層の前までの各層は、約200〜300℃の基板温度で低温成長させた。その後、in−situ搬送により高真空を保って試料移動を行い、室温下のスパッタ法によりAu層およびPt層を堆積した。
【0066】
次いで、積層体にEB加工およびフォトリソグラフィー法により加工を施して、図20に示した積層体とした。ここで、ノンドープCdTe層はバッファ層110として、n−CdMnTe(Mnドーピング量:5−80%)層は磁性半導体114として設けられている。ノンドープCdTe / n−CdMnTe界面では、2DEG(2次元電子ガス)層113の形成が予測されている。
【0067】
また、CrAs層またはMnTe層は磁性半導体101,102として、GaMnAs(25)層(Mnドーピング量:7%)またはノンドープCdMnTe層は転移層105として、GaMnAs(80)層(Mnドーピング量:1%)またはノンドープCdTe層は(半)絶縁層106として設けられている。なお、<サンプル3−1>におけるGaZnAs(50;Zn置換量:2%)/GaAlAs(100;Al置換量:2%)層は伝導層(図示省略)として、<サンプル3−2>におけるn−CdTe層は伝導層として設けられている。また、MnSeは磁性半導体であるが、ここでは転移層105に接する強磁性層(図4:9)として設けられている。Au/Pt層は電極107であり、オーミック接触のためにAuを、リソグラフィーの相性からPt層を配している。
【0068】
こうして作製した素子についても、実施例2で作製した素子と同様の動作が確認できた。2DEG(2次元電子ガス)層113がスピン伝導路として機能したと考えられる。このように、伝導層は、強磁性層101,102に直接接触している必要はない。
【0069】
(実施例4)
本実施例では、図21(a)〜(e)に示した手順に従って磁気抵抗素子を作製した。SOI (Silicon on Insulator)/SiO2基板200,210を用い、Siの細線を作製した。まず、SOI層を熱酸化してSOI(20)/SiO2(25)を形成した。ここで、SiO2(25)自体をレジスト体として利用し、EB(電子ビーム)加工を施し、5〜50 nmの幅を有する細線パターン描画を行った。この際の描画に用いたドーズ量は1〜10 C/cm2であった。現像にはバッファードフッ酸(HF: 0.2mol/l、NH4: 0.2mol/l)を用いた。この後、RIE(反応性イオンエッティング)を行って、SOI層を加工し、再び、バッファードフッ酸を用いてレジスト体のSiO2層を除去し、所望の5〜50 nmサイズのSiの細線を得た。この後、PSG(リンケイ酸ガラス)を用い、800℃、約10分程度リンの熱拡散を行い、細線全体にリンをドープして導電性を与えた。この際のキャリア濃度は、1017〜1021/cm3とした。こうして、伝導体203としてリンドープSi細線配線を形成した基板を得た。
【0070】
さらに、細線表面に、熱酸化によって1〜5 nm程度の絶縁酸化膜211を作製した(図21(a))。次いで、薄いアモルファスSi層を瞬時熱酸化して、径が2〜10 nm程度のSiドットを細線上に形成した。これにより、単電子チャージングの効果が誘起され、バリスティック的あるいはコトンネル的な伝導効果が期待される。この微細加工部分に、有機レジストを堆積し、磁性層を堆積し、その後のリフトオフ工程等を経て、厚さ20 nmの磁性電極(強磁性層201,202;CrZnOまたはCoTiO2)を配置した(図21(b))。さらに微細加工した伝導体部分に絶縁体212を堆積し、その上に多元スパッタを用いて以下のサンプルを作製した(図21(c))。以下には、上記強磁性層201,202も併せて示す。ここで、堆積絶縁体212の厚さは、強磁性層201,202を除く積層体よりも厚くした。
【0071】
<サンプル4−1>
(CrZnO(20))/MnFeZnO(20)/CoFe(5)/PtMn(20)/Al2O3(50)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−2>
(CrZnO(20))/MnFeZnO(15)/NiZnO(5)/NiO(50)/MgZnO(20)/NiFe(50)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−3>
(CrZnO(20))/MnZnO(20)/CoZnO(5)/Al2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)<サンプル4−4>
(CoTiO2(20))/MnTiO2(15)/CoTiO2(5)/Al2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
<サンプル4−5>
CoTiO2(20)/MnTiO2(15)/CoTiO2(5)/Cr2O3(50)/CoFe(25)/Ta(3)/Cu(100)/Ta(25)
【0072】
このサンプル(図21(c))にフォトリソグラフィック加工等の工程を通じて、図21(d)に示すような形状を形成し、各端子を配置した(図21(e))。
【0073】
