JP7092272B1 - 紙積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア性を有し、かつリサイクル性に優れる紙積層体の提供。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体であって、前記蒸着層は、金属及びセラミックからなる群から選択される少なくとも1種を含み、厚さが1nm以上1000nm以下であり、前記紙積層体を再離解した後のパルプ回収率が80%以上である、紙積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、紙積層体およびその製造方法に関する。
従来、紙基材に、水蒸気をバリアする水蒸気バリア性や、水蒸気以外のガスをバリアするガスバリア性を付与した包装材料、特に、紙基材に酸素をバリアする酸素バリア性を付与した包装材料が、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、用いられている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、水蒸気バリア性やガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムを紙基材に積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、水蒸気バリア性やガスバリア性を有するバリア性材料の開発が進められてきている。たとえば、特許文献1には、紙層の内側に有機物質被覆層、金属若しくは金属酸化物層および有機物質被覆層を有する湿気と酸素に対するバリア性を有する紙包装材が開示されている。
一方、金属蒸着紙は、その光沢感を活かし、酒、ビール、清涼飲料水などの意匠性に優れたラベル用紙、菓子類の包装用紙等に広く用いられているが、紙基材上に金属薄膜を形成する必要があるため、その接着性の改善や製造方法について検討がなされている。たとえば、特許文献2には、基紙上にアルミニウム蒸着層を設けてなり、蒸着層表面の自然分極電位値が特定の範囲となるように裏面を処理した基紙を用いるアルミニウム蒸着紙が開示されている。
特開2002-321307号公報 特開平4-65599号公報
特許文献1、2に記載の蒸着紙は、再離解時にパルプの回収が困難であり、リサイクル性に乏しいという問題がある。
そこで、本発明は、バリア性を有し、かつリサイクル性に優れる紙積層体を提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下の<1>~<22>の構成によって解決することができる。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体であって、前記蒸着層は、金属及びセラミックからなる群より選択される少なくとも1種を含み、厚さが1nm以上1000nm以下であり、前記紙積層体を再離解した後のパルプ回収率が80%以上である、紙積層体。
<2> 前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層が、水
懸濁性高分子を含む、<1>に記載の紙積層体。
<3> 前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層は、水性媒体を用いて形成されてなる、<1>または<2>に記載の紙積層体。
<4> 前記クレーコート層がクレーおよび水懸濁性高分子を含み、前記クレーコート層中のクレーの含有量が68質量%以上90質量%以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の紙積層体。
<5> 前記クレーコート層は、スチレン-アクリル系共重合体を含む、<1>~<4>のいずれかに記載の紙積層体。
<6> 前記オーバーコート層がポリウレタン系樹脂を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の紙積層体。
<7> 前記オーバーコート層の厚さが0.1μm以上10μm以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の紙積層体。
<8> 前記オーバーコート層の塗工量が、固形分で、0.1g/m以上10g/m以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の紙積層体。
<9> 前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下である、<6>~<8>のいずれかに記載の紙積層体。
<10> 前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する、<6>~<9>のいずれかに記載の紙積層体。
<11> 前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<10>に記載の紙積層体。
<12> 前記クレーコート層の塗工量が、固形分で、5g/m以上30g/m以下である、<1>~<11>のいずれかに記載の紙積層体。
<13> 前記アンダーコート層の塗工量が、固形分で、0.1g/m以上10g/m以下である、<1>~<12>のいずれかに記載の紙積層体。
<14> 前記アンダーコート層がポリウレタン系樹脂を含む、<1>~<13>のいずれかに記載の紙積層体。
<15> 前記アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下である、<14>に記載の紙積層体。
<16> 前記アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有する、<14>または<15>に記載の紙積層体。
<17> 前記アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<16>に記載の紙積層体。
<18> 前記紙基材を構成する原料パルプにおける広葉樹パルプの含有量が、80質量%以上である、<1>~<17>のいずれかに記載の紙積層体。
<19> 前記蒸着層が、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、および酸化アルミニウムからなる層の少なくともいずれかである、<1>~<18>のいずれかに記載の紙積層体。
<20> 前記ヒートシール層が、スチレン・ブタジエン系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<19>のいずれかに記載の紙積層体。
<21> 前記ヒートシール層が、滑剤および顔料の少なくとも一方をさらに含む、<2>~<20>のいずれかに記載の紙積層体。
<22> 紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体の製造方法であって、水性媒体を用いて、前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層を形成することを有する、紙積層体の製造方法。
本発明によれば、バリア性を有し、かつリサイクル性に優れる紙積層体が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
<紙積層体>
