JPH11217798A - 防湿性紙塗被用共重合体ラテックス、それを用いてなる防湿性紙塗被用組成物及びその防湿性塗被紙 - Google Patents

防湿性紙塗被用共重合体ラテックス、それを用いてなる防湿性紙塗被用組成物及びその防湿性塗被紙

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JPH11217798A
JPH11217798A JP31474898A JP31474898A JPH11217798A JP H11217798 A JPH11217798 A JP H11217798A JP 31474898 A JP31474898 A JP 31474898A JP 31474898 A JP31474898 A JP 31474898A JP H11217798 A JPH11217798 A JP H11217798A
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copolymer latex
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Toshiaki Aida
敏晶 会田
Tsuyoshi Yamamoto
強 山本
Atsushi Toyama
淳 外山
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防湿性と離解性が優れた防湿性塗被紙、その
ような塗被紙の製造に用いる防湿性紙塗被用共重合体ラ
テックス及びその共重合体ラテックスと顔料とを含有す
る防湿性紙塗被用組成物を提供すること。 【解決手段】 脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重
量%、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、エチレ
ン性不飽和酸単量体5〜35重量%よりなる単量体を、
水性媒体中で重合して得られる共重合体のラテックスで
あって、該共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が70
重量%以上であり、ガラス転移温度が10〜50℃であ
ることを特徴とする防湿性紙塗被用共重合体ラテック
ス、そのような共重合体ラテックスと顔料とを含有する
防湿性紙塗被用組成物及びその防湿性紙塗被用組成物を
塗工してなる防湿性塗被紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防湿性紙塗被用共
重合体ラテックス、それを用いてなる防湿性紙塗被用組
成物及び防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗
被紙に関するものである。詳しくは、防湿性と易離解性
を高度にバランスさせた防湿性紙塗被用共重合体ラテッ
クス、それを用いてなる防湿性紙塗被用組成物及び防湿
性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙に関す
る。
【0002】
【従来の技術】新聞原紙やコピー用紙等は、外部の湿気
を吸収し易く、これにより製品の品質が低下する。これ
を防止する為に包装用紙が用いられる。包装用紙として
通常の塗工紙を用いると、外部の湿気を通過させてしま
うので包装内の製品が吸湿してたるみができてしまう。
この新聞原紙やコピー用紙を用いて印刷やコピーを行う
と、印刷トラブルや製品外観の低下を起こす。そこで、
通常、内部製品を外部の湿気から遮断する目的で防湿性
紙が用いられる。防湿性紙は、防湿性の高いワックスと
バインダーである共重合体ラテックスとを配合してなる
防湿剤を、原紙表面に塗布することで得られる。防湿性
の程度は、ワックスの種類と使用量とにより決定され
る。しかし、防湿性を向上させる為にワックスの使用量
を増やすと、しばしば、塗工紙の巻き取り時の巻き乱れ
の問題や巻き取った塗工紙の搬入と搬出時における製品
ロールの滑りや荷崩れの問題を引き起こす。そのため、
塗工紙の巻き取り時の巻き乱れの問題に対しては、例え
ば、防湿剤を塗布していない裏面に防滑層を設けたり、
特定の巻圧でロール状に巻き取るなどの方法などが行わ
れている。また、巻き取った塗工紙の搬入と搬出時にお
ける製品ロールの滑りや荷崩れの問題に対しては、ロー
ルをワイヤーで動かないように固定し、更に時間をかけ
て慎重に移動する方法が行われている。しかし、これら
の方法を用いて防湿性紙の巻き取り、搬入及び搬出を行
っても、十分な効果が得られていない。
【0003】更に、ワックスを多く配合した防湿剤を塗
布した防湿性紙は、古紙として回収されて離解工程に供
された際に離解しにくいという問題を有している。これ
は、防湿剤中のワックスにより、水の防湿性紙内への浸
透が妨げられることが原因で起こる。水の防湿性紙内へ
の浸透が妨げられると、原紙の繊維間の結合力が低下せ
ず、また、単繊維の絡みが解消されない。この結果、ワ
ックスを多く配合した防湿剤を塗布した防湿性紙は、離
解工程で容易には離解せず、離解液中に大きなシート状
で存在している。このため、未離解物が多く存在する再
生紙しか得られない。この事から、防湿性紙は再生紙の
原料としては不適と見られて、回収されて来てももっぱ
らそのまま産業廃棄物とされ、焼却されることが多い状
況である。
【0004】ところが、近年、省資源、環境汚染及び産
業廃棄物削減の問題が採り上げられ、従来は廃棄や焼却
していた防湿性紙も再生利用する必要がでてきた。これ
に伴って、防湿性紙にも離解性の改良が求められるよう
になってきている。この離解性の改良要求に対しては、
ワックスの中で離解性の優れたものを用いる方法やワッ
クス以外の防湿性を持つものを利用する方法等が検討さ
れている。
【0005】離解性の良いワックスを用いて製造する方
法としては、例えば、特定の組成のパラフィンワックス
を含むエマルジョンを原紙上に塗布する方法(特開昭5
0−36711号公報)が挙げられる。しかし、この方
法では、離解性は従来に比べて良好であるものの、まだ
十分とは言えなかった。更に、防湿性は従来に比べて劣
