JP7468821B2 - バリア性積層体及び包装袋 - Google Patents

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Description

本開示は、バリア性積層体及びこれを用いてなる包装袋に関する。
紙基材に酸素バリア性などのガスバリア性や水蒸気バリア性を付与した包装材料は、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するなどのために、従来から用いられてきている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、ガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムなどを紙基材に積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、紙を基材としたガスバリア性材料の開発が進められてきている。例えば、特許文献1には、紙基材上に、ガスバリア層及びヒートシール層がこの順で設けられた紙製バリア材料において、ガスバリア層に用いる樹脂の水酸基及び酸基を制御した技術が記載されている。
特開2021-138434号公報
特許文献1に記載の紙製バリア材料は、バリア層が単層でプラスチック材料の低減は可能となっている。しかし、水蒸気バリア性の観点からは十分とはいえない。
本開示は、少ない層数で(たとえば、バリア層が単層であっても)水蒸気バリア性及びガスバリア性を高度に両立し、さらにバリア層の塗工量を少なくでき環境への負荷を低減可能なバリア性積層体を提供する。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、
該バリア層は、単層であり、
40℃、90%RHでの該バリア層の水蒸気透過度が、50g/m・day未満であり、
23℃、50%RHでの該バリア層の酸素透過度が、10.0mL/m・day・atm以下であり、
JIS-Z-0208:1976に準拠して40℃、90%RHの条件で測定した該バリア性積層体の水蒸気透過度が、50g/m・day未満であり、
該バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、50%RHでの酸素透過度が、10.0mL/m・day・atm以下であり、
該バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率が、85質量%以上である、バリア性積層体。
<2> 前記バリア層が、ヒドロキシポリウレタン及び膨潤性層状ケイ酸塩を含有する、
<1>に記載のバリア性積層体。
<3> 前記バリア層が、カチオン性樹脂をさらに含有する、<2>に記載のバリア性積層体。
<4> 紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、
該バリア層は、ヒドロキシポリウレタン、膨潤性層状ケイ酸塩及びカチオン性樹脂を含有する、バリア性積層体。
<5> 前記バリア層における前記カチオン性樹脂の含有割合が1.0~20.0質量%である、<3>又は<4>に記載のバリア性積層体。
<6> 前記バリア層における前記ヒドロキシポリウレタンの含有割合が30.0~80.0質量%である、<2>~<5>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<7> 前記バリア層における前記膨潤性層状ケイ酸塩の含有割合が、5.0~30.0質量%である、<2>~<6>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<8> 前記バリア層が、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及びヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一をさらに含み、
該水懸濁性高分子が、スチレン・ブタジエン系共重合体、アクリル系樹脂、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一を含み、
該水溶性高分子が、ビニルアルコール系重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリエチレングリコール、水溶性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸、及び水溶性セルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一を含む、<1>~<7>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<9> 前記バリア層における前記ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及び前記ヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子の合計の含有割合が2.0~50.0質量%である、<8>に記載のバリア性積層体。
<10> 前記バリア性積層体が、前記バリア層が積層された側にさらにヒートシール層を有し、
前記バリア性積層体のヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールして得られたサンプルを用いて引張試験機で剥離させたときのヒートシール強度が、2.0N/15mm以上である、<1>~<9>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<11> 前記バリア層及びヒートシール層の合計の塗工量が、12g/m以下である、<10>に記載のバリア性積層体。
<12> 前記バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、85%RHでの酸素透過度が、10.0mL/m・day・atm以下である、<1>~<11>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<13> <1>~<12>のいずれかに記載のバリア性積層体を用いてなる、包装袋。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
本開示の少なくとも一態様(以下、第一の態様とも称する)は、紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、
該バリア層は、単層であり、
40℃、90%RHでの該バリア層の水蒸気透過度が50g/m・day未満であり、
23℃、50%RHでの該バリア層の酸素透過度が10.0mL/m・day・atm以下であり、
JIS-Z-0208:1976に準拠して40℃、90%RHの条件で測定した該バリア性積層体の水蒸気透過度が、50g/m・day未満であり、
該バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、50%RHでの酸素透過度が10mL/m・day・atm以下であり、
該バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率が、85質量%以上である。
本開示の少なくとも一態様(以下、第二の態様とも称する)は、紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、
該バリア層は、(A)ヒドロキシポリウレタン、(B)膨潤性層状ケイ酸塩及び(C)カチオン性樹脂を含有する、バリア性積層体に関する。なお、第二の態様において、上記(A)~(C)成分を含有するバリア層のみでも、優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を発現するが、当該バリア層以外のバリア層をさらに有していてもよい。
本発明者らは、少ない層数で(たとえば、バリア層が単層であっても)水蒸気バリア性及びガスバリア性を高度に両立し、さらにバリア層の塗工量を少なくできバリア性積層体について鋭意検討した。そして、上記バリア性積層体とすることで、上記課題を解決できることを見出した。
第一の態様において、まず、JIS-Z-0208:1976に準拠して40℃、90%RHの条件で測定したバリア性積層体の水蒸気透過度が、50g/m・day未満である。該水蒸気透過度は、40g/m・day以下であることが好ましく、30g/m・day以下であることがより好ましく、20g/m・day以下であることがさらに好ましく、15g/m・day以下であることがさらにより好ましく、10g/m・day以下であることが殊更好ましく、8g/m・day以下であることが特に好ましい。上記範囲であることは、水蒸気バリア性が非常に高いことを示す。
下限は低いほどよいため特に制限されないが、好ましくは0g/m・day以上、1g/m・day以上、2g/m・day以上、3g/m・day以上である。水蒸気透過度は、例えば、バリア層の厚さやバリア層の含有成分の選択により制御できる。
また、バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、50%RHでの酸素透過度は、10.0mL/m・day・atm以下である。該酸素透過度は、8.0mL/m・day・atm以下であることが好ましく、5.0mL/m・day・atm以下であることがより好ましく、3.0mL/m・day・atm以下であることがさらに好ましく、2.0mL/m・day・atm以下であることがさらにより好ましく、1.5mL/m・day・atm以下であることが一層好ましく、1.0mL/m・day・atm以下であることが殊更好ましく、0.5L/m・day・atm以下であることが特に好ましい。上記範囲であることは、酸素バリア性が非常に高いことを示す。
