JPH0967795A - 防湿性紙 - Google Patents

防湿性紙

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JPH0967795A
JPH0967795A JP22511895A JP22511895A JPH0967795A JP H0967795 A JPH0967795 A JP H0967795A JP 22511895 A JP22511895 A JP 22511895A JP 22511895 A JP22511895 A JP 22511895A JP H0967795 A JPH0967795 A JP H0967795A
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JP
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JP22511895A
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English (en)
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Takashi Kawakou
隆 河向
Hideyuki Mikado
秀幸 見門
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はワックスを全く含まず高い防湿性を有
する古紙回収が可能な防湿性紙を提供する。 【解決手段】紙支持体上の少なくとも片面に顔料と合成
樹脂ラテックスからなる防湿性組成物層を形成した防湿
性紙において、該顔料がアスペクト比が5以上の平板状
顔料でありかつその平均粒子径が5μmから50μmで
あり、かつ該防湿組成物層に炭化水素系オリゴマーまた
は軟化点が180℃以下である有機樹脂のうち少なくと
もいずれか一つを含むことを特徴とする防湿性紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紙支持体上に防湿性
層を形成せしめた古紙回収可能な防湿性紙であり、特に
防湿面と反対面どうしの滑りが発生せず、防湿性紙折曲
げ後の防湿性の低下がなく、ラベルの添付が容易で、包
装時に再離解性のあるホットメルト接着剤の使用を可能
にした全く新しい防湿性紙を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】紙の支持体上にポリエチレン、ポリプロ
ピレン、塩化ビニリデン等の被膜形成性を有する高分子
化合物を張り合わせて水蒸気の透過を防止することは公
知の技術である。しかし、この種の紙は被膜層が強固で
あるために防湿性の機能は充分発揮できるが、古紙回収
の際にはパルプ繊維がフロック状に残存したり被膜その
ものが大きなシート状に残存するなどの問題があるため
使用済み該防湿性紙を焼却処分とするしかなく、環境保
護や資源の再利用の面から問題がある。
【0003】これに対し古紙回収の可能な包装紙とし
て、特定の組成のパラフィンワックスを含むエマルジョ
ンをクラフト紙の片面または両面に塗布して防湿性紙を
製造する方法(特開昭50−36711号)、合成炭化
水素系樹脂およびワックスをスチレン−マレイン酸系共
重合体および界面活性剤を用いて水に分散させて得たエ
マルジョンとの混合物よりなる紙の防湿加工用組成物
(特開昭56−148997号)が開示されている。さ
らに、特定の融点を有するパラフィンワックス、マレイ
ン化、若しくはフマール化ロジンと多価アルコールとの
エステル化物、液状ポリブテン、およびロジンなどを主
成分とするワックスエマルジョン、或いは前記ワックス
エマルジョンと合成ゴム系ラテックスとの混合物を上質
紙、クラフト紙などの繊維質基材表面に塗布し、加温下
に乾燥する防湿性紙の製造方法が開示されている(特開
昭61−47896号)。 その他に、古紙として回収
可能な防湿性紙に関しては、原紙に対してある種の合成
ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを混合した
塗工液を塗工することを基本とする製造方法が開示され
ている(包装技術、昭和57年9月号、42〜46
頁)。
【0004】これらパラフィンワックスを使用する防湿
性紙はいずれも再離解性を有する防湿性紙であるが、か
かる防湿性シートをロール状に巻き取った場合、防湿層
表面に含まれるワックスが反対裏面に転移し、その結果
防湿層の反対面は非常に滑り易くなり、最も極端な場
合、この面を相互に接するように包装すると、包装物を
並び揃える時に不揃いになったり、滑り落ちたり、さら
