JP6958756B1 - 蒸着紙用原紙および蒸着紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア性に優れた蒸着紙を提供可能な蒸着紙用原紙を提供する。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有する蒸着紙用原紙であって、塗工層を有する面のJIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのコッブ吸水度が0g/m2以上10g/m2以下であり、JIS R 3257:1999に準拠して測定される、前記塗工層表面の水に対する60秒後の接触角が65°以下である、蒸着紙用原紙。【選択図】なし

Description

本発明は、蒸着紙用原紙およびこれを用いた蒸着紙に関する。
従来、紙基材に、水蒸気をバリアする水蒸気バリア性や、水蒸気以外のガスをバリアするガスバリア性、特に、酸素をバリアする酸素バリア性を付与した包装材料が、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、用いられている。
蒸着紙は、紙基材上に、金属などからなる蒸着層を設けてなるものであり、その光沢感を活かし、酒、清涼飲料水などの意匠性に優れたラベル用紙、菓子類の包装用紙等に広く用いられている。
例えば、特許文献1には、基紙上にアルミニウム蒸着層を設けてなるアルミニウム蒸着紙において、蒸着層の表面の自然分極電位値が特定の範囲となるように裏面を処理した基紙を用いるアルミニウム蒸着紙が開示されている。また、例えば、特許文献2には、坪量が特定値以下の薄葉紙の片面に、ポリオレフィン系水性ディスパーション液による目止めコーティング層と、無機酸化物の蒸着薄膜層と、ヒートシール樹脂層とを順次に形成したPTP包装用密封シートが開示されている。
特開平4−65599号公報 特開平7−223686号公報
特許文献1、2のように、蒸着層を形成して紙基材の酸素や水蒸気に対するバリア性などを向上させる試みはなされているものの、特許文献1に記載されたアルミニウム蒸着紙や特許文献2に記載されたPTP包装用密封シートは、ガスバリア性に乏しいという課題があった。
食品の包装材料として使用される蒸着紙は、食品の風味保護の観点から、さらなるバリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)の向上が求められている。そこで、本発明は、バリア性に優れた蒸着紙を提供可能な蒸着紙用原紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、蒸着紙用原紙の吸水性や表面特性を調整することで上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<18>に関する。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有する蒸着紙用原紙であって、塗工層を有する面のJIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのコッブ吸水度が0g/m以上10g/m以下であり、JIS R 3257:1999に準拠して測定される、前記塗工層表面の水に対する60秒後の接触角が65°以下である、蒸着紙用原紙。
<2> JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記塗工層表面の表面固有電気抵抗が0.1×1014Ω以上10×1014Ω以下である、<1>に記載の蒸着紙用原紙。
<3> 前記塗工層は、紙基材側から、クレーコート層および樹脂層をこの順で有する、<1>または<2>に記載の蒸着紙用原紙。
<4> 前記樹脂層が水懸濁性高分子を含む、<3>に記載の蒸着紙用原紙。
<5> 前記樹脂層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、<4>に記載の蒸着紙用原紙。
<6> 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下である、<5>に記載の蒸着紙用原紙。
<7> 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<5>または<6>に記載の蒸着紙用原紙。
<8> 前記ポリウレタン系樹脂が、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が50mgKOH/g以上である、<5>〜<7>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<9> 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<5>〜<8>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<10> 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、<3>〜<9>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<11> 前記無機顔料がカオリンである、<10>に記載の蒸着紙用原紙。
<12> 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上である、<10>または<11>に記載の蒸着紙用原紙。
<13> 前記クレーコート層および樹脂層は、水性媒体を用いて形成されてなる、<3>〜<12>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<14> <1>〜<13>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
<15> 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<14>に記載の蒸着紙。
<16> 前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が50mgKOH/g以上である、<15>に記載の蒸着紙。
<17> 前記オーバーコート層上に熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を有し、前記ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上である、<15>または<16>に記載の蒸着紙。
<18> 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m・day)以下である、<14>〜<17>のいずれかに記載の蒸着紙。
