JP2005171454A - 防湿積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 古紙として再利用可能な水離解性を有する防湿積層体であって、防湿性が極めて優れる防湿積層体を提供する。
【解決手段】 紙支持体表面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を設けた防湿積層体であって、前記平板状顔料は、アスペクト比が5〜100、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Aと、アスペクト比が100〜10000、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Bを含み、平板状顔料Bのアスペクト比が、平板状顔料Aの5倍以上である防湿積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】 紙支持体表面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を設けた防湿積層体であって、前記平板状顔料は、アスペクト比が5〜100、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Aと、アスペクト比が100〜10000、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Bを含み、平板状顔料Bのアスペクト比が、平板状顔料Aの5倍以上である防湿積層体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、古紙として再利用可能な水離解性を有する防湿積層体に関するものであって、水蒸気の透過度を低減せしめた防湿積層体を提供するものである。
従来、上質紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、各種塗工紙等の巻取、及び上質紙や塗工紙の平判紙の包装には、製品の吸湿を防ぐために、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の高分子化合物を紙にラミネートして耐湿性、耐水性を付与したポリオレフィンラミネート紙(以下ポリラミ紙)を包装紙として使用していた。
しかしながら、このようなポリラミ紙は、水に離解しないため、使用後回収して古紙として再使用できないので、省資源、環境保護の観点から問題となっている。また、廃棄する方法としては焼却や埋め立てによるしかないため、環境を汚染の原因と懸念されるという問題があった。
この問題を解決するための技術の一つとして、ブタジエン系ラテックス100重量部にワックスを5〜200重量部ブレンドした配合物を塗工し防湿紙を得る技術(特許文献1)、あるいは、アクリル系エマルジョンとワックスと特定の無機顔料を含有する被覆層紙基材表面に設ける技術が提案されている(特許文献2)。
また、ワックスを用いない防湿紙としては、本発明者等が紙支持体上に平板状顔料と合成樹脂ラテックスを含む防湿層を設けた防湿積層体(特許文献3、特許文献4)を提案した。
この発明においては、それ自体は水蒸気を通さないと思われる顔料、例えば白雲母のような平板状顔料を合成樹脂ラテックスなどの重合体と混合して防湿層を形成させるものである。その防湿メカニズムは、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が防湿層表面に対して平行に配列して積層するため、防湿層中の水蒸気はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから(曲路効果)、水蒸気の透過距離が長くなり、結果として大幅に防湿性能が向上するものである。
また、ワックスを用いない防湿紙としては、本発明者等が紙支持体上に平板状顔料と合成樹脂ラテックスを含む防湿層を設けた防湿積層体(特許文献3、特許文献4)を提案した。
この発明においては、それ自体は水蒸気を通さないと思われる顔料、例えば白雲母のような平板状顔料を合成樹脂ラテックスなどの重合体と混合して防湿層を形成させるものである。その防湿メカニズムは、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が防湿層表面に対して平行に配列して積層するため、防湿層中の水蒸気はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから(曲路効果)、水蒸気の透過距離が長くなり、結果として大幅に防湿性能が向上するものである。
上記の平板状顔料を利用した防湿積層体は、ポリラミ紙に匹敵する防湿性と離解性を兼ね備えている。また、ワックスを使用していないため、滑りに起因する問題は発生しない。
また、ホットメルト樹脂塗工した防湿紙としては、第1成分として、アタクチックポリプロピレン及び/又はアモルファスポリアルファオレフィン、第2成分として、ワックス類、第3成分として、粘着付与剤の3成分からなり、第2成分であるワックス類の配合量が10〜60重量%で、かつ第1成分と第3成分との配合割合が同等又は、第1成分が優位量であることを特徴とするホットメルト組成物からなる防湿紙が提案されている(特許文献5)。
高膨潤性粘土鉱物と合成樹脂水性分散体からなる防湿性被覆組成物より形成された防湿層を有する防湿性紙(特許文献6、特許文献7)が提案されている。
また、ホットメルト樹脂塗工した防湿紙としては、第1成分として、アタクチックポリプロピレン及び/又はアモルファスポリアルファオレフィン、第2成分として、ワックス類、第3成分として、粘着付与剤の3成分からなり、第2成分であるワックス類の配合量が10〜60重量%で、かつ第1成分と第3成分との配合割合が同等又は、第1成分が優位量であることを特徴とするホットメルト組成物からなる防湿紙が提案されている(特許文献5)。
高膨潤性粘土鉱物と合成樹脂水性分散体からなる防湿性被覆組成物より形成された防湿層を有する防湿性紙(特許文献6、特許文献7)が提案されている。
しかし、このような再離解可能な防湿積層体ぶおの防湿性を向上させるには、塗工量を増大させたり、平板状顔料やワックスの配合量を増大させるなどの方法が考えられるが、コスト高になったり、折目の防湿性低下や防湿面の滑りの問題が発生するといった問題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決するものである。即ち、古紙として再利用可能な水離解性を有する防湿積層体であって、防湿性が極めて優れる防湿積層体を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するために以下の方法をとる。
即ち本発明の第1は、紙支持体表面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を設けた防湿積層体であって、前記平板状顔料は、アスペクト比が5〜100、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Aと、アスペクト比が100〜10000、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Bを含み、平板状顔料Bのアスペクト比が、平板状顔料Aの5倍以上である防湿積層体である。
即ち本発明の第1は、紙支持体表面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を設けた防湿積層体であって、前記平板状顔料は、アスペクト比が5〜100、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Aと、アスペクト比が100〜10000、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Bを含み、平板状顔料Bのアスペクト比が、平板状顔料Aの5倍以上である防湿積層体である。
本発明の第2は、平板状顔料Aと平板状顔料Bの質量比が10/1〜1000/1の範囲である本発明の第1に記載の防湿積層体である。
本発明の第3は、合成樹脂が、芳香族ビニル系重合体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系重合体、アモルファスポリオレフィン系重合体から選ばれる少なくとも一つである本発明の第1〜2のいずれかに記載の防湿積層体である。
本発明により、古紙として再利用可能な水離解性を有する防湿積層体に関するものであって、従来品と比べて防湿性を飛躍的に高めた防湿積層体を提供が可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明者等は、平板状顔料と合成樹脂を利用した防湿性積層体について、その防湿性向上のために種々の検討を行った。
その結果、平板状顔料として、アスペクト比の大きな平板状顔料を利用した場合防湿性は向上するが、それには限界があることを見出した。
例えば、アスペクト比が比較的大きな平板状顔料(アスペクト比100以上)としては、水膨潤性の雲母が一般的であるが、水膨潤性雲母を水中で十分に膨潤、壁開させるためには、膨潤性雲母を非常に低い濃度で膨潤、壁開する必要がある。また防湿性を向上させるために膨潤性雲母を多く配合すると結果として塗料全体の濃度が低下し、工業的に塗工すると極めて生産性の低い濃度となる。さらに、水膨潤性雲母の配合量を増加させると、湿度が100%状態での防湿性が急激に悪くなるといった欠点も有する。
さらに、膨潤性雲母のみで防湿層を形成すると、耐ブロッキング性に劣るといった欠点も有する。耐ブロッキング性を向上させるためには膨潤性雲母の配合量を増やす必要があるが、防湿塗料の濃度が低下し生産性が低くなる。
本発明者等は、平板状顔料と合成樹脂を利用した防湿性積層体について、その防湿性向上のために種々の検討を行った。
その結果、平板状顔料として、アスペクト比の大きな平板状顔料を利用した場合防湿性は向上するが、それには限界があることを見出した。
例えば、アスペクト比が比較的大きな平板状顔料(アスペクト比100以上)としては、水膨潤性の雲母が一般的であるが、水膨潤性雲母を水中で十分に膨潤、壁開させるためには、膨潤性雲母を非常に低い濃度で膨潤、壁開する必要がある。また防湿性を向上させるために膨潤性雲母を多く配合すると結果として塗料全体の濃度が低下し、工業的に塗工すると極めて生産性の低い濃度となる。さらに、水膨潤性雲母の配合量を増加させると、湿度が100%状態での防湿性が急激に悪くなるといった欠点も有する。
