JP4009529B2 - 耐水ライナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、段ボールを構成するライナー紙に耐水性を付与してなる耐水ライナーに係り、特に、詳細には、簡易且つ短時間でほぼ100%再生可能であり、また、生産性にも優れた耐水ライナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に段ボールは、表面及び裏面を構成するライナー紙と、両ライナー紙間に位置する通常波状形状の中芯紙とからなる。
このように構成された段ボールは、種々用途に用いられているが、水濡れに弱いという問題があったため、従来よりライナー紙に耐水性を付与した耐水性ライナーについての提案が種々なされている。
例えば、特許文献1には、湿潤紙力剤を配合してなり、ライナー紙として用いることができる高湿潤強度を有する紙または板紙の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、撥水剤を配合してなり、ライナー紙として用いることができる板紙の製造方法並びにその方法によって得られる板紙が提案されている。
【0003】
ところで、段ボールについては、回収ルートが確立されており、再利用されている。
しかし、上述の従来提案されている耐水ライナーは、確かに耐水性は向上するものの、ライナー紙全体に多量の薬剤が浸透していたため、再利用をはかるためには専用の設備が必要であり、しかも再利用に際しての再パルプ化に長時間を要するという問題があった。このため、従来の耐水ライナーでは、現実的には再利用が不可能であった。
【0004】
そこで、現実的に再利用が可能な耐水ライナーを得るべく、種々提案がなされている。
例えば、特許文献3には、無機系硬化剤を含浸させてなるライナー紙が提案されている。また、特許文献4には、ライナーの表面に耐水層を施工してなるライナー紙が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−25693号公報
【特許文献2】
特開平7−26495号公報
【特許文献3】
特開平5−278153号公報、請求項1、段落番号〔0004〕
【特許文献4】
特開2001−121632号公報、請求項1、段落番号〔0006〕〜〔0008〕
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の提案の耐水ライナーにおいても、耐水性を醸し出すため、未だ内添薬品を多量に使用しなければならなかったため、段ボール再生用のマシンの用具汚れが発生し、耐水ライナー抄造後に毎回洗浄のためにマシンを止めなければならず、操業性が悪いという問題があった。
従って、本発明の目的は、100%再生可能な上に、抄造機の汚れが少なく洗浄のためのマシン停止が必要なくなり、操業性・生産性にも優れた耐水ライナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消すべく検討した結果、紙の表面にポリビニルアルコールと撥水剤とを混合してなる塗工剤を塗工すれば、ライナー紙全体に対して用いる湿潤紙力剤や撥水剤の使用量を低減させることができることを知見した。そして、更に検討した結果、ライナー紙自体を多層構造とし、その中間層にのみ湿潤紙力剤を含有させることで前記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1記載の発明は、少なくとも表層、裏層及び両層間に位置する中間層の3層構造からなる耐水ライナーにおいて、
前記中間層にのみ水溶性合成高分子系からなる湿潤紙力剤が、固形分濃度でパルプ100重量部に対して0.5〜25重量部配合されており、
前記表層及び/または前記裏層には、鹸化度が93以上のポリビニルアルコールと撥水剤とが配合されてなる塗工剤が塗工されており、前記塗工剤の塗工量は、0.05〜0.3g/m 2 であり、
前記表層及び前記裏層と前記中間層とは、塗工時には接着性を示さず乾燥工程で接着性を発現する水分散性のコーンスターチを介して、それぞれ接着されており、
さらに、再離解性を示すものである、
ことを特徴とする耐水ライナーである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記ポリビニルアルコールと前記撥水剤との配合割合が、ポリビニルアルコール1重量部に対して、撥水剤が3〜15重量部である耐水ライナーである。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記表層及び/又は前記裏層には、更に防湿剤が塗工若しくは配合されている耐水ライナーである。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に従って詳細に説明する。
