JP6958757B1 - 蒸着紙用原紙および蒸着紙 - Google Patents
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Abstract
Description
<1> 紙基材の少なくとも一方の面にクレーコート層、樹脂層をこの順に有する蒸着紙用原紙であって、前記樹脂層表面は、JIS K 6768:1999に準拠して測定される濡れ張力が50mN/m以上であり、かつ、JIS P 8151:2004に準拠して測定されるプリント・サーフ表面粗さが2.5μm以下である、蒸着紙用原紙。
<2> 前記樹脂層はガラス転移温度が50℃以上である樹脂を含む、<1>に記載の蒸着紙用原紙。
<3> 前記樹脂層が水懸濁性高分子を含む、<1>または<2>に記載の蒸着紙用原紙。
<4> 前記樹脂層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<5> 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下である、<4>に記載の蒸着紙用原紙。
<6> 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<4>または<5>に記載の蒸着紙用原紙。
<7> 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、<4>〜<6>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<8> 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<9> 前記無機顔料がカオリンである、<8>に記載の蒸着紙用原紙。
<10> 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上である、<8>または<9>に記載の蒸着紙用原紙。
<11> 前記クレーコート層および樹脂層は、水性媒体を用いて形成されてなる、<1>〜<10>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
<12> <1>〜<11>のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記樹脂層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
<13> 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<12>に記載の蒸着紙。
<14> 前記オーバーコート層上に熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を有し、前記ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上である、<13>に記載の蒸着紙。
<15> 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m2・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m2・day)以下である、<12>〜<14>のいずれかに記載の蒸着紙。
本実施形態における紙基材を構成するパルプは、植物由来のパルプを主成分とすることが好ましく、木材パルプを主成分とすることがより好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプなどが挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維外の材料も、本発明の効果を損なわない限り、副紙材として配合してもよい。
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100秒以下、より好ましくは30秒以下である。紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20g/m2以上であることが好ましく、30g/m2以上であることがより好ましく、40g/m2以上であることがさらに好ましく、そして、500g/m2以下であることが好ましく、400g/m2以下であることがより好ましく、200g/m2以下であることがさらに好ましく、100g/m2以下であることがさらにより好ましい。なお、紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
紙基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。なお、紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5g/cm3以上であることが好ましく、0.6g/cm3以上であることがより好ましく、そして、1.2g/cm3以下であることが好ましく、1.0g/cm3以下であることがより好ましい。なお、紙基材の密度は、上述した方法により測定される紙基材の坪量および厚さから算出される。
紙基材は、均一な蒸着層を得る観点から、少なくとも蒸着層を設ける側の面の王研式平滑度が、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されないが、例えば、1000秒以下であることが好ましい。なお、紙基材の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、クレーコート層を、前記紙基材と後述する樹脂層との間に有する。これにより、紙基材を目止めし、平滑化させることができ、より平坦な樹脂層が形成される結果、後述する蒸着紙とした場合に均一な蒸着層を形成でき、バリア性が向上する。
クレーコート層に含まれる無機顔料としては、特に限定されないが、カオリン、タルク、マイカなどが挙げられ、カオリンであることが好ましい。クレーコート層中の無機顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、そして、98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
無機顔料のアスペクト比は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、50以下であることが好ましい。下限は、特に限定されないが、1以上が好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡による観察やX線回折測定によって測定できる。
無機顔料の平均粒子径は、均一かつ平滑な樹脂層を形成する観点、およびクレーコート層中に細かく散在させ、回収時に蒸着紙用原紙の離解性を向上させる観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。下限は、特に限定されないが、0.05μm以上が好ましい。平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって測定されるメジアン径(d50)を意味する。
