JP6958758B1 - 蒸着紙用原紙および蒸着紙 - Google Patents
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Abstract
Description
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有する蒸着紙用原紙であって、JIS K 6955:2017に準拠して測定される生分解度が85%以上である、蒸着紙用原紙。
<2> 前記蒸着紙用原紙の無機物を除く成分のうち、90質量%以上が生分解性材料である、<1>に記載の蒸着紙用原紙。
<3> 前記塗工層は樹脂層を有し、前記樹脂層が水懸濁性高分子を含む、<1>または<2>に記載の蒸着紙用原紙。
<4> 前記樹脂層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、<3>に記載の蒸着紙用原紙。
<5> 前記ポリエステル系樹脂がポリ乳酸を含む、<4>に記載の蒸着紙用原紙。
<6> 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下である、<4>に記載の蒸着紙用原紙。
<7> 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<4>または<6>に記載の蒸着紙用原紙。
<8> 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<4>、<6>、または<7>に記載の蒸着紙用原紙。
<9> 前記塗工層はクレーコート層を有し、前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<10> 前記無機顔料がカオリンである、<9>に記載の蒸着紙用原紙。
<11> 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であるである、<9>または<10>に記載の蒸着紙用原紙。
<12> 前記クレーコート層および前記樹脂層は、水性媒体を用いて形成されてなる、<9>〜<11>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<13> <1>〜<12>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
<14> 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<13>に記載の蒸着紙。
<15> 再離解後のパルプ回収率が80%以上である、<13>または<14>に記載の蒸着紙。
<16> 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m2・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m2・day)以下である、<13>〜<15>のいずれかに記載の蒸着紙。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有し、JIS K 6955:2017に準拠して測定される生分解度が85%以上である。本実施形態の蒸着紙用原紙を用いて製造した蒸着紙は、優れたリサイクル性を有する。以下、本実施形態の耐水性紙の構成および物性について、さらに詳細に説明する。本明細書中、「X〜Y」で表される数値範囲は、Xを下限値、Yを上限値として含む数値範囲を意味する。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
本実施形態における紙基材を構成するパルプは、植物由来のパルプを主成分とすることが好ましく、木材パルプを主成分とすることがより好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100秒以下、より好ましくは30秒以下である。紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20g/m2以上であることが好ましく、30g/m2以上であることがより好ましく、40g/m2以上であることがさらに好ましく、そして、500g/m2以下であることが好ましく、400g/m2以下であることがより好ましく、200g/m2以下であることがさらに好ましく、100g/m2以下であることがさらにより好ましい。なお、紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
紙基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。なお、紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5/cm3以上であることが好ましく、0.6/cm3以上であることがより好ましく、そして、1.2g/cm3以下であることが好ましく、1.0g/cm3以下であることがより好ましい。なお、紙基材の密度は、上述した方法により測定される紙基材の坪量および厚さから算出される。
紙基材は、均一な蒸着層を得る観点から、少なくとも蒸着層を設ける側の面の王研式平滑度が、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されないが、例えば、1000秒以下であることが好ましい。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、塗工層としてクレーコート層を有することが好ましく、クレーコート層を、前記紙基材と後述する樹脂層との間に有することがより好ましい。これにより、紙基材を目止めし、平滑化させることができ、より平坦な樹脂層が形成される結果、後述する蒸着紙とした場合に均一な蒸着層を形成でき、バリア性が向上する。
クレーコート層に含まれる無機顔料としては、特に限定されないが、カオリン、タルク、マイカなどが挙げられ、カオリンであることが好ましい。クレーコート層中の無機顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、そして、98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
無機顔料のアスペクト比は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、50以下が好ましい。下限は、特に限定されないが、1以上が好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡による観察やX線回折測定によって測定できる。
無機顔料の平均粒子径は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。下限は、特に限定されないが、0.05μm以上が好ましい。平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
クレーコート層に含まれるバインダーとしては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエン系樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体;スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリ乳酸などが挙げられ、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であること好ましく、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、スチレン−アクリル系樹脂およびエチレン−アクリル酸共重合体、ポリ乳酸から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、塗工層として樹脂層を有することが好ましく、クレーコート層上に樹脂層を有することがより好ましい。樹脂層を設けることで、蒸着紙の蒸着層と紙基材との密着性が向上し、バリア性が向上する。また、樹脂層が酸素バリア性や水蒸気バリア性を有することで、蒸着紙とした場合のバリア性を向上する機能をも有する。