本発明の耐水ライナーは、少なくとも表層、裏層及び両層間に位置する中間層の3層構造を有し、前記中間層にのみ湿潤紙力剤が特定量配合されており、前記表層及び前記裏層には、ポリビニルアルコールと撥水剤とが配合されてなる塗工剤が塗工されていることを特徴とする。
【0013】
まず、各層の構成材料について説明する。
表層は、紙と該紙の表面に塗工される塗工剤とからなる。塗工剤は表面に塗工されているので、塗工剤中の完全鹸化ポリビニルアルコール及び撥水剤は、主として表層の塗工面表出面に存在するが、すべてが表出面に存在するのではなく、上記紙中に含浸された分は当然に紙の内部に存在する。また、塗工剤は、上記紙の一面のみに塗工しても、両面に塗工しても良い。
表層を構成する上記紙としては、通常段ボールのライナー紙に用いられるものは特に制限なく用いることができるが、本発明においては、下記するパルプ材料を用い、下記する諸性質を有する紙を好ましく用いることができる。
【0014】
パルプ材料;古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
本発明において使用することができる古紙パルプは、その種類が得に限定されない。例えば、新聞紙やチラシ等の古紙のほか、塗工紙、非塗工紙、カラー印刷された紙、白黒印刷された紙など種々の耐漂白性を有する紙を含む雑誌古紙などをも使用することができる。環境保護の面から、古紙配合割合が100%のパルプを本発明においても耐水性を維持したまま好適に使用できる。
諸性質;
・坪量:好ましくは70〜350g/m2、更に好ましくは120〜220g/m2
・厚さ:好ましくは80〜450μm、更に好ましくは140〜300μm
【0015】
上記塗工剤は、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)と撥水剤とを含むものである。更に詳細には、好ましくはPVAを溶媒に溶解してなるPVA溶液に上記撥水剤を添加溶解させてなるものである。
本発明で使用するPVAは鹸化度が93以上が好ましく、更に好ましくは95.5以上が操業性の面で好適である。耐水強度を得ると共に、表面強度・耐摩耗強度を所望の程度とするためには、更に好ましくは完全鹸化のPVAとする事がより好ましい。また、PVAの重合度は、450〜1650、より好ましくは450〜850であるのが、皮膜強度、吸湿性、架橋効果の向上の点で好ましい。
【0016】
上記撥水剤としては、ワックス系、合成樹脂系、アクリル系、パラフィン系、フッソ系、シリコーン系などが挙げられ、使用に際しては単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
特に好ましくは、再生時の水分散性が好適な、ワックス系である近代化学(株)製、商品名「リパックスA240」;パラフィン系であるサンデン化学(株)製商品名「サイビノールPC−10」が好ましく用いられる。
【0017】
なお、上述した市販の撥水剤は、撥水剤としての有効成分を溶剤に溶解させるか又は水などに分散させてなるものであり、配合に際しては、有効成分の重量を基準とする。
【0018】
上記PVA及び撥水剤を主成分とする塗工剤の塗工量は、0.05〜0.3g/m2となるように塗工するのが好ましい。
塗工剤の塗工量を0.05g/m2以上とすることにより、耐水性、表面強度、耐摩耗強度が得られ、0.3g/m2以下とすることにより、撥水性のばらつきが押さえられるので好ましい。
【0019】
PVAと撥水剤との配合割合は、PVA1重量部に対して、3〜15重量部とするのが好ましく、5〜8重量部とするのが更に好ましい。
このような配合割合とするために、PVA溶液(PVA濃度が通常1%〜3%)に対し、用いる撥水剤が有効成分濃度が50%濃度の市販の撥水剤の場合には、該撥水剤を6重量部〜50重量部添加する。
撥水剤の配合量を3重量部以上とすることにより、撥水性能が高くなり、長時間水をはじき、水が速い時間で浸透してしまうことがなく、また、15重量部以下とすることにより、これを超えても撥水性能は変わらないので経済的に有効であるので、好ましい。
塗工剤の塗工による塗工層は、皮膜を形成しても、表層に含浸しても本発明の効果を好適に発現できる。
【0020】
また、表層には、更に防湿剤を塗工することもでき、防湿剤を塗工することによりさらに長期間の耐水性を向上させることができる。防湿剤を用いる場合には、上記塗工剤に防湿剤を添加することもできるし、また、上記塗工剤とは別に防湿剤をそのまま又は防湿剤を溶剤に溶解してなる防湿用塗工剤を用意し、上記塗工剤の塗工後もしくは塗工前に該防湿用塗工剤を塗布しても良い。
塗工剤、防湿剤は、好適には乾燥工程と乾燥工程の間の工程で、塗工装置または塗布装置により、公知の塗工方法を慣用に用いて、設けることができる。