本実施形態の紙積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有し、前記蒸着層は、金属及びセラミックからなる群から選択される少なくとも1種を含み、厚さが1nm以上1000nm以下であり、前記紙積層体を再離解した後のパルプ回収率が80%以上である。本実施形態の紙積層体は、バリア性を有し、かつリサイクル性に優れる。また、本実施形態の紙積層体は、ヒートシール性を有し、包装材として好適に使用できる。本明細書中、「A層上にB層を有する」とは、A層とB層が直接積層した形態であってもよいし、A層とB層が他の層を介して積層した形態であってもよいことを意味する。本実施形態の紙積層体は、紙基材、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層に加えて、他の層を有していてもよい。
本実施形態の紙積層体は、紙基材の片面のみに蒸着層を有していてもよく、両面に蒸着層を有していてもよいが、生産効率の点からは、片面のみに蒸着層を有することが好ましい。本実施形態においては、片面のみに蒸着層を有しても、十分なバリア性を発現することができる。片面のみに蒸着層を有する場合、蒸着層側のみにオーバーコート層または/およびヒートシール層を有していてもよい。生産効率の点から片面に蒸着層を有する場合、本実施形態の紙積層体において、前記紙基材が最外層であってもよい。
[紙基材]
本実施形態における紙基材は、植物由来のパルプを主成分とする一般的に用いられている紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。また、本実施形態の紙積層体に用いられる紙基材は、機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
パルプとしては、例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ;綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどの非木材パルプが挙げられる。これらのパルプは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、広葉樹パルプを使用することが好ましく、この際、紙基材を構成する原料パルプにおける広葉樹パルプの含量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である(上限:100質量%以下)。広葉樹パルプは、繊維が短く剛直であるため、広葉樹パルプの含有量が上記範囲内にある紙基材を使用すると、離解しやすく、リサイクル性に有利である。
本実施形態の紙積層体に用いられる紙基材としては、具体的には、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙などが挙げられる。これらの中でも、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、上質紙、片艶紙が好ましい。
紙基材のJIS P 8121-2:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、バリア性を向上させる観点から、800ml以下とすることが好ましく、500ml以下とすることがより好ましい。下限は特に限定されないが、抄紙の容易性の観点から、好ましくは150ml以上、より好ましくは250ml以上である。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P 8220-1:2012に準拠して離解したパルプを、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定したカナダ標準濾水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調整するために、パルプを叩解する方法は、公知の方法を使用することができる。
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100秒以下、より好ましくは30秒以下である。紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-不飽和カルボン酸系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、紙基材のパルプ100質量部に対して、0質量部以上が好ましく、3質量部以下が好ましい。
紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、たとえば、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料などが挙げられる。填料としては、たとえば、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム)、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などが挙げられる。
紙基材は、パルプスラリーを主成分とする抄紙原料を抄紙することにより得られる。
前記パルプスラリーは、木材または非木材の原料チップから、蒸解、洗浄、漂白等の工程を経て得られる。蒸解工程、洗浄工程、漂白工程等における方法については特に限定はない。これらの工程を経て得られたパルプスラリーは、さらに、水の存在下で叩解される。パルプとしては上記例示したものが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維以外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機などが挙げられる。抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して紙厚や
光沢のプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましく、40g/m以上であることがさらに好ましく、そして、500g/m以下であることが好ましく、400g/m以下であることがより好ましく、200g/m以下であることがさらに好ましく、100g/m以下であることがさらにより好ましい。なお、紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
紙基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。なお、紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5/cm以上であることが好ましく、0.6/cm以上であることがより好ましく、そして、1.2g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。なお、紙基材の密度は、JIS P 8118:2014に準拠して測定された紙基材の厚みと、上述した坪量から算出される。
紙基材は、均一な蒸着層を得る観点から、少なくとも蒸着層を設ける側の面の王研式平滑度は、5秒以上であってもよく、好ましくは10秒以上、より好ましくは100秒以上、さらに好ましくは300秒以上である。上限は、特に限定されないが、たとえば2000秒以下、好ましくは1000秒以下である。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
[クレーコート層]
本実施形態の紙積層体は、クレーコート層を、前記紙基材と後述するアンダーコート層との間に有する。これにより、紙基材を目止めし、平滑化させることができる。これにより、均一な蒸着層を形成でき、バリア性が向上する。