本発明によれば、バリア性に優れた蒸着紙を提供可能な蒸着紙用原紙を提供することができる。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有し、塗工層を有する面のJIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのコッブ吸水度が0g/m以上10g/m以下であり、JIS R 3257:1999に準拠して測定される、前記塗工層表面の水に対する60秒後の接触角が65°以下である。本実施形態の蒸着紙用原紙を用いて製造した蒸着紙は、優れたバリア性(酸素バリア性、水蒸気バリア性)を有する。当該効果を奏するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
蒸着紙用原紙の塗工層を有する面のコッブ吸水度を0g/m以上10g/m以下とすることで、蒸着時に水分の影響による真空度の低下を抑制でき、加えて、水を通さない欠陥の少ない膜が形成されるため、高い真空度で蒸着層を形成でき、欠陥の少ない蒸着層を得ることができる。さらに、蒸着紙用原紙の塗工層表面の水に対する60秒後の接触角を65°以下とすることで、塗工層表面の極性が高くなり、塗工層と当該層上に形成される蒸着層との密着性が向上する。これらの理由により、本実施形態の蒸着紙用原紙を用いて製造した蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができる。なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明の効果を奏するメカニズムはこれに制限されるものではない。
以下、本実施形態の耐水性紙の構成および物性について、さらに詳細に説明する。本明細書中、「X〜Y」で表される数値範囲は、Xを下限値、Yを上限値として含む数値範囲を意味する。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有し、塗工層は、クレーコート層および樹脂層を有することが好ましく、紙基材、クレーコート層、および樹脂層をこの順に有することがより好ましい。この際、紙基材の片面に、クレーコート層、樹脂層をこの順に有していてもよく、両面にクレーコート層、樹脂層をこの順に有していてもよいが、生産効率の観点からは、片面にクレーコート層、樹脂層をこの順に有することが好ましい。
<紙基材>
本実施形態における紙基材を構成するパルプは、植物由来のパルプを主成分とすることが好ましく、木材パルプを主成分とする。木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材を構成するパルプに占める広葉樹パルプの割合は、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。紙基材を構成するパルプ広葉樹パルプの割合が上記範囲であると、リサイクル性に優れる。
本実施形態の蒸着紙用原紙に用いられる紙基材としては、具体的には、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙などが挙げられる。これらの中でも、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、片艶紙が好ましい。
(サイズ度)
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100秒以下、より好ましくは30秒以下である。紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−不飽和カルボン酸系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、紙基材のパルプ100質量部に対して、0質量部以上が好ましく、3質量部以下が好ましい。
紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、たとえば、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、顔料などが挙げられる。
填料としては、たとえば、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム)、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などが挙げられる。
紙基材は、パルプスラリーを主成分とする抄紙原料を抄紙することにより得られる。前記パルプスラリーは、木材または非木材の原料チップから、蒸解、洗浄、漂白等の工程を経て得られる。蒸解工程、洗浄工程、漂白工程等における方法については特に限定はない。これらの工程を経て得られたパルプスラリーは、さらに、水の存在下で叩解される。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機としては、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機などが挙げられる。抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して紙厚や光沢のプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましく、40g/m以上であることがさらに好ましく、そして、500g/m以下であることが好ましく、400g/m以下であることがより好ましく、200g/m以下であることがさらに好ましく、100g/m以下であることがさらにより好ましい。なお、紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(厚さ)
紙基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。なお、紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5/cm以上であることが好ましく、0.6/cm以上であることがより好ましく、そして、1.2g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。なお、紙基材の密度は、上述した方法により測定される紙基材の坪量および厚さから算出される。
(王研式平滑度)
紙基材は、均一な蒸着層を得る観点から、少なくとも蒸着層を設ける側の面の王研式平滑度が、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されないが、たとえば、1000秒以下であることが好ましい。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
<クレーコート層>
本実施形態の蒸着紙用原紙は、塗工層としてクレーコート層を有することが好ましく、クレーコート層を、前記紙基材と後述する樹脂層との間に有することがより好ましい。これにより、紙基材を目止めし、平滑化させることができ、より平坦な樹脂層が形成される結果、後述する蒸着紙とした場合に均一な蒸着層を形成でき、バリア性が向上する。
前記クレーコート層は、無機顔料およびバインダーを含むことが好ましく、主に無機顔料およびバインダーから構成されることがより好ましい。なお、「クレーコート層が主に無機顔料およびバインダーから構成される」とは、クレーコート層中の無機顔料およびバインダーの合計含有量が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。なお、クレーコート層は、無機顔料およびバインダー以外に、任意の成分をさらに含んでいてもよい。