に重量物を包装した場合は運搬時に互いにずれて運搬中
に落下するなどの重大な問題が発生する。そのために裏
面に防滑層を設けたり、特定の巻圧でロール状に巻き取
るなどの技術があるが、滑りに対する根本的な解決には
至ってない。
【0005】また、これらワックスを含む防湿性紙はそ
の防湿性がワックスの形成する極薄い撥水性層に依存し
ているためか、包装時の折曲げ部分の防湿性が極端に低
下する傾向がある。さらにワックスの防湿層表面へのブ
リードが避けられず、その表面にラベルを添付しようと
してもすぐはがれる等の問題があり、さらに常温で液状
の強い接着力を持つホットメルト接着剤以外はワックス
を含んだ防湿面との接着は不良で、接着できる場合もオ
ープンタイムが非常に短くなってしまうため、使用でき
るホットメルト接着剤が非常に限定されるという問題も
ある。また、再離解性を有する粘着テープを使用する方
法もあるが、ホットメルト接着に比べ粘着テープを使用
する場合は包装時の作業性が大幅に劣るという重大な欠
点があり、特定の用途にしか用いられていないのが現状
である。
【0006】さらに、ワックスを含まない防湿性紙とし
て特定の平板状物質と合成樹脂からなる防湿性紙(特願
平7−165226)が本発明者らによって出願されて
いるが、防湿性がポリエチレンラミネート紙なみ程度し
か得られず、用途を拡大するためにはさらに高い防湿性
が要求される。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明はワックスを
全く含まない防湿性紙であって、しかも高い防湿性を有
し、かつ古紙回収可能な防湿性紙である。
【0008】
【課題を解決するための手段】特定の平板状顔料と合成
樹脂からなる防湿性紙は、平板状顔料が防湿層に対して
平行に多層配列し、水蒸気の透過距離が増大するために
防湿性を発揮する。そのため平板状顔料の形状や合成樹
脂単独の防湿性が重要であるが、両者を最適化しても防
湿性に限界があることが判明した。即ち上記のような防
湿層においては水蒸気は合成樹脂中または合成樹脂と平
板状顔料の界面の空隙を通過するので、本発明者らは合
成樹脂と平板状顔料のこの界面を埋めることができれば
防湿性が向上すると考え鋭意検討したところ、特定の物
質すなわち常温で液状の炭化水素系オリゴマー(以下、
炭化水素系オリゴマーと略す)または軟化点が180℃
以下である有機樹脂(以下、有機樹脂と略す)を共存さ
せると防湿性が向上することを見いだした。
【0009】即ち本発明は紙支持体上の少なくとも片面
に顔料と合成樹脂ラテックスからなる防湿性組成物層を
形成してなる防湿性紙において、該顔料がアスペクト比
が5以上の平板状顔料でありかつその平均粒子径が5μ
mから50μmであり、かつ該防湿組成物層に常温で液
状の炭化水素系オリゴマーまたは軟化点が180℃以下
である有機樹脂のうち少なくともいずれか一つを含むこ
とを特徴とする防湿性紙である。
【0010】
【作用】炭化水素系オリゴマーまたは有機樹脂は成膜性
を有していないため、合成樹脂が成膜する過程で、平板
状顔料と合成樹脂との界面に集まる。その結果、合成樹
脂と平板状顔料だけでは多く存在していた空隙が非常に
少なくなったと推察される。なお界面を埋める物質が極
端に親水性であると水蒸気が逆に通過しやすくなるた
め、できるだけ疎水性のものが好ましい。また、他の要
因としては、炭化水素系オリゴマーや有機樹脂は高温乾
燥により流動または軟化するため界面に移動しやすいこ
とが挙げられる。以下に本発明について詳細に説明す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いる炭化水素系オリゴ
マーは、常温で液状でかつ分子量が500〜50000
程度のものである。炭化水素系オリゴマーには低分子量
ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、液状ポリブタ
ジエン、液状SBR、液状NBR、石油樹脂、ポリブテ
ン、液状ポリイソブチレン、液状ブチルゴム、低分子量
ポリスチレンなどが挙げられる。これらの中でもナフサ
分解により生成するブタン−ブテン留分のうちイソブチ
レンを主体とし一部n−ブテンとの共重合体(ポリブテ
ン)や精製イソブチレンを原料とする液状ポリイソブチ
レンさらにイソブチレンと少量のイソプレンを共重合さ
せた液状ブチルゴムなどが好適である。
【0012】有機樹脂は軟化点が180℃以下である必
要があり、特に140℃以下が好ましい。有機樹脂が本
発明の効果に寄与するためには有機樹脂が防湿層塗工後
の乾燥過程で軟化する必要がある。一般に有機樹脂は軟
化点以下でもある程度軟化するため必ずしも樹脂の軟化