さらに、膨潤性雲母のみで防湿層を形成すると、耐ブロッキング性に劣るといった欠点も有する。耐ブロッキング性を向上させるためには膨潤性雲母の配合量を増やす必要があるが、防湿塗料の濃度が低下し生産性が低くなる。
また、アスペクト比が比較的小さな平板状顔料(アスペクト比100未満)としては、白雲母や金雲母が一般的であるが、合成樹脂にそのような平板状顔料を多く配合した場合、合成樹脂100質量部に対して140質量部以上添加すると、急激に防湿性が低下する。
しかし、さらに検討したところ、アスペクト比が互いに異なる2種類の平板状顔料Aと平板状顔料Bを組み合わせて合成樹脂と配合することによって、相乗効果以上の効果が発揮されることを見出した。
即ち、平板状顔料Aのアスペクト比が5〜100、平板状顔料Bのアスペクト比が100〜10000のであって、なおかつ平板状顔料Bのアスペクト比が平板状顔料Aのアスペクト比の5倍以上という関係にあるとき、防湿層の防湿性が著しく向上することを見出した。
この理由は、アスペクト比が極端に異なる2種類の平板状顔料が共存すると、防湿塗料が乾燥中に、平板状顔料同士が相互作用を及ぼすことによって、塗工面に対してより平行に配列する効果が発揮されるためであると考えられる。
また、アスペクト比が近い平板状顔料は塗料中でスタック(平板状顔料が重なる現象)しやすく、結果として平板状顔料が防湿層中で重なったままの状態で防湿層が形成され、防湿性が低下することがある。しかし、アスペクト比が極端に違う平板状顔料が存在すると、平板状顔料がスタックするのを防止しているとも考えられる。
即ち、平板状顔料Aのアスペクト比が5〜100、平板状顔料Bのアスペクト比が100〜10000のであって、なおかつ平板状顔料Bのアスペクト比が平板状顔料Aのアスペクト比の5倍以上という関係にあるとき、防湿層の防湿性が著しく向上することを見出した。
この理由は、アスペクト比が極端に異なる2種類の平板状顔料が共存すると、防湿塗料が乾燥中に、平板状顔料同士が相互作用を及ぼすことによって、塗工面に対してより平行に配列する効果が発揮されるためであると考えられる。
また、アスペクト比が近い平板状顔料は塗料中でスタック(平板状顔料が重なる現象)しやすく、結果として平板状顔料が防湿層中で重なったままの状態で防湿層が形成され、防湿性が低下することがある。しかし、アスペクト比が極端に違う平板状顔料が存在すると、平板状顔料がスタックするのを防止しているとも考えられる。
本発明の平板状顔料A(アスペクト比5〜100)として使用可能な顔料としては、カオリナイト−蛇紋石族(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトなどのカオリン鉱物、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石、ペコラアイト、ネポーアイト、アメサイトなどの蛇紋石類縁鉱物が一例として挙げられる)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライトが一例として挙げられる)、雲母族(白雲母、パラゴナイト、イライト、金雲母、レピドライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、ベントナイト、酸性白土が一例として挙げられる)、脆雲母(マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどが一例として挙げられる)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどが一例として挙げられる)、バーミキュライト族(3八面型バーミキュライト、2八面型バーミキュライトなどが一例として挙げられる)、非膨潤性の合成マイカ類などが挙げられる。
上記平板状顔料中でも、特に、雲母族が好適に用いられる。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。
組成的にタルクに類似する合成タルク等の合成品も使用することが出来る。デラミカオリンや薄片状タルクなどを用いることも可能である。また、これら以外の顔料であっても、アスペクト比が5〜100の範囲に含まれるものであれば、本発明の平板状顔料Aとして使用可能である。
また、平板状顔料Aの粒子径は、0.1μm〜100μmであることが好ましい。0.1μm未満の場合は平板状顔料が防湿層に対して平行に配列しにくくなり防湿性が低下するという問題が発生する。また100μmを越えると防湿層から平板状顔料が突き出してしまい防湿性が低下するという問題が発生する。また、これら粒径は、防湿層の膜厚に対応したものを使用することが好ましい。例えば、膜厚が5μm〜30μmの場合、好ましくは、1μm〜60μmである。
本発明の平板状顔料B(アスペクト比100〜10000)として好適に使用できる平板状顔料としては、スメクタイト、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等が好適に用いられる。
上記の中では特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。
また、合成スメクタイトとしては、式(Na及び/又はLi)0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.0O9.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるもの、合成マイカとしては膨潤性フッ素マイカが挙げられ、特開平5−270815号公報、特開平7−187657号公報に記載の方法等により合成される。
スメクタイトは水により容易に膨潤、壁開するため、雲母族に比べるとアスペクト比の大きな平板状顔料が得易い。そのため膨潤性無機層状化合物あるいは高膨潤性粘土鉱物と呼ばれることもあるが、スメクタイト族もフィロケイ酸塩化合物の一種であり雲母族と組成的には似ている。層間のイオンがナトリウムイオンやリチウムイオンの場合は水により膨潤し易く、カリウムイオンの場合は膨潤しにくい。
膨潤性雲母の場合、5%濃度で水中に膨潤、壁開させた場合にその水溶液のpHが9以上であることが好ましい。pHが9未満の場合、膨潤、壁開が不十分であり、アスペクト比が小さな平板状顔料となり防湿性が不十分となる。
スメクタイト族の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア、スメクトン(クニミネ工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)、ラポナイト(ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(トピー工業社製)、ベンゲル(豊順洋行社製)などを挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
また、合成スメクタイトとしては、式(Na及び/又はLi)0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.0O9.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるもの、合成マイカとしては膨潤性フッ素マイカが挙げられ、特開平5−270815号公報、特開平7−187657号公報に記載の方法等により合成される。
スメクタイトは水により容易に膨潤、壁開するため、雲母族に比べるとアスペクト比の大きな平板状顔料が得易い。そのため膨潤性無機層状化合物あるいは高膨潤性粘土鉱物と呼ばれることもあるが、スメクタイト族もフィロケイ酸塩化合物の一種であり雲母族と組成的には似ている。層間のイオンがナトリウムイオンやリチウムイオンの場合は水により膨潤し易く、カリウムイオンの場合は膨潤しにくい。
膨潤性雲母の場合、5%濃度で水中に膨潤、壁開させた場合にその水溶液のpHが9以上であることが好ましい。pHが9未満の場合、膨潤、壁開が不十分であり、アスペクト比が小さな平板状顔料となり防湿性が不十分となる。
スメクタイト族の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア、スメクトン(クニミネ工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)、ラポナイト(ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(トピー工業社製)、ベンゲル(豊順洋行社製)などを挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明で平板状顔料Bとして用いられる他の平板状顔料としては、積み重なった構造やイオンで結合した平板性の高い、いわゆる無機層状化合物である。
無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、酸価グラファイトリン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化合物、ジカルコゲン化合物、層状ペロブスカイト、層状チタン酸化物、層状ニオブ酸化物、層状酸化物、層状複水酸化物などが例示される。これらはナノシートとも呼ばれる化合物で、層状の化合物を単層シート(厚さ1nm前後)に剥離して得られる化合物である。
無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、酸価グラファイトリン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化合物、ジカルコゲン化合物、層状ペロブスカイト、層状チタン酸化物、層状ニオブ酸化物、層状酸化物、層状複水酸化物などが例示される。これらはナノシートとも呼ばれる化合物で、層状の化合物を単層シート(厚さ1nm前後)に剥離して得られる化合物である。
また、本発明で使用する平板状顔料Bは、平均粒子径が20nm〜100μmの間にあるものが好適であり、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μmである。平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小さくなり防湿性向上効果が小さい。一方100μmを越えると塗工層表面から顔料が突き出し、外観不良や防湿性低下を招き好ましくない。
本発明で用いる平板状顔料A及び平板状顔料Bの平均粒子径は、いずれも水あるいは溶剤に分散させた状態で測定したものである。水あるいは溶剤に分散された平均粒子径が0.1μm以上のものは光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布測定装置において測定した値である。また、水あるいは溶剤に分散された平均粒子径が0.1μmのものについは動的光散乱法を用いて測定した値である。
