JP7268614B2 - バリア性積層体 - Google Patents

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本発明は、バリア性積層体に関する。
従来、紙基材に水蒸気バリア性およびガスバリア性を付与するために、紙基材上に、水蒸気バリア層とガスバリア層とをこの順番に備えて構成されるバリア性積層体が知られている。
特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料において、水蒸気バリア層が水蒸気バリア性樹脂及び撥水剤を含有し、且つガスバリア層が水溶性高分子及び界面活性剤を含有することを特徴する紙製バリア材料が記載されている。
国際公開第2017/170462号
特許文献1に記載された紙製バリア材料は、紙基材の坪量に関する記載はあるが、たとえば、比引張エネルギー吸収量等の物性については検討されていない。したがって、特許文献1に記載された紙製バリア材料を、たとえば重量物の包装材として用いた場合、強度不足等により破れてしまう可能性がある。
本発明は、上記課題の存在に鑑みて成されたものであり、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、高強度を有するバリア性積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、本明細書において、ガスバリア性とは、水蒸気を除くガスに対するバリア性をいい、特に酸素に対するバリア性をいう。また、水蒸気バリア性およびガスバリア性を総称してバリア性ともいう。
本発明者らは、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなる紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に有し、紙基材の縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量が特定の値であり、水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する、バリア性積層体は、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、高強度を有することを見出した。
また、本発明者らは、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を所定の範囲とする蒸解処理する蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを所定の量含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に塗工する塗工工程を含む、バリア性積層体の製造方法により得られるバリア性積層体は、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、高強度を有することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<13>に関する。
<1> 針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなる紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に有するバリア性積層体であって、前記紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量が、2.5J/g以上であり、前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する、バリア性積層体。
<2> 前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、前記層状無機化合物の厚さが200nm以下であり、前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、0.1質量部以上800質量部以下である、<1>に記載のバリア性積層体。
<3> 前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上である、<1>または<2>に記載のバリア性積層体。
<4> 前記カチオン性樹脂の表面電荷が0.1meq/g以上10meq/g以下である、<1>~<3>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<5> 前記層状無機化合物が、マイカ、ベントナイト、およびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上である、<1>~<4>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<6> 前記原料パルプが未晒クラフトパルプである、<1>~<5>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<7> 前記原料パルプの、JIS P 8211:2011に準拠して測定されるカッパー価が、30以上60以下である、<1>~<6>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<8> 水蒸気透過度が50g/(m・day)以下である、<1>~<7>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<9> 少なくとも前記水蒸気バリア層と、前記ガスバリア層とを有し、酸素透過度が10mL/(m・day・atm)以下である、<1>~<8>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<10> 針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に塗工する塗工工程を含む、バリア性積層体の製造方法。
<11> 前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、前記層状無機化合物の厚さが200nm以下であり、前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、0.1質量部以上800質量部以下である、<10>に記載のバリア性積層体の製造方法。
<12> 前記原料パルプが未晒クラフトパルプである、<10>または<11>に記載のバリア性積層体の製造方法。
<13> 前記抄紙工程の後に、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程をさらに有する、<10>~<12>のいずれかに記載のバリア性積層体の製造方法。
本発明によれば、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、高強度を有するバリア性積層体およびその製造方法を提供することができる。
[バリア性積層体]
本発明のバリア性積層体(以下、単に「バリア性積層体」ともいう)は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなる紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に有するバリア性積層体であって、前記紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量が、2.5J/g以上であり、前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する、バリア性積層体である。
本発明のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に備えていればよく、他方の面上にも、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に有していてもよい。また、本発明のバリア性積層体は、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に複数層備えていてもよい。