点以上の乾燥温度は必要でない。しかし、極端に軟化温
度が高い(180℃以上)有機樹脂は乾燥温度を160
℃以上にする必要があるが、該温度では支持体である紙
の強度が大きく劣化してしまうため、160℃以上の温
度で防湿紙を製造することは困難である。しかし、軟化
点が180℃以上の有機樹脂であっても他の低軟化点の
有機樹脂や炭化水素系オリゴマーと混合し、混合物の軟
化点を180℃以下に下げたものは本発明に含まれる。
有機樹脂にはロジン(C1929COOHで表されるアビ
チエン酸などの樹脂酸約90%とジテルペンアルデヒド
やアルコールの中性成分約10%からなる熱可塑性樹
脂、軟化点70℃〜85℃)、水添化ロジン(ロジンの
水添加物、軟化点約80℃)、ダンマル樹脂(フタバガ
キ科植物から得られる天然樹脂、軟化点約120℃)、
ロジンエステル(ロジンのメタノールエステル、グリセ
リンエステル、ペンタエリスリトールエステル、軟化点
は35℃〜120℃)、重合ロジン(ロジンの2量化
物、軟化点約140℃)、ポリテルペン樹脂(ピネン系
重合物、α−ピネンとフェノールの共重合体、軟化点5
0℃〜150℃)、脂肪族系石油樹脂(石油ナフサの熱
分解で生成するイソプレンやペンタジエンなどのC5
分からの重合物、軟化点5℃〜200℃)、芳香族系石
油樹脂(石油ナフサの熱分解で生成するスチレン類やイ
ンデン類などのC9留分を主成分とするモノマーの重合
物、軟化点80℃〜160℃)、共重合系石油樹脂(石
油ナフサの熱分解で得られるC5〜C9の留分の共重合
樹脂、軟化点70℃〜130℃)、水添化石油樹脂(芳
香族系石油樹脂の水添加物、軟化点70℃〜130
℃)、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、キシレン樹
脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール・アセチレン
系樹脂、クマロンインデン樹脂(コールタール中に含ま
れるクマロン、インデン、スチレンなどの重合物、軟化
点15℃〜140℃)、スチレン樹脂(スチレンの低分
子量重合物、軟化点5℃〜150℃)、ビニルトルエン
・αメチル樹脂(ビニルトルエンとα−メチルスチレン
の共重合物、軟化点75℃〜120℃)などが挙げられ
るが、これらの中でもロジンエステル、ポリテルペン樹
脂、石油樹脂が疎水性が強いため好適である。
【0013】炭化水素系オリゴマーと有機樹脂は混合し
て用いてもかまわないし、あらかじめ両者を混融させた
ものを使用しても良い。炭化水素系オリゴマーと有機樹
脂の配合量は平板状顔料と合成樹脂に対して1%以上、
好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上であ
る。添加量が1%以下になるとほとんど防湿性向上に寄
与しなくなる。配合量の上限は特に制限はないが、常温
で液状のものや軟化点が50℃以下のものは配合量が3
0%以上になると防湿面がべたついてくるため好ましく
ない。
【0014】本発明に用いる平板状物質とはその平均粒
子径が数μm以上の概略平板な結晶性の物質であり、レ
ーザー回析法で測定した平均粒子径が1μm〜200μ
mの範囲である。その中でも3μm〜100μmが好適で
あり、さらに好ましくは5μm〜50μmである。特に防
湿性に有効な粒子径は10〜40μmと考えられる。粒
子径が5μm以下のもは塗工層中での該平板状顔料の配
向が支持体に対して平行になりにくいため防湿性に効果
がなく、50μm以上になると平板状顔料の一部が塗工
層から突き出たり、平板顔料の厚みが数μm程度となる
に伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が
少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少する
と推察される。
【0015】平板状物質の粒子径の測定方法にはマイク
ロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法によ
り平均粒子径を求める方法や電子顕微鏡の観察によって
求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値
に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実
際の粒径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では
実際よりやや大きい値となる。しかし本発明の平均粒子
径は測定のしやすさおよび再現性の高さなどからマイク
