JP3785778B2 - 易離解性防湿紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離解性に優れ、かつ折目が付いた状態においても充分な防湿性を有する防湿紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用や産業用製品の包装には、内容物の吸湿や吸水を防止するため、耐湿性及び耐水性が優れたポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系の高分子化合物を紙支持体にラミネートしたポリオレフィンラミネート紙(以下ポリラミ紙と称す)が使われてきた。
例えば、ポリラミ紙は、紙製品の巻き取り用包装、アート紙やコート紙などの平判用包装、電子写真複写用紙やインクジェット用紙などの小判断裁紙堆積体用の包装、セメントや樹脂などの重袋用などに使用されている。
しかしながら、これらポリラミ紙は被膜層が強固なため離解性に劣り、古紙として回収しパルプの原料として使用すると、離解時に被膜そのものが大きなシート状に残存したり、また細片化した被膜が抄紙工程に混入すると、シリンダードライヤーなどに融着する等の様々な問題が発生する。そのためポリラミ紙は古紙として利用できず、使用後は焼却処分しているのが現状である。
【0003】
一方、防湿性のある易離解性紙を製造する方法としては、例えば特公昭55−22597号公報、特開昭59−66598号公報などが知られている。
これらは合成ゴムラテックスにワックスエマルジョンを配合してなる水性エマルジョンを紙表面に塗工したものである。
このような易離解性防湿紙は防湿・防水性は十分であり古紙として再離解可能であるが、防湿層中のワックスが防湿層表面に析出(ブリード)し、防湿紙の反対裏面に転写して滑りやすくなったり、内容物にワックスが転移し内容物を汚染するといった問題がある。
また、このようなワックスを含む防湿紙を原料として製造した紙はワックスのために滑りやすくなるといった問題もある。
【0004】
本発明者らは前記したワックスを含む防湿層を有する防湿性紙の問題点を多角的に検討した結果、ワックスを含まない防湿層を有する防湿性紙、すなわち、紙支持体、および、前記紙支持体の少なくとも片面上に形成された防湿層を含み、前記防湿層が(a)防湿性・皮膜形成性合成樹脂、(b)5〜50μmの平均粒子径と5以上のアスペクト比を有する平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子、および(c)防湿性向上剤を含む防湿性紙を先に提案した(特願平8−249647号明細)。
【0005】
しかしながら、前記防湿紙を離解する場合、レファイナーやニーダーなどのように離解力が強い装置を用いれば十分に離解するが、パルパーのように離解力が弱い装置の場合は、離解に要する時間が非常に長くなるという問題がある。
本発明者等の検討によると、用いる合成樹脂のゲル分率が90%以上であれば、パルパーのような弱い離解力においても充分離解できることが判った。
合成樹脂のゲル分率が90%以上であると、防湿層塗工後の乾燥被膜は乾燥時の熱による分子運動が抑えられるため、合成樹脂の粒子間における分子同士の絡み合いが弱くなり、粒子間が弱く融着した状態にあると推定される。そのため防湿層被膜の伸びが低下し、離解性が良くなる。
しかしこのような防湿層は可塑性に乏しいため、防湿紙に折り目をつけることによって防湿層が傷つきやすく、そのために防湿性が悪くなるという問題が生じる。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、離解性に優れ、しかも折り目をつけた状態でも十分な防湿性を有する防湿紙を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、紙支持体の少なくとも片面にフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂からなる防湿層を有する防湿紙において、該合成樹脂がゲル分率が90%以上、且つガラス転移温度が−10℃〜40℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体であり、該防湿層中に、エーテル結合を形成する酸素原子の数が2〜30個の範囲内であるポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物を含むことを特徴とする易離解性防湿紙である。
【0007】
本発明の第二は、前記フィロケイ酸塩化合物がカップリング剤で処理されていることを特徴とする防湿紙である。
また本発明の第は、前記防湿層中に活性水素反応性化合物を含むことを特徴とする防湿紙である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳述する。
本発明で使用するフィロケイ酸塩化合物は平板状顔料である。フィロケイ酸塩化合物に属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物がある。これらの中でも雲母族、タルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。
【0009】