樹脂層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、アルキッド樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン変性ポリビニルアルコール)等のビニルアルコール系樹脂;セルロース系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、生分解度およびリサイクル性のさらなる向上の観点から、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリ乳酸樹脂およびポリウレタン系樹脂であることがさらに好ましい。
樹脂層に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂ディスパーションおよびエマルションからなる群より選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションからなる群より選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m2・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m2・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。なお、本明細書において、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、23℃、50%RHの条件にて測定される。
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂のガラス転移温度は、後述する蒸着紙の蒸着層の保護の観点から、成膜性が高いことが重要であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることが特に好ましい。ポリウレタン系樹脂のガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、好ましくは50℃以上である。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7122:2012に準拠して測定される。
樹脂層の耐屈曲性向上の観点から、樹脂層は、上記の水懸濁性高分子に加えて、シランカップリング剤を配合してなるものであることが好ましい。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、JIS K 6955:2017に準拠して測定される生分解度が、85%以上、好ましくは90%以上である(上限値:100%)。上記の生分解度を満たす蒸着紙用原紙を用いて得られた蒸着紙は、優れたリサイクル性を有する。生分解度は、2年以内に上記範囲内となることが好ましく、1年以内に上記範囲内となることがより好ましく、6ヶ月以内に上記範囲内となることがさらに好ましい。蒸着紙用原紙の生分解度は、原紙に占める生分解性材料(例えば、生分解性樹脂)の配合量を調整することで、上記範囲内に調整することができる。具体的には、蒸着紙用原紙の無機物を除く成分のうち、90質量%以上が生分解性材料であることが好ましく、95質量%以上が生分解性材料であることがより好ましい(上限値:100質量%)。
本実施形態の蒸着紙用原紙の厚さは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、そして、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。
本発明は、上記蒸着紙用原紙の塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙についても提供する。
蒸着層は、金属からなる層およびセラミックからなる層の少なくともいずれかである。すなわち、蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、および金属層とセラミック層の積層体のいずれであってもよい。なお、蒸着層が金属層とセラミック層との積層体である場合、金属層が、蒸着紙用原紙の塗工層側であってもよく、セラミック層が、蒸着紙用原紙の塗工層側であってもよく、特に限定されない。
蒸着層の厚さは、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることがさらに好ましく、そして、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。また、蒸着層の厚さは、バリア性の観点からは、10nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、そして、80nm以下であることが好ましく、70nmであることがより好ましい。さらに、蒸着層の厚さは、他層との密着性やコストの観点からは、4nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがさらに好ましく、そして、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることが特に好ましい。
本実施形態の蒸着紙は、蒸着層上に、ポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することが好ましい。本実施形態の蒸着紙は、蒸着層を有することで一定のバリア性を有するが、蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することで、酸素バリア性がさらに向上しうる。また、折り曲げ等の加工により蒸着層が損傷しにくく、例え損傷しても、オーバーコート層によって酸素バリア性を担保でき、優れた酸素バリア性を維持しうる。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m2・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m2・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。
本実施形態の蒸着紙を製造する方法に制限はないが、紙基材の少なくとも一面上に、クレーコート層、樹脂層をこの順で有する蒸着紙用原紙の樹脂層が設けられている面に、金属およびセラミックの少なくともいずれかを蒸着して蒸着層を形成する工程と、蒸着層上に、オーバーコート層用塗工液を塗工し、乾燥して、オーバーコート層を形成する工程とを含むことが好ましい。
(厚さ)
本実施形態の蒸着紙の厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、そして、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。なお、蒸着紙の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
本実施形態の蒸着紙の23℃、50%RHにおける酸素透過度は、1.0mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、0.5mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましい(下限:0mL/(m2・day・atm))。なお、蒸着紙の酸素透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
本実施形態の蒸着紙の40℃、90%RHにおける水蒸気透過度は、1.0g/(m2・day)以下であることが好ましく、0.7g/(m2・day)以下であることがより好ましい(下限:0g/(m2・day))。なお、蒸着紙の水蒸気透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
本実施形態の蒸着紙の再離解後のパルプ回収率は、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、82%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることがよりさらに好ましい。なお、蒸着紙の再離解後のパルプ回収率は、実施例に記載された方法により測定される。