り、パラフィンワックスの使用量を増やすなどの方法が
必要である。
【0006】これに対して、ワックス以外の防湿性を持
つ物質を利用する方法として、例えば、特定の構造のプ
ロピレン系重合体を用いる方法(特開平6−33049
7号公報)やステアリン酸エステルを用いる方法(特開
平8−144192号公報)が挙げられる。しかし、こ
れらの方法でも離解性はまだ不十分であり、再生紙中に
未離解物が多く存在している。更に、防湿性は従来に比
べて劣り、防湿性を持つ物質の使用割合を増やしたり、
塗布量を増やす等の方法も併用することが必要である。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、防湿性と
離解性が優れた防湿性塗被紙、そのような塗被紙の製造
に用いる防湿性紙塗被用共重合体ラテックス及びその共
重合体ラテックスと顔料とを含有する防湿性紙塗被用組
成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねたところ、特定の共
重合体ラテックスを使用すれば、上記の目的を達成でき
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
【0009】かくして、本発明によれば、脂肪族共役ジ
エン系単量体25〜70重量%、芳香族ビニル系単量体
20〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体5〜35
重量%よりなる単量体を、水性媒体中で重合して得られ
る共重合体のラテックスであって、該共重合体のテトラ
ヒドロフラン不溶分が70重量%以上であり、ガラス転
移温度が10〜50℃であることを特徴とする防湿性紙
塗被用共重合体ラテックスが提供される。
【0010】また、本発明によれば、上記記載の防湿性
紙塗被用共重合体ラテックスであって、共重合体の表面
に結合又は吸着した酸基量と共重合体ラテックスの水相
中の酸基量との合計が、塩酸当量換算で、共重合体1g
当り0.4〜3.5ミリ当量である防湿性紙塗被用共重
合体ラテックスが提供される。
【0011】また、本発明によれば、防湿性紙塗被用共
重合体ラテックスと顔料とを含有する防湿性紙塗被用組
成物及びこれを塗工してなる防湿性塗被紙が提供され
る。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量
体25〜70重量%、芳香族ビニル系単量体20〜70
重量%、エチレン性不飽和酸単量体5〜35重量%より
なる単量体を、水性媒体中で重合して得られる共重合体
のラテックスであって、該共重合体のテトラヒドロフラ
ン不溶分が70重量%以上であり、ガラス転移温度が1
0〜50℃であることが特徴である。
【0013】本発明の共重合体ラテックスの製造に用い
る脂肪族共役ジエン系単量体は、特に限定されないが、
例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジ
メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブ
タジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を
挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上
を組み合わせて使用することができる。これらの脂肪族
共役ジエン系単量体のうち、1,3−ブタジエンが好ま
しい。
【0014】脂肪族共役ジエン系単量体の使用量は、全
単量体の25〜70重量%、好ましくは25〜65重量
%である。25重量%未満の場合には、得られる共重合
体ラテックスが成膜しにくくなるため防湿性が低下す
る。70重量%を超える場合には、共重合体の塗膜が柔
軟になり、更に接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離
解性が低下する。
【0015】本発明の共重合体ラテックスの製造に用い
る芳香族ビニル系単量体は、特に限定されないが、例え
ば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロ
ロスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等を挙げること
ができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わ
せて使用することができる。これらの芳香族ビニル系単
量体のうち、スチレンが好適である。
【0016】芳香族ビニル系単量体の使用量は、全単量
体の20〜70重量%、好ましくは25〜65重量%で
ある。20重量%未満の場合には、共重合体の塗膜が柔
軟になり更に接着強度が強く成り過ぎて、塗被紙の離解
性が低下する。70重量%を超える場合には、共重合体
の塗膜が硬化して脆くなり、僅かな力でひび割れを起こ
しやすくなり、防湿性紙の防湿性が低下する。
【0017】本発明の共重合体ラテックスの製造に用い
るエチレン性不飽和酸単量体は、カルボキシル基、スル
ホン酸基、ホスフィニル基等の酸基を有するエチレン性
不飽和単量体であれば特に限定されず、例えば、エチレ
ン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホ
ン酸単量体及びエチレン性不飽和リン酸単量体等が挙げ
られる。
【0018】エチレン性不飽和カルボン酸単量体として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸な
どの不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イ
タコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カル
ボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル
などのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル
化物などが挙げられる。
【0019】エチレン性不飽和スルホン酸単量体として
は、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、
(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アク
リルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙
げられる。エチレン性不飽和リン酸単量体としては、例
えば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−
アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げら
れる。
【0020】これらのエチレン性不飽和酸単量体はアル
カリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもでき
る。これらのエチレン性不飽和酸単量体は、単独で、又
は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】これらエチレン性不飽和酸単量体の中で
も、エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、エチレン
性不飽和モノカルボン酸が更に好ましい。エチレン性不
飽和モノカルボン酸の中ではメタクリル酸が特に好まし
い。
【0022】エチレン性不飽和酸単量体の使用量は、全
単量体の5〜35重量%、好ましくは5〜30重量%で
ある。5重量%未満の場合には、共重合体ラテックスが
充分な防湿性を有した緻密な塗膜を形成できないため、
塗被紙の防湿性が低下する。35重量%を超える場合に
は、共重合体の塗膜が硬化して僅かな力でひび割れを起
こしやすくなり、防湿性紙の防湿性が低下する。
【0023】また、本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラ
テックスの製造には、必要に応じて、上記の単量体と共
重合可能な他の単量体を用いてもよい。
【0024】共重合可能な他の単量体としては、例え
ば、架橋性単量体;(メタ)アクリル酸エステル単量
体;(メタ)アクリルアミド単量体;エチレン性不飽和
ニトリル単量体等が挙げられる。
【0025】架橋性単量体としては、例えば、ジビニル
ベンゼン等の共役ジビニル化合物;ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート
類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等
のポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0026】(メタ)アクリル酸エステル単量体として
は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メ
タ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジ
ブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メ
タ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エ
トキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエ
チル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アク
リル酸2−シアノエチル、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0027】(メタ)アクリルアミド単量体としては、
例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルア
ミド等が挙げられる。エチレン性不飽和ニトリル単量体
としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロ
ニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエ
チルアクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可
能な他の単量体は二種類以上を併用してもよい。これら
は本発明の効果を損なわない範囲で使用することができ
るが、通常は、全単量体の0〜50重量%の範囲であ
る。
【0028】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スは、これを構成する共重合体のテトラヒドロフラン不
溶分(以下、「THF不溶分」と記載する。)が70重
量%以上、好ましくは70〜95重量%である。70重
量%未満では、共重合体の塗膜が緻密になるので離解性
が低下する。
【0029】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スは、これを構成する共重合体のガラス転移温度(以
下、「Tg」と記載する。)が10〜50℃、好ましく
は10〜45℃である。10℃未満の場合には、共重合
体の塗膜が柔軟で緻密な塗膜となるため、塗被紙の離解
性が低下する。50℃を超える場合には、共重合体の塗
膜が非常に脆くなる為、わずかな力が加わっただけで塗
膜にひびが入りやすくなり、塗被紙の防湿性が低下す
る。
【0030】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スは、該共重合体ラテックスを構成する共重合体の表面
に結合又は吸着した酸基量(以下、「表面の酸基量」と
いう。)と該共重合体ラテックスの水相中の酸基量(以
下、「水相中の酸基量」という。)との合計が、塩酸当
量換算で、共重合体1g当り0.4〜3.5ミリ当量で
あることが好ましく、共重合体1g当り0.6〜3.5
ミリ当量であれば更に好ましい。0.4ミリ当量未満の
場合には、塗被紙の防湿性が低下する傾向がある。3.