(無機顔料)
クレーコート層に含まれる無機顔料としては、特に限定されないが、カオリン、タルク、マイカなどが挙げられ、カオリンであることが好ましい。クレーコート層中の無機顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、そして、98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
≪アスペクト比≫
無機顔料のアスペクト比は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、50以下が好ましい。下限は、特に限定されないが、1以上が好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡による観察やX線回折測定によって測定できる。
≪平均粒子径≫
無機顔料の平均粒子径は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。下限は、特に限定されないが、0.05μm以上が好ましい。平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
(バインダー)
クレーコート層に含まれるバインダーとしては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエン系樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体;スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリ乳酸などが挙げられ、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であること好ましく、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、スチレン−アクリル系樹脂およびエチレン−アクリル酸共重合体、ポリ乳酸から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
なお、(メタ)アクリル系(共)重合体は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選択される1つ以上の単量体の(共)重合体である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜12のアルキルエステルであることが好ましい。
また、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂とは、スチレンと、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つの単量体との共重合体であり、好ましくはスチレン−アクリル系樹脂であり、より好ましくはスチレン−アクリル酸共重合体またはスチレン−アクリル酸エステル共重合体である。
クレーコート層中のバインダーの含有量は、2質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
クレーコート層の塗工量は、特に限定されないが、固形分で、5g/m以上であることが好ましく、7g/m以上であることがより好ましく、そして、30g/m以下であることが好ましく、20g/m以下であることがより好ましい。
クレーコート層の形成方法は、特に限定されないが、無機顔料および樹脂バインダーを含む分散液を紙基材上に塗工し、乾燥することで形成する方法が好ましい。無機顔料および樹脂バインダーを含む分散液としては、水性分散液等の水性媒体を溶媒とするものが好ましい。
<樹脂層>
本実施形態の蒸着紙用原紙は、塗工層として樹脂層を有することが好ましく、クレーコート層上に樹脂層を有することがより好ましい。樹脂層を設けることで、蒸着紙の蒸着層と紙基材との密着性が向上し、バリア性が向上する。また、樹脂層が酸素バリア性や水蒸気バリア性を有することで、蒸着紙とした場合のバリア性を向上する機能をも有する。
樹脂層は、水懸濁性高分子を含むことが好ましく、主として水懸濁性高分子を含むことがより好ましい。なお、「樹脂層が主として水懸濁性高分子を含む」とは、樹脂層中の水懸濁性高分子の含有量が、たとえば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。なお、樹脂層は、水懸濁性高分子以外に、任意の成分をさらに含んでいてもよい。
(水懸濁性高分子)
樹脂層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、アルキッド樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン変性ポリビニルアルコール)等のビニルアルコール系樹脂;セルロース系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、生分解度およびリサイクル性のさらなる向上の観点から、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂であることがさらに好ましい。
≪ポリエステル系樹脂≫
樹脂層に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリエステル系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
上記のようなポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸が例示される。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、ユニチカ株式会社製の「エリーテルKTシリーズ(商品名)」、ミヨシ油脂株式会社製の「ランディPLシリーズ(商品名)」等が挙げられ、具体的には、エリーテルKT−8803およびランディPL−3000が例示される。
≪ポリウレタン系樹脂≫
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂がメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する場合において、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましい。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。上記含有量は、H−NMRなどの公知の分析手法を用いて同定することができる。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ヒドロキシ基を有していてもよく、その水酸基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上であり、そして、上限はとくに限定されないが、好ましくは1000mgKOH/g以下、より好ましくは800mgKOH/g以下、さらに好ましくは600mgKOH/g以下である。ポリウレタン系樹脂の水酸基価が上記範囲内であると、酸素バリア性に優れるので好ましい。
