JP2020179637A - バリア性積層体 - Google Patents

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泰友 野一色
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正啓 鶴原
友史 磯崎
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友史 磯崎
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Abstract

【課題】紙を基材とし、水蒸気バリア性、ガスバリア性および隠蔽性に優れたバリア性積層体を提供する。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有するバリア性積層体であって、前記紙基材は、二酸化チタンを3〜30質量%含有し、前記水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有し、前記層状無機化合物は、厚さが200nm以下、アスペクト比が50以上であり、前記ガスバリア層は、水溶性高分子を含有し、不透明度が80%以上であることを特徴とするバリア性積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、紙を基材とするバリア性積層体に関する。
紙を基材とし、水蒸気バリア性やガスバリア性(特に、酸素バリア性)を有する包装材料は、食品、医療品、電子部品等の包装用として、従来から用いられてきている。紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、合成樹脂フィルムや金属箔を紙基材に積層する方法が一般的である。パルプ繊維のリサイクルという観点からは、合成樹脂フィルム等を用いない構成が望ましい。
また、包装材料には、内部の内容物を外部から認識できないように、光の透過を隠蔽する機能が求められる。さらに、包装材料には、光の照射によって内容物が劣化しないように、光の透過を遮断して内部を保護する機能も求められる。
従来から、紙を基材としたバリア性材料の開発が進められている。例えば、特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料であって、前記水蒸気バリア層が水蒸気バリア性樹脂及び撥水剤を含有し、前記ガスバリア層が水溶性高分子及び界面活性剤を含有する紙製バリア材料が開示されている。
特許第6234654号公報
しかしながら、特許文献1に記載された紙製バリア材料は、隠蔽性を十分に有していないものである。また、水蒸気バリア層が撥水剤を含有するため、水蒸気バリア層上にガスバリア層を形成する際に、ガスバリア層塗工液を均一に塗工することが困難となる懸念を有するものであった。さらに、紙基材に樹脂を塗工または含浸することによって、紙基材表面の空隙が埋まることから、透明性を高めてしまうおそれがあった。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、紙を基材とし、水蒸気バリア性、ガスバリア性および隠蔽性に優れたバリア性積層体を提供することである。
本発明者らは、積層体を構成する材料について検討を加えたところ、紙基材に所定量の二酸化チタンを含有させること、当該紙基材上に層状無機化合物を含有した水蒸気バリア層を積層することが隠蔽性に有効であることを見出した。また、水蒸気バリア層に特定の形状の層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有させることが水蒸気バリア性に有効であることを見出した。本発明はこのような知見を踏まえて完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、以下のような構成を有している。
(1)紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有するバリア性積層体であって、前記紙基材は、二酸化チタンを3〜30質量%含有し、前記水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有し、前記層状無機化合物は、厚さが200nm以下、アスペクト比が50以上であり、前記ガスバリア層は、水溶性高分子を含有し、不透明度が80%以上であることを特徴とするバリア性積層体。
(2)前記水蒸気バリア層中の層状無機化合物の含有量が、前記水蒸気バリア層の全固形分中0.1〜80質量%である前記(1)に記載のバリア性積層体。
(3)透湿度が、50g/m・24h・atm以下である前記(1)または前記(2)に記載のバリア性積層体。
(4)前記二酸化チタンの結晶型が、ルチル型である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(5)前記紙基材の白色度が、50%を超える前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(6)酸素透過度が、10cc/m/24h/atm以下である前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(7)前記アニオン性バインダーとして、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体のうちいずれか1種以上を含有する前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(8)前記カチオン性樹脂の表面電荷が、0.1〜10meq/gである前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(9)前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(10)前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物として、マイカ、ベントナイトおよびカオリンのうちいずれか1種以上を含有する前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(11)少なくとも一方の最外層にシーラント層を有する前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(12)包装用材料である前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
本発明のバリア性積層体は、水蒸気バリア性、ガスバリア性および隠蔽性に優れている。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有している。紙基材の片面のみに水蒸気バリア層およびガスバリア層を設けてもよいし、紙基材の両面に水蒸気バリア層およびガスバリア層を設けてもよい。
