JP3531340B2 - 防湿積層体 - Google Patents
防湿積層体Info
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Description
層を形成せしめた古紙回収可能な防湿性紙であり、特に
防湿面と反対面どうしの滑りが発生せず、防湿性紙折曲
げ時の防湿性の低下がなく、ラベルの添付が容易で、包
装時再離解性のあるホットメルト接着剤の使用を可能に
した全く新しい防湿積層体を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】紙の支持体上にポリエチレンやポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニリデンなどの被膜形成性を有する
高分子化合物をラミネートあるいは張り合わせて水蒸気
の透過を防止することは公知の技術である。しかし、こ
の種の紙は被膜層が強固であるため防湿性の機能は充分
発揮できるが、古紙回収の際にはパルプ繊維がフロック
状に残存したり被膜そのものが大きなシート状に残存す
るなどの問題があるため使用済み該防湿性紙を焼却処分
あるいは埋め立て処分とするしかなく、環境保護や資源
の再利用の面から問題がある。 【0003】これに対し古紙回収の可能な包装紙とし
て、特定の組成のパラフィンワックスを含むエマルジョ
ンをクラフト紙の片面または両面に塗布して防湿性紙を
製造する方法(特開昭50−36711号)、合成炭化
水素系樹脂およびワックスをスチレン−マレイン酸系共
重合体および界面活性剤を用いて水に分散させて得たエ
マルジョンとの混合物よりなる紙の防湿加工用組成物
(特開昭56−148997号)が開示されている。さ
らに、特定の融点を有するパラフィンワックス、マレイ
ン化、若しくはフマール化ロジンと多価アルコールとの
エステル化物、液状ポリブテン、およびロジンなどを主
成分とするワックスエマルジョン、或いは前記ワックス
エマルジョンと合成ゴム系ラテックスとの混合物を上質
紙、クラフト紙などの繊維質基材表面に塗布し、加温下
に乾燥する防湿性紙の製造方法が開示されている(特開
昭61−47896号)。その他に、古紙として回収可
能な防湿性紙に関しては、原紙に対してある種の合成ゴ
ム系ラテックスとワックス系エマルジョンを混合した塗
工液を塗工することを基本とする製造方法が開示されて
いる(包装技術、昭和57年9月号、42〜46頁)。 【0004】これらパラフィンワックスを使用する防湿
性紙はいずれも再離解性を有する防湿性紙であるが、か
かる防湿性紙をロール状に巻き取った場合、防湿層表面
に含まれるワックスが反対裏面に転移し、その結果防湿
層の反対面は非常に滑り易くなり、最も極端な場合、こ
の面を相互に接するように包装すると、包装物を並び揃
える時に不揃いになったり、滑り落ちたり、さらに重量
物を包装した場合は運搬時に互いにずれて運搬中に落下
するなどの重大な問題が発生する。そのために裏面に防
滑層を設けたり、特定の巻圧でロール状に巻き取るなど
の技術があるが、滑りに対する根本的な解決には至って
ない。 【0005】また、これらワックスを含む防湿性紙はそ
の防湿性がワックスの形成する極薄い撥水性層に依存し
ているためか、包装時の折曲げ部分の防湿性が極端に低
下する傾向がある。さらにワックスの防湿層表面へのブ
リードが避けられず、その表面にラベルを添付しようと
してもすぐはがれる等の問題があり、さらに常温で液状
の強い接着力を持つホットメルト接着剤以外はワックス
を含んだ防湿面との接着は不良で、接着できる場合もオ
ープンタイムが非常に短くなってしまうため、使用でき
るホットメルト接着剤が非常に限定されるという問題も
ある。また、再離解性を有する粘着テープを使用する方
法もあるが、ホットメルト接着に比べ粘着テープを使用
する場合は包装時の作業性が大幅に劣るという重大な欠
点があり、特定の用途にしか用いられていないのが現状
である。 【0006】さらに、ワックスを含まない防湿性紙とし
て特定の平板状物質と合成樹脂からなる防湿性紙が本発
明者らによって出願されているが、防湿性はポリエチレ
ンラミネート紙なみ程度しか得られず、用途を拡大する
ためにはさらに高い防湿性が要求される。 【0007】 【本発明が解決しようとする課題】本発明はワックスを
全く含まない防湿積層体であって、しかも高い防湿性を
有し、かつ古紙回収可能な防湿積層体である。 【0008】 【課題を解決するための手段】特定の平板状顔料と合成
