JP3926500B2 - 防湿積層体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙支持体上に防湿層を形成せしめた古紙としてリサイクル可能な防湿紙であり、防湿層と反対面どうしの滑りが発生せず、折曲げ時の防湿層の破損による防湿性の低下がなく、紙表面へのラベルの添付が容易で、包装時に再離解性のあるホットメルト接着剤の使用を可能にし、ブレード塗工などの高速で生産性の高い塗工方式に好適な防湿積層体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の支持体上にポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどの被膜形成性を有する高分子化合物をラミネートあるいは張り合わせて水蒸気の透過を防止することにより紙に防湿性を付与することは公知の技術である。しかし、この種の紙は被膜層が強固であるため防湿性の機能は十分発揮できるが、再離解する際にはパルプ繊維がフロック状に残存したり被膜そのものが大きなシート状に残存するなどの問題があり、古紙原料として使用できず、使用後に焼却処分あるいは埋め立て処分するしかなく、環境保護や資源の再利用の面から問題がある。
【0003】
これに対し古紙として再利用可能な防湿紙として、特定の組成のパラフィンワックスを含むエマルジョンをクラフト紙の片面または両面に塗布して防湿紙を製造する方法(特開昭50−36711号)、合成炭化水素系樹脂及びワックスをスチレン−マレイン酸系共重合体及び界面活性剤を用いて水に分散させて得たエマルジョンとの混合物よりなる紙の防湿加工用組成物(特開昭56−148997号)が開示されている。さらに、特定の融点を有するパラフィンワックス、マレイン化、若しくはフマール化ロジンと多価アルコールとのエステル化物、液状ポリブテン、及びロジンなどを主成分とするワックスエマルジョン、あるいは前記ワックスエマルジョンと合成ゴム系ラテックスとの混合物を上質紙、クラフト紙などの繊維質基材表面に塗布し、加温下に乾燥する防湿紙の製造方法が開示されている(特開昭61−47896号)。その他に、古紙として回収、再利用可能な防湿紙に関しては、原紙に対してある種の合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを混合した塗工液を塗工することを基本とする製造方法が開示されている(包装技術、昭和57年9月号、42〜46頁)。
【0004】
これらパラフィンワックスを使用する防湿紙は、いずれも再離解性を有する防湿紙であるが、かかる防湿紙をロール状に巻き取った場合、防湿層表面に含まれるワックスが反対裏面に転移し、その結果防湿層の反対面は非常に滑り易くなり、最も極端な場合、この面を相互に接するように包装すると、包装物を並び揃えるときに不揃いになったり、滑り落ちたり、さらに重量物を包装した場合は運搬時に互いにずれて運搬中に落下するなどの重大な問題が発生する。そのために裏面に防滑層を設けたり、特定の巻圧でロール状に巻き取るなどの技術があるが、滑りに対する根本的な解決には至ってない。
【0005】
また、これらワックスを含む防湿紙は、その防湿性がワックスの形成する極薄い撥水性層に依存しているためか、包装時の折曲げ部分の防湿性が極端に低下する傾向がある。さらにワックスの防湿層表面へのブリードが避けられず、その表面にラベルを添付しようとしてもすぐ剥がれる等の問題があり、さらに常温で液状の強い接着力を持つホットメルト接着剤以外はワックスを含んだ防湿面との接着は不良で、接着できる場合もオープンタイムが非常に短くなってしまうため、使用できるホットメルト接着剤が非常に限定されるという問題もある。また、再離解性を有する粘着テープを使用する方法もあるが、ホットメルト接着に比べ粘着テープを使用する場合は包装時の作業性が大幅に劣るという重大な欠点があり、特定の用途にしか用いられていないのが現状である。
【0006】
このようにワックスを含有する防湿積層体の欠点を解決すべく、本発明者等は過去に紙支持体上に平板状顔料と合成樹脂ラテックスとからなる防湿層を設けた防湿積層体(特開平9−21096号公報)を提案した。この発明は、それ自体は水蒸気を通さないと思われる顔料、例えばフィロケイ酸塩化合物粒子に見られるような平板状の顔料を合成樹脂ラテックスと混合して防湿層を形成させたところ、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が防湿層表面に対して平行に配列して積層するため、防湿層中の水蒸気はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから、水蒸気の所要透過距離が長くなり、結果として大幅に防湿性能が向上することから見出された。
このタイプの防湿紙は厚み方向で水蒸気の透過距離をかせぐため、ブレード塗工方式などの高速で防湿層を形成する場合、紙支持体の凹凸が防湿層の膜厚を左右し、部分的には非常に薄い防湿層膜厚を取らねばならないためブレード塗工品は同一塗工量では防湿性能が劣る。また、ブレード塗工で防湿層を形成するには合成樹脂の配合量の多い塗料を高濃度、高速乾燥する必要がありブリースターなどの面欠陥を生成し易い傾向にある。このため、所望する防湿性を得るためには、平板状顔料の最適な粒子径などを経験的に設定するだけでなく、塗工厚さを過剰に厚く設定することによって、常に安定した防湿性能を得ることも可能ではあるが、この場合は単に経済的に不利となるばかりでなく、古紙回収、再利用時の離解性が大きく劣化してしまう恐れがある。
これらの欠点を改善するために、本発明者らは平板状顔料を用いた防湿層上に水溶性樹脂架橋体を塗工して防湿性を大幅に向上させる方法を出願した(特開平9−268494)。この方法は、防湿層形成時に生成した顔料と樹脂の界面を埋めるために該水溶性架橋体の被覆層を設けるものである。しかし、この方法でもなお、条件や用途によっては十分な防湿性を得ることができない場合もあるため、本発明者らは鋭意研究の結果、更に良好な防湿性を得るための方法を見いだした。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明はワックスを全く含まない防湿積層体であって、ブレード塗工などの高速塗工方式でも高い防湿性を有し、かつ古紙として回収、再利用可能な防湿積層体である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1.紙支持体上の少なくとも片面に平板状顔料とSBRからなる防湿層を形成した防湿紙において、該防湿層が5〜20g/m2であって、ブレード塗工により形成されており、該防湿層上に、合成樹脂ラテックスから得られる被膜成分を含む1〜8g/m2の被覆層を設けることを特徴とする防湿積層体。
2.該被覆層に用いる合成樹脂ラテックスが、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、メタクリレートブタジエン共重合体、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、から選ばれるものを少なくともひとつ含むことを特徴とする防湿積層体。
3.被覆層に顔料を含むことを特徴とする1〜2記載の防湿積層体。
4.顔料が平板状顔料であることを特徴とする3記載の防湿積層体。
5.紙支持体と該防湿層の間にアンダーコート層を形成したことを特徴とする1〜4記載の防湿積層体。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明者らは、平板状顔料による防湿層形成の機構について検討したところ、このような防湿層における防湿性は、平板状顔料を迂回して水分が透過する曲路理論で説明できることが判明した。曲路理論とは、水蒸気が透過できない顔料の表面を迂回して透過するため、透過距離が長くなり、結果として防湿層の膜厚が増大したと同様の効果があるとするものである。この曲路効果についてさらに検討したところ、平板状顔料の枚数の少ない低塗工量の場合でも、非常にゆっくりと丁寧に成膜すると驚くべき防湿性が発揮することを見出した。この原因について詳細に検討したところ、防湿層に含まれる平板状顔料が重なり合い、あたかも一枚の板の如く働く場合のあることが判明した。この効果を発明者らは蓋効果と呼ぶが、この状態は平板状顔料を用いた防湿層としては最も少ない塗工量で大きな防湿性が発現するため好ましいものである。しかし、実際に実用塗工機で塗工すると、塗工により形成された平板顔料の重なり合う集合体に、支持体である紙のパルプ繊維の集合状態(地合い)に追従した欠損部分やピンホールが多発するため、良好な防湿性が得られなかった。これは特にブレード塗工などの生産性の高い方式で製造する場合に顕著であった。しかし、これらの低塗工量の防湿層であっても、該防湿層上に被覆層を設けると、欠損部分やピンホールの発生が重複する確率が下がったり、さらに防湿層の欠損が被覆層の樹脂で埋められるため、所望の低塗工量での防湿性を発現することが可能となる。この考えは、本発明者らが既に特開平9−268494で述べた水溶性樹脂と架橋体からなる被覆層を設けるものと同一ではあるが、防湿層が本発明のような低塗工量の場合には、本発明のような、合成樹脂ラテックスから成膜する樹脂成分を含む被覆層を形成することにより、更に良好な防湿性を得ることができた。