以下、本実施形態のバリア性積層体を構成する各層について説明する。
[紙基材]
本実施形態の紙基材においては、木材パルプを主成分とする。ここで、木材パルプが主成分とは、紙基材のうち木材パルプが50質量%以上であることを意味する。紙基材における木材パルプの含有割合は50〜99.9質量%であることが好ましく、70〜99.5質量%であることがより好ましく、80〜99質量%であることがさらに好ましい。
紙基材に使用される木材パルプは、特に限定されず、製紙用として使用されるあらゆる木材パルプが使用できる。木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプ、ストーングランドパルプ(GP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の未晒、半晒、あるいは晒パルプ、亜硫酸パルプ、古紙パルプ等が挙げられる。紙基材の地合の均一性を考慮すると、LBKPの比率が多い方が好ましく、例えば、LBKPとNBKPの混合比率LBKP/NBKPは、75/25〜100/0(質量%)とすることができる。また、必要に応じて合成繊維や非木材繊維などを木材パルプに配合することが可能である。
木材パルプのフリーネス(濾水度)は、150〜500mlCSFであることが好ましい。木材パルプのフリーネスがこの範囲にあると、高い紙層間強度を発現させることができる。ここで、フリーネスとは、JIS P8121−2:2012によるカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness)のことである。フリーネスを調製するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙基材は、二酸化チタンを含有することによって、隠蔽性(不透明度)に優れた紙となる。二酸化チタンを含有した紙基材は、二酸化チタン粒子と内添剤を添加したパルプスラリーを抄紙することにより得ることができる。二酸化チタンを含有した紙基材を、以下、チタン紙と記載することがある。
チタン紙の白色度は、紙基材表面の光散乱によって隠蔽性を高める観点から、50%を超えることが好ましく、80%を超えることがより好ましい。チタン紙の白色度は、JIS Z 8715:1999に準じて測定される。
チタン紙中の二酸化チタンの含有量は、隠蔽性、白色度、バリア性等の観点から、チタン紙の全質量に対して3〜30質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。
二酸化チタンには結晶型としてアナターゼ型とルチル型があり、どちらの結晶型の二酸化チタンも使用することができる。包装用材料とした時の耐光性や安定性の観点からルチル型が好ましい。
チタン紙に用いられる二酸化チタンの平均粒径は、隠蔽性やバリア性の観点から、5〜500nmであることが好ましく、10〜400nmであることがより好ましく、20〜300nmであることがさらに好ましい。二酸化チタン粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所製、LA-300等)によって測定されるメディアン径として求めることができる。
チタン紙には、必要に応じて、二酸化チタン以外の填料を適宜添加してもよい。二酸化チタン以外の填料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等を例示することができる。
チタン紙中にはパルプや填料の他に、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、濾水性向上剤、pH調整剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、染料・顔料等の公知の抄紙用内添剤を必要に応じて添加することができる。サイズ剤としては、例えば、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。
チタン紙の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/mであることが好ましく、30〜320g/mがより好ましい。
チタン紙の抄紙においては、公知の湿式抄紙機、例えば長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を適宜選択して使用することができる。次に、抄紙機によって形成された紙層をフェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させる。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られたチタン紙に、カレンダーによる表面処理を施して厚みやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
[水蒸気バリア層]
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層であり、紙基材の面上に積層されている。水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有している。
(層状無機化合物)
層状無機化合物の形態は、平板状である。層状無機化合物とバインダーとの混合溶液を作成し、紙基材上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。水蒸気バリア層内においては、平板状の層状無機化合物が紙基材の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、平面方向では層状無機化合物が存在していない面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、厚さ方向では平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に配列して存在するため、層中の水蒸気は層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
層状無機化合物は、厚さが200nm以下である。ここで、層状無機化合物の厚さとは、水蒸気バリア層の断面の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、その平均厚さである。層状無機化合物の厚さは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。層状無機化合物の平均厚さが小さい方が、水蒸気バリア層中における層状無機化合物の積層数が大きくなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。