5ミリ当量を超える場合にも、塗被紙の防湿性が低下す
る傾向がある。
【0031】共重合体の表面の酸基量と共重合体ラテッ
クス水相中の酸基量との合計を上記範囲にするには、通
常、エチレン性不飽和酸単量体の種類、使用量、添加時
期;乳化剤又は重合開始剤の種類、使用量;重合系のp
H等を調整して行う。これらの方法は単独でも、二つ以
上の方法を組み合わせて用いてもよい。
【0032】共重合体の表面の酸基量は、塩酸当量換算
で、共重合体1g当り0.4ミリ当量以上が好ましい。
0.4ミリ当量未満の場合には、防湿性が低下する傾向
がある。
【0033】酸基としては、カルボキシル基、スルホン
酸基、ホスフィニル基等が挙げられる。防湿性が優れた
塗被紙を得るには、共重合体の表面に結合又は吸着して
いるこれら酸基の量を多くし、且つ共重合体ラテックス
の水相中のこれら酸基の量を少なくすることが好まし
い。水相中の酸基量が多い場合には、共重合体の表面の
酸基量が同じであっても、塗被紙の防湿性が劣る傾向が
ある。
【0034】共重合体の表面の酸基量を多くし、且つ水
相中の酸基量を少なくする方法としては、通常、エチレ
ン性不飽和酸単量体の種類、使用量、添加時期;乳化剤
又は重合開始剤の種類、使用量;重合系のpH等を調整
することが挙げられる。これらの方法は単独でも、二つ
以上の方法を組み合わせて用いてもよい。中でも、エチ
レン性不飽和酸単量体の種類、使用量、添加時期を調整
する方法が好ましい。
【0035】共重合体の表面の酸基量を多くし、且つ水
相中の酸基量を少なくするには、エチレン性不飽和酸単
量体としてメタクリル酸を用いることが好ましい。メタ
クリル酸を用いると、共重合体ラテックスの水相中の酸
基量を特に少なくすることができるので特に好ましい。
【0036】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スは、それに含まれる水溶性成分の量が、該共重合体ラ
テックスの全固形分に対して3重量%以下であることが
好ましい。更に好ましくは2.5重量%以下である。3
重量%を超える場合には、共重合体の塗膜を水蒸気が通
過し易くなって防湿性が低下する傾向がある。
【0037】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スの製造方法は、特に限定されないが、通常、乳化重合
を用いる。乳化重合とその条件については、特に限定は
なく、公知の各種方法を採用できる。
【0038】重合に用いる単量体は、使用する各種単量
体を混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々
に反応容器に添加してもよい。また、単量体の添加方法
としては、例えば、反応容器に、使用する単量体を一括
して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断
続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転
化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的また
は断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれ
の方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的また
は断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定として
も、あるいは変化させてもよい。
【0039】さらに、重合にあたって、シード重合方法
も採用することができる。シード重合方法を採用する場
合、シード用ラテックスの組成は特に限定されず、共重
合体ラテックスの製造に用いる単量体混合物の組成と同
じであっても、異なってもよい。また、用いるシード用
ラテックスの粒子径及び使用量は特に限定されない。重
合温度は特に限定されないが、通常、5〜90℃であ
る。
【0040】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スの製造には、通常用いられる乳化剤、重合開始剤、分
子量調整剤等を使用することができる。これら重合副資
材の添加方法は特に限定されず、初期一括添加法、分割
添加法、連続添加法などいずれの方法でも採用すること
ができる。
【0041】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スの製造に用いる乳化剤は、特に限定されないが、例え
ば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸
塩、高級アルコールの硫酸エステル塩等のアニオン系乳
化剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル型、ポ
リエチレングリコールアルキルエステル型、ポリエチレ
ングリコールアルキルフェニルエーテル型等のノニオン
系乳化剤;アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エス
テル塩、スルホン酸塩、りん酸塩又はりん酸エステル塩
等を、カチオン部分としてアミン塩又は第4級アンモニ
ウム塩等を持つ両性界面活性剤等を挙げることができ
る。
【0042】乳化剤の使用割合は、全単量体に対して、
通常、0.05〜2重量%、好ましくは0.05〜1重
量%である。
【0043】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スの製造に用いる重合開始剤は、特に限定されないが、
例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機系
開始剤;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパ
ーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイ
ルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレー
ト等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシ
クロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル
等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの無機
系開始剤及び有機系開始剤は、それぞれ単独で、あるい
は2種類以上を組み合わせて使用することができる。無
機系開始剤及び有機系開始剤は重亜硫酸ナトリウム等の
還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として
使用することもできる。
【0044】重合開始剤の使用割合は、全単量体に対し
て、通常0.1〜5重量%であり、好ましくは0.5〜
3重量%である。
【0045】本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテック
スの製造に用いる分子量調整剤は、特に限定されない
が、例えば、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシ
ルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチル
メルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メ
チレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラ
エチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチ
ウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲン
ダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。こ
れらは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上組み合わ
せて併用することもできる。
【0046】さらに、必要に応じて、キレート剤、分散
剤、pH調整剤、防腐剤等の重合副資材を用いることが
でき、これらは種類、使用量とも特に限定されない。
【0047】本発明の防湿性紙塗被用組成物は、本発明
の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスと顔料とを含有す
ることが特徴である。
【0048】本発明の防湿性紙塗被用組成物に用いる顔
料は、特に限定されず、例えば、クレー、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイ
ト、シリカ、タルク、硫酸バリウム等の無機顔料;プラ
スチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔
料が挙げられる。これらは単独もしくは二種以上組み合
わせて使用することができる。
【0049】顔料の使用量は、防湿性紙塗被用共重合体
ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、10
〜500重量部である。
【0050】本発明の防湿性紙塗被用組成物には、必要
に応じてワックスを添加することができる。
【0051】本発明に用いることができるワックスは、
特に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、キ
ャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワック
ス、セレシンワックス、ペトロラクタム、フィシャー・
トリブッシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタ
ンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワッ
クス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、
ステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらのなかで
もパラフィンワックスが好ましい。これらワックスは2
種類以上を混合して用いることもできる。
【0052】ワックスの使用量は、通常、防湿性紙塗被
用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して5
0重量部以下である。ワックスの使用量が50重量部を
超える場合には、防湿性塗被紙の離解性が低下する。
【0053】本発明の防湿性紙塗被用組成物の固形分濃
度は、特に限定されないが、通常、30〜70重量%、
好ましくは40〜70重量%である。
【0054】本発明の防湿性塗被紙は、前記の防湿性紙
塗被用組成物を原紙上に塗工することで得られる。
【0055】本発明の防湿性塗被紙に用いる原紙は、特
に限定されず、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等
のパルプからなる原紙を用いることができる。また、原
紙の坪量は特に限定されず、通常、40〜220g/m
2 のものが使用される。
【0056】本発明の防湿性紙塗被用組成物を塗工する
方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、
ロールコーター、ブラシコーター、エアーナイフコータ
ー、カーテンコーター、バーコーター、グラビヤコータ
ー、ショートドウェルコーターなどを用いて行う。塗工
後は乾燥することにより原紙上に共重合体の塗膜が形成
され、防湿性塗被紙が得られる。乾燥温度は、通常、5
0℃以上である。
【0057】本発明の防湿性塗被紙の塗工量は、特に限
定されないが、通常、乾燥重量で、片面10〜40g/
2 、好ましくは15〜35g/m2 である。10g/
2未満の場合には共重合体の塗膜が薄くなって被覆不
足のところから水蒸気が通過し易い。このために、十分
な防湿効果を得ることができない。一方、40g/m 2
を超える場合には、防湿性紙を細かく離解できなくな
り、離解性が低下する。
【0058】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、実施例中と比較例における部及び%は重
量基準であり、共重合体ラテックスの重量は固形分換算
である。 [共重合体ラテックスの評価方法]共重合体のTHF不
溶分、Tg、共重合体の表面の酸基量、共重合体ラテッ
クスの水相中の酸基量および水溶性成分の量の測定方法
は下記のとおりである。