樹脂からなる防湿性紙は、平板状顔料が防湿層に対して
平行に多層配列し、水蒸気の透過距離が増大するために
防湿性を発揮する。そのため平板状顔料の形状や合成樹
脂単独の防湿性が重要であるが、両者を最適化しても防
湿性に限界があることが判明した。即ち上記のような防
湿層においては水蒸気は合成樹脂中又は合成樹脂と平板
状顔料の界面の空隙を通過するので、本発明者らは該界
面を被覆層によって埋めることができれば防湿性が向上
すると考え鋭意検討した。まず、水溶性樹脂からなる被
覆層を該防湿層上に設けてみたが、十分な防湿性向上は
みられなかった。これは、水溶性樹脂が防湿層の空隙を
埋めることはできても、水溶性樹脂またはアルカリ可溶
性重合物の吸湿性が大きいため防湿性の向上には至らな
かったのだと考えられる。そこで、成膜後の水溶性樹脂
の吸湿性を低下させるため、水溶性樹脂に架橋剤を加え
たところ大幅な防湿性向上が認められた。 【0009】即ち本発明は、紙支持体上の少なくとも片
面にアスペクト比が5以上、かつ平均粒子径が5〜50
μmである平板状顔料と合成樹脂からなる防湿性組成物
層を形成した防湿性紙において、該防湿性組成物層上に
0.1〜10g/m2の水溶性樹脂の架橋体からなる被覆
層を設けることを特徴とする防湿積層体である。 【0010】 【作用】水溶性樹脂の被覆層を設けることで該水溶性樹
脂が防湿層にあった微少な欠陥を埋め、かつ、架橋剤が
水溶性樹脂の吸湿性を低下させ、防湿性を向上させる。
以下に本発明について詳細に説明する。 【0011】 【発明の実施の形態】被覆層に使用する水溶性樹脂は
水、熱水、またはアルカリ性水溶液に可溶な樹脂なら特
に限定はしないが、一般に分子量が数百〜数万の樹脂
で、親水性基としてカルボキシル基、水酸基、アミノ基
などを有している。例えばデンプン、ポリビニルアルコ
ール及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース、エチレン性不飽和カルボン
酸およびこれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和
単量体の重合体やその中和物などが挙げられる。 【0012】エチレン性不飽和カルボン酸およびこれと
共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体の重合体
にはポリアクリル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、スチレン−
アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ア
クリル酸共重合体などが挙げられる。 【0013】これらアルカリ可溶性重合体の中和に用い
る塩基性物質としては水中で塩基性を示す物質なら特に
制限はないが、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属
が好適である。 【0014】被覆層に使用する架橋剤は、水溶性樹脂に
含まれるカルボキシル基、水酸基、アミノ基などの親水
性官能基と反応するものである。こうした架橋剤として
は(1)尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン
樹脂、ポリアミドポリ尿素・ホルマリン樹脂のようにメ
チロール基を有し、上記親水性官能基と脱水反応を起こ
すもの、(2)グリオキザールのようにアルデヒド基を
有するか、イソシアネート化合物のようにイソシアネー
ト基を有し、上記親水性官能基と付加反応を起こすも
の、(3)ポリグリシジルエーテル化合物、ポリアミド
・エポキシ樹脂のようにエポキシ基を有し、上記親水性
官能基と開環付加反応を起こすもの、(4)炭酸ジルコ
ニルアンモニウムのように多価金属を有し上記親水性官
能基と配位結合および共有結合を形成するものなどがあ
る。 【0015】これらの架橋剤のうち親水性官能基との反
応性においては尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホル
マリン樹脂、グリオキザール、イソシアネート化合物が
好適である。しかし、加熱乾燥時に発生するホルマリン
の作業環境へ与える悪影響を考えると、ホルマリンの発
生しないポリアミド・エポキシ樹脂、炭酸ジルコニルア
ンモニウム、ポリグリシジルエーテル化合物が好適であ
る。 【0016】架橋剤の配合量は水溶性樹脂に対して0.
