JP4403655B2 - 段ボールライナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易離解性でリサイクル可能な、耐水性、防滑性、段ボール貼合適性に優れた包装用紙、特に段ボールライナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙は、包装紙、封筒、包装袋、段ボール箱等の各種包装材料の素材として使用されており、その場合、必要に応じて耐水性、防滑性等の特性を付与されたものが使用されている。
例えば、段ボール箱は輸送用に広く用いられているが、通常の段ボール箱は水に弱いという欠点を有している。そのため、青果物、鮮魚、肉類、冷凍食品等の、内容物が水分を含有する場合、また、鮮度保持のために低温輸送を必要とし、それによって結露水が発生するおそれがある内容物に対しては、撥水性、耐水性が付与された段ボールが素材として用いられている。
このような段ボールとしては、段ボールの表面に溶融ワックスを塗工、または、段ボールにワックスを含浸させたものが存在する。
しかし、このようなワックスが多量に付着した段ボールは、古紙としてリサイクルすることができない。さらにこれらが誤って通常の段ボールに混入して古紙として回収されると、再生紙の抄造工程で紙切れが発生したり、製品に黒いワックスの斑点が現れ商品価値を著しく落とすという問題が発生した。
また、段ボールライナにポリオレフィン等の合成樹脂フィルムを貼合したものが存在する。これらもまた古紙として回収し、パルプの原料として使用することができず、使用後は焼却や埋立処分しているのが現状であった。
そのため、近年資源リサイクルの気運が醸成されるにつれ、撥水、耐水機能を有すると共に、使用後に古紙パルプの原料となり、リサイクル利用が可能な種々の段ボールが提案されている。
例えば合成樹脂エマルジョンとワックスエマルジョンをライナ表面に塗工して段ボールに耐水、撥水機能を与える方法が提案されている。(特願昭57−118469)。
このような合成樹脂エマルジョンとワックスエマルジョン等からなる撥水層を設けた段ボールは、撥水機能を有すると同時に古紙として再離解可能であり、従ってリサイクル可能である。
【0003】
ところで、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール等の各種段ボールシートを製造するには、ライナ原紙と中芯原紙との貼合が必要となる。貼合は、コルゲーターと呼ばれる段ボールシート製造装置で行われる。
コルゲータは、主として、ライナ原紙と中芯原紙を貼合するシングルフェーサー部と、シングルフェーサーで貼合した片段ボールシートの中芯側にさらにライナ原紙を貼合するダブルフェーサー部とから構成される。
コルゲーターにおける貼合時、段ボールシートは、シングルフェーサーのプレスロール部分で、温度150〜200℃、線圧20〜40kg/cm、加圧時間0.01秒〜0.20秒、またダブルフェーサーの熱盤部分では、温度150〜200℃、線圧0.3kg/cm、加圧時間2〜5秒という条件で貼合される。
このため、ライナの表面に合成樹脂を塗工した場合、貼合時にその合成樹脂が熱で融解するために、シングルフェーサープレスロール部、ダブルフェーサー熱盤部で融着によるトラブルが発生し、操業が極めて困難であった。
【0004】
また、郵便や小包、宅配便等の包装に使用する、包装紙、封筒、包装袋等には、内容物を保護するため、耐水性を有するものが用いられることが多い。
しかし、合成樹脂のフィルムや不織布を基材として使用したものは、使用後、ゴミとして廃棄する場合に環境に与える負荷が高い。また、紙基材に合成樹脂フィルムを積層して耐水性や強度を付与したものも、古紙として再利用ができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、合成樹脂による耐水層を有する段ボールライナ原紙の段ボール貼合工程において、シングルフェーサープレスロール、及びダブルフェーサー熱盤部での融着トラブルを抑えて段ボールシートの製造を容易にし、しかも易離解性で古紙としての再利用が可能である、耐水段ボールライナに適した段ボールライナを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1は、基材紙の少なくとも片面に、ゲル含量90%以上のスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を含む合成樹脂エマルジョンに顔料を塗料固形分中30〜60重量%配合した塗料による塗工層を設け、前記顔料が、平均粒子径5〜15μmの顔料と平均粒子径4μm以下の平板顔料とを5:95重量%〜40:60重量%の割合で配合したものである段ボールライナである。
【0007】