ロトラックレーザー回折法により測定した。
【0016】アスペクト比は本発明において平板状顔料
の平均粒子径を厚さで除したものであるが、本発明の効
果を発揮するためには平板状顔料のアスペクト比が5以
上であることが必要である。特に好ましいものはアスペ
クト比が10以上の平板状顔料である。アスペクト比が
5以下のものは塗工面に対して平行に配向できなくなる
ため防湿性能が劣り、アスペクト比は大きいほど平板状
顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿
性能を発揮する。
【0017】アスペクト比を計算するための平板状顔料
の厚さは電子顕微鏡観察により測定した。平板状顔料の
厚みは顔料の種類、粉砕方法、平均粒子径によって異な
る。顔料の種類と粉砕方法が同じであれば、顔料の平均
粒子径が大きくなると厚さも大きくなり、結果としてア
スペクト比の大きさはほとんど変化しない。粉砕によっ
て厚さを小さくできるが、どのような粉砕方法であって
も粒子径が同時に小さくなるのは避けられない。例えば
湿式粉砕された白雲母で平均粒子径が40μmのものは
厚さの平均は約2μmとなりアスペクト比は20とな
る。また平均粒子径20μmまで湿式粉砕すると、厚さ
が約1μmとなりアスペクト比が20であった。もちろ
ん平均粒子径が20μmといっても2〜60μm程度の
粒度分布を有しており、厚さも0.1μm〜数μmの範
囲を有するが、平均として1μmであった。
【0018】これらの形状を有する平板状顔料を本発明
の防湿層に用いた場合、その塗工層厚みに対し小さすぎ
る粒子径のものを使用すると塗工層中の顔料のうち支持
体に対して平行に配向するものが少なくなり、結果とし
て塗工量を増大する必要が生じる。従って本発明者らの
検討によると、塗工層厚みに対し20%以上の平均粒子
径を有する平板状顔料を用いるのが好ましい。一方塗工
層厚み以上の平均粒子径を有する平板状顔料は塗工時そ
の一部が塗工層から突出したり、折曲げ時に塗工層に空
隙を形成するような場合があり好ましくなく、使用する
としても少量の使用にとどめる必要がある。
【0019】本発明で使用する平板状顔料は、フィロケ
イ酸塩鉱物、天然燐片状黒鉛などが挙げられる。フィロ
ケイ酸塩鉱物に属するものは板状または薄片状であって
明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク
(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメ
レーン、粘土鉱物がある。これらの中でも産出されると
きの粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタ
ルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイ
ト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイ
ト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲
母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イラ
イト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが
挙げられる。カオリンなどの粘土鉱物も一般的には平板
結晶と言われている。確かに結晶一個をとれば平板の部
分はあるが、全体としては粒状であり使用できない。も
ちろんカオリンの中でも意識的に結晶層を剥離し平板に
なるように切りだしたデラミカオリンなどで粒子径が5
μm以上のものは本発明に含まれる。
【0020】これらのうち最も好適な平板状顔料として
は白雲母、絹雲母、タルクが粒子径の大きさ、アスペク
ト比、コストなどの点から好適である。これら顔料につ
いてさらに詳述すれば、白雲母粉末の化学組成は一般
式;K2O・3Al2O3・6SiO2・2H2Oで表現さ
れるものである。この白雲母原石をハンマーミル等で乾
式粉砕後分級して望みの粒子径分布の部分を使用した
り、さらにガラスビーズを水中で粉砕媒として用いたサ
ンドミル等の湿式粉砕を行い望みの粒子径分布の雲母を
得る。この際アスペクト比を維持するために過大な力が
かからないように粉砕したり、超音波をかけながら湿式
粉砕(USP3240203)するなどの配慮を施すこ
とにより、アスペクト比の高い雲母粉末を手にいれるこ
とができる。通常これらの方法で得られたアスペクト比
は電子顕微鏡の観察などによると20〜30である。一
部アスペクト比が100程度のものも得られるが、工業