1〜30%、好ましくは0.5〜20%、さらに好まし
くは1〜10%である。 【0017】被覆層の塗工量は固形分換算で0.1〜1
0g/m2が好適である。さらに好ましくは0.5〜5g/
m2である。塗工量が0.1g/m2以下だと防湿性向上の
効果が期待できず、10g/m2以上では効果が頭打ちと
なるうえ不経済である。 【0018】本発明の防湿層に用いる平板状顔料とはそ
の平均粒子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質で
あり、レーザー回析法で測定した平均粒子径が1μm〜
200μmの範囲である。その中でも3μm〜100μm
が好適であり、さらに好ましくは5μm〜50μmであ
る。特に防湿性に有効な粒子径は10〜40μmと考え
られる。粒子径が5μm以下のもは塗工層中での該平板
状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくいため防
湿性に効果がなく、50μm以上になると平板状顔料の
一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μ
m程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中に
おける層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効
果が減少すると推察される。 【0019】平板状物質の粒子径の測定方法にはマイク
ロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法によ
り平均粒子径を求める方法や電子顕微鏡の観察によって
求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値
に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実
際の粒径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では
実際よりやや大きい値となる。しかし本発明の平均粒子
径は測定のし易さおよび再現性の高さなどからマイクロ
トラックレーザー回折法により測定した。 【0020】アスペクト比は本発明において平板状顔料
の平均粒子径を厚さで除したものであるが、本発明の効
果を発揮するためには平板状顔料のアスペクト比が5以
上であることが必要である。特に好ましいものはアスペ
クト比が10以上の平板状顔料である。アスペクト比が
5以下のものは塗工面に対して平行に配向できなくなる
ため防湿性能が劣り、アスペクト比は大きいほど平板状
顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿
性能を発揮する。 【0021】アスペクト比を計算するための平板状顔料
の厚さは電子顕微鏡観察により測定した。平板状顔料の
厚みは顔料の種類、粉砕方法、平均粒子径によって異な
る。顔料の種類と粉砕方法が同じであれば、顔料の平均
粒子径が大きくなると厚さも大きくなり、結果としてア
スペクト比の大きさはほとんど変化しない。粉砕によっ
て厚さを小さくできるが、どのような粉砕方法であって
も粒子径が同時に小さくなるのは避けられない。例えば
湿式粉砕された白雲母で平均粒子径が40μmのものは
厚さの平均は約2μmとなりアスペクト比は20とな
る。また平均粒子径20μmまで湿式粉砕すると、厚さ
が約1μmとなりアスペクト比が20であった。もちろ
ん平均粒子径が20μmといっても2〜60μm程度の
粒度分布を有しており、厚さも0.1μm〜数μmの範
囲を有するが、平均として1μmであった。 【0022】これらの形状を有する平板状顔料を本発明
の防湿層に用いた場合、その塗工層厚みに対し小さすぎ
る粒子径のものを使用すると塗工層中の顔料のうち支持
体に対して平行に配向するものが少なくなり、結果とし
て塗工量を増大する必要が生じる。従って本発明者らの
検討によると、塗工層厚みに対し20%以上の平均粒子
径を有する平板状顔料を用いるのが好ましい。一方塗工
層厚み以上の平均粒子径を有する平板状顔料は塗工時そ
の一部が塗工層から突出したり、折曲げ時に塗工層に空
隙を形成するような場合があり好ましくなく、使用する
としても少量の使用にとどめる必要がある。 【0023】該平板状顔料は、フィロケイ酸塩鉱物、天
然燐片状黒鉛などが挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に
属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有
し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥
石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱
物がある。これらの中でも産出されるときの粒子が大き