−酸素透過度−
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。なお、本明細書において、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、23℃、50%RHの条件にて測定される。
−ガラス転移温度−
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂のガラス転移温度は、後述する蒸着紙の蒸着層の保護の観点から、成膜性が高いことが重要であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることが特に好ましい。ポリウレタン系樹脂のガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、好ましくは50℃以上である。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7122:2012に準拠して測定される。
ポリウレタン系樹脂としては、合成品を使用してもよく、たとえば、国際公開第2015/016069号に記載のポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、三井化学株式会社製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、具体的には、タケラックWPB−341が例示される。その他の市販品としては、大日精化工業株式会社の「HPU W−003」(水酸基価235mgKOH/g)等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
樹脂層の耐屈曲性向上の観点から、樹脂層は、上記の水懸濁性高分子に加えて、シランカップリング剤を配合してなるものであることが好ましい。
シランカップリング剤は、分子内に、少なくとも1つのアルコキシシリル基と、少なくとも1つの、前記アルコキシシリル基以外の反応性の官能基とを有する化合物である。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のいずれでもよいが、反応性の観点から、トリアルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基以外の反応性の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、イソシアナト基、ウレイド基、酸無水物基が例示される。これらの中でも、アミノ基、エポキシ基、および酸無水物基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示される。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示され、これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
酸無水物基含有シランカップリング剤としては、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が例示される。
シランカップリング剤としては、市販品を使用してもよく、例えば、信越化学工業株式会社製のKBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103P、KBM−573、X−12−967Cなどが例示される。
シランカップリング剤の配合量は、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、とくに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、とくに好ましくは5質量部以下である。
樹脂層の塗工量は、特に限定されないが、固形分で、0.1g/m以上であることがより好ましく、1g/m以上であることがより好ましく、そして、10g/m以下であることが好ましく、5g/m以下であることがより好ましい。
樹脂層の形成方法は、特に限定されないが、水懸濁性高分子の水溶液、または水性分散液等の水性媒体を塗工し、乾燥して形成することが好ましい。
<蒸着紙用原紙の物性>
(コッブ吸水度)
本実施形態の蒸着紙用原紙は、塗工層を有する面のJIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのコッブ吸水度が、0g/m以上であり、そして、10g/m以下、好ましくは5g/m以下である。蒸着紙用原紙のコッブ吸水度を上記範囲内とすることで、蒸着時に水分の影響による真空度の低下を抑制でき、加えて、水を通さない欠陥の少ない膜を形成できるため、高い真空度で蒸着層を形成でき、欠陥の少ない蒸着層を得ることができる。これにより、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。コッブ吸水度は、塗工層(例えば樹脂層)の塗工量の調整や、塗工層の成分(例えば、樹脂層の樹脂)の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
(接触角)
本実施形態の蒸着紙用原紙は、JIS R 3257:1999に準拠して測定される塗工層表面の水に対する60秒後の接触角が、65°以下であり、好ましくは60°以下である。蒸着紙用原紙の塗工層表面の接触角を上記範囲内とすることで、塗工層表面の極性が高くなり、塗工層と当該層上に形成される蒸着層との密着性が向上する。これにより、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。塗工層表面の水に対する60秒後の接触角の下限は、特に限定されないが、例えば10°以上である。接触角は、塗工層(例えば樹脂層)の塗工量の調整や、塗工層の成分(例えば、樹脂層の樹脂)の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
(表面固有電気抵抗)
本実施形態の蒸着紙用原紙は、JIS C 2139:2008に準拠して測定される塗工層表面の表面固有電気抵抗が、好ましくは0.1×1014Ω以上、より好ましくは1×1014Ω以上であり、そして、好ましくは10×1014Ω以下であり、より好ましくは5×1014Ω以下である。蒸着紙用原紙の塗工層表面の表面固有電気抵抗を上記範囲内とすることで、塗工層表面の樹脂膜の連続性が向上し、樹脂層上に形成される蒸着層製膜性が向上する。これにより、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。表面固有電気抵抗は、塗工層(例えば樹脂層)の塗工量の調整や、塗工層の成分(例えば、樹脂層の樹脂)の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
(厚さ)