これらのフィロケイ酸塩化合物のうち、白雲母または絹雲母が粒子径の大きさ、アスペクト比などの点から好適である。本発明では平板性が保持されている顔料であればよいが、より好ましい平均粒子径(レーザー回折法による測定値)範囲としては1μm〜100μm、さらに好ましい平均粒子径範囲としては5μm〜50μmある。平均粒子径が5μm以下のものは塗工層中での平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくく、50μm以上になると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少する。
また、好ましいアスペクト比(前記平均粒子径を厚さで除した値。厚さは電子顕微鏡の観察により測定した。)は5以上であり、特に好ましくはアスペクト比が10以上の平板状顔料である。アスペクト比が5以下のものは塗工面に対して平行に配向できなくなるため防湿性能が劣る。アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるので、高い防湿性能を発揮する。
【0010】
本発明に用いられる合成樹脂はスチレン−ブタジエン系共重合体である。スチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)はスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物とブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン化合物及びこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体ラテックスである。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、また、共役ジエン化合物としては1,3−ブタジエンが好適である。
【0011】
共重合可能なその他の化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有エチレン性不飽和化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、などのエチレン性不飽和酸のグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテルなどの不飽和アルコールのグリシジルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系化合物などが用いられる。
上記化合物は一種類以上用いることができる。これらの中でも活性水素を有する不飽和カルボン酸、不飽和多価カルボン酸、(メタ)アクリルアミド系化合物が好適である。
【0012】
単量体の各構成成分の組成比は適宜選択されるが、通常、芳香族ビニル化合物25〜75重量部、好ましくは30〜70重量部、共役ジエン化合物20〜60重量部、好ましくは25〜50重量部、共重合可能なその他の化合物0〜50重量部である。SBRのゲル分率(溶媒としてテトラヒドロフランを用いたときの不溶部分の重量%)は90%以上である。ゲル分率が90%より小さいと、得られる防湿紙の離解性が悪くなる。ゲル量を上げるために、アルキルメルカプタンや四塩化炭素のような連鎖移動剤(分子量調整剤)の使用量を減らしたり、ジビニルベンゼンのような架橋性モノマーを共重合させたりする。合成樹脂のガラス転移温度(Tg)は−10℃〜40℃、より好ましくは−5℃〜35℃である。Tgが−10℃より低いと離解性が悪くなったりブロッキングが起きやすくなる。また、Tgが40℃を越えて大きいと、防湿性が悪くなる。また、本発明に使用するフィロケイ酸塩化合物とスチレン−ブタジエン系ラテックスとの配合(固形分重量)比率は30:70〜70:30、好ましくは35:65〜60:40である。
【0013】
また本発明においては、エマルジョン粒子が乾燥/被膜する際に形成される粒子間空隙を選択的に穴埋させて防湿層に可塑性を付与し、折り曲げに対する抵抗力を高める目的で、ポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物を使用する。この時使用するポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物は、主鎖にエーテル結合(R−O−R)、及びヒドロキシル基を一つ以上有する線状の化合物である。
ポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物としては、エーテル結合を形成する酸素原子の数は2〜30個の範囲にあることが好ましい。酸素原子数が30以上のものは親水性が強すぎるために防湿性が低下するので好ましくない。
ポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンβ−ナフトールエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテルが好適である。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのアルキルフェニル基としてはオクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジノニルフェニル基などが挙げられる。
【0014】
これらポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物はいずれも親水性で水に溶け易く、常温で液体であるものが好ましく、芳香族環を有するものである