また、平板状顔料の厚みは、防湿膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。
本発明でいうアスペクト比は、上記平均粒子径を防湿膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
また、平板状顔料の厚みは、防湿膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。
本発明でいうアスペクト比は、上記平均粒子径を防湿膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
アスペクト比の小さな平板状顔料Aとアスペクト比の大きな平板状顔料Bの配合比は、両者の質量比、粒子径、アスペクト比で決定される。
これらの平板状顔料Aと平板状顔料Bとの組合せで防湿性を向上させるためには、平板状顔料Bのアスペクト比が平板状顔料Aのアスペクト比の5倍以上、望ましくは20倍以上である必要がある。平板状顔料Bのアスペクト比/平板状顔料Aのアスペクト比が5未満になると防湿性向上効果が小さくなる。
これらの平板状顔料Aと平板状顔料Bとの組合せで防湿性を向上させるためには、平板状顔料Bのアスペクト比が平板状顔料Aのアスペクト比の5倍以上、望ましくは20倍以上である必要がある。平板状顔料Bのアスペクト比/平板状顔料Aのアスペクト比が5未満になると防湿性向上効果が小さくなる。
また、本発明においては、防湿性を向上させるためには、平板状顔料Aと平板状顔料Bの質量比が100/1〜1000/1の範囲であることが望ましい。
平板状顔料A/平板状顔料Bの質量比が10/1未満の場合には、平板状顔料Bの配合量が大きくなり、防湿性、特に相対湿度100%のような非常に高い湿度での防湿性が低下する恐れがある。
また、平板状顔料A/平板状顔料Bの質量比が1000/1を越える場合には、平板状顔料を組み合わせる効果がなくなり、平板状顔料Aのみの防湿性しか発揮できなくなる。
平板状顔料A/平板状顔料Bの質量比が10/1未満の場合には、平板状顔料Bの配合量が大きくなり、防湿性、特に相対湿度100%のような非常に高い湿度での防湿性が低下する恐れがある。
また、平板状顔料A/平板状顔料Bの質量比が1000/1を越える場合には、平板状顔料を組み合わせる効果がなくなり、平板状顔料Aのみの防湿性しか発揮できなくなる。
防湿層における合成樹脂と平板状顔料全体(平板状顔料A+B)の配合量比率は、質量換算で99/1〜30/70が好ましく、より好ましくは90/10〜35/65、特に好ましくは85/15〜40/60である。平板状顔料の配合量が1%未満になると、防湿性向上効果及び離解性向上効果が小さくなる。平板状顔料が70%を越えて大きくなると、平板状顔料の間を埋める樹脂が不足して、空隙やピンホールの増大を招き防湿性が悪化する。
本発明で使用できる合成樹脂とは、それ自体で成膜性があり耐水性を示すものであれば特に制限はない。耐水性の指標としては、樹脂単独の被膜を作製し(ガラス板状に合成樹脂の溶液(水溶液あるいはアルカリ性水溶液)あるいはエマルジョンなどを、乾燥後の厚さが50〜100μmになるように塗布し、110℃、5分間乾燥後、乾燥剤の入ったデシケーター中で40℃24時間乾燥させる)、その被膜を23℃の水(サンプル質量に対して100倍以上の質量の水)の中に24時間、浸漬し(攪拌子でゆっくりとかき混ぜる)、被膜を取り出して乾燥させ(乾燥条件:110℃、5分間乾燥後、乾燥剤の入ったデシケーター中で40℃24時間乾燥させる)、その質量減が10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
また、本発明の合成樹脂単独被膜の防湿性は、厚さ20μm換算で透湿度が800g/m2・24hr以下、好ましくは600g/m2・24hr以下、より好ましくは400g/m2・24hr以下である。具体的な測定方法は、上記耐水性の指標と同様に合成樹脂被膜を形成し、JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で透湿度を測定し、該合成樹脂被膜の厚さを測定し、20μm換算の透湿度を求める。この時、透湿度は厚さに反比例すると仮定する。
防湿層を形成する合成樹脂は、水性のエマルジョン(ラテックス、乳化物、マイクロエマルジョン、分散物などもエマルジョンに含まれるとする)あるいはアルカリ水に溶解させたものが好ましい。水溶性あるいは熱水可溶性(水あるいは熱水に対する溶解度が5%以上)の合成樹脂は、その単独皮膜の透湿度が上述したものよりよりはるかに大きいため好ましくない。例えばポリビニルアルコール(PVA)は水に対する溶解度が5〜30%の範囲にあるが(溶解度は分子量あるいはケン化度に依存)、その単独被膜(20μm)の透湿度は上述した条件化で1000g/m2・24hrを越えるため本発明での使用には好ましくない。
本発明で防湿層を形成する合成樹脂としては、芳香族ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和脂肪酸系単量体、αオレフィン系単量体及びその他の共重合可能な単量体の中から1種又は2種以上を乳化重合したものが挙げられる。
具体的には、芳香族ビニル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−アクリル系共重合体、αオレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られるエチレン−アクリル酸系共重合体、1種類あるいは2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体などが挙げられる。これら共重合体は他の単量体と共重合させて使用してもかまわない。
また、アタクチックポリプロピレンやアモルファスポリアルファオレフィンなどのアモルファスポリオレフィン樹脂も本発明の樹脂として好適に使用することができる。本発明の防湿層で使用できるアタクチックポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン製造時の副産物で、コストが安く、流動性及び成膜性が良く、極めて柔軟である。一般にポリプロピレンはアイソタクチックな分子配列を持つ結晶化度の高いポリマーであるが、ポリプロピレン重合工程で副生するアタクチックポリプロピレン は、アタクチックな分子配列を持つ非晶性ポリマーである。またアモルファスポリアルファオレフィンは、プロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン−1等を共重合した非晶性のオレフィン系ポリマーである。例えば宇部レキセン社製の「UBETAC APAO」として販売されている非晶性のポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらの分子量は1000〜100000程度のものが適当である。分子量が1000未満では防湿層に十分な被膜強度がなく、さらに再生紙化の乾燥工程において樹脂のにじみが発生する場合がある。また100000を越えると樹脂の流動性が悪く、均一な防湿層が形成できないため、良好な防湿性が得られない場合がある。また使用に際し、単独又は2種以上を混合して使用される。アモルファスポリオレフィンは良好な防湿性を示すが、粘性が高く再離解性が乏しいため、ワックスやロジンエステル、石油樹脂などと併用して使用した方が好ましい。
具体的には、芳香族ビニル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−アクリル系共重合体、αオレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られるエチレン−アクリル酸系共重合体、1種類あるいは2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体などが挙げられる。これら共重合体は他の単量体と共重合させて使用してもかまわない。
また、アタクチックポリプロピレンやアモルファスポリアルファオレフィンなどのアモルファスポリオレフィン樹脂も本発明の樹脂として好適に使用することができる。本発明の防湿層で使用できるアタクチックポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン製造時の副産物で、コストが安く、流動性及び成膜性が良く、極めて柔軟である。一般にポリプロピレンはアイソタクチックな分子配列を持つ結晶化度の高いポリマーであるが、ポリプロピレン重合工程で副生するアタクチックポリプロピレン は、アタクチックな分子配列を持つ非晶性ポリマーである。またアモルファスポリアルファオレフィンは、プロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン−1等を共重合した非晶性のオレフィン系ポリマーである。例えば宇部レキセン社製の「UBETAC APAO」として販売されている非晶性のポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらの分子量は1000〜100000程度のものが適当である。分子量が1000未満では防湿層に十分な被膜強度がなく、さらに再生紙化の乾燥工程において樹脂のにじみが発生する場合がある。また100000を越えると樹脂の流動性が悪く、均一な防湿層が形成できないため、良好な防湿性が得られない場合がある。また使用に際し、単独又は2種以上を混合して使用される。アモルファスポリオレフィンは良好な防湿性を示すが、粘性が高く再離解性が乏しいため、ワックスやロジンエステル、石油樹脂などと併用して使用した方が好ましい。
上記単量体について詳述する。芳香族ビニル系単量体は合成樹脂に耐水性と適度な硬さを付与させるもので、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどがあり、スチレンが好適に使用される。このような芳香族ビニル系単量体単独の重合体、あるいは芳香族ビニル系単量体と他の単量体の共重合体を本発明では芳香族ビニル系重合体と呼ぶ。