【0010】
本発明では、かかる防湿層の塗工量は5〜25 g/m 2 が好ましく、10〜20g/m2がさらに好ましい。また、被覆層の塗工量は1〜15 g/m 2 が好ましく、1〜8g/m2 がさらに好ましい。また、被覆層には、防湿性積層体表面の滑り性の改良や、摩耗性の防止、また、耐溶剤性の付与などの機能を併せ持ったものとする目的で、各種顔料や滑り改良材、耐摩耗剤などの添加剤を添加することもできる。また、本発明では、防湿層塗工量が少ない場合には被覆層の塗工量を多くするほうがよく、防湿層塗工量が多い場合は被覆層を少なくすることができる。また、被覆層は、樹脂単独で塗工してもよいが、必要に応じて顔料を混入することもできる。なかでも、平板状顔料を混入することにより、防湿層と被覆層の隠蔽力、ひいては蓋効果が発現しやすくなるため好ましい。
【0011】
本発明において、被覆層に顔料を添加する場合は、その配合割合を特に規定するものでないが、顔料体積分率で0.25以下であることが好ましい。0.25以上である被覆層は、被覆層と顔料の間の空隙が少なく、それ自体で防湿性を有する。このように0.25以上であるとそれ自体で防湿性はないが、防湿層塗工量が相対的に多い場合、その上に形成した被覆層と防湿層界面にバインダーが集合するように乾燥されるため、実質的に防湿層に形成された面欠陥を埋める働きがある。防滑性など別の機能を被覆層に形成する場合には好ましい構成である。
【0012】
被覆層に使用する合成樹脂ラテックスは、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、メタクリレートブタジエン共重合体、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、などが挙げられるが、耐水性が良好で、伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエンラテックスが好適である。またスチレン−ブタジエンラテックスは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリルグリシジルエーテルなどで変性されたスチレン−ブタジエンラテックス(変性SBR)を使用しても構わない。これら樹脂のガラス転移点は、−20℃〜+50℃であってもよく、成膜性が保持されるものであればよい。また、成膜性が保持しにくいロジンエマルジョンやポリスチレンボールなどでは本発明の効果を期待することはできない。
【0013】
被覆層に使用される顔料としては、カオリン、タルク、クレー、デッカイト、ナクライト、水酸化アルミニウム、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、無定型シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、など一般塗工紙用の顔料、また、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル酸エステル、ベンゾグウナミン、シリコン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などからなるプラスチックピグメントなどを使用することができるが、以下に述べる防湿層に使用する平板状顔料を用いることもできる。その場合、白雲母や金雲母、絹雲母など雲母族鉱物が特に好ましい。
【0014】
本発明の防湿層に用いる平板状顔料とはその平均粒子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質であり、レーザー回析法で測定した平均粒子径が1μm〜200μmの範囲のものである。その中でも3μm〜100μmが好適であり、さらに好ましくは5μm〜50μmである。特に防湿層を形成するのに有効な粒子径は10〜40μmと考えられる。粒子径が5μm以下のものは塗工層中での該平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくいため効果がなく、50μm以上になると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少すると推察される。
【0015】
平板状物質の粒子径の測定方法にはマイクロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法により平均粒子径を求める方法や、電子顕微鏡の観察によって求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実際の粒径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では実際よりやや大きい値となる。しかし本発明の平均粒子径は測定のし易さ及び再現性の高さなどからマイクロトラックレーザー回折法により測定した。
【0016】
平板状顔料のアスペクト比は、平板状顔料の平均粒子径を厚さで除したものであるが、本発明の効果を発揮するためにはアスペクト比が5以上であることが必要である。特に好ましいものはアスペクト比が10以上である。アスペクト比が5以下のものは塗工面に対して平行に配向できなくなるために防湿性能が劣り、アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿性能を発揮する。
【0017】
アスペクト比を計算するための平板状顔料の厚さは電子顕微鏡観察により測定した。平板状顔料の厚みは顔料の種類、粉砕方法、平均粒子径によって異なる。顔料の種類と粉砕方法が同じであれば、顔料の平均粒子径が大きくなると厚さも大きくなり、結果としてアスペクト比の大きさはほとんど変化しない。粉砕によって厚さを小さくできるが、どのような粉砕方法であっても粒子径が同時に小さくなるのは避けられない。例えば湿式粉砕された白雲母で平均粒子径が40μmのものは厚さの平均は約2μmとなり、アスペクト比は20となる。また平均粒子径20μmまで湿式粉砕すると、厚さが約1μmとなりアスペクト比が20であった。もちろん平均粒子径が20μmといっても2〜60μm程度の粒度分布を有しており、厚さも0.1μm〜数μmの範囲を有するが、平均として1μmであった。
【0018】
これらの形状を有する平板状顔料を本発明の防湿層に用いた場合、その塗工層厚みに対し小さすぎる粒子径のものを使用すると塗工層中の顔料のうち支持体に対して平行に配向するものが少なくなり、結果として塗工量を増大する必要が生じる。従って本発明者らの検討によると、塗工層厚みに対し20%以上の平均粒子径を有する平板状顔料を用いるのが好ましい。一方塗工層厚み以上の平均粒子径を有する平板状顔料は塗工時その一部が塗工層から突出したり、折曲げ時に塗工層に空隙を形成するような場合があり好ましくなく、使用するとしても少量の使用にとどめる必要がある。
【0019】
本発明で使用する平板状顔料は、塗布加工後も平板性(平板状)が保持されており、かつその平板状顔料が持つアスペクト比(平均粒子径を厚さで除した数値)が5以上であれば特に限定されるものではないが、この条件を満たす平板状顔料の中でも、特にフィロケイ酸化合物(層状構造を有する層状ケイ酸塩化合物)であることが好ましい。フィロケイ酸塩化合物に属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、カオリナイト(カオリン鉱物)、雲母族、脆雲母族、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどがある。これらの中でも特に雲母族、タルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。
【0020】
これらのうち最も好適な平板状顔料としては白雲母、金雲母、絹雲母、が粒子径の大きさ、アスペクト比、コストなどの点から好適である。これら顔料についてさらに詳述すれば、雲母粉末の原石をハンマーミル等で乾式粉砕後分級して望みの粒子径分布の部分を使用したり、さらにガラスビーズを水中で粉砕媒として用いたサンドミル等の湿式粉砕を行い望みの粒子径分布の雲母を得る。この際アスペクト比を維持するために過大な力がかからないように粉砕したり、超音波をかけながら湿式粉砕(USP3240203)するなどの配慮を施すことにより、アスペクト比の高い雲母粉末を手にいれることができる。通常これらの方法で得られたアスペクト比は電子顕微鏡の観察などによると20〜30である。一部アスペクト比が100程度のものも得られるが、工業的生産が困難であるうえコスト高になってしまう。
【0021】
雲母に対し絹雲母と称せられるセリサイトは化学組成としては類似しており、SiO2/Al2O3の比率が僅かに大きくK2Oの含有率が小さい。しかし、セリサイトは白雲母に比べ原石が細かいため、一般に粉砕分級して得られた絹雲母の平均粒子径は0.5〜2μm程度であり、市販されているものはこれらの範囲のものがほとんどである。このため本発明を実施するには絹雲母として特異的に大きい粒子径分布のものを使用する必要があるため、粉砕条件を大幅に緩和したり、汎用製品の分級残査粗粒子部分などの中からさらに分級し、必要な大きさのメッシュをパスした粒度分布のものを使用する必要がある。かかるセリサイトは白雲母とほぼ同じアスペクト比を得ることができ、アスペクト比10〜30のものが一般的である。