クレーコート層に含まれるバインダーとしては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエン系樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体;スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリ乳酸などが挙げられ、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であること好ましく、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、スチレン−アクリル系樹脂およびエチレン−アクリル酸共重合体、ポリ乳酸から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、クレーコート層上に配置される樹脂層を有する。樹脂層を設けることで、蒸着紙の蒸着層と紙基材との密着性が向上し、バリア性が向上する。また、樹脂層が酸素バリア性や水蒸気バリア性を有することで、蒸着紙とした場合のバリア性を向上する機能をも有する。
樹脂層に含まれる水懸濁性高分子としては、特に限定されないが、アルキッド樹脂;(メタ)アクリル系(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン変性ポリビニルアルコール)等のビニルアルコール系樹脂;セルロース系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、生分解度およびリサイクル性のさらなる向上の観点から、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂であることがさらに好ましい。
樹脂層に含まれるポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂ディスパーションおよびエマルションからなる群より選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン系樹脂ディスパーションおよびエマルションからなる群より選ばれる1種以上に調製可能なものであることがより好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションまたはエマルションに調製可能なものであることがさらに好ましく、ポリウレタン系樹脂ディスパーションに調製可能なものであることがさらにより好ましい。
前記樹脂層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m2・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m2・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。なお、本明細書において、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、23℃、50%RHの条件にて測定される。
樹脂層の耐屈曲性向上の観点から、樹脂層は、上記の水懸濁性高分子に加えて、シランカップリング剤を配合してなるものであることが好ましい。
(濡れ張力)
本実施形態の蒸着紙用原紙は、JIS K 6768:1999に準拠して測定される樹脂層表面の濡れ張力が、50mN/m以上であり、好ましくは55mN/m以上である。樹脂層表面の濡れ張力を上記範囲内とすることで、樹脂層表面の極性が高くなり、樹脂層と当該層上に形成される蒸着層との密着性が向上する。これにより、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。樹脂層表面の濡れ張力の上限は、特に限定されないが、70mN/m以下である。例えば濡れ張力は、樹脂層に使用する成分の調整などにより、上記範囲内に調整することができる。
本実施形態の蒸着紙用原紙は、JIS P 8151:2004に準拠して測定される樹脂層表面のプリント・サーフ表面粗さが、2.5μm以下であり、好ましくは1.5μm以下である。樹脂層表面のプリント・サーフ表面粗さを上記範囲内とすることで、樹脂層上に欠陥の少ない蒸着層を形成できる。これにより、得られた蒸着紙は、優れたバリア性を発揮することができると考えられる。樹脂層表面のプリント・サーフ表面粗さの下限は、特に限定されないが、0.1μm以上である。例えばプリント・サーフ表面粗さは、樹脂層の塗工量調整などによって、上記範囲内に調整することができる。
本実施形態の蒸着紙用原紙の厚さは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、そして、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。
本発明は、上記蒸着紙用原紙の樹脂層上に蒸着層を有する蒸着紙についても提供する。
蒸着層は、金属からなる層およびセラミックからなる層の少なくともいずれかである。すなわち、蒸着層は、金属からなる層、セラミックからなる層、および金属層とセラミック層の積層体のいずれであってもよい。なお、蒸着層が金属層とセラミック層との積層体である場合、金属層が、蒸着紙用原紙の樹脂層側であってもよく、セラミック層が、蒸着紙用原紙の樹脂層側であってもよく、特に限定されない。
蒸着層の厚さは、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることがさらに好ましく、そして、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。また、蒸着層の厚さは、バリア性の観点からは、10nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、そして、80nm以下であることが好ましく、70nmであることがより好ましい。さらに、蒸着層の厚さは、他層との密着性やコストの観点からは、4nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがさらに好ましく、そして、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることが特に好ましい。
本実施形態の蒸着紙は、蒸着層上に、ポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することが好ましい。本実施形態の蒸着紙は、蒸着層を有することで一定のバリア性を有するが、蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有することで、酸素バリア性がさらに向上しうる。また、折り曲げ等の加工により蒸着層が損傷しにくく、例え損傷しても、オーバーコート層によって酸素バリア性を担保でき、優れた酸素バリア性を維持しうる。
オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、25mL/(m2・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10mL/(m2・day・atm)以下であることがよりさらに好ましい。