脂肪族共役ジエン系単量体は合成樹脂に柔軟性を付与させるもので、具体的には、ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好適に使用される。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体は合成樹脂に耐水性を付与させるとともに、合成樹脂の硬さやガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)を調整させるもので、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体などが挙げられる。このようなエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体単独の重合体、あるいはエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と他の単量体の共重合体を本発明ではエチレン性不飽和カルボン酸エステル系重合体と呼ぶ。
不飽和脂肪酸単量体は、合成樹脂の成膜性を向上させるとともに、共重合体の水中でのコロイドとしての安定性を高めるもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル;アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸及びその塩が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸が好適に使用される。
αオレフィン系単量体は合成樹脂に耐水性と柔軟性を付与させるもので、具体的にはエチレン、プロピレンなどが挙げられる。
上述した単量体と共重合可能な他の単量体は、合成樹脂の耐水性を高めたり、カチオン基を導入して接着性を高めたり、架橋性の官能基を導入して強度を高めたりするもので、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル; アクリル酸β-ヒドロキシエチル、アクリル酸β-ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸β-ヒドロキシエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル; アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド及びジアセトンアクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド及びその誘導体; アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル; アクロレイン及びアリルアルコール等のビニル化合物などが挙げられる。
なお、合成樹脂としては、ポリエステル系樹脂、生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリカプロラクタムなど、また、天然系生分解性樹脂も含まれる)、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂なども使用することができる。
本発明で用いる合成樹脂のガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)、ゲル分率(トルエンに対する不溶分)などには特に制限はないが、Tgは−10〜40℃、MFTは40℃以下、ゲル分率40〜99%が好ましい。Tgが−10℃より小さいと防湿面の粘着性が強くブロッキングを生じ易くなり、Tgが40℃を越えて大きくなると成膜性が低下して防湿性が悪化する。MFTが40℃より大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。ゲル分率が40%未満になるとブロッキングを生じ易くなり、また、99%を越えて大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。
本発明の防湿性紙において、その防湿層には、防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)及び平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)とともに、防湿性向上剤(c)が含まれる。防湿性向上剤(c)は、防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)と反応して、それを疎水性に変性し、又は架橋反応してこれを疎水性化し、あるいは平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(c)を被覆して、その合成樹脂(a)との接着性を高め、又はそれを疎水性化し、又は、その互に平行な積層配向を促進し、あるいは、合成樹脂(a)の粒子と及び/又は平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)との接着性を高め、又はこれらの間隙を充填するなどして、防湿層の防湿性能を向上させるものである。
本発明に用いられる防湿性向上剤は、例えば下記:尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のアルデヒド化合物、1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、架橋反応性多価金属化合物、オルガノアルコキシシラン化合物、オルガノアルコキシ金属化合物、有機アミン化合物、ポリアミド化合物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミン化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記防湿性向上剤に用いられる化合物のうち、尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物は、ホルムアルデヒドに由来するメチロール基を有し、これが、合成樹脂成分(a)中の重合体、又は共重合体と反応し、特にそのカルボキシル基、アミド基、及びヒドロキシル基、などの親水性官能基と脱水反応して、当該重合体又は共重合体分子を架橋し、これを疎水性化、水不溶化(三次元網目構造化)することができる。また、上記縮合生成物は、合成樹脂成分(a)と化学的に反応しなくても、合成樹脂成分(a)と、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子成分(b)とを安定に結着して、防湿層の防湿性能を高めることができる。
上記防湿性向上剤に用いられる炭素原子数が1〜8個のアルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、プロピルアルデヒド、プロパンジアール及びヘキサンジアールなどを包含し、これは、そのアルデヒド基において、合成樹脂成分(a)に含まれる重合体又は共重合体の前記親水性官能基と付加反応してこれを疎水性化、及び水不溶性化することができる。
上記防湿性向上剤に用いられる1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物は、例えば、ポリグリシジルエーテル化合物、及びポリアミド−エポキシ樹脂などを包含し、これは、合成樹脂成分(a)に含まれる重合体又は共重合体の前記親水性官能基と開環付加反応して、これを疎水性化及び水不溶性化することができる。また上記エポキシ化合物は、防湿層の加熱乾燥中に、合成樹脂成分(a)と、粒子成分(b)とを強固に結着し、これらの間隙を充填して、防湿層の防湿効果を向上させることができる。
本発明において、防湿性向上剤として使用される架橋反応性多価金属化合物は、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドなどを包含し、これらの化合物中の多価金属は、合成樹脂成分中の重合体又は共重合体と、特にその前記親水性官能基と配位結合し、あるいは共有結合して、これら重合体又は共重合体を疎水性化し、水不溶性化することができる。
本発明において、防湿性向上剤として用いられるオルガノアルコキシシラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物は、一般にカップリング剤として称されているものであって、無機−有機複合材料系にあっては無機成分と有機成分とを化学的に架橋結合し、あるいは両者の少なくとも一方に化学的、又は物理的に結合して、両者の親和性を高め、それによって、前記無機−有機複合材料の耐熱性、耐水性、機械的強度などを向上させるものである。本発明においては、オルガノアルコキシシラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物は、合成樹脂成分(a)と、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)との親和性、接着性を向上させて両者を密着させ、間隙の形成を防止し、それによって、防湿層の防湿性能を向上させることができる。
本発明に用いられるオルガノアルコキシシラン化合物は、その親水性部にSi原子を含むものであって、例えばビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを包含する。
また本発明に用いられるオルガノアルコキシ金属化合物は、その親水性部分に多価金属原子(例えば、Ti,Alなど)を含むものであって、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタノール、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、及びイソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどのチタネート化合物、並びに、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム化合物を包含する。
オルガノアルコキシシラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物(以下カップリング剤と記す)は、その分子構造において、Si,Ti、又はAl原子を含み、無機物質に対して高い反応性又は親和性を有する親水性部分と、有機化合物に対して高い反応性又は親和性を有する疎水性部分とを有する。この親水性部分は、Ti,Al、又はSi原子に結合したアルコキシ基を加水分解することにより形成される。