さらに本発明の第2は、塗工層のコッブ吸水度(JIS P8140:接触時間=30分)が30g/m2以下である本発明第1記載の段ボールライナである。
【0008】
本発明の第3は、塗工量が固形分で3〜30g/m2である本発明1〜2記載の段ボールライナ。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述の問題を改善すべく鋭意研究した結果、合成樹脂エマルジョンに平均粒子径が5〜15μmの顔料と平均粒子径が4μm以下の顔料からなる顔料を塗料固形分中30〜60重量%配合することによって、塗料による塗工層表面を顔料の粒子で保護し、合成樹脂層の耐水性を損なわず、表面に耐熱性を持たせたものである。
なお、平均粒子径5〜15μmの顔料と、平均粒子径4μm以下の顔料の配合割合は、5:95〜40:60重量%の範囲である。
【0011】
本発明では、状況に応じて公知のものから選ばれる任意の顔料を使用することができるが、好適に用いられるものは以下のような条件に合致する顔料である。
【0012】
まず、平均粒子径5〜15μmの顔料は、合成樹脂エマルジョンに配合することで、塗工層表面に顔料を露出させて粗面化するためのものである。この顔料によって塗工層とシングルフェーサーのプレスロールあるいはダブルフェーサーの熱盤との接触面積を減らすことによって、塗工面のプレスロールや熱盤への融着によるトラブルを抑え、コルゲーターでの操業をを容易にするものである。
同時に、塗工層を粗面化することによって、適度な防滑性を付与することが可能となる。
この顔料の平均粒子径が5μm未満の場合、塗工面とプレスロールや熱盤との接触面積が大きくなるため、このような耐熱性の向上効果を得ることができない。また、平均粒子径が15μmを越えた場合には、塗工面の表面性が悪化し、耐水性が低下する。
またこの顔料自体は耐熱性を有するものであることが望ましい。
さらにこの顔料の形状は粒状、即ちアスペクト比が1〜3の範囲であって、更に好ましくは1〜2のように、1に近い形状のものであることが望ましい。
この顔料としては、無機顔料及び有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、軽質炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、シリカ、クレー等が望ましく、特に重質炭酸カルシウムが好適に用いられる。また、有機顔料は、粒子形状が球形に近いものが多く、その意味ではさらに好適であり、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、澱粉粒子等の微粉末を使用することができる。
また、平均粒子径4μm以下の顔料は、同様に顔料自体が耐熱性を有するものであることが望ましく、粒子径がこの範囲であれば、上記したような顔料が任意に使用できる。また、その粒子の形状が板状または薄片状、即ちアスペクト比が4以上であることが好ましく、6以上であることが特に好ましい。このような形状の顔料は、他の形状の顔料と比較して、塗工層中で顔料同士が積層することにより、合成樹脂により形成された耐水層の耐水性を保持する特徴を有する。なお、ここで言うアスペクト比は、レーザー回折法による平均粒子径を、板状粒子の平均板厚さで割った値である。レーザー回折法による粒子径測定は、島津製作所製「レーザー回折法粒度分布測定装置SALD−2000J」により測定できる。
このような板状顔料としては、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、水酸化アルミニウム等が望ましい。特にデラミタイプのカオリンが好適に用いられる。さらに、板状顔料は、より細かく粉砕している方が防水性が良くなるため、平均粒子径3μm以下に粉砕することが最も好ましい。
【0013】
本発明に使用する合成樹脂エマルジョンとしては、優れた耐水性を有する耐水層を得るためには、ガラス転移点が0℃〜40℃、さらに好適には5℃〜30℃の範囲の合成樹脂を使用することが望ましい。
また、優れた耐熱性を有する耐水層を得るためには、塗料中にゲル含量が90%以上、さらに好適には94%以上である合成樹脂が含まれることが望ましい。なお、本発明におけるゲル含量とは、テトラヒドロフランを溶剤に用いて合成樹脂皮膜の溶出しない割合を示す。
本発明において特に好適に使用できる合成樹脂エマルジョンは、スチレン・ブタジエン系共重合体、及び/またはスチレン・アクリル系共重合体である。
さらに耐水性と耐熱性を兼ね備えた耐水層を得るためには、耐水性に優れたスチレン・ブタジエン共重合体に、耐熱性に優れたスチレン・アクリル共重合体を混合して使用することが望ましい。使用するスチレン・ブタジエン共重合体のゲル含量は、90%以上、さらには94%以上であることがさらに望ましい。