く産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好まし
い。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セ
リサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオ
タイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソー
ダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パ
ラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。カオリン
などの粘土鉱物も一般的には平板結晶と言われている。
確かに結晶一個をとれば平板の部分はあるが、全体とし
ては粒状であり使用できない。もちろんカオリンの中で
も意識的に結晶層を剥離し平板になるように切りだした
デラミカオリンなどで粒子径が5μm以上のものは本発
明に含まれる。 【0024】これらのうち最も好適な平板状顔料として
は白雲母、絹雲母、タルクが粒子径の大きさ、アスペク
ト比、コストなどの点から好適である。これら顔料につ
いてさらに詳述すれば、白雲母粉末の化学組成は一般
式;K2O・3Al2O3・6SiO2・2H2Oで表現さ
れるものである。この白雲母原石をハンマーミル等で乾
式粉砕後分級して望みの粒子径分布の部分を使用した
り、さらにガラスビーズを水中で粉砕媒として用いたサ
ンドミル等の湿式粉砕を行い望みの粒子径分布の雲母を
得る。この際アスペクト比を維持するために過大な力が
かからないように粉砕したり、超音波をかけながら湿式
粉砕(USP3240203)するなどの配慮を施すこ
とにより、アスペクト比の高い雲母粉末を手にいれるこ
とができる。通常これらの方法で得られたアスペクト比
は電子顕微鏡の観察などによると20〜30である。一
部アスペクト比が100程度のものも得られるが、工業
的生産が困難であるうえコスト高になってしまう。 【0025】白雲母に対し絹雲母と称せられるセリサイ
トは化学組成としては類似しており、SiO2/Al2O
3の比率が僅かに大きくK2Oの含有率が小さい。しか
し、セリサイトは白雲母に比べ原石が細かいため、一般
に粉砕分級して得られた絹雲母の平均粒子径は0.5〜
2μm程度であり、市販されているものはこれらの範囲
のものがほとんどである。この為本発明を実施するには
絹雲母として特異的に大きい粒子径分布のものを使用す
る必要があるため、粉砕条件を大幅に緩和したり、汎用
製品の分級残査粗粒子部分などの中からさらに分級し、
必要な大きさのメッシュをパスした粒度分布のものを使
用する必要がある。かかるセリサイトは白雲母とほぼ同
じアスペクト比を得ることができ、アスペクト比10〜
30のものが一般的である。 【0026】タルクは滑石ともよばれケイ酸マグネシュ
ウムの水和物であり、一般に薄片板状の粒子ではある。
しかし、一般に市販されているタルクの粒子径は0.1
〜3μm程度であり、本発明を実施する為には一般製紙
用ではなく窯業用の粗大なものを使用したり、絹雲母と
同様な粉砕分級の操作を施し粒子径10μm前後のもの
を得る必要がある。なお、タルクのアスペクト比は白雲
母や絹雲母に比べ小さく、5〜10程度である。 【0027】このように、白雲母は原石の大きさが絹雲
母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度
分布を自由に選ぶことが可能である。一方絹雲母は原石
は小さいがへき開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は平
板状を呈し好ましい。またタルクは粒子径、アスペクト
比があまり大きくないが、コスト的に有利なため多量に
使用できる。 【0028】これら平板状顔料を支持体上に層形成する
ために用いる合成樹脂は水蒸気の透過を基本的に防止す
る必要がある。種々の合成樹脂をクラフト紙に20g/m
2塗工したときの透湿度を測定してみると、透湿度が3
00g/m2・24hr前後の値を示すもの、800g/m2・24hr
前後の値を示すもの、さらには2000g/m2・24hr以上
の値を示すものに大別出来る。ここで、本発明に用いる
合成樹脂の透湿度は同様の測定法で透湿度が500g/m
2・24hr以下、さらに望ましくは250g/m2・24hr以下で
ある必要がある。もちろん本発明の効果を阻害しない範
囲で、透湿度500g/m2・24hr以上のラテックスを混合
使用してもよい。 【0029】本発明に用いる合成樹脂としては、 スチ
レンブタジエン(SBR)、アクリルスチレン、メタク
リレートブタジエン、アクリルニトリルブタジエン、ポ
リエステル、ポリウレタンなどが挙げられるが、耐水性
の面が良好で伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生
じにくいためにSBRが好適である。ここで重合性単量
体はスチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、
その他のスチレンおよび1,3-ブタジエンと共重合可
能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用する
ことができる。その他のスチレン及び1,3-ブタジエ
ンと共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル単量
体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、シアノ基含有
エチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和酸のグリシ
ジルエステル、不飽和アルコールのグリシジルエーテ
ル、(メタ)アクリルアミド系単量体等が挙げられ、こ
れらの重合性単量体を単独でまたは二種以上を組み合わ
せて用いることが出来る。 【0030】また、合成樹脂のガラス転移温度(Tg)
およびゲル量(テトラヒドロフランなどの有機溶媒によ
る抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成分が主
体)は塗工層のブロッキング(塗工面と被包装物表面の
接着)のしやすさと成膜性に影響を与える。低Tgかつ
低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやすくなる
が成膜性は向上する。逆に高Tgかつ高ゲル量の樹脂を
使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性は低下
する。通常Tgの範囲は−30度〜50度、好ましくは
−15度〜30度であり、ゲル量の範囲は30%〜95
%、好ましくは60%〜90%の範囲で、製膜性とブロ
ッキングのバランスでTgとゲル量が決定される。 【0031】これら平板状物質と合成樹脂の配合比率
は、30/70〜70/30の範囲が好適である。平板
状物質が30%以下になると平板状顔料の形成する層数
が少なくなったり顔料と顔料の距離が大きすぎるために
防湿性が不十分となり、塗工量を増やす必要が生じて非
経済的であるうえ、ブロッキングを生じやすくなる。7
0%以上になると塗工層中に平板状顔料とラテックスの
間に空隙が非常に多くなるため防湿性が劣化する。 【0032】これら防湿層の塗工量は15〜50g/m2
の範囲が好適で、さらに好ましくは20〜40g/m2の
範囲である。塗工量が15g/m2以下になると平板状顔
料の層形成が不充分となるため防湿性が大幅に劣化し、
50g/m2以上になると透湿度の向上が頭打ちとなるの
で非経済的である。 【0033】防湿塗料は平板状顔料を水中またはトルエ
ンやMEKなどの溶剤で分散し合成樹脂エマルジョンあ
るいはアルカリ水や溶剤で可溶化された合成樹脂と混合
するか、合成樹脂エマルジョン中またはアルカリ水や溶
剤で可溶化された合成樹脂中で顔料を分散し、所定の固
形分に調整し塗料とする。また、被覆層は水溶性樹脂と
架橋剤を所定の固形分に調整し塗料とする。このとき必
要とあらば、増粘剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、色
合い調成剤、無機顔料、有機顔料を添加したりすること
ができる。 【0034】また、片面にのみ防湿層を形成する場合は
塗工面の反対側にはカール防止のために水塗りをする方
が好ましい。 【0035】防湿層及び被覆層を形成するための塗工設
備として特に限定はしないが、エアナイフコーター、バ
ーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲー
トロールコーター、グラビアコーター、カーテンコータ
ー、スライドコーター、コンマコーター、ダイコーター
等から任意に選択することができる。特に防湿層形成の
場合、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコ
ーターなどの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平
板状顔料の配向を促す傾向があるので好ましい。 【0036】支持体としては、機械的離解作用によって
水中で分散しやすいものとして、例えば広葉樹クラフト
パルプや針葉樹クラフトパルプのような化学パルプ、機
械パルプ等から選ばれたパルプを原料とした上質紙、中
質紙、片艶クラフト紙、両更クラフト紙、クラフト伸長
紙等が挙げられる。これらの原紙の坪量に格別の限定は
なく、30〜300g/m2のものが適宜目的に応じて選
択されて用いられる。 【0037】本発明の塗工層はワックス類を含んでいな
いため塗工面はもちろん塗工面の反対面もワックス類が
転移していないので滑りやすくなることはない。防湿性
紙を折曲げた時も層全体の厚みで抵抗する為折曲げ時の
透湿度の低下は少ない。また、ワックス類のような離型
性を有する表面ではないため、汎用の糊を用いたラベル
を張り付けても脱落するようなことはない。さらに、ポ