下限は低いほどよいため特に制限されないが、好ましくは0.0mL/m・day・atm以上、0.1mL/m・day・atm以上である。酸素透過度は、例えば、バリア層の厚さやバリア層の含有成分の選択により制御できる。
バリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有する。第一の態様において、バリア層は、単層である。そして、40℃、90%RHでのバリア層の水蒸気透過度が50g/m・day未満である。
上記バリア層の水蒸気透過度は、40g/m・day以下であることが好ましく、30g/m・day以下であることがより好ましく、20g/m・day以下であることがさらに好ましく、15g/m・day以下であることがさらにより好ましく、10g/m・day以下であることが殊更好ましく、8g/m・day以下であることが特に好ましい。
下限は低いほどよいため特に制限されないが、好ましくは0g/m・day以上、1g/m・day以上、2g/m・day以上、3g/m・day以上である。
バリア層の水蒸気透過度は、後述の実施例に記載の測定方法により測定される。
また、23℃、50%RHでのバリア層の酸素透過度が10.0mL/m・day・atm以下である。
上記バリア層の酸素透過度は、8.0mL/m・day・atm以下であることが好ましく、5.0mL/m・day・atm以下であることがより好ましく、3.0mL/m・day・atm以下であることがさらに好ましく、2.0mL/m・day・atm以下であることがさらにより好ましく、1.0mL/m・day・atm以下であることが殊更好ましく、0.7mL/m・day・atm以下であることがより一層好ましく、0.5L/m・day・atm以下であることが特に好ましい。
下限は低いほどよいため特に制限されないが、好ましくは0.0mL/m・day・atm以上、0.1mL/m・day・atm以上である。
バリア層の酸素透過度は、後述の実施例に記載の測定方法により測定される。
本開示の第一の態様に関し、バリア層が上記水蒸気透過度及び酸素透過度を満たすことは、バリア層単層での水蒸気バリア性及びガスバリア性が非常に高いことを示す。そして、単層で上記のような高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を達成できるため、バリア層の塗工量を少なくすることができ、製品の軽量化が可能となる。
一方、本開示の第二の態様に関し、バリア性積層体のバリア層が、ヒドロキシポリウレタン、膨潤性層状ケイ酸塩及びカチオン性樹脂を含有することで、膨潤性層状ケイ酸塩による迷路効果を効率よく発現させることができる。その結果、非常に高いガスバリア性及び水蒸気バリア性を発揮でき、上記課題解決に資する。
また、バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率を高くすることができ、生分解性能を向上させることができ、環境への負荷を低減可能なバリア性積層体を得ることができる。さらに、バリア性積層体の層数を少なくすることが可能であるため、ブリスターの発生などを抑制することができ、また、少ない工程数での製造が可能となる。
第一の態様において、バリア層が単層であるかどうかは、紙平面に対して垂直方向に沿って断面を作製し、電子顕微鏡で観察することで確認できる。あるいは、X線CTを用いた非破壊観察によっても確認できる。
例えば、バリア層に用いる材料の選択により、水蒸気透過度及び酸素透過度を上記範囲とすることができる。
バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率は、85質量%以上である。回収率が上記範囲であることは、バリア性積層体におけるパルプの含有割合が高く、リサイクル性が高いことを示している。また、上述した水蒸気透過度及び酸素透過度を満足することと併せて、少ない塗工量で高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を両立できることを示している。
上記パルプの回収率は、88質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、92質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下である。
上記パルプの回収率は、バリア層などの塗工量、バリア層中の層状無機化合物(膨潤性層状ケイ酸塩)の含有量、紙基材の坪量などにより制御することができる。
また、バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、85%RHでの酸素透過度は、10.0mL/m・day・atm以下であることが好ましく、8.0mL/m・day・atm以下であることがより好ましく、5.0mL/m・day・atm以下であることがさらに好ましく、3.0mL/m・day・atm以下であることがさらにより好ましく、2.0mL/m・day・atm以下であることが殊更好ましく、1.5mL/m・day・atm以下であることが一層好ましく、1.0mL/m・day・atm以下であることが特に好ましい。
下限は低いほどよいため特に制限されないが、好ましくは0.0mL/m・day・atm以上、0.1mL/m・day・atm以上である。
85%RHでの酸素透過度が上記範囲を満たすことは、高湿環境であっても十分なガスバリア性を発揮することを示す。5%RHでの酸素透過度は、バリア層に用いる材料の選択により、上記範囲とすることができる。
以下、バリア性積層体の各材料などについて説明する。
<紙基材>
バリア性積層体は、紙基材を含む。紙基材は特に制限されず、公知の紙材料を用いることができる。
紙基材を構成するパルプは、植物由来のパルプを主成分とすることが好ましく、木材パルプを主成分とする。木材パルプとしては、たとえば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材としては、具体的には、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶晒クラフト紙、グラシン紙、グラファン紙などが挙げられる。これらの中でも、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、片艶晒クラフト紙が好ましい。より好ましくは、晒クラフト紙、片艶晒紙であり、さらに好ましくは片艶晒クラフト紙である。
紙基材には添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えばpH調整剤(炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等)、乾燥紙力剤(ポリアクリルアミド、澱粉等)、湿潤紙力剤(ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂のいずれか)、内添サイズ剤(ロジン系、アルキルケテンダイマー等)、濾水歩留り向上剤、消泡剤、填料(炭酸カルシウム、タルク等)、染料等が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の含有量は、特に限定されず、通常用いられている範囲であってよい。
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、例えば包装袋用途であれば、20g/m以上150g/m以下が好ましく、30g/m以上100g/m以下がより好ましく、40g/m以上70g/m以下がさらに好ましい。紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(紙厚)
紙基材の紙厚は、特に限定されないが、例えば包装袋用途であれば、20μm以上150μm以下が好ましく、25μm以上100μm以下がより好ましく、30μm以上50μm以下がさらに好ましい。紙基材の紙厚は、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(王研式平滑度)
紙基材の平滑度は特に制限されない。例えば、バリア層を設ける側の面の王研式平滑度が、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されないが、たとえば、2000秒以下であることが好ましく、1000秒以下であることがより好ましい。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
(紙基材の製造方法)
紙基材を製造する方法としては、パルプを含有する紙料を抄紙する方法が挙げられる。なお、紙料は、添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば前記で挙げた添加剤が挙げられる。
紙料は、パルプスラリーに添加剤を添加することにより調製できる。パルプスラリーは、パルプを水の存在下で叩解することにより得られる。パルプの叩解方法、叩解装置は特に限定されず、公知の叩解方法、叩解装置と同様であってよい。紙料におけるパルプの含有量は、特に限定されず、通常用いられている範囲であってよい。例えば、紙料の総質量に対して、60質量%以上100質量%未満である。
紙料の抄紙は定法により実施できる。例えば、紙料をワイヤ等に流延させ、脱水して湿紙を得て、必要に応じて複数の湿紙を重ね、この単層または多層の湿紙をプレスし、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、複数の湿紙を重ねない場合は単層抄きの紙が得られ、複数の湿紙を重ねる場合は多層抄きの紙が得られる。複数の湿紙を重ねる際に、湿紙の表面(他の湿紙を重ねる面)に接着剤を塗布してもよい。
<バリア層>