クレーコート層は、クレーおよび水懸濁性高分子が水性媒体に分散した水系塗工液を塗工し、乾燥することにより、形成されることが好ましい。このようにクレーコート層を形成することで、目止め効果の高いクレーコート層が得られる。さらに、再離解した際に、クレーコート層の成分が水に再分散し、パルプを高い回収率で回収することができる(すなわち、リサイクル性に優れた紙積層体となる)。したがって、本実施形態の紙積層体において、クレーコート層は、水性媒体を用いて形成されてなることが好ましく、クレーおよび水懸濁性高分子を含むことが好ましい。
本明細書中、「水懸濁性高分子」とは、水溶性ではない(具体的には、25℃の水に対する溶解度が10g/L以上である)が、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる高分子のことをいう。また、「水性媒体」とは、水を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上(上限:100質量%以下)含む媒体のことをいう。
クレーコート層中のクレーおよび水懸濁性高分子の合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらに一層好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である(上限:100質量%以下)。
クレーコート層に含まれるクレーとしては、特に限定されないが、カオリン、タルク、マイカなどが挙げられる。クレーのアスペクト比は、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。上限は、特に限定されないが、10000以下が好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡による観察やX線回折測定によって測定することができる。
クレーの平均粒子径は、均一かつ平滑なアンダーコート層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。下限は、特に限定されないが、0.05μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましい。平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
クレーコート層中のクレーの含有量は、リサイクル性の観点から、好ましくは68質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、紙基材およびアンダーコート層との密着性を高め、バリア性をさらに向上させる観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以下である。
クレーコート層に含まれる水懸濁性高分子のガラス転移温度は、リサイクル性の観点から、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下であり、そして、好ましくは-5℃以上である。水懸濁性高分子のガラス転移温度は、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:2012)によって測定される値を採用するものとする。
クレーコート層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、スチレン-ブタジエン系共重合体;アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル系共重合体、スチレン-メタクリル共重合体等のアクリル系樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、リサイクル性の観点から、スチレン-アクリル系共重合体が好ましい。
クレーコート層中の水懸濁性高分子の含有量は、リサイクル性の観点から、好ましくは32質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、紙基材およびアンダーコート層との密着性を高め、バリア性をさらに向上させる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上である。
クレーコート層は、クレーおよび水懸濁性高分子に加えて、任意成分をさらに含んでいてもよい。任意成分としては、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、可塑剤、潤滑剤、離型剤などが挙げられる。
クレーコート層の塗工量(固形分)は、目止め効果を高める観点から、5g/m以上であることが好ましく、7g/m以上であることがより好ましく、そして、リサイクル性の観点から、30g/m以下であることが好ましく、20g/m以下であることがより好ましい。
[アンダーコート層]
本実施形態の紙積層体は、アンダーコート層を、クレーコート層と後述する蒸着層との間に有する。アンダーコート層を設けることで、蒸着層と紙基材の密着性が向上し、バリア性が向上する。
アンダーコート層は、水懸濁性高分子が水性媒体に分散した水系塗工液を塗工し、乾燥することにより、形成されることが好ましい。このようにアンダーコート層を形成することで、再離解した際に、アンダーコート層の成分が水に再分散し、パルプを高い回収率で回収することができる(すなわち、リサイクル性に優れた紙積層体となる)。したがって、本実施形態の紙積層体において、アンダーコート層は、水性媒体を用いて形成されてなることが好ましく、水懸濁性高分子を含むことが好ましい。
アンダーコート層中の水懸濁性高分子の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらに一層好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である(上限:100質量%以下)。
アンダーコート層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、ポリウレタン系樹脂;アルキッド樹脂;アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル共重合体、スチレン-メタクリル共重合体等のアクリル系樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体;ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸素バリア性のさらなる向上の観点から、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、たとえば、後述するオーバーコート層に使用できるものの中から適宜選択することができる。アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同一の種類であることが好ましい。
アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度は、100mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。このようなポリウレタン系樹脂をアンダーコート層に含有させることで、紙積層体の酸素バリア性がさらに向上する。なお、25μm厚のシートに成形した際の酸素透過度は、対象のポリウレタン系樹脂を用いて厚さ25μmのシートを形成し、該シートを用いて測定した酸素透過度を示す。本明細書において、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、JISK 7126-2:2006に準拠して、23℃、50%RHの条件にて測定される。
アンダーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有することが好ましく、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましい。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。上記含有量は、H-NMRなどの公知の分析手法を用いて同定することができる。
ポリウレタン系樹脂としては、合成品を使用してもよく、たとえば、国際公開第2015/016069号に記載のポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、三井化学株式会社
製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、具体的には、タケラックWPB-341が例示される。
アンダーコート層は、水懸濁性高分子に加えて、任意の成分をさらに含んでいてもよい。任意成分としては、分散剤、界面活性剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、可塑剤、潤滑剤、離型剤などが挙げられる。
アンダーコート層の塗工量(固形分)は、紙基材と蒸着層の接着性の観点から、0.1g/m以上であることがより好ましく、1g/m以上であることがより好ましく、そして、リサイクル性の観点から、10g/m以下であることが好ましく、5g/m以下であることがより好ましい。
[蒸着層]
本実施形態の紙積層体は、アンダーコート層上に、蒸着層を有する。蒸着層を設けることで、バリア性(水蒸気バリア性、酸素バリア性)が向上する。
蒸着層は、金属及びセラミックからなる群から選択される少なくとも1種を含む。すなわち、蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、および金属層とセラミック層の積層体のいずれであってもよい。なお、蒸着層が金属層とセラミック層との積層体である場合、金属層がアンダーコート層側であってもよく、セラミック層がアンダーコート層側であってもよく、特に限定されない。
蒸着層の厚さは、バリア性の観点から、通常1nm以上であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上であり、そして、加工耐性(例えば折り曲げ後のバリア性)およびコストの観点から、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、これらの積層体のいずれであってもよいが、金属からなる層が好ましい。
蒸着層が金属からなる層である場合、金属の具体例としては、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。
蒸着層がセラミックからなる層である場合、セラミックの具体例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好ましい。
すなわち、蒸着層は、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、酸化チタンからなる層、酸化アルミニウムからなる層、および、これらの積層体のいずれであることがより好ましく、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、酸化アルミニウムからなる層、および、これらの積層体のいずれであることがさらに好ましく、アルミニウムからなる層が特に好ましい。
蒸着層は、真空蒸着法、化学気相蒸着法などの公知の蒸着方法によって形成することができる。
[オーバーコート層]
本実施形態の紙積層体は、蒸着層上に、オーバーコート層を有する。オーバーコート層を設けることで、蒸着層を保護し、蒸着層の破損によるバリア性の喪失を防止することができる。
オーバーコート層は、水懸濁性高分子が水性媒体に分散した水系塗工液を塗工し、乾燥することにより、形成されることが好ましい。このようにオーバーコート層を形成することで、再離解した際に、オーバーコート層の成分が水に再分散し、パルプを高い回収率で回収することができる(すなわち、リサイクル性に優れた紙積層体となる)。したがって、本実施形態の紙積層体において、オーバーコート層は、水性媒体を用いて形成されてなることが好ましく、水懸濁性高分子を含むことが好ましい。
オーバーコート層中の水懸濁性高分子の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、さらにより好ましくは99質量%以上である。上限は、特に限定されないが、100質量%以下である。
オーバーコート層に含まれる水懸濁性高分子の具体例としては、アンダーコート層に含まれる水懸濁性高分子として例示したものが挙げられるが、中でも、ポリウレタン系樹脂であることが好ましい。蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することで、酸素バリア性がさらに向上しうる。また、折り曲げ等の加工により蒸着層が損傷しにくく、例え損傷しても、オーバーコート層によって酸素バリア性を担保でき、優れた酸素バリア性を維持しうる。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに成形した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度は、100ml/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50ml/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。25μm厚のシートに成形した際の酸素透過度は、対象のポリウレタン系樹脂を用いて厚さ25μmのシートを形成し、該シートを用いて測定した酸素透過度を示す。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有することが好ましく、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましい。このようなポリウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。
ポリウレタン系樹脂としては、合成品を使用してもよく、たとえば、国際公開第2015/016069号に記載のポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、市販品を使用してもよく、たとえば、三井化学株式会社製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、具体的には、タケラックWPB-341が例示される。
前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂のガラス転移温度は、蒸着層の保護の観点から、成膜性が高いことが重要であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることが特に好ましい。
本実施形態の紙積層体を構成するオーバーコート層は、水懸濁性高分子に加えて、任意
成分を含んでいてもよい。任意成分としては、分散剤、界面活性剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、可塑剤、潤滑剤、離型剤などが挙げられる。