層状無機化合物は、平均長さが1μm〜100μmであることが好ましい。平均長さが1μm以上であると、層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列し易い。また、平均長さが100μm以下であると層状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出する懸念が少ない。
層状無機化合物は、アスペクト比が50以上である。アスペクト比が50以上であると、所定の透湿度を達成することが可能となる。層状無機化合物のアスペクト比は、80以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上が特に好ましい。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減させることができる。アスペクト比の上限は特に限定されず、塗工液の粘度の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、層状無機化合物の長さをその平均厚さで除した値の平均値である。
層状無機化合物の具体例としては、雲母族、脆雲母族等のマイカ、ベントナイト、カオリナイト(カオリン鉱物)、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどが挙げられる。
これらの中でも特に、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイトおよびカオリンのうちいずれか1種以上を含有することが好ましく、マイカまたはベントナイトがより好ましい。マイカの具体例としては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトの具体例としては、モンモリロナイトが挙げられる。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。一方、層状無機化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、層状無機化合物の含有量を低減させることができる。また、水蒸気バリア層の強度を高めて、層状無機化合物の水蒸気バリア層からの脱落を抑えることができる。
(カチオン性樹脂)
水蒸気バリア層は、カチオン性樹脂を含有する。水蒸気バリア層はカチオン性樹脂を含有することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する。その理由として、以下のように考えている。
(1)層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電し易いため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液は粘度が非常に高くなる。
(2)一方、カードハウス構造は攪拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
(3)層状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊される。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層し易くなり、水蒸気バリア性の向上につながる。
カチオン性樹脂の具体例としては、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。
カチオン性樹脂は、表面電荷が0.1〜10meq/gであることが好ましく、0.1〜5meq/gであることがより好ましい。カチオン性樹脂の表面電荷が前記範囲内であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、後記するアニオン性バインダーとも適度に共存することができる。なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定する。
試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD−04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
水蒸気バリア層におけるカチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される層状無機化合物とアニオン性バインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、バリア性を向上させる観点から、層状無機化合物100質量部に対して、1〜300質量部が好ましく、1〜250質量部がより好ましく、10〜150質量部がさらに好ましく、20〜150質量部が特に好ましく、20〜100質量部が最も好ましい。
また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層のアニオン性バインダー100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
(アニオン性バインダー)
水蒸気バリア層におけるバインダーは、アニオン性であることにより、水蒸気バリア性がより向上する。前記したように、層状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、カチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
アニオン性のバインダーとしては、カルボン酸基を含む単量体で変性されたバインダーが好ましい。アニオン性バインダーの骨格となるポリマーとしては、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体、メタクリレート・ブタジエン系共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン系共重合体、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、アクリルエステル系重合体などが挙げられる。これらの中では、耐水性が良好で、伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいことから、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体のうちいずれか1種以上を含有することが好ましい。また、これらの中では、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体が最も好ましい。
スチレン・ブタジエン系共重合体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、また共役ジエン化合物としては1,3−ブタジエンが好適である。