本実施形態の蒸着紙を製造する方法に制限はないが、紙基材の少なくとも一面上に、クレーコート層、樹脂層をこの順で有する蒸着紙用原紙の樹脂層が設けられている面に、金属およびセラミックの少なくともいずれかを蒸着して蒸着層を形成する工程と、蒸着層上に、オーバーコート層用塗工液を塗工し、乾燥して、オーバーコート層を形成する工程とを含むことが好ましい。
水性媒体を用いた分散液に好適な熱可塑性樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよく、例えば、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アクリル系樹脂、アイオノマー系樹脂、マレイン酸系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
より具体的には、アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、そのアルキルエステルまたはスチレン等とをモノマー成分として共重合したアクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸−マレイン酸樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが例示される。
アイオノマー系樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−メタクリル酸アイオノマーが好ましい。ここで、アイオノマーとは、高分子を陽イオンで中和したものであり、陽イオンとしては、金属イオンの他、アンモニウムイオン(NH4 +)、有機アンモニウムイオンが例示される。金属イオンとしては、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)等の遷移金属イオン等が例示される。これらの中でも、入手容易性等の観点から、金属イオンとしては、ナトリウムイオンが好ましい。
これらの中でも、塗工液の安定性、塗工層の耐溶媒性の観点から、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アイオノマー系樹脂、アクリル系樹脂、およびマレイン酸系樹脂から選択される少なくとも1つが好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アイオノマー系樹脂、アクリル系樹脂、およびマレイン酸系樹脂から選択される少なくとも1つがより好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アイオノマー系樹脂、およびアクリル系樹脂から選択される少なくとも1つがさらに好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、およびアイオノマー系樹脂から選択される少なくとも1つがよりさらに好ましい。
(厚さ)
本実施形態の蒸着紙の厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、そして、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。なお、蒸着紙の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
本実施形態の蒸着紙の23℃、50%RHにおける酸素透過度は、1.0mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、0.5mL/(m2・day・atm)以下であることがより好ましい(下限:0mL/(m2・day・atm))。なお、蒸着紙の酸素透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
本実施形態の蒸着紙の40℃、90%RHにおける水蒸気透過度は、1.0g/(m2・day)以下であることが好ましく、0.7g/(m2・day)以下であることがより好ましい(下限:0g/(m2・day))。なお、蒸着紙の水蒸気透過度は、実施例に記載された方法により測定される。
本実施形態の蒸着紙は、ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であることが好ましい。上記範囲内であれば、バリア包装としての適性に優れる。ヒートシール剥離強度の下限は、特に限定されないが、例えば20N/15mm以下である。
カオリン(イメリス社製Contour Xtreme、アスペクト比33、平均粒子径d50:0.26μm)80質量部と、スチレン−アクリル系樹脂バインダー(BASF社製JONCRYL HSL−9012)20質量部(固形分)と、を混合し、クレーコート層用塗布液を調製した。片艶紙(広葉樹材比率100%、ステキヒトサイズ度9秒、坪量50g/m2、厚さ60μm、密度0.83g/cm3、王研式平滑度430秒)の艶面に上記クレーコート層用塗布液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、クレーコート層(12g/m2、厚さ4.6μm)を形成した。次に、上記クレーコート層上に、25μm厚の酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m2・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学製タケラックWPB−341:ガラス転移温度130℃、固形分濃度30%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、樹脂層(2g/m2、厚さ2μm)を形成し、蒸着紙用原紙(厚さ67μm)を得た。
樹脂層の塗工量を1g/m2(厚さ1μm)としたこと以外は実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
ポリエステル系樹脂バインダーの水性分散液(ユニチカ株式会社製エリーテルKT−8803:ガラス転移温度65℃、固形分濃度30%、飽和共重合ポリエステル樹脂)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.15質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m2、厚さ2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
エチレン−アクリル酸共重合体(住友精化株式会社製ザイクセンAC、ガラス転移温度80℃以下、固形分濃度29質量%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.145質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m2、厚さ2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