【0059】(THF不溶分)水平に保たれたガラス板
に、乾燥後のフィルムの厚さが約2mmとなるように、
pHが7の共重合体ラテックスを流延し、温度23℃、
相対湿度65%に保たれた恒温恒湿室内で48時間自然
乾燥させる。得られたフィルムを2mm×2mmに裁断
し、その約0.3gを箱型の80メッシュ金網(重量:
Ag)に精秤(重量:Bg)して入れる。これをガラス
ビーカーに入れ、テトラヒドロフラン100mlを注ぎ
込んで室温で48時間静置する。48時間静置後、金網
を引き上げて、あらかじめ重量を測っておいたアルミ皿
(重量:Cg)にのせて、ドラフト内で4時間放置す
る。この後、アルミ皿ごと105℃の乾燥機内で3時間
乾燥させ、アルミ皿ごと乾燥重量(重量:Dg)を測定
する。THF不溶分は次式により計算する。 THF不溶分(%)=(D−C−A)×100/B
【0060】(Tg)水平に保たれたガラス板に、乾燥
後のフィルムの厚さが約2mmとなるように、pHが7
の共重合体ラテックスを流延し、温度23℃、相対湿度
65%に保たれた恒温恒湿室内で48時間自然乾燥させ
る。得られたフィルムを2mm×2mmの大きさに裁断
し、その約10mg(仕込み量が多いと温度に対する応
答性が低下するので9.5〜10.5mgとする)を、
示差走査熱量計(セイコー電子社製、モデルRDC22
0)のガラス転移温度測定用容器に入れ蓋をする。これ
を上記の示差走査熱量計にセットして、初期温度−10
0℃、終了温度150℃、昇温速度10℃/分の条件で
測定する。
【0061】(共重合体の表面の酸基量、共重合体ラテ
ックスの水相中の酸基量)蒸留水で洗浄した容量が15
0mlのガラス容器に、固形分濃度を2%に調整した共
重合体ラテックス50gを入れ、溶液電導率計(京都電
子工業社製:CM−117、使用セルタイプ:K−12
1)にセットして攪拌する。以後、攪拌は塩酸の添加が
終了するまで継続する。共重合体ラテックスの電気伝導
度が2.5〜3.0(mS)になるように、0.1規定
の水酸化ナトリウム(和光純薬社製:試薬特級)を共重
合体ラテックスに添加した後、6分経過してから電気伝
導度を測定する。この値を測定開始時の電気伝導度とす
る。この共重合体ラテックスに0.1規定の塩酸(和光
純薬社製:試薬特級)を0.5ml添加して30秒後に
電気伝導度を測定する。再び0.1規定の塩酸を0.5
ml添加して30秒後に電気伝導度を測定する。この操
作を、30秒間隔で、共重合体ラテックスの電気伝導度
が測定開始時の電気伝導度以上になるまで繰り返しおこ
なう。
【0062】得られたデータを、縦軸:電気伝導度(m
S)、横軸:添加した塩酸の合計量(ミリモル)とした
グラフ上にプロットする。得られたグラフは図1のよう
に3つの変曲点を有する。3つの変曲点を、X座標の値
が小さい方から順にそれぞれP1 、P2 、P3 とする。
このグラフを、塩酸の添加量が零からP1 まで、P1
超えてP2 まで、P2 を超えてP3 まで及びP3 を超え
て塩酸の添加終了まで、の4つに区分する。それぞれの
区分内のデータについて最小二乗法により近似直線
1 、L2 、L3 及びL4 を引く。L1 とL2 との交点
のX座標をA1 (ミリモル)、L2 とL3 との交点のX
座標をA2 (ミリモル)、L3 とL4 との交点のX座標
をA3 (ミリモル)とする。
【0063】共重合体1g当りの表面の酸基量及び共重
合体1g当りの水相中の酸基量は、式(a)及び式
(b)から求める。 (a)共重合体1g当りの表面の酸基量(塩酸換算した
ミリ当量)=A2 −A1 (b)共重合体1g当りの水相中の酸基量(塩酸換算し
たミリ当量)=A3 −A 2
【0064】(水溶性成分の量)有効濾過面積が240
cm2 のフィルターを取り付けた限外濾過装置(MIL
LIPORE社製;ミニタンシステム XX42MOT
60)に、固形分濃度を10%に調整した共重合体ラテ
ックス500gを循環レート250ml/分で循環さ
せ、共重合体ラテックスの固形分濃度が25%になった
ら循環を終了する。得られた濾液を105℃の乾燥機内
で8時間乾燥して水溶性成分の重量を測定し、濾過前の
共重合体ラテックスの固形分で除す。
【0065】[塗被紙の評価方法]実施例と比較例の塗
被紙の防湿性及び離解性の評価方法は下記のとおりであ
る。
【0066】(塗被紙の作成)塗被用組成物を、坪量が
80g/m2 のクラフト紙の片面に、ワイヤーバーを用
いて乾燥重量が30g/m2 となるように塗布する。塗
布後、110℃の熱風式乾燥機内で1分間乾燥する。乾
燥後、その塗被紙を温度23℃、相対湿度65%に調整
した恒温恒湿室内で一夜放置して試験用塗被紙を得る。
【0067】(防湿性)透湿度水蒸気透過度試験法(J
IS Z 0208:カップ法 B法)に準拠して、試
験用塗被紙の透湿度を測定する。透湿度が200(g/
2 /24時間)以下である塗被紙は防湿性が優れてい
る。透湿度が150(g/m2 /24時間)以下である
塗被紙は更に防湿性が優れている。
【0068】(離解性−1)試験用塗被紙を裁断して、
5cm×5cmの大きさの塗被紙36枚を作成する(た
だし、これら塗被紙の合計重量が10gに満たない場合
は、更に塗被紙を裁断して小片を1枚追加し、合計重量
を10gとする)。これを前記大きさのまま、20℃の
水道水500gに投入する。これを家庭用ミキサーに入
れて2分間攪拌後、得られたスラリーを取り出し20c
m×25cmの大きさに手抄きして一枚のパルプシート
を得る。このシートを120℃の熱風循環式オーブンに
20分間入れて乾燥させ、シートを取り出して未離解物
(塗膜片、紙片等)を目視で観察して評価する。未離解
物の最大が2mm四方未満の場合は○、2〜5mm四方
の場合は△、5mm四方を超える場合は×で示す。○:
離解性が優れている。△:離解性がやや劣る。×:離解
性が劣る。
【0069】(離解性−2)(離解性−1)に記載のシ
ートの作成方法と同様にして、シートを得る。それぞれ
の未離解物の最大直径をノギスを用いて測定する。未離
解物の最大直径が大きい方から10個の未離解物の最大
直径について平均値を求める。この平均値をこのシート
の離解性の値とする(単位:mm)。未離解物の個数が
10個未満の場合には、測定した未離解物の全てを用い
て、それらの最大直径について平均値を求める。なお、
平均値が同じであれば、最大直径の分布が異なっても離
解性は同じとする。この平均値が5mm以下であるもの
は、離解性が優れている。この平均値が2mm以下であ
るものは、離解性が更に優れている。