ここで、<サンプル4−1〜4−3>におけるCrZnO層、<サンプル4−4〜4−5>におけるCoTiO2層は、磁性電極(強磁性を発現させた磁性半導体)201,202である。<サンプル4−1、4−2>のMnFeZnO層、<サンプル4−3>のMnZnO層、<サンプル4−4、4−5>のMnTiO2層は転移層205である。<サンプル4−1>のCoFe層、<サンプル4−2>のNiZnO層、<サンプル4−3>のCoZnO層、<サンプル4−4〜4−5>のCoTiO2層は強磁性層209である。さらに、<サンプル4−1>のPtMn層、<サンプル4−2>のNiO層は磁化安定層(反強磁性層;図示省略)である。<サンプル4−1,4−3〜4−4>のAl2O3層、<サンプル4−2>のMgZnO層、<サンプル4−5>のCr2O3層は絶縁層(図示省略)である。<サンプル4−1>を除いては、この絶縁層上に強磁性層(NiFe層またはCoFe層;図示省略)が配置されている。各サンプルにおいて、Ta/Cu/Taの積層体は、電極207として用いられている。
【0074】
本実施例にて構成した磁気抵抗素子の動作を以下のように確認した。
まず、図21(e)にて示した、P−F端子間において、転移層205へ電圧を印加することによって磁気抵抗効果を検出した。A−P端子間およびB−F端子間にそれぞれ電圧を印加することにより、転移層へのキャリア注入および誘起を図り、磁化状態の制御を行った。なお、測定は、A−P端子間およびB−F端子間に電圧印加を行いながら、測定温度範囲が4〜370 KにてP−F端子間の電気特性測定を行った。測定の結果、磁気抵抗変化特性(R−H特性)が明瞭に得られた。この際、電圧印加を行うことで転移体の磁化を発現させたほうが磁化保持力が向上しているのが分かった。このことから、端子間の電圧印加を切り替えることで、高保磁力層−低保磁力層(自由磁性層)を切り替えられることが確認できた。
【0075】
印加した電圧範囲は−600V≦Vg1(Vg2)≦600Vで、電圧印加がゼロの場合(Vg1(Vg2)=0)では転移層は常磁性あるいはスピングラス状態であることが他の測定から期待され、また、正の電圧印加によっては常磁性、反強磁性またはスピングラス状態を、負の電圧印加によっては強磁性特性を発現することがこれまでの検討から期待される。実際、負の電圧印加を行った際に磁気抵抗素子部の抵抗と、正の電圧印加を行った際の磁気抵抗素子部の抵抗には差が現れた。このことから、本実施例では、Si細線をスピン伝導層として用い得ることが示されただけでなく、電圧印加によって生じる転移層の磁性により、磁気抵抗素子としての特性を制御できることが確認された。
【0076】
なお、ここでは、Si細線を伝導体として用いたが、炭素チューブを用いても同様な構成により、同様な効果を確認できた。なお、この際の炭素チューブは、単層に限らず、多層の炭素チューブを用いても同様の効果が得られる。この際のチューブの幅は、2〜30 nm程度が好ましい。
【0077】
(実施例5)
実施例2で示した<サンプル2−1>を基本素子として、集積メモリを作製した。素子配列は、16×16素子のメモリを1ブロックとし合計8ブロックとした。サンプルの素子断面積は0.2μm×0.3μmで、素子の平面形状は、図22(a)に示した矩形とした。また、ワード線およびビット線等には全てCuを用いた。
【0078】
ワード線とビット線と間の電圧印加およびワード線を用いた磁界印加を行うことにより、8つのブロックの8素子にそれぞれの自由磁性層の磁化反転を情報に応じて同時に書き込みを行い、8ビットずつの信号を記録した。次に、パストランジスタとして作製したGaAs上MES−FETのゲートをそれぞれのブロックに付き1素子ずつONし、センス電流をP−F間すなわちセンス線−ビット線間に流した。このとき、各ブロック内でのビット線、素子、及びFETに発生する電圧と、ダミー電圧をコンパレータにより比較し、それぞれの素子の出力電圧から、同時に8ビットの情報を読みとった。
【0079】
自由磁性層の長軸と短軸の比を1.5:1(長軸は図22の紙面左右方向で0.2μm)に保ちながら、自由磁性層の平面形状を図22(b)〜(e)とした集積メモリを作製した。これらのメモリの記録に要する消費電力は、図22(b)〜(e)の形状では図22(a)の形状の約3/5〜1/2程度であった。自由磁性層の平面形状を、矩形ではなく、内角が90°を上回る多角形((d)、(e))、偶角部に丸みをつけた形状((b))、円ないし楕円((c))とすると、消費電力を抑制できる。
【0080】
上記で作製したメモリ(例えば実施例5で作製した基本素子200を含むメモリ)を用いれば、図23に基本回路を示したような、メモリ機能を搭載したプログラマブルメモリ、あるいはリコンフィギュアブルメモリを作製できる。図23において、Vo=Vi×(Rv+Rc)/(Ri+Rv+Rc)の関係が成立する。ここで、RcはFET2のon抵抗であり、Rvは伝導層を介した2つの磁性層間の抵抗である。磁気抵抗素子の抵抗が互いの磁化が平行なときのRvをRvp、反平行なときのRvをRvapとし、反平行の時の抵抗が相対的に高いとすると、負荷回路とのゲ−ト電圧Vdと、磁気抵抗素子の抵抗の関係を
Vd<Vo= Vi×(Rvap +Rc)/(Ri+Rvap+Rc)
Vd>Vo= Vi×(Rvp +Rc)/(Ri+Rvp+Rc)
のようにすることで、不揮発性リコンフィギュアブルメモリとして用いることができる。
【0081】
例えば、負荷回路として論理回路を用いた場合は不揮発プログラマブル素子、負荷回路として表示回路を用いた場合は静止画像等の不揮発保存に使用でき、これら複数の機能を集積したシステムLSIとして用いることもできる。なお、図23のFETはそれぞれウエハ上に作製することが可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来にはない新しい磁気抵抗素子を提供できる。この素子は、転移層を用いて磁気抵抗効果を発現させるため、従来の素子よりもエネルギー変換効率に優れたものとなる。この磁気抵抗素子は、磁気メモリに限らず、光磁気ディスク、ハードディスク、デジタルデータストリーマ(DDS)、デジタルVTR等の磁気記録装置の磁気ヘッド(再生ヘッド)、各種磁気センサーのような磁気デバイスに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗素子の動作原理を示す図である。