本発明のガスバリア性積層体を、たとえば食品等の包装に用いる場合には、紙基材の一方の面上のみに、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に備えていることが好ましい。このような構成により、本発明のバリア性積層体をヒートシールした場合、袋状の包装体を容易に作製することができる。
<紙基材>
(原料パルプ)
本発明のバリア性積層体に用いられる紙基材は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなる。「針葉樹パルプを主成分とする原料パルプ」とは、原料パルプ中、針葉樹パルプの含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹パルプの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。針葉樹パルプは、平均繊維長が長く、針葉樹パルプを原料パルプとして用いた紙基材は、高強度を有する傾向にある。
針葉樹パルプとしては、高強度を有するバリア性積層体を得る観点から、好ましくはダグラスファーおよびマツよりなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはダグラスファーである。
紙基材を構成する原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
(カッパー価)
JIS P 8211:2011に準拠して測定される、紙基材を構成するパルプのカッパー価は、高強度を有するバリア性積層体を得る観点から、好ましくは30以上であり、そして、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは45以下である。
紙基材を構成するパルプのカッパー価は、JIS P 8220-1:2012に準拠して離解した紙基材パルプを試料として、JIS P 8211:2011に準拠して測定される。
(比引張エネルギー吸収量)
本発明のバリア性積層体に用いられる紙基材は、高強度を有するバリア性積層体を得る観点から、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量が、2.5J/g以上であり、好ましくは2.8J/g以上であり、そして、生産性の観点から、3.5J/g以下である。
本発明のバリア性積層体に用いられる紙基材の比引張エネルギー吸収量は、縦方向および横方向の両方が、2.5J/g以上であればよく、縦方法と横方向の比引張エネルギー吸収量は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(坪量)
紙基材の坪量は、高強度を有するバリア性積層体を得る観点から、好ましくは50g/m以上、より好ましくは60g/m以上、さらに好ましくは70g/m以上であり、そして、好ましくは150g/m以下、より好ましくは140g/m以下、さらに好ましくは120g/m以下である。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(厚さ)
紙基材の厚さは、高強度を有するバリア性積層体を得る観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上であり、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは160μm以下である。
紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上であり、そして、好ましくは1.2g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下である。
紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
紙基材には、必要に応じて、たとえば、アニオン性、カチオン性もしくは両性の歩留剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、填料等の内添助剤、耐水化剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を含んでいてもよい。
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。乾燥紙力増強剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の内添サイズ剤、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体等の表面サイズ剤が挙げられる。サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
定着剤としては、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
紙基材としては、たとえば、紙匹を収縮させるクルパック処理を施したクルパック紙等を用いることができる。
<水蒸気バリア層>
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する水蒸気バリア性を有する層であり、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する。
(水分散性樹脂バインダー)
水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではないが、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。水分散性樹脂バインダーの骨格となるポリマーとしては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、アクリロニトリル/スチレン系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン系共重合体、ABS系樹脂、AAS系樹脂、AES系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アセタール系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらの中でも、水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダーの骨格となるポリマーは、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
≪スチレン/ブタジエン系共重合体≫
スチレン/ブタジエン系共重合体としては、スチレン/ブタジエン系ゴム(SBR)、変性スチレン/ブタジエン系ゴム(変性SBR)等が挙げられる。
変性スチレン/ブタジエン系ゴムとしては、酸変性スチレン/ブタジエン系ゴム(酸変性SBR)等が挙げられる。
スチレン/ブタジエン系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば日本ゼオン株式会社製の「Nipol LX407Sシリーズ(商品名)」、「Nipol LX407BPシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
≪スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体≫
スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体は、スチレン系単量体と、不飽和カルボン酸系単量体と、必要に応じてこれらと共重合可能なその他の単量体とを乳化重合することによって得られる共重合体である。スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸単量体、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、またはメタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの(メタ)アクリル系スルホン酸単量体もしくはその塩が挙げられる。その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1~24)エステルが挙げられる。
スチレン系単量体としてはスチレンが好適である。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸が好適である。
スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、株式会社第一塗料製造所製の「ハービルシリーズC-3(商品名)」、BASF社製の「ACRONAL4160」等が挙げられる。
≪オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体≫
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン単量体と不飽和カルボン酸系単量体との共重合体である。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体のオレフィン単量体としては、エチレン、およびプロピレン、ブチレン等のα-オレフィンが挙げられ、これらの中でも、好ましくはエチレンである。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体は、不飽和カルボン酸単量体、および加水分解によりカルボン酸を形成する不飽和カルボン酸のエステル単量体を含む。オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸およびそのエステル;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステルが挙げられる。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体は、単独で、または2種以上用いてもよい。オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でも、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレン/アクリル酸系共重合体、およびエチレン/メタクリル酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、およびエチレン/メタクリル酸ブチル共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体であることがさらに好ましい。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体として、たとえば、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩、エチレン/アクリル酸共重合体ナトリウム塩、エチレン/アクリル酸共重合体カリウム塩の水性分散液が挙げられ、市販品を用いてもよく、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩である住友精化株式会社製の「ザイクセン(商品名)AC」等を用いることができる。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体に由来する構成単位の含有量が、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、そして、好ましくは50mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。不飽和カルボン酸系単量体の含有量が上記範囲内であると、層状無機化合物の分散性に優れる。
水分散性樹脂バインダーの重量平均分子量は、紙基材に付与する際の粘度および強度の観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは2万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは500万以下である。
水分散性樹脂バインダーの含有量は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上であり、そして、その上限は、90質量%以下である。
(層状無機化合物)
水蒸気バリア層の層状無機化合物の形態は、特定のアスペクト比および厚さを有する平板状であり、層状無機化合物と、バインダーである水分散性樹脂と、カチオン性樹脂との混合溶液を作製し、紙基材上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。
層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電しやすいため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。本発明において、水蒸気バリア層内では、カチオン性樹脂の存在により、カードハウス構造が破壊され、平板状の層状無機化合物の分散性に優れるため、層状無機化合物が紙基材の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、紙基材の平面方向では、層状無機化合物が存在していない領域の面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、紙基材の厚さ方向では、平板状の層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列した状態で存在するため、水蒸気バリア層中の水蒸気は、層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
≪厚さ(平均厚さ)≫
層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。層状無機化合物の平均厚さが小さい方が、同じ量の層状無機化合物を用いた場合に、水蒸気バリア層中における層状無機化合物の積層数が多くなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の厚さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直方向の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20~30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の厚さを測定する。そして、n=20として、得られた厚さの平均値を算出して、層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)とする。
≪長さ(平均長さ)≫
層状無機化合物の長さ(平均長さ)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。層状無機化合物の長さが1μm以上であると、層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列しやすい。また、層状無機化合物の長さが100μm以下であると、層状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出する懸念が少ない。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の長さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20~30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の長さを測定する。そして、n=20として、得られた長さの平均値を算出して、層状無機化合物の長さとする。なお、層状無機化合物の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
≪アスペクト比≫
層状無機化合物のアスペクト比は、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは300以上、よりさらに好ましくは500以上である。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減することができる。アスペクト比の上限は特に限定されないが、塗工液の粘度および入手容易性の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、上記した方法で得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