【0022】
このように、雲母は原石の大きさが絹雲母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度分布を自由に選ぶことが可能である。一方絹雲母の原石は小さいがへき開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は平板状を呈し好ましい。
【0023】
これら平板状顔料を支持体上に層形成するために用いる合成樹脂は水蒸気の透過を基本的に防止する必要がある。種々の合成樹脂をクラフト紙に20g/m2塗工したときの透湿度を測定してみると、透湿度が300g/m2・24hr前後の値を示すもの、800g/m2・24hr前後の値を示すもの、さらには2000g/m2・24hr以上の値を示すものに大別できる。ここで、本発明に用いる合成樹脂の透湿度は同様の測定法で透湿度が500g/m2・24hr以下、さらに望ましくは250g/m2・24hr以下である必要がある。もちろん本発明の効果を阻害しない範囲で、透湿度500g/m2・24hr以上のラテックスを混合使用してもよい。
【0024】
本発明の防湿層に用いる合成樹脂としては、 スチレンブタジエン(SBR)、アクリルスチレン、メタクリレートブタジエン、アクリルニトリルブタジエン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられるが、耐水性の面が良好で伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにSBRが好適である。ここで重合性単量体はスチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、シアノ基含有エチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和酸のグリシジルエステル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系単量体等が挙げられ、これらの重合性単量体を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、合成樹脂のガラス転移温度(Tg)及びゲル量(テトラヒドロフランなどの有機溶媒による抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成分が主体)は塗工層のブロッキング(塗工面と被包装物表面の接着)のしやすさと成膜性に影響を与える。低Tgかつ低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやすくなるが成膜性は向上する。逆に高Tgかつ高ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性は低下する。通常Tgの範囲は−30℃〜50℃、好ましくは−15℃〜30℃であり、ゲル量の範囲は30%〜95%、好ましくは60%〜90%の範囲で、製膜性とブロッキングのバランスでTgとゲル量が決定される。但し、本発明においては被覆層でブロツキングを発生しにくくすることができるため、防湿層に使用する樹脂は成膜性を重視したものでよい。
【0026】
これら平板状物質と合成樹脂の配合比率は、30/70〜70/30の範囲が好適である。平板状物質が30%以下になると平板状顔料の形成する層数が少なくなったり顔料と顔料の距離が大きすぎるために防湿性が不十分となり、塗工量を増やす必要が生じて非経済的であるうえ、ブロッキングを生じやすくなる。70%以上になると塗工層中に平板状顔料とラテックスの間に空隙が非常に多くなるため防湿性が劣化する。
【0027】
本発明では防湿層にカップリング剤を使用すると一段と防湿性が向上する。
使用するカップリング剤としては、親水基部分にSiを含むシランカップリング剤、親水基部分にTiを含むチタネートカップリング剤、親水基部分にAlを含むアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤の構造は、フィロケイ酸塩化合物のような無機化合物と相互作用する親水基と、樹脂のような有機化合物と相互作用する疎水基に大別され、特にその親水基部分はTi、Al等の金属元素やSiに結合したアルコキシ基を加水分解して得られる。
【0028】
一方、カップリング剤の疎水基部分については、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に疎水化して樹脂マトリックスとの接着性を高める効果がある。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ基等の反応性有機官能基を有する場合、その官能基と樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、より樹脂マトリックスとの接着性が高まる。
該カップリング剤には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γメルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
【0029】
本発明においては、こうしたカップリング剤により、フィロケイ酸塩化合物をインテグラルブレンド法や前処理法などで表面処理して使用することがさらに望ましい。
インテグラルブレンド法はフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂を含む塗工液にカップリング剤を直接添加する方法である。また、前処理法はあらかじめフィロケイ酸塩化合物表面をカップリング剤で処理する方法である。
カップリング剤の添加量はフィロケイ酸塩化合物100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合、カップリング剤によるフィロケイ酸塩化合物表面の被覆が不十分となるため好ましくなく、5重量部を越える場合、カップリング剤の効果が頭打ちとなるため不経済である。
【0030】
また、本発明では、防湿層に活性水素反応化合物を添加して防湿性を向上させることもできる。本発明で使用する活性水素反応性化合物は、合成樹脂に含まれるカルボキシル基、アミド基、水酸基等の活性水素官能基と反応して合成樹脂ラテックスを架橋、高分子化(三次元網目構造)するものである。
【0031】
こうした活性水素反応性化合物としては(1)メチロール基を有し、上記親水性官能基と脱水縮合反応を起こすもの(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂など);(2)アルデヒド基を有し、上記親水性官能基と付加反応を起こすもの(グリオキザールなど);(3)エポキシ基を有し、上記親水性官能基と開環付加反応を起こすもの(ポリグリシジルエーテルなど);(4)多価金属を有し上記親水性官能基と配位結合及び共有結合を形成するもの(炭酸ジルコニウムなど);(5)水溶液中でカチオン性を示しアニオン性官能基とイオン結合を形成するもの(ポリアミン化合物、ポリアミドアミン樹脂やポリアミドエピクロロ樹脂などのカチオン性樹脂)などがある。
【0032】
活性水素反応性化合物の配合量は合成樹脂ラテックス100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が望ましい。活性水素反応性化合物の配合量が0.01重量部未満の場合、活性水素反応性化合物と活性水素官能基との反応性が著しく低下するため好ましくなく、また10重量部を越えると透湿度向上や耐ブロッキングに対する効果が頭打ちとなったり、未反応の活性水素反応性化合物が析出するなどの問題が発生するため好ましくない。
【0033】
さらに、本発明では紙支持体と該防湿層の間にアンダーコート層を形成して防湿層塗工量をさらに少なくした防湿積層体を得ることもできる。該アンダーコート層は、上記顔料や樹脂を任意に選択して形成する。アンダーコートに必要な塗工量は5〜20g/m2、好ましくは7〜15g/m2程度である。アンダーコート層自体の防湿性については特に制約を設ける必要はなく、顔料比率として70%を越える物であってもよい。
【0034】
防湿塗料は平板状顔料を水中で分散し合成樹脂エマルジョンあるいはアルカリ水や溶剤で可溶化された合成樹脂と混合するか、合成樹脂エマルジョン中またはアルカリ水や溶剤で可溶化された合成樹脂中で顔料を分散し、所定の固形分に調整し塗料とする。また、被覆層は水溶性樹脂と、必要とあらば顔料を所定の固形分に調整し塗料とする。このとき必要とあらば、増粘剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、色合い調整剤、無機顔料、有機顔料を添加したりすることができる。
【0035】
また、片面にのみ防湿層を形成する場合は、塗工面の反対側にはカール防止のために水塗りをする方が好ましい。
【0036】
本発明の防湿層及び被覆層を形成するための塗工設備としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーターグラビアコーター、カーテンコーター、スライドコーター、コンマコーター、ダイコーター等公知の設備から任意に選択することができる。