【図2】本発明の磁気抵抗素子の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の磁気抵抗素子の別の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の磁気抵抗素子のまた別の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の磁気抵抗素子のさらに別の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の磁気抵抗素子のさらに異なる一例を示す断面図である。
【図7】伝導層に電圧を印加するための電極を備えた磁気抵抗素子を示す断面図である。
【図8】図7の素子において、強磁性層の磁化方向が変化した状態を示す断面図である。
【図9】図7,図8に示した素子にさらに転移層等を積層した磁気抵抗素子を示す断面図である。
【図10】本発明の磁気メモリの基本配線を示す図である。
【図11】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺の配線例を示す断面図である。
【図12】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺の別の配線例を示す断面図であり、書き込みの状態(a)と読み出しの状態(b)を示す図である。
【図13】本発明の磁気メモリにおける磁気抵抗素子周辺のまた別の配線例を示す断面図であり、書き込みの状態(a)と読み出しの状態(b)を示す図である。
【図14】本発明の磁気メモリの出力動作の一例を示す図である。
【図15】本発明の磁気メモリの配線の例を示す図であり、書き込みの状態を示す図である。
【図16】本発明の磁気メモリの配線の例を示す図であり、読み出しの状態を示す図である。
【図17】本発明の磁気メモリの配線であって比較抵抗素子を配置した例を示す図である。
【図18】実施例1で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図19】実施例2で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図20】実施例3で作製した磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図21】実施例4で作製した磁気抵抗素子の構成を、その作製段階を含めて示す断面図である。
【図22】実施例5で作製した磁気抵抗素子の自由磁性層の平面形状を示す図である。
【図23】本発明の磁気抵抗素子を用いたメモリ機能を搭載したプログラマブルメモリ、あるいはリコンフィギュアブルメモリの基本回路を示す図である。
【符号の説明】
1 強磁性層(自由層)
2 強磁性層(固定層)
3 伝導層
5 転移層
6 絶縁層
7 電極
8 磁化安定層
9 強磁性層
11,12 端子(電極)
13 電極
30 伝導層
31 ゲート絶縁膜
32 ゲート電極
Claims (10)
- 層の面内方向に互いに離間して配置された第1強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とを電気的に接続する伝導層と、強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移可能であり、前記強磁性の状態で前記第1強磁性層と磁気的に結合するように配置された磁性転移層とを含む磁気抵抗素子。
- 強磁性の状態となった磁性転移層と磁気的に結合するように配置された磁化安定層をさらに含む請求項1に記載の磁気抵抗素子。
- 磁化安定層が、反強磁性層、高保磁力層および積層フェリ磁性層から選ばれる少なくとも1つを含む請求項2に記載の磁気抵抗素子。
- 磁化安定層と磁性転移層とが、強磁性層を介して磁気的に結合した請求項2または3に記載の磁気抵抗素子。
- 磁性転移層が絶縁層を介して電極に接続され、前記電極の電位の変化により、前記磁性転移層が強磁性と常磁性または反強磁性との間を転移する請求項1〜4のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
- 伝導層が絶縁膜を介して電極に接続された請求項1〜5のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
- 第1強磁性層と磁気的に結合するように配置された磁性転移層を第1磁性転移層として、第2強磁性層と磁気的に結合するように配置された第2磁性転移層をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
- 第1強磁性層と第1磁性転移層との磁気的結合および第2強磁性層と第2磁性転移層との磁気的結合に応じて、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の抵抗が3段階以上に変化する請求項7に記載の磁気抵抗素子。
- 伝導体の厚みおよび幅が共に100nm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の磁気抵抗素子と、前記磁気抵抗素子に情報を記録するための情報記録用導体線と、前記情報を読み出すための情報読出用導体線とを含む磁気メモリ。
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