その配合量としては合成樹脂と平板状顔料の総重量に対して0.1〜10重量%が最も好ましい。この場合、配合量が0.1重量%より小さいと十分な可塑性が得られず、折り曲げに対する効果がなくなる。また10重量%を越えると効果が頭打ちとなるばかりでなく、逆に防湿性が悪くなる。
【0015】
本発明で使用するカップリング剤としては、親水基部分にSiを含むシランカップリング剤、親水基部分にTiを含むチタネートカップリング剤、親水基部分にAlを含むアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤の構造は、フィロケイ酸塩化合物のような無機化合物と相互作用する親水基と、樹脂のような有機化合物と相互作用する疎水基に大別され、特にその親水基部分はTi、Al等の金属元素やSiに結合したアルコキシ基を加水分解して得られる。
【0016】
一方、カップリング剤の疎水基部分については、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に疎水化して樹脂マトリックスとの接着性を高める効果がある。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ基等の反応性有機官能基を有する場合、その官能基と樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、より一層樹脂マトリックスとの接着性が高まる。
該カップリング剤には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γメルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
【0017】
こうしたカップリング剤により、フィロケイ酸塩化合物をインテグラルブレンド法や前処理法などで表面処理して使用する。インテグラルブレンド法はフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂ラテックスを含む塗料にカップリング剤を直接添加する方法である。
また、前処理法はあらかじめフィロケイ酸塩化合物表面をカップリング剤で処理する方法である。カップリング剤の添加量はフィロケイ酸塩化合物100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合、カップリング剤によるフィロケイ酸塩化合物表面の被覆が不十分となるため好ましくなく、5重量部を越える場合、カップリング剤の効果が頭打ちとなるため不経済である。
【0018】
本発明で使用する活性水素反応性化合物は、合成樹脂に含まれるカルボキシル基、アミド基、水酸基等の活性水素官能基と反応して合成樹脂ラテックスを架橋、高分子化(三次元網目構造)するものである。こうした活性水素反応性化合物としては(1)メチロール基を有し、上記親水性官能基と脱水縮合反応を起こすもの(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂など);(2)アルデヒド基を有し、上記親水性官能基と付加反応を起こすもの(グリオキザールなど);(3)エポキシ基を有し、上記親水性官能基と開環付加反応を起こすもの(ポリグリシジルエーテルなど);(4)多価金属を有し上記親水性官能基と配位結合および共有結合を形成するもの(炭酸ジルコニウムなど);(5)水溶液中でカチオン性を示しアニオン性官能基とイオン結合を形成するもの(ポリアミン化合物、ポリアミドアミン樹脂やポリアミドエピクロロ樹脂などのカチオン性樹脂)などがある。活性水素反応性化合物の配合量は合成樹脂ラテックス100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が望ましい。
活性水素反応性化合物の配合量が0.01重量部未満の場合、活性水素反応性化合物と活性水素官能基との反応性が著しく低下するため好ましくなく、10重量部を越えても透湿度向上や耐ブロッキングに対する効果が頭打ちとなったり、未反応の活性水素反応性化合物が析出するなどの問題が発生するため好ましくない。
【0019】
以上の材料を混合して防湿性塗料(水性)とするが、このとき必要とあらば、ポリカルボン酸などの分散剤、消泡剤、界面活性剤、色合い調成剤を添加したりすることができる。この塗料を常法により紙支持体に塗工して防湿層を形成する。
塗工設備として特に限定はしないが、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーターなどの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料の配向を促す傾向があるので好ましい。
防湿層の塗工量は片面に塗工した場合(両面に塗工した場合は両面合わせての塗工量)、固形分として15〜40g/m2、好ましくは20〜35g/m2である。
【0020】
本発明に用いられる紙支持体は機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とするものであれば特に制限はないが、包装紙として一般的に用いられている晒または未晒クラフト紙(酸性紙または中性紙)が好適である。
紙支持体の坪量は50〜150g/m2、好ましくは60〜135g/m2である。紙支持体の厚さは70〜170μm、好ましくは75〜165μmである。
【0021】
本発明の防湿紙の透湿度はJISZ0208カップ法(B法)で測定して20〜50g/m2・24hr、好ましくは25〜45g/m2・24hrである。