的生産が困難であるうえコスト高になってしまう。
【0021】白雲母に対し絹雲母と称せられるセリサイ
トは化学組成としては類似しており、SiO2/Al2O
3の比率が僅かに大きくK2Oの含有率が小さい。しか
し、セリサイトは白雲母に比べ原石が細かいため、一般
に粉砕分級して得られた絹雲母の平均粒子径は0.5〜
2μm程度であり、市販されているものはこれらの範囲
のものがほとんどである。この為本発明を実施するには
絹雲母として特異的に大きい粒子径分布のものを使用す
る必要があるため、粉砕条件を大幅に緩和したり、汎用
製品の分級残査粗粒子部分などの中からさらに分級し、
必要な大きさのメッシュをパスした粒度分布のものを使
用する必要がある。かかるセリサイトは白雲母とほぼ同
じアスペクト比を得ることができ、アスペクト比10〜
30のものが一般的である。
【0022】タルクは蝋石ともよばれケイ酸マグネシュ
ウムの水和物であり、一般に箔片板状の粒子ではある。
しかし、一般に市販されているタルクの粒子径は0.1
〜3μm程度であり、本発明を実施する為には一般製紙
用ではなく窯業用の粗大なものを使用したり、絹雲母と
同様な粉砕分級の操作を施し粒子径10μm前後のもの
を得る必要がある。なお、タルクのアスペクト比は白雲
母や絹雲母に比べ小さく、5〜10程度である。
【0023】このように、白雲母は原石の大きさが絹雲
母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度
分布を自由に選ぶことが可能である。一方絹雲母は原石
は小さいがへき開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は平
板状を呈し好ましい。またタルクは粒子径、アスペクト
比があまり大きくないが、コスト的に有利なため多量に
使用できる。
【0024】これら平板状顔料を支持体上に層形成する
ために用いる合成樹脂ラテックスは水蒸気の透過を基本
的に防止する必要がある。種々のラテックスをクラフト
紙に20g/m2塗工したときの透湿度を測定してみる
と、透湿度が300g/m2・24hr前後の値を示すもの、8
00g/m2・24hr前後の値を示すもの、さらには2000
g/m2・24hr以上の値を示すものに大別出来る。ここで、
本発明に用いるラテックスの透湿度は同様の測定法で透
湿度が500g/m2・24hr以下、さらに望ましくは250
g/m2・24hr以下である必要がある。もちろん本発明の効
果を阻害しない範囲で、透湿度500g/m2・24hr以上の
ラテックスを混合使用してもよい。
【0025】本発明に用いる合成樹脂ラテックスとして
は、 スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アク
リルスチレンラテックス、メタクリレートブタジエンラ
テックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなど
が挙げられるが、このうち耐水性が良好で伸びがよく折
割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにSBRが好
適である。ここで重合性単量体はスチレン及び1,3-
ブタジエンを主体とするが、その他のスチレンおよび
1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目
的を損なわない範囲で使用することができる。その他の
スチレン及び1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体
としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-
ブチルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量
体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メ
タ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メ
タ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有
エチレン性不飽和単量体;アクリル酸グリシジル、およ
びメタクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和酸のグ
リシジルエステル;アリルグリシジルエーテル等の不飽
和アルコールのグリシジルエーテル;(メタ)アクリル
アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N-
メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド
系単量体;等が挙げられ、これらの重合性単量体を単独
でまたは二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
しかし、メチルメタクリレート、アクリルニトリル、ア
クリル酸、アクリルアミドなどの共重合成分(数%〜数
十%)や多くの乳化剤(数%)を含むSBRはこれら官
能基がいずれもスチレンやブタジエンに比べ親水性を示
すためにこれら共重合成分や乳化剤は極力含まない方が
好ましい。
【0026】また、合成樹脂ラテックスの粒子径は一般
に100nm〜300nmであるが、粒子径150nm
以下特に60〜90nm程度の小さい粒子径のラテック
スを使用すると成膜性が向上し欠陥の少ない膜ができる
ため好ましい。合成樹脂ラテックスのガラス転移温度
(Tg)およびゲル量(テトラヒドロフランなどの有機
溶媒による抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成
分が主体)は塗工層のブロッキング(塗工面と被包装物
表面の接着)のしやすさと成膜性に影響を与える。低T
gかつ低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやす
くなるが成膜性は向上する。逆に高Tgかつ高ゲル量の
樹脂を使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性
は低下する。通常Tgの範囲は−30度〜50度、好ま
しくは−15度〜30度であり、ゲル量の範囲は30%
〜95%、好ましくは60%〜90%の範囲で、製膜性
とブロッキングのバランスでTgとゲル量が決定され
る。
【0027】これら合成樹脂ラテックスの透湿度を50
0g/m2・24hr以下にするためには、(1)合成時の親水
性の共重合成分や乳化剤の量を少なくしたり、(2)粒
子径を小さくしたり(150nm以下が好ましい)、
(3)Tgやゲル量によって製膜性を向上させたり、
(4)反応性の界面活性剤を用いてソープフリーとした
合成樹脂ラテックスを使用したり、(5)アルカリ可溶
性樹脂を用いて被膜形成後に耐水性を付与したりするこ
とにより達成できる。
【0028】これら平板状物質と合成樹脂ラテックスの
配合比率は、30/70〜70/30の範囲が好適であ
る。平板状物質が30%以下になると平板状顔料の形成
する層数が少なくなったり顔料と顔料の距離が大きすぎ
るために防湿性が不十分となり、塗工量を増やす必要が
生じて非経済的であるうえ、ブロッキングを生じやすく
なる。70%以上になると塗工層中に平板状顔料とラテ
ックスの間に空隙が非常に多くなるため防湿性が劣化す
る。
【0029】これら防湿層の塗工量は15〜50g/m2
の範囲が好適で、さらに好ましくは20〜40g/m2
範囲である。塗工量が15g/m2以下になると平板状顔
料の層形成が不充分となるため防湿性が大幅に劣化し、
50g/m2以上になると透湿度の向上が頭打ちとなるの
で非経済的である。
【0030】次に本発明の実施方法について詳述する。
塗料は平板状顔料を水中分散し合成樹脂ラテックスおよ
び炭化水素系オリゴマーまたは粘着付与樹脂と混合する
か、合成樹脂ラテックス中で分散し、所定の固形分に調
整し塗料とする。このとき必要とあらば、デンプン、ポ
リビニルアルコール等の水溶性樹脂を保護コロイドとし
て用いたり、ポリカルボン酸などの分散剤、消泡剤、界
面活性剤、色合い調成剤を添加したりすることができ
る。このようにして調製した塗工液を紙支持体上に塗工
し乾燥する場合、乾燥温度は合成樹脂が十分に成膜する
熱量を与えれば十分であるため一般の塗工紙と同等の乾
燥条件でよい。
【0031】また、片面にのみ防湿層を形成する場合は
塗工面の反対側にはカール防止のために水塗りをする方
が好ましい。
【0032】防湿層を形成するための塗工設備として特
に限定はしないが、エアナイフコーター、バーコータ
ー、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロール
コーター等から任意に選択することができる。特に、ブ
レードコーター、バーコーター、エアナイフコーターな
どの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料
の配向を促す傾向があるので好ましい。
【0033】支持体としては、機械的離解作用によって
水中で分散しやすいものとして、例えば広葉樹クラフト
パルプや針葉樹クラフトパルプのような化学パルプ、機