なお、本発明において、スチレン・ブタジエン共重合体に対するスチレン・アクリル共重合体の比率は、重量固形分で10〜30%、さらに望ましくは15〜25%である。
さらに本発明においては、塗料の粘度調整、塗工性の向上のため、必要に応じて水溶性樹脂を添加することができる。水溶性樹脂としては、澱粉、変性澱粉、PVA、変性PVA、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、アクリルアミド、ポリエステル等が用いられる。
また必要に応じてさらに耐水化剤を添加することができる。耐水化剤としては、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド−ホルムアルデヒド樹脂、グリオギザール、ケトンアルデヒド樹脂、ポリグリシジルエーテル、ジアルデヒド澱粉等が用いられる。
【0014】
前述の2種類の顔料を、合成樹脂エマルジョンに配合し、さらに必要に応じて通常用いられる分散剤、調滑剤、消泡剤、染料等の補助薬品を適宜添加して本発明の塗料とする。
この塗料を基材紙に塗工し、本発明の包装用紙を得ることができる。
なお、本発明塗料の塗工は、従来用いられているバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーターなどを任意に使用して行うことができる。
なお、本発明の耐水性塗料の塗工量は、固形分で3〜30g/m2、さらに望ましくは10〜20g/m2が適当である。3g/m2未満であると、耐水性が十分に得られない。また30g/m2を超えると、本発明包装用紙を段ボールライナとして使用する際に、段ボールの貼合時に必要な耐熱性が十分でなく貼合適性に劣る。また、リサイクル適性が悪化する。塗工層の乾燥条件は、70〜180℃で10〜60秒間である。
さらに、本発明包装用紙の塗工層のコッブ吸水度(JIS P8140:接触時間=30分)は30g/m2以下であることが好ましい。30g/m2以下であれば、鮮度保持輸送等、特に強い耐水性を必要とする段ボール箱用の段ボールライナとして使用可能である。
また、本発明に使用する基材紙としては一般の紙が任意に使用できる。例えば、パルプ原料として、機械パルプ、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、セミケミカルパルプ、古紙パルプ、あるいはケナフ、バガス等の非木材パルプ等を単独又は任意で組み合わせて抄紙した紙を用いることが可能である。
さらに、前述のパルプ原料に各種サイズ剤や各種樹脂よりなる耐水化剤を任意に配合して抄紙し、耐水性をあらかじめ付与した紙基材を使用することができる。
耐水化剤としては、ロジンサイズ剤、ワックス系、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル共重合体、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
その他にも、澱粉やCMCの内添、さらには染料や顔料を配合して抄紙したものを使用することができる。
また、抄紙後の紙基材の表面に、各種表面紙力増強剤、表面サイズ剤等を塗工または含浸させたものを使用することができる。
本発明の包装用紙を、段ボールライナとして使用する場合には、基材紙としては一般に使用されている段ボールライナ原紙を使用することが望ましい。特に耐水性に優れた段ボールシートを得るためには、各種サイズ剤やポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等の樹脂よりなる耐水化剤を配合して抄紙、又は耐水化剤を予め含浸させて得た、いわゆる耐水ライナ原紙がより好適に使用できる。
また本発明の包装用紙を、小包や宅配便用等の包装袋など、特に強度を要する用途に使用する場合には、基材紙としてはクラフト紙を使用することが望ましい。
【0015】
このように耐水層を形成した本発明の包装用紙は、合成樹脂エマルジョンのみから形成された包装用紙と比べて、同等の耐水性能を有する。さらに段ボールの貼合過程における耐熱性が格段に向上する。
なお、この塗工層は、基材紙の再離解性に全く影響を及ぼすものではない。従って、本発明の包装用紙は、塗工層を設ける前の基材紙と同程度の離解性を有する。
また、このようにして得られた包装用紙は、表面が適度に粗面化されているので、防滑性段ボールの素材とすることも可能である。
さらに本発明の包装用紙は、耐水性を有する包装紙として単体で、もしくは郵便や宅配便用の封筒や包装袋等の素材として使用することも可能である。さらに通常用いられるエマルジョン系接着剤等の水系接着剤により問題なく接着可能であり、通常の紙同様の製袋適性を有する。
【0016】
前述のようにして得られた包装用紙を耐水ライナとして耐水段ボールシートを製造することができる。具体的には包装用紙の塗料の非塗工面に中芯原紙をコルゲーターにより貼合して耐水段ボールシートとする。
