JP4254369B2 - 耐水耐油紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙トレーや食品包装容器などで耐水性と耐油性が同時に求められる耐水耐油紙に係り、特に、ホットメルト適性があり、易離解性である回収再利用が可能な耐水耐油紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、耐水性並びに耐油性の高い耐水耐油紙として、ポリエチレン等のラミネート紙、フィルム貼合紙が知られている。しかしながら、この種の耐水耐油紙は、プラスチックとの複合材料であることから、離解性(古紙回収性)がない。すなわち、近年の環境問題への要求の高まりとは逆に、資源回収が困難な耐水耐油紙である。
【0003】
このため、最近は、資源回収が容易な耐水耐油紙か、又は少なくともプラスチックの使用量を低減させた耐水耐油紙が望まれている。
【0004】
ここで、プラスチックを使用しない耐水耐油紙としては、紙の表面にアクリル系エマルジョンを数回にわたって塗布し、アクリル系樹脂層を積層させたリサイクル可能な加工紙が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−57689号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクリル系エマルジョンを塗布した加工紙は、罫線部での劣化が大きいため、塗布量を増やさなければならない。
【0007】
その結果、耐水耐油紙は、離解が可能となるものの、実際には、攪拌ミキサーによってもアクリル樹脂を粉砕しきれず、粒状のアクリル樹脂が残るために再抄紙に加工することが難しい状況にある。
【0008】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、プラスチックの使用量を低減しつつ、耐水耐油紙として必要な耐水性及び耐油性を有し、さらに、ホットメルト適性と離解性とを実現し得る耐水耐油紙を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、下記A紙基材と、前記A紙基材の片面又は両面に形成された下記B塗工層とを備え、コッブ吸水度(JIS P8140)が15[g/m2・2分]以下である耐水耐油紙である。
【0010】
A:表面粗さ(JIS B01001)が最大高さ(Rmax)で13.2μmである紙基材。
B:ガラス転移温度Tgが28℃又は15℃であるポリエステル系水性エマルジョンを前記ガラス転移温度Tgが28℃の場合には固形分で6[g/m2]、前記ガラス転移温度Tgが15℃の場合には固形分で15[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる塗工層。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記ガラス転移温度Tgが28℃であるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で6[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる前記塗工層が形成された場合の前記A紙基材としては、コッブ吸水度(JIS P8140)が40[g/m2・2分]であり、前記ガラス転移温度Tgが15℃であるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で15[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる前記塗工層が形成された場合の前記A紙基材としては、コッブ吸水度(JIS P8140)が220[g/m 2 ・2分]である耐水耐油紙である。
【0012】
このように、水性エマルジョンを均一に塗布できるように表面粗さ又はコッブ吸水度を調整した紙基材上にポリエステル系水性エマルジョンを塗布して乾燥させた構成により、プラスチックの使用量を低減しつつ、耐水耐油紙として必要な耐水性及び耐油性を有し、さらに、ホットメルト適性と離解性とを実現させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る耐水耐油紙の構成を模式的に示す断面図であり、図2は同耐水耐油紙の変形構成を模式的に示す断面図である。
【0015】
この耐水耐油紙10は、紙基材1と、紙基材1の片面又は両面に形成された塗工層2とを備えており、例えば紙トレーや食品用紙容器の材料といった用途に使用可能となっている。詳しくは、この耐水耐油紙10は、食品用紙容器の材料に用いる観点から、コッブ吸水度(JIS P8140)が15[g/m2・2分]以下である旨の耐水性と、ホットメルト適性と、易離解性とが付与されている。
【0016】
ここで、紙基材1は、塗工層2となる水性エマルジョンを塗布する前の表面粗さ(Rmax)及びコッブ吸水度(液体吸収性)が所定の範囲内に調整されたものであり、製紙用天然繊維を主体として周知の方法により作成可能となっている。