械パルプ等から選ばれたパルプを原料とした上質紙、中
質紙、片艶クラフト紙、両更クラフト紙、クラフト伸長
紙等が挙げられる。これらの原紙の坪量に格別の限定は
なく、30〜300g/m2のものが適宜目的に応じて選
択されて用いられる。
【0034】本発明の塗工層はワックス類を含んでない
ため塗工面はもちろん塗工面の反対面もワックス類が転
移していないので滑りやすくなることはない。防湿性紙
を折曲げた時も層全体の厚みで抵抗する為折曲げ時の透
湿度の低下は少ない。また、ワックス類のような離型性
を有する表面ではないため、汎用の糊を用いたラベルを
張り付けても脱落するようなことはない。さらに、ポリ
ビニルアルコール樹脂を主体とするホットメルト接着剤
は水で再離解可能であるためかかる接着剤の使用が好ま
しいが、本防湿性紙はワックス類を使用していないため
通常のオープンタイムで使用することができる。もちろ
ん合成ゴム系やエチレンビニル酢酸系などの一般に使用
されているホットメルト接着剤も問題なく使用できる。
【0035】本発明の防湿性紙は被膜形成性の良い合成
樹脂ラテックスを大量に用いるため再離解性に懸念が残
ると推察するのが当然である。しかし驚くべき事に、本
発明のように粒子径の大きな平板状顔料を有すると、古
紙回収ののち再離解工程で水スラリーを攪伴すると、機
械力により平板状顔料が破断の起点となって、容易に崩
壊し、合成樹脂ラテックス被膜もろとも塗工層が破断し
て極小細片へ分解し、ほぼ再離解と考えて良い状態にす
ることが出来る。 即ち、ポリエチレンをラミネートし
たポリラミ紙を再離解すると粗大な薄片が残存するのに
対し、本防湿性紙を再離解すると粗大薄片を認めない状
態にまで離解することが可能である。
【0036】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではな
い。なお実施例中の重量部はすべて固形分換算である。
【0037】
【実施例】
実施例1 平板状顔料としてKF1325(絹雲母、平均粒子径1
3μm、アスペクト比20〜30、堀江化工(株)製)
100重量部、分散剤キャリボンL400(ポリアクリ
ル酸系分散剤、東亞合成(株)製)0.4重量部、水10
0重量部をカウレス分散機を用い回転数2000rpmで
2時間分散した。得られたマイカA21分散液50重量
部と合成樹脂ラテックス0X1060(SBRラテック
ス、Tg8度、ゲル量70%、日本ゼオン(株)製、ラテ
ックス単独での透湿度160g/m 2・24hr、固形分50
%)50重量部を固形分比で顔料/合成樹脂ラテックス
=50/50で混合した防湿剤にHE175(ポリブテ
ン、日本石油化学(株)製、常温で液状)を防湿剤固形
分に対して固形分として5%加え防湿層塗料を調製し、
未晒両更クラフト紙にメイヤーバーで固形分として塗工
量30g/m2になるように手塗りした後、熱風循環乾燥
機を用いて110度で1分間乾燥させ防湿性紙を製造し
た。
【0038】実施例2〜7 HE175の代わりに実施例2はポリオイル(ポリブタ
ジエン、日本ゼオン(株)製、常温で液状)、実施例3
はLIR−30(ポリイソプレン、(株)クラレ製、常
温で液状)、実施例4はSEE−730(ロジンエステ
ル、荒川化学(株)製、軟化点125℃)、実施例5は
タマノルE−100(ポリテルペン樹脂、荒川化学
(株)製、軟化点150℃)、実施例6は日石ネオポリ
マー(芳香族系石油樹脂、日本石油化学(株)製、軟化
点165℃)、実施例7はSEE−720(ロジンエス
テル、荒川化学(株)製、軟化点100℃)、実施例8
はSE−50(水添加ロジンエステル、荒川化学(株)
製、軟化点75℃)、実施例9はOKB−1(ポリブテ
ン/ロジンエステル=35/65の混融物、荒川化学
(株)製、軟化点60℃)を用いたこと以外は実施例1
と同様にして防湿紙を製造した。
【0039】実施例10〜13 実施例10は防湿剤固形分に対してOKB−1を1%、
実施例11はOKB−1を3%、実施例12はOKB−
1を10%、実施例13はOKB−1を30%添加した
こと以外は実施例9と同様にして防湿紙を製造した。
【0040】実施例14〜17 平板状顔料としてKF1325の代わりに実施例14は
マイカA21(白雲母、粒子径20μm、アスペクト比
20〜30、(株)山口雲母工業所製)、実施例15は
シュウエン(タルク、粒子径15μm、アスペクト比5
〜10、中央カオリン(株)製)、実施例16はセリサ
イトSM(絹雲母、粒子径8μm、アスペクト比20〜
30、(株)山口雲母工業所製)、実施例17はマイカ
A41(白雲母、粒子径45μm、アスペクト比20〜
30)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿紙を