カップリング剤の親水基と無機化合物との反応は次の順で進行するといわれている。即ち(1)カップリング剤の、アルコキシ基の加水分解により形成された親水基の形成、(2)カップリング剤の親水基の脱水縮合によるオリゴマー化、(3)無機質表面の親水基又は吸着水とカップリング剤の親水基との間に水素結合の形成、(4)加熱脱水反応により、カップリング剤の親水基と無機質表面の親水基との間に共有結合の形成、である。加水分解するアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、オクチルオキシ基等が用いられる。またカップリング剤の親水基と無機化合物の反応性は、無機化合物がガラス、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、マイカなどのように表面に水酸基を有する場合に高いが、チタネートカップリング剤の場合、無機化合物が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウムであっても、高い反応性を示す。
一方、カップリング剤の疎水基部分については、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に疎水化して、合成樹脂マトリックスとの接着性を高める。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ基等の反応性有機官能基を有する場合、この官能基と合成樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、合成樹脂マトリックスとに対する接着性が高まる。従って、カップリング剤の疎水基部分の組成は、合成樹脂成分の組成に応じて選択することができる。
本発明に防湿性向上剤として用いられるカップリング剤を含む防湿層は、合成樹脂成分(a)及び平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)に、カップリング剤を混合し、得られた塗工液を、紙支持体表面に塗布し、乾燥して形成されてもよいし、あるいはカップリング剤をもって予じめ平盤状フィロケイ酸塩化合物粒の表面を処理し、この表面に固定しておいてもよい。即ち、カップリング剤の使用方法としては、インテグラルブレンド法と前処理法が知られている。インテグラルブレンド法とは、フィロケイ酸塩化合物粒子(b)と合成樹脂(a)とを含む塗工液にカップリング剤を直接添加する方法である。また前処理法とは、あらかじめフィロケイ酸塩化合物粒子表面をカップリング剤で処理する方法であり、これには乾式法と湿式法とがある。乾式法はミキサーに粉体状のフィロケイ酸塩化合物粒子を入れ、これを予備加熱後カップリング剤を添加して加温下で高速攪拌する方法であり、湿式法は水、溶剤又はこれらの混合液中にカップリング剤とフィロケイ酸塩化合物粒子を添加し高速攪拌した後乾燥して粉末を得る方法である。インテグラルブレンド法は前処理法に比べて、カップリング剤の使用効果がやゝ劣るが、フィロケイ酸塩化合物粒子の前処理という工程がないため作業性に優れている。
インテグラルブレンド法や湿式前処理法においてフィロケイ酸塩化合物粒子を水性処理系において処理する場合、カップリング剤の水溶性を高めるため、アルコキシ基として比較的疎水性の弱いメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基を用いることが好ましく、カップリング剤の疎水基部分には、親水性のあるエポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基が含有されていることが好ましい。また、カップリング剤が水に溶けにくい場合は界面活性剤を極少量併用することもある。
カップリング剤の添加量は、フィロケイ酸塩化合物粒子100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2質量部である。カップリング剤の使用量が0.1質量部未満の場合、カップリング剤によるフェロケイ酸塩化合物粒子表面の被覆が不十分となるためその効果が不十分になることがあり、またそれが5質量部を越える場合、カップリング剤の効果が飽和し、不経済になることがある。
カップリング剤で処理されたフィロケイ酸塩化合物粒子の表面の疎水性が過度に高くなって、このため水性分散液とした時増粘して塗工できなかったり、分散不良となって凝集体が発生することがある。この場合には、界面活性剤やポリアクリル酸系の分散剤やイソプロピルアルコール、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等の湿潤剤を用いて分散することができる。
本発明において、防湿性向上剤として用いられる有機アミン化合物、及びポリアミド化合物は、カチオン性を有し、これがアニオン性を示す平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)と接触すると、その軟凝集及び互に平行な積層配向を促進し、防湿層の防湿性能を向上させることができる。有機アミン化合物、及びポリアミド化合物は、合成樹脂(a)を架橋することがなく、あるいはイオン結合により架橋しているから、これらを用いて得られる防湿層は、その回収再生工程において、水と接触すると容易に紙支持体から離解し、紙支持体のパルプ化を容易にすることができる。
また本発明において、合成樹脂成分(a)に含まれる共重合体がカルボン酸基を有する場合、これが有機モノアミン、有機ポリアミン、又は有機第4級アンモニウム塩と反応して、その疎水性、又は水不溶性を高めることができる。
本発明において、防湿性向上剤として用いられる有機アミン化合物は第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、及び第4級アンモニウム塩化合物のいずれであってもよく、また、有機モノアミン及び有機ポリアミンのいずれであってもよい。さらに有機アミン化合物は、アミノ基以外の異種官能基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、ニトリル基などを有するものを包含する。このような変性有機アミン化合物としては、モノエポキシ化合物やジエポキシ化合物などのエポキシ基を有する化合物とアミン化合物の付加物、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのヒドロキシル基を有する化合物とアミン化合物の付加物、アクリルニトリルとアミン化合物のマイケル付加物、フェノール化合物とアルデヒド化合物とアミン化合物のマンニッヒ反応で得られる付加物などが挙げられる。
上記のような変性には、1)アミン化合物の有する刺激臭や皮膚刺激性などの毒性を低下させること、2)アミン化合物の粘度を低下させること、及び3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすることなどの効果がある。アミン化合物の変性の程度には、特に制限はない。
本発明に用いられる有機アミン化合物を例示すれば下記の通りである。
1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)又はモノアミンエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジアミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミンなど。
2)芳香族ポリアミン又はモノアミンm−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンジアニリン、ベンジジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−チオジアニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(o−トルイジン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリンなど。
3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン又はモノアミンメタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジアミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミンなど。
4)第2級アミンN−メチルピペラジン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホリンなど。
5)第3級アミンテトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリンなど。
6)第4級アンモニウム塩ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘキサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど。
7)ベタイン化合物、グリシン化合物、アミノ酸化合物ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど。上記有機アミン化合物の中でも、脂肪族ポリアミン、芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン、変性ポリアミンを用いることが好適である。
1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)又はモノアミンエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジアミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミンなど。
2)芳香族ポリアミン又はモノアミンm−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンジアニリン、ベンジジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−チオジアニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(o−トルイジン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリンなど。
3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン又はモノアミンメタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジアミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミンなど。