本実施形態の蒸着紙用原紙の厚さは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、そして、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。
本実施形態の蒸着紙用原紙を製造する方法に制限はないが、例えば、紙基材の少なくとも一面上に、クレーコート層、樹脂層をこの順で有する蒸着紙用原紙の製造方法としては、無機顔料およびバインダーを含むクレーコート層用塗工液を塗工および乾燥した後、水懸濁性高分子を含む樹脂層用塗工液を塗工および乾燥することで形成することが好ましい。
[蒸着紙]
本発明は、上記蒸着紙用原紙の塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙についても提供する。
<蒸着層>
蒸着層は、金属からなる層およびセラミックからなる層の少なくともいずれかである。すなわち、蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、および金属層とセラミック層の積層体のいずれであってもよい。なお、蒸着層が金属層とセラミック層との積層体である場合、金属層が、蒸着紙用原紙の塗工層側であってもよく、セラミック層が、蒸着紙用原紙の塗工層側であってもよく、特に限定されない。
蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、これらの積層体のいずれであってもよいが、金属からなる層が好ましい。蒸着層が金属からなる層である場合、金属の具体例としては、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。蒸着層がセラミックからなる層である場合、セラミックの具体例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好ましい。
すなわち、蒸着層は、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、酸化チタンからなる層、酸化アルミニウムからなる層、および、これらの積層体のいずれであることがより好ましく、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、酸化アルミニウムからなる層、および、これらの積層体のいずれかであることがさらに好ましく、アルミニウムからなる層であることが特に好ましい。
(厚さ)
蒸着層の厚さは、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることがさらに好ましく、そして、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。また、蒸着層の厚さは、バリア性の観点からは、10nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、そして、80nm以下であることが好ましく、70nmであることがより好ましい。さらに、蒸着層の厚さは、他層との密着性やコストの観点からは、4nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがさらに好ましく、そして、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることが特に好ましい。
<オーバーコート層>
本実施形態の蒸着紙は、蒸着層上に、ポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することが好ましい。本実施形態の蒸着紙は、蒸着層を有することで一定のバリア性を有するが、蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することで、酸素バリア性がさらに向上しうる。また、折り曲げ等の加工により蒸着層が損傷しにくく、例え損傷しても、オーバーコート層によって酸素バリア性を担保でき、優れた酸素バリア性を維持しうる。
オーバーコート層に含有させるバインダーとしてのポリウレタン系樹脂としては、樹脂層のポリウレタン系樹脂として例示したものが挙げられ、たとえば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションよりなる群から選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂がメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する場合において、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましい。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ヒドロキシ基を有していてもよく、その水酸基価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上であり、そして、上限はとくに限定されないが、好ましくは1000mgKOH/g以下、より好ましくは800mgKOH/g以下、さらに好ましくは600mgKOH/g以下である。ポリウレタン系樹脂の水酸基価が上記範囲内であると、酸素バリア性に優れるので好ましい。
(酸素透過度)
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。
オーバーコート層に含有させるバインダーとしてのポリウレタン系樹脂は、前述した蒸着紙用原紙の樹脂層に含有させるポリウレタン系樹脂と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同一の種類であることが好ましい。また、蒸着紙用原紙の樹脂層として、使用可能なものとして挙げた合成品や市販品を使用してもよい。
オーバーコート層中のポリウレタン系樹脂の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、さらにより好ましくは99質量%以上である。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。
オーバーコート層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂や添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、界面活性剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、可塑剤、潤滑剤、離型剤などが挙げられる。前記ポリウレタン系樹脂を水性分散液として用いる場合には、ポリウレタン系樹脂を水性媒体に分散させ、均一なオーバーコート層の膜を得るために、分散剤を用いることが好ましい。
前記オーバーコート層の塗工量は、固形分で、0.1g/m以上であることが好ましく、0.2g/m以上であることがより好ましく、0.3g/m以上であることが特に好ましく、そして、10g/m以下であることが好ましく、7g/m以下であることがより好ましく、4g/m以下であることが特に好ましい。
