JP7338574B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents
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Description
以下、本実施形態のガスバリア性積層体を構成する各層について説明する。
本実施形態に用いられる紙支持体は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であれば特に制限はない。具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層である。水蒸気バリア層は、紙支持体の少なくとも一方の面上に形成された層であり、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有している。
層状無機化合物の形態は、平板状である。層状無機化合物とカチオン性樹脂とアニオン性バインダーとの混合溶液を作製し、紙支持体上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。水蒸気バリア層内においては、平板状の層状無機化合物が紙支持体の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、平面方向では層状無機化合物が存在していない面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、厚さ方向では平板状の層状無機化合物が紙支持体平面に対して平行に配列して存在するため、層中の水蒸気は層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
閾値=(最大輝度-最小輝度)×0.4+最小輝度 ・・・ (1)
白色部は、層状無機化合物が凝集している部分であり、輝度が大きくなる部分を意味している。一方、黒色部は、層状無機化合物が凝集せずに分散している部分または空隙部分であり、輝度が小さくなる部分を意味している。
二値化処理後の各画像において、下記式(2)に基づいて、層状無機化合物の均一分散率(%)を算出する。
均一分散率(%)=(黒色部の面積/画像の全面積)×100 ・・・ (2)
尚、各ガスバリア性積層体の均一分散率の数値は、各ガスバリア性積層体毎に、5箇所の画像から得られた均一分散率の数値の平均値として求められる。
尚、各ガスバリア性積層体の輝度の標準偏差は、各ガスバリア性積層体毎に、5箇所の画像から得られた輝度の標準偏差の平均値として求められる。
本発明者らは、層状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上することを見出した。
本発明者らは、さらに、バインダーがアニオン性を示す方が、水蒸気バリア性がより向上することも見出した。前記したように、層状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、カチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層である。ガスバリア層は、紙支持体の一方の面上に形成された層であり、水溶性高分子を含有することが好ましい。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
(製造方法)
ガスバリア性積層体は、紙支持体上に、まず水蒸気バリア層形成用塗工液を塗工して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層形成用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することにより、製造することができる。各層は、塗工液を逐次塗工および乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。
ガスバリア性積層体は、紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層および必要により紙支持体の一方の面上にガスバリア層を有しているが、さらに、当該ガスバリア性積層体の少なくとも一方の最外層にシーラント層を形成してもよい。すなわち、シーラント層は、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成した側の当該ガスバリア層の上に形成してもよいし、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成していない側の紙支持体の上に形成してもよいし、両方の上に形成してもよい。
JIS-Z-0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃,90%±2%RH)で、水蒸気バリア層を内側にして測定した。なお、水蒸気透過度の基準としては、50g/m2・24h以下であれば、水蒸気バリア層として実用性がある。
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、23℃,50%RH条件にて測定した。なお、酸素透過度の基準として、10cc/m2・24h以下であれば、ガスバリア層として実用性がある。
(1)紙支持体
晒クラフト紙:坪量50g/m2、厚さ70μm
(2)層状無機化合物
マイカ:膨潤性マイカ、粒子径6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分6%、製品名:NTO-05、トピー工業社製
カオリン:エンジニアードカオリン、粒子径9.0μm、アスペクト比80~100、厚さ約100nm、固形分100%、製品名:バリサーフHX、イメリスミネラルズ社製
(3)カチオン性樹脂
ポリアミド系樹脂:固形分2.5%、製品名:W4027、星光PMC社製、表面電荷3.3meq/g
(4)アニオン性バインダー
オレフィン・不飽和カルボン酸系樹脂:エチレン・アクリル酸共重合体の水系エマルジョン、固形分29.0%、製品名:ザイクセンAC、住友精化株式会社製
スチレン・アクリル系共重合体:スチレン・アクリル系樹脂の水系エマルジョン、固形分53.8%、製品名:ハービルC-3、第一塗料製造所製