特に防湿層形成の場合、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーターなどの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料の配向を促す傾向があるので好ましい。なかでもブレードコーターは高速塗工が可能なため特に好ましい。
【0037】
支持体としては、機械的離解作用によって水中で分散しやすいものとして、例えば広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプのような化学パルプ、機械パルプ等から選ばれたパルプを原料とした上質紙、中質紙、片艶クラフト紙、両更クラフト紙、クラフト伸長紙等が挙げられる。これらの原紙の坪量に格別の限定はなく、30〜300g/m2のものが適宜目的に応じて用いられる。
【0038】
本発明の塗工層はワックス類を含んでないため、塗工面はもちろん塗工面の反対面もワックス類が転移することがなく滑りやすくなることはない。防湿紙を折曲げたときも層全体の厚みで抵抗するため折曲げ時の透湿度の低下は少ない。また、ワックス類のような離型性を有する表面ではないため、汎用の糊を用いたラベルを張り付けても脱落するようなことはない。さらに、ポリビニルアルコール樹脂を主体とするホットメルト接着剤は水で再離解可能であるためかかる接着剤の使用が好ましいが、本防湿紙はワックス類を使用していないため通常のオープンタイムで使用することができる。もちろん合成ゴム系やエチレンビニル酢酸系などの一般に使用されているホットメルト接着剤も問題なく使用できる。
【0039】
本発明の防湿積層体は被膜形成性のよい合成樹脂を用いるため再離解性に懸念が残ると推察するのが当然である。しかし驚くべきことに、本発明のように粒子径の大きな平板状顔料を有すると、古紙回収ののち再離解工程で水スラリーを撹伴すると、機械力により平板状顔料が破断の起点となって、容易に崩壊し、合成樹脂被膜もろとも塗工層が破断して極小細片へ分解し、ほぼ再離解と考えてよい状態にすることができる。即ち、ポリエチレンをラミネートしたポリラミ紙を離解すると粗大な薄片が残存するのに対し、本防湿積層体を再離解すると粗大薄片を認めない状態にまで離解することが可能である。
【0040】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。なお実施例中の重量部はすべて固形分換算である。
【0041】
【実施例】
<実施例1>
平板状顔料として金雲母(平均粒子径40μm、アスペクト比20〜30)100重量部と水100重量部とをカウレス分散機を用い、回転数2000rpmで2時間分散した。得られた前記顔料スラリ−50重量部とSBRラテックス(Tg20℃、ゲル分率84%、固形分濃度50%)25重量部とを混合して防湿塗料を調整し、これを未晒両更クラフト紙にブレードを用いて塗工量が15g/m2(固形分)となるように手塗りした後、熱風循環乾燥機を用いて110℃、1分間乾燥させて防湿層を形成した。次いで、防湿層に用いたのと同様のSBRラテックス単独からなる被覆層塗料を、該防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が2g/m2(固形分)となるように手塗りした後、熱風循環乾燥機を用いて110℃、1分間乾燥させて被覆層を形成し、防湿積層体を得た。
【0043】
<実施例2>
実施例1における防湿層の塗工量を12g/m2とし、かつ金雲母100重量部と水100重量部とを、実施例1と同様の方法にて分散し、前記顔料スラリー50重量部とSBRラテックス(Tg20℃、ゲル量84%、固形分50%)25重量部とを混合したものを被覆層塗料とし、これを前記防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が3g/m2となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0044】
<実施例3>
防湿層に用いる平板状顔料として、金雲母の代わりに白雲母(粒子径20μm、アスペクト比20〜30)とし、かつ防湿層の塗工量が18g/m2、および被覆層の塗工量が5g/m2となるようにそれぞれ手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0046】
<実施例4>
実施例2における防湿層中に、カップリング剤としてエポキシシランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)を、対固形分比(防湿層)で1重量部配合したこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例5>
実施例2における防湿層中に、カップリング剤としてアミノチタネ−トカップリング剤(商品名:KR44、味の素(株)製、有効成分99%以上)を、対固形分比(防湿層)で1重量部配合したこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
【0047】
<実施例6>
水50重量部に、25%アンモニア水を2重量部、アミノシランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)0.5重量部、および活性水素反応性化合物としてポリアミドポリ尿素樹脂(商品名:SR302、住友化学(株)製、固形分60%)1重量部をそれぞれ加えて撹拌した後、実施例1および実施例4とは性状の異なるSBRラテックス(Tg20℃、ゲル分率94%、固形分濃度50%)25重量部、および金雲母(平均粒子径40μm、アスペクト比20〜30)25重量部を順次撹拌しながら加えて防湿塗料を調整し、これを未晒両更クラフト紙に塗工量が12g/m2(固形分)となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例7>
実施例6にて得られる防湿塗料をそのまま被覆層塗料とし、これを実施例6にて得られる防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が2g/m2となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0048】
<比較例1>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例2>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例3と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例3>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例4と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例4>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例5と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例5>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例6と同様にして防湿積層体を得た。
【0049】
実施例1〜7、比較例1〜5で得られた防湿積層体について透湿度を評価するための試験に供した。
【0050】
<試験方法>
1)透湿度JIS Z0208(カップ法)B法で塗工面を外側にして測定した。透湿度の基準として50g/m2・24hr以下であれば十分実用性があるが、35g/m2・24hr以下であれば用途拡大が望める。
【0051】
【表1】
【0052】
<評価結果>
表1より被覆層を設けると透湿度が大幅に小さくなる(実施例1,3,4,5,7、比較例1,2,3,4,5)。被覆層樹脂の種類で透湿度の差はほとんどない(実施例1)。また、顔料を添加しても被覆層がない場合と比較して透湿度は小さくなる(実施例2,4,5,6)。被覆層に雲母族鉱物を使用すると透湿度は低下している(実施例2,4,5,6,7)。また、防湿層にカップリング剤や活性水素化物を添加すると透湿度は小さくなる(実施例4,5,6,7)。
【0053】
【発明の効果】
防湿層上に合成樹脂乳化物から成膜される成分を含む被覆層を設けることで防湿性が向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は紙支持体上に防湿層を形成せしめた古紙としてリサイクル可能な防湿紙であり、防湿層と反対面どうしの滑りが発生せず、折曲げ時の防湿層の破損による防湿性の低下がなく、紙表面へのラベルの添付が容易で、包装時に再離解性のあるホットメルト接着剤の使用を可能にし、ブレード塗工などの高速で生産性の高い塗工方式に好適な防湿積層体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の支持体上にポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどの被膜形成性を有する高分子化合物をラミネートあるいは張り合わせて水蒸気の透過を防止することにより紙に防湿性を付与することは公知の技術である。しかし、この種の紙は被膜層が強固であるため防湿性の機能は十分発揮できるが、再離解する際にはパルプ繊維がフロック状に残存したり被膜そのものが大きなシート状に残存するなどの問題があり、古紙原料として使用できず、使用後に焼却処分あるいは埋め立て処分するしかなく、環境保護や資源の再利用の面から問題がある。