製造した。
【0041】実施例18〜23 合成樹脂ラテックスとしてOX1060の代わりに実施
例18はポリラック686A3(SBR、Tg−1℃、
ゲル量40%、三井東圧化学(株)製)、実施例19は
J0569(SBR、Tg−4℃、ゲル量75%、日本
合成ゴム(株)製)、実施例20はポリラック760K
−10R(SBR、Tg−8℃、ゲル量90%、三井東
圧化学(株)製)、実施例21はアロンA104(アク
リルスチレン、Tg40℃、東亞合成(株)製)、実施
例22はL−1537(SBR、Tg19℃、ゲル量7
0%、旭化成(株)製)、実施例23はLX550(ア
クリロニトリル・ブタジエン、Tg−22℃、日本ゼオ
ン(株)製)としたこと以外は実施例1と同様にして防
湿紙を製造した。 比較例1〜5 HE175(ポリブテン、日本石油化学(株)製、常温
で液状)を加えなかったこと以外は比較例1は実施例1
と同様に、比較例2は実施例11と同様に、比較例3は
実施例12と同様に、比較例4は実施例13と同様に、
比較例5は実施例14と同様にして防湿性紙を製造し
た。 比較例6 HE175(ポリブテン、日本石油化学(株)製、常温
で液状)の代わりにマルキード3002(マレイン酸樹
脂、荒川化学(株)製、軟化点185℃)を用いたこと
以外は実施例1と同様にして防湿性紙を製造した。 比較例7〜10 HE175(ポリブテン、日本石油化学(株)製、常温
で液状)を加えなかったこと以外は比較例7は実施例1
8と同様に、比較例8は実施例19と同様に、比較例9
は実施例20と同様に、比較例10は実施例21、比較
例11は実施例11と同様にして防湿性紙を製造した。
【0042】実施例1〜23、比較例1〜11で得られ
た防湿性紙について透湿度を評価するための試験に供し
た。
【0043】<試験方法> 1)透湿度 JIS Z2080(カップ法)B法で塗工面を外側に
して測定した。透湿度の基準として50g/m2・24hr以下
であれば十分実用性があるが、35g/m2・24hr以下であ
れば用途拡大が望める。 2)平均粒子径 島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−110
0 V2.0((株)島津製作所製)によって水中に分散
させた顔料の粒子径を以下の方法で測定した。なお、本
発明中における粒子径は平均粒子径(積算体積率が50
%の粒子径)である。 測定範囲:1〜150μmまたは0.1〜45μm 屈折率 :1.6 計算方法:直接計算法 測定回数:4回 測定間隔:2秒 3)軟化点 有機樹脂の軟化点はJISK5903「エステルガム」
の軟化点測定方法(環球法)に準じて測定した。
【0044】<評価結果>表1及び表2の実施例1〜
9、14〜17と比較例1〜5より、炭化水素系オリゴ
マーまたは有機樹脂を添加することで30%前後透湿度
が良くなる。さらに平板状顔料の粒子径は5〜50μm
でありかつアスペクト比が5以上であると防湿性が良
い。また、表2の実施例9〜12より炭化水素系オリゴ
マーまたは粘着付与樹脂の添加量は防湿剤固形分に対し
て1%以上、好ましくは3%以上であると防湿性がよ
い。比較例6より有機樹脂の軟化点が180℃以上にな
るとほとんど防湿性向上に寄与しない。表3より合成樹
脂の物性や種類が変わっても有機樹脂の防湿性向上の効
果はあまり変わらない。
【0045】
【発明の効果】特定の平板状顔料と合成樹脂ラテックス
に対して炭化水素系オリゴマーまたは軟化点が180℃
以下である有機樹脂を添加して塗工することで防湿性が
向上する。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙支持体上の少なくとも片面に顔料と合成
    樹脂ラテックスからなる防湿性組成物層を形成してなる
    防湿性紙において、該顔料がアスペクト比が5以上の平
    板状顔料でありかつその平均粒子径が5μmから50μ
    mであり、かつ該防湿組成物層に常温で液状の炭化水素
    系オリゴマーまたは軟化点が180℃以下である有機樹
    脂のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とす
    る防湿性紙。
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WO2023079854A1 (ja) * 2021-11-08 2023-05-11 星光Pmc株式会社 水性エマルション防湿コート剤、紙及び紙の製造方法

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