スチレン−アクリル系樹脂(BASF社製JONCRYL HSL−9012、ガラス転移温度5℃以下、固形分濃度40質量%)100質量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−903)0.20質量部を混合して調製した樹脂層用塗工液を用いて樹脂層(2g/m2、厚さ2μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
樹脂層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、蒸着用原紙を得た。
片艶紙のザラ面に塗工したこと以外は、実施例3と同様にして、蒸着紙用原紙を得た。
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙について、以下の評価を行った。
JIS K 6768:1999に準拠して、濡れ試薬(関東化学株式会社製ぬれ張力試験用混合液)を用いて、樹脂層表面の濡れ張力を測定した。
Lorentzen&Wettre社製プリント・サーフ表面粗さ試験機を用いて、JIS P 8151:2004に準拠して、樹脂層表面のプリント・サーフ表面粗さを測定した。
蒸着用原紙の樹脂層の一部を削り出し、JIS K 7121:1987に準拠して、ガラス転移温度を測定した。当該ガラス転移温度を、樹脂層に含まれる樹脂のガラス転移温度として、表1に記載した。
実施例および比較例で得られた蒸着紙用原紙の樹脂層上に、アルミニウム蒸着層(厚さ50nm)を形成した。上記アルミニウム蒸着層上に、25μm厚シートの酸素透過度(23℃、50%RH)が2.0mL/(m2・day・atm)であるポリウレタン系樹脂バインダーの水性分散液(三井化学株式会社製、タケラックWPB−341)をメイヤーバー塗工し、120℃で1分乾燥して、オーバーコート層(0.5g/m2、厚さ:0.5μm)を形成した。さらにオーバーコート層の上にエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液(有効分29.2質量%、ザイクセンAC、アクリル酸の共重合比率20モル%、融点:95℃、住友精化株式会社製)を有効分が20質量%となるように水で希釈し、メイヤーバー塗工した後に120℃で1分間乾燥して、ヒートシール層(5μm)を形成し、蒸着紙を得た。なお、樹脂層およびオーバーコート層に使用したポリウレタン系樹脂について、1H−NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、50モル%以上であった。
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/22)を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件にて、紙積層体の酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度
90%±2%)に準拠して、紙積層体のオーバーコート層または蒸着紙の蒸着層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
1組の蒸着紙を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP−701−B)を用いて、160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。
Claims (15)
- 紙基材の少なくとも一方の面にクレーコート層および樹脂層をこの順に有する、蒸着層を蒸着により形成するための蒸着紙用原紙であって、
前記樹脂層表面は、JIS K 6768:1999に準拠して測定される濡れ張力が50mN/m以上であり、かつ、JIS P 8151:2004に準拠して測定されるプリント・サーフ表面粗さが2.5μm以下である、蒸着紙用原紙。 - 前記樹脂層はガラス転移温度が50℃以上である樹脂を含む、請求項1に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記樹脂層が水懸濁性高分子を含む、請求項1または2に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記樹脂層に含まれる水懸濁性高分子が、ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m2・day・atm)以下である、請求項4に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項4または5に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上である、請求項4〜6のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 前記クレーコート層が、無機顔料およびバインダーを含み、前記無機顔料は、アスペクト比が50以下であり、平均粒子径が5μm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 前記無機顔料がカオリンである、請求項8に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記クレーコート層に含まれるバインダーが、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合、ポリ乳酸からなる群より選ばれる1種以上である、請求項8または9に記載の蒸着紙用原紙。
- 前記クレーコート層および樹脂層は、水性媒体を用いて形成されてなる、請求項1〜10のいずれかに記載の蒸着紙用原紙。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の蒸着紙用原紙の前記樹脂層上に蒸着層を有する、蒸着紙。
- 前記蒸着層上にポリウレタン系樹脂を含むオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層に含まれるポリウレタン系樹脂が、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項12に記載の蒸着紙。
- 前記オーバーコート層上に熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を有し、前記ヒートシール層同士を160℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールし、試験片が15mm幅で、引張速度300mm/minでT字剥離したときの最大荷重ヒートシール剥離強度が2N/15mm以上である、請求項13に記載の蒸着紙。
- 23℃、50%RHにおける酸素透過度が1.0mL/(m2・day・atm)以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1.0g/(m2・day)以下である、請求項12〜14のいずれかに記載の蒸着紙。
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