オーバーコート層の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが特に好ましく、そして、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることが特に好ましい。オーバーコート層の厚さが0.1μm以上10μm以下であると、蒸着層に対する保護性を向上しつつ、リサイクル時の紙の離解性に優れ、リサイクル性にも優れる。
前記オーバーコート層の形成方法は、特に制限されないが、ポリウレタン系樹脂の水溶液、または水性分散液等の水性媒体を塗工し、乾燥して形成することが好ましい。本実施形態の蒸着紙において、前記オーバーコート層は最外層であってもよい。オーバーコート層が最外層であっても、光沢感を有する蒸着層の意匠性を阻害しない。また、両面に蒸着層を有する場合、その片面または両面に、オーバーコート層を有していてもよい。これらの中でも、片面にオーバーコート層を有することが好ましい。片面にオーバーコート層を有することで、生産効率に優れる。
[蒸着紙の製造方法]
本実施形態の蒸着紙を製造する方法に制限はないが、紙基材の少なくとも一面上に、クレーコート層、樹脂層をこの順で有する蒸着紙用原紙の樹脂層が設けられている面に、金属およびセラミックの少なくともいずれかを蒸着して蒸着層を形成する工程と、蒸着層上に、オーバーコート層用塗工液を塗工し、乾燥して、オーバーコート層を形成する工程とを含むことが好ましい。
金属またはセラミックを蒸着する方法としては、蒸着紙用原紙の樹脂層の表面に直接金属またはセラミックを真空蒸着する方法が好ましい。
オーバーコート層は、蒸着層に直接形成することが、蒸着層を効率的に保護し、バリア性を高める観点から好ましい。オーバーコート層を形成する方法としては、オーバーコート層用液を塗工し、乾燥して得ることが好ましい。オーバーコート層用塗工液を塗工して、オーバーコート層を形成する方法を用いることによって、10μm以下の比較的薄い膜のオーバーコート層を形成することができる。このような比較的薄いオーバーコート層を形成することによって、優れた離解性を付与することができ、リサイクル性に優れる蒸着紙を得ることができる。
ここで用いられるオーバーコート層用塗工液は、ポリウレタン系樹脂を溶解する有機溶媒を用いた溶液、ポリウレタン系樹脂を分散する有機溶媒を用いた分散液、水性媒体を用いた分散液等が挙げられ、塗工性や環境負荷の点から、水性媒体を用いた分散液が好ましい。
オーバーコート層用塗工液を塗工する方法としては、バーコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法等が挙げられ、ファウンテンコーターやスリットダイコーターのような塗工機を用いてもよい。オーバーコート層用塗工液が塗工された塗工蒸着紙は、乾燥して有機溶媒または水性媒体を除去し、蒸着層上にオーバーコート層を有する蒸着紙を得ることができる。
さらに、オーバーコート層上に、熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を形成してもよい。ヒートシール層を形成する方法としては、熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液を塗工し、乾燥して得ること、押出ラミネートすることなどが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液を塗工し、乾燥して得ることが好ましい。
ここで用いられる熱可塑性樹脂溶液または熱可塑性樹脂分散液は、熱可塑性樹脂を溶解する有機溶媒を用いた溶液、熱可塑性樹脂を分散する有機溶媒を用いた分散液、水性媒体を用いた分散液等が挙げられ、塗工性や環境負荷の点から、水性媒体を用いた分散液が好ましい。
水性媒体を用いた分散液に好適な熱可塑性樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよく、例えば、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アクリル系樹脂、アイオノマー系樹脂、マレイン酸系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
より具体的には、アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、そのアルキルエステルまたはスチレン等とをモノマー成分として共重合したアクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸−マレイン酸樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが例示される。
アイオノマー系樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−メタクリル酸アイオノマーが好ましい。ここで、アイオノマーとは、高分子を陽イオンで中和したものであり、陽イオンとしては、金属イオンの他、アンモニウムイオン(NH )、有機アンモニウムイオンが例示される。金属イオンとしては、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)等の遷移金属イオン等が例示される。これらの中でも、入手容易性等の観点から、金属イオンとしては、ナトリウムイオンが好ましい。
これらの中でも、塗工液の安定性、塗工層の耐溶剤性の観点から、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アイオノマー系樹脂、アクリル系樹脂、およびマレイン酸系樹脂から選択される少なくとも1つが好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アイオノマー系樹脂、アクリル系樹脂、およびマレイン酸系樹脂から選択される少なくとも1つがより好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アイオノマー系樹脂、およびアクリル系樹脂から選択される少なくとも1つがさらに好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、およびアイオノマー系樹脂から選択される少なくとも1つがよりさらに好ましい。
熱可塑性樹脂溶液あるいは熱可塑性樹脂分散液を塗工する方法としては、バーコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法等が挙げられ、ファウンテンコーターやスリットダイコーターのような塗工機を用いてもよい。
熱可塑性樹脂溶液あるいは熱可塑性樹脂分散液が塗工された塗工蒸着紙は、乾燥して有機溶媒または水性媒体を除去し、オーバーコート層上にヒートシール層を有する塗工蒸着紙を得ることができる。
ヒートシール層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上15μm未満が好ましい。1μm以上であれば、十分なヒートシール性を確保できる。また、15μm未満であれば、離解性を付与でき、リサイクル性に優れる蒸着紙を得ることができる。