スチレン・アクリル系共重合体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。芳香族ビニル化合物としてはスチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン、とりわけ、エチレン、プロピレン等のα-オレフィンと、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体又はその塩、およびこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合体である。オレフィンとしては、α-オレフィン、とりわけエチレンなどが好適であり、また不飽和カルボン酸単量体、不飽和スルホン酸単量体又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などが好適である。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、例えばエチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20%、住友精化株式会社製)として市販されており、容易に入手し利用することができる。
共重合可能なその他の化合物としては、具体的に、シアノ基含有エチレン性不飽和化合物、エチレン性不飽和酸のグリシジルエーテル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系化合物などが挙げられる。
アニオン性バインダーは、上記の骨格となるポリマーにカルボン酸基を含む単量体を共重合して、変性させることにより得ることができる。カルボン酸基を含む単量体の共重合比率は、1〜50mol%であることが好ましい。
アニオン性バインダーの重量平均分子量は、塗工液粘度の観点から、1万〜1000万が好ましく、10万〜500万がより好ましい。
アニオン性バインダーの含有割合は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。一方、アニオン性バインダーの含有割合は、90質量%以下が好ましい。
水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダー以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。また、水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1〜30g/mであることが好ましく、3〜20g/mであることがより好ましい。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層であり、水蒸気バリア層の上に積層されている。ガスバリア層は、水溶性高分子を含有している。
(水溶性高分子)
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
これらの中でも、ガスバリア性がより優れていることから、完全ケン化もしくは部分ケン化したポリビニルアルコール、または変性ポリビニルアルコールが好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
水溶性高分子の含有量は、ガスバリア層の全固形分中50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。
ガスバリア層には、水蒸気バリア層と同様に、前記した層状無機化合物を含有させてもよい。層状無機化合物をガスバリア層に含有させる場合、層状無機化合物の含有量は、特に限定されないが、ガスバリア層の水溶性高分子100質量部に対して、1〜20質量部程度が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。層状無機化合物としては、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイトおよびカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ガスバリア層に含有させる層状無機化合物は、水蒸気バリア層に含有させる層状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
ガスバリア層は、水溶性高分子と層状無機化合物以外に、必要に応じて適宜、顔料、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
ガスバリア層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。また、ガスバリア層の塗工量は、固形分として、0.1〜10g/mであることが好ましく、0.5〜5g/mであることがより好ましい。
[バリア性積層体]
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有している。ガスバリア層は比較的薄い層であるため、紙基材上に直接形成するよりは、水蒸気バリア層の平坦な表面上に形成する方が膜が均一となり、水溶性高分子が本来有するガスバリア機能を効果的に発揮することができる。また、上記したように、水蒸気バリア層中には、平板状の層状無機化合物が紙基材の平面とほぼ平行に積層した状態に配列していることによって、水蒸気の透過を物理的に抑制するだけでなく、酸素等のガスの透過も抑制することができる。そのため、水蒸気バリア層の上にガスバリア層を形成することにより、酸素等に対するガスバリア性能をより効果的に向上させることできる。
バリア性積層体は、ガスバリア性を有する包装材料としての観点から、酸素透過度が10cc/m/24h/atm以下であることが好ましい。また、バリア性積層体は、水蒸気バリア性を有する包装材料としての観点から、透湿度が50g/m・24h・atm以下であることが好ましい。透湿度は、JIS Z 0208に準じて測定することができる。
本実施形態では、バリア性積層体の隠蔽性の尺度として、不透明度を用いる。不透明度は、JIS P 8149:2000に準じて測定される。バリア性積層体は、不透明度が80%以上である。また、不透明度は90%以上であることが好ましい。上記したように、紙基材は二酸化チタンを3〜30質量%含有し、水蒸気バリア層は層状無機化合物を含有している。これらの構成により、バリア性積層体の不透明度は80%以上の大きい数値となり、隠蔽性に優れ、包装用材料として有用なものである。
(バリア性積層体の製造方法)
バリア性積層体は、紙基材上に、まず水蒸気バリア層形成用塗工液を塗工して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層形成用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することにより、製造することができる。各層は、塗工液を逐次塗工および乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。