カオリン(イメリス社製Contour Xtreme、アスペクト比33、平均粒子径d50:0.26μm)80質量部と、ポリ乳酸エマルション(ミヨシ油脂株式会社製ランディ PL−3000)20質量部(固形分)と、を混合し、クレーコート層用塗布液を調製した。片艶紙(広葉樹材比率100%、ステキヒトサイズ度9秒、坪量50g/m2、厚さ60μm、密度0.83g/cm3、王研式平滑度430秒)の艶面に上記クレーコート層用塗布液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、クレーコート層(12g/m2、厚さ4.6μm)を形成した。次に、上記クレーコート層上に、ポリ乳酸エマルション(ミヨシ油脂株式会社製ランディ PL−3000)をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、樹脂層(2g/m2、厚さ2μm)を形成し、蒸着紙用原紙(67μm)を得た。
クレーコート層のポリ乳酸エマルションの代わりに、スチレン−アクリル系樹脂(Joncryl HSL−9012、BASF社製)を用い、樹脂層のポリ乳酸エマルションの代わりに、25μm厚の酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m2・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学株式会社製、タケラックWPB−341、ガラス転移温度130℃、固形分濃度30%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(1.5g/m2)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
実施例1において、樹脂層塗工液として実施例2の樹脂層塗工液を使用し、樹脂層の塗工量を4g/m2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
クレーコート層のカオリンを85部に変更し、樹脂をスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(A−6160、旭化成株式会社製)15質量部に変更し、塗布量を20g/m2に変更し、樹脂層の樹脂をアクリル系樹脂(大日精化工業株式会社製、アルミックW)4g/m2に変更したこと以外は実施例1と同様にして蒸着紙用原紙を得た。
[生分解性材料比率]
下記式1により、生分解性材料比率を算出した。下記式1において、紙基材質量は、無機分(填料など)を除いた質量を意味する。無機分は紙を燃焼して得られる灰分質量が紙基材質量に占める割合とする。当該数値が90%以上である場合、蒸着紙用原紙の無機物を除く成分のうち、90質量%以上が生分解性材料であることに等しい。なお、生分解材料であるかは、成分分析を実施し、生分解材料であるかを判別する。
式1:((紙基材質量+クレーコート層中の全樹脂質量+樹脂層中の全樹脂質量)−(クレーコート層中の非生分解性樹脂質量)−(樹脂層中の非生分解性樹脂質量))/(紙基材質量+クレーコート中の全樹脂質量+樹脂層中の全樹脂質量))×100
[生分解度]
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙について、JIS K 6955:2017に準拠して生分解試験を2年行い、生分解度を測定した。なお、より短期間で生分解度が85%以上となる場合には、生分解度をより短期間で評価してもよい。
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙の樹脂層上に、アルミニウム蒸着層(厚さ50nm)を形成した。上記アルミニウム蒸着層上に、25μm厚シートの酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m2・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学株式会社製、タケラックWPB−341)をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、オーバーコート層(0.5g/m2、厚さ:0.5μm)を形成し、蒸着紙を得た。なお、樹脂層およびオーバーコート層に使用したポリウレタン系樹脂について、1H−NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、50モル%以上であった。
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、紙積層体の酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、紙積層体のオーバーコート層または蒸着紙の蒸着層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
得られた蒸着紙をJIS P 8220−1:2012に準拠して離解した。このとき、離解開始から10分後に分散液を、6カットスクリーンを設置した振動フラットスクリーンで処理し、6カットスクリーン(目開き0.15mm)上の試料を回収して乾燥させることで残渣の質量比率(%)を算出し、100%から残渣の質量比率(%)を差し引いた値を再離解後のパルプ回収率(%)とし、リサイクル性の指標とした。
Claims (16)
- 紙基材の少なくとも一方の面に塗工層を有する、蒸着層を蒸着により形成するための蒸着紙用原紙であって、
前記塗工層はクレーコート層を有し、前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が3μm以下であり、
JIS K 6955:2017に準拠して測定される生分解度が85%以上である、蒸着紙用原紙。 - 前記蒸着紙用原紙の無機物を除く成分のうち、90質量%以上が生分解性材料である、請求項1に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記塗工層は樹脂層を有し、前記樹脂層が水懸濁性高分子を含む、請求項1または2に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記樹脂層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、請求項3に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリエステル系樹脂がポリ乳酸を含む、請求項4に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記樹脂層が、ポリウレタン系樹脂からなる、請求項4に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下である、請求項4または6に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項4、6または7に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、請求項4、6、7、または8に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記無機顔料がカオリンである、請求項1〜9のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であるである、請求項1〜10のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 前記クレーコート層は、水性媒体を用いて形成されてなる、請求項1〜11のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記塗工層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
- 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項13に記載の蒸着紙。
- 再離解後のパルプ回収率が80%以上である、請求項13または14に記載の蒸着紙。
- 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m2・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m2・day)以下である、請求項13〜15のいずれかに記載の蒸着紙。
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