4)第2級アミンN−メチルピペラジン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホリンなど。
5)第3級アミンテトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリンなど。
6)第4級アンモニウム塩ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘキサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど。
7)ベタイン化合物、グリシン化合物、アミノ酸化合物ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど。上記有機アミン化合物の中でも、脂肪族ポリアミン、芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン、変性ポリアミンを用いることが好適である。
本発明で使用されるポリアミド化合物(ポリアミドアミン化合物とも称せられる)は、上記アミン化合物とカルボン酸基を有する化合物の脱水縮合反応により得られるものである。例えばトール油とジエチルトリアミンの反応生成物、リノレン酸の2量体とテトラエチルペンタミンの反応生成物、トリエチレンテトラミンと飽和2塩基酸(アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸)の反応生成物、重合脂肪酸とジエチルトリアミンの反応生成物などが挙げられる。これらポリアミド化合物の分子量は1000〜5000程度であることが好ましい。
本発明で用いられる有機アミン化合物又はポリアミド化合物は水溶性であることが好ましいが、水不溶性であっても乳化や分散処理して使用することもできる。上記アミン化合物又はポリアミド化合物を2種以上混合して用いてもかまわない。有機アミン化合物又はポリアミド化合物のアミン価は一般に100〜1000であることが好ましいが、特に制限はない。
本発明において、防湿性向上剤として用いられるエポキシ化合物は、モノエポキシ化合物であってもよい。このモノエポキシ化合物は、脂肪族モノエポキシ化合物及び芳香族モノエポキシ化合物を包含し、例えばブチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールポリエチレングリコールグリシジルエーテルなどから選ぶことができる。
本発明に用いられるモノエポキシ化合物は水溶性のものが好ましいが、不溶性のものでも界面活性剤などを単官能エポキシ化合物に対して0.1〜3質量%用いて水中に分散して使用することができる。
上記モノエポキシ化合物は合成樹脂成分(a)100部に対して0.05〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部で用いられることが望ましい。モノエポキシ化合物の配合量が0.05質量部未満である場合は防湿性向上の効果が不十分になることがあり、またそれが10質量部を越えると防湿性の効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
上記モノエポキシ化合物を含む防湿性向上剤が用いられる場合、それとともに用いられる合成樹脂(a)は、アクリル酸、アクリルアミド、などのようにエポキシ環と反応可能な親水性官能基(カルボキシル基、アミド基、及びヒドロキシル基、など)を有するモノマーを含む共重合体を含むことが好ましい。
本発明において、防湿性向上剤として用いられるポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物は、i)ポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミン、ii)尿素類、iii)二塩基性カルボン酸、及び必要によりiv)アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化合物を反応させて得られる(特公昭59−32597、特開平4−10097など)。上記合成において、二塩基性カルボン酸(iii)を用いるとポリアミドポリ尿素化合物又はポリアミドアミンポリ尿素化合物が得られ、用いない場合はポリアミンポリ尿素系化合物が得られる。アルデヒド類やエピハロヒドリン類を用いる場合、その使用量は非常に少ないか、あるいは合成過程で自己架橋を起こして、フリーのメチロール基やエポキシ基がほとんど残存しないことが好ましい。また、上記反応において、尿素数(ii)を用いず、ポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミン(i)と、二塩基性カルボン酸とを反応させるとポリアミドアミン化合物が得られる。成分(iv)アルデヒド類、エピハロヒドリン類、及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類の反応量は、成分(i)の100モル量に対し、5〜300モルの範囲内にあることが好ましい。
上記成分(i)として用いられるポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でジエチレントリアミン及び/又はトリエチレンテトラミンを用いることが好ましい。これらの化合物(i)は単独、あるいは2種類以上の混合物として用いられる。また、化合物(i)にシクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物の1種以上を併用してもよい。
成分(ii)として用いられる尿素類としては尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などが挙げられる。これらの中でも尿素を用いることが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。また、成分(iii)として用いられる二塩基性カルボン酸類は、分子内にカルボキシル基又はそれから誘導される基を2個有するものであって、遊離酸であってもよく、あるいはエステル類又は酸無水物などであってもよい。二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性カルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、及びヘキサハイドロフタル酸などが挙げられる。また、二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離カルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。成分(iv)として用いられるアルデヒド類としてはホルムアルデヒド、プロピルアルデヒドなどのアルキルアルデヒド類やグリオキザール、プロパンジアール、ブタンジアール、エピハロヒドリン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。さらに、成分(iv)として用いられるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。
これらアルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
さらに単量体成分として脂環式エポキシ化合物、アルキル化剤(一般式R−X;R=低級アルキル基、アルケニル基、ベンジル基、フェノキシエチル基など、X=ハロゲン原子)、一般式R′−C(=Y)−NH2〔R′はアルキル基もしくは−NR′2基、Yは酸素原子又は硫黄原子〕で表される化合物などを反応させてもよい。
上記各成分は、任意の順序で反応させることができるが、その合成法の一例として次の方法を用いることができる。即ち、アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミンと、尿素類とを脱アンモニア反応させ、次に、この反応生成物を二塩基性カルボン酸類と脱水縮合させ、さらに尿素類と脱アンモニア反応させることによりポリアミドポリ尿素化合物が得られる。このポリアミドポリ尿素化合物をアルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化合物と反応させるとポリアミドポリ尿素−アルデヒド(エピハロヒドリン)樹脂が得られる。
アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は分子量の調整、水溶性の調整を目的として使用されるが、メチロール基やエポキシ環は自己架橋させほとんど残留していないことが好ましい。
本発明において、防湿性向上剤として用いられる上記ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物は、水性塗工液中で微カチオン性を示すため、アニオン性を有する平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子を、皮膜形成過程において、軟凝集させ、この時、これらの平盤状粒子を、互に平行に積層配向させるものと思われる。このような平盤状粒子の積層配向性の向上は防湿層の防湿性能を向上させる。また、上記化合物のうちには、その分子内にエポキシ環及び/又はメチロール基を有するものが包含されるが、これらの官能基の含有率は微少であり、またその合成過程において、エポキシ環及び/又はメチロール基形成化合物の大部分が自己架橋するため、これらの官能基の影響は無視できる程度である。このため上記化合物を防湿性向上剤として含む防湿層は、防湿性紙の回収再生の際に、紙支持体から容易に離解し、再生パルプの離解性を阻害することはほとんど認められない。
本発明において、防湿性向上剤として、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物を用いることができる。
上記縮合反応生成物は、その分子骨格中にアミノ基を含み、その側鎖にエポキシ環又はメチロール基を有するものであり、一般に下記成分:(i)ポリアルキレンポリアミン(ii)尿素類(iii)二塩基性カルボン酸類(iv)エピハロヒドリン類又はホルムアルデヒドを反応させて合成することができる(特公昭52−22982号、特公昭60−31948号、特公昭61−39435号、特開昭55−127423号)。