【0017】
詳しくは、紙基材1の表面粗さは、JIS B01001に規定の最大高さ(Rmax)で30〜5μmの範囲内にあるものである。紙基材1の吸水度は、コッブ吸水度(JIS P8140)が紙の秤量以下〜20[g/m2・2分]の範囲内にあるものである。なお、紙基材1は、これら表面粗さと、コッブ吸水度とのうち、少なくとも一方を満たしていれば良い。
【0018】
紙基材1の表面粗さ(Rmax)が30μmを越えると、表面の凹凸の大きさが塗工膜の厚さより大きくなるため、凸部での塗工膜が極端に薄くなって機能低下が大きくなる。
【0019】
また、紙基材1の表面粗さ(Rmax)を5μm未満にするには、過度のプレス、カレンダー処理の強化などを必要とすることから、紙基材1が潰されて繊密になり、薄くなって剛度が低下しているので、トレーや容器に不適となる。
【0020】
なお、紙基材1のコッブ吸水度が紙の秤量より高い場合、塗工液が多量に浸透して表面の塗工膜が不均一となるため、ピンホールができ易く、不十分な品質となる。これを補うには、過剰の塗布量を必要とする。
【0021】
ここで、このようにコッブ吸水度が高い紙の場合について詳述する。これは、例えば紙基材1が安価な場合に該当する。一般的に安価な紙は、表面の耐水処理が低いため、コッブ吸水度(液体吸収性)が高い。そのため、安価な紙は、高い耐水性と高い耐油性とを得るために樹脂の塗布量を多く必要とするが、以下の利点を考慮して使用される場合がある。
【0022】
一般的に安価な紙は、古紙を使用した紙(以下、再生紙という)である。昨今の古紙利用率の上昇に伴い、古紙100%の紙などの包装材への使用率が高まっている。古紙は、安価な上、リサイクルの過程で繊維長が短く裁断される。このため、古紙を用いた再生紙は、折り曲げた際の戻りがすくない(デッドホールド性が高い)性質という利点をもっている。
【0023】
デッドホールド性が高いという利点は、折り曲げて箱組みした際に、折り曲げ形状を保持する性能に優れることを意味している。この利点により、再生紙は、樹脂を多く必要とする欠点があるにも関わらず、製品設計の際に、紙基材1の価格、樹脂の価格、紙基材1の特性によっては有力な選択肢となっている。
【0024】
一方、紙基材1のコッブ吸水度が20[g/m2・2分]未満の場合、紙基材1へのエマルジョンの浸透が少なく、塗工層2と紙基材1との結合、いわゆるアンカー効果が弱くなり、折り曲げ加工時に塗工層2が紙基材1から剥離し易くなる。従って、紙基材1の吸水度は、20[g/m2・2分]以上が望ましい。
【0025】
以上のような紙基材1は、通常の抄紙工程にて得られる。例えば、紙基材1の表面粗さの調整には、原料叩解度(CSF)やウェットプレス圧の制御、ヤンキードライヤの使用、顔料のプレコート、カレンダー処理などが適用可能である。また、紙基材1のコッブ吸水度の調整には、酸性サイズ剤又は中性サイズ剤の内添、サイズプレスによる表面サイズコーティング等が適用可能となっている。
【0026】
一方、塗工層2は、ガラス転移温度Tgが10℃以上30℃以下の範囲内にあるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で2〜20[g/m2]の範囲内で塗布及び乾燥してなるものである。
【0027】
ポリエステル系水性エマルジョンの塗布には、オンマシン又はオフマシンで使用されるロッドバーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなどの任意の塗布装置が使用可能である。
【0028】
ポリエステル系水性エマルジョンの塗布量は、乾燥後で2〜20[g/m2・dry]の範囲が好適である。塗布量が2[g/m2]より少ないと、連続した均一な塗工膜の形成が不十分となり、耐水性等の性能が不十分となる。また、塗布量が20[g/m2]より多いと、乾燥しにくいため、製造が困難となる。なお、塗布量の具体的な値は、2〜20[g/m2・dry]の範囲内において、紙基材1の状態や、耐水耐油紙10の要求性能などに応じて設定すればよい。
【0029】
ポリエステル系水性エマルジョンの乾燥温度は、特に限定されないが、水分を飛ばし、エマルジョン粒子同士を凝集させて溶融させる観点から、70〜150℃の範囲内にあれば十分である。
【0030】
以上のような耐水耐油紙10は、例えば罫線が形成され、罫線部分で折り畳まれ、適宜、接着されることにより、例えば図3に示す如き、紙トレー20に形成される。但し、耐水耐油紙10は、紙トレー20等の食品容器に限らず、耐水耐油性が要求される用途であれば、任意の用途に適用してもよいことは言うまでもない。
【0031】
次に、以上のように構成された耐水紙の作用について述べる。
始めに、表面粗さ及びコッブ吸水度のいずれか一方又は両方を所定の範囲内に調整した紙基材1を準備する。なお、表面粗さの所定の範囲は、前述した通り、最大高さ(Rmax)で30〜5μmである。同様に、コッブ吸水度の所定の範囲は、前述した通り、紙の秤量以下〜20[g/m2・2分]である。