【0022】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明する。特に断らない限り「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0023】
【実施例】
<実施例1>
水50重量部に、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は5)3重量部を加え撹拌した後、ゲル分率92%、Tg20℃のSBR(固形分50%)100重量部を加え撹拌する。
さらにフィロケイ酸塩化合物マイカAB32(白雲母、平均粒子径20μm、アスペクト比20〜30:(株)山口雲母工業製)50重量部を撹拌しながら加えて調製した防湿性塗料を、晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μm)に固形分として片面30g/m2塗工後、熱風乾燥機を用いて110℃で1分間乾燥させて防湿紙を製造した。
【0024】
<実施例2>
水50重量部に、25%アンモニア水2重量部、カップリング剤KBM603(アミノシランカップリング剤:信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)0.5重量部を加え撹拌した後、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は5)を3重量部、ゲル分率92%、Tg20℃のSBR(固形分50%)を100重量部、フィロケイ酸塩化合物KF1325(絹雲母、平均粒子径13μm、アスペクト比20〜30:中央カオリン(株)製)50重量部を順次撹拌しながら加えて調製した防湿性塗料を、晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μm)に固形分として片面30g/m2塗工後、熱風乾燥機を用いて110℃で1分間乾燥させて防湿紙を製造した。
【0025】
<実施例3>
ポリオキシエチレンフェニルエーテルの添加量を1重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
<実施例 4>
ポリオキシエチレンフェニルエーテルの添加量を5重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
<実施例5>
ポリオキシエチレンフェニルエーテルの添加量を10重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
【0026】
<実施例6〜
ポリオキシエチレンフェニルエーテルの代わりに、下記のエーテル系/ポリエーテル系化合物を用いたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
実施例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は7)
実施例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は20)
実施例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は30)
実施例:ポリオキシエチレドデシルフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は7)
【0027】
<実施例1011
実施例2で用いた合成樹脂の代わりに、下記の合成樹脂を用いたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
実施例10:SBR(ゲル分率96%、Tg35℃、固形分50%)
実施例11:SBR(ゲル分率96%、Tg 8℃、固形分46%)
【0028】
<実施例1215
カップリング剤KBM603の代わりに、下記のカップリング剤を用いたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
実施例12:エポキシシランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業(株)製)
実施例13:ビニルシランカップリング剤(商品名:KBM1003、信越化学工業(株)製)
実施例14:メタクリロキシシランカップリング剤(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)
実施例15:アミノチタネ−トカップリング剤(商品名:KR44、味の素(株)製)
【0029】
<実施例16
水50重量部に、25%アンモニア水2重量部、カップリング剤KBM603(アミノシランカップリング剤:信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)0.5重量部を加え攪拌した後、活性水素反応性化合物SR302(ポリアミドポリ尿素樹脂、固形分60%、住友化学(株)製)を1重量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は5)を3重量部、ゲル分率92%、Tg20℃のSBR(固形分50%)を100重量部、フィロケイ酸塩化合物KF1325(絹雲母、平均粒子径13μm、アスペクト比20〜30:中央カオリン(株)製)50重量部を順次攪拌しながら加えて調製した防湿性塗料を、晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μm)に固形分として片面30g/m2塗工後、熱風乾燥機を用いて110℃で1分間乾燥させて防湿紙を製造した。