リビニルアルコール樹脂を主体とするホットメルト接着
剤は水で再離解可能であるためかかる接着剤の使用が好
ましいが、本防湿性紙はワックス類を使用していないた
め通常のオープンタイムで使用することができる。もち
ろん合成ゴム系やエチレンビニル酢酸系などの一般に使
用されているホットメルト接着剤も問題なく使用でき
る。 【0038】本発明の防湿積層体は被膜形成性の良い合
成樹脂を大量に用いるため再離解性に懸念が残ると推察
するのが当然である。しかし驚くべき事に、本発明のよ
うに粒子径の大きな平板状顔料を有すると、古紙回収の
のち再離解工程で水スラリーを攪伴すると、機械力によ
り平板状顔料が破断の起点となって、容易に崩壊し、合
成樹脂被膜もろとも塗工層が破断して極小細片へ分解
し、ほぼ再離解と考えて良い状態にすることが出来る。
即ち、ポリエチレンをラミネートしたポリラミ紙を離解
すると粗大な薄片が残存するのに対し、本防湿積層体を
再離解すると粗大薄片を認めない状態にまで離解するこ
とが可能である。 【0039】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではな
い。なお実施例中の重量部はすべて固形分換算である。 【0040】 【実施例】 実施例1 平板状顔料として絹雲母(商品名:KF1325、平均
粒子径13μm、アスペクト比20〜30、中央カオリ
ン(株)製)100重量部、ポリアクリル酸系分散剤(商
品名:キャリボンL400、東亞合成(株)製)0.4重
量部、水100重量部をカウレス分散機を用い回転数2
000rpmで2時間分散した。得られたKF1325分
散液50重量部とSBRラテックス(商品名:LX40
7S1X1、Tg14℃、ゲル量80%、日本ゼオン
(株)製)50重量部を混合し防湿層塗料を調製し、未晒
両更クラフト紙にメイヤーバーで固形分として塗工量3
0g/m2になるように手塗りした後、熱風循環乾燥機を
用いて110℃で1分間乾燥させ防湿層を形成した。次
に水溶性樹脂としてデンプン(商品名:王子エースA、
王子コーンスターチ(株)製)10重量部、架橋剤として
メラミン・ホルマリン樹脂(商品名:ユーラミンP63
00、三井東圧(株)製)0.5重量部、水90重量部か
らなる被覆層塗料を防湿層上にメイヤーバーで固形分と
して塗工量2g/m2となるように手塗りした後、熱風循
環乾燥機を用いて110℃1分間乾燥させ被覆層を形成
し防湿積層体を製造した。 【0041】実施例2〜7 被覆層に用いる水溶性樹脂を実施例2はポリカルボン酸
アンモニウム水溶液(商品名:ディスコートN−14、
第一工業製薬(株)製)、実施例3はポリビニルアルコー
ル(商品名:L3266、日本合成化学(株)製)の10
%水溶液、実施例4はポリアクリル酸水溶液(商品名:
SER1004、日本ゼオン(株)製)、実施例5はジイ
ソブチレン無水マレイン酸アンモニウム塩水溶液(商品
名:ポリマロン482、荒川化学工業(株)製)、実施例
6はカルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンW
SA、第一工業製薬(株)製)の10%水溶液、実施例7
はアルカリ可溶性重合体中和物(単量体組成:メチルメ
タアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=
51/26/23、アンモニア中和品、Tg65℃)と
したこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を製造
した。 【0042】実施例8〜11 被覆層に用いる架橋剤を実施例8はポリグリシジルエー
テル(商品名:デナコールEX313、ナガセ化成(株)
製)、実施例9は炭酸ジルコニルアンモニウム(商品
名:ジルコゾールAC−7、第一稀元素(株)製)、実施
例10はグリオキザール(和光純薬(株)製)、実施例1
1はイソシアネート化合物(商品名:KBX0155、
昭和高分子(株)製)としたこと以外は実施例1と同様に
防湿積層体を製造した。 【0043】実施例12〜15 被覆層の塗工量を実施例12は0.1g/m2、実施例1
3は0.5g/m2、実施例14は5g/m2、実施例15は
10g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして防湿
積層体を製造した。 【0044】実施例16〜19 防湿層に用いる平板状顔料として絹雲母の代わりに実施
例16は白雲母(商品名:マイカA21、粒子径20μ
m、アスペクト比20〜30、(株)山口雲母工業所
製)、実施例17はタルク(商品名:シュウエン、粒子
径15μm、アスペクト比5〜10、中央カオリン(株)
製)、実施例18は白雲母(商品名:マイカA41、粒
子径45μm、アスペクト比20〜30、山口雲母工業
( 株 ) 製)、実施例19は絹雲母(商品名:セリサイトS
M、粒子径8μm、アスペクト比20〜30、堀江化工
( 株 ) 製)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積