(5)水溶性高分子
エチレン共重合ポリビニルアルコール:製品名:エクセバールAQ4104、クラレ社製
固形分換算で層状無機化合物(エンジニアードカオリン:バリサーフHX)の50%水分散液100部と、アニオン性バインダーとしてスチレン・アクリル系樹脂の水系エマルジョン(ハービルC-3)100部とを、カチオン性樹脂としてポリアミド系樹脂(W4027)の2部に加え、コーレス分散機で混合撹拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度40%とし、水蒸気バリア層の塗工液とした。
水溶性高分子としてエチレン共重合ポリビニルアルコール(エクセバールAQ4104)の固形分濃度10%水溶液を調製し、ガスバリア層の塗工液とした。
固形分換算で層状無機化合物の水分散液(膨潤性マイカ:NTO-05)5部と、アニオン性バインダーとしてエチレン・アクリル酸共重合体の水系エマルジョン(ザイクセンAC)100部とを、カチオン性樹脂としてポリアミド系樹脂(W4027)の1部に加え、コーレス分散機で混合撹拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度20%とし、十分な量である水を加えた水蒸気バリア層の塗工液とした。
水溶性高分子としてエチレン共重合ポリビニルアルコール(エクセバールAQ4104)の固形分濃度10%水溶液を調製し、ガスバリア層の塗工液とした。
固形分換算で層状無機化合物(エンジニアードカオリン:バリサーフHX)の50%水分散液100部と、アニオン性バインダーとしてエチレン・アクリル酸共重合体の水系エマルジョン(ザイクセンAC)100部とを、カチオン性樹脂としてポリアミド系樹脂(W4027)の1部に加え、コーレス分散機で混合撹拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度40%とし、水蒸気バリア層の塗工液とした。
水溶性高分子としてエチレン共重合ポリビニルアルコール(エクセバールAQ4104)の固形分濃度10%水溶液を調製し、ガスバリア層の塗工液とした。
比較例1として、水蒸気バリア層の層状無機化合物としてカオリンを用いた市販の従来タイプのガスバリア紙を用いた。
ガスバリア性積層体のサンプルをエポキシ樹脂に包埋して、エポキシ樹脂を硬化させた。ミクロトームを用いて、エポキシ樹脂に包埋されたガスバリア性積層体を、積層体表面と直角方向にスライスして、ガスバリア性積層体の断面を露出させた薄片を得た。走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製、S-3600)を用いて、当該薄片を観察し、ガスバリア性積層体の拡大断面写真(2000倍)を撮影した。
ガスバリア性積層体の拡大断面写真の水蒸気バリア層の断面部分から、ランダムに5箇所の5μm四方の画像を得た。当該各画像について、画像解析ソフト(アイ・スペック社製、IOMate2007)を用いて、画像の全面積を12万個の微小領域に均等に分割して、すべての微小領域の輝度を測定した。それらの中で、最大の輝度を示した微小領域の輝度を最大輝度とし、最小の輝度を示した微小領域の輝度を最小輝度とした。下記式(1)に基づいて、各画像について閾値を算出した。
閾値=(最大輝度-最小輝度)×0.4+最小輝度 ・・・ (1)
前記個々の画像に対して、各画像毎に得られた閾値を用いて、当該閾値よりも輝度が大きい領域を白色、当該閾値よりも輝度が小さい領域を黒色として、二値化処理(モノクロ化処理)を施した。
二値化処理後の各画像において、下記式(2)に基づいて、層状無機化合物の均一分散率(%)を算出した。
均一分散率(%)=(黒色部の面積/画像の全面積)×100 ・・・ (2)
各ガスバリア性積層体の均一分散率の数値は、各ガスバリア性積層体毎に、5箇所の画像から得られた均一分散率の数値の平均値として求めた。
各ガスバリア性積層体の水蒸気バリア層の断面部分から得られた5箇所の各画像について、画像解析ソフト(アイ・スペック社製、IOMate2007)を用いて、画像の全面積を12万個の微小領域に均等に分割して、すべての微小領域の輝度を測定した。各画像毎に得られた12万個の微小領域の輝度のデータについて、輝度の標準偏差を算出した。
各ガスバリア性積層体の輝度の標準偏差は、各ガスバリア性積層体毎に、5箇所の画像から得られた輝度の標準偏差の平均値として求めた。
実施例1~3および比較例1の均一分散率、標準偏差の評価結果を表2に示した。
実施例3は、均一分散率(平均値)が20%以下であり、標準偏差(平均値)が20以上であり、また図2(c)の画像の均一性においても、実施例1および実施例2に比べて層状無機化合物の均一分散性においてやや劣るものの、水蒸気バリア性および酸素バリア性において実用上問題ないものであった。
比較例1は、均一分散率が小さな値であり、また図2(d)の画像の均一性も良好ではなく、層状無機化合物の均一分散性において劣っていた。
Claims (2)
- 紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層を有し、前記水蒸気バリア層が層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有するガスバリア性積層体の評価方法であって、
前記水蒸気バリア層断面における前記層状無機化合物の均一分散率が15%以上であると、水蒸気バリア性に優れると評価することを有し、
前記均一分散率は、前記水蒸気バリア層断面の二値化処理を施したSEM画像において閾値よりも輝度が小さい黒色部の面積と前記SEM画像の全面積とに基づいて「(前記黒色部の面積/前記SEM画像の全面積)×100」で算出される値であり、
前記閾値は、前記SEM画像における最大輝度と最小輝度とに基づいて「(前記最大輝度-前記最小輝度)×0.4+前記最小輝度」で算出される値である、ガスバリア性積層体の評価方法。 - 前記水蒸気バリア層断面における前記層状無機化合物の輝度の標準偏差が25以下であると、水蒸気バリア性に優れると評価することを有する、請求項1に記載のガスバリア性積層体の評価方法。
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