第一の態様において、バリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面に、単層のバリア層を有する。バリア層は、上記の通り、高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を発揮する。バリア層に用いる材料は、上記水蒸気バリア性及びガスバリア性を発揮できるものであれば特に制限されない。例えば、以下のような公知の樹脂を採用しうる。
バリア層に使用しうる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールおよびその変性樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、セルロース誘導体や澱粉およびその誘導体などの多糖類系樹脂、天然ゴム、セラックなどの天然由来熱硬化性樹脂およびこれらの変性物等が挙げられる。
(ヒドロキシポリウレタン)
第一および第二の態様において、高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を発揮させるために、バリア層は、ヒドロキシポリウレタンを含有することが好ましい。ヒドロキシポリウレタンとは、水酸基を有するポリウレタンを示す。
ヒドロキシポリウレタンの水酸基価は、好ましくは100~500mgKOH/gであり、より好ましくは150~400mgKOH/gであり、さらに好ましくは200~350mgKOH/gである。上記水酸基価であることで、ヒドロキシポリウレタンの凝集力が高まり、高いバリア性を発揮しやすくなる。
ヒドロキシポリウレタンは酸基を有してもよい。ヒドロキシポリウレタンの酸価は、好ましくは50~100mgKOH/gであり、より好ましくは10~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは15~60mgKOH/gである。
ヒドロキシポリウレタンの酸価及び水酸基価はJIS K 1557:2007に準拠して、滴定法により測定することができる。
ヒドロキシポリウレタンは、市販のものを使用しうる。例えば、HPU W-001、HPU W-003、HPU-W013A(いずれも大日精化工業社製)などが挙げられる。
バリア層におけるヒドロキシポリウレタンの含有割合は、30.0~80.0質量%であることが好ましく、40.0~75.0質量%であることがより好ましく、50.0~70.0質量%であることがさらに好ましく、55.0~68.0質量%であることがさらにより好ましく、60.0~66.0質量%であることが一層好ましい。上記範囲であることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性をより高めやすくなる。また、上記範囲であると、バリア層の強度が良好となり、バリア層上にヒートシール層を設けた場合において、ヒートシール性が良好となる。
(水懸濁性高分子、水溶性高分子)
第一および第二の態様において、バリア層は、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及びヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一をさらに含むことが好ましい。水懸濁性高分子や水溶性高分子は、バリア層に使用しうる樹脂として前述したものから選択しうる。
ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子は、スチレン・ブタジエン系共重合体、アクリル系樹脂、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一を含むことが好ましい。
ヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子は、ビニルアルコール系重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリエチレングリコール、水溶性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸、及び水溶性セルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一を含むことが好ましく、ビニルアルコール系重合体、及び(メタ)アクリル酸系重合体からなる群より選択される少なくとも一を含むことがより好ましい。
このような水懸濁性高分子や水溶性高分子を用いることで、バリア層の製膜性が向上し、水蒸気バリア性及びガスバリア性が向上しうる。
水系塗工でバリア層を形成する場合において、水溶性高分子は、水懸濁性高分子に比べて製膜性向上効果に優れる。さらに、バリア層の耐水性を向上させ、水蒸気バリア性をより良好にする観点から、水溶性高分子に加え水懸濁性高分子を併用することが好ましい。すなわち、バリア層は、水懸濁性高分子および水溶性高分子を含有することが好ましい。この際、水懸濁性高分子としては、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体が好ましく、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体がより好ましい。また、水溶性高分子としては、ビニルアルコール系重合体が好ましい。
バリア層における、水懸濁性高分子の含有割合と水溶性高分子の含有割合との質量基準の比率(水懸濁性高分子:水溶性高分子)は、好ましくは20:1~1:2であり、より好ましくは10:1~2:3であり、さらに好ましくは5:1~3:4であり、さらにより好ましくは4:1~4:5である。
(水懸濁性高分子)
≪スチレン/ブタジエン系共重合体≫
スチレン・ブタジエン系共重合体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系化合物と、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどのブタジエン系化合物、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。
スチレン系化合物としてはスチレン、またブタジエン系化合物としては1,3-ブタジエンが好適である。
スチレン・ブタジエン系共重合体としては市販のものを用いることもできる。例えば、酸変性スチレン-ブタジエン共重合体バインダーとして、LX407S12(日本ゼオン社製)などが挙げられる。
≪スチレン/アクリル系共重合体≫
スチレン/アクリル系共重合体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホアルキルナトリウム塩(アルキル基の炭素数が2以上3以下)などのアクリル系化合物およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。スチレン系化合物としてはスチレンが好適であり、またアクリル系化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好適であり、アクリル酸、アクリル酸エステルがより好適である。(メタ)アクリル酸エステルとしてはアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数は好ましくは1~6である。
スチレン/アクリル系共重合体としては市販のものを用いることもできる。例えば、スチレン-アクリル共重合体バインダーとして、JONCRYL HSL-9012(BASF社製)などが挙げられる。
≪オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体≫
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン、とりわけ、プロピレン等のα-オレフィンまたはエチレンと、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステルおよびマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステルおよびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。
オレフィンとしては、エチレンまたはα-オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、例えばエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20%、住友精化社製)として市販されており、容易に入手し利用することができる。
≪ポリオレフィン樹脂≫
ポリオレフィン樹脂としては、エチレンまたはα-オレフィンの重合体が好ましく、ポリエチレンがより好ましい。ポリオレフィンは市販のものを用いることもできる。例えば、ポリオレフィン樹脂バインダーとして、HYDRECT HS(DIC社製)などが挙げられる。
(水溶性高分子)
≪ビニルアルコール系重合体≫
ビニルアルコール系重合体としては、ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールは、ケン化度が85.0~99.5モル%であることが好ましく、90.0~99.0モル%であることがより好まし。ポリビニルアルコールは市販のものを用いることもできる。例えば、EXCEVALシリーズ(クラレ社製)などが挙げられる。
≪(メタ)アクリル酸系重合体≫
(メタ)アクリル酸系重合体としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、これらの塩などが挙げられる。塩としてはポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウムなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸系重合体は市販のものを用いることもできる。例えば、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液として、アロン A-30(東亜合成社製)などが挙げられる。