層状無機化合物としては、マイカ、カオリン、パイロフィライト、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン等が挙げられる。
これらの中でも、水蒸気バリア層の含有する層状無機化合物は、水蒸気バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイト、およびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、マイカおよびベントナイトよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母等が挙げられ、好ましくは合成マイカである。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上であり、よりさらに好ましくは5.0質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。
本実施形態では、層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、水蒸気バリア層中の層状無機化合物の含有量が少なくても、水蒸気バリア層の強度を高めて、水蒸気バリア層からの層状無機化合物の脱落を抑えることができ、水蒸気バリア性に優れるので、層状無機化合物の含有量を低減できる。
層状無機化合物の含有量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは3.0質量部以上、よりさらに好ましくは5.0質量部以上であり、そして、好ましくは800質量部以下であり、より好ましくは400質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、よりさらに好ましくは50質量部以下、よりさらに好ましくは20質量部以下である。層状無機化合物の含有量が、上記範囲内であると、層状無機化合物が水蒸気バリア層の表面から露出しにくく、水蒸気バリア性に優れる。
(カチオン性樹脂)
本発明において、層状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性を大きく向上できる。
カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する理由については、以下のように考えられる。いわゆるカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液の粘度は非常に高くなる。一方、カードハウス構造は撹拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
層状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊されると考えられる。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層しやくなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
カチオン性樹脂としては、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂(たとえば、アミン変性ポリアミド樹脂)、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらの中でも、カチオン性樹脂は、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂およびポリエチレンイミン樹脂より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
カチオン性樹脂の表面電荷は、好ましくは0.1meq/g以上であり、そして、好ましくは10meq/g以下、より好ましくは5.0meq/g以下である。カチオン性樹脂の表面電荷が上記範囲であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、水分散性樹脂バインダーとも適度に共存できる。
なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定される。まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD-04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される層状無機化合物および水分散性樹脂バインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、水蒸気バリア性を向上させる観点から、層状無機化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、よりさらに好ましくは30質量部以上であり、そして、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、よりさらに好ましくは80質量部以下である。
また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂および水分散性樹脂バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層の厚さは、十分なバリア性を得る観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして、成形加工性の観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1.0g/m以上、より好ましくは3.0g/m以上であり、そして、好ましくは30g/m以下、より好ましくは20g/m以下であり、さらに好ましくは15g/m以下である。
<ガスバリア層>
ガスバリア層は、特に酸素ガスの透過を阻止するガスバリア性を有する層であり、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダーよりなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(水溶性樹脂バインダー)
水溶性樹脂バインダーとは、水に溶解可能な樹脂バインダーをいう。水に溶解可能な樹脂バインダーとは、骨格となるポリマーが水100gに1g以上溶解するものをいう。水溶性樹脂バインダーの骨格となるポリマーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性向上の観点から、水溶性樹脂バインダーは、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、より好ましくは変性ポリビニルアルコールである。
変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、変性ポリビニルアルコールは、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、およびアセトアセチル変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレン変性ポリビニルアルコール、およびカルボキシ変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、エチレン変性ポリビニルアルコールであることがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールには、完全ケン化型物および部分ケン型物があるが、完全ケン化型であることが好ましい。完全ケン化とは、ケン化度が96%超であることを意味する。
水溶性樹脂バインダーとして市販品を用いてもよく、たとえば、変性ポリビニルアルコールとして、株式会社クラレ製の「エクセバール(商品名)」等が挙げられる。
ガスバリア層中の水溶性樹脂バインダーの含有量は、ガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層の固形分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、そして、その上限は、100質量%である。
(水分散性樹脂バインダー)