上記防湿剤としては、 ガンツ化成製、商品名「ウルトラゾールD400」;サカタインクス(株)製商品名「ブライトーンFC115」、「ブライトーンFC3062」等市販ものなどが挙げられ、使用に際しては単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0021】
また、上記防湿剤の塗工量は、透湿度が1000g/m2・24h以下になるように塗工することが好ましく、そのためには、乾燥時で6〜25g/m2、好適には10〜20g/m2の塗工量で、透湿度が1000g/m2・24h以下になるように調整するのが、好適に再生を行うために好ましい。
また、上記防湿剤の塗工量を6g/m2以上とすることにより、遮水性が向上し、所望の耐水強度が得られ、また、25g/m2以下とすることにより、塗工層の厚さが厚くなりすぎず、折り曲げ等の際に塗工層に割れが発生することがなくなるので好ましい。
【0022】
更に表層には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で他の構成材料を添加混合しても良い。
例えば、野菜などの内容物鮮度維持のための透気度を調整するための塗工膜、印刷層、包装容器形成後の防滑剤層、滑剤層、耐油剤層、撥油剤層、紫外線吸収剤層、耐光・耐候性付与剤層等を、用途に応じて設けることができる。
裏層は、表層と同じであっても異なっていても良いが、生産性、コストなどの点から両者共に同じ構成材料で構成されているのが好ましい。
【0023】
中間層は、湿潤紙力剤が配合されてなる層であり、具体的には、パルプに湿潤紙力剤を特定量配合してなる紙からなる層である。
パルプとしては、下記するものなどが挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
本発明において中間層に使用することができる古紙パルプは、その種類が特に限定されない。例えば、新聞紙やチラシ等の古紙のほか、塗工紙、非塗工紙、カラー印刷された紙、白黒印刷された紙など種々の耐漂白性を有する紙を含む雑誌古紙などをも使用することができる。
環境保護の面から、古紙配合割合が100%のパルプを中間層においても耐水性を維持したまま好適に使用できる。表層、裏層、中間層とも古紙配合割合が100%の古紙パルプを用いることが、回収率の高い段ボール用途への発明の実施において環境、資源保護の面から好適である。
【0024】
上記湿潤紙力剤は、水溶性合成高分子系からなる湿潤紙力剤であり、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
本発明者らが鋭意研究した結果では、水溶性高分子系である荒川化学(株)製商品名「アラフィクス」、日本PMC(株)製商品名「WS547」等が好適に使用できる。
上記湿潤紙力剤の上記の特定量は、固形分濃度で、パルプ100重量部に対して、0.5〜25重量部であり、好ましくは0.75〜1.2重量部である。
0.5重量部未満であると、耐水強度が不足し、また、25重量部を超えると、耐水強度は高くなるが、反面耐水強度が必要以上のものとなり、パルパー等の再生時の分散工程での溶解、分散が困難となる。
【0025】
上記湿潤紙力剤は、抄紙時のスラリー中に配合するなどして中間層を構成する紙に配合される。
また、中間層は、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、多層の構成を設けても良く、各層毎に湿潤紙力剤を単独または鮮度保持剤などの機能性薬剤を配合しても良い。鮮度保持剤層を設ける場合は、裏層の近傍に設けることが、本発明の効果に乗じて好ましい。
【0026】
次に、本発明の耐水ライナーの構造について、その好ましい一実施形態を図面を参照することにより説明する。
ここで、図1は、本発明の耐水ライナーの好ましい一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の耐水ライナー1は、図1に示すように、表層の表出面に上記塗工剤が塗工されてなる表層2及び裏層4、並びに表層2及び裏層4間に位置する中間層3からなる。
【0027】
本実施形態においては、表層2と裏層4とはそれぞれ同じ構成材料で同じ構造に構成されている。
そして、表層2及び裏層4の厚さは任意に設定でき、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、それぞれ40〜200μmとするのが、操業の安定、耐水強度の維持の点で好ましい。なお、本実施形態においては、両方とも同じ厚さとなっている。
また、中間層3の厚さは任意に設定できるが、多層又は単層において20〜100μmとするのが、表層と中間層又は裏層と中間層の接着性を維持すると共に耐水強度を得るために好ましい。
【0028】
また、表層2及び裏層4の坪量においても、用途に応じて任意に設定でき、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、それぞれ14〜60g/m2とするのが、包装容器への加工適性、強度確保の点で好ましい。なお、本実施形態においては、両方とも同じ坪量となっている。