そのほか、水溶性高分子としては、公知の、ポリエチレングリコール、水溶性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸、及び水溶性セルロース誘導体などを用いることができる。ポリカルボン酸は、例えば、ポリマレイン酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリグルクロン酸などが挙げられる。
水溶性セルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
水懸濁性高分子、水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは2万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは500万以下である。水懸濁性高分子の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(標準物質:ポリスチレン)を用いて測定される。水溶性高分子の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(標準物質:ポリエチレングリコール)を用いて測定される。
バリア層におけるヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及びヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子の合計の含有割合は、2.0~50.0質量%であることが好ましく、5.0~45.0質量%であることがより好ましく、10.0~35.0質量%であることがさらに好ましく、15.0~25.0質量%であることがさらにより好ましい。上記範囲であることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性をより高めやすくなり、ヒートシール性もより良好になる。
(層状無機化合物)
第一の態様において、水蒸気バリア性及びガスバリア性をより高めやすくするため、バリア層は、層状無機化合物を含有してもよい。層状無機化合物の形態は、平板状である。
バリア層に層状無機化合物を用いることで、平板状の層状無機化合物が紙基材の平面(表面)とほぼ平行に積層しやすくなる。そうすると、平面方向では層状無機化合物が存在していない面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制されやすい。また、厚さ方向では平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に配列して存在するため、層中の水蒸気は層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、迷路効果により、水蒸気の透過が抑制される。その結果、バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現しやすくなる。
層状無機化合物の平均厚さは、好ましくは200nm以下である。層状無機化合物の平均厚さは、120nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、25nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることがとくに好ましい。層状無機化合物の厚さが小さい方が、バリア層中における層状無機化合物の積層数が大きくなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。層状無機化合物の厚さの下限値は特に限定されるものではないが、2nm以上であることが好ましい。
ここで、バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の平均厚さは、以下のようにして求められる。バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の厚さを測定する。そして、得られた厚さの平均値を算出して、層状無機化合物の平均厚さとする。
層状無機化合物の平均長さは、1μm以上100μm以下であることが好ましい。平均長さが1μm以上であると、層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列し易い。また、平均長さが100μm以下であると層状無機化合物の一部がバリア層から突出する懸念が少ない。層状無機化合物の平均長さは、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、15μm以下であることがとくに好ましい。
ここで、バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の平均長さは、以下のようにして求められる。バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20~30個程度含まれる倍率とする。画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の長さを測定する。そして、得られた長さの平均値を算出して、層状無機化合物の平均長さとする。なお、層状無機化合物の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
層状無機化合物は、アスペクト比が50以上であることが好ましい。アスペクト比が50以上であると、水蒸気バリア性をより高めやすい。層状無機化合物のアスペクト比は、80以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上がとくに好ましい。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減させることができる。アスペクト比の上限はとくに限定されず、塗工液の粘度の観点から10000以下程度が好ましく、5000以下程度であることがより好ましく、2000以下程度であることがさらに好ましい。ここで、アスペクト比とは、上記したように、バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
層状無機化合物の具体例としては、雲母族、脆雲母族等のマイカ、ベントナイト、カオリナイト(カオリン鉱物)、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどが挙げられる。
これらの中でもとくに、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイトのうち1種以上を含有することが好ましく、マイカまたはベントナイトがより好ましい。マイカの具体例としては、合成マイカ(例えば、膨潤性マイカ、非膨潤性マイカ)、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトの具体例としては、モンモリロナイトが挙げられる。
第一および第二の態様において、層状無機化合物として、バリア層は、好ましくは膨潤性マイカなどの膨潤性層状ケイ酸塩を含む。バリア層は、ヒドロキシポリウレタン及び膨潤性層状ケイ酸塩を含むことが好ましい。膨潤性層状ケイ酸塩は、水に対して膨潤性を有し、せん断によって層が容易にへき開してナノメートルオーダーの厚さになる層状無機化合物である。ヒドロキシポリウレタン及び膨潤性層状ケイ酸塩を組み合わせることで、元来から高いガスバリア性能を有するヒドロキシポリウレタン樹脂膜中に、薄くアスペクト比の高い膨潤性層状ケイ酸塩が分散することとなり、迷路効果により更に高いガスバリア性能を発揮する。
膨潤性層状ケイ酸塩は、例えば、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムヘクトライト、リチウムテニオライト、フッ素金雲母、ナトリウムスメクタイト、ナトリウムモンモリロナイトなどが挙げられる。
膨潤性層状ケイ酸塩は、好ましくはナトリウム四珪素雲母のような膨潤性マイカである。市販の膨潤性層状ケイ酸塩のうち、膨潤性マイカとしては、NTO-05(トピー工業製)やソマシフME300B-4T(片倉コープアグリ社製)などが挙げられる。
バリア層における膨潤性層状ケイ酸塩の含有割合は、5.0~30.0質量%であることが好ましく、10.0~25.0質量%であることがより好ましく、13.0~24.0質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性をより高めやすくなる。
(カチオン性樹脂)
第一および第二の態様において、バリア層は、ヒドロキシポリウレタン及び膨潤性層状ケイ酸塩に加え、さらにカチオン性樹脂を含有することが好ましい。バリア層はカチオン性樹脂を含有することによって、ガスバリア性及び水蒸気バリア性、特に水蒸気バリア性が大きく向上し、上述した特定の範囲の酸素透過度及び水蒸気透過度を達成しやすくなる。
膨潤性層状ケイ酸塩は、粒子表面がアニオン性、粒子端面がカチオン性に帯電しやすいため、表面と端面が引き合ってカードハウス凝集構造をとりやすい。カチオン性樹脂の添加により、粒子表面のアニオン性基をカチオンで封鎖することができ、カードハウス凝集構造を破壊できる。そのため、膨潤性層状ケイ酸塩の立体凝集を抑制し、膨潤性層状ケイ酸塩を紙基材の平面に平行に整列させることができ、迷路効果を十分に発現させることができる。その結果、非常に高いガスバリア性及び水蒸気バリア性を発揮できる。