水分散性樹脂バインダーの骨格となるポリマーとしては、ポリ塩化ビニリデンおよびポリウレタン樹脂、セルロースナノファイバーなどが挙げられる。
ガスバリア層中の水分散性樹脂バインダーの含有量は、ガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層中の固形分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、そして、その上限は、100質量%である。
(層状無機化合物)
ガスバリア層は、ガスバリア性向上の観点から、さらに層状無機化合物を含有してもよい。ガスバリア層が層状無機化合物を含有する場合、層状無機化合物の含有量は、特に限定されないが、ガスバリア層中の水溶性樹脂バインダーまたは水分散性バインダー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは65質量部以下である。
層状無機化合物としては、マイカ、カオリン、パイロフィライト、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン等が挙げられる。これらの中でも、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母等が挙げられ、好ましくは合成マイカである。ガスバリア層に含有させる層状無機化合物は、水蒸気バリア層に含有させる層状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
ガスバリア層の層状無機化合物のアスペクト比は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上、よりさらに好ましくは100以上であり、そして、塗工液の粘度および入手容易性の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、上記した方法で得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
ガスバリア層には、水溶性樹脂バインダー、水分散性樹脂バインダー、および層状無機化合物以外に、必要に応じて適宜、顔料、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
ガスバリア層の厚さは、ガスバリア性向上および層厚を少なくする観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ガスバリア層の塗工量は、固形分として、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上であり、そして、好ましくは10g/m以下、より好ましくは8.0g/m以下である。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。ヒートシール層は、好ましくは水分散性樹脂や生分解性樹脂を含有する。水分散性樹脂としては、水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダーの骨格となるポリマーとして前述したものが挙げられる。ヒートシール層の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくはオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体、エチレン酢酸ビニル樹脂である。
≪生分解性樹脂≫
生分解性樹脂としては、特に限定されないが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、3-ヒドロキシブタン酸/3-ヒドロキシヘキサン酸共重合体等が挙げられる。
生分解性樹脂として市販品を用いてもよく、たとえば、ポリ乳酸として、ミヨシ油脂株式会社製の「ランディ PLシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
ヒートシール層の厚さは、十分なヒートシール性を得る観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、そして、層厚を薄くする観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。ヒートシール層の塗工量は、固形分として、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上、さらに好ましくは3g/m以上であり、そして、好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下であり、さらに好ましくは10g/m以下である。
[バリア性積層体の製造方法]
本発明のバリア性積層体の製造方法は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に塗工する塗工工程を含む。
(蒸解工程)
蒸解工程は、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう工程である。特に限定されないが、原料パルプの材料として用いられる原料チップを、水酸化ナトリウムを含む薬液で処理することにより、カッパー価が30以上60以下である原料パルプが得られる。水酸化ナトリウムを含む薬液による処理方法としては、公知の薬液を使用する公知の処理方法を用いることができる。
針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を30以上60以下とすることにより、高強度を有する紙基材および該紙基材を用いたバリア性積層体が得られる。当該観点から、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価は、50以下とすることが好ましく、40以下とすることがより好ましい。
原料パルプの材料として用いられる原料チップは、針葉樹パルプを主成分とする。「針葉樹パルプを主成分とする原料チップ」とは、原料チップ中、針葉樹の含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
原料パルプに、漂白処理を施さなくてもよいし、漂白処理を施してもよい。原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
(叩解工程)
叩解工程は、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する工程である。特に限定されないが、蒸解処理した原料パルプを水中に分散させて、上記の原料パルプ濃度の分散液を作製し、叩解することが好ましい。叩解処理方法としては、特に限定されないが、たとえば、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナー等の叩解機を用いて行うことができる。
蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理することにより、高強度を有する紙基材および該紙基材を用いたバリア性積層体が得られるとともに、生産性に優れる。
(抄紙工程)
抄紙工程は、叩解処理した原料パルプを抄紙する工程である。抄紙方法については、特に限定されず、たとえばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。抄紙工程では、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙工程用薬剤を適宜添加できる。抄紙機についても、特に限定されず、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。
本発明のバリア性積層体に用いられる紙基材は、上述した蒸解工程と、叩解工程と、抄紙工程と、を含む方法により得られる。抄紙工程の後に、必要に応じで、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程を有していてもよい。クルパック設備としては、公知のものを用いることができる。
また、本発明のバリア性積層体の製造方法は、紙基材の表面を薬剤で処理する表面処理工程を含んでいてもよい。表面処理工程に用いられる薬剤としては、サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤等が挙げられる。表面処理工程に用いられる装置としては、公知の装置を用いることができる。