また、中間層3の坪量においても用途に応じて任意に設定でき、14〜60g/m2とするのが、中間層における湿潤紙力剤の効果発現の点で好ましい。
【0029】
また、本実施形態においては、表層2及び裏層4と中間層3とは、それぞれ接着剤を介して接着されている。
この際、用いることができる接着剤としては、通常、この種のライナー紙に用いられる天然系、PVA系、水溶性高分子系の接着剤を特に制限なく用いることができるが、塗工時には接着性を示さず、乾燥工程で接着性を発現する水分散性接着剤を好ましく用いることができる。具体的に特に好ましくは、天然系接着剤であるコーンスターチが、コスト、塗工の操業性、再生時の離解、分散の容易性から好ましい。
また、上記接着剤の塗工量は、層間の剥離問題を生じない範囲で、上層、裏層、中間層の構成、用途に応じて任意に設定できるが、コストの面から0.5〜5g/m2の点で好ましい。
粉体のコーンスターチ分散溶液は、中間層と表層又は裏層との接着面に塗工又は塗布しても塗工時には接着性を発現せず、乾燥工程の加熱による糊化により接着性を発現して、両者を接着させることができ、良好な層間の接着強度を得ることができるため、特に好ましい。接着剤による層間の接着は、多層からなる中間層の構成においても同様である。
【0030】
次に、本実施形態の耐水ライナー紙の製造方法について説明する。
本実施形態のライナー紙は、以下のような5工程を経て製造される。
【0031】
(1)表層、裏層、中間層の形成工程
古紙パルプ等の原料をワイヤーにて脱水し、表層、裏層、中間層の各紙層を形成する。
【0032】
(2)中間層と表層又は裏層との間に接着剤を設ける工程
表層、裏層、中間層の各紙層を重ね合わせる前段階において、接着剤を層間に設ける。
【0033】
(3)表層及び裏層の表出面に塗工剤層を形成する工程
まず、PVA溶液に所定量の撥水剤を溶解させて、塗工剤を得る。得られた塗工液を、用意した紙の表面及び裏面に塗工する。
この際、採用することができる塗工方法は、バーコーター、ロッドコーター、カレンダー、フレキソ、グラビア等の印刷機を用いて、公知の手法に従って塗工することができる。ここで、裏面については、カレンダー塗工を行うのが、塗工液が紙中に含浸されやすくなるので好ましい。
また、必要に応じて、上記塗工剤の塗工と同様の手法を特に制限なく用いて防湿剤を塗工することができる。
そして、塗工終了後、乾燥させて表層及び裏層が得られる。
【0034】
(4)中間層形成工程
パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに湿潤紙力剤及び必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い中間層としての紙を得る。
【0035】
(5)貼合工程
得られた表層、中間層及び裏層を上記接着剤を介して貼り合わせて、本実施形態の耐水ライナーを得る。
【0036】
本実施形態の耐水ライナーは、通常の段ボールに使用される中芯紙を組み合わせて、段ボールとして使用できる。すなわち、本発明の耐水ライナーは、2枚の耐水ライナーで波状形状の中芯紙を狭持して形成された3層構造の段ボールとして使用することができる。
【0037】
なお、本発明の耐水ライナーは、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、特に最近では包装容器の用途展開として注目されている鮮度維持、内容物の温度があまり上がらないように表出面を加工した耐候性付与容器などの機能付与包装容器のニーズと環境に優しい包装容器のニーズが高まっており、付加価値の有る本発明に係る再生容易な耐水性ライナーは前記ニーズに対応したものである。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従って、図1に示す構成の耐水ライナーを得た。
<原材料>
・表層、裏層及び中間層原料パルプ;古紙パルプ(DIP)100%
・湿潤紙力剤;商品名「アラフィクス255」(荒川化学製)
・PVA;鹸化度98、重合度450のもの
・撥水剤;商品名「パラテックスNS630」(星光化学製)
・防湿剤;商品名「ウルトラゾールD400」(ガンツ化成製)
・各層を接着する接着剤;コーンスターチ
<製造方法>
オントップワイヤー多筒ドライヤー抄紙機にて、表層、裏層及び中間層を構成する紙をそれぞれ作成し、更に中間層の両面に接着剤を塗工した後各層を貼り合わせて、米坪70g/m2、厚さ90μmの耐水ライナーを製造した。
【0039】
<試験方法>
得られた耐水ライナーの抄造設計及び品質について下記の試験方法に従って品質試験を行った。その結果を表1に示す。
・透湿度;JAPAN TAPPI No.7の規格に沿い測定した。