【0070】実施例1 温度検出センサーと攪拌機付きの重合容器にイオン交換
水を45部仕込み、内部を窒素で置換した。その後、攪
拌しながら、内温を80℃に昇温した。一方、攪拌機付
きの耐圧容器にイオン交換水を58部、ラウリル硫酸ナ
トリウムを0.3部、スチレンを48部、メタクリル酸
を20部、t−ドデシルメルカプタンを0.3部仕込ん
だ後、内部を窒素で置換してブタジエンを32部仕込み
乳化させてエマルジョンを得た。更に、別容器にイオン
交換水19部で過硫酸カリウム1部を溶解し、過硫酸カ
リウムの5%水溶液を調製した。80℃に保たれた重合
容器に、調製したエマルジョンと過硫酸カリウムの5%
水溶液を別々のポンプを用いて共に3時間かけて添加し
た。エマルジョンと過硫酸カリウムの5%水溶液の添加
が終了した後、80℃に保ったままで更に3時間反応を
継続した後、反応停止剤を添加して重合を終了した。こ
の共重合体ラテックスの未反応単量体を除去し、更に固
形分濃度を52%まで濃縮した。濃縮後、共重合体ラテ
ックスのpHを7に調整し、更に水を添加して、固形分
濃度が50%、pHが7の共重合体ラテックスを得た。
この共重合体ラテックスを共重合体ラテックスAとし、
その性状を表1に示す。
【0071】次に、共重合体ラテックスAの固形分10
0部に対し、カオリンクレー(エンゲルハルド社製、U
W90)20部を混合して攪拌し、更にイオン交換水で
固形分濃度を50%に調整して塗被用組成物を得た。こ
の組成物を、坪量80g/m 2 のクラフト紙の片面
に、ワイヤーバーを用いて乾燥重量が30g/m2 とな
るように塗布した。塗布後、110℃の熱風式乾燥機内
で1分間乾燥し、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒
湿室内で一夜放置した。この塗被紙の透湿度と離解性の
評価結果を表1に示す。
【0072】実施例2〜10及び比較例1〜9 表1及び表2に示す処方に変えた他は実施例1と同様に
して共重合体ラテックスB〜Sを得た。共重合体ラテッ
クスB〜Sの性状について実施例1と同様に評価し、そ
の結果を表1及び表2に示す。これら共重合体ラテック
スを用いて実施例1と同様にそれぞれ塗被紙を作製し
た。また、実施例2〜10及び比較例1〜9の塗被紙を
実施例1と同様に評価して、その結果を表1及び表2に
示す。
【0073】実施例11 カオリンクレーを添加した後に、ワックスエマルジョン
(荒川化学社製、OKW−40、パラフィンワックス含
有量30%)を、ワックス含有量換算で、3部混合した
他は実施例1と同様にして塗被紙を得た。この塗被紙に
ついて実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示
す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】表2の塗被紙の評価結果より、比較例の塗
被紙について以下のことがわかる。脂肪族共役ジエン系
単量体の使用量が、本発明で規定した範囲より少ない共
重合体ラテックスを用いた比較例1の塗被紙は、防湿性
が劣る。脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が、本発明
で規定した範囲より多く、且つ共重合体のガラス転移温
度が本発明の範囲より低い共重合体ラテックスを用いた
比較例2の塗被紙は、離解性が劣る。
【0077】芳香族ビニル系単量体の使用量が、本発明
で規定した範囲より少ない共重合体ラテックスを用いた
比較例3の塗被紙は、離解性が劣る。芳香族ビニル系単
量体の使用量が、本発明で規定した範囲より多い共重合
体ラテックスを用いた比較例4の塗被紙は、防湿性が劣
る。エチレン性不飽和酸単量体の使用量が、本発明で規
定した範囲より少ない共重合体ラテックスを用いた比較
例5の塗被紙は、防湿性が劣る。エチレン性不飽和酸単
量体の使用量が、本発明で規定した範囲より多い共重合
体ラテックスを用いた比較例6の塗被紙は、防湿性が劣
る。
【0078】共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が、
本発明で規定した範囲より少ない共重合体ラテックスを
用いた比較例7の塗被紙は、離解性が劣る。共重合体の
ガラス転移温度が、本発明で規定した範囲より低い共重
合体ラテックスを用いた比較例8の塗被紙は、離解性が
劣る。共重合体のガラス転移温度が、本発明で規定した
範囲より高い共重合体ラテックスを用いた比較例9の塗
被紙は、防湿性が劣る。
【0079】これに対して、本発明の共重合体ラテック
スを用いた実施例1〜実施例11の塗被紙は、優れた防
湿性と離解性を有していることがわかる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、防湿性と離解性が優れ
た防湿性塗被紙、そのような塗被紙の製造に用いる防湿
性紙塗被用共重合体ラテックス及びその共重合体ラテッ
クスと顔料とを含有する防湿性紙塗被用組成物を得るこ
とができる。
【0081】本発明の好ましい実施態様 (1)脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重量%、芳
香族ビニル系単量体20〜70重量%、エチレン性不飽
和酸単量体5〜35重量%よりなる単量体を、水性媒体
中で重合して得られる共重合体のラテックスであって、
該共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が70重量%以
上であり、ガラス転移温度が10〜50℃であることを
特徴とする防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。
【0082】(2)脂肪族共役ジエン系単量体が、1,
3−ブタジエンである(1)に記載の防湿性紙塗被用共
重合体ラテックス。 (3)脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が、全単量体
に対して、好ましくは25〜65重量%である(1)又
は(2)に記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。
【0083】(4)芳香族ビニル系単量体が、スチレン
である(1)〜(3)のいずれかに記載の防湿性紙塗被
用共重合体ラテックス。 (5)芳香族ビニル系単量体の使用量が、全単量体に対
して、好ましくは25〜65重量%である(1)〜