【0003】
これに対し古紙として再利用可能な防湿紙として、特定の組成のパラフィンワックスを含むエマルジョンをクラフト紙の片面または両面に塗布して防湿紙を製造する方法(特開昭50−36711号)、合成炭化水素系樹脂及びワックスをスチレン−マレイン酸系共重合体及び界面活性剤を用いて水に分散させて得たエマルジョンとの混合物よりなる紙の防湿加工用組成物(特開昭56−148997号)が開示されている。さらに、特定の融点を有するパラフィンワックス、マレイン化、若しくはフマール化ロジンと多価アルコールとのエステル化物、液状ポリブテン、及びロジンなどを主成分とするワックスエマルジョン、あるいは前記ワックスエマルジョンと合成ゴム系ラテックスとの混合物を上質紙、クラフト紙などの繊維質基材表面に塗布し、加温下に乾燥する防湿紙の製造方法が開示されている(特開昭61−47896号)。その他に、古紙として回収、再利用可能な防湿紙に関しては、原紙に対してある種の合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを混合した塗工液を塗工することを基本とする製造方法が開示されている(包装技術、昭和57年9月号、42〜46頁)。
【0004】
これらパラフィンワックスを使用する防湿紙は、いずれも再離解性を有する防湿紙であるが、かかる防湿紙をロール状に巻き取った場合、防湿層表面に含まれるワックスが反対裏面に転移し、その結果防湿層の反対面は非常に滑り易くなり、最も極端な場合、この面を相互に接するように包装すると、包装物を並び揃えるときに不揃いになったり、滑り落ちたり、さらに重量物を包装した場合は運搬時に互いにずれて運搬中に落下するなどの重大な問題が発生する。そのために裏面に防滑層を設けたり、特定の巻圧でロール状に巻き取るなどの技術があるが、滑りに対する根本的な解決には至ってない。
【0005】
また、これらワックスを含む防湿紙は、その防湿性がワックスの形成する極薄い撥水性層に依存しているためか、包装時の折曲げ部分の防湿性が極端に低下する傾向がある。さらにワックスの防湿層表面へのブリードが避けられず、その表面にラベルを添付しようとしてもすぐ剥がれる等の問題があり、さらに常温で液状の強い接着力を持つホットメルト接着剤以外はワックスを含んだ防湿面との接着は不良で、接着できる場合もオープンタイムが非常に短くなってしまうため、使用できるホットメルト接着剤が非常に限定されるという問題もある。また、再離解性を有する粘着テープを使用する方法もあるが、ホットメルト接着に比べ粘着テープを使用する場合は包装時の作業性が大幅に劣るという重大な欠点があり、特定の用途にしか用いられていないのが現状である。
【0006】
このようにワックスを含有する防湿積層体の欠点を解決すべく、本発明者等は過去に紙支持体上に平板状顔料と合成樹脂ラテックスとからなる防湿層を設けた防湿積層体(特開平9−21096号公報)を提案した。この発明は、それ自体は水蒸気を通さないと思われる顔料、例えばフィロケイ酸塩化合物粒子に見られるような平板状の顔料を合成樹脂ラテックスと混合して防湿層を形成させたところ、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が防湿層表面に対して平行に配列して積層するため、防湿層中の水蒸気はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから、水蒸気の所要透過距離が長くなり、結果として大幅に防湿性能が向上することから見出された。
このタイプの防湿紙は厚み方向で水蒸気の透過距離をかせぐため、ブレード塗工方式などの高速で防湿層を形成する場合、紙支持体の凹凸が防湿層の膜厚を左右し、部分的には非常に薄い防湿層膜厚を取らねばならないためブレード塗工品は同一塗工量では防湿性能が劣る。また、ブレード塗工で防湿層を形成するには合成樹脂の配合量の多い塗料を高濃度、高速乾燥する必要がありブリースターなどの面欠陥を生成し易い傾向にある。このため、所望する防湿性を得るためには、平板状顔料の最適な粒子径などを経験的に設定するだけでなく、塗工厚さを過剰に厚く設定することによって、常に安定した防湿性能を得ることも可能ではあるが、この場合は単に経済的に不利となるばかりでなく、古紙回収、再利用時の離解性が大きく劣化してしまう恐れがある。
これらの欠点を改善するために、本発明者らは平板状顔料を用いた防湿層上に水溶性樹脂架橋体を塗工して防湿性を大幅に向上させる方法を出願した(特開平9−268494)。この方法は、防湿層形成時に生成した顔料と樹脂の界面を埋めるために該水溶性架橋体の被覆層を設けるものである。しかし、この方法でもなお、条件や用途によっては十分な防湿性を得ることができない場合もあるため、本発明者らは鋭意研究の結果、更に良好な防湿性を得るための方法を見いだした。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明はワックスを全く含まない防湿積層体であって、ブレード塗工などの高速塗工方式でも高い防湿性を有し、かつ古紙として回収、再利用可能な防湿積層体である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1.紙支持体上の少なくとも片面に平板状顔料とSBRからなる防湿層を形成した防湿紙において、該防湿層が5〜20g/m2であって、ブレード塗工により形成されており、該防湿層上に、合成樹脂ラテックスから得られる被膜成分を含む1〜8g/m2の被覆層を設けることを特徴とする防湿積層体。
2.該被覆層に用いる合成樹脂ラテックスが、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、メタクリレートブタジエン共重合体、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、から選ばれるものを少なくともひとつ含むことを特徴とする防湿積層体。
3.被覆層に顔料を含むことを特徴とする1〜2記載の防湿積層体。
4.顔料が平板状顔料であることを特徴とする3記載の防湿積層体。
5.紙支持体と該防湿層の間にアンダーコート層を形成したことを特徴とする1〜4記載の防湿積層体。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明者らは、平板状顔料による防湿層形成の機構について検討したところ、このような防湿層における防湿性は、平板状顔料を迂回して水分が透過する曲路理論で説明できることが判明した。曲路理論とは、水蒸気が透過できない顔料の表面を迂回して透過するため、透過距離が長くなり、結果として防湿層の膜厚が増大したと同様の効果があるとするものである。この曲路効果についてさらに検討したところ、平板状顔料の枚数の少ない低塗工量の場合でも、非常にゆっくりと丁寧に成膜すると驚くべき防湿性が発揮することを見出した。この原因について詳細に検討したところ、防湿層に含まれる平板状顔料が重なり合い、あたかも一枚の板の如く働く場合のあることが判明した。この効果を発明者らは蓋効果と呼ぶが、この状態は平板状顔料を用いた防湿層としては最も少ない塗工量で大きな防湿性が発現するため好ましいものである。しかし、実際に実用塗工機で塗工すると、塗工により形成された平板顔料の重なり合う集合体に、支持体である紙のパルプ繊維の集合状態(地合い)に追従した欠損部分やピンホールが多発するため、良好な防湿性が得られなかった。これは特にブレード塗工などの生産性の高い方式で製造する場合に顕著であった。しかし、これらの低塗工量の防湿層であっても、該防湿層上に被覆層を設けると、欠損部分やピンホールの発生が重複する確率が下がったり、さらに防湿層の欠損が被覆層の樹脂で埋められるため、所望の低塗工量での防湿性を発現することが可能となる。この考えは、本発明者らが既に特開平9−268494で述べた水溶性樹脂と架橋体からなる被覆層を設けるものと同一ではあるが、防湿層が本発明のような低塗工量の場合には、本発明のような、合成樹脂ラテックスから成膜する樹脂成分を含む被覆層を形成することにより、更に良好な防湿性を得ることができた。
【0010】
本発明では、かかる防湿層の塗工量は5〜25 g/m 2 が好ましく、10〜20g/m2がさらに好ましい。また、被覆層の塗工量は1〜15 g/m 2 が好ましく、1〜8g/m2 がさらに好ましい。また、被覆層には、防湿性積層体表面の滑り性の改良や、摩耗性の防止、また、耐溶剤性の付与などの機能を併せ持ったものとする目的で、各種顔料や滑り改良材、耐摩耗剤などの添加剤を添加することもできる。また、本発明では、防湿層塗工量が少ない場合には被覆層の塗工量を多くするほうがよく、防湿層塗工量が多い場合は被覆層を少なくすることができる。また、被覆層は、樹脂単独で塗工してもよいが、必要に応じて顔料を混入することもできる。なかでも、平板状顔料を混入することにより、防湿層と被覆層の隠蔽力、ひいては蓋効果が発現しやすくなるため好ましい。