塗工液の溶媒としては、特に制限はなく、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンもしくはトルエンなどの有機溶媒を用いることができる。
塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。塗工設備としては、例えば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。特に水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの塗工表面をスクレイプするコーターが層状無機化合物の配向を促すという点で好ましい。
[シーラント層]
バリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有しているが、さらに、当該バリア性積層体の少なくとも一方の最外層にシーラント層を形成してもよい。すなわち、シーラント層は、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成した側の当該ガスバリア層の上に形成してもよいし、水蒸気バリア層およびガスバリア層を形成していない側の紙基材の上に形成してもよいし、両方の上に形成してもよい。
シーラント層は、加熱や超音波で溶融し接着する層であり、バリア性積層体同士をヒートシール等により相互に結合させることができる層である。
シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などの合成樹脂を溶融押出ラミ法やドライラミ法によって積層することによって形成することができる。また、シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などの合成樹脂の乳化分散液を塗工することによって形成することもできる。
シーラント層は、生分解性樹脂を含有することが好ましい。生分解性樹脂の具体例としては、特に限定されず、例えばポリ乳酸(PLA).ポリブチレンサクシネート(PBS)ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、3−ヒドロキシブタン酸・3−ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が挙げられる。
シーラント層の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。また、シーラント層の形成量は、固形分として、1〜50g/mであることが好ましく、3〜30g/mであることがより好ましい。
本実施形態のバリア性積層体は、水蒸気バリア層に層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有していることから、水蒸気バリア層中の層状無機化合物がカードハウス構造を形成せず、均一に分散された状態で積層されるため、水蒸気バリア性に優れている。また、水蒸気バリア層の表面が平滑に形成されるため、その上のガスバリア層も均一に形成することが可能であり、ガスバリア性に優れている。
本実施形態のバリア性積層体は、上記の優れた水蒸気バリア性、ガスバリア性および隠蔽性を生かして、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明のバリア性積層体をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例・比較例に用いた原材料は以下のとおりである。
(1)紙基材
チタン紙:坪量45g/m、二酸化チタン含有量4.5質量%、王子エフテックス社製
晒クラフト紙:坪量60g/m、二酸化チタン含有量0質量%、王子マテリア社製
(2)層状無機化合物
マイカ:膨潤性マイカ、粒子径6.3μm、アスペクト比約1000、厚さ約5nm、固形分7%、製品名:NTO−05、トピー工業社製
カオリン:エンジニアードカオリン、粒子径9.0μm、アスペクト比80〜100、厚さ約100nm、固形分100%、製品名:バリサーフHX、イメリスミネラルズ社製
(3)カチオン性樹脂
変性ポリアミド系樹脂:固形分53%、製品名:SPI203(50)、田岡化学工業社製、表面電荷0.4meq/g
(4)アニオン性バインダー
オレフィン・不飽和カルボン酸系樹脂:エチレン−アクリル酸共重合体水系分散体、固形分29.3%、製品名:ザイクセンAC、住友精化社製
スチレン・ブタジエン系共重合体:酸変性SBRラテックス、固形分47.3%、製品名:LX407S12、日本ゼオン社製
スチレン・アクリル系共重合体:スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、固形分53.8%、製品名:ハービルC−3、第一塗料製造所製
(5)水溶性高分子
エチレン共重合ポリビニルアルコール:エクセバールAQ4104、クラレ社製
ポリビニルアルコール:完全ケン化型ポリビニルアルコール、製品名:ポバールPVA117、クラレ社製
(6)シーラント層
低密度ポリエチレンフィルム:LLDPEフィルム、T.U.X FCS、30μm厚、三井化学東セロ社製
ポリブチレンサクシネート:PBS、製品名:Bio PBS FZ71、三菱ケミカル社製
(実施例1)
<水蒸気バリア層用塗工液>
無機層状化合物の水分散液(膨潤性マイカ)29.3部に、攪拌しながらエチレン−アクリル酸共重合体水系分散体(ザイクセンAC)100部を加えた。これに、変性ポリアミド系樹脂(SPI203(50))を2.93部を加え、攪拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.35部を加えて攪拌した。さらに、希釈水を加え、固形分濃度24%とし、水蒸気バリア層用塗工液とした。
<ガスバリア層用塗工液>
エチレン共重合ポリビニルアルコール(エクセバールAQ4104)の10%水溶液を調整し、ガスバリア層用塗工液とした。
紙基材としてチタン紙を使用し、水蒸気バリア層用塗工液を塗工量が6g/mとなるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥した。更にその上にガスバリア層用塗工液を2g/mとなるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥して、バリア性積層体を得た。
(実施例2)
水蒸気バリア層用塗工液の塗工量を12g/mとしたこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(実施例3)