(4)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテ
ックス。
【0084】(6)エチレン性不飽和酸単量体が、エチ
レン性不飽和カルボン酸単量体である(1)〜(5)の
いずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。 (7)エチレン性不飽和酸単量体が、エチレン性不飽和
モノカルボン酸単量体である(1)〜(6)のいずれか
に記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。 (8)エチレン性不飽和酸単量体が、メタクリル酸であ
る(1)〜(7)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共
重合体ラテックス。 (9)エチレン性不飽和酸単量体の使用量が、全単量体
に対して、好ましくは5〜30重量%である(1)〜
(8)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテ
ックス。
【0085】(10)共重合体ラテックスを構成する共
重合体のテトラヒドロフラン不溶分が、好ましくは70
〜95重量%である(1)〜(9)のいずれかに記載の
防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。 (11)共重合体ラテックスを構成する共重合体のガラ
ス転移温度が、好ましくは10〜45℃である(1)〜
(10)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラ
テックス。
【0086】(12)共重合体の表面に結合又は吸着し
た酸基量と共重合体ラテックスの水相中の酸基量との合
計が、塩酸当量換算で、好ましくは共重合体1g当り
0.4〜3.5ミリ当量、更に好ましくは共重合体1g
当り0.6〜3.5ミリ当量である(1)〜(11)の
いずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。 (13)共重合体の表面に結合又は吸着した酸基量が、
塩酸当量換算で、好ましくは、共重合体1g当り0.4
ミリ当量以上である(1)〜(12)に記載の防湿性紙
塗被用共重合体ラテックス。
【0087】(14)共重合体ラテックス中の水溶性成
分の量が、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは
2.5重量%以下である(1)〜(13)のいずれかに
記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。
【0088】(15)(1)〜(14)のいずれかに記
載の共重合体ラテックスと顔料とを含有する防湿性紙塗
被用組成物。 (16)顔料の使用量が、共重合体ラテックスの固形分
100重量部に対して、10〜500重量部である(1
5)に記載の防湿性紙塗被用組成物。 (17)防湿性紙塗被用組成物が、共重合体ラテックス
の固形分100重量部に対して、ワックスを50重量部
以下含有するものである(15)又は(16)のいずれ
かに記載の防湿性紙塗被用組成物。 (18)防湿性紙塗被用組成物の固形分濃度が、30〜
70重量%、好ましくは40〜70重量%である(1
5)〜(17)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用組成
物。
【0089】(19)(15)〜(18)のいずれかに
記載の防湿性紙塗被用組成物を原紙に、乾燥重量で、片
面10〜40g/m2 、好ましくは15〜35g/m2
塗被してなる防湿性紙。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、共重合体の表面の酸基量及び共重合体
ラテックスの水相中の酸基量の測定方法に従って、共重
合体ラテックスに塩酸を添加していく時の共重合体ラテ
ックスの電気伝導度の変化を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重
    量%、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、エチレ
    ン性不飽和酸単量体5〜35重量%よりなる単量体を、
    水性媒体中で重合して得られる共重合体のラテックスで
    あって、該共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が70
    重量%以上であり、ガラス転移温度が10〜50℃であ
    ることを特徴とする防湿性紙塗被用共重合体ラテック
    ス。
  2. 【請求項2】 共重合体の表面に結合又は吸着した酸基
    量と共重合体ラテックスの水相中の酸基量との合計が、
    塩酸当量換算で、共重合体1g当り0.4〜3.5ミリ
    当量である請求項1に記載の防湿性紙塗被用共重合体ラ
    テックス。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の共重合体
    ラテックスと顔料とを含有する防湿性紙塗被用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の防湿性紙塗被用組成物
    を塗工してなる防湿性塗被紙。
JP31474898A 1997-11-28 1998-11-05 防湿性紙塗被用共重合体ラテックス、それを用いてなる防湿性紙塗被用組成物及びその防湿性塗被紙 Pending JPH11217798A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001248097A (ja) * 1999-12-27 2001-09-14 Oji Paper Co Ltd 包装用紙
JP2001254296A (ja) * 2000-03-10 2001-09-21 Dainippon Ink & Chem Inc 防湿加工用樹脂組成物及び防湿材
JP2015500927A (ja) * 2011-12-06 2015-01-08 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se バリヤーコーティングを有する紙包装及び厚紙包装

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