本発明のバリア性積層体の製造方法は、上記のように得られた紙基材上の少なくとも一方の面上に、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に塗工する塗工工程を含む。具体的には、紙基材上に、水蒸気バリア層塗工液(水蒸気バリア層塗料)を塗工し、乾燥して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層塗工液(ガスバリア層塗料)およびヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)よりなる群から選ばれる少なくとも1液を塗工し、乾燥して、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層を形成することが好ましい。なお、水蒸気バリア層塗工液(水蒸気バリア層塗料)、ガスバリア層塗工液(ガスバリア層塗料)、およびヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)は、二度以上塗工してもよい。
(水蒸気バリア層)
水蒸気バリア層に含有される層状無機化合物のアスペクト比は、好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上、さらに好ましくは300以上、よりさらに好ましくは500以上である。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減することができる。アスペクト比の上限は特に限定されないが、塗工液の粘度および入手容易性の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、上記した方法で得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上であり、よりさらに好ましくは5.0質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。
本実施形態では、層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、水蒸気バリア層中の層状無機化合物の含有量が少なくても、水蒸気バリア層の強度を高めて、水蒸気バリア層からの層状無機化合物の脱落を抑えることができ、水蒸気バリア性に優れるので、層状無機化合物の含有量を低減できる。
層状無機化合物の含有量は、水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは3.0質量部以上、よりさらに好ましくは5.0質量部以上であり、そして、好ましくは800質量部以下であり、より好ましくは400質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、よりさらに好ましくは50質量部以下、よりさらに好ましくは20質量部以下である。層状無機化合物の含有量が、上記範囲内であると、層状無機化合物が水蒸気バリア層の表面から露出しにくく、水蒸気バリア性に優れる。
水蒸気バリア層に含有されるカチオン性樹脂および水分散性樹脂バインダーは、バリア性積層体において前述したものを用いることができる。また、水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂および水分散性樹脂バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。また、水蒸気バリア層の厚さおよび塗工量も、前述したとおりである。
(ガスバリア層)
ガスバリア層に含有されるものとしては、バリア性積層体において前述したものを用いることができる。また、ガスバリア層の厚さおよび塗工量も、前述したとおりである。
(ヒートシール層)
ヒートシール層に含有されるものとしては、バリア性積層体において前述したものを用いることができる。また、ヒートシール層の厚さおよび塗工量も、前述したとおりである。
紙基材に複数の塗工層を形成する場合において、逐次的に塗工層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層の塗工膜を同時に形成する方法である。
塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。特に、水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター等の塗工表面をスクレイプするコーターが、層状無機化合物の配向を促す点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
各層の塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。
これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、各層の塗工液の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、水蒸気バリア層塗工液は、水蒸気バリア層用水系組成物であり、ガスバリア層塗工液は、ガスバリア層用水系組成物であり、ヒートシール層塗工液は、ヒートシール層用水系組成物であることが好ましい。
各層の塗工液の固形分量は、特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
各層の塗工量(乾燥後)は、特に限定されないが、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、経済性に優れるバリア性積層体を得る観点から、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上、さらに好ましくは3g/m以上であり、その上限は、好ましくは7g/m以下である。
[バリア性積層体の物性等]
(水蒸気透過度)
バリア性積層体の水蒸気透過度は、低いほど水蒸気が透過されず好ましく、具体的には、好ましくは50g/(m・day)以下、より好ましくは30g/(m・day)以下、さらに好ましくは10g/(m・day)以下である。
バリア性積層体の水蒸気透過度は、実施例に記載される方法により測定される。
(酸素透過度)
少なくとも水蒸気バリア層とガスバリア層とを有するバリア性積層体の酸素透過度は、低いほど酸素が透過されず好ましく、具体的には、好ましくは10mL/(m・day・atm)以下、より好ましくは8mL/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは5mL/(m・day・atm)以下である。
バリア性積層体の酸素透過度は、実施例に記載される方法により測定される。
本発明のバリア性積層体は、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れているので、水蒸気バリア性およびガスバリア性が必要な食品等の包装体として好適に用いられる。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[物性測定]
実施例および比較例の原料パルプ、紙基材およびバリア性積層体について、以下の物性測定を行った。
(カッパー価)
原料パルプのカッパー価は、JIS P 8211:2011に準拠して測定した。
(坪量)
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。
(比引張エネルギー吸収量)
紙基材の縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量(TEA指数)は、JIS P 8113:2006に準拠して測定した。
(水蒸気透過度)
バリア性積層体の水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976に準拠し、バリア性積層体の水蒸気バリア層が内側となるように、透湿カップを作製して測定した(条件B:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)。
(酸素透過度)
バリア性積層体の酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、23℃、かつ50%RHの条件にて測定した。