【0011】
本発明において、被覆層に顔料を添加する場合は、その配合割合を特に規定するものでないが、顔料体積分率で0.25以下であることが好ましい。0.25以上である被覆層は、被覆層と顔料の間の空隙が少なく、それ自体で防湿性を有する。このように0.25以上であるとそれ自体で防湿性はないが、防湿層塗工量が相対的に多い場合、その上に形成した被覆層と防湿層界面にバインダーが集合するように乾燥されるため、実質的に防湿層に形成された面欠陥を埋める働きがある。防滑性など別の機能を被覆層に形成する場合には好ましい構成である。
【0012】
被覆層に使用する合成樹脂ラテックスは、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、メタクリレートブタジエン共重合体、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、などが挙げられるが、耐水性が良好で、伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエンラテックスが好適である。またスチレン−ブタジエンラテックスは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリルグリシジルエーテルなどで変性されたスチレン−ブタジエンラテックス(変性SBR)を使用しても構わない。これら樹脂のガラス転移点は、−20℃〜+50℃であってもよく、成膜性が保持されるものであればよい。また、成膜性が保持しにくいロジンエマルジョンやポリスチレンボールなどでは本発明の効果を期待することはできない。
【0013】
被覆層に使用される顔料としては、カオリン、タルク、クレー、デッカイト、ナクライト、水酸化アルミニウム、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、無定型シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、など一般塗工紙用の顔料、また、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル酸エステル、ベンゾグウナミン、シリコン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などからなるプラスチックピグメントなどを使用することができるが、以下に述べる防湿層に使用する平板状顔料を用いることもできる。その場合、白雲母や金雲母、絹雲母など雲母族鉱物が特に好ましい。
【0014】
本発明の防湿層に用いる平板状顔料とはその平均粒子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質であり、レーザー回析法で測定した平均粒子径が1μm〜200μmの範囲のものである。その中でも3μm〜100μmが好適であり、さらに好ましくは5μm〜50μmである。特に防湿層を形成するのに有効な粒子径は10〜40μmと考えられる。粒子径が5μm以下のものは塗工層中での該平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくいため効果がなく、50μm以上になると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少すると推察される。
【0015】
平板状物質の粒子径の測定方法にはマイクロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法により平均粒子径を求める方法や、電子顕微鏡の観察によって求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実際の粒径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では実際よりやや大きい値となる。しかし本発明の平均粒子径は測定のし易さ及び再現性の高さなどからマイクロトラックレーザー回折法により測定した。
【0016】
平板状顔料のアスペクト比は、平板状顔料の平均粒子径を厚さで除したものであるが、本発明の効果を発揮するためにはアスペクト比が5以上であることが必要である。特に好ましいものはアスペクト比が10以上である。アスペクト比が5以下のものは塗工面に対して平行に配向できなくなるために防湿性能が劣り、アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿性能を発揮する。
【0017】
アスペクト比を計算するための平板状顔料の厚さは電子顕微鏡観察により測定した。平板状顔料の厚みは顔料の種類、粉砕方法、平均粒子径によって異なる。顔料の種類と粉砕方法が同じであれば、顔料の平均粒子径が大きくなると厚さも大きくなり、結果としてアスペクト比の大きさはほとんど変化しない。粉砕によって厚さを小さくできるが、どのような粉砕方法であっても粒子径が同時に小さくなるのは避けられない。例えば湿式粉砕された白雲母で平均粒子径が40μmのものは厚さの平均は約2μmとなり、アスペクト比は20となる。また平均粒子径20μmまで湿式粉砕すると、厚さが約1μmとなりアスペクト比が20であった。もちろん平均粒子径が20μmといっても2〜60μm程度の粒度分布を有しており、厚さも0.1μm〜数μmの範囲を有するが、平均として1μmであった。
【0018】
これらの形状を有する平板状顔料を本発明の防湿層に用いた場合、その塗工層厚みに対し小さすぎる粒子径のものを使用すると塗工層中の顔料のうち支持体に対して平行に配向するものが少なくなり、結果として塗工量を増大する必要が生じる。従って本発明者らの検討によると、塗工層厚みに対し20%以上の平均粒子径を有する平板状顔料を用いるのが好ましい。一方塗工層厚み以上の平均粒子径を有する平板状顔料は塗工時その一部が塗工層から突出したり、折曲げ時に塗工層に空隙を形成するような場合があり好ましくなく、使用するとしても少量の使用にとどめる必要がある。
【0019】
本発明で使用する平板状顔料は、塗布加工後も平板性(平板状)が保持されており、かつその平板状顔料が持つアスペクト比(平均粒子径を厚さで除した数値)が5以上であれば特に限定されるものではないが、この条件を満たす平板状顔料の中でも、特にフィロケイ酸化合物(層状構造を有する層状ケイ酸塩化合物)であることが好ましい。フィロケイ酸塩化合物に属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、カオリナイト(カオリン鉱物)、雲母族、脆雲母族、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどがある。これらの中でも特に雲母族、タルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。
【0020】
これらのうち最も好適な平板状顔料としては白雲母、金雲母、絹雲母、が粒子径の大きさ、アスペクト比、コストなどの点から好適である。これら顔料についてさらに詳述すれば、雲母粉末の原石をハンマーミル等で乾式粉砕後分級して望みの粒子径分布の部分を使用したり、さらにガラスビーズを水中で粉砕媒として用いたサンドミル等の湿式粉砕を行い望みの粒子径分布の雲母を得る。この際アスペクト比を維持するために過大な力がかからないように粉砕したり、超音波をかけながら湿式粉砕(USP3240203)するなどの配慮を施すことにより、アスペクト比の高い雲母粉末を手にいれることができる。通常これらの方法で得られたアスペクト比は電子顕微鏡の観察などによると20〜30である。一部アスペクト比が100程度のものも得られるが、工業的生産が困難であるうえコスト高になってしまう。
【0021】
雲母に対し絹雲母と称せられるセリサイトは化学組成としては類似しており、SiO2/Al2O3の比率が僅かに大きくK2Oの含有率が小さい。しかし、セリサイトは白雲母に比べ原石が細かいため、一般に粉砕分級して得られた絹雲母の平均粒子径は0.5〜2μm程度であり、市販されているものはこれらの範囲のものがほとんどである。このため本発明を実施するには絹雲母として特異的に大きい粒子径分布のものを使用する必要があるため、粉砕条件を大幅に緩和したり、汎用製品の分級残査粗粒子部分などの中からさらに分級し、必要な大きさのメッシュをパスした粒度分布のものを使用する必要がある。かかるセリサイトは白雲母とほぼ同じアスペクト比を得ることができ、アスペクト比10〜30のものが一般的である。
【0022】
このように、雲母は原石の大きさが絹雲母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度分布を自由に選ぶことが可能である。一方絹雲母の原石は小さいがへき開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は平板状を呈し好ましい。
【0023】