また、本発明により得た耐水ライナは、段ボールシートのシングルフェーサー側とダブルフェーサー側両面のライナとして用いることができる。また、どちらか片方のライナとして用い、他方は一般のライナを使用することも可能である。
このようにして得られた段ボールシートは、FFG(フレキソフォルダーグルアー)により印刷と打ち抜き及びグルー糊付けを行い、耐水段ボール箱となる。
【0017】
【実施例】
本発明を下記の実施例により、さらに詳しく説明する。これらは本発明の範囲を限定するものではない。
また本発明の実施例、比較例中の「重量%」はすべて固形分比を示すものとする。
<実施例1>
耐水ライナ原紙(王子製紙(株) SRK280)を基材とし、その表面に下記組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料をメイヤーバーで乾燥後の塗工量が10g/m2となるように塗工した耐水ライナを得た。
[塗料組成]
スチレン・ブタジエン系共重合体 46重量%
(Tg21℃、ゲル含量94%、エマルジョン濃度50%:日本ゼオン(株)、HOJ4072)
スチレン・アクリル系共重合体 9重量%
(Tg30℃、ジョンソンポリマー(株) 、ジョンクリル734)
デラミカオリン 37重量%
(平均粒子径3μm:RCC社、Capim NP)
重質炭酸カルシウム 8重量%
(平均粒子径8μm:備北粉化工業(株)、BF300)
【0018】
<実施例2>
スチレン・ブタジエン系共重合体をTg12℃、ゲル含量76%のものに代えた以外は、実施例1と同一の組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料を作成し、実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
【0019】
<実施例3>
実施例1の塗料で使用した平均粒子径8μmの重質炭酸カルシウムに代えて、平均粒子径5μmの重質炭酸カルシウム(BF200S)を用いた以外は実施例1と同一の組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料を作成し、実施例1と同様に耐水ライナを得た。
【0020】
<実施例4>
晒クラフト紙(王子製紙(株)、クジラ120g/m2)を基材とし、その表面に実施例1と同一の塗料をメイヤーバーで乾燥後の塗工量が15g/m2となるよう塗工した包装用紙を得た。
【0021】
<比較例1>
以下の組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料を用いた以外は実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
[塗料組成]
スチレン・ブタジエン系共重合体 46重量%
(Tg21℃、ゲル含量94%、エマルジョン濃度50%:日本ゼオン(株) 、HOJ4072)
スチレン・アクリル系共重合体 9重量%
(Tg30℃、ジョンソンポリマー(株) 、ジョンクリル734)
デラミカオリン 45重量%
(平均粒子径3μm:RCC社、Capim NP)
【0022】
<比較例2>
実施例1の塗料で使用した平均粒子径8μmの重質炭酸カルシウムに代えて平均粒子径2μmの重質炭酸カルシウム(ソフトン1000)を使用したこと以外は実施例1と同一の組成の塗料を作成し、実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
【0023】
<比較例3>
以下の組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料を用いた以外は実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
[塗料組成]
スチレン・ブタジエン系共重合体 67重量%
(Tg21℃、ゲル含量94%、エマルジョン濃度50%:日本ゼオン(株)、HOJ4072)
スチレン・アクリル系共重合体 13重量%
(Tg30℃、ジョンソンポリマー(株)、ジョンクリル734)
デラミカオリン 16重量%
(平均粒子径3μm:RCC社、Capim NP)
重質炭酸カルシウム 4重量%
(平均粒子径8μm:備北粉化工業(株)、BF300)
【0024】
<比較例4>
以下の組成の合成樹脂エマルジョンと顔料よりなる塗料を用いた以外は実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
[塗料組成]
スチレン・ブタジエン系共重合体 25重量%
(Tg21℃、ゲル含量94%、エマルジョン濃度50%:日本ゼオン(株)、 HOJ4072)
スチレン・アクリル系共重合体 5重量%
(Tg30℃、ジョンソンポリマー(株)、ジョンクリル734)