<蒸着紙の物性>
(厚さ)
本実施形態の蒸着紙の厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、そして、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。なお、蒸着紙の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(酸素透過度)
本実施形態の蒸着紙の23℃、50%RHにおける酸素透過度は、1.0mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、0.5mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましい(下限:0mL/(m・day・atm))。なお、蒸着紙の酸素透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
(水蒸気透過度)
本実施形態の蒸着紙の40℃、90%RHにおける水蒸気透過度は、1.0g/(m・day)以下であることが好ましく、0.7g/(m・day)以下であることがより好ましい(下限:0g/(m・day))。なお、蒸着紙の水蒸気透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
(ヒートシール剥離強度)
本実施形態の蒸着紙は、ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であることが好ましい。上記範囲内であれば、バリア包装としての適性に優れる。ヒートシール剥離強度の上限は、特に限定されないが、例えば20N/15mm以下である。
本実施形態の蒸着紙は、上記の優れたバリア性を活かして、コーヒー、菓子、牛乳等の食品、医薬品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができ、リサイクル性にも優れる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、特にことわりがない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を表す。また、実施例および比較例の操作は、特にことわりがない限り、室温(20〜25℃)、常湿(40〜50%RH)の条件で行った。
<実施例1>
カオリン(イメリス社製Contour Xtreme、アスペクト比33、平均粒子径d50:0.26μm)80質量部と、スチレン−アクリル系樹脂バインダー(BASF社製JONCRYL HSL−9012)20質量部(固形分)と、を混合し、クレーコート層用塗布液を調製した。片艶紙(広葉樹材比率100%、坪量50g/m、厚さ60μm、密度0.83g/cm、王研式平滑度430秒、サイズ度9秒)の艶面に上記クレーコート層用塗布液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、クレーコート層(12g/m、厚み4.6μm)を形成した。次に、上記クレーコート層上に、25μm厚の酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学製タケラックWPB−341:ガラス転移温度130℃、固形分濃度30%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成し、蒸着紙用原紙(厚み67μm)を得た。
<実施例2>
樹脂層の塗工量を1g/m(厚み1μm)としたこと以外は実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<実施例3>
ポリ乳酸エマルション(ミヨシ油脂株式会社製ランディ PL−3000、固形分濃度40%)100質量部にアミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.20質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<実施例4>
25μm厚の酸素透過度(23℃、50%RH)が1.6mL/(m・day・atm)であるヒドロキシ基を有するポリウレタン樹脂バインダーの水性分散液(大日精化工業株式会社製、HPU W−003、水酸基価235mgKOH/g、ガラス転移温度70℃、固形分濃度30%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<比較例1>
エチレン−アクリル酸共重合体バインダーの水性分散液(住友精化株式会社製ザイクセンAC、固形分濃度29%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.145質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<比較例2>
スチレン−アクリル共重合体バインダーの水性分散液(BASFジャパン株式会社製JONCRYL HSL−9012、固形分濃度40%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.20質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<比較例3>
ポリビニルアルコールバインダー(株式会社クラレ製エクセバールAQ−4104)を水に溶解させた10質量%水溶液100質量部にアミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.05質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m、厚み2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<比較例4>
樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
<比較例5>
カオリン(イメリス社製Contour Xtreme、アスペクト比33、平均粒子径d50:0.26μm)90質量部と、スチレン・ブタジエン共重合体バインダー(旭化成株式会社製A−6160)10質量部(固形分)と、を混合し、クレーコート層用塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。クレーコート層の塗工量は12g/m、厚みは4.3μmであった。
<蒸着紙用原紙の評価>
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙について、以下の評価を行った。
[コッブ吸水度]
JIS P 8140:1998に準拠して試験を行った。接触させる水(蒸留水を使用)の水温は23℃、接触時間は120秒とし、蒸着紙用原紙の樹脂層表面に水を接触させた。
[耐水性]
蒸着紙用原紙の樹脂層表面に60℃の蒸留水を滴下して1分保持した後、水滴をふき取り、樹脂層表面の状態を手で触って調べた。以下の評価基準で評価を行った。
A:べたつき、溶解なし
B:べたつき、溶解あり。