オーバーコート層の厚さは、蒸着層の保護の観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが特に好ましく、そして、リサイクル性の観点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。
オーバーコート層の塗工量(固形分)は、蒸着層の保護の観点から、0.1g/m以上であることが好ましく、0.2g/m以上であることがより好ましく、0.3g/m以上であることが特に好ましく、そして、リサイクル性の観点から、10g/m以下であることが好ましく、5g/m以下であることがより好ましく、2g/m以下であることが特に好ましい。
[ヒートシール層]
本実施形態の紙積層体は、オーバーコート層上に、ヒートシール層を有する。ヒートシール層を設けることで、本実施形態の紙積層体のみからなる包装袋等を容易に得ることができる。また、他のシート、フィルム、容器等に融着させることで、紙積層体を包装容器本体、包装容器の蓋等として用いることができる。このようにして得られる包装袋および包装容器はバリア性に優れるものとなる。
ヒートシール層は、水懸濁性高分子が水性媒体に分散した水系塗工液を塗工し、乾燥することにより、形成されることが好ましい。このようにヒートシール層を形成することで、再離解した際に、ヒートシール層の成分が水に再分散し、パルプを高い回収率で回収することができる(すなわち、リサイクル性に優れた紙積層体となる)。したがって、本実施形態の紙積層体において、ヒートシール層は、水性媒体を用いて形成されてなることが好ましく、水懸濁性高分子を含むことが好ましい。
ヒートシール層中の水懸濁性高分子の含有量は、ヒートシール性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。ヒートシール層中の水懸濁性高分子の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
ヒートシール層に含まれる水懸濁性高分子としては、ヒートシール性を有するものであれば特に制限されないが、スチレン-ブタジエン共重合体;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等のオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体;生分解性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル共重合体、スチレン-メタクリル共重合体等のアクリル系樹脂から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
これらの中でも、スチレン-ブタジエン共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。本明細書においては、アクリル系樹脂には、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体が含まれないものとする。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体由来のカルボキシル基が、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミン等で一部あるいは全部中和されている塩であってもよい。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。これらは、1種単独であってもよいし、2種以
上であってもよい。中でも、エチレンが好ましい。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等の、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル;アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩等の不飽和スルホン酸単量体またはその塩;などが挙げられる。これらは、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、不飽和カルボン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
したがって、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-メタクリル酸共重合体の少なくとも一方であることが好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレンと前記不飽和カルボン酸系単量体とを乳化重合することによって得ることが好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体が好ましい。本発明の効果を損なわない程度であれば、共重合体には、エチレンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の化合物からなる単量体が共重合されていてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、ザイクセン(登録商標)AC(エチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液、融点:95℃、アクリル酸の共重合比率20モル%、住友精化株式会社製)、MFHS1279(マイケルマン合同会社製、カルナバワックスとの混合物)等が挙げられる。
生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、およびポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)から選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネートから選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリ乳酸であることが特に好ましい。紙基材を用いた包装材料等は、樹脂フィルムからなる包装材料等と比べて環境負荷の低減という利点を有しているが、本実施形態におけるヒートシール層として生分解性樹脂を用いることによって、より一層環境負荷を低減させることができる。
ポリ乳酸は、市販品、合成品のいずれを使用してもよい。市販品としては、たとえばランディPL-1000、ランディPL-3000(ポリ乳酸の水性分散液、ミヨシ油脂株式会社製)等が挙げられる。
ヒートシール層は、ヒートシール紙のブロッキング抑制の観点から、水懸濁性高分子に加えて、滑剤および顔料の少なくとも一方を含むことが好ましい。
(滑剤)
滑剤とは、ヒートシール層に配合することにより、ヒートシール層表面の摩擦係数を低減させることができる物質である。ヒートシール層が滑剤を含有することで、ヒートシール紙の滑り性も良好となる。
滑剤としては、特に限定されず、たとえばワックス、金属石鹸、脂肪酸エステル等を使
用することができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスとしては、たとえば、動物または植物由来のワックス(たとえば、ミツロウ、カルナバワックスなど)、鉱物ワックス(たとえば、マイクロクリスタリンワックスなど)、石油ワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、ポリエステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、およびそれらの複合体等が挙げられる。上記の滑剤の中でも、融点が高く、比較的高温環境下においても塗工層が軟化しにくくなり、ブロッキング抑制効果に優れることから、ポリエチレンワックスが好ましい。また、融点が比較的低くワックス成分が塗工層表面に形成されやすく、ブロッキング抑制効果に優れることから、カルナバワックスおよびパラフィンワックスも好ましい。ポリエチレンワックスとしては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、三井化学株式会社製ケミパールW-310等が挙げられる。カルナバワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製セロゾール524、マイケルマン合同会社製MFHS1279(エチレン-アクリル酸共重合体との混合物)等が挙げられる。パラフィンワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製ハイドリンL-700等が挙げられる。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、滑剤の含有量は、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、ヒートシール層中の滑剤の含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
(顔料)
顔料としては特に限定されるものではなく、従来の塗工紙の顔料塗工層に使用されている各種顔料が例示される。具体的には、カオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、バインダーピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどが例示される。これらの中でも、ブロッキング抑制効果に優れることから、好ましくはカオリンである。顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料の平均粒径は特に限定されないが、耐ブロッキング性およびヒートシール性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、そして、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。なお、顔料の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒径分布測定装置によって測定される値を採用するものとする。
ヒートシール層が顔料を含有する場合、顔料の含有量は、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
ヒートシール層が顔料を含有する場合、ヒートシール層中の顔料の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
ヒートシール層は、水懸濁性高分子と、必要に応じて滑剤または/および顔料とに加えて、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、可塑剤などが挙げられる。
ヒートシール層の厚さは、ヒートシール性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μmであり、そして、リサイクル性の観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下である。
本実施形態の紙積層体が両面に蒸着層を有する場合、その片面または両面に、ヒートシール層を有していてもよい。これらの中でも、片面にヒートシール層を有することが好ましい。片面にヒートシール層を有することで、生産効率に優れ、本実施形態の紙積層体をヒートシールした場合、袋状物等を容易に作製することができる。
<紙積層体の製造方法>
本発明は、紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体の製造方法についても提供する。この際、アンダーコート層、オーバーコート層およびヒートシール層は、水性媒体を用いて形成される。これにより、バリア性およびヒートシール性を有し、かつリサイクル性に優れた紙積層体が得られる。
各層の形成方法および各層の形成に使用される成分の好ましい態様については、上述したとおりである。各層の塗工方法は、特に限定されず、例えば、バーコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法等が挙げられ、ファウンテンコーターやスリットダイコーターのような塗工機を用いることができる。各層用塗工液の濃度は、適宜調節することができる。塗工後の乾燥条件も、特に制限されないが、例えば80~160℃で、10秒~30分行う。
<紙積層体の物性>
本実施形態の紙積層体の厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、そして、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
[酸素透過度]
本実施形態の紙積層体の酸素透過度は、紙積層体のオーバーコート層上(オーバーコート層上にヒートシール層を有する場合は、ヒートシール層上)に厚さ20μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を貼合して積層シートを形成した場合において、JISK 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%における積層シートの酸素透過度が、2.0mL/m・day・atm以下であり、好ましくは1.0mL/m・day・atm以下、より好ましくは0.5mL/m・day・atm以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0mL/m・day・atm以上、0.05mL/m・day・atm以上である。蒸着紙とCPPフィルムの貼合には、例えば、接着剤を使用する。接着剤の種類および塗布量は、ガスバリア性を有さない限り特に限定されないが、例えば実施例に記載したとおりである。酸素透過度は、例えば、アンダーコート層を前述の最適な厚みにすること、アンダーコート層の平
滑性を向上させること、蒸着層の厚さを増やすことにより小さくすることができる。
ここで、「接着剤がガスバリア性を有さない」とは、JIS P 8117:2009に準拠して測定される王研式透気抵抗度が100秒以下の紙基材に、対象の接着剤を4g/m塗布し、厚さ20μmのCPPフィルムを貼り合わせた積層シートについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、相対湿度50%(50%RHと表記することもある)における酸素透過度が、2000mL/m・day・atm以上であることを意味する。
[水蒸気透過度]
本実施形態の紙積層体の水蒸気透過度は、40℃、90%RHにおいて1.0g/(m・day)以下であることが好ましく、0.7g/(m・day)以下であることがより好ましい(下限:0g/(m・day))。なお、紙積層体の水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976(カップ法)B法に準拠して測定される。水蒸気透過度は、例えば、アンダーコート層を前述の最適な厚みにすること、アンダーコート層の平滑性を向上させること、蒸着層の厚さを増やすことにより小さくすることができる。