これら平板状顔料を支持体上に層形成するために用いる合成樹脂は水蒸気の透過を基本的に防止する必要がある。種々の合成樹脂をクラフト紙に20g/m2塗工したときの透湿度を測定してみると、透湿度が300g/m2・24hr前後の値を示すもの、800g/m2・24hr前後の値を示すもの、さらには2000g/m2・24hr以上の値を示すものに大別できる。ここで、本発明に用いる合成樹脂の透湿度は同様の測定法で透湿度が500g/m2・24hr以下、さらに望ましくは250g/m2・24hr以下である必要がある。もちろん本発明の効果を阻害しない範囲で、透湿度500g/m2・24hr以上のラテックスを混合使用してもよい。
【0024】
本発明の防湿層に用いる合成樹脂としては、 スチレンブタジエン(SBR)、アクリルスチレン、メタクリレートブタジエン、アクリルニトリルブタジエン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられるが、耐水性の面が良好で伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにSBRが好適である。ここで重合性単量体はスチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。その他のスチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、シアノ基含有エチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和酸のグリシジルエステル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系単量体等が挙げられ、これらの重合性単量体を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、合成樹脂のガラス転移温度(Tg)及びゲル量(テトラヒドロフランなどの有機溶媒による抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成分が主体)は塗工層のブロッキング(塗工面と被包装物表面の接着)のしやすさと成膜性に影響を与える。低Tgかつ低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやすくなるが成膜性は向上する。逆に高Tgかつ高ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性は低下する。通常Tgの範囲は−30℃〜50℃、好ましくは−15℃〜30℃であり、ゲル量の範囲は30%〜95%、好ましくは60%〜90%の範囲で、製膜性とブロッキングのバランスでTgとゲル量が決定される。但し、本発明においては被覆層でブロツキングを発生しにくくすることができるため、防湿層に使用する樹脂は成膜性を重視したものでよい。
【0026】
これら平板状物質と合成樹脂の配合比率は、30/70〜70/30の範囲が好適である。平板状物質が30%以下になると平板状顔料の形成する層数が少なくなったり顔料と顔料の距離が大きすぎるために防湿性が不十分となり、塗工量を増やす必要が生じて非経済的であるうえ、ブロッキングを生じやすくなる。70%以上になると塗工層中に平板状顔料とラテックスの間に空隙が非常に多くなるため防湿性が劣化する。
【0027】
本発明では防湿層にカップリング剤を使用すると一段と防湿性が向上する。
使用するカップリング剤としては、親水基部分にSiを含むシランカップリング剤、親水基部分にTiを含むチタネートカップリング剤、親水基部分にAlを含むアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤の構造は、フィロケイ酸塩化合物のような無機化合物と相互作用する親水基と、樹脂のような有機化合物と相互作用する疎水基に大別され、特にその親水基部分はTi、Al等の金属元素やSiに結合したアルコキシ基を加水分解して得られる。
【0028】
一方、カップリング剤の疎水基部分については、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に疎水化して樹脂マトリックスとの接着性を高める効果がある。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ基等の反応性有機官能基を有する場合、その官能基と樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、より樹脂マトリックスとの接着性が高まる。
該カップリング剤には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γメルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
【0029】
本発明においては、こうしたカップリング剤により、フィロケイ酸塩化合物をインテグラルブレンド法や前処理法などで表面処理して使用することがさらに望ましい。
インテグラルブレンド法はフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂を含む塗工液にカップリング剤を直接添加する方法である。また、前処理法はあらかじめフィロケイ酸塩化合物表面をカップリング剤で処理する方法である。
カップリング剤の添加量はフィロケイ酸塩化合物100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合、カップリング剤によるフィロケイ酸塩化合物表面の被覆が不十分となるため好ましくなく、5重量部を越える場合、カップリング剤の効果が頭打ちとなるため不経済である。
【0030】
また、本発明では、防湿層に活性水素反応化合物を添加して防湿性を向上させることもできる。本発明で使用する活性水素反応性化合物は、合成樹脂に含まれるカルボキシル基、アミド基、水酸基等の活性水素官能基と反応して合成樹脂ラテックスを架橋、高分子化(三次元網目構造)するものである。
【0031】
こうした活性水素反応性化合物としては(1)メチロール基を有し、上記親水性官能基と脱水縮合反応を起こすもの(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂など);(2)アルデヒド基を有し、上記親水性官能基と付加反応を起こすもの(グリオキザールなど);(3)エポキシ基を有し、上記親水性官能基と開環付加反応を起こすもの(ポリグリシジルエーテルなど);(4)多価金属を有し上記親水性官能基と配位結合及び共有結合を形成するもの(炭酸ジルコニウムなど);(5)水溶液中でカチオン性を示しアニオン性官能基とイオン結合を形成するもの(ポリアミン化合物、ポリアミドアミン樹脂やポリアミドエピクロロ樹脂などのカチオン性樹脂)などがある。
【0032】
活性水素反応性化合物の配合量は合成樹脂ラテックス100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が望ましい。活性水素反応性化合物の配合量が0.01重量部未満の場合、活性水素反応性化合物と活性水素官能基との反応性が著しく低下するため好ましくなく、また10重量部を越えると透湿度向上や耐ブロッキングに対する効果が頭打ちとなったり、未反応の活性水素反応性化合物が析出するなどの問題が発生するため好ましくない。
【0033】
さらに、本発明では紙支持体と該防湿層の間にアンダーコート層を形成して防湿層塗工量をさらに少なくした防湿積層体を得ることもできる。該アンダーコート層は、上記顔料や樹脂を任意に選択して形成する。アンダーコートに必要な塗工量は5〜20g/m2、好ましくは7〜15g/m2程度である。アンダーコート層自体の防湿性については特に制約を設ける必要はなく、顔料比率として70%を越える物であってもよい。
【0034】
防湿塗料は平板状顔料を水中で分散し合成樹脂エマルジョンあるいはアルカリ水や溶剤で可溶化された合成樹脂と混合するか、合成樹脂エマルジョン中またはアルカリ水や溶剤で可溶化された合成樹脂中で顔料を分散し、所定の固形分に調整し塗料とする。また、被覆層は水溶性樹脂と、必要とあらば顔料を所定の固形分に調整し塗料とする。このとき必要とあらば、増粘剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、色合い調整剤、無機顔料、有機顔料を添加したりすることができる。
【0035】
また、片面にのみ防湿層を形成する場合は、塗工面の反対側にはカール防止のために水塗りをする方が好ましい。
【0036】
本発明の防湿層及び被覆層を形成するための塗工設備としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーターグラビアコーター、カーテンコーター、スライドコーター、コンマコーター、ダイコーター等公知の設備から任意に選択することができる。
特に防湿層形成の場合、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーターなどの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料の配向を促す傾向があるので好ましい。なかでもブレードコーターは高速塗工が可能なため特に好ましい。
【0037】