カチオン性樹脂の具体例としては、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、変性ポリアミド系化合物、ポリアミドアミン-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素-エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。
中でも、カチオン性樹脂は、変性ポリアミド化合物であることが好ましく、変性ポリアミド樹脂であることがより好ましい。変性ポリアミド樹脂としては市販のものを用いてもよく、例えば、SPI203(50)H、田岡化学工業製などが挙げられる。
バリア層におけるカチオン性樹脂の含有量は、ヒドロキシポリウレタン及び膨潤性層状ケイ酸塩などバリア層に使用される材料の種類に応じて適宜選択すればよい。バリア性及び/又はヒートシール性をより向上させる観点から、バリア層におけるカチオン性樹脂の含有割合は、1.0~20.0質量%が好ましく、1.0~10.0質量%であることがより好ましく、1.5~8.0質量%であることがさらに好ましく、1.8~5.0質量%であることがさらにより好ましく、2.0~3.0質量%であることが特に好ましい。
カチオン性樹脂の表面電荷は、0.1~10meq/gであることが好ましく、0.1~5.0meq/gであることがより好ましく、0.1~4.0meq/gであることがさらに好ましく、0.1~2.0meq/gであることがさらに一層好ましく、0.2~1.0meq/gであることが特に好ましい。
カチオン性樹脂の表面電荷が上記下限以上であると、カチオン性樹脂を添加した効果がより十分に得られる。一方、表面電荷が上記上限以下であると、膨潤性層状ケイ酸塩の凝集を抑制しつつ、カチオン性樹脂の効果をより十分に発揮させることができる。
なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定する。まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD-04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
バリア層には、上記特定のバリア性を損なわない程度に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
(バリア層の塗工量)
バリア層の塗工量は、特に制限されないが、乾燥後の固形分として、バリア性の観点からは、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上であり、そして、再離解性の観点からは、好ましくは15g/m以下であり、より好ましくは10g/m以下、さらに好ましくは8g/m以下であり、さらにより好ましくは6g/m以下である。
バリア層の厚さは、1~20μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましい。
(バリア層の形成方法)
バリア層の形成方法は特に限定されない。例えば、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及び水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一の樹脂、ヒドロキシポリウレタン、膨潤性層状ケイ酸塩及びカチオン性樹脂を溶媒に分散したバリア層塗工液を作製する。得られたバリア層塗工液を紙基材に塗工し、乾燥して、バリア層を形成することが好ましい。
バリア層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、バリア層塗工液の分散媒としては、水系媒体が好ましく、水がより好ましい。本明細書中、水系媒体とは、水を50質量%以上含有する媒体である。
バリア層塗工液の塗工に使用する装置は、特に限定されず、一般に使用されている塗工装置から適宜選択して使用すればよい。例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、メイヤーバーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置が挙げられる。
<ヒートシール層>
第一および第二の態様において、バリア性積層体は、バリア層が積層された側にさらにヒートシール層を有していてもよい。第一の態様において、ヒートシール層がバリア性を有する場合であっても、ヒートシール性付与の目的で設けられている場合は、ヒートシール層に分類するものとする。第一の態様において、ヒートシール層は、例えば、上述したバリア層の水蒸気透過度及び酸素透過度の両方の範囲を満たさない。あるいは、第一の態様において、ヒートシール層は、例えば、上述したバリア層の水蒸気透過度または酸素透過度のいずれか一方の範囲を満たしてもよい。
一方、第二の態様において、ヒートシール層は、水蒸気バリア性、ガスバリア性などのバリア性を有していてもよい。第二の態様において、ヒートシール層は、上述したバリア層の水蒸気透過度および酸素透過度の少なくとも一方又は両方の範囲を満たしていてもよい。
ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。ヒートシール層は、好ましくは水分散性樹脂を含有する。水分散性樹脂としては、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子として前述したものが挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン樹脂、スチレン/アクリル系共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂に加えて、ブロッキング防止や耐油性向上を目的として、パラフィンワックスやカルナバワックス、ポリオレフィン系ワックスなど滑剤や、シリカやカオリンなどの顔料を添加してもよい。
ヒートシール層は、好ましくはスチレン/アクリル系共重合体及びポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも一の樹脂を含む層であることが好ましい。市販の材料として、スチレンアクリル水性ディスパージョン(製品名:XP8829、星光PMC社製)、ポリオレフィン水性ディスパージョン(製品名:Rhobarr320、ダウ製)などが挙げられる。
ヒートシール層がバリア性を有する場合、40℃、90%RHでのヒートシール層の水蒸気透過度は、例えば、厚さ20μmに換算したとき、1~100g/m・day程度である。また、23℃、50%RHでのヒートシール層の酸素透過度は、例えば、厚さ20μmに換算したとき、1~100mL/m・day・atm程度である。
(ヒートシール層の塗工量)
ヒートシール層の塗工量は、特に制限されないが、乾燥後の固形分として、ヒートシール性の観点からは、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上であり、そして、再離解性の観点からは、好ましくは15g/m以下であり、より好ましくは10g/m以下、さらに好ましくは8g/m以下であり、さらにより好ましくは6g/m以下である。
ヒートシール層の厚さは、0.5~20μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましい。
(ヒートシール層の形成方法)
ヒートシール層の形成方法は特に限定されない。例えば、水分散性樹脂を溶媒に分散したヒートシール層塗工液を作製する。得られたヒートシール層塗工液を紙基材のバリア層上に塗工し、乾燥して、ヒートシール層を形成することが好ましい。
ヒートシール層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、ヒートシール層塗工液の分散媒としては、水系媒体が好ましく、水がより好ましい。
バリア層及びヒートシール層の合計の塗工量は、好ましくは12g/m以下であり、より好ましくは11g/m以下である。上記範囲であることは、層が薄くても非常に高いガスバリア性及び水蒸気バリア性を発揮しうることを意味する。また、上記範囲であることで、パルプの回収率を高くしやすく、製品をより軽量化でき、生分解性能がより向上する。
当該塗工量の下限は特に制限されないが、好ましくは2g/m以上であり、より好ましくは5g/m以上であり、さらに好ましくは8g/m以上である。
バリア性積層体のヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールして得られたサンプルを用いて引張試験機で剥離させたときのヒートシール強度が、2.0N/15mm以上であることが好ましく、2.5N/15mm以上であることがより好ましく、2.8N/15mm以上であることがさらに好ましく、3.0N/15mm以上であることがさらにより好ましい。ヒートシール強度が、上記範囲であることで、内容物を運搬する際の破袋を防ぐことが可能である。
上限は特に制限されないが、好ましくは10.0N/15mm以下、7.0N/15mm以下、5.0N/15mm以下、4.0N/15mm以下である。
第一および第二の態様において、バリア性積層体は、上述したバリア層およびヒートシール層に加えて、他の層を有していてもよい。第二の態様において、他の層は、水蒸気バリア層、ガスバリア層などのバリア性を有していてもよい。
<バリア性積層体の製造>
バリア性積層体の製造方法は特に制限されず公知の方法を採用しうる。バリア性積層体の製造方法は、紙基材上に、まずバリア層塗工液を塗工して、バリア層を形成する工程を有する。必要に応じて紙基材のバリア層を塗工した面にヒートシール層塗工液を塗工して、ヒートシール層を形成する工程を有してもよい。各層の形成については前述したとおりである。なお、各層は、塗工液を逐次塗工及び乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させてもよい。
各塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、例えば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板などが挙げられる。
本開示の第一の態様において、バリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上にバリア層を有する。バリア性積層体は、好ましくは紙基材、バリア層及びヒートシール層をこの順に有する。バリア性積層体は、紙基材及び単層のバリア層のみからなる積層体としてもよいし、紙基材、単層のバリア層及びヒートシール層のみからなる積層体としてもよい。
また、本開示の第二の態様は、紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、該バリア層は、(A)ヒドロキシポリウレタン、(B)膨潤性層状ケイ酸塩及び(C)カチオン性樹脂を含有する、バリア性積層体を提供する。
当該態様により、ヒドロキシポリウレタン、膨潤性層状ケイ酸塩及びカチオン性樹脂による非常に高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を発揮することができ、バリア性積層体の塗工量を抑えることができる。
第二の態様において、上記(A)~(C)成分を含むバリア層は、1層でも優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を発現するが、2層以上有していてもよい。また、第二の態様において、他の層(たとえば、ヒートシール層)をさらに有する場合、当該他の層は、水蒸気バリア層、ガスバリア層などのバリア性を有していてもよい。すなわち、第二の態様において、水蒸気透過度および酸素透過度は、上記(A)~(C)成分を含むバリア層に加えて、他の層の寄与を含んでもよい。
バリア性積層体は、食品、化粧品、日用雑貨品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。バリア性積層体は、非常に高い水蒸気バリア性及びガスバリア性を有するため、香り・臭気を有する内容物の包装用材料としても好適に用いることができる。また、高湿度条件下に曝される食品、化粧品、日用雑貨品、医療品、電子部品等の包装用材料としても好適に使用しうる。バリア性積層体は、包装紙、包装袋、蓋、ラベル等の軟包装用材料;ミルクカートンなどの液体容器;カップ、トレー、皿、蓋材、ラミネートチューブ等の包装容器;等に好適に用いることができる。包装される内容物は、液体、固体(粒状物、粉状物など)、ゲル体であってもよい。
[包装袋]
本開示の他の実施形態に係る包装袋は、上記バリア性積層体を用いてなる包装袋である。包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型などの形態が挙げられる。
本実施形態の包装袋は、バリア性積層体のうちヒートシール層を有するものを折り曲げるか又は二枚重ね合わせることでヒートシール層を対向させ、上記形態となるよう、その周辺端部をヒートシールしたものであってもよい。また、包装袋は、バリア性積層体を折り曲げるか又は二枚重ね合わせ、上記形態となるよう、その周辺端部を接着剤により接着したものであってもよい。
[23℃、50%RHでの酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、バリア性積層体の酸素透過度を測定した。具体的には、バリア性積層体のバリア層表面に、イソシアネート系接着剤(DIC株式会社製、ディックドライLX-500を10部に対してディックドライKW―75を1部混合)を5g/m塗布した後、厚さ20μmのCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム:北越化成株式会社製、GP-32)を貼合して積層シートを形成した。
積層シートについて、JIS K7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。なお、CPPフィルムを積層するのは、積層体の凹凸に影響されず測定しやすくするためであり、CPPフィルムは酸素透過度に影響を与えない。
[23℃、85%RHでの酸素透過度]
温度23℃、相対湿度85%の条件に変えた以外は、上記23℃、50%RHでの酸素透過度の測定と同様にして、23℃、85%RHでの酸素透過度を測定した。
[水蒸気透過度]
実施例及び比較例で得たバリア性積層体の水蒸気透過度は、JIS-Z-0208:1976(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、バリア層を設けた側の面を内側にして測定した。
[23℃、50%RHでのバリア層の酸素透過度]
バリア性積層体における、23℃、50%RHでのバリア層の酸素透過度の算出は以下の手順で行うことができる。
(ヒートシール層などバリア層以外の層の材料を入手可能な場合)
例えば、バリア性積層体が紙基材/バリア層/ヒートシール層の層構成を有する場合、以下のようにして算出する。なお、バリア性積層体の層構成は、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などによって分析することができる。
手順1:バリア性積層体の酸素透過度を測定する。バリア性積層体の酸素透過度は、上述した方法により測定することができる。
手順2:ヒートシール層の厚さを分析する。ヒートシール層の厚さは、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などにより測定することができる。測定したヒートシール層の厚さになるように、無延伸ポリプロピレンフィルムあるいはPETフィルムにヒートシール層を塗布し、ヒートシール層単体での酸素透過度を類推することができる。
手順3:手順1のバリア性積層体の酸素透過度、手順2のヒートシール層単体の酸素透過度から、下記式に基づき、バリア層単体の酸素透過度を算出する。この際、紙基材の酸素透過度については、紙基材としてグラシン紙が使用されていない場合(目安としてバリア性積層体の全光線透過率が60%未満の場合)は、考慮しなくてよい。
1/P=1/P+1/P+・・・+1/P
P:バリア性積層体の酸素透過度、P、P、・・・P:各層の酸素透過度
(ヒートシール層などバリア層以外の層の材料を入手できない場合)
例えば、バリア性積層体が紙基材/バリア層/ヒートシール層の層構成を有する場合、以下のようにして算出する。なお、バリア性積層体の層構成は、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などによって分析することができる。
手順1:バリア性積層体の酸素透過度を測定する。バリア性積層体の酸素透過度は、上述した方法により測定することができる。
手順2:ヒートシール層の材料および厚さを分析する。ヒートシール層の材料は、熱分解GC/MS、FT-IR分析、ラマンスペクトル分析などにより分析することができる。ヒートシール層の厚さは、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などにより測定することができる。ヒートシール層の材料および厚さから、ヒートシール層単体での酸素透過度を類推することができる。
手順3:手順1のバリア性積層体の酸素透過度、手順2のヒートシール層単体の酸素透過度から、下記式に基づき、バリア層単体の酸素透過度を算出する。この際、紙基材の酸素透過度については、紙基材としてグラシン紙が使用されていない場合(目安としてバリア性積層体の全光線透過率が60%未満の場合)は、考慮しなくてよい。
1/P=1/P+1/P+・・・+1/P
P:バリア性積層体の酸素透過度、P、P、・・・P:各層の酸素透過度
[バリア層の水蒸気透過度]
バリア性積層体における、40℃、90%RHでのバリア層の水蒸気透過度の算出は以下の手順で行うことができる。
(ヒートシール層などバリア層以外の層の材料を入手可能な場合)
例えば、バリア性積層体が紙基材/バリア層/ヒートシール層の層構成を有する場合、以下のようにして算出する。なお、バリア性積層体の層構成は、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定など(分析方法)によって分析することができる。
手順1:バリア性積層体の水蒸気透過度を測定する。バリア性積層体の水蒸気透過度は、上述した方法により測定することができる。
手順2:ヒートシール層の厚さを分析する。ヒートシール層の厚さは、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などにより測定することができる。測定したヒートシール層の厚さになるように、無延伸ポリプロピレンフィルムあるいはPETフィルムにヒートシール層を塗布し、ヒートシール層単体での水蒸気透過度を類推することができる。
手順3:手順1のバリア性積層体の水蒸気透過度、手順2のヒートシール層単体の水蒸気透過度から、下記式に基づき、バリア層単体の水蒸気透過度を算出する。この際、紙基材の酸素透過度については、紙基材としてグラシン紙が使用されていない場合(目安としてバリア性積層体の全光線透過率が60%未満の場合)は、考慮しなくてよい。
1/P=1/P1+1/P2+・・・+1/Pn
P:バリア性積層体の水蒸気透過度、P1、P2、・・・Pn:各層の水蒸気透過度
(ヒートシール層などバリア層以外の層の材料を入手できない場合)
例えば、バリア性積層体が紙基材/バリア層/ヒートシール層の層構成を有する場合、以下のようにして算出する。なお、バリア性積層体の層構成は、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定など(分析方法)によって分析することができる。