【0032】
この紙基材1上に、塗工層2となるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で2〜20[g/m2]の範囲内で塗布装置により塗布し、紙基材1の表面に塗工膜を形成した。
【0033】
塗工膜が形成された紙基材1は、塗布装置から乾燥炉まで搬送され、乾燥炉内で加熱乾燥されて搬出された。これにより、紙基材1上に塗工層2を有する耐水耐油紙10を製造した。
【0034】
この耐水耐油紙10は、コッブ吸水度が15[g/m2]以下の塗工層2を有するため、水、油などの液体の浸透を阻止でき、耐水性、耐油性を発現することができる。
【0035】
しかる後、この耐水耐油紙10に罫線を形成し、罫線部分で折り畳み、適宜、接着することにより、紙トレー20を製造した。
【0036】
この紙トレー20は、前述した耐水耐油紙10からなることから、同様に、水、油などの液体の浸透を阻止でき、耐水性、耐油性を発現することができる。
【0037】
上述したように本実施形態によれば、水性エマルジョンを均一に塗布できるように表面粗さ又はコッブ吸水度を調整した紙基材1上にポリエステル系水性エマルジョンを塗布乾燥した塗工層2により、プラスチックの使用量を低減しつつ、耐水耐油紙として必要な耐水性及び耐油性を有し、さらに、ホットメルト適性と離解性とを実現させることができる。
【0038】
詳しくは、表面の凹凸と液体吸収性を調整した紙基材1に、ガラス転移温度Tgが10℃から30℃の範囲に存在するポリエステル系エマルジョンを塗布し、加熱乾燥する構成により、耐水性、耐油性及びホットメルト適性に優れた均一な塗工層2を得ることができる。さらに、この塗工層2は、離解時に分離・分散しやすく再生原料として使用することができる。
【0039】
このような塗工層2を備えた耐水耐油紙10は、平面部、罫線部の耐油性に関してポリエチレンラミネート紙に近い性能を得ることができる。
【0040】
さらに、塗工層2がホットメルト適性を有し、かつ易離解性であることから、古紙としての再利用化を、既存の設備にて容易に行うことができる。また、紙基材1を再生紙とした場合、耐水耐油紙10をより一層、安価に提供することができる。
【0041】
従って、以上のような耐水耐油紙10及び包装容器は、高度の耐水耐油性が要求される環境保全型包装資材として、極めて大きい工業的意義を有している。
【0042】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【0043】
【実施例】
以下、前述した実施形態を実施例により詳細に説明するが、本発明は前述した実施形態及び以下の各実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明中、表示「%」、「部」は、それぞれ「重量%」、「重量部」を表している。
【0044】
また、各実施例において用いた試験及び評価方法は次の(1)〜(7)に示す通りである。
(1)紙基材1の表面粗さ
JIS B01001(1976)に規定の表面粗さにおける最大高さ(Rmax)を測定した。
【0045】
(2)紙基材1のコッブ吸水度
JIS P8140(1976) 紙及び板紙の吸水度試験方法(コッブ法)に準じて蒸留水を樹脂塗工面に接触させ、2分後の吸水度を測定した。
【0046】
(3)耐水耐油紙10の耐水性
JIS P8140(1976) 紙及び板紙の吸水度試験方法(コッブ法)に準じて蒸留水を樹脂塗工面に接触させ、樹脂塗工面の60分後の吸水量を測定した。
【0047】
(4)耐油性
[TAPPIUM−557]に基づいて、図4に示すように、試験液を調製し、評価した。
【0048】
(5)耐ブロッキング性
なお、ブロッキングとは、重ねておいてある物質の界面で疑似接着又は接着が起きてなかなか離れない(剥がれない)現象をいう。ここでは、このようなブロッキングを生じさせにくい耐ブロッキング性を調べた。
評価方法は、耐水耐油紙10を10cm×10cmの複数枚の試験片に加工した。次に、各試験片を重ねて第1試験束(2枚の試験片の紙基材1面と塗工層2面とを重ねたもの)と、第2試験束(2枚の試験片の塗工層2面同士を重ねたもの)との組を作成した。このような組を各実施例及び各比較例毎に10組づつ作成し、10組を1000g/m2の加重になるように、ブロッキングテスターにかけ、50℃80%Rh下に24hr放置し、後に剥離抵抗感を評価した。
【0049】
評価結果は、さらっと剥離感なく剥がれる、もしくは軽い剥離感を感じる程度の剥離抵抗感を合格として符号○にて表した。また、評価結果は、強い剥離抵抗感のあるもの、及び強い剥離抵抗感に加えて界面で材破壊を起こすものを不合格として符号×にて表した。
【0050】
(6)ホットメルト(HM)接着性
耐水耐油紙10の試料のホットメルト性は、樹脂面と非樹脂面について試験する。試験には、ホットメルト装置(商品名;ハッコーメルター 806−1(白光株式会社製))を使用した。耐水耐油紙10から(幅)70mm×(流れ)150mmの形状の試験片を2枚1組で作成する。以下の説明中、この2枚1組の試験片の各々を第1試験片及び第2試験片と呼ぶ。