層体を製造した。 【0045】実施例20〜23 防湿層に用いる合成樹脂としてLX407S1X1の代
わりに実施例20はSBRラテックス(商品名:ポリラ
ック686A3、Tg−1℃、ゲル量40%、三井東圧
化学(株)製)、実施例21はポリエステルエマルジョン
(商品名:バイロナールMD1400、Tg23℃、東
洋紡績(株)製)、実施例22はアクリルスチレンエマル
ジョン(商品名:AD−81B、Tg20℃、ゲル量7
0%、カネボウNSC(株)製)、実施例23はアクリル
ニトリルブタジエンラテックス(商品名:LX550、
Tg−22℃、日本ゼオン(株)製)を用いたこと以外は
実施例1と同様にして防湿積層体を製造した。 【0046】比較例1〜9 被覆層を設けなかったこと以外は比較例1は実施例1と
同様に、比較例2〜9はそれぞれ実施例16〜23と同
様にして防湿紙を製造した。 【0047】比較例10〜16 架橋剤を加えなかったこと以外は比較例10〜16はそ
れぞれ実施例1から実施例7と同様にして防湿積層体を
製造した。 【0048】実施例1〜23、比較例1〜16で得られ
た防湿性紙について透湿度を評価するための試験に供し
た。 【0049】<試験方法> 1)透湿度 JIS Z0208(カップ法)B法で塗工面を外側に
して測定した。透湿度の基準として50g/m2・24hr以下
であれば十分実用性があるが、35g/m2・24hr以下であ
れば用途拡大が望める。 2)平均粒子径 島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−110
0 V2.0((株)島津製作所製)によって水中に分散
させた顔料の粒子径を以下の方法で測定した。なお、本
発明中における粒子径は平均粒子径(積算体積率が50
%の粒子径)である。 測定範囲:1〜150μmまたは0.1〜45μm 屈折率 :1.6 計算方法:直接計算法 測定回数:4回 測定間隔:2秒 【0050】<評価結果>評価結果を表1〜表4に示
す。表1より水溶性樹脂の架橋体からなる被覆層を設け
ると透湿度が15g/m2・24hr程度に小さくなる。水溶性
樹脂の種類で透湿度の差はほとんどない。また、架橋剤
を添加しないと被覆層がない場合と比較して透湿度はほ
とんど変わらない。表2より架橋剤の種類に関わりなく
透湿度は低下している。表3より被覆層の塗工量は0.
1〜10g/m2が好適でさらに好ましくは0.5〜5g/
m2である。表4より防湿層に用いる合成樹脂や平板状
顔料の種類に関係なく被覆層を設けることで透湿度が低
下する。 【0051】 【発明の効果】防湿層上に水溶性樹脂の架橋体からなる
被覆層を設けることで防湿性が向上する。 【0052】 【表1】【0053】 【表2】 【0054】 【表3】 【0055】 【表4】
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】紙支持体上の少なくとも片面にアスペクト
比が5以上、かつ平均粒子径が5〜50μmである平板
状顔料と合成樹脂からなる防湿性組成物層を形成した防
湿性紙において、該防湿性組成物層上に0.1〜10g/
m2の水溶性樹脂の架橋体からなる被覆層を設けること
を特徴とする防湿積層体。
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---|---|---|---|
JP07222996A JP3531340B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 防湿積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07222996A JP3531340B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 防湿積層体 |
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JPH09268494A JPH09268494A (ja) | 1997-10-14 |
JP3531340B2 true JP3531340B2 (ja) | 2004-05-31 |
Family
ID=13483241
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JP07222996A Expired - Lifetime JP3531340B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 防湿積層体 |
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-
1996
- 1996-03-27 JP JP07222996A patent/JP3531340B2/ja not_active Expired - Lifetime
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