水蒸気バリア層のエチレン−アクリル酸共重合体100部を酸変性SBRラテックス(LX407S12)61.9部に変更し、ガスバリア層用塗工液をポリビニルアルコール(ポバールPVA117)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(実施例4)
水蒸気バリア層のエチレン−アクリル酸共重合体100部をスチレンアクリル系樹脂エマルジョン(ハービルC−3)54.5部に変更し、ガスバリア層用塗工液をポリビニルアルコール(ポバールPVA117)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(実施例5)
水蒸気バリア層の膨潤性マイカ29.3部をエンジニアードカオリン(バリサーフHX)の41%水溶液70.7部に変更した以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(実施例6)
シーラント層として、ドライラミネートにより厚さ30μmのLLDPEフィルムを積層したこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(実施例7)
シーラント層として、押出ラミネートによりポリブチレンサクシネートを厚さ30μmで積層したこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を得た。
(比較例1)
紙基材を晒クラフト紙とした以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
(比較例2)
水蒸気バリア層用塗工液およびガスバリア層用塗工液を塗工しなかったこと以外は実施例1と同様にして、バリア性積層体を作製した。
[評価方法]
実施例、比較例で得られたバリア性積層体を用いて、以下の各性能を評価した。シーラント層を有するバリア性積層体においては、シーラント層を形成したまま測定した。
(1)透湿度(水蒸気透過度)
JIS Z 0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)で水蒸気バリア層およびガスバリア層を内側にして測定した。なお、透湿度の判断基準としては、50g/m・24h・atm以下であれば、水蒸気バリア層として実用性があると判定した。
(2)酸素透過度
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、23℃、50%RH条件にて測定した。なお、酸素透過度の判断基準として、10cc/m・24h・atm以下であれば、ガスバリア層として実用性があると判定した。
(3)白色度
JIS Z 8715:1999に準じて、紙の白色度を測定した。白色度が50%を超えるとき、良好であると判定した。
(4)隠蔽性(不透明度)
JIS P 8149:2000に準じて、バリア性積層体の不透明度を測定した。不透明度が80%以上であれば、良好であると判定した。
実施例1〜7ならびに比較例1〜2のバリア性積層体についての評価結果を表1および表2に示した。
Figure 2020179637
表1から明らかなように、実施例1〜7のバリア性積層体は、水蒸気バリア性、ガスバリア性および隠蔽性に優れていた。一方、比較例1のバリア性積層体は、紙基材に二酸化チタンを含有しない晒クラフト紙を用いているため、隠蔽性に劣るものであった。また、比較例2のバリア性積層体は、水蒸気バリア層およびガスバリア層を有していないものであり、バリア性能に劣るものであった。

Claims (12)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層およびガスバリア層をこの順に有するバリア性積層体であって、
    前記紙基材は、二酸化チタンを3〜30質量%含有し、
    前記水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂およびアニオン性バインダーを含有し、
    前記層状無機化合物は、厚さが200nm以下、アスペクト比が50以上であり、
    前記ガスバリア層は、水溶性高分子を含有し、
    不透明度が80%以上であることを特徴とするバリア性積層体。
  2. 前記水蒸気バリア層中の層状無機化合物の含有量が、前記水蒸気バリア層の全固形分中0.1〜80質量%である請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 透湿度が、50g/m・24h・atm以下である請求項1または請求項2に記載のバリア性積層体。
  4. 前記二酸化チタンの結晶型が、ルチル型である請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記紙基材の白色度が、50%を超える請求項1〜4のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  6. 酸素透過度が、10cc/m/24h/atm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  7. 前記アニオン性バインダーとして、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体およびオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体のうちいずれか1種以上を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  8. 前記カチオン性樹脂の表面電荷が、0.1〜10meq/gである請求項1〜7のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  9. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである請求項1〜8のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  10. 前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物として、マイカ、ベントナイトおよびカオリンのうちいずれか1種以上を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  11. 少なくとも一方の最外層にシーラント層を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  12. 包装用材料である請求項1〜11のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022244712A1 (ja) * 2021-05-17 2022-11-24 株式会社カネカ 積層体、包装材料、及び容器

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