[接触角]
株式会社マツボー製動的接触角測定装置DAT1100を用い、蒸着紙用原紙の樹脂層表面に蒸留水4μLを滴下した。水滴が樹脂層表面に接触してから60秒後の接触角を、JIS R 3257:1999に準拠して測定した。
[表面固有電気抵抗]
JIS C 2139:2008に準拠して、樹脂層表面の表面固有電気抵抗を測定した。
<蒸着紙の作製>
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙の樹脂層上に、アルミニウム蒸着層(厚さ50nm)を形成した。上記アルミニウム蒸着層上に、25μm厚シートの酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学株式会社製、タケラックWPB−341)をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、オーバーコート層(0.5g/m、厚さ:0.5μm)を形成し、蒸着紙を得た。さらにオーバーコート層の上にエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液(有効分29.2質量%、ザイクセンAC、アクリル酸の共重合比率20モル%、融点:95℃、住友精化工業株式会社製)を有効分が20質量%となるように水で希釈し、メイヤーバー塗工した後に120℃で1分間乾燥して、ヒートシール層(5μm)を形成し、ヒートシール性蒸着紙を得た。なお、樹脂層層およびオーバーコート層に使用したポリウレタン系樹脂について、H−NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、50モル%以上であった。
<蒸着紙の評価>
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、紙積層体の酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
[水蒸気透過度]
JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、紙積層体のオーバーコート層または蒸着紙の蒸着層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
[ヒートシール剥離強度]
1組の蒸着紙を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP−701−B)を用いて、160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。
[バリア包装適性]
上記方法で評価した蒸着紙について、下記の判断基準にて、バリア包装としての適性を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:上記酸素透過度が1mL/(m・day・atm)以下、かつ上記水蒸気透過度が1g/(m・day)以下、かつ上記ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上
B:上記酸素透過度が1mL/(m・day・atm)以上、上記水蒸気透過度が1g/(m・day)以上または上記ヒートシール剥離強度が2N/15mm未満
Figure 0006958756
実施例1〜4の蒸着紙用原紙を用いて製造した蒸着紙は、比較例1〜5の蒸着紙用原紙を用いて製造した蒸着紙に比べて、酸素透過度、水蒸気透過度がともに低く、優れたバリア性を有しており、さらにバリア包装としての適性を有していた。

Claims (15)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面に、前記紙基材側から、クレーコート層および水懸濁性ポリウレタン系樹脂を含む樹脂層をこの順で有する塗工層を有する、蒸着層を蒸着により形成するための蒸着紙用原紙であって、
    塗工層を有する面のJIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのコッブ吸水度が0g/m以上10g/m以下であり、
    JIS R 3257:1999に準拠して測定される、前記塗工層表面の水に対する60秒後の接触角が65°以下である、蒸着紙用原紙。
  2. JIS C 2139:2008に準拠して測定される、前記塗工層表面の表面固有電気抵抗が0.1×1014Ω以上10×1014Ω以下である、請求項1に記載の蒸着紙用原紙。
  3. 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下である、請求項1又は2に記載の蒸着紙用原紙。
  4. 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  5. 前記ポリウレタン系樹脂が、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が50mgKOH/g以上である、請求項のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  6. 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、請求項のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  7. 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、請求項のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  8. 前記無機顔料がカオリンである、請求項に記載の蒸着紙用原紙。
  9. 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  10. 前記クレーコート層および樹脂層は、水性媒体を用いて形成されてなる、請求項のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
  12. 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項11に記載の蒸着紙。
  13. 前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が50mgKOH/g以上である、請求項12に記載の蒸着紙。
  14. 前記オーバーコート層上に熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を有し、前記ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上である、請求項12または13に記載の蒸着紙。
  15. 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m・day)以下である、請求項1114のいずれかに記載の蒸着紙。
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