[剥離強度]
本実施形態の紙積層体は、ヒートシール層の剥離強度が、好ましくは2N/15mm以上、より好ましくは3N/15mm以上であり、そして、上限は特に限定されないが、好ましくは10N/15mm以下である。ヒートシール層の剥離強度は、ヒートシール層同士を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールしたときの剥離強度であり、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
[再離解後のパルプ回収率]
本実施形態の紙積層体は、再離解した後のパルプ回収率が、80%以上であり、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である(上限:100%以下)。再離解後のパルプ回収率が上記範囲内にあれば、回収したパルプを有効に再利用でき、リサイクル性に優れる。再離解後のパルプ回収率は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
[コッブ吸水度]
本実施形態の紙積層体は、JIS P 8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのヒートシール層側表面のコッブ吸水度が1.0g/m以下であり、好ましくは0.5g/m以下である。ヒートシール層側表面のコッブ吸水度を上記範囲内とすることで、水を通さない欠陥の少ない膜を形成できるため、得られた紙積層体は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。ヒートシール層側表面のコッブ吸水度の下限は、特に限定されないが、例えば0g/m以上、0.1g/m以上、0.2g/m以上である。ヒートシール層側表面のコッブ吸水度は、塗工層(例えばアンダーコート層)およびオーバーコート層、ヒートシール層の成分や塗工量を調整することで、上記範囲内に調整することができる。
本実施形態の紙積層体は、JIS P8140:1998に準拠して測定される、温度23℃、接触時間120秒でのヒートシール層側と逆側の表面(例えば紙基材表面)のコッブ吸水度が10g/m以上であり、好ましくは20g/m以上である。また、ヒートシール層側と逆側の表面のコッブ吸水度を上記範囲内とすることで、紙基材に水を浸透しやすくなるため、これにより、得られた紙積層体は、優れたリサイクル性を発揮することができると考えられる。ヒートシール層側と逆側の表面のコッブ吸水度の上限は、特に限定されないが、好ましくは40g/m以下であり、より好ましくは30g/m以下である。ヒートシール層側と逆側の表面のコッブ吸水度は、紙基材の選定などにより、上記範囲内に調整することができる。
<紙積層体の用途>
本実施形態の紙積層体は、バリア性およびヒートシール性を活かして、コーヒー、菓子、牛乳等の食品、医薬品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断らない限り、以下の操作は23℃、相対湿度50%RHの条件で行った。また、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
<紙積層体の作製>
[実施例1]
無機顔料として固形分濃度40%になるように水に分散したカオリン(IMERYS社製、Contour Xtreme、アスペクト比:33、平均粒子径:0.26μm)80質量部(固形分)と、バインダとしてスチレン-アクリル系樹脂の水系エマルジョン(BASF社製、JONCRYL HSL-9012、ガラス転移温度5℃)20質量部(固形分)とを混合し、固形分濃度40質量%のクレーコート層用塗工液を調製した。片艶紙(王子エフテックス株式会社製、広葉樹パルプ配合比率:100質量%、離解フリーネス420ml、坪量:50g/m、厚さ:60μm、密度:0.83g/m、サイズ度:9秒、艶面の王研式平滑度:499秒、非艶面の王研式平滑度:15秒)の艶面に上記クレーコート層用塗工液をメイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分乾燥して、クレーコート層(塗工量:12g/m、厚み4.6μm)を形成した。
次に、上記クレーコート層上に、ポリウレタン系樹脂ディスパーション(三井化学株式会社製、タケラックWPB-341、25μm厚のシートに成形した際の23℃および50%RHにおける酸素透過度:2.0mL/(m・day・atm)、ガラス転移温度:130℃)をメイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分乾燥して、アンダーコート層(塗工量:2g/m、厚さ2μm)を形成した。なお、上記ポリウレタン系樹脂について、H-NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、50モル%以上であった。
次に、上記アンダーコート層上に、真空蒸着によりアルミニウム蒸着層(厚さ:50nm)を形成し、さらに、蒸着層上に、ポリウレタン系樹脂ディスパーション(三井化学株式会社製、タケラックWPB-341、25μm厚のシートに成形した際の23℃および50%RHにおける酸素透過度:2.0mL/(m・day・atm)、ガラス転移温度:130℃)をメイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分乾燥して、オーバーコート層(塗工量:0.5g/m、厚さ:0.5μm)を形成した。
次に、上記オーバーコート層上に、エチレン-アクリル酸共重合体およびカルナバワックスを含むヒートシール剤(マイケルマン合同会社製、MFHS1279)をメイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分乾燥して、ヒートシール層(塗工量:3g/m、厚さ:3μm)を形成して、厚さ70μmの紙積層体を得た。
[実施例2]
紙基材を片艶紙(王子エフテックス株式会社製、広葉樹パルプ配合比率:100質量%、離解フリーネス420ml、坪量:40g/m、厚さ:54μm、密度:0.76g
/m、サイズ度:3秒、艶面の王研式平滑度:466秒、非艶面の王研式平滑度:13秒)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、厚さ64μmの紙積層体を得た。
[実施例3]
無機顔料として固形分濃度40%になるように水に分散したカオリン(IMERYS社製、CENTURY HC、アスペクト比:20、平均粒子径:2.0μm)70質量部(固形分)と、バインダとしてスチレン-アクリル系樹脂の水系エマルジョン(BASF社製、ACRONAL S504、ガラス転移温度5℃)30質量部(固形分)とを混合し、固形分濃度40質量%のクレーコート層用塗工液を調製したに変更したこと以外、実施例1と同様にして、厚さ71μmの紙積層体を得た。
[実施例4]
固形分濃度40%になるように水に分散したカオリン(IMERYS社製、CENTURY HC、アスペクト比:20、平均粒子径:2.0μm)30質量部(固形分)と、スチレン-ブタジエン共重合体の水系エマルジョン(BASF社製、Styronal S316)70質量部(固形分)とを混合し、固形分濃度40質量%のヒートシール層塗料としたこと以外、実施例1と同様にして、厚さ71μmの紙積層体を得た。
[比較例1]
酢酸エチルに溶解させたアクリル系樹脂(大日精化工業株式会社製、アルミックW)の固形分濃度30質量%溶液をヒートシール層の塗料とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ70μmの紙積層体を得た。