上記成分(i)〜(iv)を反応せしめれば、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物又はポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物が得られ、成分(i)、(ii)及び(iv)を反応させれば、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物が得られ、成分(i)、(iii)及び(iv)を反応させれば、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物が得られ、成分(i)、(iv)を反応させれば、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物が得られる。
上記成分(i)として用いられるポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビスヘキサメチレントリアミンやポリ(Nメチルジアリルアミン塩酸塩)、ポリビニルベンジルアミンジメチルアミン塩酸塩などのジアリルアミン類の重合物、ジシアンジアミドが挙げられる。これらの中でジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン、ジアリルアミン類の重合物が好ましい。これらが単独あるいは2種類以上の混合物として用いてもかまわない。
上記成分(ii)として用いられる尿素類としては尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などが挙げられる。これらの中でも尿素を用いることが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。また、成分(iii)として用いられる二塩基性カルボン酸類は、分子内にカルボキシル基又はそれから誘導される基を2個有するものであって、遊離酸であってもよく、あるいはエステル類又は酸無水物などであってもよい。二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性カルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、及びヘキサハイドロフタル酸などが挙げられる。また、二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離カルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
成分(iv)として用いられるエピハロヒドリン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、例えば1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。エピハロヒドリン類は単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
成分(iv)の反応量は、ポリアルキレンポリアミン成分(i)の100モル部に対し、5〜300モル部であることが好ましい。
上記縮合反応生成物の合成法の一例として、ポリアミドエピハロヒドリン化合物の合成法の一例を下記に記す。
反応容器にジエチレントリアミン0.97モルを入れ、この反応器にアジピン酸1モルを攪拌しながら徐々に加え、混合物を170℃で1.5時間加熱する。得られた粘ちょうな液体を140℃に冷却後、固形分が50質量%になるように水を加えてポリアミド溶液を調製する。このポリアミド溶液に、その固形分濃度が13.5質量%になるように水を加え、40℃に加熱し、この溶液にエピクロルヒドリンをポリアミド中の第二アミン1モルにつき1.32モルに相当する量で徐々に加える。さらに60℃の温度で、ガードナー粘度がE〜Fになるまで加熱する。次に固形分濃度が12.5質量%になるように水を加え25℃に冷却するとポリアミドエピハロヒドリン化合物が得られる。他の縮合反応生成物も、上記方法と類似の合成法により合成することができる。
反応容器にジエチレントリアミン0.97モルを入れ、この反応器にアジピン酸1モルを攪拌しながら徐々に加え、混合物を170℃で1.5時間加熱する。得られた粘ちょうな液体を140℃に冷却後、固形分が50質量%になるように水を加えてポリアミド溶液を調製する。このポリアミド溶液に、その固形分濃度が13.5質量%になるように水を加え、40℃に加熱し、この溶液にエピクロルヒドリンをポリアミド中の第二アミン1モルにつき1.32モルに相当する量で徐々に加える。さらに60℃の温度で、ガードナー粘度がE〜Fになるまで加熱する。次に固形分濃度が12.5質量%になるように水を加え25℃に冷却するとポリアミドエピハロヒドリン化合物が得られる。他の縮合反応生成物も、上記方法と類似の合成法により合成することができる。
本発明において、防湿性向上剤として用いられる上記ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物は、水性塗工液中において良好な可溶性を示すが、この塗工液から形成される防湿層の防湿性能を向上させることができる。しかし、得られる防湿性紙の防湿層は、その再生工程において、良好な離解性を示して、紙支持体から分離し、紙支持体のパルプの離解を阻害することがない。従って、上記縮合反応生成物は防湿層中において、合成樹脂成分(a)と架橋反応することがほとんどないものと認められる。上記縮合反応生成物は、いずれもその水溶液中において微カチオン性を示し、このため、防湿層の皮膜形成の過程においてアニオン性を示す平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)を軟凝集し、この平盤状粒子を、互に平行に積層配列させ、それによって防湿性能を向上させる。
本発明において、防湿性向上剤は、合成樹脂成分(a)の100質量部に対して0.05〜10質量部の割合で用いられることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。この配合量が、0.1質量部未満の時は、防湿性向上効果が不十分になることがあり、またそれが10質量部を越えると、その防湿性向上効果が飽和し、経済的に不利になることがある。また、2種類以上の化合物からなる防湿性向上剤を用いてもかまわない。
本発明において用いられる防湿性向上剤が、強カチオン性であって、合成樹脂成分(a)とともに凝集する場合は、当該合成樹脂含有液のpHをアルカリ側(例えば8以上)に調整したのち、これにカチオン性防湿性向上剤の水溶液を添加して使用すればよい。
本発明の防湿性紙に用いられる防湿性向上剤(c)において、架橋反応剤と、カップリング剤が併用されていてもよい。この場合架橋反応剤は、尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のアルデヒド化合物、1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、架橋反応性多価金属化合物及び有機アミン化合物、ポリアミド化合物などから選ばれた1種以上を含むことができ、また、カップリング剤は、前述のオルガノアルコキシシラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物から選ばれた1種以上を含むことができる。また、合成樹脂成分(a)に含まれる重合体又は共重合体は、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、ニトリル基、カルボニル基などの親水性官能基を有していることが好ましく、その酸変性率が5モル%以上であることがより好ましい。
上記態様の防湿性向上剤(c)において、架橋剤は、合成樹脂(a)100質量に対して、0.05〜10質量部で用いられることが好ましく、カップリング剤は、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)100質量部に対し、0.1〜5質量部の添加量で用いられることが好ましい。
本発明の防湿塗料に必要とあらば、ポリカルボン酸などの分散剤、シリコーン系などの消泡剤、界面活性剤、保水剤、色合い調成剤、膨潤性無機層状化合物以外の顔料(炭酸カルシウム、クレー、カオリン、マイカ)などを添加したりすることができる。
本発明の防湿塗料に必要とあらば、ポリカルボン酸などの分散剤、シリコーン系などの消泡剤、界面活性剤、保水剤、色合い調成剤、膨潤性無機層状化合物以外の顔料(炭酸カルシウム、クレー、カオリン、マイカ)などを添加したりすることができる。
以上で述べたような防湿塗料を紙支持体に塗工して防湿層を形成する。塗工設備として特に限定はしないが、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの方式が好ましい。特に防湿層形成にはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの塗工表面をスクレイプするコーターが平板状顔料の配向を促すという点で好ましい。
また本発明に用いられる基材は、機械的離解作用により水中で分散し易いパルプを主成分とするものであれば特に制限はないが、一般的に用いられている晒または未晒クラフト紙(酸性紙又は中性紙)、又は段ボール用、建材用、白ボ−ル用、チップボ−ル用などに用いられる板紙などが好適であり、さらに好ましくはヤンキ−ドライヤ−などで強制乾燥がなされた片ツヤ紙、又はカレンダ−処理が施された晒/未晒クラフト紙などであり、このような紙基材を用いた場合は、その高平滑な基材表面より、防湿層の厚さ方向における平板状顔料の配向性は、塗工面に対して乱れることなく均一に、平行に配列し易くなるため、防湿性能も格段に向上する。
<実施例1>
水50質量部に25%アンモニア水溶液を0.40質量部加え攪拌し、含窒素化合物(カチオン化度2.5meq/g、変性ポリアミド系樹脂、pH7.2、固形分50%、商標:SPI203(50)、住友化学製)2質量部を攪拌しながら加えた。さらに、攪拌しながら酸変性SBRラテックス(固形分50%、スチレン単量体47質量部、ブタジエン単量体38質量部、メタクリル酸15質量部、ガラス転移温度15℃、ゲル分率80%、粒子径80nm、pH7.0、商標HOJ4097、日本ゼオン製)100質量部を加え攪拌した。これに平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)50質量部を加え攪拌し、平板状顔料Bとして平均粒子径6.3μm、平均厚さ4.8nmの合成マイカ(ナトリウム四珪素雲母、陽イオン交換容量100meq/100g、固形分6%の水分散液、商標:NTO−5、トピー工業製)20質量部を攪拌しながら添加して防湿塗料とした。得られた防湿塗料を未晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μm)に防湿層の塗工量が固形分で15g/m2になるようにメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機を用いて110℃1分間乾燥して防湿積層体を得た。