手順1:バリア性積層体の水蒸気透過度を測定する。バリア性積層体の水蒸気透過度は、上述した方法により測定することができる。
手順2:ヒートシール層の材料および厚さを分析する。ヒートシール層の材料は、熱分解GC/MS、FT-IR分析、ラマンスペクトル分析などにより分析することができる。ヒートシール層の厚さは、電子顕微鏡による断面観察やX線CT測定などにより測定することができる。ヒートシール層の材料および厚さから、ヒートシール層単体での水蒸気透過度を類推することができる。
手順3:手順1のバリア性積層体の水蒸気透過度、手順2のヒートシール層単体の水蒸気透過度から、下記式に基づき、バリア層単体の水蒸気透過度を算出する。この際、紙基材の酸素透過度については、紙基材としてグラシン紙が使用されていない場合(目安としてバリア性積層体の全光線透過率が60%未満の場合)は、考慮しなくてよい。
1/P=1/P1+1/P2+・・・+1/Pn
P:バリア性積層体の水蒸気透過度、P1、P2、・・・Pn:各層の水蒸気透過度
[再離解性(再離解後のパルプ回収率)の評価]
絶乾質量30gのバリア性積層体を手で3~4cm角に破き、20℃の水道水に一晩浸漬した。バリア性積層体の濃度が2.5質量%になるよう水道水で希釈後、TAPPI標準離解機(熊谷理機株式会社製)を用いて3000rpmの回転数で20分間離解処理した。得られたパルプスラリーを6カット(スリット幅0.15mm)のスクリーンプレートをセットしたフラットスクリーン(熊谷理機株式会社製)に供し、8.3L/minの水流中で精選処理した。
スクリーンプレート上に残った未離解物を回収して105℃のオーブンで乾燥して絶乾質量を測定し、以下の計算式からパルプ回収率を算出した。
パルプ回収率(%)={試験に供したバリア性積層体の絶乾質量(g)-未離解物の絶乾質量(g)}/試験に供したバリア性積層体の絶乾質量×100
[ヒートシール剥離強度の測定]
2枚1組のバリア性積層体を、塗工層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP-701-B)を用いて、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールされた試験片を温度23℃±1℃、湿度50%±2%の室内で4時間以上静置した。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC-1250A、エー・アンド・デイ社製)を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度(N/15mm)とした。
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下の操作は25℃、相対湿度50%RHの条件で行った。また、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
(実施例1)
層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ(ナトリウム四珪素雲母)、平均長さ6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分濃度6質量%、製品名:NTO-05、トピー工業製)33.3質量部に、攪拌しながらエチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルション(固形分濃度29.2質量%、製品名:ザイクセンAC、住友精化製)6.8質量部を加え、更にヒドロキシポリウレタンの自己乳化型水性エマルション(水酸基価:235mgKOH/g、固形分濃度30質量%、製品名:HPU-W013A、大日精化工業製)26.7質量部を加え、攪拌した。
これに、カチオン性樹脂として変性ポリアミド系樹脂(表面電荷0.4meq/g、固形分濃度53質量%、製品名:SPI203(50)H、田岡化学工業製)を0.57質量部加え、攪拌した。さらに、25質量%のアンモニア水溶液を0.30質量部加え攪拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度19質量%とし、バリア層塗工液とした。
上記バリア層塗工液を、紙基材50g/m(片艶晒クラフト紙、王子エフテックス社製)の一方の面に、固形分で5g/mとなるように塗布し、120℃で1分乾燥し、バリア層を形成した。さらに、ヒートシール層塗工液として、スチレンアクリル水性ディスパージョン(固形分濃度48質量%、製品名:XP8829、星光PMC社製)を固形分濃度22質量%に水で希釈し、固形分で5g/mとなるように塗布し、120℃で1分乾燥し、ヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。なお、各層の乾燥には、送風乾燥機を用いた。
当該ヒートシール層は、23℃、50%RHでの酸素透過度が10.0mL/m・day・atmを超え、第一の態様におけるバリア層に該当しないものである。
(実施例2)
バリア層塗工液のエチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションを13.7質量部とし、ヒドロキシポリウレタンの自己乳化型水性エマルションを20.0質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例3)
バリア層塗工液の膨潤性マイカを50質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例4)
紙基材を晒クラフト紙70g/m(OK晒クラフト、王子マテリア社製)としたこと以外は、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例5)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションをスチレン-アクリル共重合体バインダー(固形分濃度39質量%、製品名:JONCRYL HSL-9012、BASF社製)5.1質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例6)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションを酸変性スチレン-ブタジエン共重合体バインダー(固形分濃度46質量%、製品名:LX407S12、日本ゼオン社製)4.3質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例7)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションをポリオレフィン樹脂バインダー(固形分濃度23質量%、製品名:HYDRECT HS、DIC社製)8.7質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例8)
バリア層塗工液のカチオン性樹脂を1.90質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例9)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションを、ポリビニルアルコール(製品名:EXCEVAL HR-3010、クラレ社製)を固形分濃度10質量%になるように水に溶解した水溶液20.0質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例10)
ヒートシール層塗工液として、ポリオレフィン水性ディスパージョン(固形分濃度43質量%、製品名:Rhobarr320、ダウ製)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。なお、当該ヒートシール層は、40℃、90%RHでの水蒸気透過度が50g/m・day以上、かつ23℃、50%RHでの酸素透過度が10.0mL/m・day・atmを超え、第一の態様におけるバリア層に該当しないものである。
(実施例11)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションを、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(固形分濃度30質量%、製品名:アロン A-30、東亜合成社製)を固形分濃度5質量%になるように調整した水溶液40.0質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例12)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションの添加部数を3.4質量部に変更し、更にポリビニルアルコール(製品名:EXCEVAL HR-3010、クラレ社製)を固形分濃度10質量%になるように水に溶解したポリビニルアルコール水溶液10.0質量部をバリア層塗工液に添加したこと以外、実施例10と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例13)
バリア層塗工液のヒドロキシポリウレタンの自己乳化型エマルションを31.7質量部とし、エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型水性エマルションを1.7質量部とし、カチオン性樹脂を1.90質量部とし、ヒートシール層の塗工量を3g/m(固形分換算)に変更したこと以外、実施例10と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例14)
ヒートシール層塗工液を塗布しなかったこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層を形成し、バリア性積層体を得た。