[実施例1]
<紙基材の製造>
原料チップとして針葉樹であるダグラスファーを用いて、水酸化ナトリウムを含む薬液を用いて蒸解処理を行い、カッパー価40の未晒クラフトパルプである原料パルプを得た。次いで、蒸解処理で得られた原料パルプを水中に分散させて分散液を調製した。その後、叩解機として、シングルディスクリファイナーおよびダブルディスクリファイナーを用いて、分散液を叩解し、クラフトパルプを得た。得られたクラフトパルプに、クラフトパルプの絶乾質量中、合成サイズ剤(荒川化学工業株式会社製の「サイズパインMXE2」)0.2%、硫酸バンド1.0%、ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製の「DS744」)0.8%、カチオン化澱粉(イングレディオン・ジャパン株式会社製の「OPTIBOND3922」)0.8%を添加し、紙料(紙基材原料)とした。得られた紙料を、クルパック設備を備えた抄紙機(三菱重工業株式会社製の「ベルフォームIII型」)を用いて抄紙し、紙基材(クルパック紙、坪量:80g/m、厚さ:130μm)を得た。
<水蒸気バリア層塗料の調製>
層状無機化合物の水分散液(合成マイカ、トピー工業株式会社製の「NTO-05(商品名)」、アスペクト比:約1000、厚さ:約5nm、固形分:6%)19.7部に、撹拌しながら、エチレン/アクリル酸共重合体(住友精化株式会社製の「ザイクセンAC(商品名)」、固形分:29.2%、アクリル酸の共重合比率:20mоl%、融点:80~95℃)34.3部を加え、さらに撹拌した。これに、カチオン変性ポリアミド系樹脂(田岡化学工業株式会社製の「Sumirez Resin SPI-203(50)H(商品名)」、表面電荷:0.4meq/g、固形分53%)を1.7部加え、撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.1部加え撹拌した。さらに、固形分濃度が20%になるように水を加えて撹拌し、水蒸気バリア層塗料を調製した。
<ガスバリア層塗料の調製>
エチレン変性ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製の「エクセバールAQ―4104(商品名)」)を、熱水に溶解し、固形分濃度10%とし、ガスバリア層塗料を調製した。
<ヒートシール層塗料>
ミヨシ油脂株式会社製の「ランディ PL-3000」に、水を加えて撹拌し、固形分濃度20%とし、ヒートシール層塗料を調製した。
<バリア性積層体の製造>
紙基材に、得られた水蒸気バリア層塗料を、乾燥後の水蒸気バリア層の塗工量が6.0g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥した。次に、水蒸気バリア層上に、ガスバリア層塗料を、乾燥後の塗工量が3.0g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥した。その後、ガスバリア層上に、ヒートシール層塗料を、乾燥後の塗工量が5.0g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、バリア性積層体を得た。分析結果を表1に示す。
[比較例1]
水蒸気バリア層塗料およびガスバリア層塗料を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。評価および分析結果を表1に示す。
[比較例2]
紙基材としてクラフト紙(坪量:坪量:80g/m、厚さ:100μm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。評価および分析結果を表1に示す。
Figure 0007268614000001
表1から分かるように、本実施例のバリア性積層体によれば、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、高強度を有するバリア性積層体が提供される。

Claims (13)

  1. 針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなる紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に有するバリア性積層体であって、
    前記紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される、縦方向および横方向の比引張エネルギー吸収量が、2.5J/g以上であり、
    前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する、バリア性積層体。
  2. 前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、
    前記層状無機化合物の厚さが200nm以下であり、
    前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、0.1質量部以上800質量部以下である、請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 前記水分散性樹脂バインダーが、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載のバリア性積層体。
  4. 前記カチオン性樹脂の表面電荷が0.1meq/g以上10meq/g以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記層状無機化合物が、マイカ、ベントナイト、およびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  6. 前記原料パルプが未晒クラフトパルプである、請求項1~5のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  7. 前記原料パルプの、JIS P 8211:2011に準拠して測定されるカッパー価が、30以上60以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  8. 水蒸気透過度が50g/(m・day)以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  9. 少なくとも前記水蒸気バリア層と、前記ガスバリア層とを有し、酸素透過度が10mL/(m・day・atm)以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  10. 針葉樹パルプを主成分とする原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、
    蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、
    叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、
    を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有する水蒸気バリア層と、ガスバリア層およびヒートシール層よりなる群から選ばれる少なくとも1層と、をこの順に塗工する塗工工程を含む、バリア性積層体の製造方法。
  11. 前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、
    前記層状無機化合物の厚さが200nm以下であり、
    前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー100質量部に対して、0.1質量部以上800質量部以下である、請求項10に記載のバリア性積層体の製造方法。
  12. 前記原料パルプが未晒クラフトパルプである、請求項10または11に記載のバリア性積層体の製造方法。
  13. 前記抄紙工程の後に、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程をさらに有する、請求項10~12のいずれか1項に記載のバリア性積層体の製造方法。
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