水50質量部に25%アンモニア水溶液を0.40質量部加え攪拌し、含窒素化合物(カチオン化度2.5meq/g、変性ポリアミド系樹脂、pH7.2、固形分50%、商標:SPI203(50)、住友化学製)2質量部を攪拌しながら加えた。さらに、攪拌しながら酸変性SBRラテックス(固形分50%、スチレン単量体47質量部、ブタジエン単量体38質量部、メタクリル酸15質量部、ガラス転移温度15℃、ゲル分率80%、粒子径80nm、pH7.0、商標HOJ4097、日本ゼオン製)100質量部を加え攪拌した。これに平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)50質量部を加え攪拌し、平板状顔料Bとして平均粒子径6.3μm、平均厚さ4.8nmの合成マイカ(ナトリウム四珪素雲母、陽イオン交換容量100meq/100g、固形分6%の水分散液、商標:NTO−5、トピー工業製)20質量部を攪拌しながら添加して防湿塗料とした。得られた防湿塗料を未晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μm)に防湿層の塗工量が固形分で15g/m2になるようにメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機を用いて110℃1分間乾燥して防湿積層体を得た。
<実施例2>
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、厚さ300nmの合成フッ素金雲母(アスペクト比59、商標:PDM−9L−20、トピー工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径8.2μm、厚さが12nmの合成マイカ(ナトリウム四珪素雲母、アスペクト比680、固形分8%の水分散液、商標NTO−8、トピー工業製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、厚さ300nmの合成フッ素金雲母(アスペクト比59、商標:PDM−9L−20、トピー工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径8.2μm、厚さが12nmの合成マイカ(ナトリウム四珪素雲母、アスペクト比680、固形分8%の水分散液、商標NTO−8、トピー工業製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
<実施例3>
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径1.3μm、厚さが2.0nmのベントナイト(アスペクト比650、商標クニピアF、クニミネ工業製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径1.3μm、厚さが2.0nmのベントナイト(アスペクト比650、商標クニピアF、クニミネ工業製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
<実施例4>
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径5μm、厚さが25nmのタルク変性合成マイカ(アスペクト比200、商標ソマシフME100、コープケミカル製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
平板状顔料Aとして平均粒子径20μm、平均厚さ800nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A21、山口雲母工業製)、平板状顔料Bとして平均粒子径5μm、厚さが25nmのタルク変性合成マイカ(アスペクト比200、商標ソマシフME100、コープケミカル製)を用いたこと以外は実施例1と同様に防湿積層体を得た。
<実施例5>
平板状顔料Bを4質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bを4質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例6>
平板状顔料Bを10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bを10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例7>
平板状顔料Bを40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bを40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例8>
平板状顔料Bを100質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bを100質量部としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<実施例9>
平板状顔料を平均粒子径5μ、厚さ400nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A−11、山口雲母工業製)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料を平均粒子径5μ、厚さ400nmの白雲母(アスペクト比25、商標:A−11、山口雲母工業製)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例1>
平板状顔料Bを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例2>
平板状顔料Aを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Aを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例3>
平板状顔料として粒子径60μm、厚さ700nmの白雲母(アスペクト比86、商標:A−61、山口雲母製)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料として粒子径60μm、厚さ700nmの白雲母(アスペクト比86、商標:A−61、山口雲母製)としたこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例4>
平板状顔料Bとして粒子径9.5μm、厚さ1.8μmのタルク(含水珪酸マグネシウム、アスペクト比4.8、商標:クラウンタルク製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Bとして粒子径9.5μm、厚さ1.8μmのタルク(含水珪酸マグネシウム、アスペクト比4.8、商標:クラウンタルク製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<比較例5>
平板状顔料Aとして粒子径0.02μm、厚さ1.0nmの合成スメクタイト(アスペクト比20、商標:ルーセンタイトSWN、コープケミカル製、有効成分91%)を使用したこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
平板状顔料Aとして粒子径0.02μm、厚さ1.0nmの合成スメクタイト(アスペクト比20、商標:ルーセンタイトSWN、コープケミカル製、有効成分91%)を使用したこと以外は実施例1と同様にして防湿積層体を得た。
<試験方法>
1)透湿度
JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で防湿塗工面を外側にして測定した。なお、透湿度の基準としては、50g/m2・24時間以下であれば防湿積層体として実用性があるが、40g/m2下、より好ましくは30g/m2・24hr以下になると用途が拡大する。
1)透湿度
JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で防湿塗工面を外側にして測定した。なお、透湿度の基準としては、50g/m2・24時間以下であれば防湿積層体として実用性があるが、40g/m2下、より好ましくは30g/m2・24hr以下になると用途が拡大する。
Claims (3)
- 紙支持体表面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を設けた防湿積層体であって、前記平板状顔料は、アスペクト比が5〜100、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Aと、アスペクト比が100〜10000、粒子径が0.1μm以上である平板状顔料Bを含み、平板状顔料Bのアスペクト比が、平板状顔料Aの5倍以上であることを特徴とする防湿積層体。
- 平板状顔料Aと平板状顔料Bの質量比が10/1〜1000/1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の防湿積層体。
- 合成樹脂が、芳香族ビニル系重合体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系重合体、アモルファスポリオレフィン系重合体から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の防湿積層体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010235888A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Cci Corp | 制振組成物 |
WO2019189229A1 (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-03 | 日本製紙株式会社 | 紙製バリア材料 |
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-
2003
- 2003-12-15 JP JP2003416367A patent/JP2005171454A/ja active Pending
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