【0051】
しかる後、ホットメルト装置にて180℃でホットメルトを溶融保温する。なお、ホットメルトは、商品名:HC1601(新田ゼラチン製)を使用した。
【0052】
次に、第1試験片のクレイコート面(紙基材1面)に0.1gのホットメルトを塗布し、塗布から接着まで2秒放置(オープンタイム)する。
そして、第2試験片の樹脂コート面(塗工層2面)を第1試験片のクレイコート面(塗布面)に載せ接着させ、330gの加重(重し)をかけ2秒放置(セットタイム)する。次に、重しを外し、第1及び第2試験片を環境試験室に保存し24時間後、剥離試験を行なった。すなわち、冷凍、5℃冷蔵、温度25℃湿度60%、温度40℃湿度90%の環境下で放置後、剥離し紙剥けで合格とした。
【0053】
(7)離解性(古紙回収性)
JIS P8209(1976) パルプ試験用手抄き紙調製方法に記載の標準離解機(Tappi標準離解機;3000rpm)を用い、常温の水道水に1〜2cm角の紙をパルプ濃度が2%となる量を加えて15分間離解を行った。評価方法は、離解後のスラリー及び手抄きシート作製後の繊維状態を目視で判定した。樹脂と繊維がきれいに分離し、再抄紙した際に繊維のだま(粒状のかたまり)ができないことで合格とした。
【0054】
<実施例1>
実施例1の紙基材1として、坪量260gのカード紙を使用した。このカード紙は、表面粗さの最大高さ(Rmax)が13.2μmであり、コッブ吸水度が40[g/m2・2分]のものである。
【0055】
このカード紙に、ガラス転移温度Tgが28℃のポリエステル系耐油剤の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量6[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、紙面温度:80℃(測定値)とした。
【0056】
<実施例2>
実施例2は、実施例1のカード紙において、コッブ吸水度を220[g/m2・2分]としたカード紙を使用した。
【0057】
なお、コッブ吸水度は、抄紙時に基材にPVA(ポリビニルアルコール)等を微塗工することで、調整できる。コッブ吸水度が大きいことは、耐水性が悪く、水性エマルジョンがしみ込みやすい旨を示す。
【0058】
実施例2のカード紙に、ガラス転移温度Tgが15℃のポリエステル系耐油剤の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量15[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0059】
<比較例1>
比較例1の紙基材は、実施例1と同じ特性のカード紙を使用した。
【0060】
これに、実施例1と同じ樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量1.5[g/m2・dry]になるよう塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0061】
<比較例2>
比較例2の紙基材は、実施例1と同じ特性のカード紙を使用した。
【0062】
これに、ガラス転移温度Tgが5℃のポリエステル系耐油剤の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量2[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0063】
<比較例3>
比較例3の紙基材は、実施例1と同じ特性のカード紙を使用した。
【0064】
これに、ガラス転移温度Tgが30℃のポリエステル系耐油剤の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量2[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0065】
<比較例4>
比較例4の紙基材は、実施例1のカード紙において、コッブ吸水度を265[g/m2・2分]としたカード紙を使用した。
【0066】
これに、実施例1の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量2[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0067】
<比較例5>
比較例5の紙基材は、実施例1と同一の坪量及びRmaxを有し、コッブ吸水度を10[g/m2・2分]とした強サイズ紙を使用した。
【0068】
これに、実施例1の樹脂エマルジョンをエアナイフで塗布量2[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0069】
<比較例6>
比較例6の紙基材は、実施例1のカード紙において、表面粗さの最大高さ(Rmax)を30μmとし、コッブ吸水度を220[g/m2・2分]としたカード紙を使用した。
【0070】