支持体としては、機械的離解作用によって水中で分散しやすいものとして、例えば広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプのような化学パルプ、機械パルプ等から選ばれたパルプを原料とした上質紙、中質紙、片艶クラフト紙、両更クラフト紙、クラフト伸長紙等が挙げられる。これらの原紙の坪量に格別の限定はなく、30〜300g/m2のものが適宜目的に応じて用いられる。
【0038】
本発明の塗工層はワックス類を含んでないため、塗工面はもちろん塗工面の反対面もワックス類が転移することがなく滑りやすくなることはない。防湿紙を折曲げたときも層全体の厚みで抵抗するため折曲げ時の透湿度の低下は少ない。また、ワックス類のような離型性を有する表面ではないため、汎用の糊を用いたラベルを張り付けても脱落するようなことはない。さらに、ポリビニルアルコール樹脂を主体とするホットメルト接着剤は水で再離解可能であるためかかる接着剤の使用が好ましいが、本防湿紙はワックス類を使用していないため通常のオープンタイムで使用することができる。もちろん合成ゴム系やエチレンビニル酢酸系などの一般に使用されているホットメルト接着剤も問題なく使用できる。
【0039】
本発明の防湿積層体は被膜形成性のよい合成樹脂を用いるため再離解性に懸念が残ると推察するのが当然である。しかし驚くべきことに、本発明のように粒子径の大きな平板状顔料を有すると、古紙回収ののち再離解工程で水スラリーを撹伴すると、機械力により平板状顔料が破断の起点となって、容易に崩壊し、合成樹脂被膜もろとも塗工層が破断して極小細片へ分解し、ほぼ再離解と考えてよい状態にすることができる。即ち、ポリエチレンをラミネートしたポリラミ紙を離解すると粗大な薄片が残存するのに対し、本防湿積層体を再離解すると粗大薄片を認めない状態にまで離解することが可能である。
【0040】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。なお実施例中の重量部はすべて固形分換算である。
【0041】
【実施例】
<実施例1>
平板状顔料として金雲母(平均粒子径40μm、アスペクト比20〜30)100重量部と水100重量部とをカウレス分散機を用い、回転数2000rpmで2時間分散した。得られた前記顔料スラリ−50重量部とSBRラテックス(Tg20℃、ゲル分率84%、固形分濃度50%)25重量部とを混合して防湿塗料を調整し、これを未晒両更クラフト紙にブレードを用いて塗工量が15g/m2(固形分)となるように手塗りした後、熱風循環乾燥機を用いて110℃、1分間乾燥させて防湿層を形成した。次いで、防湿層に用いたのと同様のSBRラテックス単独からなる被覆層塗料を、該防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が2g/m2(固形分)となるように手塗りした後、熱風循環乾燥機を用いて110℃、1分間乾燥させて被覆層を形成し、防湿積層体を得た。
【0043】
<実施例2>
実施例1における防湿層の塗工量を12g/m2とし、かつ金雲母100重量部と水100重量部とを、実施例1と同様の方法にて分散し、前記顔料スラリー50重量部とSBRラテックス(Tg20℃、ゲル量84%、固形分50%)25重量部とを混合したものを被覆層塗料とし、これを前記防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が3g/m2となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0044】
<実施例3>
防湿層に用いる平板状顔料として、金雲母の代わりに白雲母(粒子径20μm、アスペクト比20〜30)とし、かつ防湿層の塗工量が18g/m2、および被覆層の塗工量が5g/m2となるようにそれぞれ手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0046】
<実施例4>
実施例2における防湿層中に、カップリング剤としてエポキシシランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)を、対固形分比(防湿層)で1重量部配合したこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例5>
実施例2における防湿層中に、カップリング剤としてアミノチタネ−トカップリング剤(商品名:KR44、味の素(株)製、有効成分99%以上)を、対固形分比(防湿層)で1重量部配合したこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
【0047】
<実施例6>
水50重量部に、25%アンモニア水を2重量部、アミノシランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学工業(株)製、有効成分99%以上)0.5重量部、および活性水素反応性化合物としてポリアミドポリ尿素樹脂(商品名:SR302、住友化学(株)製、固形分60%)1重量部をそれぞれ加えて撹拌した後、実施例1および実施例4とは性状の異なるSBRラテックス(Tg20℃、ゲル分率94%、固形分濃度50%)25重量部、および金雲母(平均粒子径40μm、アスペクト比20〜30)25重量部を順次撹拌しながら加えて防湿塗料を調整し、これを未晒両更クラフト紙に塗工量が12g/m2(固形分)となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例2と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例7>
実施例6にて得られる防湿塗料をそのまま被覆層塗料とし、これを実施例6にて得られる防湿層上にメイヤーバーを用いて塗工量が2g/m2となるように手塗りしたこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
【0048】
<比較例1>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例2>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例3と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例3>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例4と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例4>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例5と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例5>
被覆層を設けなかったこと以外はすべて実施例6と同様にして防湿積層体を得た。
【0049】
実施例1〜7、比較例1〜5で得られた防湿積層体について透湿度を評価するための試験に供した。
【0050】
<試験方法>
1)透湿度JIS Z0208(カップ法)B法で塗工面を外側にして測定した。透湿度の基準として50g/m2・24hr以下であれば十分実用性があるが、35g/m2・24hr以下であれば用途拡大が望める。
【0051】
【表1】
【0052】
<評価結果>
表1より被覆層を設けると透湿度が大幅に小さくなる(実施例1,3,4,5,7、比較例1,2,3,4,5)。被覆層樹脂の種類で透湿度の差はほとんどない(実施例1)。また、顔料を添加しても被覆層がない場合と比較して透湿度は小さくなる(実施例2,4,5,6)。被覆層に雲母族鉱物を使用すると透湿度は低下している(実施例2,4,5,6,7)。また、防湿層にカップリング剤や活性水素化物を添加すると透湿度は小さくなる(実施例4,5,6,7)。
【0053】
【発明の効果】
防湿層上に合成樹脂乳化物から成膜される成分を含む被覆層を設けることで防湿性が向上する。
Claims (5)
- 紙支持体上の少なくとも片面に平板状顔料とSBRからなる防湿層を形成した防湿紙において、該防湿層が5〜20g/m2であって、ブレード塗工により形成されており、該防湿層上に、合成樹脂ラテックスから得られる被膜成分を含む1〜8g/m2の被覆層を設けることを特徴とする防湿積層体。
- 被覆層に用いる合成樹脂ラテックスが、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、メタクリレートブタジエン共重合体、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、から選ばれるものを少なくともひとつ含むことを特徴とする請求項1記載の防湿積層体。
- 被覆層が顔料を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の防湿積層体。
- 顔料が平板状顔料であることを特徴とする請求項3記載の防湿積層体。
- 紙支持体と防湿層の間にアンダーコート層を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防湿積層体。
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