【0030】
<実施例17
活性水素反応性化合物SR302の代わりに、X−13A(ポリアミン樹脂、固形分99%以上、三和化学(株)を用いたこと以外は実施例16と同様にして防湿紙を製造した。
【0031】
<比較例1>
ポリオキシエチレンフェニルエーテルを使用しないこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
<比較例2>
ポリオキシエチレンフェニルエーテルの代わりに、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキシドのモル数は60)を用いたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
【0032】
<比較例3>
ゲル分率80%、Tg5℃のSBR(固形分50%、日本ゼオン(株)製)としたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
<比較例4>
ゲル分率99%、Tg−13℃のSBR(固形分48%、三井東圧化学(株)製)としたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
【0033】
<比較例5〜7>
フィロケイ酸塩化合物としてKF1325の代わりに、下記の顔料を用いたこと以外は実施例2と同様にして防湿紙を製造した。
比較例5:マイカB72
(白雲母、平均粒子径82μm、アスペクト比20〜30:山口雲母工業(株)製)
比較例6:UW−90
(白雲母、平均粒子径1.5μm、アスペクト比2〜5:エンゲルハート製)
比較例7:ミクロエースP−3
(タルク、平均粒子径1.8μm、アスペクト比5〜10:日本タルク(株)製)
【0034】
<試験方法>
1)透湿度
JIS Z0208 B法(カップ法)に準じ、測定サンプルを4つ折りにして折り目を付けたもの(折り目)、及び付けないもの(平板)についてそれぞれ塗工面を外側にし、40℃90%(相対湿度)にて透湿度を測定した。
40℃90%における透湿度が、平板で50g/m2・24hr以下、より好ましくは45g/m2・24hr以下、折り目付きで120g/m2・24hr以下、より好ましくは100g/m2・24hr以下であれば十分実用性がある。
2)離解性試験
TAPPI標準離解機を用いて、約3cm四方の防湿紙45gを水1500mlとともに、10分間撹拌した。得られたパルプスラリーで坪量70g/m2の手抄シートを作成した。未離解物の離解片の大きさが1mm×1mm以下のものを○、その大きさを超える離解片が残るものを×とした。
【0035】
以上実施例、比較例の測定結果を表1〜3に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003785778
【0037】
【表2】
Figure 0003785778
【0038】
【表3】
Figure 0003785778
【0039】
表1より、ポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物を配合することによって、折り目を付けた場合の防湿性が大きく向上する(実施例1〜)。しかし前記化合物を添加しない場合(比較例1)は折り目の防湿性が、また添加する化合物のエーテル結合を形成する酸素原子の数が30以上である場合(比較例2)は平板の防湿性が、それぞれ低下してしまう。
表2より、高ゲルタイプの合成樹脂(ゲル分率90%以上)を用いることによって、塗工紙の離解性は大きく向上する(実施例2、実施例1011)。しかし使用する合成樹脂のゲル分率が90%以下、またはガラス転移温度(Tg)が−10〜40℃の範囲外である場合(比較例3〜4)、満足のいく離解性は得られない。
表3より、アスペクト比の高いフィロケイ酸塩化合物を単独、またはカップリング剤と併せて用いた場合(実施例1、実施例1215)は良好な防湿性が得られるが、使用するフィロケイ酸塩化合物の平均粒径が50μm以上(比較例5)、または5μm以下(比較例6〜7)である場合は満足のいく防湿性が得られない。また活性水素反応性化合物を添加することによって、平板の防湿性は大きく向上する(実施例1617)。
【発明の効果】
本発明に係る易離解性防湿紙は、折り目が付いた状態においても優れた防湿性を有する。

Claims (3)

  1. 紙支持体の少なくとも片面にフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂からなる防湿層を有する防湿紙において、該合成樹脂が、ゲル分率が90%以上、且つガラス転移温度が−10℃〜40℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体であり、該防湿層中に、エーテル結合を形成する酸素原子の数が2〜30個の範囲内であるポリオキシエチレンフェニルエーテル化合物を含むことを特徴とする易離解性防湿紙。
  2. フィロケイ酸塩化合物がカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項1記載の易離解性防湿紙。
  3. 防湿層中に活性水素反応性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の易離解性防湿紙。
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