これに、実施例2の樹脂エマルジョンを使用し、エアナイフで塗布量15[g/m2・dry]になるように塗工し、乾燥させた。乾燥条件は、実施例1と同一である。
【0071】
<比較例7>
比較例7は、実施例1において、ポリエステル系樹脂に代えて、アクリル系樹脂エマルジョン(EK61:サイデン化学製;Tg25℃)を使用し、塗布量2[g/m2・dry]で塗工し、乾燥させたものである。他の条件は、実施例1と同一である。
【0072】
<比較例8>
比較例8の紙基材は、実施例4と同じ特性のカード紙を使用した。
【0073】
このカード紙の裏面に厚さ15μmの低密度ポリエチレン樹脂をラミネートした。
【0074】
上記実施例1,2並びに比較例1〜8で得られた紙の耐油性、ホットメルト性、離解性などを評価した結果を図5に示す。
実施例1,2は、平面部の耐油性が高く、折り曲げの性能劣化も小さく、ポリエチレンラミネート紙(比較例8)に近い耐水耐油性があり、さらにホットメルト適性もあり、離解性も良好であった。また、実施例1,2は、表面粗さ(Rmax)を30〜5μmとし、コッブ吸水度を坪量以下〜20[g/m2・2分]とするように調整されているため、均一な塗工層2が作成されていると考えられる。均一な塗工層2の根拠としては、耐水耐油紙の60分後の吸水度が2分間の吸水度からほぼ変わっていないことが挙げられる。
【0075】
一方、比較例1〜8は、各実施例と同様に、表面粗さ(Rmax)が30〜5μmの範囲内である。また、比較例1〜3,6〜8は、各実施例と同様に、コッブ吸水度が坪量以下〜20[g/m2・2分]の範囲内である。
【0076】
但し、比較例1は、樹脂エマルジョンの塗布量が2[g/m2]未満のため、塗工層が不均一となり、耐水性が低いものであった。
【0077】
比較例2は、ガラス転移温度Tgが低いため、耐ブロッキング性が低いものであった。
比較例3は、ガラス転移温度Tgが高いため、折り曲げ時の劣化が大きいものであった。
比較例4は、紙基材のコッブ吸水度が大きいため、耐水性が低いものであった。
【0078】
比較例5は、紙基材のコッブ吸水度が小さいため、折り曲げの際に、塗工層と紙基材の密着が悪いために剥離が生じ、折り曲げ性能の劣化が大きいものであった。
比較例6は、紙基材の表面粗さが大きいため、耐水性が低いものであった。
【0079】
比較例7は、塗工する樹脂がアクリル系樹脂のため、同じ物性値(Tg)であっても、折り曲げ性能の劣化が激しいものであった。
比較例8は、従来技術のポリエチレンラミネート紙のため、離解性が無いものであった。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、プラスチックの使用量を低減しつつ、耐水耐油紙として必要な耐水性及び耐油性を有し、さらに、ホットメルト適性と離解性とを実現できる耐水耐油紙を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る耐水耐油紙の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】 同実施形態における耐水耐油紙の変形構成を模式的に示す断面図である。
【図3】 同実施形態における紙トレーの概略構成を示す模式図である。
【図4】 本発明に係る各実施例の耐油性試験の試験液を説明するための図である。
【図5】 同各実施例を各比較例と比較して説明するための図である。
【符号の説明】
1…紙基材、2…塗工層、10…耐水紙、20…紙トレー。
Claims (2)
- 下記A紙基材と、前記A紙基材の片面又は両面に形成された下記B塗工層とを備え、コッブ吸水度(JIS P8140)が15[g/m2・2分]以下であることを特徴とする耐水耐油紙。
A:表面粗さ(JIS B01001)が最大高さ(Rmax)で13.2μmである紙基材。
B:ガラス転移温度Tgが28℃又は15℃であるポリエステル系水性エマルジョンを前記ガラス転移温度Tgが28℃の場合には固形分で6[g/m2]、前記ガラス転移温度Tgが15℃の場合には固形分で15[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる塗工層。 - 請求項1に記載の耐水耐油紙において、
前記ガラス転移温度Tgが28℃であるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で6[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる前記塗工層が形成された場合の前記A紙基材は、コッブ吸水度(JIS P8140)が40[g/m2・2分]であり、
前記ガラス転移温度Tgが15℃であるポリエステル系水性エマルジョンを固形分で15[g/m 2 ]で塗布及び乾燥してなる前記塗工層が形成された場合の前記A紙基材は、コッブ吸水度(JIS P8140)が220[g/m2・2分]であることを特徴とする耐水耐油紙。
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