・再生離解性(耐水ライナーが再生できることを規定するための離解試験方法);得られた耐水ライナーについて、標準離解機で、1分間分散を行い、得られたスラリーを用いて手抄きシートを作成した。得られた手抄きシートを、下記判断基準で評価した。
◎:未離解耐水ライナーは全く見られない。
○:未離解耐水ライナーは殆どみられない。
×:未離解耐水ライナーが散在する。
・操業性;抄造時に、ドライヤーの汚れ、白水の汚れ、ウエットエンドの安定化を総合的に評価した。
◎:汚れが少なく、ウエットエンドの安定性が良く断紙などのトラブルが全く発生しなかった。
○:若干のドライヤー汚れが生じたが、断紙などのトラブルが全く発生しなかった。
×:頻繁にドライヤー汚れを除去しなければ、断紙が生じる恐れがあった。ウエットエンドが安定せず、操業が難しかった。
【0040】
〔実施例2〜10
パルプ配合割合、湿潤紙力剤の配合量、PVAの鹸化度・重合度、撥水剤の配合量等の各条件をそれぞれ表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして各耐水ライナーを得た。
得られた耐水ライナーについて、実施例1と同様に試験を行った。その結果をそれぞれ表1に示す。
【0041】
〔比較例1〜10〕
パルプ配合割合、湿潤紙力剤の配合量、PVAの鹸化度・重合度、撥水剤の配合量等の各条件をそれぞれ表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして各耐水ライナーを得た。
得られた耐水ライナーについて、実施例1と同様に試験を行った。その結果をそれぞれ表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004009529
【0043】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の各耐水ライナーは、再生離解性及び操業性の両方で優れている。
これに対して、比較例1〜3のように湿潤紙力剤を用いない場合には、操業性に劣る。また、比較例4〜5のように鹸化度が93未満のPVAを用いた場合には、操業性及び再生離解性の両方を同時に満足することができない。また、比較例6〜10のように湿潤紙力剤の配合割合が25重量部を超える場合には、再生離解性を満足することができない。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の耐水ライナーは、100%再生可能な上に、抄造機の汚れが少なく洗浄のためのマシン停止が必要なくなり、操業性・生産性にも優れたものである。
更に詳述すると、従来のライナー紙のように、ライナー紙の全体に湿潤紙力剤を添加せず、中間層のみに湿潤紙力剤を添加し、また、表層及び裏層にPVAと撥水剤とを混合した塗工剤を塗工するので、湿潤紙力剤の添加量が低減され、表層と裏層とに用いる撥水剤の量も低減される。従って、製造されたライナー紙を用いた段ボールは、100%再生可能な上に、従来より抄造機の汚れが少なく、洗浄のためのマシン停止が必要なくなり、操業性が向上する。
白水が従来より汚れないので、白水の再利用も可能である。また、再生時の抄紙が短時間に且つ特別な設備無しでできるため、いつでも抄紙可能であり、小ロットでの生産も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐水ライナーの好ましい一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…耐水ライナー、2…表層、3…中間層、4…裏層。

Claims (3)

  1. 少なくとも表層、裏層及び両層間に位置する中間層の3層構造からなる耐水ライナーにおいて、
    前記中間層にのみ水溶性合成高分子系からなる湿潤紙力剤が、固形分濃度でパルプ100重量部に対して0.5〜25重量部配合されており、
    前記表層及び/または前記裏層には、鹸化度が93以上のポリビニルアルコールと撥水剤とが配合されてなる塗工剤が塗工されており、前記塗工剤の塗工量は、0.05〜0.3g/m 2 であり、
    前記表層及び前記裏層と前記中間層とは、塗工時には接着性を示さず乾燥工程で接着性を発現する水分散性のコーンスターチを介して、それぞれ接着されており、
    さらに、再離解性を示すものである、
    ことを特徴とする耐水ライナー。
  2. 前記ポリビニルアルコールと前記撥水剤との配合割合が、ポリビニルアルコール1重量部に対して、撥水剤が3〜15重量部であることを特徴とする請求項1記載の耐水ライナー。
  3. 前記表層及び/又は前記裏層には、更に防湿剤が塗工若しくは配合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の耐水ライナー。
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