[比較例2]
酢酸エチルに溶解させたポリエステル系樹脂(ユニチカ株式会社製、UE9800)の固形分濃度30質量%溶液をオーバーコート層塗料としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ70μmの紙積層体を得た。
[比較例3]
無機顔料としてカオリン(IMERYS社製、BARRISURF HX、アスペクト比:100、平均粒子径:9.0μm)67質量部と、バインダとしてエチレン-アクリル酸共重合体(住友精化株式会社製、ザイクセンAC)33質量部とを混合し、固形分濃度40質量%のクレーコート層用塗料とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ72μmの紙積層体を得た。
<紙積層体の評価>
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、紙積層体の酸素透過度を測定した。具体的には、実施例および比較例で得られた紙積層体のヒートシール層上に、イソシアネート系接着剤(DIC株式会社製、ディックドライLX-500を10部に対してディックドライKW―75を1部混合)を5g/m塗布した後、厚さ20μmのCPPフィルム(北越化成株式会社製、GP-32)を貼合して積層シートを形成した。積層シートについて、JISK 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度50%における酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
また、加工耐性の評価として、折り曲げ後の酸素透過度も測定した。折り曲げ方法は、紙積層体を一度折り曲げた後(折り目の角度180°)に開き、折れ線と垂直になる線で再度折り曲げた後(折り目の角度180°)に開き、前記酸素透過率測定装置の測定部の中央に、折れ線の交点が来るようにして酸素透過度を測定した。
[水蒸気透過度]
JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、紙積層体のヒートシール層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
また、加工耐性の評価として、折り曲げ後の水蒸気透過度も測定した。折り曲げ方法は、紙積層体を一度折り曲げた後(折り目の角度180°)に開き、折れ線と垂直になる線で再度折り曲げた後(折り目の角度180°)に開き、測定部の中央に、折れ線の交点が来るようにして水蒸気透過度を測定した。
[ヒートシール性(剥離強度)]
2枚1組の紙積層体を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP-701-B)を用いて、150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールされた試験片を温度23℃±1℃、相対湿度50%±2%の室内で4時間以上静置した。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。
[リサイクル性(再離解後のパルプ回収率)]
絶乾質量30gの紙積層体を手で3~4cm角に破き、20℃の水道水に一晩浸漬した。紙積層体の濃度が2.5%になるよう水道水で希釈後、TAPPI標準離解機(熊谷理機株式会社製)を用いて3000rpmの回転数で10分間離解処理した。得られたパルプスラリーを6カット(スリット幅0.15mm)のスクリーンプレートをセットしたフラットスクリーン(熊谷理機株式会社製)に供し、8.3L/minの水流中で精選処理した。スクリーンプレート上に残った未離解物を回収して105℃のオーブンで乾燥して絶乾質量を測定し、以下の計算式:
パルプ回収率(%)={試験に供した紙積層体の絶乾質量(g)-未離解物の絶乾質量(g)}/試験に供した紙積層体の絶乾質量×100
からパルプ回収率を算出した。
[コップ吸水度]
JIS P 8140:1998に準拠して試験を行った。接触させる水(蒸留水を使用)の水温は23℃、接触時間は120秒とし、紙積層体のヒートシール層側表面およびその逆側の表面(すなわち紙基材表面)に水を接触させた。
Figure 0007092272000001
表1より、実施例1~4の紙積層体は、酸素透過度、水蒸気透過度、ヒートシール剥離強度がいずれも良好であり、かつ、再離解後のパルプ回収率が高かった。一方、比較例1~3の紙積層体は、いずれも再離解後のパルプ回収率が低く、リサイクル性に乏しかった。上記結果から、本実施形態の紙積層体は、バリア性およびヒートシール性を有し、かつリサイクル性に優れることがわかった。

Claims (12)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体であって、
    前記蒸着層は、金属及びセラミックからなる群より選択される少なくとも1種を含み、厚さが1nm以上1000nm以下であり、
    前記紙積層体を再離解した後のパルプ回収率が80%以上である、紙積層体。
  2. 前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層が、水懸濁性高分子を含む、請求項1に記載の紙積層体。
  3. 前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層は、水性媒体を用いて形成されてなる、請求項1または2に記載の紙積層体。
  4. 前記クレーコート層がクレーおよび水懸濁性高分子を含み、前記クレーコート層中のクレーの含有量が68質量%以上90質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の紙積層体。
  5. 前記クレーコート層は、スチレン-アクリル系共重合体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の紙積層体。
  6. 前記オーバーコート層がポリウレタン系樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の紙積層体。
  7. 前記アンダーコート層がポリウレタン系樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の紙積層体。
  8. 前記紙基材を構成する原料パルプにおける広葉樹パルプの含有量が、80質量%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の紙積層体。
  9. 前記蒸着層が、アルミニウムからなる層、酸化ケイ素からなる層、および酸化アルミニウムからなる層の少なくともいずれかである、請求項1~8のいずれか1項に記載の紙積層体。
  10. 前記ヒートシール層が、スチレン・ブタジエン系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の紙積層体。
  11. 前記ヒートシール層が、滑剤および顔料の少なくとも一方をさらに含む、請求項2~10のいずれか1項に記載の紙積層体。
  12. 紙基材の少なくとも一方の面上に、クレーコート層、アンダーコート層、蒸着層、オーバーコート層およびヒートシール層をこの順に有する紙積層体の製造方法であって、
    水性媒体を用いて、前記アンダーコート層、前記オーバーコート層および前記ヒートシール層を形成することを有する、紙積層体の製造方法。
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