(実施例15)
バリア層塗工液の膨潤性マイカを83.3質量部とし、カチオン性樹脂を5.7質量部とし、ヒートシール層の塗工量を3g/m(固形分換算)に変更したこと以外、実施例10と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(実施例16)
エチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションの添加部数を5.1質量部に変更し、さらにポリビニルアルコール(製品名:EXCEVAL RS-1717、クラレ社製)を固形分濃度10質量%になるように水に溶解したポリビニルアルコール水溶液5.0質量部をバリア層塗工液に添加し、ヒートシール層の塗工量を3g/m(固形分換算)に変更したこと以外、実施例10と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例1)
バリア層塗工液のエチレン・アクリル酸共重合体の自己乳化型エマルションを34.2質量部とし、ヒドロキシポリウレタンの自己乳化型水性エマルションを0質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例2)
バリア層塗工液の膨潤性マイカを0質量部とし、カチオン性樹脂を0質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例3)
バリア層塗工液のカチオン性樹脂を0質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例4)
バリア層塗工液のカチオン性樹脂を18.9質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例5)
バリア層塗工液の膨潤性マイカをカオリン(エンジニアードカオリン、平均長さ0.89μm、アスペクト比約33、厚さ約27nm、固形分濃度100質量%、製品名:コンツァー エクストリーム、イメリス社製)2質量部としたこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
(比較例6)
バリア層塗工液のヒドロキシポリウレタンの自己乳化型水性エマルションを、ポリビニルアルコール(製品名:EXCEVAL AQ-4104、クラレ社製)を固形分濃度10質量%になるように水に溶解したポリビニルアルコール水溶液80.0質量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、紙基材上にバリア層およびヒートシール層を形成し、ヒートシール可能なバリア性積層体を得た。
[シール性]
実施例および比較例の紙積層体を、それぞれをピロー型の包装袋に成形してヒートシールすることにより、包装袋を作製した。得られた包装袋の一辺を切り、包装袋の中にヒートシールチェッカー(製品名:エージレスシールチェック、三菱ガス化学社製、成分:高沸点エステル、高沸点炭化水素、植物油、アゾ系油溶性染料)を滴下して、シール部の液漏れの有無を評価した。
A:ヒートシールチェッカー液が漏れず、シールされている
B:ヒートシールチェッカー液が漏れる、ピンホールが発生する、接着しない
得られた各バリア性積層体の処方(固形分の質量部数の比率)、物性、評価結果、バリア層自体の酸素透過度及び水蒸気透過度、並びにバリア層中の各材料の含有割合(質量%)を表1~3に示す。
表中、塗工量の単位はg/mであり、酸素透過度の単位はmL/m・day・atmであり、水蒸気透過度(40℃、90%RHの条件で測定)の単位はg/m・dayであり、ヒートシール強度の単位はN/15mmである。再離解性は、バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率(質量%)である。
表中、バリア層の酸素透過度は、23℃、50%RHでのバリア層の酸素透過度であり、バリア層の水蒸気透過度は、40℃、90%RHでのバリア層の水蒸気透過度を示す。
表中、バリア層中の含有量に関し、「水懸濁性高分子等」は、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及びヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子の合計の含有割合を示す。
[23℃、50%RHでのバリア層の酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、バリア層単体の酸素透過度を測定した。具体的には、紙基材(片艶晒クラフト紙、坪量50g/m、王子エフテックス社製)に、各実施例・比較例の処方及び塗工量でバリア層塗工液を塗工し、120℃で1分乾燥し、バリア層を形成した。さらに紙基材のバリア層側表面に、イソシアネート系接着剤(DIC株式会社製、ディックドライLX-500を10部に対してディックドライKW―75を1部混合)を5g/m塗布した後、厚さ20μmのCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム:北越化成株式会社製、GP-32)を貼合して積層シートを形成した。
積層シートについて、JIS K7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。なお、CPPフィルムを積層するのは、積層体の凹凸に影響されず測定しやすくするためであり、CPPフィルムは酸素透過度に影響を与えない。
[バリア層の水蒸気透過度]
水蒸気透過度は、各実施例・比較例の処方及び塗工量でバリア層塗工液を紙基材(片艶晒クラフト紙、坪量50g/m、王子エフテックス社製)に塗工し、120℃で1分乾燥し、バリア層を形成した後、JIS-Z-0208:1976(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、バリア層を設けた側の面を内側にして測定した。
Figure 0007468821000001
Figure 0007468821000002

実施例14はヒートシール強度の測定において、接着しなかった。
Figure 0007468821000003

Claims (11)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面上に、バリア層を有するバリア性積層体であって、
    該バリア層は、ヒドロキシポリウレタン、膨潤性層状ケイ酸塩及びカチオン性樹脂を含有し、
    該バリア層における該カチオン性樹脂の含有割合が1.0~10.0質量%であり、
    該バリア層が、ヒドロキシポリウレタン以外の水懸濁性高分子及びヒドロキシポリウレタン以外の水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一をさらに含み、
    該水懸濁性高分子が、スチレン・ブタジエン系共重合体、アクリル系樹脂、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一を含み、
    該水溶性高分子が、ビニルアルコール系重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリエチレングリコール、水溶性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸、及び水溶性セルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一を含む、バリア性積層体。
  2. 前記バリア層における、前記水懸濁性高分子の含有割合と前記水溶性高分子の含有割合との質量基準の比率(水懸濁性高分子:水溶性高分子)が、20:1~1:2である、請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 前記水懸濁性高分子が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体を含み、
    前記水溶性高分子が、ビニルアルコール系共重合体を含む、請求項1に記載のバリア性積層体。
  4. 前記バリア層における前記ヒドロキシポリウレタンの含有割合が30.0~80.0質量%である、請求項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記バリア層における前記膨潤性層状ケイ酸塩の含有割合が、5.0~30.0質量%である、請求項に記載のバリア性積層体。
  6. 前記バリア層における前記水懸濁性高分子及び前記水溶性高分子の合計の含有割合が2.0~50.0質量%である、請求項に記載のバリア性積層体。
  7. 前記バリア性積層体が、前記バリア層が積層された側にさらにヒートシール層を有し、
    前記バリア性積層体のヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールして得られたサンプルを用いて引張試験機で剥離させたときのヒートシール強度が、2.0N/15mm以上である、請求項に記載のバリア性積層体。
  8. 前記バリア層及びヒートシール層の合計の塗工量が、12g/m以下である、請求項7に記載のバリア性積層体。
  9. 前記バリア性積層体にCPPフィルムを貼り合わせた際の23℃、85%RHでの酸素透過度が、10.0mL/m・day・atm以下である、請求項に記載のバリア性積層体。
  10. 前記バリア性積層体を再離解した後のパルプの回収率が、85質量%以上である、請求項1に記載のバリア性積層体。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載のバリア性積層体を用いてなる、包装袋。
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