デラミカオリン 57重量%
(平均粒子径3μm:RCC社、Capim NP)
重質炭酸カルシウム 13重量%
(平均粒子径8μm:備北粉化工業(株)、BF300)
【0025】
<比較例5>
顔料を含まない以下の組成の合成樹脂エマルジョンからなる塗料を用いた以外は実施例1と同様にして耐水ライナを得た。
[塗料組成]
スチレン・ブタジエン系共重合体 84重量%
(Tg21℃、ゲル含量94%、濃度50%:日本ゼオン(株)、HOJ4072)
スチレン・アクリル系共重合体 16重量%
(Tg30℃、ジョンソンポリマー(株) 、ジョンクリル734)
【0026】
実施例1〜3、及び比較例1〜5で得られた耐水ライナを以下の方法によって評価し、その結果を表1に示す。
なお、本実施例に使用したデラミカオリンのアスペクト比は、顕微鏡観察により粒子厚さを測定した結果から、約10〜20の範囲であった。また、重質炭酸カルシウムのアスペクト比は、同様に観察した結果2以下であった。
【0027】
[貼合時耐熱性]
1.プレスロール部
実施例、及び比較例により得られた巻取状のライナ原紙、及び別途用意した一般的な中芯原紙をシングルフェーサーによりプレスロール部温度180℃、線圧40kg/cm、加圧時間0.02秒の条件で貼合した。
2.熱盤部
実施例、及び比較例により得られたライナ原紙を塗工面を外側にしてA4サイズの段ボールシートに貼り、塗工面が熱盤側にくるようにコルゲータのダブルフェーサの熱盤部で温度180℃、線圧0.3kg/cm、加圧時間5秒の条件で、加熱、加圧した。
上記プレスロール部、及び熱盤部において、ライナ塗工面の融着が発生しなかったものを○、融着が発生したがプレスロール、熱盤での繰り出しが可能だったものを△、繰り出しが不可能であったものを×とした。
【0028】
[離解性]
耐水層を設ける前の耐水ライナ原紙SRK280より得られた2cm角の試料60gを4%濃度とし、ディスインテグレーターにて所定時間(5〜40分)離解し、手抄きシート(70g/m2)作成し、得られた手抄きシートを目視により観察する。未離解部分が半分以下程度となるのに要する離解時間は約40分であった。
同様に、各実施例、比較例から得た耐水ライナ原紙より得られた試料を、各々前記と同様に離解し、手抄きシートを作成する。
未離解の部分が半分以下となるのに要する離解時間が40分以下であるものを○とした。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の評価結果より、本発明の耐水ライナ(実施例1〜3)は、優れた耐水性と同時にコルゲーターでの融着トラブルの防止効果を有する。
一方、平均粒径3μm以下の顔料のみ使用したもの(比較例1、2)、
及び顔料を塗料固形分中20重量%配合したもの(比較例3)、顔料を配合しなかったもの(比較例5)は融着トラブルが発生した。
また、顔料を塗料固形分中70重量%配合したもの(比較例4)は、融着トラブルは発生しなかったが、耐水性を示さない。
また、実施例4で得た包装用紙は、通常のクラフト袋と同様の手段で製袋することが可能であり、しかも良好な耐水性及び離解性を有した。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、合成樹脂による耐水層を有し、易離解であって古紙としての再利用が可能であり、しかも段ボールライナとして使用した場合、その段ボール貼合工程において、シングルフェーサープレスロール、及びダブルフェーサー熱盤部での融着トラブルを抑えて段ボールシートの製造を容易である包装用紙を提供することが可能である。
本発明の包装用紙は、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、三層段ボールなどの各種段ボール用ライナーとして利用できる。また、本発明により、郵便や小包、宅配便等の包装に使用できる、耐水性を有し、リサイクル可能な包装用紙を提供することが可能である。
Claims (3)
- 基材紙の少なくとも片面に、ゲル含量90%以上のスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂を含む合成樹脂エマルジョンに顔料を塗料固形分中30〜60重量%配合した塗料による塗工層を設け、前記顔料が、平均粒子径5〜15μmの顔料と平均粒子径4μm以下の平板顔料とを5:95重量%〜40:60重量%の割合で配合したものであることを特徴とする段ボールライナ。
- 塗工層のコッブ吸水度(JIS P8140:接触時間=30分)が30g/m2以下であることを特徴とする請求項1記載の段ボールライナ。
- 塗工量が固形分で3〜30g/m2であることを特徴とする請求項1〜2記載の段ボールライナ。
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